JP3998971B2 - 偏光照明装置および投写型表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光方向を揃えた偏光光を用いて矩形の照明領域などを均一に照明する偏光照明装置に関するものである。また、本発明は、この偏光照明装置から出射された偏光光を液晶ライトバルブにより変調して映像をスクリーン上に拡大表示する投写型表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ライトバルブ等の矩形の照明領域を均一に照明する光学系としては、従来より、2枚のレンズ板を用いたインテグレータ光学系が知られている。インテグレータ光学系は、例えば、特開平3−111806号公報に開示されており、液晶ライトバルブを用いた投写型表示装置の照明装置としてすでに実用化されている。
【0003】
インテグレータ光学系は、原理的には露光機に使用されているものと同一であり、光源からの光束を、第1のレンズ板を構成している複数の矩形集光レンズによって分割して、各矩形集光レンズにより切りだされたイメージ(光源像)を各矩形集光レンズに対応した集光レンズ群を備えた構成の第2のレンズ板を介して一か所の照明領域上に重畳結像させるものである。この光学系では、光源光の利用効率(照明効率)が向上すると共に、液晶ライトバルブを照明する光の強度分布をほぼ一様にすることができる。
【0004】
一方、偏光光を変調するタイプの液晶ライトバルブを用いた一般的な投写型表示装置では、一種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源からの光の内の約半分は利用されない。そこで、利用されない光を利用可能とすることにより光の利用効率を高めるようにした提案がなされている。代表的な例は、EURODISPLAY ’90 PROCEEDINGSの64頁から67頁に開示されていように、主に偏光ビームスプリッターとλ/2位相差板を備えた偏光変換光学系を利用している。偏光変換光学系は、液晶ライトバルブでは利用できない種類の偏光光を、当該液晶ライトバルブが利用できる種類の偏光光に変換して、光源光の利用効率を高めるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記のインテグレータ光学系と偏光変換光学系を組み合わせることにより、光源光からの光の利用効率を一層向上させることが可能である。しかし、これらを単純に組み合わせた場合には、光学系全体の横幅が約2倍に拡大してしまう。このため、Fナンバーの小さな極めて大口径の投写レンズを使用しない限り、投写型表示装置における光利用効率を向上できないばかりか、光学系の小型化を達成することが困難になってしまう。
【0006】
本発明の課題は、この点に鑑みて、インテグレータ光学系と偏光変換光学系を組み合わせた光利用効率の高い偏光照明装置を小型でコンパクトに構成することにある。
【0007】
また、本発明の課題は、このような光利用効率が高く、小型でコンパクトな偏光照明装置を用いることにより、Fナンバーの小さい大口径の投写レンズを使用することなく、明るい投写画像を得ることの可能な投写型表示装置を実現することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の偏光照明装置は、偏光方向がランダムな光を出射する光源部と、矩形状の外形を有する複数の矩形集光レンズから構成され、前記光源部から出射される光を集光して複数の2次光源像を形成するためのレンズ板と、前記複数の2次光源像が形成される位置の近傍に配置された、集光レンズアレイと偏光分離プリズムアレイと偏光変換素子と、を有し、前記集光レンズアレイは複数の集光レンズからなり、前記偏光分離プリズムアレイは、前記複数の矩形集光レンズによって集光される複数の光のそれぞれを隣り合う一対のP偏光光とS偏光光とに分離するものであって、複数の偏光ビームスプリッターと複数の反射ミラーとから構成され、前記偏光変換素子は、前記P偏光光とS偏光光の偏光方向を揃えるものであって、前記偏光分離プリズムアレイの出射面の側に配置されており、前記光源部は、その光軸がシステム光軸に対して角度をなすように配置された構成を採用している。または、前記光源部の光軸と前記レンズ板とは、システム光軸に対して前記偏光ビームスプリッターの横幅の半分の量だけ平行移動した位置に配置されている、ことを特徴としている。
【0009】
本発明の偏光照明装置においては、複数の微小な矩形集光レンズからなる第1のレンズ板によって複数の微小な光束(2次光源像)を形成し、これらの光束を偏光方向が異なるP偏光光およびS偏光光に分離した後に、一方の偏光光または双方の偏光光の偏光面を回転させて、偏光面が揃った状態にしている。したがって、偏光方向の揃った一種類の偏光光を照射することができる。このため、光利用効率が高く高品位な照明光を得ることができる。
【0010】
また、偏光ビームスプリッターを単純に用いて偏光照明光学系を構成することは可能であるが、その場合には、光学系全体の横幅が約2倍に拡大してしまうので、光学系の小型化が極めて困難となる等の不都合を生ずる。本発明では、インテグレータ光学系の特徴である微小な2次光源像の生成というプロセスを利用して偏光光の分離を行なっているので、偏光光の分離に伴う光路の空間的な広がりを抑制できる。したがって、偏光変換光学系を備えているにもかかわらず、偏光照明装置の小型化を達成できる。
【0011】
一方、本発明の投写型表示装置は、その照明装置として上記構成の偏光照明装置を備えたことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の偏光照明装置においては、前記第2のレンズ板を構成する前記集光レンズは、前記第1のレンズ板を構成する前記矩形集光レンズと相似形とすることができる。
【0013】
この代わりに、前記第2のレンズ板を構成する前記集光レンズのそれぞれの大きさおよび形状を異なったものにしてもよい。すなわち、前記第1のレンズ板を構成する前記矩形集光レンズのそれぞれによって形成される2次光源像の大きさおよび形状に対応させて、これらの2次光源像が形成される前記偏光ビームスプリッターのそれぞれの大きさおよび形状を設定する構成を採用することができる。
この場合には、前記第2のレンズ板を構成している各集光レンズも、対応する偏光ビームスプリッターの大きさおよび形状に対応した大きさおよび形状となるように設定される。
【0014】
このように、形成される2次光源像の大きさ及び形状に対応させて、すなわち、当該2次光源像を包含するに足る大きさ及び形状となるように各集光レンズおよび偏光ビームスプリッターの大きさおよび形状を設定すれば、光の利用効率を向上させることができる。また、照度分布の均一化を図ることができる。
【0015】
なお、一般的には、システム光軸の側である中心側において大きな2次光源像が形成され、その周辺側に向かうに伴って、形成される2次光源像は小さくなる。したがって、中心側の集光レンズおよび偏光ビームスプリッターを大きなものとし、周辺側のものを小さなものとすればよい。
【0016】
ここで、集光レンズは同一の大きさおよび形状のものを使用し、各偏光ビームスプリッターのみを、それらの大きさおよび形状が、形成される2次光源像に対応するものとなるようにしてもよい。この場合においても、光の利用効率を向上させることができ、また、照度分布の均一化を図ることができる。
【0017】
次に、第1のレンズ板により形成される2次光源像が偏光ビームスプリッターの部分に位置するように、光源部はその光源光軸がシステム光軸に対して僅かな角度をなすように配置する必要がある。この代わりに、変角プリズムを配置することで、光源光軸Rをシステム光軸Lと一致させ、光源部を傾けずに配置させることが出来る。例えば、光源部と第1のレンズ板の間に、変角レンズを配置する構成を採用することができる。変角レンズは、第1のレンズ板に対して一体化させることもできる。
【0018】
変角レンズを使用する代わりに、第1のレンズ板を構成する矩形集光レンズを偏心系のレンズとすることもできる。この代わりに、第2のレンズ板の側の集光レンズアレイを構成する集光レンズを偏心系レンズとしてもよい。第2のレンズ板の側の集光レンズアレイを構成する集光レンズを偏心系レンズとする場合には、各偏心系レンズの偏心量および反射ミラーの反射膜の角度を調整することにより、第2のレンズ板の構成要素である出射側レンズを省略することができる。
【0019】
一方、光源部の光源光軸がシステム光軸に対して傾斜するように光学系を構成する代わりに、次の構成を採用して、第1のレンズ板により形成される2次光源像を偏光ビームスプリッターの部分に位置させることもできる。すなわち、光源光軸がシステム光軸に対して、偏光ビームスプリッターの横幅の半分の量だけ当該偏光ビームスプリッターの配列方向に向けて平行移動した状態となるように光学系を構成すればよい。この場合には、光源光軸の移動に対応させて、第1のレンズ板も同一の量だけ同一方向に平行移動させて、当該第1のレンズ板の中心を光源光軸に合わせる。
【0020】
なお、第2のレンズ板の集光レンズアレイを構成している集光レンズは、実際に必要な部分は偏光ビームスプリッターの横幅に対応する部分である。したがって、各集光レンズの横幅を、少なくとも、偏光ビームスプリッターの横幅に等しい寸法に設定すればよい。
【0021】
また、λ/2位相差板としてはTN(ツイステッド・ネマチック)液晶で形成されたものを使用することができる。
【0022】
次に、前述した偏光分離プリズムアレイは、偏光ビームスプリッターとして、内部に偏光分離膜が形成された四角柱状のプリズム合成体を有していると共に、反射ミラーとして、内部に反射膜が形成された四角柱状のプリズム合成体を有している構成のものを採用できる。
【0023】
この場合、偏光分離膜が形成されたプリズム合成体と反射ミラーが形成されたプリズム合成体は、システム光軸に対して直角の方向に一列に配列した構成とすることができる。
【0024】
例えば、偏光分離膜が形成されたプリズム合成体と反射ミラーが形成されたプリズム合成体は、システム光軸光軸に対して直角の方向に交互に配列すると共に、偏光分離膜のそれぞれをシステム光軸に対してほぼ同一の傾斜角度となるように配列した構成を採用できる。
【0025】
この代わりに、偏光分離膜が形成されたプリズム合成体と反射ミラーが形成されたプリズム合成体を、システム光軸に対して直角の方向に配列すると共に、偏光分離膜のそれぞれがシステム光軸の両側では、当該光軸に対して左右対称な傾斜角度となるように配列する構成を採用してもよい。
【0026】
一方、上記の各構成の偏光照明装置を備えた本発明の投写型表示装置においては、一般的には、偏光照明装置からの光束を少なくとも2つの光束に分離する色光分離手段と、変調手段によって変調された後の変調光束を合成する色光合成手段とを有し、当該色光合成手段により得られた合成光束を投写光学系を介してスクリーン上にカラー画像として投写表示する構成とされる。
【0027】
【実施例】
以下に、図面を参照して本発明の各実施例を説明する。
【0028】
(実施例1)
図1は、実施例1の偏光照明装置の要部を平面的にみた概略構成図である。本例の偏光照明装置1はシステム光軸Lに沿って配置した光源部2、第1のレンズ板3、第2のレンズ板4から大略構成されている。光源部2から出射された光は、第1のレンズ板3により第2のレンズ板4内に集光され、第2のレンズ板4を通過する過程においてランダムな偏光光は偏光方向が揃った1種類の偏光光に変換され、照明領域5に至るようになっている。
【0029】
光源部2は、光源ランプ201と、放物面リフレクター202から大略構成されている。光源ランプ201から放射されたランダムな偏光光は、放物面リフレクター202によって一方向に反射されて、略平行な光束となって第1のレンズ板3に入射される。ここで、放物面リフレクター202に代えて、楕円面リフレクター、球面リフレクターなども用いることができる。光源光軸Rはシステム光軸Lに対して一定の角度だけ傾斜させてある。
【0030】
図2には第1のレンズ板3の外観を示してある。この図に示すように、第1のレンズ板3は矩形状の輪郭をした微小な矩形集光レンズ301が縦横に複数配列した構成である。第1のレンズ板3に入射した光は、矩形集光レンズ301の集光作用により、システム光軸Lと垂直な平面内に矩形集光レンズ301の数と同数の集光像を形成する。この複数の集光像は光源ランプの投写像に他ならないため、以下では2次光源像と呼ぶものとする。
【0031】
次に、再び図1を参照して本例の第2のレンズ板4について説明する。第2のレンズ板4は、集光レンズアレイ410、偏光分離プリズムアレイ420、λ/2位相差板430、及び出射側レンズ440から構成される複合積層体であり、第1のレンズ板3による2次光源像が形成される位置の近傍における、システム光軸Lに対して垂直な平面内に配置されている。この第2のレンズ板4は、インデクレータ光学系の第2のレンズ板としての機能、偏光分離素子としての機能、および偏光変換素子としての機能を併せ持っている。
【0032】
集光レンズアレイ410は第1のレンズ板3とほぼ同様な構成となっている。即ち、第1のレンズ板3を構成する矩形集光レンズ301と同数の集光レンズ411を複数配列したものであり、第1のレンズ板3からの光を集光する作用がある。集光レンズアレイ410は、インテグレータ光学系の第2のレンズ板に相当するものである。
【0033】
集光レンズアレイ410を構成する集光レンズ411と第1のレンズ板3を構成する矩形集光レンズ301とは、全く同一の寸法形状及びレンズ特性を有する必要はない。光源部2からの光の特性に応じて各々最適化されることが望ましい。しかし、偏光ビームプリズムアレイ420に入射する光は、その主光線の傾きがシステム光軸Lと平行であることが理想的である。この点から、集光レンズ411は第1のレンズ板3を構成する矩形集光レンズ301と同一のレンズ特性を有するものか、或いは矩形集光レンズ301と相似形の形状をしている同一レンズ特性を有するものとする場合が多い。
【0034】
図3には偏光分離プリズムアレイ420の外観を示してある。この図に示すように、偏光分離プリズムアレイ420は、内部に偏光分離膜を備えた四角柱状のプリズム合成体からなる偏光ビームスプリッター421と、同じく内部に反射膜を備えた四角柱状のプリズム合成体からなる反射ミラー422とからなる対を基本構成単位とし、その対を平面的に複数配列(2次光源像が形成される平面内に配列される)したものである。集光レンズアレイ410を構成する集光レンズ411に対して1対の基本構成単位が対応するように規則的に配置されている。また、1つの偏光ビームスプリッター421の横幅Wpと1つの反射ミラー422の横幅Wmは等しい。さらに、この例では集光レンズアレイ410を構成する集光レンズ411の横幅の1/2となるように、WpおよびWmの値は設定されているが、これに限定されない。
【0035】
ここで、第1のレンズ板3により形成される2次光源像が偏光ビームスプリッター421の部分に位置するように、偏光分離プリズムアレイ420を含む第2のレンズ板4が配置されている。そのために、光源部2はその光源光軸Rがシステム光軸Lに対して僅かに角度をなすように配置されている。
【0036】
図1および図3を参照して説明すると、偏光分離プリズムアレイ420に入射したランダムな偏光光は偏光ビームスプリッター421により偏光方向の異なるP偏光光とS偏光光の2種類の偏光光に分離される。P偏光光は進行方向を変えずに偏光ビームスプリッター421をそのまま通過する。他方、S偏光光は偏光ビームスプリッター421の偏光分離膜423で反射して進行方向を約90度変え、隣接する反射ミラー422(対をなす反射ミラー)の反射面424で反射して進行方向を約90度変え、最終的にはP偏光光とほぼ平行な角度で偏光分離プリズムアレイ420より出射される。
【0037】
偏光分離プリズムアレイ420の出射面には、λ/2位相差膜431が規則的に配置されたλ/2位相差板430が設置されている。すなわち、偏光分離プリズムアレイ420を構成する偏光ビームスプリッター421の出射面部分にのみλ/2位相差膜431が配置され、反射ミラー422の出射面部分にはλ/2位相差膜431は配置されていない。この様なλ/2位相差膜431の配置状態により、偏光ビームスプリッター421から出射されたP偏光光は、λ/2位相差膜431を通過する際に偏光面の回転作用を受けS偏光光へと変換される。他方、反射ミラー422から出射されたS偏光光はλ/2位相差膜431を通過しないので、偏光面の回転作用は一切受けず、S偏光光のままλ/2位相差板430を通過する。以上をまとめると、偏光分離プリズムアレイ420とλ/2位相差板430により、ランダムな偏光光は1種類の偏光光(この場合はS偏光光)に変換されたことになる。
【0038】
このようにしてS偏光光に揃えられた光束は、出射側レンズ440により照明領域5へと導かれ、照明領域5上で重畳結合される。すなわち、第1のレンズ板3により切り出されたイメージ面は、第2のレンズ板4により照明領域5上に重畳結像される。これと同時に、途中の偏光分離プリズムアレイ420によりランダムな偏光光は偏光方向が異なる2種類の偏光光に空間的に分離され、λ/2位相差板430を通過する際に1種類の偏光光に変換されて、殆ど全ての光が照明領域5へと達する。このため、照明領域5は殆ど1種類の偏光光でほぼ均一に照明されることになる。
【0039】
以上説明したように、本例の偏光照明装置1によれば、光源部2から放射されたランダムな偏光光を第1のレンズ板3により偏光分離プリズムアレイ420の所定の微小な領域に集光し、偏光方向が異なる2種類の偏光光に空間的に分離した後、各偏光光をλ/2位相差板430の所定の領域に導いて、P偏光光をS偏光光に変換する。従って、光源部2から放射されたランダムな偏光光を殆どS偏光光に揃えた状態で照明領域5に照射出来るという効果を奏する。また、偏光光の変換過程においては光損失を殆ど伴わないため、光源光の利用効率が極めて高いという特徴を有する。
【0040】
さらに、本例では、横長の矩形形状である照明領域5の形状に合わせて、第1のレンズ板3を構成する微小な矩形集光レンズ301を横長の矩形形状とし、同時に、偏光分離プリズムアレイ420から出射された2種類の偏光光を横方向に分離する形態となっている。このため、横長の矩形形状を有する照明領域5を照明する場合でも、光量を無駄にすることなく、照明効率を高めることが出来る。
【0041】
一般に偏光ビームスプリッターを用いてランダムな偏光光をP偏光光とS偏光光に単純に分離すると、偏光ビームスプリッターから出射される光束の幅は2倍に広がり、それに応じて光学系も大型化してしまう。しかし、本発明の偏光照明装置では、インテグレータ光学系の特徴である微小な2次光源像の生成というプロセスを上手く利用して、偏光光を分離することに起因して生ずる光束幅の広がりを吸収しているので、光束の幅は広がらず、小型の光学系を実現できる特徴がある。
【0042】
(実施例2)
実施例1においては、第1のレンズ板3により形成される2次光源像が偏光ビームスプリッター421の部分に位置するように、光源部2はその光源光軸Rがシステム光軸Lに対して僅かな角度をなすように配置する必要があったが、変角プリズムを配置することで、光源光軸Rをシステム光軸Lと一致させ、光源部を傾けずに配置させることが出来る。
【0043】
図4に示す実施例2に係わる偏光照明装置10は、変角プリズムを使用した例である。この図に示すように、偏光照明装置10では、変角プリズム6が光源部2と第1のレンズ板3の間に配置されている。光源部2から変角プリズム6に入射した光は、変角プリズムにより進行方向を僅かに曲げられ、垂直ではないある角度を伴って第1のレンズ板3に入射し、偏光ビームスプリッター421の所定の位置に達する。
【0044】
このようにして、第1のレンズ板3により形成される2次光源像の位置を変角プリズム6を設置することにより自在に設定できる。したがって、光源部2をシステム光軸L上に配置することが出来、光学系の作製がより簡単、且つ容易となる。
【0045】
ここで、本例では、変角プリズム6を第1のレンズ板3の入射側の面に対して一体化してある。このために、変角プリズム6と第1のレンズ板3との間で光の反射損失の原因となる界面の数を減少できる。変角プリズム6を第1のレンズ板3に対して一体化することにより、光源部2からの光を、損失することなく第2のレンズ板4へ導くことが出来る。
【0046】
(実施例3)
システム光軸Lに対して僅かに傾けた状態で配置する必要がある光源部2をシステム光軸L上に配置できるようにするためには、上記の実施例2で示した方法以外にも、第1のレンズ板3を構成する矩形集光レンズ301を偏心系のレンズにする方法によっても実現可能である。図5に示す実施例3は、このような構成を備えた偏光照明装置である。
【0047】
図5に示すように、本例の照明装置100では偏心系微小集光レンズ310により第1のレンズ板3を構成し、第1のレンズ板3を出射する光束の主光線を僅かに傾け、偏光ビームスプリッター421の所定の位置に2次光源像が形成されるように設定してある。このため、光源部2をシステム光軸L上に配置でき、光学系の作製がより簡単、且つ容易となる。
【0048】
(実施例4)
上記の実施例1乃至3において用いた第2のレンズ板4は、何れも集光レンズアレイ410と出射側レンズ440を備えている。偏光ビームプリズムアレイ410に入射する光は、その主光線の傾きがシステム光軸Lと平行であることが理想的であることから、集光レンズアレイ421は第1のレンズ板3を構成する矩形集光レンズ301と同一のレンズにより構成される場合が多く、また、出射側レンズ440は第2のレンズ板4上のシステム光軸Lから離れた異なる位置を通過した光束を所定の照明領域5上に重畳結合させるために必要である。
【0049】
しかし、集光レンズアレイ410を偏心系のレンズとすると共に、反射ミラー422の反射面424の設置角度を工夫することにより、出射側レンズ440を省略することが可能である。図6には、この構成を備えた実施例4に係わる偏光照明装置を示してある。
【0050】
図6に示すように、本例では偏心系集光レンズ412、413を用いて集光レンズアレイ410を構成しているため、集光レンズアレイ410の部分において偏光ビームスプリッター421を通過するP偏光光の主光線を照明領域の中心51に向けることが出来る。システム光軸Lから離れた位置にある偏光ビームスプリッター421を通過する光束に対しては、偏心系集光レンズ412の偏心量を大きくすることにより対応できる。一方、偏光ビームスプリッター421及び反射ミラー422を経て出射されるS偏光光に対しても、反射ミラー422の反射面424の設置角度を適当な値とすることで、S偏光光の主光線を照明領域の中心51に向けることが出来る。勿論、この場合には、システム光軸Lからの距離に応じて反射面の設置角度を個々に最適化する必要がある。
【0051】
以上のような構成とすることにより、出射側レンズ440は不要となり、光学系の低コスト化が可能となる。
【0052】
また、本例のように出射側レンズを使用しない構成では、集光レンズアレイ410の設置場所は偏光分離プリズムアレイ420の光源側に限定されることはなく、集光レンズアレイ410を構成する偏心系集光レンズ412、413のレンズ特性、及び偏光分離プリズムアレイ420の偏光分離膜423と反射膜424の配置角度によっては、集光レンズアレイ410を偏光分離プリズムアレイ420よりも照明領域5の側に設置することもできる。
【0053】
(実施例5)
上記の実施例1乃至3においては、何れの場合も光源部2及び第1のレンズ板3をシステム光軸L上に配置し、光源部2の向きや、或いは第1のレンズ板3のレンズ特性を調節することにより、偏光ビームスプリッター421の所定の位置に2次光源像を結像させていた。これらに対して、光源部2及び第1のレンズ板3をシステム光軸に対して平行移動させることによっても、同様の結果を得ることが出来る。
【0054】
さらに、第2のレンズ板4の集光レンズアレイ410を構成する集光レンズ411の横方向の大きさ(横幅)に着目すると、2次光源像の結像位置は常に偏光ビームスプリッター421上に限定されることから、集光レンズ411の横幅は偏光ビームスプリッター421の横幅Wpに等しい大きさであれば、十分機能することが判る。
【0055】
以上の内容を盛り込んだ具体例を、図7において実施例5に係る偏光照明装置300として示してある。本例においては、システム光軸Lに対して、偏光ビームスプリッター421の横幅Wpの1/2に相当する移動量(=D)だけ、偏光分離プリズムアレイ420において偏光ビームスプリッター421が存在する方向(図では下方向)に、光源部2及び第1のレンズ板3を平行移動した状態で配置してある。また、偏光ビームスプリッター421の横幅Wpと等しいレンズ幅(横幅)を有する集光ハーフレンズ414を用いて、偏光ビームスプリッターの存在場所に対応させて配列することにより、第2のレンズ板4の集光レンズアレイ410を構成してある。
【0056】
以上のような構成とすることにより、光学系の設計が容易になると共に、光学系の低コスト化が可能となっている。
【0057】
(実施例5の変形例)
上記の実施例5においては、2次光源像の結像位置は常に偏光ビームスプリッター421上に限定される点に着目して、集光レンズ411として、その横幅が偏光ビームスプリッター421の横幅Wpに等しい大きさの集光ハーフレンズ414を使用している。このような集光ハーフレンズ414は、通常の集光レンズ、例えば前述した実施例1ないし3に示す集光レンズ411の両端をカットすることにより製作される。
【0058】
しかしながら、場合によっては集光ハーフレンズ414を採用するよりも、実施例1ないし3に示すような通常の集光レンズ411を使用した方がコストの点等において有利な場合もある。
【0059】
図8には、この点を考慮して、集光ハーフレンズ414の代わりに、実施例1乃至3において使用している集光レンズ411を使用した場合の構成例を示してある。この図に示す偏光照明装置300Aは、全体の構成は上記の実施例5に係る偏光照明装置300と同一である。異なる点は、集光レンズアレイ410を構成している集光レンズとして、ハーフレンズではなく実施例1ないし3で使用しているものと同様な集光レンズ411であることと、これらの集光レンズ411が偏光ビームスプリッター421の幅方向に向けて、その幅Wpの半分の量だけ移動した位置にあることである。
【0060】
(実施例6)
上述した各実施例においては、第2のレンズ板4の構成要素の一つである偏光分離プリズムアレイ420に形成されている偏光ビームスプリッター421の偏光分離膜423および反射ミラー422の反射面424は、システム光軸Lに対して同一方向に傾斜している。この構成を採用する代わりに、偏光分離膜423および反射膜424の傾斜方向がシステム光軸Lに対して左右対象となる構成を採用することもできる。
【0061】
図9には、この構成を備えた偏光分離プリズムアレイが組み込まれた偏光照明装置500を示してある。本例の偏光照明装置500も、前述した各実施例と同様に、システム光軸Lに沿って配置した光源部2、第1のレンズ板3、第2のレンズ板4から大略構成されている。光源部2から出射された光は、第1のレンズ板3により第2のレンズ板4内に集光され、第2のレンズ板4を通過する過程においてランダムな偏光光は偏光方向が揃った1種類の偏光光に変換され、照明領域5に至るようになっている。
【0062】
この偏光照明装置500の第1のレンズ板3は、その中心側であるシステム光軸Lの側には、偏心レンズからなる微小集光レンズ311が配列され、その外側には通常の微小集光レンズ312が配列されている。偏心レンズからなる微小集光レンズ311は、システム光軸Lに対して軸対称に配列されて、照明領域5での明るさの均一化が図られている。
【0063】
第2のレンズ板4は、前述の各実施例と同様に、その光入射側から、集光レンズアレイ410、偏光分離プリズムアレイ420、λ/2位相差板430、および出射側レンズ440がこの順序で配列された構成となっている。第2のレンズ板4は、第1のレンズ板3による2次光源像が形成される位置の近傍の、システム光軸Lに対して垂直な平面内に配置されている。
【0064】
集光レンズアレイ410において、第1のレンズ板3の偏心レンズからなる各微小集光レンズ311による2次光源像の形成位置近傍には、同じく偏心レンズからなる集光レンズ415が配置されている。また、第1のレンズ板3の各微小集光レンズ312による2次光源像の形成位置近傍には、通常の同心系の集光レンズ416が配置されている。ここで、集光レンズアレイ410を構成している各集光レンズ415、416は、ここに形成される2次光源像を包含するのに充分な大きさに設定されている。すなわち、システム光軸Lの中心側に形成される2次光源像は、その外周側に形成される2次光源像よりも大きい。このために、本例では、システム光軸Lの側、すなわち集光レンズアレイ410の中心側に位置している偏心集光レンズ415の方を周辺側に位置している集光レンズ416に比べて大きな寸法に設定してある。
【0065】
このように、第2のレンズ板4の側の集光レンズアレイ410を構成している集光レンズ415、416の大きさを、第2のレンズ板の中心側のものと周辺側のものとでは変えてあるので、集光レンズアレイ410の出射側に配置されている偏光分離プリズムアレイ420に形成されている偏光ビームスプリッター421A、421Bおよび反射ミラー422A、422Bの寸法もこれに対応させて、中心側のものが周辺側のものに比べて大きな寸法にしてある。
【0066】
また、本例の偏光プリズムアレイ410においては、システム光軸Lを中心として幅方向に向けて左右対称な状態で、内部に偏光分離膜423Aが形成された偏光ビームスプリッター421Aが配置され、これらの両側には、内部に反射膜424Aが形成された反射ミラー422Aが配置されている。さらに、これらの両側には、小寸法の反射ミラー422Bが配置されている。これらの小寸法の反射ミラー422Bに形成されている反射膜424Bは、内側に位置している大きな寸法の反射ミラー422Aの反射膜424Aとは逆方向に傾斜している。この構成の小寸法の反射ミラー422Bの両側には、それぞれ小寸法の偏光ビームスプリッター421Bが配置されている。これらの偏光ビームスプリッター421Bに形成されている偏光分離膜423Bも、内側に位置している大きな寸法の偏光ビームスプリッター421Aの偏光分離膜423Aとは逆方向に傾斜している。
【0067】
以上のように、第1のレンズ板3により形成される2次光源像の位置とその大きさに合わせて、集光レンズアレイ410を構成する集光レンズと偏光分離プリズムアレイ420を構成する偏光ビームスプリッター及び反射ミラーの寸法形状を最適化することにより、光源光の利用効率を一層向上出来ると共に、第2のレンズ板4を小型化できる効果がある。
【0068】
(実施例7)
上記の実施例6では、第1のレンズ板3によって形成される2次光源像の大きさに対応させて、第2のレンズ板4の集光レンズアレイ410を構成する各集光レンズの寸法形状を設定している。同様に、偏光分離プリズムアレイ420を構成する各偏光ビームスプリッターおよび反射ミラーの寸法形状を設定している。
【0069】
しかし、集光レンズアレイ410を同一寸法形状の集光レンズを用いて構成し、偏光分離プリズムアレイ420を構成している各プリズムの大きさ、すなわち、それらに形成されている偏光ビームスプリッターおよび反射ミラーの寸法形状のみを、2次光源像の大きさに対応させるようにしてもよい。
【0070】
図10にはこの構成を備えた偏光照明装置の例を示してある。この図に示す偏光照明装置600は、基本的には、前述した実施例5の変形例である偏光照明装置300Aと同様な構成となっている。したがって、特徴となっている部分を以下に説明する。
【0071】
本例の偏光照明装置600では、第2のレンズ板4を構成している集光レンズアレイ410は、同一形状および同一寸法の集光レンズ416A乃至416Dから構成されている。
【0072】
しかるに、偏光分離プリズムアレイ420に形成されている偏光ビームスプリッターおよび反射ミラーの大きさは、形成される2次光源像の大きさに応じて変えてある。すなわち、システム光軸Lの側の中心側では形成される2次光源像が大きいので、それに対応させて、大きな偏光ビームスプリッター425Aおよび反射ミラー425Bを配置してある。これに対して、システム光軸Lから遠い周辺側では、形成される2次光源像が相対的に小さいので、それに対応させて、相対的に小さな偏光ビームスプリッター426Aおよび反射ミラー426Bを配置している。
【0073】
ここで、第1のレンズ板3を構成している各レンズ314A乃至314D、および第2のレンズ板4の側の集光レンズアレイ410を構成している各集光レンズ416A乃至416Dでは、それらの一部のレンズに偏心系のレンズを使用している。また、前述の実施例5と同様に、光源光軸Rをシステム光軸Lから一定の距離Dだけ平行移動させた配列を採用している。なお、第1のレンズ板3もその中心が光源光軸に一致するように同一の量だけ同一方向に平行移動させてある。
【0074】
これらの構成を採用することにより、第1のレンズ板3を介して得られる2次光源像を、偏光ビームスプリッターの部分に形成できるようにしている。
【0075】
なお、図10中の距離Dの値、集光レンズ314A乃至314D、および集光レンズ416A乃至416Dのうちのどのレンズを偏心系のものにするのか、また、使用する偏心系のレンズの偏心量をどの程度にするのかといったことは、光学系の設計により左右される事項である。したがって、これらの事項は、一義的には決定されず、個々具体的な装置構成に応じて決定されるべき性質のものである。
【0076】
なお、本例では、第2のレンズ板4の側の集光レンズアレイ410を構成している各集光レンズ416A乃至416Dは同心系のレンズを使用している。しかし、上記のように、大きさの異なる偏光ビームスプリッター425A、426Aに同一形状および同一寸法の集光レンズ416A乃至416Dを貼り合わせてあり、したがって、それらの中心にはずれがある。このために、結果として、これらの同心系の集光レンズ416A乃至416Dは、偏心系のレンズを使用しているのと同等になっている。
【0077】
このように偏光照明装置600では、形成される2次光源像の大きさに対応した大きさの集光レンズ416A乃至416Dを備えている。この構成によっても、上記の実施例6と同様に、光に利用効率を改善することができる。
【0078】
また、本例では、第2のレンズ板4の集光レンズアレイ410が同一形状および同一寸法の集光レンズ416A乃至416Dから構成されている。したがって、集光レンズアレイの作製が容易であるという利点もある。
【0079】
(実施例1の偏光照明装置を用いた投写型表示装置)
図11には、実施例1ないし6の偏光照明装置のうち、図5に示した偏光照明装置100が組み込まれた投写型表示装置の例を示してある。
【0080】
図11に示すように、本例の投写型表示装置3400の偏光照明装置100は、ランダムな偏光光を一方向に出射する光源部2を備え、この光源部2から放射されたランダムな偏光光は、第1のレンズ板3によって集光された状態で第2のレンズ板4の所定の位置に導かれた後、第2のレンズ板4の中の偏光分離プリズムアレイ420により2種類の偏光光に分離される。また、分離された各偏光光のうち、P偏光光についてはλ/2位相差板430によってS偏光光に変換される。
【0081】
この偏光照明装置100から出射された光束は、まず、青色緑色反射ダイクロイックミラー3401において、赤色光が透過し、青色光および緑色光が反射する。赤色光は、反射ミラー3402で反射され、第1の液晶ライトバルブ3403に達する。一方、青色光および緑色光のうち、緑色光は、緑色反射ダイクロイックミラー3404によって反射され、第2の液晶ライトバルブ3405に達する。
【0082】
ここで、青色光は各色光のうちで最も長い光路長を持つので、青色光に対しては、入射側レンズ3406、リレーレンズ3408および出射側レンズ3410からなるリレーレンズ系で構成された導光手段3450を設けてある。すなわち、青色光は、緑色反射ダイクロイックミラー3404を透過した後に、まず、入射側レンズ3406および反射ミラー3407を経て、リレーレンズ3408に導かれ、このリレーレンズ3408に集束された後、反射ミラー3409によって出射側レンズ3410に導かれ、しかる後に、第3の液晶ライトバルブ3411に達する。ここで、第1乃至第3の液晶ライトバルブ3403、3405、3411は、それぞれの色光を変調し、各色に対応した映像情報を含ませた後に、変調した色光をダイクロイックプリズム3413(色合成手段)に入射する。ダイクロイックプリズム3413には、赤色反射の誘電体多層膜と青色反射の誘電体多層膜とが十字状に形成されており、それぞれの変調光束を合成する。ここで合成された光束は、投写レンズ3414(投写手段)を通過してスクリーン3415上に映像を形成することになる。
【0083】
このように構成した投写型表示装置3400では、1種類の偏光光を変調するタイプの液晶ライトバルブが用いられている。したがって、従来の照明装置を用いてランダムな偏光光を液晶ライトバルブに導くと、ランダムな偏光光のうちの半分は、偏光板(図示せず)で吸収されて熱に変わってしまうので、光の利用効率が悪いと共に、偏光板の発熱を抑える大型で騒音が大きな冷却装置が必要であるという問題点があった。しかし本例の装置3400では、かかる問題点が大幅に改善される。
【0084】
すなわち、本例の投写型表示装置3400では、偏光照明装置100において、一方の偏光光、例えばP偏光光のみに対して、λ/2位相差板430によって偏光面の回転作用を与え、他方の偏光光、例えばS偏光光と偏光面が揃った状態とする。それ故、偏光方向の揃った偏光光が第1乃至第3の液晶ライトバルブ3403、3405、3411に導かれるので、偏光板による光吸収は非常に少なく、したがって、光の利用効率が向上し、明るい投写映像を得ることができる。
【0085】
また、偏光板による光吸収量が低減するので、偏光板での温度上昇が抑制される。したがって、冷却装置の小型化、低騒音化を達成でき、高性能な投写型表示装置を実現できる。
【0086】
さらに、偏光照明装置100では、第2のレンズ板4において、集光レンズ411の形状に合わせて2種類の偏光光を横方向に分離している。したがって、光量を無駄にすることがなく、横長の矩形形状をした照明領域を形成できる。そのために、偏光照明装置100は、見やすく、かつ、迫力のある映像を投写できる横長の液晶ライトバルブ用に適している。
【0087】
先の実施例1に関して説明したように、本例の偏光照明装置100では、偏光変換光学要素を組み入れているにもかかわらず、偏光変換プリズムアレイ420を出射する光束幅の広がりが抑えられている。このことは、液晶ライトバルブを照明する際に、大きな角度を伴って液晶ライトバルブに入射する光が殆どないことを意味している。したがって、Fナンバーの小さい極めて大口径の投写レンズを用いなくても、明るい投写映像を実現できる。
【0088】
また、本例では、色合成手段として、ダイクロイックプリズム3413を用いているので、小型化が可能である。また、液晶ライトバルブ3403、3405、3411と投写レンズ3414の間の光路長が短いので、比較的小さな口径の投写レンズを用いても、明るい投写映像を実現できる。また、各色光は、3光路のうちの1光路のみ、その光路長が異なるが、本例では光路長が最も長い青色光に対しては、入射側レンズ3406、リレーレンズ3408および出射側レンズ3410からなるリレーレンズ系で構成した導光手段3450を設けてあるので、色ムラ等が生じない。
【0089】
なお、投写型表示装置としては、色合成手段に2枚のダイクロイックミラーを用いたミラー光学系により構成することもできる。勿論、その場合においても本例の偏光照明装置を組み込むことが可能であり、本例の場合と同様に、光の利用効率に優れた明るい高品位の投写映像を形成できる。
【0090】
(その他の実施形態)
なお、上記の各実施例においては、偏光分離手段で、例えばP偏光をS偏光に揃えるようにしているが、勿論、偏光方向はいずれの方向に揃えてもよい。また、P偏光光およびS偏光光の双方に対して、位相差層によって偏光面の回転作用を与えて、偏光面を揃えてもよい。
【0091】
一方、各実施例では、λ/2位相差板として一般的な高分子フィルムからなるものを想定している。しかし、これらの位相差板をツイステッド・ネマチック液晶(TN液晶)を用いて構成してもよい。TN液晶を用いた場合には、位相差板の波長依存性を小さくできるので、一般的な高分子フィルムを用いた場合に比べ、λ/2位相差板の偏光変換性能を向上させることができる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る偏光照明装置では、偏光方向の揃った偏光光を照射領域に照射できる。従って、液晶ライトバルブを用いた投写型表示装置に本発明に係る偏光照明装置を用いた場合には、偏光面が揃った偏光光を液晶ライトバルブに供給できるので、光の利用効率が向上し、投写映像の明るさを向上することができる。また、偏光板による光吸収量が低減するので、偏光板での温度上昇が抑制される。それ故、冷却装置の小型化や低騒音化を実現できる。
【0093】
また、本発明では、インテグレータ光学系の特徴である微小な2次光源像を生成するというプロセスを利用して偏光光の分離により生ずる空間的な広がりを回避している。したがって、偏光変換素子を備えた光学系であるにもかかわらず、装置寸法を、従来の照明装置と同じ程度の寸法に抑えることができる。
【0094】
さらにまた、偏光分離手段として、熱的に安定な誘電体多層膜を備えた偏光ビームスプリッターを用いているので、偏光分離部の偏光分離性能は、熱的に安定である。このため、大きな光出力が要求される投写型表示装置においても常に安定した偏光分離性能を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る偏光照明装置の光学系を示す概略構成図である。
【図2】図1の第1のレンズ板の斜視図である。
【図3】図1の偏光分離プリズムアレイの斜視図である。
【図4】本発明の実施例2に係る偏光照明装置の光学系を示す概略構成図である。
【図5】本発明の実施例3に係る偏光照明装置の光学系を示す概略構成図である。
【図6】本発明の実施例4に係る偏光照明装置の光学系を示す概略構成図である。
【図7】本発明の実施例5に係る偏光照明装置の光学系を示す概略構成図である。
【図8】図7の示す偏光照明装置の変形例を示す概略構成図である。
【図9】本発明の実施例6に係る偏光照明装置の光学系を示す概略構成図である。
【図10】本発明の実施例7に係る偏光照明装置の光学系を示す概略構成図である。
【図11】図5の偏光照明装置が組み込まれた投写型表示装置の一例を示す光学系の概略構成図である。
【符号の説明】
1、10、100、200、300、300A、400、500、600偏光照明装置
2 光源部
3 第1のレンズ板
301 矩形集光レンズ
310、311、312、314A〜314D 矩形集光レンズ
4 第2のレンズ板
410 集光レンズアレイ
411、412、413 集光レンズ
414 集光ハーフミラー
415 偏心系の集光レンズ
416、416A〜416D 集光レンズ
420 偏光分離プリズムアレイ
421、421A、421B、425A、426A 偏光ビームスプリッター
422、422A、422B、425B、426B 反射ミラー
423、423A、423B 偏光分離膜
424,424A、424B 反射膜
430 λ/2位相差板
440 出射側レンズ
5 照明領域
6 変角プリズム
3400 投写型表示装置
3401 青色緑色反射ダイクロイックミラー
3402 反射ミラー
3403 液晶ライトバルブ
3404 ダイクロイックミラー
3405 液晶ライトバルブ3405
3406 入射側レンズ
3407 反射ミラー
3408 リレーレンズ
3450 導光手段
3410 出射側レンズ
3409 反射ミラー
3411 液晶ライトバルブ
3413 ダイクロイックプリズム
3414 投写レンズ(投写手段)
3415 スクリーン
Claims (16)
- 偏光方向がランダムな光を出射する光源部と、
矩形状の外形を有する複数の矩形集光レンズから構成され、前記光源部から出射される光を集光して複数の2次光源像を形成するためのレンズ板と、
前記複数の2次光源像が形成される位置の近傍に配置された、集光レンズアレイと偏光分離プリズムアレイと偏光変換素子と、を有し、
前記集光レンズアレイは複数の集光レンズからなり、
前記偏光分離プリズムアレイは、前記複数の矩形集光レンズによって集光される複数の光のそれぞれを隣り合う一対のP偏光光とS偏光光とに分離するものであって、複数の偏光ビームスプリッターと複数の反射ミラーとから構成され、
前記レンズ板によって集光された光は前記偏光ビームスプリッターに入射し、
前記偏光変換素子は、前記P偏光光とS偏光光の偏光方向を揃えるものであって、前記偏光分離プリズムアレイの出射面の側に配置されており、
前記光源部は、その光源光軸(R)がシステム光軸(L)に対して角度をなすように配置されている、
ことを特徴とする偏光照明装置。 - 請求項1において、前記光源部と前記レンズ板との間には、変角プリズムが配置されていることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項2において、前記変角プリズムは、前記レンズ板と一体化されていることを特徴とする偏光照明装置。
- 偏光方向がランダムな光を出射する光源部と、
矩形状の外形を有する複数の矩形集光レンズから構成され、前記光源部から出射される光を集光して複数の2次光源像を形成するためのレンズ板と、
前記複数の2次光源像が形成される位置の近傍に配置された、集光レンズアレイと偏光分離プリズムアレイと偏光変換素子と、を有し、
前記集光レンズアレイは複数の集光レンズからなり、
前記偏光分離プリズムアレイは、前記複数の2次光源像のそれぞれを隣り合う一対のP偏光光とS偏光光とに分離するものであって、複数の偏光ビームスプリッターと複数の反射ミラーとから構成され、
前記レンズ板によって集光された光は前記偏光ビームスプリッターに入射し、
前記偏光変換素子は、前記P偏光光とS偏光光の偏光方向を揃えるものであって、前記偏光分離プリズムアレイの出射面の側に配置されており、
前記光源部の光源光軸(R)と前記レンズ板とは、システム光軸(L)に対して前記偏光ビームスプリッターの横幅(Wp)の半分の量だけ平行移動した位置に配置されている、
ことを特徴とする偏光照明装置。 - 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記集光レンズアレイは、前記偏光分離プリズムアレイの光入射側に配置されていることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項5において、さらに、前記偏光変換素子の光射出側に、出射側レンズが配置されていることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項5において、前記集光レンズアレイを構成する前記複数の集光レンズのうち、少なくとも一つは偏心系レンズであることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項1ないし7のうちいずれかの項において、前記矩形集光レンズは、横長の矩形形状であることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項1〜8のうちいずれかの項において、前記集光レンズアレイを構成する前記集光レンズは、前記レンズ板を構成する前記矩形集光レンズと相似形であることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項1ないし9のうちのいずれかの項において、前記偏光分離プリズムアレイは、前記偏光ビームスプリッターとして、内部に偏光分離膜が形成された四角柱状のプリズム合成体を有していると供に、前記反射ミラーとして、内部に反射膜が形成された四角柱状のプリズム合成体を有していることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項1ないし10のうちのいずれかの項において、前記偏光変換素子は位相差板で形成されていることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項11において、前記位相差板はλ/2位相差板であることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項1ないし10のうちのいずれかの項において、前記偏光変換素子はツイステッド・ネマチック液晶で形成されていることを特徴とする偏光照明装置。
- 請求項1ないし13のうちのいずれかの項に記載された偏光照明装置を備え、前記偏光照明装置からの光束を変調して投写表示することを特徴とする投写型表示装置。
- 請求項1ないし13のうちのいずれかの項に記載された偏光照明装置と、この偏光照明装置からの光束に含まれる偏光光を変調して画像情報を含ませる液晶ライトバルブを備えた変調手段と、変調光束を投写表示する投写光学系と、を有することを特徴とする投写型表示装置。
- 請求項15において、更に、前記偏光照明装置からの光束を2つ以上の光束に分離する色光分離手段と、前記変調手段によって変調された後の変調光束を合成する色光合成手段とを有し、当該色光合成手段により得られた合成光束が前記投写光学系を介して投写表示されるようになっていることを特徴とする投写型表示装置。
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