JP3651115B2 - 光学素子、偏光発生装置、表示装置、及び投写型表示装置 - Google Patents

光学素子、偏光発生装置、表示装置、及び投写型表示装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランダムな偏光光である入射光束から、照明領域における光強度分布が入射光束の光強度分布よりも均一であり、偏光方向がほぼ揃った出射光束を発生させるための光学素子、及び、偏光発生装置に関するものである。さらに、本発明は、上記の光学素子、偏光発生装置を用いた投写型表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネルの様に、偏光光束を変調するタイプのパネルを用いた表示装置の照明光学系に対しては、(1)偏光光束の光強度を高めること、(2)照明領域における光強度分布が均一であること、が主に要求される。
【0003】
1.偏光光束の光強度を高める技術
光源から発せられるランダムな偏光光束を一種類の偏光光束に変換し、液晶パネルにおける光の利用効率を高めて明るい表示状態を達成しようとする光学系が提案されている。
【0004】
その一例として、特開平7−294906号公報に開示されている光学系(便宜的に偏光光学系と称す)の概要を図13を用いて説明する。この光学系は、主にレンズ板910、複数の偏光ビームスプリッタ920、複数の反射プリズム930及びλ/2位相差板940により構成されている。その原理は、ランダムな偏光光束である入射光束を偏光光束分離面331を備えた偏光ビームスプリッタ920と反射面332を備えた反射プリズム930により二種類の偏光光束(P偏光光束とS偏光光束)に分離し、分離後の一方の偏光光束の偏光方向をλ/2位相差板940を用いて他方の偏光光束の偏光方向と合わせることにより一種類の偏光光束を得、その光束で液晶パネル950を照明しようとするものである。但し、偏光光束の分離過程においては、2つの偏光光束を形成する空間が必要になるため、一般的に光学系の拡幅化が避けられない。そこで、この偏光光学系では、予めレンズ板910により入射光束を集光し、空間的に分離された複数の中間光束に変換しておき、その中間光束が収束することにより生じた空間に反射プリズム930(反射面)を配置することにより、光学系の拡幅を招かずに一種類の偏光光束を得ている。
【0005】
2.照明領域における光強度分布を均一にする技術
照明領域における光強度分布が入射光束の光強度分布よりも均一であるような照明光束を発生させる照明光学系として、例えば、特開平3−111806号公報に開示されているインテグレータ光学系が実用化されている。ここで、開示されているインテグレータ光学系は、原理的には露光機に使用されているものと同一である。
【0006】
前記公報に開示されたインテグレータ光学系は、2つの光学要素として第1及び第2のレンズ板を用い、光源からの光束を、第1のレンズ板を構成している複数の光束分割レンズによって中間光束に分割し、中間光束が収束する位置の付近に配置された複数の集光レンズからなる第2のレンズ板を介して、中間光束を重畳結合させ、一ヶ所の照明領域を照明するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平7−294906号公報の偏光光学系では、単に光源からのランダムな偏光光束を一種類の偏光光束に変換しているに過ぎないため、幾つかの問題点が生じる。
【0008】
第1に、光源から発せられる光束の強度分布が照明光の照度分布(強度分布)に直接的に反映されるため、明るさが均一で色ムラのない照明光を得ることは困難である。
【0009】
第2に、偏光ビームスプリッタ及び反射プリズムの光学的特性から、偏光ビームスプリッタを通過して出射されるP偏光光束と、偏光ビームスプリッタ及び反射プリズムを通過して出射されるS偏光光束との間では光強度やその分光特性が異なる。同様のことは、分離された2つの偏光光束の偏光方向を揃えるために用いられるλ/2位相差板を通過する偏光光束と通過しない偏光光束との間においても生じる。この偏光光学系では偏光方向を揃えた後の光束を重畳結合しないため、上記のような理由により照明領域上では明るさムラや色ムラが生じることになり、やはり良好な照明状態は得られない。上記の明るさのムラを防止する手段として、上記の偏光光学系では光拡散板を使用する構成が提案されているが、光拡散板の使用により液晶パネルに達する光は明らかに減少するため、明るさを増加させるという偏光光学系の本来の目的とは相反し、根本的な解決手段とはなり得ない。
【0010】
第3に、偏光ビームスプリッタ920及び反射プリズム930を出射した光束は一切集光されることなく、大きな角度を伴って発散しながら液晶パネルに達するため、照明効率は低く、明るい表示状態が得られないばかりか、液晶パネルを見る方向によっては大きな色ムラを発生することになる。
【0011】
一方、特開平3−111806号公報のインテグレータ光学系を用いた場合には、光強度分布の均一化はある程度達成できるものの、ランダムな偏光光束を照明光として用いているため、明るさの改善には殆ど効果がない。
【0012】
さらに、クロスダイクロイックプリズムを色光合成手段として用いた投写型表示装置では、用いる光源の光特性により、4つの直角プリズムの接合部分で生じる光散乱のために投写映像に暗い影が生じる場合がある。この暗い影は、変調手段を照明する照明光の強度分布とその角度分布を均一にすることで、その存在を目立たなくすることができる。しかし、従来の照明系では、光強度分布とその角度分布における均一性が十分ではなかったため、上記の暗い影の存在を目立たなくすることはできなかった。
【0013】
従って、一種類の偏光光束で特定の照明領域を均一に効率よく照明する光学系は、従来存在しなかった。
【0014】
以上の様な点に鑑みて、本発明の課題は、
第1に、ランダムな偏光光である入射光束から、照明領域における光強度分布が入射光束のそれよりも均一であり、偏光方向がほぼ揃った一種類の偏光光束を発生させるための偏光発生装置を実現することにあり、
第2に、そのような偏光発生装置を用いて光の利用効率が高くコンパクトな偏光照明装置を実現することにあり、
第3に、そのような偏光照明装置を用いて、明るく、明るさムラや色ムラのない表示装置を実現することにあり、
第4に、そのような偏光照明装置を用いて、高価なFナンバーの小さい大口径の投写レンズを使用しなくても、明るく、明るさムラや色ムラのない投写映像を得られ、特に、クロスダイクロイックプリズムを色光合成手段として用いた場合においても、クロスダイクロイックプリズムにより生じる暗い影が目立たない投写映像を表示できる投写型表示装置を実現することにある。なお、Fナンバーとは、焦点距離とレンズ径との比である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
1.光学素子
本発明の光学素子は、
反射面と偏光光束分離面とを備え、光束をS偏光光束とP偏光光束とに分離する偏光光束分離手段と、
前記偏光光束分離手段によって分離された前記P偏光光束、前記S偏光光束のうち、いずれか一方の偏光方向を他方の偏光方向に変換する偏光変換手段とを有し、
前記偏光光束分離手段が行方向、列方向に複数配置された光学素子であって、
前記偏光光束分離手段は、前記列方向に、前記反射面と前記偏光光束分離面とが交互に配列されるように配置されてなることを特徴とする。
【0016】
本発明の光学素子は、上記構成により、入射された光束を、全体としてはほぼ一種類の偏光方向を有する偏光光束に変換することができる。上記の偏光発生過程においては、殆ど光吸収を伴わないため、非常に高い効率で特定の偏光光束を発生させることが可能である。また、列方向に、偏光光束分離手段と偏光変換手段とが交互に配列されることにより、明るさが均一で色むらのない偏光光束を得ることが可能となる。
【0017】
また、本発明の上記光学素子において、前記行方向及び前記列方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とを互いに平行に配列すれば、偏光光束分離手段のブロックを、行、あるいは列毎にまとめて形成することができる。光学素子を構成する際には、列方向、あるいは行方向の偏光光束分離面と反射面とが交互、かつ平行に配列されるように組み合わせるだけなので、組立てが容易である。
【0018】
また、本発明の上記光学素子において、前記行方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とを互いに平行に配列し、前記列方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とを互いに垂直に配列することにより、偏光光束分離手段のブロックを行ごとにまとめて形成することができる。光学素子を構成する際には、列方向の偏光光束分離面と反射面とが互いに垂直に配列されるようにこのブロックを組み合わせるだけなので、組立てが容易である。
【0019】
2.偏光発生装置
本発明の偏光発生装置は、
入射光束を集光し、互いに空間的に分離された複数の中間光束に変換する第1の光学要素と、
前記中間光束が収束する位置付近に配置された第2の光学要素とを有し
前記第1の光学要素は、
マトリックス状に配置された複数の光束分割レンズからなり、
前記複数の光束分割レンズは、列方向に隣り合う光束分割レンズが行方向に相互にずれた状態で配列され、
前記第2の光学要素は、
前記中間光束のそれぞれをS偏光光束とP偏光光束とに空間的に分離する偏光光束分離手段と、前記偏光光束分離手段によって分離された前記P偏光光束、前記S偏光光束のうちいずれか一方の偏光方向を他方の偏光方向に変換する偏光変換手段とを備え、前記偏光光束分離手段が行方向、列方向に複数配置された光学素子と、
前記他方の偏光光束と、前記偏光変換手段によって偏光方向が変換された前記一方の偏光光束とを重畳結合させて出射光束に変換する重畳結合手段とを有することを特徴とする。
【0020】
ここで、第1の光学要素を構成する複数の光束分割レンズは、列方向に隣り合う光束分割レンズが行方向の配列ピッチのほぼ半分の長さに相当する距離だけ行X方向に相互にずれた状態で配列されている。このような配置様式を採用することにより、光束分割レンズをずらして配置しない場合と比べて、入射光束が光束の断面内でより大きな光強度分布を有していた場合でも、明るさが均一で色ムラのない高品位な偏光光束を照明光として得ることができる。特に、光源ランプとリフレクターからなる光源から出射される光束に見られるように、光束の光強度分布が全く無秩序ではなく、光強度分布にある種の特徴や傾向を有している場合には、上記の第1の光学要素を用いることにより、照明領域における光強度分布やその角度分布を極めて均一なものとすることができる。
【0021】
例えば、放物面リフレクターを備えた光源から出射される光束は、光源の光軸を対称軸とする光強度分布(光軸付近で光強度が大きく、周辺部で小さい)とその角度分布(光軸付近で出射角が広く、周辺部で狭い)を有する。そのため、この様な光束から光強度分布が均一な照明光を得るためには、(a)光束分割レンズの数を極めて多くする、即ち、光束分割レンズにより生成される中間光束の数を増やす、或いは、(b)光強度分布やその角度分布等光束の諸特性に対して光束分割レンズを不規則に配置する、という方法が考えられるが、(a)の方法では、光束分割レンズの増加に伴い光束分割レンズ間の界面が増加してしまい、界面での光損失が増えてしまう。よって、照明領域における光強度分布を均一にできる反面、明るさが低下する結果となる。一方、(b)の方法においては、隙間無く、且つ全く不規則に光束分割レンズを配置することが困難である等、何れも有効な策ではない。
【0022】
これに対して、本発明の偏光発生装置の上記第1の光学要素は、光束分割レンズ間に不必要な隙間を生じることもなく、単に列方向に隣り合う光束分割レンズを相互にずらす配置を採用するだけで、光強度分布におけるある種の特徴や傾向を相互に打ち消し、或いは、弱めあい、照明領域における光強度分布やその角度分布を極めて均一にすることができる。従って、光束分割レンズの数を必要以上に増やす必要もなく、光束分割レンズの界面における光損失を低減でき、明るさを低下させることなく光強度分布とその角度分布が均一な照明光を得ることができる。
【0023】
ここで、列方向に隣り合う光束分割レンズのずらし量については特に限定されるものではない。しかし、光束分割レンズのずらし量が照明光の光強度分布とその角度分布に及ぼす効果や、光束分割レンズに対応して配置される第2の光学要素の配置の容易さを考慮すると、ずらし量を行方向の配列ピッチのほぼ半分の長さに相当する距離とするのが最適である。
【0024】
次に、本発明の偏光発生装置の上記第2の光学要素は、中間光束を最終的に一ヶ所の照明領域上で重畳結合するため、入射光束が光束の断面内で大きな光強度分布を有していた場合でも、明るさが均一で、色ムラのない偏光光束を照明光として得ることができる。
【0025】
さらに、均等な光強度や分光特性で中間光束をP偏光光束とS偏光光束に分離できない場合や、両偏光光束の偏光方向を揃える過程で一方の偏光光束の光強度やその分光特性が変化した場合においても、明るさが均一で色ムラのない偏光光束を照明光として得ることができる。
【0026】
ここで、本発明の偏光発生装置の上記第2の光学要素を構成する光学素子は、複数の偏光光束分離手段をマトリックス状に配列した一体型のコンパクトな光学素子であり、第2の光学要素を小型化することができる。
【0027】
上述したように、本発明の偏光発生装置の上記構成によれば、先に説明したすべての課題が解決でき、ランダムな偏光光束である入射光束から、照明領域における光強度分布やその角度分布が入射光束のそれよりも均一であり、偏光方向がほぼ揃った出射光束を非常に高い効率で発生することができるという効果を有する。
【0028】
また、本発明の上記偏光発生装置において、前記偏光光束分離手段に反射面と偏光光束分離面とを備え、前記列方向に、前記反射面と前記偏光光束分離面とが交互に配列されるように配置させると、次のような効果がある。
【0029】
すなわち、一対の反射面と偏光光束分離面とを有する偏光光束分離手段を用いて、中間光束をP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離するためには、S偏光光束が存在できる新たな空間が必要となる。中間光束の光束径を全く変えずに光学素子に入射した場合には、偏光光束分離後の光束の幅(P偏光光束の幅とS偏光光束の幅を合わせた総幅)は入射光束の幅に対して2倍に拡がることになり、このことは光学系の大型化(拡幅)につながる。
【0030】
本発明の上記偏光発生装置の構成は、光束分割レンズにより入射光束を分割しながら集光して複数の中間光束を形成し、それぞれの中間光束が収束する位置の近傍に、光学素子により、中間光束の存在する空間と、その空間に隣接し全く光束の存在しない空間とからなる一対の空間を複数形成したものである。そして、本発明の上記偏光発生装置では、全く光束が存在しない空間をP偏光光束、S偏光光束のうち、いずれか一方の偏光光束が存在できる新たな空間として利用している。以上の構成により、偏光光束分離後の光束の総幅が偏光光束分離前の入射光束の幅よりも大きくならないようにしながら、P偏光光束とS偏光光束とを空間的に完全に分離することができる。従って、ランダムな偏光光束である入射光束から偏光方向がほぼ揃った出射光束を発生させる過程において、光束の総幅が拡がらないため、光学系の小型化を実現できる。さらに、光束の総幅が拡がらないということは、複数の偏光光束を重畳結合させる段階で、光束が大きな角度成分を有しないことを意味し、従って、これらの光束を用いて照明を行う場合には、高い照明効率を得ることができる。なお、偏光発生過程においては殆ど光吸収を伴わないため、非常に高い効率で特定の偏光光束を発生させることが可能となる。
【0031】
また、本発明の上記偏光発生装置において、前記行方向及び前記列方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とを互いに平行に配列させることにより、偏光光束分離手段のブロックを、行、あるいは列毎にまとめて形成することができる。光学素子を構成する際には、列方向、あるいは行方向の偏光光束分離面と反射面とが交互、かつ平行に配列されるように組み合わせるだけなので、組立てが容易である。
【0032】
また、本発明の上記偏光発生装置において、前記行方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とを互いに平行に配列させ、前記列方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とは互いに垂直に配列させることにより、偏光光束分離手段のブロックを行ごとにまとめて形成することができる。光学素子を構成する際には、列方向の偏光光束分離面と反射面とが互いに垂直に配列されるようにこのブロックを組み合わせるだけなので、組立てが容易である。
【0033】
さらに、本発明の前記偏光発生装置において、前記光学素子の前記偏光光束分離手段の配置形状を、前記第1の光学要素の前記光束分割レンズの配置形状と一致した形状とすることにより、光源光の無駄を防ぎ、光の利用効率を向上させることが可能となり、ひいては光学系の小型化を達成することが可能となる。また、照明領域を照明する偏光光束の光強度分布とその角度分布をより均一にすることができる。
【0034】
なお、本発明の上記偏光発生装置において、前記光束分割レンズを矩形状とすることにより、複数の光束分割レンズにより特定の平面を隙間なく、且つ、互いに重なることなく被うことができるため、入射光束を複数の中間光束に分割する際の光利用効率を極めて高くすることができる。また、本発明の偏光発生装置を用いて表示装置や投写型表示装置を構成した場合、被照明体である液晶パネルなどの変調手段の外形形状は一般に矩形状であることから、光束分割レンズの列方向と行方向とで形成される平面における外形形状も矩形状とした方が光の利用効率が良い。
【0035】
また、前記行方向と前記列方向とで形成される平面における前記偏光光束分離手段の形状と、前記行方向と前記列方向とで形成される平面における前記光束分割レンズの形状とを相似形とすることにより、それらのレンズ設計が容易になるという設計上の利点がある。特に、中間光束が収束する位置で、すべての中間光束によって形成されるひとまとまりの光束の径を入射光束の光束径よりも大きく(或いは小さく)する場合には、上記の利点が顕著となる。
【0036】
また、第2の光学要素が、更に、前記第1の光学要素によって空間的に分離された複数の前記中間光束をそれぞれ集光する集光手段を有し、この集光手段をマトリックス状に配置された複数の集光レンズで構成することにより、さらに光源光の無駄を防ぎ、光の利用効率を向上させることが可能となり、ひいては光学系の小型化を達成することが可能となる。
【0037】
さらに、この構成において、集光レンズの行方向の配列ピッチと、前記偏光光束分離手段の行方向の配列ピッチとを同一とし、集光手段と光学素子とを、集光レンズと偏光光束分離手段とが行方向に1/4ピッチずつずれるように配置するようにすれば最も明るい照明光を得ることができ、本発明の偏光発生手段を投写型表示装置に用いた場合に絶大な効果を奏する。
【0038】
尚、一般的には、集光レンズと光束分割レンズは同一形状のものを用いることが、レンズ設計及びコストの点から有利である。
【0039】
3.表示装置並びに投写型表示装置
本発明の表示装置は、
光源部と、
前記光源部からの光束を集光し、互いに空間的に分離された複数の中間光束に変換する第1の光学要素と、
前記中間光束が収束する位置付近に配置された第2の光学要素と、
前記第2の光学要素から出射された光を変調する変調手段とを有する表示装置であって、
前記第1の光学要素は、
マトリックス状に配置された複数の光束分割レンズからなり、
前記複数の光束分割レンズは、列方向に隣り合う光束分割レンズが行方向に相互にずれた状態で配列され、
前記第2の光学要素は、
前記中間光束のそれぞれをS偏光光束とP偏光光束とに空間的に分離する偏光光束分離手段と、前記偏光光束分離手段によって分離された前記P偏光光束、前記S偏光光束のうちいずれか一方の偏光方向を他方の偏光方向に変換する偏光変換手段とを備え、前記偏光光束分離手段が行方向、列方向に複数配置された光学素子と、
前記他方の偏光光束と、前記偏光変換手段によって偏光方向が変換された前記一方の偏光光束とを重畳結合させて出射光束に変換する重畳結合手段とを有することを特徴とする。
【0040】
また、本発明の投写型表示装置は、
光源部と、
前記光源部からの光束を集光し、互いに空間的に分離された複数の中間光束に変換する第1の光学要素と、
前記中間光束が収束する位置付近に配置された第2の光学要素と、
前記第2の光学要素から出射された光を変調する変調手段と、
前記変調手段によって変調された光を投写する投写光学手段とを有する投写型表示装置であって、
前記第1の光学要素は、
マトリックス状に配置された複数の光束分割レンズからなり、
前記複数の光束分割レンズは、列方向に隣り合う光束分割レンズが行方向に相互にずれた状態で配列され、
前記第2の光学要素は、
前記中間光束のそれぞれをS偏光光束とP偏光光束とに空間的に分離する偏光光束分離手段と、前記偏光光束分離手段によって分離された前記P偏光光束、前記S偏光光束のうちいずれか一方の偏光方向を他方の偏光方向に変換する偏光変換手段とを備え、前記偏光光束分離手段が行方向、列方向に複数配置された光学素子と、
前記他方の偏光光束と、前記偏光変換手段によって偏光方向が変換された前記一方の偏光光束とを重畳結合させて出射光束に変換する重畳結合手段とを有することを特徴とする。
【0041】
ここで、第1の光学要素を構成する複数の光束分割レンズは、列方向に隣り合う光束分割レンズが行方向の配列ピッチのほぼ半分の長さに相当する距離だけ行X方向に相互にずれた状態で配列されている。前に述べたように、このような構成により、光束分割レンズ間に不必要な隙間を生じることもなく、単に列方向に隣り合う光束分割レンズを相互にずらす配置を採用するだけで、光強度分布におけるある種の特徴や傾向を相互に打ち消し、或いは、弱めあい、照明領域における光強度分布やその角度分布を極めて均一にすることができる。従って、光束分割レンズの数を必要以上に増やす必要もなく、光束分割レンズの界面における光損失を低減でき、明るさを低下させずに光強度分布とその角度分布が均一な照明光を得ることができる。この効果は、特に、光源ランプとリフレクターからなる光源から出射される光束に見られるように、光束の光強度分布が全く無秩序ではなく、光強度分布にある種の特徴や傾向を有している場合に顕著であり、照明領域における光強度分布やその角度分布を極めて均一なものとすることができる。
【0042】
その理由については前に述べた通りである。
【0043】
なお、列方向に隣り合う光束分割レンズのずらし量については特に限定されるものではない。しかし、光束分割レンズのずらし量が照明光の光強度分布とその角度分布に及ぼす効果や、光束分割レンズに対応して配置される第2の光学要素の配置の容易さを考慮すると、ずらし量を行方向の配列ピッチのほぼ半分の長さに相当する距離とするのが最適である。
【0044】
また、上記第2の光学要素は、入射光束を一旦複数の中間光束に分割した後、それらの中間光束を最終的に一ヶ所の照明領域上で重畳結合するため、入射光束が光束の断面内で大きな光強度分布を有していた場合でも、明るさが均一で、色ムラのない偏光光束を照明光として得ることができる。さらに、均等な光強度や分光特性で中間光束をP偏光光束とS偏光光束に分離できない場合や、両偏光光束の偏光方向を揃える過程で一方の偏光光束の光強度やその分光特性が変化した場合においても、明るさが均一で色ムラのない偏光光束を照明光として得ることができる。
【0045】
このように、本発明の表示装置並びに投写型表示装置の上記構成によれば、表示面並びに投写面全体に渡ってきわめて均一な画像を得ることが可能となる。
【0046】
なお、光源部は、一般的に光源ランプとリフレクターにより構成されるものが多く、光源ランプとしては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等が、また、リフレクターとしては放物面リフレクター、楕円リフレクター、球面リフレクター等が使用できる。また、変調手段としては、液晶パネルが使用できる。
【0047】
また、本発明の上記表示装置、投写型表示装置において、前記偏光分離手段に反射面と偏光光束分離面とを備え、前記反射面と前記偏光分離面とが交互に配列されるように偏光分離手段を配置することにより、偏光光束分離後の光束の総幅が偏光光束分離前の入射光束の幅よりも大きくならないようにしながら、P偏光光束とS偏光光束とを空間的に完全に分離することができる。従って、ランダムな偏光光束である入射光束から偏光方向がほぼ揃った出射光束を発生させる過程において、光束の総幅が拡がらないため、光学系の小型化を実現できる。したがって、本発明によれば、非常に小型で取扱い性に優れたもの投写型表示装置を提供することができる。
【0048】
さらに、光束の総幅が拡がらないということは、複数の偏光光束を重畳結合させる段階で、光束が大きな角度成分を有しないことを意味し、従って、これらの光束を用いて照明を行う場合には、高い照明効率を得ることができる。なお、偏光発生過程においては殆ど光吸収を伴わないため、非常に高い効率で特定の偏光光束を発生させることが可能となる。よって、本発明によれば、高価なFナンバーの小さい大口径の投写レンズを使用しなくても、画像の明るい投写型表示装置を提供することが可能となる。
【0049】
このように、本発明の表示装置、投写型表示装置の上記構成によれば、非常に小型で取扱い性に優れた表示装置、及び投写型表示装置を提供することができ、かつ投写面全体に渡って明るく、均一な画像を得ることが可能となる。また、Fナンバーの小さなレンズを使用する必然性がないため、より安価な投写型表示装置を提供することも可能である。
【0050】
なお、前記行方向及び前記列方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とを互いに平行に配列することにより、偏光光束分離手段のブロックを、行、あるいは列毎にまとめて形成することができる。光学素子を構成する際には、列方向、あるいは行方向の偏光光束分離面と反射面とが交互、かつ平行に配列されるように組み合わせるだけなので、組立てが容易である。
【0051】
また、前記行方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とを互いに平行に配列させ、前記列方向の前記反射面と前記偏光光束分離面と互いに垂直に配列させることにより、偏光光束分離手段のブロックを行ごとにまとめて形成することができる。光学素子を構成する際には、列方向の偏光光束分離面と反射面とが互いに垂直に配列されるようにこのブロックを組み合わせるだけなので、組立てが容易である。
【0052】
また、本発明の上記投写型表示装置において、前記光学素子の前記偏光光束分離手段の配置形状を、前記第1の光学要素の前記光束分割レンズの配置形状と一致した形状とすれば、光源光の無駄を防ぎ、光の利用効率を向上させることが可能となり、ひいては光学系の小型化を達成することが可能となる。また、照明領域を照明する偏光光束の光強度分布とその角度分布をより均一にすることができる。よって、さらに投写型表示装置を小型化できるとともに、より明るくより均一な投写画像をえることが可能となる。
【0053】
また、光源の光軸付近に位置する光束分割レンズによって形成される集光像の方が、光源光軸から離れた周辺部に位置する光束分割レンズによって形成される集光像よりもその寸法が小さいため、本発明の上記投写型表示装置において、前記複数の偏光光束分離手段のうち、前記光源の光軸付近に位置する前記偏光光束分離手段の寸法を、前記光源の光軸から離れた周辺部に位置する前記偏光光束分離手段の寸法よりも大きくすると、光学系の効率をより一層向上させることができ、光学系の小型かを達成できる。
【0054】
さらに、前記第2の光学要素に、マトリックス状に配置された複数の集光レンズからなる前記中間光束を集光する集光手段を設け、前記集光レンズの行方向の配列ピッチと前記光学素子の前記偏光光束分離手段の行方向の配列ピッチとを同一ピッチとし、前記集光手段と前記光学素子とを、前記集光レンズと前記偏光光束分離ユニットとが行方向に1/4ピッチずれるように配置することにより、一層光の利用効率の向上、光学系の小型化を達成することが可能となる。
【0055】
さらに、本発明の上記投写型表示装置に、前記偏光証明装置からの光束を2以上の色光に分離する色光分離手段と、前記それぞれの色光に対応して設けられた2以上の前記変調手段とを設け、前記色合成手段により合成された光束が、前記投写光学系を介して投写されるように構成することにより、分離された2つ以上の色光のそれぞれに対して専用の変調手段を配置することができるため、明るく、色の表現性が良く、解像度の高いカラー映像を表示可能な小型の投写型表示装置を実現することができる。
【0056】
ここで、前記色光合成手段として、ダイクロイック膜を十字状に配置したクロスダイクロイックプリズムを用いても、クロスダイクロイックプリズムの中心部により生じる暗い影が目立たなくなる。すなわち、クロスダイクロイックプリズムを色合成手段として用いた投写型表示装置では、4つの直角プリズムの接合部分で生じる光散乱のために投写映像に暗い影が生じる場合があり、この暗い影は、変調手段を照明する照明光の強度分布とその角度分布を均一にすることで、その存在を目立たなくすることができる。本発明の投写型表示装置によれば、照明領域における光強度分布とその角度分布を極めて均一にできるため、クロスダイクロイックプリズムの使用時に生じる暗い影の存在を極めて目立ちにくくでき、結果として、高品位な投写映像を得ることができるのである。
【0057】
なお、上記の第2の光学要素を構成するための集光手段、光学素子、偏光光束分離手段、及び、前記重畳結合手段のうち、少なくとも2つ以上を一体化することにより、集光レンズアレイと光学素子との界面、光学素子と偏光光束分離手段との界面、又は、偏光光束分離手段と出射側レンズとの界面における光損失を低減でき、偏光発生装置における光の利用効率をより一層向上することが可能となる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の各実施例について説明する。尚、以下の各実施例においては、特にことわりのない限り、互いに直行する3つの方向を便宜的にX方向、Y方向、Z方向とした。また、いずれの実施例においても、ランダムな偏光光束から一種類の偏光光束として、S偏光光束を得る構成としているが、勿論、P偏光光束を得る構成としてもよい。
【0059】
(実施例1)
図1は、実施例1の偏光照明装置の要部を平面的にみた概略構成図である。尚、この図1は、後に詳しく述べる第2の光学要素300の中心を通るXZ平面における断面図である。本例の偏光照明装置1はシステム光軸Lに沿って配置した光源部10、偏光発生装置20から大略構成されている。光源部10から出射されたランダムな偏光光束は、偏光発生装置20により偏光方向がほぼ揃った一種類の偏光光束に変換され、照明領域90に至るようになっている。
【0060】
光源部10は、光源ランプ101と、放物面リフレクター102から大略構成されており、光源ランプから放射された光は、放物面リフレクター102によって一方向に反射され、略平行な光束となって偏光発生装置20に入射される。ここで、光源部10の光源光軸Rがシステム光軸Lに対して一定の距離DだけX方向に平行シフトした状態となるように、光源部10は配置されている。
【0061】
次に、偏光発生装置20は、第1の光学要素200と、第2の光学要素300から構成されている。
【0062】
第1の光学要素200は、その外観を図2に示す様に、XY平面上で矩形状の外形を有する複数の光束分割レンズ201がマトリックス状に配列して構成されており、また、Y方向に隣り合う光束分割レンズは、X方向における配列ピッチのほぼ半分の長さに相当する距離だけ、それぞれがX方向に相互にずれた状態で配置されている。本例の場合、各奇数行を構成する光束分割レンズ201の数は、各偶数行を構成する光束分割レンズ201の数よりも常に1つ少ない構成となっている。尚、この構成においては、光源光軸Rが第1の光学要素200の中心に来るように、光源部10と第1の光学要素200との位置関係が設定されている。第1の光学要素200に入射した光は、光束分割レンズ201により複数の中間光束202に分割され、同時に光束分割レンズの集光作用により、システム光軸Lと垂直な平面内(図1ではXY平面)の中間光束が収束する位置に、光束分割レンズの数と同数の集光像203を形成する。尚、光束分割レンズ201のXY平面上における外形形状は、照明領域90の形状と相似形をなすように設定されている。本例では、XY平面上でX方向に長い横長の照明領域を想定しているため、光束分割レンズ201のXY平面上における外形形状も横長である。
【0063】
第2の光学要素300は、集光レンズアレイ310、偏光分離ユニットアレイ320、選択位相差板380及び出射側レンズ390から大略構成される複合体であり、第1の光学要素200による集光像203が形成される位置の近傍の、システム光軸Lに対して垂直な平面内(図1ではXY平面)に配置される。尚、第1の光学要素200に入射する光束の平行性が極めて良い場合には、第2の光学要素から集光レンズアレイ310を省略した構成としても良い。この第2の光学要素300は、中間光束202のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離した後、一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃え、偏光方向がほぼ揃ったそれぞれの光束を一ヶ所の照明領域90に導くような機能を有している。
【0064】
集光レンズアレイ310は、第1の光学要素200とほぼ同様な構成となっている。即ち、集光レンズアレイ310は、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201と同数の集光レンズ311をマトリックス状に複数配列したものであり、それぞれの中間光束を偏光分離ユニットアレイ320の特定の場所に集光しながら導く作用を有している。従って、第1の光学要素200により形成された中間光束202の特性に合わせて、また、偏光分離ユニットアレイ320に入射する光はその主光線の傾きがシステム光軸Lと平行であることが理想的である点を考慮して、各集光レンズのレンズ特性は各々最適化されることが望ましい。但し、一般的には、光学系の低コスト化及び設計の容易さを考慮して、第1の光学要素200と全く同じものを集光レンズアレイ310として用いるか、或いは、光束分割レンズ201とXY平面での形状が相似形である集光レンズを用いて構成した集光レンズアレイを用いてもよいことから、本例の場合には、第1の光学要素200と同じ光学要素を集光レンズアレイ310として用いている。
【0065】
次に、偏光分離ユニットアレイ320は、その外観を図3に示すように、複数の偏光分離ユニット330がマトリックス状に配列した構成である。
【0066】
偏光分離ユニット330はその外観を図4に示す様に、内部に偏光分離面331と反射面332とを備えた四角柱状の構造体であり、偏光分離ユニットに入射する中間光束のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離する作用を有している。偏光分離ユニット330のXY平面上における外形形状は、光束分割レンズ201のXY平面上における外形形状と相似形をなしており、即ち、横長の矩形状である。従って、偏光分離面331と反射面332とは横方向(X方向)に並ぶように配置されている。ここで、偏光分離面331はシステム光軸Lに対して約45度の傾きをなし、且つ、反射面332は偏光分離面331と平行な状態をなし、さらに、偏光分離面331がXY平面上に投影する断面積(後述するP出射面333の面積に等しい)と反射面332がXY平面上に投影する断面積(後述するS出射面334の面積に等しい)が等しくなるように、偏光分離面331と反射面332とが設定されている。従って、本例では、偏光分離面331が存在する領域のXY平面上での横幅Wpと反射面332が存在する領域のXY平面上での横幅Wmとは等しくなり、且つ、それぞれが偏光分離ユニット330のXY平面上での横幅Wの半分になるように設定されている。尚、一般的に、偏光分離面331は誘電体多層膜で、また、反射面332はアルミニウム膜で形成することができる。
【0067】
偏光分離ユニット330に入射した光は、偏光分離面331において、進行方向を変えずに偏光分離面331を通過するP偏光光束335と、偏光分離面331で反射され隣接する反射面332の方向に進行方向を変えるS偏光光束336とに分離される。P偏光光束335はそのままP出射面333を経て偏光分離ユニットから出射され、S偏光光束336は再び反射面332で進行方向を変え、P偏光光束335とほぼ平行な状態となって、S出射面334を経て偏光分離ユニットから出射される。従って、偏光分離ユニット330に入射したランダムな偏光光束は偏光分離ユニットにより偏光方向が異なるP偏光光束335とS偏光光束336の二種類の偏光光束に分離され、偏光分離ユニットの異なる場所(P出射面333とS出射面334)からほぼ同じ方向に向けて出射される。偏光分離ユニットは上記の様な作用を有することから、それぞれの偏光分離ユニット330の偏光分離面331が存在する領域にそれぞれの中間光束202を導く必要があり、そのため、偏光分離ユニット内の偏光分離面の中央部に中間光束が入射するように、それぞれの偏光分離ユニット330とそれぞれの集光レンズ311の位置関係やそれぞれの集光レンズ311のレンズ特性を調整しておく必要がある。本例の場合には、それぞれの偏光分離ユニット330内の偏光分離面331の中央部にそれぞれの集光レンズの中心軸が来るように配置するため、集光レンズアレイ310は、偏光分離ユニットの横幅Wの1/4に相当する距離だけ、偏光分離ユニットアレイ320に対してX方向にずらした状態で配置されている。
【0068】
再び、図3に基づいて説明する。偏光分離ユニットアレイ320を構成する複数の偏光分離ユニット330の配列様式は、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201、及び、集光レンズアレイ310の配列様式と同じである。即ち、Y方向に隣り合う偏光分離ユニットは、X方向における配列ピッチのほぼ半分の長さに相当する距離だけ、それぞれがX方向に相互にずれた状態で配置されている。次に、この時のそれぞれの偏光分離ユニット330の配置状態、特に、それぞれの偏光分離ユニット内の偏光分離面と反射面の向きについて説明する。図5は、それぞれの偏光分離ユニット330内の偏光分離面331と反射面332の配置状態(向き)を偏光分離ユニットアレイ320を構成する各行毎に平面的に示したものである。ここで、各行の並びは図3における各行の並びに対応している。図5に示す様に、すべての偏光分離ユニット330において、その内部に形成された偏光分離面331と反射面332がすべて平行な状態となるように、且つ、Y方向に隣り合う偏光分離ユニット間においては、偏光分離面331と反射面332とが必ず隣り合う状態となるように、それぞれの偏光分離ユニット330が配置されている。この様な配列様式を取ることにより、第1の光学要素200から出射される中間光束を効率的に偏光分離ユニットに受け入れ、同時に、偏光分離ユニットアレイ320の大きさを最小化できる効果がある。
【0069】
偏光分離ユニットアレイ320の出射面の側には、λ/2位相差板381が規則的に配置された選択位相差板380が設置されている。即ち、偏光分離ユニットアレイ320を構成する偏光分離ユニット330のP出射面333の部分にのみλ/2位相差板381が配置され、S出射面334の部分にはλ/2位相差板381は設置されていない(図4を参照)。この様なλ/2位相差板381の配置状態により、偏光分離ユニット330から出射されたP偏光光束は、λ/2位相差板381を通過する際に偏光方向の回転作用を受けS偏光光束へと変換される。一方、S出射面334から出射されたS偏光光束はλ/2位相差板381を通過しないので、偏光方向は変化せず、S偏光光束のまま選択位相差板380を通過する。以上をまとめると、偏光分離ユニットアレイ320と選択位相差板380により、偏光方向がランダムな中間光束は一種類の偏光光束(この場合はS偏光光束)に変換されたことになる。
【0070】
選択位相差板380の出射面の側には、出射側レンズ390が配置されており、選択位相差板380によりS偏光光束に揃えられた光束は、出射側レンズ390により照明領域90へと導かれ、照明領域上で重畳結合される。ここで、出射側レンズ390は1つのレンズ体である必要はなく、第1の光学要素200のように、複数のレンズの集合体であってもよい。
【0071】
第2の光学要素300の機能をまとめると、第1の光学要素200により分割された中間光束202(つまり、光束分割レンズ201により切り出されたイメージ面)は、第2の光学要素300により照明領域90上で重畳結合される。これと同時に、途中の偏光分離ユニットアレイ320により、ランダムな偏光光束である中間光束は偏光方向が異なる二種類の偏光光束に空間的に分離され、選択位相差板380を通過する際に一種類の偏光光束に変換されて、殆どすべての光が照明領域90へと達する。このため、照明領域90は殆ど一種類の偏光光束でほぼ均一に照明されることになる。
【0072】
以上説明したように、本例の偏光照明装置1によれば、光源部10から出射されたランダムな偏光光束を、第1の光学要素200と第2の光学要素300により構成される偏光発生装置20により、ほぼ一種類の偏光光束に変換すると共に、その偏光方向の揃った光束により照明領域90を均一に照明できるという効果を有する。また、偏光光束の発生過程においては光損失を殆ど伴わないため、光源部から出射される光の殆どすべてを照明領域90へと導くことができ、従って、光の利用効率が極めて高いという特徴を有する。
【0073】
尚、本例では、第2の光学要素300を構成する集光レンズアレイ310、偏光分離ユニットアレイ320、選択位相差板380及び出射側レンズ390は光学的に一体化されており、それらの界面において発生する光損失を低減し、光利用効率を一層高める効果を発揮している。
【0074】
また、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201を、Y方向に隣り合う光束分割レンズでは、Y方向と直交するX方向における配列ピッチのほぼ半分の長さに相当する距離だけ、それぞれがX方向に相互にずれた状態となるように配置しているため、光源部から出射される光束が非常に不均一な強度分布を有するような場合でも、必要以上に光束分割レンズの数を増やすことなく、照明領域90上において光強度分布やその角度分布が極めて均一な高品位の偏光光束を照明光として得ることができる。
【0075】
さらに、横長の矩形形状である照明領域90の形状に合わせて、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201を横長の形状とし、同時に、偏光分離ユニットアレイ320から出射された二種類の偏光光束を横方向(X方向)に分離する形態としている。このため、横長の矩形形状を有する照明領域90を照明する場合でも、光量を無駄にすることなく、照明効率(光利用効率)を高めることができる。
【0076】
一般に、偏光方向がランダムな光束をP偏光光束とS偏光光束とに単純に分離すると、分離後の光束全体の幅は2倍に拡がり、それに応じて光学系も大型化してしまう。しかし、本発明の偏光照明装置では、第1の光学要素200により微小な複数の集光像203を形成し、それらの形成過程で生じた光の存在しない空間を上手く利用し、その空間に偏光分離ユニット330の反射面332を配置することにより、2つの偏光光束に分離することに起因して生じる光束の横方向への幅の広がりを吸収しているので、光束全体の幅は広がらず、小型の光学系を実現できるという特徴がある。
【0077】
(実施例2)
実施例1に対して、偏光分離ユニットアレイにおける偏光分離ユニットの配置様式を変えることもできる。別の配列様式を備えた例を偏光照明装置2とし、その要部を平面的にみた概略構成図を図6に示す。尚、この図6は、第2の光学要素300の中心を通るXZ平面における断面図である。この偏光照明装置2、および以下に説明する各実施例では、基本的な構成が実施例1に係わる偏光照明装置1と同じであるため、同じ機能を有する部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
本例の偏光照明装置2の基本的な構成は実施例1の偏光照明装置1と同じであるが、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201の配列様式、偏光分離ユニットアレイ320を構成する偏光分離ユニット330の配列様式、及び、システム光軸Lに対する光源部10の位置関係等が偏光照明装置1の場合とはやや異なる。
【0079】
図7は、偏光照明装置2で用いられる偏光分離ユニットアレイ320の外観を示している。図7から判るように、本例の偏光分離ユニットアレイ320では、実施例1の偏光分離ユニットアレイ320とは異なり、Y方向に隣り合う偏光分離ユニットが、X方向に相互にずれることなくマトリックス状に配置されている。 ここで、この時のそれぞれの偏光分離ユニット330の配置状態、特に、それぞれの偏光分離ユニット内の偏光分離面と反射面の向きについて説明する。図8は、それぞれの偏光分離ユニット330内の偏光分離面331と反射面332の配置状態を偏光分離ユニットアレイ320を構成する各行毎に平面的に示したものである。ここで、各行の並びは図7における各行の並びに対応している。図8に示すように、X方向に並ぶ1つの行を構成するすべての偏光分離ユニット330は、その内部に形成された偏光分離面331と反射面332とがすべて平行な状態となるように配列され、Y方向に隣り合う偏光分離ユニット間においては、偏光分離面331と反射面332とが必ず隣り合う状態となるように、さらに、Y方向に隣り合う行間においては、偏光分離面331と反射面332の方向がYZ平面を対称面として対称な配置状態となるように配列されている。
【0080】
次に、本例において用いた第1の光学要素200の外観を図9に示す。図9から判るように、本例の第1の光学要素200では、各行を構成する光束分割レンズ201の数はすべて同じである。この第1の光学要素200の中心に光源光軸Rが来るように、光源部10と第1の光学要素200との位置関係が設定される。この時、光源光軸Rに対して奇数行及び偶数行に位置する光束分割レンズ列の中心は、それぞれ光源光軸Rを境に、対称な方向に、光束分割レンズの横幅の1/4に相当する距離づつずれた配置となっている。従って、本例の偏光照明装置2において、システム光軸Lと光源光軸Rとは一致している。また、それぞれの偏光分離ユニット内の偏光分離面の中央部にそれぞれの集光レンズの中心軸が来るように配置するため、集光レンズアレイ310は、偏光分離ユニットの横幅Wの1/4に相当する距離だけ偏光分離ユニットアレイ320に対してX方向にずれた状態で配置されている。
【0081】
以上のような構成を採用することにより、第1の光学要素200から出射されるそれぞれの中間光束を効率的に受け入れ、ほぼ偏光方向の揃った一種類の偏光光束とし、その偏光光束により照明領域を高い効率で均一に照明できる。また、偏光分離ユニットアレイ320の大きさを最小化できるため、光学系全体の大きさも小型化できる効果を有する。
【0082】
さらに、本例においても、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201を、Y方向に隣り合う光束分割レンズではX方向における配列ピッチのほぼ半分の長さに相当する距離だけ、それぞれがX方向に相互にずれた状態となるように配置しているため、光源部から出射される光束が非常に不均一な強度分布を有するような場合でも、必要以上に光束分割レンズの数を増やすことなく、照明領域90上において光強度分布やその角度分布が極めて均一な高品位の偏光光束を照明光として得ることができるという特徴を有する。
【0083】
(実施例3)
第1の光学要素200により形成される集光像203の大きさとは、中間光束202の光束径が最も細くなった状態における光束径と等価であり、それぞれの集光像203はすべて同じ寸法形状をなしている訳ではない。即ち、光源光軸R付近に位置する光束分割レンズによって形成される集光像はその寸法が大きく、光源光軸Rから離れた周辺部に位置する光束分割レンズによって形成される集光像はその寸法が小さい。従って、第1の光学要素により形成されるそれぞれの集光像の寸法形状に合わせて、偏光分離ユニットアレイを構成するそれぞれの偏光分離ユニットの寸法形状を最適化すれば、光学系の効率を一層向上させられると共に、光学系の小型化を達成できる。この場合、2つの偏光光束をX方向に分離しているため、偏光分離ユニットのX方向とZ方向の大きさを最適化するだけでも、諸望する効果を期待することができる。
【0084】
図10は、上記の点を考慮して構成した偏光照明装置3の要部を平面的にみた概略構成図である。尚、この図10は、第2の光学要素300の中心を通るXZ平面における断面図である。本例の偏光照明装置3は実施例2の偏光照明装置2に基づいて構成しているため、その構成は偏光照明装置2とほぼ同じであるが、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201のレンズ特性、偏光分離ユニットアレイ320を構成するそれぞれの偏光分離ユニット330の寸法形状、選択位相差板380を構成するλ/2位相差板381の大きさ及び出射側レンズ390の構成等が偏光照明装置2の場合とはやや異なっている。
【0085】
本例の偏光分離ユニットアレイ320は、X方向とZ方向の寸法が異なる(Y方向の寸法は同じである)2種類の偏光分離ユニット340、偏光分離ユニット341を用いて構成されている。即ち、システム光軸L付近に位置する偏光分離ユニット340は寸法の大きな集光像に対応できるようにX方向とZ方向の寸法が大きく、一方、システム光軸Lから離れた周辺部に位置する偏光分離ユニット341は寸法の小さな集光像に対応できればよいからX方向とZ方向の寸法は小さくなっている。
【0086】
また、偏光分離ユニットアレイ320の出射面の側に配置される選択位相差板380も、偏光分離ユニット330の大きさに対応するように、λ/2位相差板のXY平面上における大きさが最適化されている。即ち、システム光軸L付近には大きな寸法のλ/2位相差板L382を、システム光軸Lから離れた周辺部には小さな寸法の小さなλ/2位相差板S383を配置した選択位相差板380を用いている。さらに、選択位相差板380の出射面の側に配置される出射側レンズ390も、偏光分離ユニット330の大きさに対応するように、大きさ及びレンズ特性の異なる複数のレンズで構成された複合レンズとなっている。
【0087】
偏光分離ユニットアレイ320を構成する偏光分離ユニット330の大きさがその配置場所により異なるため、第1の光学要素200により形成される集光像203の形成位置を偏光分離ユニット330の配置場所に合わせる必要がある。そのため、本例では、偏心系レンズからなる光束分割レンズ201を部分的に用いて対応している。
【0088】
以上のような構成を採用することにより、第1の光学要素200により形成されるそれぞれの中間光束202(集光像203)をほぼ完全に第2の光学要素300に取り込むことができるため、偏光光束の発生過程で殆ど光損失を生じず、従って、光源光の利用効率を一層向上させることができる。さらに、偏光分離ユニット330の断面(XY平面)方向の大きさを必要以上に大きくすることが無くなるため、偏光分離ユニットアレイ320及び第2の光学要素300を小型化できる効果がある。
【0089】
尚、本例では、第1の光学要素200により形成されるそれぞれの集光像203の寸法形状に合わせて、偏光分離ユニットアレイ320を構成するそれぞれの偏光分離ユニット330の寸法形状を最適化したが、同時に、集光レンズアレイ310を構成するそれぞれの集光レンズ311の寸法形状を集光像203の寸法形状に合わせて最適化した構成を採用することもでき、その場合においても、本例の場合と同様に、光源光の利用効率を一層向上できると共に、集光レンズアレイを小型化でき、同時に集光レンズアレイの低コスト化を達成できる効果がある。
【0090】
(実施例1の偏光照明装置を用いた表示装置)
実施例1に示した偏光照明装置1が組み込まれた直視型の表示装置の一例について説明する。尚、本例においては、偏光照明装置からの出射光束を表示情報に基づいて変調する変調手段として液晶パネルを用いている。
【0091】
図11は、本例の表示装置600の要部を示した概略構成図であり、YZ平面における断面構造を示している。本例の表示装置600は、実施例1に示した偏光照明装置1、反射ミラー510、及び液晶パネル520から大略構成されている。
【0092】
偏光照明装置1は、ランダムな偏光光束を一方向に出射する光源部10を備え、この光源部10から出射されたランダムな偏光光束は、偏光発生装置20によりほぼ一種類の偏光光束に変換される。この偏光照明装置1から出射された偏光光束は、反射ミラー510により光の進行方向を約90度曲げられ、液晶パネル520をほぼ一種類の偏光光束により照明する。液晶パネルの前後には偏光板521が配置されている。尚、視野角の改善を目的として光拡散板(図示せず)を液晶パネル520の手前(反射ミラー510側)に配置した構造としてもよい。
【0093】
このように構成した表示装置600では、一種類の偏光光束を変調するタイプの液晶パネルが用いられている。従って、従来の照明装置を用いてランダムな偏光光束を液晶パネルに導くと、ランダムな偏光光束のうちの約半分の光は、偏光板521で吸収されて熱に変わってしまい、光の利用効率が悪いという問題点があった。しかし、本例の表示装置600では、かかる問題点が大幅に改善されている。
【0094】
即ち、本例の表示装置600では、偏光照明装置1において、一方の偏光光束、例えばP偏光光束のみに対して、λ/2位相差板によって偏光面の回転作用を与え、他方の偏光光束、例えばS偏光光束と偏光方向が揃った状態とする。それ故、偏光方向の揃ったほぼ一種類の偏光光束が液晶パネル520に導かれるので、偏光板521による光吸収は非常に少なく、従って、光源光の利用効率が向上し、明るい表示状態を得ることができる。
【0095】
また、偏光照明装置1において、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201を、Y方向に隣り合う光束分割レンズでは、Y方向と直交するX方向における配列ピッチのほぼ半分の長さに相当する距離だけ、それぞれがX方向に相互にずれた状態となるように配置しているため、液晶パネル520上において光強度分布やその角度分布が極めて均一な高品位の照明光を得ることができ、従って、明るさムラや色ムラの少ない明るい高品位な表示状態を得ることができる。
【0096】
なお、本例の表示装置では実施例1の偏光照明装置1を用いたが、このかわりに前述した実施例2の偏光照明装置2や、実施例3の偏光照明装置3を用いることができることは言うまでもない。
【0097】
(実施例1の偏光照明装置を用いた投写型表示装置)
実施例1に示した偏光照明装置1が組み込まれた投写型表示装置の一例について説明する。尚、本例においては、偏光照明装置からの出射光束を表示情報に基づいて変調する変調手段として液晶パネルを用いている。
【0098】
図12は、本例の投写型表示装置800の要部を示した概略構成図であり、XZ平面における構成を示している。本例の投写型表示装置800は、実施例1に示した偏光照明装置1、白色光束を3色の色光に分離する色光分離手段、それぞれの色光を表示情報に基づいて変調し表示映像を形成する3枚の液晶パネル、3色の色光を合成しカラー画像を形成する色光合成手段、そのカラー画像を投写表示する投写光学系とから大略構成されている。
【0099】
本例の偏光照明装置1は、ランダムな偏光光束を一方向に出射する光源部10を備え、この光源部10から出射されたランダムな偏光光束は、偏光発生装置20によりほぼ一種類の偏光光束に変換される。
【0100】
この偏光照明装置1から出射された光束は、まず、色光分離手段である青光緑光反射ダイクロイックミラー801において、赤色光が透過し、青色光及び緑色光が反射する。赤色光は、反射ミラー802で反射され、赤光用液晶パネル803に達する。一方、青色光及び緑色光のうち、緑色光は、やはり色光分離手段である緑光反射ダイクロイックミラー804によって反射され、緑光用液晶パネル805に達する。
【0101】
ここで、青色光は各色光のうちで最も長い光路長を持つので、青色光に対しては、入射レンズ806、リレーレンズ808、及び出射レンズ810からなるリレーレンズ系で構成された導光手段850を設けてある。即ち、青色光は、緑光反射ダイクロイックミラー804を透過した後に、まず、入射レンズ806及び反射ミラー807を経て、リレーレンズ808に導かれ、このリレーレンズに集束された後、反射ミラー809によって出射レンズ810に導かれ、しかる後に、青光用液晶パネル811に達する。ここで、3ヶ所の液晶パネル803、805、811は、それぞれの色光を変調し、各色光に対応した映像情報を含ませた後に、変調した色光を色光合成手段であるクロスダイクロイックプリズム813に入射する。クロスダイクロイックプリズム813には、赤光反射の誘電体多層膜と青光反射の誘電体多層膜とが十字状に形成されており、それぞれの変調光束を合成しカラー映像を形成する。ここで形成されたカラー映像は、投写光学系である投写レンズ814によりスクリーン815上に拡大投影され、投写映像を形成することになる。
【0102】
このように構成した投写型表示装置800では、一種類の偏光光束を変調するタイプの液晶パネルが用いられている。従って、従来の照明装置を用いてランダムな偏光光束を液晶パネルに導くと、ランダムな偏光光束のうちの約半分の光は、偏光板(図示せず)で吸収されて熱に変わってしまうので、光の利用効率が悪いと共に、偏光板の発熱を抑える大型で騒音の大きな冷却装置が必要であるという問題点があった。しかし、本例の投写型表示装置800では、かかる問題点が大幅に改善されている。
【0103】
即ち、本例の投写型表示装置800では、偏光照明装置1において、一方の偏光光束、例えばP偏光光束のみに対して、λ/2位相差板によって偏光面の回転作用を与え、他方の偏光光束、例えばS偏光光束と偏光方向が揃った状態とする。それ故、偏光方向の揃ったほぼ一種類の偏光光束が3ヶ所の液晶パネル803、805、811に導かれるので、偏光板による光吸収は非常に少なく、従って、光の利用効率が向上し、明るい投写映像を得ることができる。また、偏光板による光吸収量が低減するので、偏光板での温度上昇が抑制され、従って、冷却装置の小型化と低騒音化を達成でき、高性能な投写型表示装置を実現できる。
【0104】
また、本例の投写型表示装置800においては、色光合成手段としてクロスダイクロイックプリズム813を用いているが、このクロスダイクロイックプリズム813は赤光反射の誘電体多層膜と青光反射の誘電体多層膜を形成した4つの直角プリズムからなる複合体であるため、それらの直角プリズムが十字状に接合された境界面では局部的に大きな光散乱を生じる。従って、このクロスダイクロイックプリズムを用いて投写型表示装置を構成すると、クロスダイクロイックプリズムの中央部で生じる局部的な光散乱の影響で、投写映像の中央部が縦方向に暗くなり、非常に目障りなものとなるという問題があった。この問題を解決するためには、クロスダイクロイックプリズムを通過する光の均質性(光強度分布やその角度分布を均一化すること)を高めることが必要であり、即ちそれは、液晶パネルを照明する光の均質性を高めることに他ならない。これに対して、本例の投写型表示装置800では、かかる問題点が大幅に改善されている。
【0105】
即ち、本例の投写型表示装置800を構成する偏光照明装置1においては、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201を、Y方向に隣り合う光束分割レンズでは、Y方向と直交するX方向における配列ピッチのほぼ半分の長さに相当する距離だけ、それぞれがX方向に相互にずれた状態となるように配置しているため、各液晶パネル803、805、811上において極めて光強度分布やその角度分布が均一な高品位の照明光を得ることができる。この光の均質性が高い照明光を利用して投写映像を形成するため、クロスダイクロイックプリズム813における局部的な光散乱の影響を回避でき、投写映像の中央部が縦方向に暗くなることなく、高品位な映像をスクリーン815上に映し出すことができる。
【0106】
さらに、偏光照明装置1では、第2の光学要素300において、2種類の偏光光束を横方向(X方向)に空間的に分離している。従って、光量を無駄にすることがなく、横長の矩形形状をした液晶パネルを照明するのに都合がよい。
【0107】
先の実施例1に関して説明したように、本例の偏光照明装置1では、偏光変換光学要素を組み入れているにもかかわらず、偏光分離ユニットアレイ320を出射する光束の幅の広がりが抑えられている。このことは、液晶パネルを照明する際に、大きな角度を伴って液晶パネルに入射する光が殆どないことを意味している。従って、Fナンバーの小さな極めて大口径の投写レンズ系を用いなくても明るい投写映像を実現でき、その結果、小型の投写型表示装置を実現できる。
【0108】
また、本例では、色光合成手段として、クロスダイクロイックプリズム813を用いているので、装置の小型化が可能である。また、液晶パネル802、805、811と投写レンズ系との間の光路長が短いので、比較的小さな口径の投写レンズ系を用いても、明るい投写映像を実現できる。また、各色光は、3光路のうちの1光路のみ、その光路長が異なるが、本例では光路長が最も長い青色光に対しては、入射レンズ806、リレーレンズ808、及び出射レンズ810からなるリレーレンズ系で構成した導光手段850を設けてあるので、色ムラなどが生じない。
【0109】
尚、2枚のダイクロイックミラーを色光合成手段として用いたミラー光学系により投写型表示装置を構成することもできる。勿論、その場合においても本例の偏光照明装置を組み込むことが可能であり、本例の場合と同様に、光の利用効率に優れた明るい高品位の投写映像を形成することができる。
【0110】
最後に、本例の投写型表示装置では実施例1の偏光照明装置1を用いたが、このかわりに前述した実施例2の偏光照明装置2や、実施例3の偏光照明装置3を用いることができることは言うまでもない。
【0111】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の光学素子は、非常に高い効率で特定の偏光光束を発生させることが可能であり、また、明るさが均一で色むらのない偏光光束を得ることが可能である。
【0112】
また、本発明の偏光発生装置は、ランダムな偏光光束である入射光束から、照明領域における光強度分布やその角度分布が入射光束のそれよりも均一であり、偏光方向がほぼ揃った出射光束を非常に高い効率で発生することができる。
【0113】
さらに、本発明の表示装置ならびに投写型表示装置は、表示面並びに投写面全体に渡ってきわめて均一な画像を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係わる偏光照明装置の光学系を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1に係わる第1の光学要素の斜視図である。
【図3】本発明の実施例1に係わる偏光分離ユニットアレイの斜視図である。
【図4】図3の偏光分離ユニットの機能を説明するための図である。
【図5】図3の偏光分離ユニットアレイを構成する、それぞれの偏光分離ユニット内部における偏光分離面及び反射面の配置状態を示した図である。
【図6】本発明の実施例2に係わる偏光照明装置の光学系を示す概略構成図である。
【図7】本発明の実施例2に係わる偏光分離ユニットアレイの斜視図である。
【図8】図7の偏光分離ユニットアレイを構成する、それぞれの偏光分離ユニット内部における偏光分離面及び反射面の配置状態を示した図である。
【図9】本発明の実施例2に係わる第1の光学要素の斜視図である。
【図10】本発明の実施例3に係わる偏光照明装置の光学系を示す概略構成図である。
【図11】図1の偏光照明装置が組み込まれた、本発明の実施例4に係わる表示装置の一例を示す光学系の概略構成図である。
【図12】図1の偏光照明装置が組み込まれた、本発明の実施例5に係わる投写型表示装置の一例を示す光学系の概略構成図である。
【図13】特開平7−294906号公報に開示されている偏光光学系の概略構成図である。
【符号の説明】
1、2、3 偏光照明装置
10 光源部
20 偏光発生装置
90 照明領域
101 光源ランプ
102 放物面リフレクター
200 第1の光学要素
201 光束分割レンズ
202 中間光束
203 集光像
300 第2の光学要素
310 集光レンズアレイ
311 集光レンズ
320 偏光分離ユニットアレイ
330 偏光分離ユニット
331 偏光分離面
332 反射面
333 P出射面
334 S出射面
335 P偏光光束
336 S偏光光束
340 偏光分離ユニット
341 偏光分離ユニット
380 選択位相差板
381 λ/2位相差板
382 λ/2位相差板
383 λ/2位相差板
390 出射側レンズ
600 表示装置
510、802、807、809 反射ミラー
520、950 液晶パネル
521 偏光板
800 投写型表示装置
801 青光緑光反射ダイクロイックミラー
803 赤光用液晶パネル
804 緑光反射ダイクロイックミラー
805 緑光用液晶パネル
806 入射レンズ
808 リレーレンズ
810 出射レンズ
811 青光用液晶パネル
813 クロスダイクロイックプリズム
814 投写レンズ
815 スクリーン
850 導光手段
910 レンズ板
920 偏光ビームスプリッタ
930 反射プリズム
940 λ/2位相差板

Claims (16)

  1. 行方向に配列される反射面と偏光光束分離面とを備え、入射する光束をS偏光光束とP偏光光束とに行方向へ分離する偏光光束分離手段と、前記偏光光束分離手段によって分離された前記P偏光光束、前記S偏光光束のうち、いずれか一方の偏光方向を他方の偏光方向に変換し、前記他方の偏光光束と、偏光方向が変換された前記一方の偏光光束を出射する偏光変換手段とを有し、前記偏光光束分離手段が行方向、列方向に複数配置された光学素子であって、前記偏光光束分離手段は、前記列方向に、前記反射面と前記偏光光束分離面とが交互に配列されるように配置されてなることを特徴とする光学素子。
  2. 前記行方向及び前記列方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とは互いに平行に配列されてなることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 前記行方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とは互いに平行に配列されてなり、
    前記列方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とは互いに垂直に配列されてなることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  4. 入射光束を集光し、互いに空間的に分離された複数の中間光束に変換する第1の光学要素と、前記中間光束が収束する位置付近に配置された第2の光学要素とを有し前記第1の光学要素は、マトリックス状に配置された複数の光束分割レンズからなり、前記複数の光束分割レンズは、列方向に隣り合う光束分割レンズが行方向に相互にずれた状態で配列され、前記第2の光学要素は、前記中間光束のそれぞれをS偏光光束とP偏光光束とに行方向へ分離する偏光光束分離手段と、前記偏光光束分離手段によって分離された前記P偏光光束、前記S偏光光束のうちいずれか一方の偏光方向を他方の偏光方向に変換する偏光変換手段とを備え、前記偏光光束分離手段が行方向、列方向に複数配置された光学素子と、前記他方の偏光光束と、前記偏光変換手段によって偏光方向が変換された前記一方の偏光光束とを重畳結合させる重畳結合手段とを有する偏光発生装置であって、
    前記偏光光束分離手段は行方向に配列される反射面と偏光光束分離面とを備え、前記列方向に、前記反射面と前記偏光光束分離面とが交互に配列されるように配置されてなることを特徴とする偏光発生装置。
  5. 前記行方向及び前記列方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とは互いに平行に配列されてなることを特徴とする請求項4記載の偏光発生装置。
  6. 前記光学素子の前記偏光光束分離手段の配置形状が、前記第1の光学要素の前記光束分割レンズの配置形状と一致することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の偏光発生装置。
  7. 前記行方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とは互いに平行に配列されてなり、
    前記列方向の前記反射面と前記偏光光束分離面とは互いに垂直に配列されてなることを特徴とする請求項4記載の偏光発生装置。
  8. 前記複数の偏光光束分離手段のうち、前記光源の光軸付近に位置する前記偏光光束分離手段の寸法が、前記光源の光軸から離れた周辺部に位置する前記偏光光束分離手段の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の偏光発生装置。
  9. 前記光束分割レンズが矩形であることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の偏光発生装置。
  10. 前記行方向と前記列方向とで形成される平面における前記偏光光束分離手段の形状と、前記行方向と前記列方向とで形成される平面における前記光束分割レンズの形状とが相似形であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の偏光発生装置。
  11. 前記第2の光学要素が、更に、前記第1の光学要素によって空間的に分離された複数の前記中間光束をそれぞれ集光する集光手段を有し、前記集光手段はマトリックス状に配置された複数の集光レンズからなることを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載の偏光発生装置。
  12. 前記集光レンズの行方向の配列ピッチと、前記偏光光束分離手段の行方向の配列ピッチとは同一であり、前記集光手段と前記光学素子とは、前記集光レンズと前記偏光光束分離手段とが行方向に1/4ピッチずつずれるように配置されてなることを特徴とする請求項11記載の偏光発生装置。
  13. 請求項4〜12のいずれかに記載の偏光発生装置と、前記偏光発生装置から出射された光を変調する変調手段とを有することを特徴とする表示装置。
  14. 請求項4〜12のいずれかに記載の偏光発生装置と、前記偏光発生装置から出射された光を変調する変調手段と、前記変調手段によって変調された光を投写する投写光学手段とを有することを特徴とする投写型表示装置。
  15. 更に、前記偏光発生装置からの光束を2以上の色光に分離する色光分離手段と、前記それぞれの色光に対応して設けられた2以上の前記変調手段と、それぞれの前記変調手段によって変調された色光を合成する色光合成手段とを有し、前記色光合成手段により合成された光束が、前記投写光学手段を介して投写されることを特徴とする請求項14に記載の投写型表示装置。
  16. 前記色光合成手段は、ダイクロイック膜を十字状に配置したクロスダイクロイックプリズムからなることを特徴とする請求項15に記載の投写型表示装置。
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