JP3998780B2 - ベニヤ単板の接合乾燥方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は未乾燥のベニヤ単板(以下単板という)の接合と乾燥を平行して行う方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、未乾燥の所定厚さの単板を熱硬化性樹脂接着剤を用いて接合し乾燥する場合、図1に示すように、接合する端面に例えば尿素樹脂接着剤を塗布した未乾燥の単板1を、該単板1の繊維方向と直交する方向に該端面を接触した状態で複数枚並べる。この状態で、単板全体を圧接する広さの面に一端から他端に連続し幅及び深さが5mm程度の溝3が多数形成されており摂氏150〜190度程度に加熱された熱板2を、油圧シリンダ4により前記並べた未乾燥の単板1の表裏両面から単板の1平方センチメエトル当たりに2キログラムの力が加わるように設定して、圧接して行っていた。
この時、熱板2による圧接を単板1が乾燥するまで継続すると、次のようになる。即ち、該継続によりやがて含水率が30%以下となり単板1は収縮しようとするが、単板1の大部分は熱板2から作用する摩擦力により収縮による移動を規制される。しかるに、熱板2の溝3が形成された面の微小なうねりや単板の厚さの不均一さ等により作用する摩擦力が小さくなる箇所が生じ、該箇所で単板1が収縮して移動することにより大きな割れが発生し欠点となり品質が低下してしまうのである。
それ故、所定時間経過後に熱板2による圧接を解放し、単板に殆ど力が作用しない状態で自由に収縮させた後に再び圧接し、これら圧接及び圧接解放を数回繰り返して接合乾燥を行っていた。
【0003】
【発明が解決すべき課題】
しかるに上記の方法では、熱板2により未乾燥の単板1全体がほぼ均一に乾燥されるため、尿素樹脂接着剤が硬化する前即ち接合される前に単板1の含水率が低下して収縮してしまうのである。そのため、隣合う単板1の端面同士の間に隙間ができ、この状態で尿素樹脂接着剤が硬化しても単板1同志は接合されないのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこれら問題を解決するために、互いに接合される所定厚さで長方形の未乾燥の単板の少なくとも一方の単板の端部には該所定厚さより薄い部分を備え、該一方の単板の薄い部分と他方の単板の端部とを熱硬化性樹脂接着剤を介して重ね合わせ、単板全体の表面に第2の加熱体を所定時間圧接した後該圧接を解放し、以下該圧接及び解放の動作を繰り返すものである。
また互いに接合される所定厚さで長方形の未乾燥の単板の少なくとも一方の単板の端部には該所定厚さより薄い部分を備え、該一方の単板の薄い部分と他方の単板の端部とを熱硬化性樹脂接着剤を介して重ね合わせ、該重ね合わせた箇所を跨いだ状態で、前記端部と直交する方向には単板全幅に渡ってまた前記端部と平行な方向には単板全幅より短い所定幅で第1の加熱体を所定時間圧接した後、加熱体による単板への圧接を解放し、次いで前記加熱体の圧接で一体となった単板全体の表面に第2の加熱体を所定時間圧接した後該圧接を解放し、以下該圧接及び解放の動作を繰り返すようにしてもよい。
上記において、薄い部分を加熱することで該薄い部分の含有水分の少なくとも一部を蒸発させてから、一方の単板の薄い部分と他方の単板の端部とを熱硬化性樹脂接着剤を介して重ね合わせても良い。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。
ベニヤレースにより所定厚さで切削されまだ乾燥されていない単板5において、図2に示すように、矢印で示す繊維方向と直交する方向の両端を刃物(図示せず)により削り取ることにより、角度Xが例えば50度となるように表裏面に対し傾斜した面6を有し所定厚さより薄い部分7を形成する。
次いで、これら未乾燥の単板5の2箇所の該薄い部分7の少なくとも一方の面6に尿素樹脂接着剤を塗布し、このような単板5の複数枚を、前記従来技術で説明した溝3を有し摂氏150〜190度程度に加熱された一対の熱板2により次のように圧接する。即ち図3に示すように、上側の熱板2を上昇させ間隔を開けた状態で、下側の熱板2の上に単板5を1枚毎に交互に裏返しし且つ隣合う単板5で互いの面6が尿素樹脂接着剤を介して接触する状態に並べる。
【0006】
次いで上側の熱板2を下降させ、上下の熱板により全部の単板5の表裏面全体を、単板の1平方センチメエトル当たりに2キログラムの力が加わるように設定して加熱する。
そこで、単板5は含有水分が蒸気となって溝3から大気中へと排出され乾燥されていく。
このように乾燥が進むと、図3の円Aで囲んだ部分の拡大図である図4において、単板5a及び単板5bの所定厚さより薄い部分7の矢印yで示す先端部は他の箇所に比べて厚さが非常に薄いため速く乾燥し、また該先端部が乾燥することで、該先端部に相対する矢印zで示す箇所にも熱板2からの熱が伝達されやすくなり比較的速く乾燥する。
そのため単板5aの矢印yで示す先端部と単板5bの矢印zで示す箇所との間の尿素樹脂接着剤、単板5aの矢印zで示す箇所と単板5bの矢印yで示す先端部との間の尿素樹脂接着剤が各々硬化し、部分的ではあるが単板5a及び単板5bの接合が行われる。
【0007】
このような部分的な接合は、面6が互いに接触する状態にある単板5の間で生じる。
尚、実験によれば、単板の所定厚さに殆ど関係なく、前記温度及び圧力条件の熱板の圧接により約2分間で以上のような単板の部分的な接合がなされることが分かった。また通常単板は乾燥される前の初期含水率が70%以上と高いため、この2分間では殆どの単板は含水率が収縮を開始する30%以下とならず、単板5に割れが発生することがない。仮に30%以下となり収縮が生じる状態となったとしても、該状態となるのは該2分間の最後の数十秒程度であるため収縮する量は少なく、単板5に大きな割れが生じることはない。またこの2分間の圧接は連続するのが良いが、必要があれば1分経過後に一旦解放し更に1分間圧接しても良い。
そこで約2分間経過した後、油圧シリンダ4を作動させて上側の熱板2の上昇させ、単板5への熱板2の圧接を数秒間解放すると、前記のように単板5の含水率が仮に30%以下となっていても、自由に収縮することができる。
またこの収縮で単板5が移動する場合、前記のように各単板5は既に部分的に接合されているので、分離することがなく一体となって移動する。
【0008】
前記解放して数秒後に、再び油圧シリンダ4を作動させて熱板2を下降させ前記と同じ条件で単板5に圧接する。この2回目に圧接の時、単板5は上記最初の2分間の圧接による乾燥で含水率が低下し収縮を開始する30%近くになっている場合もあり、2回目の圧接間が長いと収縮量が過大となって前述のように大きな割れが発生することがあるので1分程度とし圧接する。
【0009】
2回目の1分間の熱板2による圧接が終了すると、同じく圧接を数秒間解放し、以下同様に1分間の圧接及び数秒間の圧接解放を、単板5が希望する含水率となるまで複数回繰り返す。このような乾燥において、最初の2分間で部分的に接合されていた隣合う単板5の端面6同志は、熱板2が圧接される毎に表裏面から更に順次乾燥され且つ該乾燥された部分の尿素樹脂接着剤が硬化させられ、単板5が希望する含水率となった時点ではほぼ各面6で強固に接合されている。
上述のように、熱板2が圧接されると、単板5は所定厚さの部分に比べて該薄い部分7でしかも先端が速く乾燥され、該先端部が接着剤により接合されるため、単板6全体が乾燥して収縮が生じる前に接合されることが保証されるのである。
【0010】
以上本発明の実施の形態を説明したが、次のように変更しても良い。
1、前記発明の実施の形態では、未乾燥の単板5の端部に傾斜した面6を有する所定厚さより薄い部分7を形成した後、該面6に尿素樹脂接着剤を塗布したが、以下のようにしても良い。
即ち、面6に接着剤を塗布する前に、単板5の図5に示すように、面6と平行な面8を有し摂氏190度程度に加熱された加熱体9と、平坦な面10を有し同じ温度に加熱されたする加熱体11とを設け、単板5の薄い部分7を加熱体11の上に載せ、次いで図6に示すように加熱体9を下降させて30秒程度圧接させる。その後、前記発明の実施の形態と同様に面6に尿素樹脂接着剤を塗布し、図3に示したように単板5を並べ、以下同様の時間で熱板2の単板5への圧接及び解放を繰り返して、単板5を接合し乾燥しても良い。
【0011】
2、前記発明の実施の形態では、未乾燥の単板5全体に熱板2を圧接し接合乾燥したが、接着剤を塗布した後の単板5を熱板2上に並べる作業性の悪さを解決するため以下のようにしても良い。
即ち、平面説明図である図7及び図7の側面説明図である図8に示すように、接合乾燥する単板12に対し繊維方向と直交する方向では全幅に渡って接触可能で且つ繊維方向では部分的に接触する大きさに形成され、温度及び単板1平方センチメエトル当たりに作用する力が前記熱板2と同様に設定された熱板13を、上下に相対して配置しまた上側の熱板13が上下動自在として、単板の繊維方向に間隔を置いて配置する。
最初に上側の熱板13を上昇させておき、下側の熱板13の上に、前記発明の実施2形態と同様に、所定厚さより薄い部分を形成するべく、端部に表裏面に対し傾斜した面が形成され且つ該面に尿素樹脂接着剤が塗布された未乾燥の単板12の複数枚を、隣合う単板12で互いの該面が尿素樹脂接着剤を介して接触する状態に並べる。この状態で上側の各熱板13を下降させ2分間圧接させると、単板12の各熱板13が圧接された部分で、前記発明の実施の形態と同様に、所定厚さより薄い部分の先端部と該先端部に相対する箇所との接合が行われる。
このように接合され一体となった複数枚の単板12の表裏面全体に、前記発明の実施の形態で説明した熱板2による1分間の圧接及び数秒間の解放を繰り返して、複数枚の単板12の接合及び乾燥を行うのである。
【0012】
3、2で示した変更例においては、図9に示すように、同様の熱板13を単板12の表裏面側の交互に配置しまた各熱板13に相対して受け台14を設けて、上側の熱板13及び受け台14を上下動させることにより、単板12の所定厚さより薄い部分の先端部と該先端部に相対する箇所との接合を、単板12の繊維方向で表裏面側交互に行った後、一体となった複数枚の単板12の表裏面全体に熱板2を同様に圧接し、解放しても良い。
4、前述の熱板2、13の温度及び単板に圧接する時間は、単板の初期含水率、乾燥による収縮の程度等により適宜変更すれば良い。
【0013】
5、前記では単板の表裏両面に熱板を圧接する場合を示したが、時間はかかるが単板の片面だけに熱板を圧接しても良い。
6、前記では単板を繊維方向と直交する方向に接合する所謂横矧の場合を示したが、単板を繊維方向に接合する所謂縦矧の場合に実施しても良く、特に単板の繊維が複雑に入り組んでいて乾燥により繊維方向にも大きく収縮する樹種の場合に有効である。。
7、単板に形成する所定厚さより薄い部分は、図10の側面説明図に示すような形状であっても良い。
(a)は一方の単板15だけに所定厚さより薄い部分16を形成したもので、該薄い部分16の下面に尿素樹脂接着剤を塗布し(a)の左側の状態とした後、表裏面より上気した条件で熱板17を圧接すると、単板が圧縮変形し(a)の右側のように接合される。
(b)は両方の単板15に該薄い部分16を形成したものであり、(c)、(d)、(e)は右側の単板にだけ該薄い部分16を形成したものである。
【0014】
【効果】
以上のように本発明では、未乾燥の単板の加熱接合において、熱板が圧接されると、単板は所定厚さの部分に比べて該薄い部分でしかも先端が速く乾燥され、該先端部が接着剤により接合されるため、単板6全体が乾燥して収縮が生じる前に接合されることが保証され、単板を良好に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
従来の方法を実施するための装置の側面説明図である。
【図2】
単板の斜視図である。
【図3】
本発明の方法を実施するための装置の側面説明図である。
【図4】
図3の円Aの拡大説明図である。
【図5】
変更例の作動説明図である。
【図6】
変更例の作動説明図である。
【図7】
変更例の平面説明図である。
【図8】
図7の側面説明図である。
【図9】
変更例の側面説明図である。
【図10】
単板の所定厚さより薄い部分の側面説明図である。
【符合の説明】
2・・熱板
5・・単板
6・・傾斜した面
7・・ 単板の所定厚さより薄い部分

Claims (6)

  1. 互いに接合される所定厚さで長方形の未乾燥のベニヤ単板の少なくとも一方のベニヤ単板の端部には該所定厚さより薄い部分を備え、
    該一方のベニヤ単板の薄い部分と他方のベニヤ単板の端部とを熱硬化性樹脂接着剤を介して重ね合わせ、
    ベニヤ単板全体の表面に加熱体を所定時間圧接した後該圧接を解放し、以下該圧接及び解放の動作を繰り返すことからなるベニヤ単板の接合乾燥方法。
  2. 互いに接合される所定厚さで長方形の未乾燥のベニヤ単板の少なくとも一方のベニヤ単板の端部には該所定厚さより薄い部分を備え、
    該一方のベニヤ単板の薄い部分と他方のベニヤ単板の端部とを熱硬化性樹脂接着剤を介して重ね合わせ、
    該重ね合わせた箇所を跨いだ状態で、前記端部と直交する方向にはベニヤ単板全幅に渡ってまた前記端部と平行な方向にはベニヤ単板全幅より短い所定幅で第1の加熱体を所定時間圧接した後、加熱体によるベニヤ単板への圧接を解放し、
    次いで前記加熱体の圧接で一体となったベニヤ単板全体の表面に第2の加熱体を所定時間圧接した後該圧接を解放し、以下該圧接及び解放の動作を繰り返すことからなるベニヤ単板の接合乾燥方法。
  3. 互いに接合される所定厚さで長方形の未乾燥のベニヤ単板の少なくとも一方のベニヤ単板の端部には該所定厚さより薄い部分を備え、
    該薄い部分を加熱することで該薄い部分の含有水分の少なくとも一部を蒸発させ、
    次いで該一方のベニヤ単板の薄い部分と他方のベニヤ単板の端部とを熱硬化性樹脂接着剤を介して重ね合わせ、
    ベニヤ単板全体の表面に加熱体を所定時間圧接した後該圧接を解放し、以下該圧接及び解放の動作を繰り返すことからなるベニヤ単板の接合乾燥方法。
  4. 互いに接合される所定厚さで長方形の未乾燥のベニヤ単板の少なくとも一方のベニヤ単板の端部には該所定厚さより薄い部分を備え、
    該薄い部分を加熱することで該薄い部分の含有水分の少なくとも一部を蒸発させ、
    次いで該一方のベニヤ単板の薄い部分と他方のベニヤ単板の端部とを熱硬化性樹脂接着剤を介して重ね合わせ、
    該重ね合わせた箇所を跨いだ状態で、前記端部と直交する方向にはベニヤ単板全幅に渡ってまた前記端部と平行な方向にはベニヤ単板全幅より短い所定幅で第1の加熱体を所定時間圧接した後、加熱体によるベニヤ単板への圧接を解放し、
    次いで前記加熱体の圧接で一体となったベニヤ単板全体の表面に第2の加熱体を所定時間圧接した後該圧接を解放し、以下該圧接及び解放の動作を繰り返すことからなるベニヤ単板の接合乾燥方法。
  5. ベニヤ単板の繊維方向と端部とが平行となる状態で、一方のベニヤ単板の薄い部分と他方のベニヤ単板の端部とを熱硬化性樹脂接着剤を介して重ね合わせる請求項1乃至4項のいずれかに記載のベニヤ単板の接合乾燥方法。
  6. ベニヤ単板の繊維方向と端部とが直交する状態で、一方のベニヤ単板の薄い部分と他方のベニヤ単板の端部とを熱硬化性樹脂接着剤を介して重ね合わせる請求項1乃至4項のいずれかに記載のベニヤ単板の接合乾燥方法。
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