JP3999107B2 - 焼成用補助治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は焼成対象物を載せて焼成する安定化ジルコニア(立方晶)を基材とする焼成用補助治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子部品や半導体デバイス等の焼成対象物を焼成するとき、焼成用セッターとも呼ばれることがあるアルミナ系の焼成用補助治具を用い、焼成用補助治具の載置面に焼成対象物を載せた状態で焼成炉で高温に加熱維持し、焼成対象物を焼成する技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−145672号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように焼成対象物を焼成するとき、焼成対象物同士の反応を抑えることができる。
【0005】
本発明は上記した焼成用補助治具をさらに進めたものであり、焼成対象物の高い品質を維持するのに有利な安定化ジルコニア(立方晶)を基材とする焼成用補助治具を提供することを課題とするにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る焼成用補助治具は、焼成対象物を焼成させる際に使用され、焼成対象物を載せる載置面をもち且つ安定化ジルコニア(立方晶)の焼成緻密体のセラミックスを基材とする焼成用補助治具であって、厚みが5〜300μmの撓み性を発揮する薄板シート状をなしていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る焼成用補助治具は、厚みが極薄の薄板シート状をなしているため、熱容量が少なく済む。このため同一の熱量を伝達させたとき、焼成対象物を早期に加熱させることができる。しかも本発明に係る焼成用補助治具における温度ムラも早期に低減される。故に焼成対象物の品質の安定化に寄与できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る焼成用補助治具は、好ましくは、厚みが300μm以下,200μm以下,あるいは100μm以下を採用することができる。また、焼成用補助治具について、平面視における最大長さをLとし、厚みをTとすると、好ましくは、L/T=10〜10000に設定されている。この場合、L/Tとしては、殊に50〜1000、なかでも100〜200に設定することができる。本発明に係る焼成用補助治具、厚みがかなり薄く、L/Tの値が大きいときには、セラミックスでありながらも、撓み性を発揮することができ、焼成対象物に対する支持性を高めることができる。なお、本発明に係る焼成用補助治具の平面形状としては、特に限定されず、四角形状、円盤形状等を適宜例示できる。
【0009】
本発明に係る焼成用補助治具としては、好ましくは、焼成対象物を複数個多段に積層して焼成させる際に使用され、上下の焼成対象物に挟まれるように配置される。また本発明に係る焼成用補助治具としては、好ましくは、焼成対象物を載せる焼成用セッターの上に設置される。この場合、焼成用補助治具を着脱可能に設置しても良いし、固定的に設置しても良い。本発明に係る焼成用補助治具を薄いシート状に形成し、基台として機能する焼成用セッターの設置面に敷設する形態としても良い。
【0010】
本発明に係る焼成用補助治具としては、焼成用セッターの上に設置されるとき、焼成用セッターの係合部に一体的にまたは着脱可能に係合する被係合部をもつことが好ましい。係合部としては凹状または凸状を採用でき、被係合部としては凸状または凹状を採用できる。本発明に係る焼成用補助治具の表面及び裏面は、平坦状でも良いし、あるいは、微小凹凸を有していても良い。微小凹凸の表面粗さとしては、焼成用補助治具の厚み、大きさ等によっても相違するものの、0.5〜100μm程度、1〜70μm程度に設定することができる。但しこれに限定されるものではない。
【0011】
本発明に係る焼成用補助治具としては、安定化ジルコニア(立方晶)を基材とする。この場合、反応結着性を抑えるのに有利となる。安定化剤としてY2O3,CaO,MgO、希土類元素(La,Ce,Nd)の酸化物(CeO2等)のうちの少なくとも1種を例えば0.3〜15mol%、殊に0.5〜10mol%、1〜6mol%含むことができる。なお、焼成対象物としては、電子部品等に使用される小物品または微小部品を例示でき、圧電体、誘電体等を例示することもできる。
【0012】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明の第1実施例について図1,図2を参照して説明する。本実施例に係る焼成用補助治具1は平板形状であり、薄板シート状をなしており、紙シートのごとくかなり薄くされており、載置面として機能できる表面1s及び裏面1rをもつ。焼成用補助治具1の厚みTは焼成用補助治具1の平面サイズもよるが、一般的には5〜200μmまたは10〜100μmに設定されている。焼成用補助治具1の平面視における最大長さをLとし、厚みをTとすると、L/T=10〜10000、殊に50〜1000、または100〜200に設定されている。但しTの値,L/Tの値としてはこれに限定されるものではない。
【0013】
焼成用補助治具1の表面1s及び裏面1rは、平坦状でも良いし、あるいは、微小凹凸1eを有していても良い。微小凹凸1eの表面粗さとしては、焼成用補助治具1を構成するセラミックス粒子のサイズ、焼成用補助治具1の大きさ等によっても相違するものの、1〜100μm程度、殊に1〜50μm程度、1〜20μm程度に設定することができる。但しこれに限定されるものではない。微小凹凸1eは焼成用補助治具1と焼成対象物3との結着を抑えるのに有効である。なお、微小凹凸1eとしては微小なショットを投射させるショットピーニング、あるいは、成形型の型面の表面粗さを転写させること等により形成できる。
【0014】
焼成用補助治具1は、焼成対象物3との反応結着性を抑えるために、ジルコニア焼成緻密体(真密度に対して93%以上)を基材としている。ジルコニア焼成緻密体は、安定化ジルコニア(立方晶)が基材とされている。この場合、安定化剤としてY2O3を1〜10mol%含む。
【0015】
焼成用補助治具1は次のようにして製造できる。図2に示すように、ジルコニア系のセラミックスの微小の粉末粒子とバインダ(有機バインダまたは無機バインダ)と溶媒(例えば水、アルコール等)とを主要成分とする液状混合物90と、矢印A1方向に移動可能な移動体92とを用いる。液状混合物90には可塑剤、分散剤等を配合させることができる。そして混合物90を移動体92の表面92sの上に供給して薄膜状のセラミックス膜93を形成する。その後ブレード94の先端94aによりセラミックス膜93の上部を掻き取って薄くし、極薄の厚みをもつシート状成形体96を形成する。その後、シート状成形体96について乾燥、焼成を適宜行い、極薄の厚みをもつ焼成用補助治具1を形成する。なお、必要に応じて、焼成用補助治具1に研削や研磨を施して焼成用補助治具1の厚みを更に薄くしても良い。
【0016】
焼成用補助治具1は、図1に示すように、焼成対象物3を複数個多段に積層して焼成させる際に使用される。焼成用補助治具1は、上下の焼成対象物3に接触しつつ、上下の焼成対象物3に挟まれるように配置される。そして上記したように焼成用補助治具1を挟みつつ上下に積層されている焼成対象物3を焼成炉にて高温領域(800〜1400℃)に加熱し、焼成対象物3を焼成する。なお焼成対象物3の厚みは、薄板シート形状の焼成用補助治具1の厚みよりも遥かに厚い。焼成対象物3の焼成の際に、焼成用補助治具1はスペーサ的機能を果たす。故に焼成対象物3同士の反応を抑え、複数の焼成対象物3を上下多段に積層したとしても、焼成対象物3の電気的特性または機械的特性等が良好に確保される。焼成が終えれば、焼成用補助治具1を焼成対象物3から分離させる。
【0017】
本実施例によれば、上記したように焼成用補助治具1は厚みが極薄の薄板シート状をなしているため、熱容量が少なく済む。このため焼成対象物3の焼成の際に同一の熱量を伝達させたとき、焼成対象物3を早期に加熱させることができる。しかも焼成用補助治具1における温度ムラも低減される。故に焼成対象物3を良好に加熱して焼成でき、焼成対象物3の品質の安定化に寄与することができる。更に焼成用補助治具1は極く薄いシート状であるため、軽量であり、複数の焼成対象物3を上下方向に多段に積層させたとしても、下方に配置されている焼成対象物3に対する重量負荷となりにくい。このため生産性を高めるべく、焼成対象物3の積層数を増加させたとしても、焼成の際における下方の焼成対象物3の歪み変形を抑えることができ、焼成対象物3の特性を良好に確保することができる。 更に焼成用補助治具1は厚みが極薄の薄板シート状をなしているため、セラミックスを基材しつつも撓み性を有する。このため焼成用補助治具1を焼成対象物3間に密接状態に配置させるのに有利であり、焼成対象物3に対する支持性を高めることができる。なお、焼成用補助治具1は、ジルコニア焼成緻密体を基材としている。
【0018】
(第2実施例)第2実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。第2実施例は図1を準用する。本実施例に係る焼成用補助治具1Bは、焼成対象物3との反応結着性を抑えるために、ジルコニア焼成緻密体(真密度に対して93%以上)を基材としている。本実施例に係る焼成用補助治具1Bは、安定化ジルコニア(立方晶)が基材とされており、薄板シート状をなしており、紙シートのごとく極薄に設定されており、厚みTは5〜100μm、特に5〜50μmに設定されている。
【0019】
(第3実施例)図3(A)に示す第3実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。本実施例に係る焼成用補助治具1Cは、焼成対象物3との反応結着性を抑えるために、ジルコニア焼成緻密体(真密度に対して93%以上)を基材としている。本実施例に係る焼成用補助治具1Cは、安定化ジルコニア(立方晶)が基材とされており、薄板シート状をなしており、紙シートのごとく薄くされており、厚みは一般的には5〜200μmまたは10〜100μmに設定されている。焼成用補助治具1Cの平面視における最大長さをLとし、厚みをTとすると、L/T=10〜10000、殊に50〜1000、または100〜200に設定されている。焼成用補助治具1Cの端部11は焼成対象物3の外端から外方に突出しているため、焼成対象物3の位置ずれが生じたとしても、上下に積層されている焼成対象物3の端3c同士の反応も確実に抑えることができる。
【0020】
また図3(B)に示す例のように、焼成用補助治具1Cの端部11を焼成対象物3の端3cよりも内方に退避させることにしても良い。この場合にも、焼成用補助治具1Cを上下の焼成対象物3に接触させつつ、上下の焼成対象物3に挟まれるように積層させる。この場合、上下で隣設する焼成対象物3の端3c同士の間には隙間が形成されるため、端3c同士の反応性を低減または回避することができる。このように焼成用補助治具1Cの端部11を焼成対象物3の端3cよりも内方に退避させれば、焼成用補助治具1Cのサイズの小型化を図り得、焼成用補助治具1Cの材料を節約できる。なお、焼成用補助治具1Cを上下の焼成対象物3に挟まれるように配置するにあたり、図3(A)に示す形態と、図3(B)に示す形態とを併用することもできる。
【0021】
(第4実施例)図4に示す第4実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。図1に示すように、焼成用補助治具1Dは、上下の焼成対象物3の間において複数枚ずつ配置されている。
【0022】
(第5実施例)図5に示す第5実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。本実施例に係る焼成用補助治具1Eは、焼成対象物3との反応結着性を抑えるために、ジルコニア焼成緻密体(真密度に対して93%以上)を基材としている。本実施例に係る焼成用補助治具1Eは、安定化ジルコニア(立方晶)が基材とされており、薄板シート状をなしており、紙シートのごとく薄くされており、厚みは一般的には5〜200μmまたは10〜100μmに設定されている。焼成用補助治具1Eの平面視における最大長さをLとし、厚みをTとすると、L/T=10〜10000、殊に50〜1000、または100〜200に設定されている。焼成用補助治具1Eの表面1s及び裏面1rのうちの少なくとも一方には、発生したガスを外方に放出させる凹状のガス逃がし部16が、焼成用補助治具1Eの焼成前の段階において圧印型等による圧印で形成されている。ガス逃がし部16としては焼成用補助治具1Eの平面視において碁盤の目状に形成することができ、あるいはスパイラル状、放射状等に形成することもできる。
【0023】
(第6実施例)図6に示す第6実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。本実施例に係る焼成用補助治具1Fは薄板シート状をなしており、紙のように薄くされている。基台としての焼成用セッター5の外縁部51には、焼成用セッター5を上下に積み重ね可能な突出段部52が上向きに突出している。突出段部52には、互いに嵌合できる第1係合部としての係合凹部53と第2係合部としての係合凸部55とが互いに背向するように形成されている。第1係合部及び第2係合部の凹凸関係を逆にしても良い。焼成用セッター5は、反応結着性を抑えるためにジルコニア焼成緻密体を基材としており、薄板シート状の焼成用補助治具1Fの厚みよりも遥かに厚い厚みを有する。
【0024】
図6(A)から理解できるように、焼成用セッター5の設置面50には積層体100が配置される。図6(B)に示すように、積層体100は、電子部品である上下の焼成対象物3間に焼成用補助治具1Fを挟みつつ、焼成対象物3を上下方向に積層させて構成されている。そして焼成炉にて高温領域(800〜1400℃)に加熱して焼成用セッター5上の積層体100の焼成対象物3を焼成する。焼成の際、図6(A)に示すように、焼成用セッター5の突出段部52に別の焼成用セッター5が載せられ、複数の焼成用セッター5が上下多段に積み重ねられている。焼成用セッター5の係合凹部53及び係合凸部55が互いに嵌合されるため、上下多段に積み重ねても、焼成用セッター5の外れが防止される。なお、焼成用セッター5を上下多段に積み重ねるとき、上側の焼成用セッター5が蓋として機能するため、上下の焼成用セッター5間の隙間空間58は容積が少ない偏平形状となり、焼成対象物3の成分の隙間空間58への過剰な蒸散は抑えられる。
【0025】
(第7実施例)図7に示す第7実施例に係る焼成用補助治具1Gは薄板シート状をなしており、薄くされており、厚みTが5〜200μmとされている。図7に示すように、焼成用補助治具1Gには、焼成用補助治具1Gの焼成前にパンチング等で成形された複数個の穴状の被係合部15が形成されている。穴状の被係合部15を焼成用セッター5の設置面50上の凸状の係合部59にはめて着脱可能に係合させる。これにより基台としての焼成用セッター5の設置面50の上に、焼成用補助治具1Gを着脱可能に敷設して設置する。図7に示す焼成用補助治具1Gの載置面である表面1sには、図6(B)に示す積層体100あるいは焼成対象物3が載せられて焼成される。焼成用補助治具1Gは焼成対象物3や積層体100を載せてこれらに直接的に触れるため、焼成の際に焼成対象物3との反応性を小さくできる材料で形成する。しかし焼成用セッター5は焼成対象物3や積層体100に直接的に触れないため、焼成対象物3との反応性を小さくすることはあまり要請されず、コストの安い材料で形成できる。強度は基本的には基台である焼成用セッター5が負担するため、焼成用補助治具1Gの厚みを薄くできる。また、焼成用セッター5及び焼成用補助治具1Gのうちのいずれか一方が損傷しても、当該一方を交換するものの、他方を使用することができ、コスト低廉に有利である。なお、図7に示す本実施例によれば、焼成用セッター5の設置面50に塗布される反応結着防止用のコーティング層を廃止することができる。
【0026】
(第8実施例)図8に示す第8実施例は第7実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。本実施例に係る焼成用補助治具1Kは薄板シート状をなしており、厚みTが5〜200μmとされている。焼成用補助治具1Kは外縁端状の被係合部15をもつ。そして外縁端である凸状の被係合部15を焼成対象物の設置面50の凹状の係合部59Hにはめて係合させる。これにより焼成用補助治具1Kを焼成用セッター5の設置面50の上に着脱可能に載置する。そして、焼成対象物3、あるいは積層体100(図6(B)参照)を、焼成用補助治具1Kの載置面である表面1sに載せて焼成させる。
【0027】
焼成用補助治具1Kは焼成対象物3や積層体100を載せてこれらに直接的に触れるため、焼成の際に焼成対象物3との反応性を小さくできる材料で形成する。しかし焼成用セッター5は基台として機能するものの、焼成対象物3や積層体100に直接的に触れないため、焼成対象物3との反応性を小さくすることはあまり要請されず、コストの安い材料で形成できる。図8に示すように、焼成用セッター5の外縁部51には、焼成用セッター5を上下に積み重ね可能な突出段部52が上向きに突出している。突出段部52には、互いに嵌合できる係合凹部53及び係合凸部55が背向するように形成されている。焼成の際には、突出段部52に別の焼成用セッター5が載せられ、図8に示すように、複数の焼成用セッター5が上下多段に積み重ねられている。このように積層させても、強度は基本的には基台である焼成用セッター5が負担するため、焼成用補助治具1Kの厚みを薄くできる。また、焼成用セッター5及び焼成用補助治具1Kのうちのいずれか一方が損傷しても、当該一方を交換するものの、他方を使用することができ、コスト低廉に有利である。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更できる。
【0028】
上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
[付記項1]焼成対象物を焼成させる際に使用され、焼成対象物を載せる載置面をもち且つセラミックスを基材とする薄板シート形状をなす焼成用補助治具であって、焼成対象物を載せる焼成用セッターの設置面の上に設置されることを特徴とする焼成用補助治具。焼成用補助治具は薄い薄板シート状をなしているため、熱容量が少なく済む。このため焼成対象物を焼成させる際に熱量を伝達させたとき、焼成対象物を早期に加熱させることができる。しかも焼成用補助治具における温度ムラも早期に低減される。故に、焼成対象物の焼成の際に焼成対象物をできるだけ均一に加熱させるのに寄与できる。故に電子部品等に用いられる焼成対象物の品質の安定化に寄与することができる。
[付記項2]焼成対象物を焼成させる際に使用される焼成対象物を載せる焼成用セッターと、焼成用セッターの設置面に着脱可能または固定的に設置される薄板シート形状をなす焼成用補助治具とを具備する焼成補助装置。焼成用セッター及び焼成用補助治具のうちの一方が損傷しても、他方を使用することができる。また焼成用補助治具は焼成対象物や積層体を載せてこれらに直接的に触れるため、焼成の際に焼成対象物との反応性を小さくできる材料で形成する。しかし焼成用セッターは焼成対象物や積層体に直接的に触れないため、焼成対象物との反応性を小さくすることはあまり要請されず、コストの安い材料で形成できる。また焼成用補助治具は前述したように薄板シート状をなしているため、熱容量が少なく済む。このため焼成対象物を焼成させる際に熱量を伝達させたとき、焼成対象物をできるだけ早期に加熱させることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る安定化ジルコニア(立方晶)を基材とする焼成用補助治具によれば、薄い薄板シート状をなしているため、熱容量が少なく済む。このため焼成対象物を焼成させるときに熱量を伝達させたとき、焼成対象物を早期に加熱させることができる。しかも焼成用補助治具における温度ムラも早期に低減され、焼成対象物をできるだけ均一に加熱させるのに寄与できる。故に電子部品等に用いられる焼成対象物の品質の安定化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る焼成用補助治具の使用状態説明図である。
【図2】焼成用補助治具の製造過程を示す模式図である。
【図3】第3実施例に係る焼成用補助治具の使用状態説明図である。
【図4】第4実施例に係る焼成用補助治具の使用状態説明図である。
【図5】第5実施例に係る焼成用補助治具の使用状態説明図である。
【図6】第6実施例に係る焼成用補助治具の使用状態説明図である。
【図7】第7実施例に係る焼成用補助治具の使用状態説明図である。
【図8】第8実施例に係る焼成用補助治具の使用状態説明図である。
【符号の説明】
図中、1は焼成用補助治具、1sは表面(載置面)、3は焼成対象物、5は焼成用セッターを示す。
Claims (6)
- 焼成対象物を焼成させる際に使用され、焼成対象物を載せる載置面をもち且つ安定化ジルコニア(立方晶)の焼成緻密体を基材とする焼成用補助治具であって、厚みが5〜300μmの撓み性を発揮する薄板シート状をなしていることを特徴とする焼成用補助治具。
- 請求項1において、厚みが5〜200μmに設定されていることを特徴とする焼成用補助治具。
- 請求項1において、平面視における最大長さをLとし、厚みをTとすると、L/T=10〜10000に設定されていることを特徴とする焼成用補助治具。
- 請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項において、焼成対象物を複数個多段に積層して焼成させる際に使用され、上下の焼成対象物に挟まれるように配置されることを特徴とする焼成用補助治具。
- 請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項において、焼成対象物を載せる焼成用セッターの上に設置されることを特徴とする焼成用補助治具。
- 請求項5において、焼成用セッターの上に設置されるとき、焼成用セッターの係合部に一体的にまたは着脱可能に係合する被係合部をもつことを特徴とする焼成用補助治具。
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