JP3998497B2 - 現像装置、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は現像装置、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写装置、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置として、電子写真プロセスを用いて、潜像担持体に潜像を形成し、この潜像に粉体である現像剤(以下「トナー」ともいう。)を付着させて現像してトナー像として可視像化し、このトナー像を記録媒体に転写し、或いは中間転写部材に一旦転写した後記録媒体に転写することで画像を形成するものがある。
【0003】
このような画像形成装置において、潜像を現像する現像装置としては、従来から、現像装置内で攪拌されたトナーを現像剤担持体である現像ローラ表面に担持し、現像ローラを回転させることによって潜像担持体の表面に対向する位置まで搬送し、潜像担持体の潜像を現像し、現像終了後、潜像担持体に転写しなかったトナーは現像ローラの回転により現像装置内に回収し、新たにトナーを攪拌・帯電して再び現像ローラに担持して搬送するようにしたものが知られている。
【0004】
また、画像形成装置としては、特開平9−197781号公報、特開平9−329947号公報に記載されているように、潜像担持体と現像ローラとの間にDCとACの重畳電圧を印加して、非接触で現像ローラから潜像担持体にトナーを転移させる所謂ジャンピング現像と称する方式で現像するものも知られている。
【0005】
さらに、画像形成装置としては、特開平9−197807号公報に記載されているように、一成分現像方式と同じく現像ローラを用いてトナーを現像領域に搬送し、現像領域では電極群にAC電圧を印加してトナーをクラウド化するようにしたもの、特開平5−31146号公報、同5−31147号公報に記載されているように、静電搬送基板を用いて、トナーを潜像担持体に対向する位置まで搬送し、振動、浮遊、スモーク化させて、潜像担持体との間で生じる吸引力で搬送面からトナーを分離して潜像担持体表面に付着させるようにしたものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
粉体を用いる画像形成装置における現在の課題は、画質とコストと環境をいかにして満足するかということである。画質について言えば、カラー画像を形成する場合に、直径わずか約30μmの1200dpiの孤立1ドットをいかに現像するか、それも好ましくは地汚れなしに現像するかということである。また、コストについて言えば、パーソナルのレーザプリンタを考えた場合、現像器や現像剤の単体コストのみならず、メンテナンス及び最終処分費用まで含めたトータルのコストを下げることが重要になる。さらに、環境について言えば、特に、微小粉末であるトナーが装置外に飛散することを防止することが重要になる。
【0007】
ここで、トータルコスト面から見ると、キャリアとトナーを使用する二成分現像よりも、トナーのみを使用する一成分現像が絶対的に有利である。また、感光体や現像ローラの耐久性、すなわちそのランニングコストを考慮すると、両者が機械的に接触しない、非接触現像が有利である。色がきれいな磁性トナーはいまだ開発されていないので、現状では、必須のカラー現像のためには非磁性トナーを使う必要がある。
【0008】
これらの点から言えば、一成分非磁性トナーの非接触現像が好ましく、特に、可動部を有しない方式が好ましい。この点、前述した静電搬送基板を用いて、トナーを潜像担持体に対向する位置まで搬送し、振動、浮遊、スモーク化させて、潜像担持体との間で生じる吸引力で搬送面からトナーを分離して潜像担持体表面に付着させるようにした現像装置ないし画像形成装置は有利である。
【0009】
しかしながら、この現像装置では、現像領域で、トナーを振動、浮遊、スモーク化、クラウド化するために、現像に寄与しなかったトナーが浮遊し、感光体の移動に伴って生じている気流に巻き込まれて飛散してしまう欠陥を有しているという課題があることが判明した。
【0010】
このような飛散トナーが生じると、潜像担持体に付着して形成した画像の地肌部を汚したり、装置内を汚して誤動作を生じさせたり、さらには機外に飛散するという環境上の問題を引き起こすことになる。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、特に飛散粉体の発生を可及的に低減できる現像装置、この現像装置を備えることで特に飛散粉体の発生を可及的に低減した画像形成装置を用いることで特に飛散粉体の発生を可及的に低減する画像形成方法を提供することを目的とする。
【0012】
なお、本明細書では、ETH(イース:Electrostatic Transport& Hopping)現象を用いて現像を行う(これを「ETH現像」という。)装置で説明する。ここで、ETH現象とは、粉体が移相電界のエネルギーを与えられ、そのエネルギーが機械的なエネルギーに変換されて、粉体自身が動的に変動する現象をいう。このETH現象は、静電気力による粉体の水平方向の移動(搬送)と垂直方向の移動(ホッピング)を含む現象であり、静電搬送部材の表面を、移相電界によって粉体が進行方向の成分を持って飛び跳ねる現象である。
【0013】
搬送部材上の粉体の振る舞いを区別して表現する場合、基板水平方向への移動については、「搬送」、「搬送速度」、「搬送方向」、「搬送距離」という表現を使用し、基板垂直方向への飛翔(移動)については、「ホッピング」、「ホッピング速度」、「ホッピング方向」、「ホッピング高さ(距離)」という表現を使用し、搬送部材上での「搬送及びホッピング」は「移送」と総称する。なお、搬送装置、搬送基板という用語に含まれる「搬送」は「移送」と同義である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る現像装置は、負帯電トナーである粉体を搬送させるための搬送手段が進行波電界を発生させるための複数の電極を有する搬送部材と、この搬送部材の各電極にn相の電位を印加する手段を含み、潜像担持体側の電位に対して進行波電界を発生させるために搬送部材に印加される電位の平均電位が、現像領域では潜像の画像部電位と非画像部電位の間となり、現像領域通過後の領域では潜像の画像部電位と非画像部電位の両電位よりも高い電位である構成とした。
ことを特徴とする現像装置。
【0015】
また、本発明に係る現像装置は、正帯電トナーである粉体を搬送させるための搬送手段が進行波電界を発生させるための複数の電極を有する搬送部材と、この搬送部材の各電極にn相の電位を印加する手段を含み、潜像担持体側の電位に対して進行波電界を発生させるために搬送部材に印加される電位の平均電位が、現像領域では潜像の画像部電位と非画像部電位の間となり、現像領域通過後の領域では潜像の画像部電位と非画像部電位の両電位よりも低い電位である構成とした。
【0016】
ここで、現像領域通過後に形成される電界の強さは潜像担持体に付着した粉体を潜像担持体面より引き剥がさない範囲であることが好ましい。
【0022】
また、搬送部材の電極に対して印加する駆動波形を生成する回路にはクランプ回路を含み、このクランプ回路には直流バイアス電圧を発生する手段を含むことが、そして、直流バイアス電圧を発生する手段は直流バイアス電圧の値を変化可能なことが好ましい。
【0024】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る現像装置を備えて潜像を現像して画像を形成するものである。
【0025】
本発明に係る画像形成方法は、本発明に係る現像装置を用いて潜像を現像して画像を形成するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。先ず、本発明に係る現像装置の第1実施形態について図1を参照して説明する。なお、同図は同現像装置の概略構成図である。
【0027】
この現像装置は、粉体であるトナーTを搬送、ホッピング、回収するための電界を発生するための複数の電極102を有する搬送部材である搬送基板1と、この搬送基板1の各電極102に対して所要の電界を発生させるためのn相(ここでは3相とする。)の異なる駆動波形Va1〜Vc1及びVa2〜Vc2を与える駆動回路2とを備えている。
【0028】
ここでは、搬送基板1は、駆動波形Va1〜Vc1及びVa2〜Vc2を与える電極102の範囲及び潜像担持体である感光体ドラム10との関係において、トナーTを感光体ドラム10近傍まで移送する搬送領域11、感光体ドラム1の潜像にトナーTを付着させてトナー像を形成するための現像領域12、トナーTを搬送基板1側に回収するための現像領域通過後の領域(これを、以下「回収領域」という。)13とに分けられる。
【0029】
そして、この現像装置1は、搬送基板1の搬送領域11ではトナーTを感光体ドラム10の近傍まで移送し、現像領域12では感光体ドラム10上の潜像の画像部に対してはトナーTがドラム10側に向かい、非画像部に対してはトナーTがドラム10と反対側(搬送基板側)に向かう方向の電界を形成して、トナーTを潜像に付着させて現像を行うための電界を発生し、回収領域13ではトナーTが潜像の画像部及び非画像部のいずれに対しても感光体ドラム10と反対側(搬送基板側)に向かう方向の電界を形成する。
【0030】
これにより、現像領域では感光体ドラム10上の潜像にトナーが付着して可視像化され、現像に寄与しなかったトナーは感光体ドラム10の回転方向(移動方向)下流側の回収領域で搬送基板1側に回収されるので、飛散トナーの発生が防止される。なお、回収領域は現像領域よりも潜像担持体の移動方向下流側とすることで、確実に浮遊トナーの回収を行うことができる。
【0031】
そこで、まず、この現像装置における搬送基板1の構成について図2及び図3を参照して詳細に説明する。なお、図2は同搬送基板1の概略断面説明図、図3は同搬送基板の平面説明図である。
この搬送基板1は、ベース基板101上に複数の電極102、102、102……を3本を1セットとして、トナー移送方向(トナー進行方向、トナー移動方向:図2で矢示方向とする。)に沿って所要の間隔で配置し、この上に搬送面を形成する絶縁性の搬送面形成部材となり、電極102の表面を覆う保護膜となる、無機又は有機の絶縁性材料で形成した表面保護層103を積層したものである。
【0032】
ここで、支持基板101としては、ガラス基板、樹脂基板或いはセラミックス基板等の絶縁性材料からなる基板、或いは、SUSなどの導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したもの、ポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなる基板などを用いることができる。
【0033】
電極102は、支持基板101上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜10μm厚、好ましくは0.5〜2.0μmで成膜し、これをフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成している。これらの複数の電極102の粉体進行方向における幅Lは移動させる粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下とし、かつ、電極102、12の粉体進行方向の間隔Rも移動させる粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下としている。
【0034】
表面保護層103としては、例えばSiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5などを厚さ0.5〜10μm、好ましくは厚さ0.5〜3μmで成膜して形成している。
【0035】
次に、このように構成した搬送基板1におけるトナーの静電搬送の原理について説明する。
搬送基板1の複数の電極102に対してn相の駆動波形を印加することにより、複数の電極102によって移相電界(進行波電界)が発生し、搬送基板1上の帯電したトナーは反発力及び/又は吸引力を受けて移送方向にホッピングと搬送を含んで移動する。
【0036】
例えば、搬送基板1の複数の電極102に対して図4に示すようにグランドG(0V)と正の電圧+との間で変化する3相のパルス状駆動波形A(A相)、B(B相)、C(C相)をタイミングをずらして印加する。
【0037】
このとき、図5に示すように、搬送基板1上に負帯電トナーTがあり、搬送基板1の連続した複数の電極102に同図に▲1▼で示すようにそれぞれ「G」、「G」、「+」、「G」、「G」が印加されたとすると、負帯電トナーTは「+」の電極102上に位置する。
【0038】
次のタイミングで複数の電極102には▲2▼に示すようにそれぞれ「+」、「G」、「G」、「+」、「G」が印加され、負帯電トナーTには同図で左側の「G」の電極102との間で反発力が、右側の「+」の電極102との間で吸引力がそれぞれ作用するので、負帯電トナーTは「+」の電極102側に移動する。さらに、次のタイミングで複数の電極102には▲3▼に示すようにそれぞれ「G」、「+」、「G」、「G」、「+」が印加され、負帯電トナーTには同様に反発力と吸引力がそれぞれ作用するので、負帯電トナーTは更に「+」の電極102側に移動する。
【0039】
このように複数の電極102に電圧の変化する複相の駆動波形を印加することで、搬送基板1上には進行波電界が発生し、この進行波電界の進行方向に負帯電トナーTは搬送及びホッピングを行いながら移動する。なお、正帯電トナーの場合には駆動波形の変化パターンを逆にすることで同様に同方向に移動する。
【0040】
これを図6を参照して具体的に説明すると、同図(a)に示すように、搬送基板1の電極A〜Fがいずれも0V(G)で搬送基板1上に負帯電トナーTが載っている状態から、同図(b)に示すように電極A、Dに「+」が印加されると、負帯電トナーTは電極A及び電極Dに吸引されて電極A、D上に移る。次のタイミングで、同図(c)に示すように、電極A、Dがいずれも「0」になり、電極B、Eに「+」が印加されると、電極A、D上のトナーTは反発力を受けるとともに、電極B、Eの吸引力を受けることになって、負帯電トナーTは電極B及び電極Eに移送される。さらに、次のタイミングで、同図(d)に示すように、電極B、Eがいずれも「0」になり、電極C、Fに「+」が印加されると、電極B、E上のトナーTは反発力を受けるとともに、電極C、Fの吸引力を受けることになって、負帯電トナーTは電極C及び電極Fに移送される。このように進行波電界によって負帯電トナーは順次図において右方向に移送されることになる。
【0041】
次に、駆動回路2の全体構成について図7を参照して説明する。
この駆動回路2は、パルス信号を生成出力するパスル信号発生回路21と、このパルス信号発生回路21からのパルス信号を入力して駆動波形Va1、Vb1、Vc1を生成出力する波形増幅器22a、22b、22cと、パルス信号発生回路21からのパルス信号を入力して駆動波形Va2、Vb2、Vc2を生成出力する波形増幅器23a、23b、23cとを有する。
【0042】
パルス信号発生回路21は、例えばロジックレベルの入力パルスを受けて、各120°に位相シフトした2組みパルスで、次段の波形増幅器22a〜22c、23a〜23cに含まれるスイッチング手段、例えばトランジスタを駆動して100Vのスイッチングを行うことができるレベルの出力電圧10〜15Vのパルス信号を生成して出力する。
【0043】
波形増幅器22a、22b、22cは、搬送領域11の各電極102及び回収領域13の各電極102に対して、例えば図8に示すように、各相の+100Vの印加時間taを繰り返し周期tfの1/3である約33%に設定した(これを「搬送電圧パターン」又は「回収搬送電圧パターン」という。)3相の駆動波形(駆動パルス)Va1、Vb1、Vc1を印加する。
【0044】
波形増幅器23a、23b、23cは、現像領域11の各電極102に対して、例えば図9又は図10に示すように、各相の+100V又は0Vの印加時間taを繰り返し周期tfの2/3である約67%に設定した(これを「ホッピング電圧パターン」という。)3相の駆動波形(駆動パルス)Va2、Vb2、Vc2を印加する。
【0045】
そこで、搬送基板1を用いたETH現像の原理について説明する。ETH現像はトナーの静電搬送を利用するものであるが、従来の静電搬送を用いた現像装置のように、静電搬送に伴なって自然発生的に生じるトナーのスモーク化、クラウド化を利用して現像するのではなく、トナーを積極的に潜像担持体に向かって打ち上げて現像するものである。
【0046】
ETH現象は、従来の静電搬送基板を用いただけでは発生せず、電極幅、電極間隔と駆動波形との関係を設定することで発生することが見出されているが、この点については後述する。そこで、まず、EHT現象に含まれるホッポング現象の基本原理について、実験と対応させながら二次元差分法でシミュレーションを行った結果を基にして説明する。
【0047】
このシミュレーション対象領域の略図を図11に示している。なお、都合により重力の方向を上向きに取っている。ここでは、搬送基板1の電極102と反対側に導電性基板104を配置して常時接地している。また、搬送基板1に対向して感光体ドラム10としてのOPC層15を配置し、OPC層15には導電性基板16を設けて常時接地している。そして、OPC層15上に静電潜像17を載せている。また、負帯電トナーを用いて反転現像(電荷のない部分にトナーを付着させる現像方式)するため、静電潜像17の画像部には電荷がなく、非画像部(地肌部)に電荷が存在している。
【0048】
搬送基板1の電極102とOPC層15との間隔は200μmとし、トナーTの平均粒径は8μm、平均帯電量Q/mは−20μC/g、OPC層15上の電荷密度は、−3.0e-4〔c/m2〕 である(OPC層が全面がこの電荷密度で帯電された時その表面電位は−169Vになる。)。トナーTは140個を2層にシミュレーション幅700μmに均一に並べた。
【0049】
上記の条件の内でOPC層15の帯電電荷密度を「ゼロ」とした場合に、搬送基板1上に並んだ隣り合う3本の電極A,B,Cに、それぞれ+100V/0V/+100Vを印加したときの、電極B近傍の電界ベクトルは図12に示すようになる。
【0050】
なお、同図では、電極C近傍の電界は、電極Bを挟んで電極Aと対称なので省略している。また、トナーも省略している。両電極102、102の下側が、OPC層15に向かう空間である(OPC層15は図示していない。)。また、図示できないが、左側の電極Aの近傍の電位は+100Vに近く、右側の電極Bの近傍の電位は0Vに近く、両電極A、Bより離れた空間の電位は+50V前後である。さらに、同図中、矢印はその場所の電界ベクトルを示し、その向きが電界の向きであり、その長さが電界の強さを示している。
【0051】
この図12から分かるように、+100Vが印加された電極Bのセンターからその下方(実際は上方)の空間にかけては、電界ベクトルが垂直に上を向いている。この結果、この時、電極Bのセンターにいた負帯電トナーには、まっすぐ下向き(実際は上向き)の静電力が働き、下向きに(実際は上向き)に加速され、搬送基板1を離れた後も、電界ベクトルの向きに従ってまっすぐ下降(実際は上昇)させられることが分かる。
【0052】
ここで、電極A,Cに印加する電圧を50V,100V、150Vにしたときの電極Bのセンターから真下(真上)の空間における垂直(Y)方向電界の一例を図13に示している。
【0053】
この図13から、電極Bより約50μm下降(上昇)すると、電界ベクトルの大きさはほとんどゼロになるので、ここまで加速されてきたトナーは、この付近では空気の粘性抵抗で減速され、その先では、電界の向きが反転するので、逆向きの静電力を受けて下(上)向きの速度を失うことが予想される。
【0054】
さらに、直径8μm、比帯電量Q/m=−20μC/gのトナーを電極Bのセンターに置き、電極A,Cに印加する電圧を50V,100V、150Vにしたときの、当該トナーのY方向位置とY方向速度のシミュレーション結果を10μsecごとに160μsecまで図14に示している。なお、これは、電極幅30μm、電極間隔30μmとした電極構成である。
【0055】
この図14より分かるように、電極Bの両隣りの電極A,Cに+100Vが印加された場合、電極Bのセンターに置かれたトナーは、50〜60μsec後に、電極Bの上方40〜50μmに達し、その時点で上昇速度が1m/secになり、その後は、徐々に減速されながらも、さらに上昇を続けている。
【0056】
このように、電極上にトナーをまっすぐ打ち上げる条件は、上記のシミュレーション結果から、負帯電トナーの場合には、0Vになった電極の両側の電極の電位が等しく、0Vより高く、かつ、その0Vの電極上にトナーが存在することがである。なお、正帯電トナーの場合には、0Vになった電極の両側の電極の電位が等しく、0Vより低く(例えば−100V)高く、かつ、その0Vの電極上にトナーが存在することがである。
【0057】
この条件を最も充足する駆動波形パターンは、前述した図9又は図10に示すように各相の+100V又は0Vの印加時間taを繰り返し周期tfの2/3である約67%に設定したホッピング電圧パターンである。そこで、本実施形態においては、このホッピング電圧パターンを有する駆動波形Va2、Vb2、Vc2を現像領域12に対応する搬送基板1の各電極102に対して印加するようにしている。
【0058】
これに対して、トナーの搬送を行うための駆動波形パターンとしては、前述した図8に示すパターンが最も適している。すなわち、駆動波形Va(A相)、Vb(B相)、Vc(C相)を印加する場合、各相の+100Vの印加時間taを繰り返し周期tfの1/3である約33%に設定した搬送電圧パターンである。そこで、本実施形態においては、この搬送電圧パターンを有する駆動波形Va1、Vb1、Vc1を搬送領域11に対応する搬送基板1の各電極102に対して印加するようにしている。
【0059】
この搬送電圧パターンでは、B相電極に注目すると、B相電極の印加電圧が0Vになった時間においては、A相電極の印加電圧は0V、C相電極の印加電圧は+電圧であり、トナーの進行方向はA→Cであるから、B相電極上のトナーはA相電極との間では反発され、C相電極との間では吸引される方向の電界を受けることになり、搬送効率が高くなり、特に高速搬送を行うことができる。
【0060】
なお、ホッピング電圧パターンの駆動波形を印加した場合でも、0V電極のセンターに位置したトナー以外は、横方向への力も受けるため、すべてのトナーがいっせいに高く打ち上げられるというものではなく、水平方向に移動するトナーもあり、逆に、搬送電圧パターンの駆動波形を印加した場合でも、トナーの位置によっては、大きな角度で斜めに打ち上げられて水平に移動するよりも上昇距離の方が大きいものがある。
【0061】
したがって、搬送領域11の各電極102に印加する駆動波形パターンは前述した図8に示す搬送電圧パターンに限られるものではなく、また、現像領域12の各電極102に印加する駆動波形パターンも前述した図9又は図10に示すホッポング電圧パターンに限られるものではない。
【0062】
これを一般的に言えば、各電極に対してn相(nは3以上の整数)のパルス状電圧(駆動波形)を印加して進行波電界を発生させる場合、1相あたりの電圧印加時間が{繰り返し周期時間×(n−1)/n}未満となる電圧印加デューティとすることによって、搬送、ホッピングの効率を上げることができる。例えば、3相の駆動波形を用いる場合には、各相の電圧印加時間taを繰り返し周期時間tfの2/3である約67%未満に設定し、4相の駆動波形を用いる場合には、各相の電圧印加時間を繰り返し周期時間の3/4である75%未満に設定することが好ましい。
【0063】
他方、電圧印加デューティーは{繰り返し周期時間/n}以上に設定することが好ましい。例えば、3相の駆動波形を用いる場合には、各相の電圧印加時間taを繰り返し周期時間tfの1/3である約33%以上に設定することが好ましい。
【0064】
すなわち、注目電極に印加する電圧と進行方向上流側隣接電極及び下流側隣接電極に印加する各電圧との間には、上流側隣接電極が反発、下流側隣接電極が吸引という時間を設定することによって、効率を向上することができる。特に、駆動周波数が高い場合は、{繰り返し周期時間/n}以上で{繰り返し周期時間× (n−1)/n}未満の範囲内に設定することにより、注目電極上のトナーに対する初期速度が得られやすくなる。
【0065】
次に、OPC層15上に反転現像用の電荷パターンを乗せ、図10に示すホッピング電圧パターンの駆動波形Va2、Vb2、Vc2を各電極102に印加したときのトナーTの挙動の一例について図15以降を参照して時間を追って説明する。
【0066】
なお、同図に示すように、OPC層15上の潜像17は、反転現像用の電荷がない部分を画像部17aとし、電荷がある部分を非画像部(又は「地肌部」という。)17bとする。また、OPC層15表面の電位は約−150V、潜像部17の内の画像部17aの部分での表面の電位は約0Vである。また、電極102に印加するホッピング電圧パターンの電圧値も図10に示すように「−100V」と「0V」にしている。
【0067】
先ず、図15は現像開始0μsec後にはトナーは搬送基板1上に位置している。この状態から、ホッピング電圧パターンを印加した時に状態を図16以降に示している。
図16は電圧パターンの印加開始から100μsec経過した時点でのトナーの分布を示している。この図16の分布を図15と比較すると、−100Vの電極(B相電極)102上にいたトナーが上方に(図では下方に)または、斜め左右に飛び出したことが分かる。
【0068】
図17は200μsec経過後のトナー分布を示している。同図からは、OPC層15上の潜像17のうちの電荷のない、電位が0Vの画像部17aにトナーが付着し、反転現像が始まっていることが分かる。一方、電荷があり、電位が約−150Vの地肌部17bではトナーがOPC層15に到達していないことが分かる。また、図16と比較すると、−100Vの電極の位置が一つ隣に移動して、そこから、新たにトナーが打ち上げられつつあることも分かる。
【0069】
図18は300μsec経過後のトナー分布を示している。同図からは、OPC層15上の潜像17のうちの電荷のない、電位が0Vの画像部17aに付着するトナーの数が、図17より増えて現像が進んでいることが分かる。一方、地肌部17bでは、最初に打ち上げられたトナーが、OPC層15と搬送基板1間に形成されている逆電界で搬送基板1側に戻りつつあることが分かる。
【0070】
図19は500μsec経過後のトナー分布を示している。同図からは、現像が更に進んでいるが地肌部17bに付着するトナーはまったくないことが分かる。
【0071】
図20は1000μsec経過後のトナー分布を示している。同図と図19とを比較すると、現像が更に進んでいるが、その違いは小さいことが分かる。
【0072】
図21は1500μsec経過後のトナー分布を示している。同図と図20とを比較すると、画像部17aに付着しているトナーの数は同じで、この間では現像が進まなかったこと、すなわち、現像は開始1msec後でほぼ飽和したことが分かる。
【0073】
図22は20000μsec経過後のトナー分布を示している。同図と図21とを比較すると、この間ではまったく現像が進んでいないことが分かる。
【0074】
以上の説明のようにETH現像ではトナーをホッピングさせることによって潜像担持体の静電潜像を一成分現像方式で反転現像を行うことができる。すなわち、現像領域で、トナーが潜像の画像部に対しては潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが潜像担持体と反対側に向かう方向の電界を形成する手段を備えることによって現像を行うことができる。
【0075】
本発明者らは更に鋭意研究を重ねた結果、上述したようにETH現像では地肌部にトナーが付着しないため、地肌汚れが生じないはずであるにもかかわらず、未だ地肌汚れが生じ得ることを確認した。
【0076】
すなわち、本発明者らは上述した搬送基板を製作して、同じような粒径と帯電量を有するトナーを用いて、厚さ15μmのOPC層を有する感光体ドラムで、表面電位−170Vに帯電後レーザービーム光学系により潜像を形成し、周速200mm/secで回転する感光体ドラムより0.200mm離して搬送基板を固定し、前記搬送電圧パターンを印加して該トナーを搬送基板上を感光体ドラムの周速と等しい速度で搬送し、更に搬送基板が感光体ドラムと最接近する0.4mm幅の領域(これを「現像領域」とした。)の電極に対してだけ前記ホッピング電圧パターンに切り替えて該潜像を反転現像し、OPC感光体ドラム上に形成された該トナー画像を公知の方法で、転写、定着してきれいな白紙上に黒トナー画像を形成した。
【0077】
この結果、形成した画像の地肌部には地汚れが生じており、また、多数枚プリント試験を繰り返すうちに機内にトナーが付着していることが認められたことから、高速度カメラにより、現像領域のトナーの動きを観察したところ、現像に寄与せず(感光体に付着せず)かつ、搬送基板に戻らなかったトナーが、感光体ドラムの回転に伴ってその周辺に発生した気流に巻き込まれていくことが判明した。
【0078】
また、地肌部よりも画像部の方が飛散トナーが増えることが判明した。さらに、OPC層の帯電電位を高くすると飛散は少なくなることも判明した。また、通常、従来の現像方式ではトナーの帯電量が下がった時トナー飛散が増加していたが、ETH現像方式では、逆に、トナーの帯電量が低い方がトナー飛散が少なくなることも判明した。
【0079】
これらのことから、図20ないし図22に示すように、感光体ドラムの回転に伴う気流が一番強い画像部の直上(下)で浮遊しているトナーが、感光体ドラムの回転の気流に巻き込まれて飛散したことが確認された。
【0080】
画像部に対して後行するトナーが滞留する原因については、空中のトナーに働く力が無くなったと考えられる。
【0081】
本来、画像部の近傍には負帯電トナーを画像部に引き付ける電界が形成されているので、この電界が、無くなって、又は弱くなって、後行のトナーが画像部に引き付けられなくなたと考えられる。前述したように、OPC層の電荷密度は−3.0e-4〔C/mm2〕であるが、−20μC/gに帯電しているトナーが、1平方cmに1.5mg集まると、その電荷密度も−3.0e-4〔C/mm2〕になる。
【0082】
実際には、飽和現像でも、1平方cmに1.5mgのトナーが乗ることはないが、その半分程度が乗っているとすると、地肌部と画像部の電位差が半減して電界も半減しトナーの滞留が始まると考えられる。これは、電荷分布を均一と仮定した場合であるが、トナー間のクーロン反発力を考えると、1個の後行のトナーは複数の先行付着トナーより反発されて先に(潜像担持体側に)進めなくなったと考えることもできる。
【0083】
そこで、本発明においては現像領域通過後の領域でトナーを搬送基板1側に引き戻す電界を発生させる手段を備えた。すなわち、この第1実施形態では、上述したように搬送基板1に回収領域13を設けて、この回収領域13の電極102に対しては駆動回路2から回収搬送電圧パターンの駆動波形Va1、Vb1、Vc1を印加する。つまり、ここでは、搬送領域11の電極102に印加する搬送電圧パターンの駆動波形をそのまま回収領域13の電極102に印加する回収搬送電圧パターンの駆動波形として用いている。
【0084】
このように、現像領域通過後の領域でトナーが潜像潜像担持体と反対側に向かう方向の電界を形成する手段を備えることによって、浮遊トナーを搬送基板1側に回収することができ、この結果トナーの再利用も可能になる。
【0085】
この点についてより詳細に説明する。前述した図15以降を参照して説明したようにOPC層15上に反転現像用の電荷パターンを乗せ、図10に示すホッピング電圧パターンの駆動波形Va2、Vb2、Vc2を各電極102に印加して現像を行った後、図8に示す回収搬送電圧パターンの駆動波形Va1、Vb1、Vc1を各電極102に印加したときのトナーTの挙動の一例について図23以降を参照して時間を追って説明する。
【0086】
先ず、図23は各電極102に印加する電圧を回収搬送電圧パターンの駆動波形Va1、Vb1、Vc1に切り替えた後100μsecを経過したときのトナーの分布を示している。前述した図20と比較すると分かるように、画像部17a上(実際は下)に浮遊していたトナーが、搬送基板1側に引き寄せられ始めている。また、画像部17aのみならず、もともと地肌部17bに対応して搬送基板1側の空中にいたトナーも更に搬送基板1側に引き寄せられ始めている。
【0087】
図24は切り替え後200μsecを経過したときのトナーの分布を示している。図23と比較すると、画像部17a、地肌部17bともにトナーは更に搬送基板1側に引き寄せられていることが分かる。
【0088】
図25は切り替え後400μsecを経過したときのトナーの分布を示している。画像部17aに対応して浮遊していたトナーの搬送基板1側への回収が更に進んでいることが分かる。ただし、地肌部17bに対応する部分では新たに打ち上げられるトナーがあるために少し膨らんでいる。
【0089】
図26は切り替え後700μsecを経過したときのトナーの分布を示している。画像部17aに対応する浮遊トナー中、最後尾に位置するトナーも搬送基板1との間の中途まで進んでいることが分かる。
【0090】
図27は切り替え後1000μsecを経過したときのトナーの分布を示している。最後尾のトナーも、搬送基板1側に入り、OPC層15側には浮遊トナーがまったく存在しなくなったことが分かる。
【0091】
この場合、画像部17aに付着しているトナーは、搬送基板1側に引き戻されない。これは、帯電しているトナーと誘電体であるOPC感光層との間には強い鏡像力が働いている。また、電荷の有無とは関係なしに、トナーとOPC層の間には、ファンデルワールツ力、液間架橋力も働いている。さらに、画像部が小さい場合には、エッジ電界による静電力も働く。これらの力が合わさってトナーをOPC側に押しているので、浮遊トナーのように搬送基板1側に引き戻されることがないのである。なお、浮遊トナーには、ファンデルワールツ力と液間架橋力は働かず、また鏡像力も実質的にゼロであることから、搬送基板1側に引き戻される。
【0092】
ただし、後述するように、搬送基板側の電極に印加する電位を高めていくと感光体ドラム上に付着したトナーまで引き戻されるので、現像領域通過後に形成する電界の強さは、潜像担持体に付着したトナーを潜像担持体面より引き剥がさない範囲であることが好ましい。この場合、付着力の弱いトナーは引き剥がした方がよい場合もあり、全く引き剥がすことのない電界の強さでなければならないということではない。
【0093】
なお、上述したシミュレーションでは、画像部17aの2層目以上のトナーはすべて、搬送基板1側に回収されたが、これはシミュレーションではトナー間の付着力をゼロにしたためであり、実際は、トナー同士の間にも、ファンデルワールツ力、液間架橋力は働くので、2層目のトナーも1層目のトナーに付着して残る。
【0094】
このように、現像領域通過後の領域において、トナーを潜像担持体側と反対側の方向に向かう電界を発生させる手段を備えることによって、飛散トナーの発生を大幅に低減することができる。
【0095】
この場合、搬送部材である搬送基板の電極に印加する電圧の平均値電位は、現像領域では潜像の画像部電位と非画像部電位の間とすることで、ETH現像を行うことができ、負帯電トナーを用いるときには、現像領域通過後の領域(回収領域)では潜像の画像部電位と非画像部電位の両電位よりも高い電位とし、正帯電トナーを用いるときには、現像領域通過後の領域では潜像の画像部電位と非画像部電位の両電位よりも低い電位とすることで、浮遊しているトナーを搬送基板側に回収することができる。
【0096】
ここで、上述した図10に示すホッピング電圧パターンの駆動波形を発生するための波形増幅器23a〜23c(これらを符号「23」で表記する。)の一例について図28を参照して説明する。
なお、前述したように図10に示すホッピング電圧パターンの駆動波形は、各相が0〜−100Vのパルス波形で、電位が相対的に+の時間(0Vの時間)が67%デューティーの波形であるが、ここでは、電位が相対的に+の時間(0Vの時間)が33%デューティーの波形で説明する。
【0097】
波形増幅器23は、入力信号を分圧するための抵抗R1、R2と、スイッチング用のトランジスタTr1と、コレクタ抵抗R3と、トランジスタTr2と、電流制限抵抗R4と、コンデンサC1、抵抗R5、ダイオードD1からなるクランプ回路25とで構成している。
【0098】
この波形増幅器23に対し、前述したパルス信号発生回路21から図29(a)に示すように、例えば、0〜15Vの図示の波形で15Vのデューティーが約67%の入力信号INが与えられると、この入力信号INは抵抗R1、R2で分圧されてトランジスタTr1のベースに入力され、トランジスタTr1がスイッチングを動作することで、位相が反転され、0〜+100Vにレベルアップされた同図(b)に示すような電圧波形(コレクタ電圧)mが得られる。
【0099】
このコレクタ電圧mをトランジスタTr2が受け、同じレベルの波形を低インピーダンスで出力する。このトランジスタTr2のエミッタに接続されたクランプ回路25は、+波形に対しては時定数が小さく、−波形に対しては時定数がコンデンサC1及び抵抗R5で決定されるが、パルスの周期に対してこの時定数を十分大きな値に設定することで、クランプ回路25からは、同図(c)に示すように、0レベルがクランプされた0〜−100Vの出力波形OUTが得られる。
【0100】
次に、上述した図8に示す回収搬送電圧パターンの駆動波形を発生するための波形増幅器22a〜22c(これらを符号「22」で表記する。)の一例について図30を参照して説明する。
前述したように図8に示す回収搬送電圧パターンの駆動波形は、各相が0〜+100Vのパルス波形で、電位が相対的に+の時間(+100Vの時間)が33%デューティーの波形の例である。
【0101】
波形増幅器22は、入力信号を分圧するための抵抗R1、R2と、スイッチング用のトランジスタTr1と、コレクタ抵抗R3と、トランジスタTr2と、電流制限抵抗R4と、コンデンサC1、抵抗R5、ダイオードD2からなるクランプ回路26とで構成している。すなわち、波形増幅器23のクランプ回路25のダイオードD1と波形増幅器22のクランプ回路26のダイオードD2の向きが異なるだけである。
【0102】
この波形増幅器22に対し、前述したパルス信号発生回路21から図31(a)に示すように、例えば、0〜15Vの図示の波形で15Vのデューティーが約67%の入力信号INが与えられると、この入力信号INは抵抗R1、R2で分圧されてトランジスタTr1のベースに入力され、トランジスタTr1がスイッチングを動作することで、位相が反転され、0〜+100Vにレベルアップされた同図(b)に示すような電圧波形(コレクタ電圧)mが得られる。
【0103】
このコレクタ電圧mをトランジスタTr2が受け、同じレベルの波形を低インピーダンスで出力する。このトランジスタTr2のエミッタに接続されたクランプ回路26は、−波形に対しては時定数が小さく、+波形に対しては時定数がコンデンサC1及び抵抗R5で決定されるが、パルスの周期に対してこの時定数を十分大きな値に設定することで、クランプ回路26からは、同図(c)に示すように、0レベルがクランプされた0〜+100Vの出力波形OUTが得られる。
【0104】
このように、搬送基板の各電極に印加する駆動波形をコンデンサ、抵抗、ダイオードから構成されるクランプ回路で形成することで、簡単な回路構成で、また、低レベル側をクランプすることでドリフトのない、波高値が一定で安定な波形が得られるので、正確なトナー搬送、ホッピングが可能になる。
【0105】
ここで、トナーの帯電極性と搬送基板1の電極102に印加する電圧(電位)との関係について説明すると、負帯電トナーを用いる場合には、現像領域では0〜−V1の電圧とし、現像領域通過後の領域では0〜+V2の電圧とする、つまりホッピング用駆動波形の電圧は0〜−Vとし、回収搬送用駆動波形の電圧は0〜+Vとすることで、上述したように駆動回路の構成が簡単で、信頼性が向上する。
【0106】
同様に、正帯電トナーを用いる場合には、現像領域では0〜+V3の電圧とし、現像領域通過後の領域では0〜−V4の電圧とする、つまりホッピング用駆動波形の電圧は0〜+Vとし、回収搬送用駆動波形の電圧は0〜−Vとすることで、上述したように駆動回路の構成が簡単で、信頼性が向上する。
【0107】
なお、上述した電圧V1、V2、V3、V4は、同じ絶対値の電圧であって、ことなる絶対値の電圧であってもよい。
【0108】
ここで、トナーの搬送及びホッピングを行うための搬送基板1の複数の電極102の幅(電極幅)L及び電極間隔R、並びに表面保護層103について説明する。
搬送基板1における電極幅Lと電極間隔Rはトナーの搬送効率、ホッピング効率に大きく影響する。すなわち、電極と電極の間にあるトナーはほぼ水平方向の電界により、基板表面を隣接する電極まで移動する。これに対して、電極上に乗っているトナーは、少なくとも垂直方向の成分も持った初速が与えられることから、多くは基板面から離れて飛翔する。
【0109】
特に、電極端面付近にあるトナーは、隣接電極を飛び越えて移動するため、電極幅Lが広い場合には、その電極上に乗っているトナーの数が多くなり、移動距離の大きいトナーが増えて搬送効率が上がる。ただし、電極幅Lが広すぎると、電極中央付近の電界強度が低下するためにトナーが電極に付着し、搬送効率が低下することになる。そこで、本発明者らは鋭意研究した結果、低電圧で効率よく粉体を搬送、ホッピングするための適正な電極幅があることを見出した。
【0110】
また、電極間隔Rは、距離と印加電圧の関係から電極間の電界強度を決定し、間隔Rが狭い程電界強度は当然強く、搬送、ホッピングの初速が得られやすい。しかし、電極から電極へ移動するようなトナーについては、一回の移動距離が短くなり、駆動周波数を高くしないと移動効率が上がらないことになる。これについても、本発明者らは鋭意研究した結果、低電圧で効率よく粉体を搬送、ホッピングするための適正な電極間隔があることを見出した。
【0111】
さらに、電極表面を覆う表面保護層の厚さも電極表面の電界強度に影響を与え、特に垂直方向成分の電気力線への影響が大きく、ホッピングの効率を決定することをも見出した。
【0112】
そこで、搬送基板の電極幅、電極間隔、表面保護層厚さの関係を適正に設定することによって、電極表面でのトナー吸着問題を解決し、低電圧で効率的な移動を行うことができる。
【0113】
より詳しく説明すると、まず、電極幅Lについては、電極幅Lをトナー径(粉体径)の1倍としたときは、最低1個のトナーを乗せて搬送、ホピングするための幅寸法であり、これより狭いとトナーに作用する電界が少なくなり、搬送力、飛翔力が低下して実用上は十分でない。
【0114】
また、電極幅Lが広くなるに従って、特に、電極上面中央付近で、電気力線が進行方向(水平方向)に傾斜し、垂直方向の電界の弱い領域が発生し、ホッピングの発生力が小さくなる。電極幅Lがあまり広くなると、極端な場合、トナーの帯電電荷に応じた鏡像力、ファンデルワールス力、水分等による吸着力が勝り、トナーの堆積が発生することがある。
【0115】
そして、搬送及びホッピングの効率から、電極の上にトナー20個程度が乗る幅であれば吸着が発生しにくく、100V程度の低電圧の駆動波形で効率良く搬送、ホッピングの動作が可能である。それ以上広いと部分的に吸着が発生する領域が生じる。例えば、トナーの平均粒径を5μmとすると、5μm〜100μmまでの範囲に相当する。
【0116】
電極幅Lのより好ましい範囲は、駆動波形による印加電圧を100V以下の低電圧でより効率的に駆動するため、粉体の平均粒径の2倍以上〜10倍以下である。電極幅Lをこの範囲内とすることで、電極表面中央付近の電界強度の低下が1/3以下に抑えられ、ホッピングの効率低下は10%以下となって、効率の大幅な低下をきたすことがなくなる。これは、例えば、トナーの平均粒径を5μmとすると、10μm〜50μmの範囲に相当する。
【0117】
さらに、より好ましくは、電極幅Lは、粉体の平均粒径の2倍以上〜6倍以下の範囲である。これは、例えば、トナーの平均粒径を5μmとすると、10μm〜30μmに相当する範囲である。この範囲とすることによって非常に効率が良くなることが判明している。
【0118】
ここで、図32に示すように、搬送基板1上の電極102の幅(電極幅)Lを30μm、電極間隔Rを30μm、電極102の厚みを5μm、表面保護層103の厚みを0.1μmとし、隣接する2つの電極102、12にそれぞれ+100V、0Vを印加し、電極幅L、電極間隔Rに対する搬送電界TE、ホッピング電界HEの強度を測定した結果を図33及び図34に示している。
【0119】
なお、各評価データはシミュレーションと実測、および粒子の振る舞いについて高速度ビデオにより実測評価した結果である。図32では細部を分かり易くするために電極102は2つを示しているが、実際のシミュレーション、及び実験は前述したように十分な数の電極を有する領域について評価している。また、トナーTの粒径は8μm、電荷量は−20μC/gである。
【0120】
これらの図33及び図34で示す電界の強度は電極表面の代表点の値であり、搬送電界TEの代表点TEaは図32に示す電極端部5μm上方の点、ホッピング電界HEの代表点HEaは図32に示す電極中央部5μm上方の点とし、それぞれX方向、Y方向のトナーに作用する一番電界の強い代表点に相当する。
【0121】
これらの図33及び図34から、トナーの搬送、ホッピングに作用する力を付与できる電界としては(5E+5)V/m以上、吸着の問題がない好ましい電界としては(1E+6)V/m以上、さらに十分な力を付与できるより好ましい電界としては(2E+6)V/m以上の範囲であることが分かる。
【0122】
電極間隔Rについては、間隔が広くなるほど搬送方向の電界強度は低下するため、上記電界強度の範囲に対応する値としても同様で、前述したように、トナーの平均粒径の1倍以上〜20倍以下、好ましくは2倍以上〜10倍以下、さらにより好ましくは2倍以上〜6倍以下である。
【0123】
また、図34からホッピングの効率は電極間隔Rが広がると低下するが、トナー平均粒径の20倍までは実用上のホッピング効率が得られる。トナー平均粒径の20倍を越えるとやはり多くのトナーの吸着力が無視できなくなり、ホッピングが全く発生しないトナーが発生するため、この点でも電極間隔Rはトナーの平均粒径の20倍以下とする必要がある。
【0124】
以上のように、Y方向の電界強度は電極幅L、電極間隔Rで決定され、狭い方が電界強度は高くなる。また、電極端部寄りのX方向の電界強度も電極間隔Rで決定され、狭い方が電界強度は高くなる。
【0125】
このように、電極のトナー進行方向における幅をトナーの平均粒径の1倍以上20倍以下で、かつ、電極のトナー進行方向の間隔を粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下とすることによって、電極上又は電極間にある帯電したトナーに対し、その鏡像力、ファンデルワールス力、その他、吸着力にうち勝って、トナーを搬送、ホッピングさせるのに十分な静電力を作用させることができ、トナーの滞留が防止されて、低電圧で安定して効率的に搬送及びホッピングをさせることができる。
【0126】
本発明者らの研究するところによると、トナーの平均粒径が2〜10μm、Q/mが負帯電の場合には−3〜−40μC/g、より好ましくは、−10〜−30μC/g、正帯電の場合には+3〜+40μC/g、より好ましくは、+10〜+30μC/gであるときに、特に、上述した電極構成による搬送及びホッピングを効率的に行うことができた。
【0127】
次に、表面保護層103について説明する。表面保護層を設けることにより、電極の汚れ、微粒子等の付着が無く、表面を搬送に好適な条件で維持することができ、高湿度環境での沿面リークの回避でき、Q/mの変動が無く、粉体の帯電電荷量を安定に維持することができる。
【0128】
ここで、図32の構成において表面保護層の厚さを0.1〜80μmの範囲で変化させたときのX方向の電界強度を計算値で求めた結果を図35に示している。
【0129】
この表面保護層103の誘電率εは空気より高い値であり、通常ε=2以上である。同図から分かるように、この表面保護層の膜厚(電極表面からの厚さ)が厚すぎると、表面のトナーに作用する電界強度が低下する。そこで、搬送効率、耐温湿度環境等を考慮すると、搬送動作に対して効率低下を問題にしないで実用可能な表面保護層厚さは、30%効率が低下する10μm以下、より好ましくは効率低下が数%に押さえられる5μm以下である。
【0130】
また、電極表面のホッピングに作用する電界強度の例を図36及び図37に示している。図36は表面保護層の厚みを5μmとした例、図37は表面保護層の厚みを30μmとした例であり、いずれも電極幅30μm、電極間隔30μmで印加電圧0V、100Vとしている。
【0131】
これらの各図から分かるように、表面保護層の厚さが厚くなると空気より誘電率が高い保護層から隣接する電極方向へ向かう電界が増加するため、表面の垂直方向成分が減少するとともに、保護層の厚み分、表面のトナーに作用する電界強度が低下する。
【0132】
すなわち、ホッピングに作用する垂直方向成分の電気力線は保護層厚さに大きく依存する。100V程度の低電圧で効率的にホッピングに作用する力を付与できる電界は、吸着の問題がない好ましい電界として(1E+6)V/m以上、さらに十分な力を付与できるより好ましい電界としては(2E+6)V/m以上の範囲であり、そのための保護層厚さとしては10μm以下、より好ましくは5μm以下である。
【0133】
なお、表面保護層の材料としては、比抵抗は10*E6Ωcm以上、誘電率εが2以上の材料を用いることが好ましい。
【0134】
このように、電極表面を覆う表面保護層を設け、この表面保護層の厚さを10μm以下とすることで、特に粉体に対して垂直方向成分の電界をより強く作用させることができ、ホッピングの効率を上げることができる。
【0135】
次に、移動させるトナーの帯電極性と表面保護層の最外層の材料の関係について説明する。なお、表面保護層の最外層とは、表面保護層が単一層の場合には当該層を、表面保護層が複数層から形成される場合には粉体が接触する面を形成する層をいう。
【0136】
画像形成装置に用いられるトナーを搬送する場合、トナーの80%以上を占める樹脂材料としては、溶融温度、カラーにおいては透明性等が考慮され、一般的にはスチレン−アクリル系の共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂等が用いられる。トナーの帯電特性はこれらの樹脂の影響を受けるが、積極的に帯電量をコントロールする目的で帯電制御剤が加えられる。ブラックトナー(BK)用の帯電制御剤としては、正帯電の場合は、例えば、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩類、負帯電の場合は、例えば、アゾ系含金属錯体、サリチル酸金属錯体が使用される。また、カラートナー用の帯電制御剤としては、正帯電の場合は、例えば、四級アンモニウム塩類、イミダゾール系錯体類、負帯電の場合は、例えば、サリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類が使用される。
【0137】
一方、これらのトナーは、搬送基板上を移相電界(進行波電界)によって搬送、またはホッピングする動作によって、表面保護層と接触、剥離を繰り返すため、トナーが摩擦帯電の影響を受けることになるが、その帯電量と極性は材料相互の帯電系列によって決まってくる。
【0138】
この場合、トナーの帯電量を主に帯電制御剤によって決定される飽和帯電量、または多少低下する程度に維持することで、搬送、ホッピング、感光体現像にとっての効率を向上させることができる。
【0139】
そこで、トナーの帯電極性が負の場合は、少なくとも表面保護層の最表面を形成する層の材料として、摩擦帯電系列上でトナーの帯電制御剤として用いられる材料の近傍(搬送、ホッピングの領域が少ない場合)に位置する材料か、または正端側に位置する材料を使用することが好ましい。例えば、帯電制御剤が、サリチル酸金属錯体の場合はこの近傍に位置するポリアミド系が好ましい。例えば、ポリアミド(ナイロン:商品名)66、ナイロン(商品名)11等を用いる。
【0140】
また、トナーの帯電極性が正の場合は、少なくとも表面保護層の最表面を形成する層の材料として、摩擦帯電系列上でトナーの帯電制御剤として用いられる材料の近傍(搬送、ホッピングの領域が少ない場合)に位置する材料か、または負端側に位置する材料を使用することが好ましい。例えば、帯電制御剤が、四級アンモニウム塩類の場合はこの近傍、またはフッ素等のテフロン(登録商標)系材料を用いる。
【0141】
次に、電極102の厚みについて説明する。
上述したように電極表面を覆う数μm厚さの表面保護層を形成した場合、表面保護層の下に電極がある領域とない領域に対応して、搬送基板表面には凹凸が生じることになる。このとき、電極の厚さを3μm以下の薄層に形成することによって、保護膜表面の凹凸を問題にすることなくトナー等、5μm程度の粉体をスムースに搬送することができる。したがって、電極を3μm以下の厚みに形成すれば、搬送基板表面の平坦化処理等を必要しないで、薄層の表面保護層を有する搬送基板を実用化でき、搬送、ホッピングのための電界強度が低下することもなくなり、より効率的な搬送、ホッピングを行うことができる。
【0142】
次に、本発明に係る現像装置の第2実施形態について図38を参照以降をも参照して説明する。
この第2実施形態では、第1実施形態の駆動回路2に代えて、搬送基板1の搬送領域11、現像領域12及び回収領域13の各電極102に対して、それぞれ駆動波形Va1、Vb1、Vc1、Va2、Vb2、Vc2、Va3、Vb3、Vc3を印加する駆動回路32を備えている。
【0143】
ここで、駆動回路32から回収領域13の各電極103に出力する回収搬送駆動波形Va3、Vb3、Vc3は、図39に示すように、搬送駆動波形Va1、Vb1、Vc1にDC+50Vのバイアス電圧を加えたものであり、各A〜C相の波形は120°ずつ位相がシフトした+50〜+150Vのパルス波形である。
【0144】
この駆動波形を生成するために駆動回路32に含まれる回収搬送電圧用の波形増幅器24は、図40に示すように、前述した波形増幅器22のクランプ回路26のGND方向とは逆向きのダイオードD2及び抵抗R5とシリーズに+50Vの電源回路27を挿入したのものであり、前記波形増幅器22の出力波形に+50VのDC電圧がバイアスされ、結果として+50〜+150Vの波形が得られる。
【0145】
このように、搬送基板の各電極に印加する駆動波形をコンデンサ、抵抗、ダイオード及びバイアス電圧発生手段から構成されるクランプ回路で形成することで、簡単な回路構成で、また、低レベル側をクランプすることでドリフトのない、波高値が一定で安定な波形が得られるので、正確なトナー搬送、ホッピングが可能になるとともに、また、低レベル側が0Vでない所定のバイアス波形を簡単な電源回路を挿入するだけで構成でき、感光体と搬送基板の間のバイアス電界を調整することが可能になって最適な画像が得られる条件を容易に設定できる。
【0146】
この実施形態のように、回収領域13の各電極102に印加する駆動波形にDCバイアスを重畳することによって、より回収効率が向上し、飛散トナーの発生を確実に防止できる。
【0147】
すなわち、前述したように現像領域通過後の領域でトナーを搬送基板1側に引き戻す電界を形成する手段を設けることによって、トナーの飛散は大変少なくなったが、まだゼロにはならなかった。その原因を究明したところ、高速度カメラの映像と上記シミュレーションより、搬送基板1に近い側でも、回転するOPC感光体ドラム10に引かれて空気の移動が生じていることに起因していることが判明した。
【0148】
そこで、回収領域13の各電極102に印加する駆動波形に+50VのDCバイアスを重畳して電界強度を高くしたことによって、飛散トナーの発生が略ゼロになった。なお、このときの駆動波形の平均電圧は83.3Vになる。
【0149】
このときのトナーTの挙動の一例について図41に示している。同図は、各電極102に印加する電圧を回収搬送電圧パターンの駆動波形Va3、Vb3、Vc3に切り替えた後1000μsecを経過したときのトナーの分布を示すものであり、第1実施形態の図27と同じ経過時間である。この図41と前記の図27とを対比すると分かるように、トナーが搬送基板1側に引き寄せられている。
【0150】
さらに研究を研究を重ねた結果、バイアス電圧にも適正値があることが判明した。すなわち、DCバイアス電圧を+100Vにした(駆動波形は+100〜+200Vになり、平均電圧は+133.3Vになる。)ときのトナーTの挙動の一例を図42に示している。同図は、各電極102に印加する電圧を回収搬送電圧パターンの駆動波形Va3、Vb3、Vc3に切り替えた後1000μsecを経過したときのトナーの分布を示すものであり、前述した図41と対比すると分かるように、さらにトナーが搬送基板1側に引き寄せられているが、搬送基板1に引き付ける静電力が強くなり、搬送されないトナーがかなり生じる。
【0151】
さらに、DCバイアス電圧を+150Vにした(駆動波形は+150〜+250Vになり、平均電圧は+183.3Vになる。)ときのトナーTの挙動の一例を図43に示している。同図は、各電極102に印加する電圧を回収搬送電圧パターンの駆動波形Va3、Vb3、Vc3に切り替えた後1000μsecを経過したときのトナーの分布を示すものであり、前述した図42と対比すると分かるように、さらに搬送基板1に引き付ける静電力が強くなり、OPC層15上に付着していたトナーまで搬送基板1に引き戻され、現像した画像が消えている。
【0152】
すなわち、回収搬送電圧のプラスバイアスには適正値があり、低すぎては、浮遊トナーを、OPC感光体ドラムの回転に伴って発生している気流中から、ほとんど空気の移動のない搬送基板側に引き寄せることができず、逆に高すぎると、トナーが搬送できなくなり、ついには、いったん現像されたトナーまで回収されて画像が消えてしまうことになる。
【0153】
次に、本発明に係る現像装置の第3実施形態について説明する。
この実施形態は、OPC感光体ドラム10の表面電位を高くするとともに、ホッピング電圧パターンの駆動波形Va2、Vb2、Vc2に−DCバイアス電圧を重畳したものである。
【0154】
すなわち、OPC感光体層15の帯電電荷密度を、−4.0e-4〔C/m*m〕に、電位として、−220Vに上げた。一方、現像領域12の各電極102に印加する駆動波形Va2、Vb2、Vc2として、図44に示すように−50VのDC電圧をバイアスし、−50V〜−150Vの駆動波形とした。なお、同図でも相対的に+の時間が33%デューティーの波形としている。
【0155】
この駆動波形を生成するための前述した波形増幅器23は、図45に示すように、図28に示す回路のクランプ回路25のGND方向のダイオードD1及び抵抗R5とシリーズに−50Vの電源回路28を挿入したのものであり、前記波形増幅器23の出力波形に−50VのDC電圧がバイアスされ、結果として−50〜−150Vの波形が得られる。
【0156】
このときのトナーTの挙動の一例について図46に示している。同図は、現像終了時のトナーの分布を示すものであり、第1実施形態の図20と比較すると分かるように、画像部17aに付着するトナー数が2倍近くなっている。
【0157】
このように、この実施形態では、画像部に付着する(現像する)トナーが増えて、画像濃度が高く、地汚れのない画像を形成することができる。
【0158】
これらの第2、第3実施形態を組み合わせて、搬送基板の各電極に対し、負帯電トナーを用いる場合には、現像領域では−V5〜−V6(V5>V6)の電圧を、現像領域通過後の領域では+V7〜+V8(V8>V7)電圧を印加する、つまり、現像領域では−V〜−(V+α)の電圧を、現像領域通過後の領域では+V〜+(V+α)電圧を印加する駆動波形とすることによって、トナーによる現像量及び浮遊トナーの回収量をより高めることができる。
【0159】
同様に、正帯電トナーを用いる場合には、現像領域では+V9〜V10(V10>V9)の電圧を、現像領域通過後の領域では−V11〜−V12(V12>V11)の電圧を印加する、つまり、現像領域では+V〜+(V+α)の電圧を、現像領域通過後の領域では−V〜−(V+α)電圧を印加する駆動波形とすることによって、トナーによる現像量及び浮遊トナーの回収量をより高めることができる。
【0160】
なお、電圧V9、V10、V11、V12は、同じ絶対値あってもよいし、異なる絶対値であってもよい。
【0161】
次に、本発明に係る現像装置の第4実施形態について説明する。
この実施形態では、前記第1実施形態と同様の駆動波形の電圧パターンを用いて、搬送基板1とOPC感光体10との間隔を200μmから400μmに広げたものである。
【0162】
このときのトナーTの挙動の一例について図47に示している。同図は、回収搬送電圧パターンの駆動波形を印加した後1000μsecを経過した時のトナーの分布を示すものであり、第2実施形態の図41と比較しても、相対的に浮遊していたトナーが搬送基板1側に引き寄せられていることが分かる。このように、一層トナーの飛散を防止することができる。
【0163】
次に、本発明に係る現像装置の第5実施形態について図48を参照して説明する。
この実施形態では、フレキシブル支持基板111に複数の電極102を設け、保護層103を形成した搬送基板41を用いて、この搬送基板41のうちの回収領域13に対応する部分を感光体ドラム10の表面形状に倣わせて湾曲させている。
【0164】
すなわち、前記第1実施形態において感光体ドラム10の回転数を上げる(周速をあげる)と、トナーの飛散が生じるようになった。これは、感光体ドラム10と搬送基板1との間隔(ギャップ)が感光体ドラム10下流側になるほど広がっているため、トナー回収時間が短くなって、浮遊トナーを、搬送基板1側に十分引き付ける前にOPC感光層が搬送基板1より遠ざかって行ってしまうことが原因であると考えられる。
【0165】
そこで、搬送基板41としてフレキシブル基板を用いて感光体ドラム10とのギャップを回収領域13で略同じに保持することで、十分なトナー回収のための時間を確保でき、浮遊トナーを搬送基板41側に引き付けることができるので、トナーの飛散が解消される。
【0166】
この場合、現像時間が不足するときには、図49に示すように、現像領域12でも、フレキシブルな搬送基板41を湾曲させてOPC感光体ドラム10の曲率に合わせて湾曲させることで、現像時間を確保することができるようになる。
【0167】
また、搬送基板41を湾曲させる場合、湾曲面を形成している部分は潜像担持体(感光体ドラム1)との間のギャップが潜像担持体の移動方向下流側ほど広くなっているようにすることで、空気の流れが乱れることなく速やかに減衰でき、浮遊トナーの回収をより確実に行うことができる。
【0168】
ここで、フレキシブルなファインピッチ薄層電極を有する搬送基板の一例としては、ポリイミドのベースフィルム(厚さ20〜100μm)を基材(支持基板111)として、その上に蒸着法によって0.1〜3μmのCu、Al、Ni-Cr等を成膜する。幅30〜60cmであれば、ロール・トゥ・ロールの装置で製造可能であり、量産性が非常に高まる。共通バスラインは同時に幅1〜5mm程度の電極を形成する。
【0169】
この蒸着法の具体的手段としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法、イオンビーム法、等の方法が可能である。例えば、スパッタ法で電極を形成する場合において、ポリイミドとの密着性を向上させるため、Cr膜を介在させても良いし、前処理として、プラズマ処理やプライマー処理によっても密着性を向上させることができる。
【0170】
また、蒸着法以外の工法としては、電着法によっても薄層電極を形成することができる。この場合は、ポリイミドの基材上に、まず、無電解メッキによって電極を形成する。塩化Sn、塩化Pd、塩化Niに順次浸漬して下地電極を形成した後、Ni電解液中で電解メッキを行ってNi膜1〜3μmをロール・トゥ・ロールで製造することが可能である。
【0171】
そして、これらの薄膜電極にレジスト塗布、パタンニング、エッチングで電極102を形成する。この場合、0.1〜3μm厚さの薄層電極であれば、フォトリソ、エッチング処理によって5μm〜数10μm幅、又は間隔のファインパタン電極を精度良く形成することができる。
【0172】
次いで、表面保護層103としてSiO2、TiO2等を厚さ0.5〜2μmをスパッタ等により形成する。或いは、表面保護層としてPI(ポリイミド)を厚さ2〜5μmにロールコータ、その他コーティング装置により塗布し、ベークして仕上げる。PIのままで支障を生じるときには、更に最表面にSiO2、その他無機膜を0.1〜2μmの厚みにスパッタ等で形成すればよい。
【0173】
また、別の例としては、ポリイミドのベースフィルム(厚さ20〜100μm)を基材(支持基板111)として、その上に電極材料として、厚さ10〜20μmのCu、SUS等を使用することも可能である。この場合は、逆に金属材の上にポリイミドをロールコータにて20〜100μm塗布してベークする。その後、金属材をフォトリソ、エッチング処理によって電極102の形状にパターン化し、その電極102面上に保護層103としてポリイミドをコーティング、金属材電極の厚さ10〜20μmに応じた凹凸がある場合は、適正な段差を含む、準平坦化を行う。
【0174】
例えば、粘度50〜10,000cps、より好ましくは100〜300cpsのポリイミド系材料、ポリウレタン系材料をスピンコートして放置することによって、材料の表面張力によって基板の凹凸がスムージングされ、搬送基板最表面が平坦化される。その後、熱処理により安定した保護フィルム膜材となる。
【0175】
さらに、フレキシブル搬送基板の強度を上げた更に他の例としては、基材として厚さ20〜30μmのSUS、Al材等を用いて、その表面に絶縁層(電極と基材との間の絶縁)として5μm程度の希釈したポリイミド材をロールコータによりコーティングする。そして、このポリイミドを例えば150℃−30分のプリベーク、350℃−60分のポストベークして薄層ポリイミド膜を形成して支持基板101とする。
【0176】
その後、密着性向上のプラズマ処理やプライマー処理を施した後、薄層電極層としてNi-Crを0.1〜2μmの厚みに蒸着し、フォトリソ、エッチングによって数10μmのファインパタンの電極102を形成する。さらに、表面にSiO2、TiO2等の表面保護層103を0.5〜1μm程度の厚みにスパッタにより形成することで、フレキシブル搬送基板を得ることができる。
【0177】
次に、本発明に係る現像装置の第6実施形態について説明する。
上述したように感光体ドラム10の回転数を上げる(周速をあげる)と、感光体ドラム10と搬送基板1との間隔(ギャップ)が感光体ドラム10下流側になるほど広がっているため、トナー回収時間が短くなって、浮遊トナーを、搬送基板1側に十分引き付ける前にOPC感光層が搬送基板1より遠ざかってしまうことになる。
【0178】
そこで、この実施形態では、ハードタイプの搬送基板1を使って、搬送基板1とOPC感光体ドラム10の間隔が広がるのに合わせて、回収搬送電圧パターンの駆動波形に加えるプラスバイアス電圧を順次増加させるようにしたものである。これにより、周速が上がったときにもトナー飛散を解消することができる。
【0179】
このときの回収領域13の長さに対するOPC感光体ドラム10と平板状の搬送基板1間のギャップ、及びそれに対するプラスバイアス電圧の関係を表1に示している。このときの条件は、次のとおりである。なお、なお、もともと地肌部はOPC感光体層側に浮遊するトナーは少なく、また、回収電界も画像部に比較して大きいので、画像部の回収電界が一定に維持されるようにバイアス電圧を設定した
【0180】
(条件)
直径60mmの感光体ドラムと平板状搬送基板。
回収領域13は感光体ドラムセンター直下より始まる。
回収搬送電圧パターンは+100V,0V,0V(+バイアス50V)
静電潜像電位は、画像部0V、地肌部−170V。
トナーの帯電極性は負(−20μC/g)
【0181】
【表1】
【0182】
次に、本発明に係る現像装置の第7実施形態について図50を参照して説明する。
この実施形態は、搬送基板1(又は搬送基板41)の各電極102に印加する駆動波形のバイアス電圧を変化できるようにしたものである。図50はこの場合のホッピング電圧パターンの駆動波形を出力するための波形増幅器23の一例を示すものであり、図45の回路において、固定電圧を出力するバイアス電源回路28に代えて、出力電圧を可変できるバイアス電源回路29を備えている。なお、搬送電圧パターン、或いは回収搬送電圧パターンの駆動波形を出力するための波形増幅器22、24についても同様にバイアス電圧を可変とすることができる。また、バイアス電源回路29の出力電圧は、図示しない主制御部によって調整できるようにしている。
【0183】
すなわち、トナーの帯電量や、OPC感光体の表面電位が、使用環境の温湿度や、プリンタの使用時間によって変化し、また、複写機の場合は、濃度の薄い原稿をより濃く複写したい場合や、逆に、地肌を飛ばして複写したい場合がある。そこで、この実施形態のようにバイアス値を変化できるようにすることで、環境の変化や、機械の変化、原稿の濃淡にかかわらず常に良好な画像をトナーの飛散無しに形成することができる。
【0184】
また、バイアス電圧をフィードパック制御する構成でなくても、機械組み立て後の機械間の特性バラツキをこのバイアス電圧を調整することで最適な画像が得られるように調整することもできる。
【0185】
次に、本発明に係る現像装置の第8実施形態について図51を参照して説明する。
この実施形態は、上記各実施形態において回収領域13では搬送基板を用いてトナーを回収する構成としていたものに代えて、回収領域13を持たない搬送基板61を用いて現像を行うとともに、現像領域12の出口付近に、トナーが潜像担持体である感光体ドラム1と反対側に向かう方向の電界を形成する手段として回収ローラ62を設け、この回収ローラ62にバイアス電源63から電界発生用のバイアス電圧を印加し、また回収ローラ62表面から回収トナーを剥離する回収ブレード64を設けている。
【0186】
この実施形態において、具体的に、現像領域12の出口に、直径20mmの金属ローラからなる回収ローラ62を、OPC感光体ドラム10より0.5mmのギャップを空けて配置し、この回収ローラ62にバイアス電圧として+500Vを印加したところ、浮遊トナーの大部分は金属ローラである回収ローラ62に静電付着し、トナーの飛散が低減した。
【0187】
さらに、金属ローラである回収ローラ62を、OPC感光体ドラム10と同方向に回転させ、その間のギャップで、両ローラを逆方向に移動させて、感光体ドラム62によって発生する気流を止めたところ、すべてのトナーを回収することができ、トナー飛散がなくなった。
【0188】
このように、トナーが潜像担持体である感光体ドラム1と反対側に向かう方向の電界を形成する手段としては、搬送基板に限られるものではなく、ローラ部材或いは、平板状部材などを用いることもできる。
【0189】
次に、上記各実施形態で説明したシュミレーションで用いたトナーの粒径(半径)の分布を図52に、帯電量Q/mの分布を図53にそれぞれ示している。なお、これらの分布は従来のトナーにおける実測値を基にした一例である。
【0190】
次に、本発明に係る現像装置を含む本発明に係る画像形成装置の第1実施形態について図54を参照して説明する。
この画像形成装置の全体の概略及び動作を説明すると、潜像担持体である感光体ドラム301は基体302上に感光体層303を形成してなり、同図で矢示方向に回転駆動される。この感光体ドラム301は帯電装置305によって一様に帯電され、露光部306からの読み取り画像に応じたレーザー光による書き込みにより、感光体ドラム301の表面に静電潜像が形成される。
【0191】
そして、この感光体ドラム301表面の静電潜像は、本発明に係る現像装置316によってトナーが付着されて可視像化され、この可視像は、給紙カセット317から給紙された転写紙(記録媒体)319に転写電源321からの電圧が印加される転写コロ320によって転写され、この可視像が転写された転写紙319は、感光体ドラム301の表面より分離されて、定着ユニット323のローラ間を通って、可視像が定着され、機外の排紙トレイへと排紙される。
【0192】
一方、転写が終了した感光体ドラム301の表面に残留しているトナーはクリーニング装置325によって除去され、感光体ドラム301の表面に残留している電荷は除電ランプ326によって消去される。
【0193】
そこで、現像装置316について説明すると、現像装置316内には粉体であるトナーの帯電を施す部材の一例として帯電ブラシ331a、331bの両ブラシが接触するように配置され回転動作し、トナータンク332から送り込まれるトナーTはブラシ331a、331bによる摩擦を受けて帯電が施される。
【0194】
帯電が施されトナーは、搬送基板341に送り込まれ、この搬送基板341上を搬送、ホッピングされて潜像担持体301に対向する現像領域に送られて、所要の現像を行った後、現像に供されなったトナーは搬送基板341の終端から落下して、逆送搬送基板342によってトナーに帯電を施す部材(帯電ブラシ331b)に逆送される。
【0195】
なお、搬送基板341及び逆送搬送基板342の構成は、前記搬送基板1と同様であり、搬送基板341及び逆送搬送基板342の各電極に駆動波形を与える駆動回路の構成も図示は省略するが、前記現像装置の各実施形態で説明した同様である。
【0196】
このように構成することで、飛散トナーが少なく、高い現像品質で現像を行って高画質の画像を形成することができる。
【0197】
次に、本発明に画像形成装置の第2実施形態について図55を参照して説明する。なお、同図は同画像形成装置の全体概略構成図である。
この画像形成装置の全体の概略及び動作を説明すると、潜像担持体である感光体ドラム401(例えば、有機感光体:OPC)は同図で時計方向に回転駆動される。コンタクトガラス402上に原稿を載置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源403とミラー404とを含む走査光学系405と、ミラー406、407を含む走査光学系408とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。
【0198】
ここで、走査された原稿画像がレンズ409の後方に配置した画像読み取り素子410で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理される。そして、この画像処理をした信号でレーザーダイオード(LD)を駆動し、このレーザーダイオードからのレーザー光をポリゴンミラー413で反射した後、ミラー414を介して感光体ドラム401上に照射する。この感光体ドラム401は帯電装置415によって一様に帯電されており、レーザー光による書き込みにより、感光体ドラム401の表面に静電潜像が形成される。
【0199】
そして、この感光体ドラム401表面の静電潜像は、本発明に係る現像装置416によってトナーが付着されて可視像化され、この可視像(トナー像)は、給紙部417A又は417Bから給紙コロ418A又は418Bで給紙された転写紙(記録媒体)419に転写チャージャ420のコロナ放電により転写される。この可視像が転写された転写紙419は、分離チャージャ421により感光体ドラム401の表面より分離されて、搬送ベルト422によって搬送され、定着ローラ対423の圧接部を通って、可視像が定着され、機外の排紙トレイ424へと排紙される。
【0200】
一方、転写が終了した感光体ドラム401の表面に残留しているトナーはクリーニング装置425によって除去され、感光体ドラム401の表面に残留している電荷は除電ランプ426によって消去される。
【0201】
現像装置416は、図56に示すように、トナーを収納するトナーホッパ部431と、このトナーホッパ部431内のトナーを攪拌するアジテータ432と、トナーホッパ部431内のトナーを帯電させてトナーボックス部433に供給する帯電ローラ434及びこの帯電ローラ434の周面に接触させて配置したドクターブレード435とを備えている。
【0202】
また、トナーボックス部433内に供給されたトナーを現像のために搬送、ホッポングするために搬送する搬送基板441と、この搬送基板441の終端から落下する現像に供されなかったトナーを帯電を施す部材(帯電ローラ434)に戻す方向に搬送する逆送搬送基板442とを備えている。
【0203】
なお、上記第1実施形態でも述べたとおり、搬送基板441及び逆送搬送基板442の構成は、前記搬送基板1と同様であり、搬送基板441及び逆送搬送基板442の各電極に駆動波形を与える駆動回路の構成も図示は省略するが、前記現像装置の各実施形態で説明した同様である。
【0204】
このように構成することで、飛散トナーが少なく、高い現像品質で現像を行って高画質の画像を形成することができる。
【0205】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る現像装置によれば、負帯電トナーである粉体を搬送させるための搬送手段が進行波電界を発生させるための複数の電極を有する搬送部材と、この搬送部材の各電極にn相の電位を印加する手段を含み、潜像担持体側の電位に対して進行波電界を発生させるために搬送部材に印加される電位の平均電位が、現像領域では潜像の画像部電位と非画像部電位の間となり、現像領域通過後の領域では潜像の画像部電位と非画像部電位の両電位よりも高い電位である構成としたので、飛散粉体を可及的に低減することができ、また、現像品質が向上する。
【0206】
また、本発明に係る現像装置によれば、正帯電トナーである粉体を搬送させるための搬送手段が進行波電界を発生させるための複数の電極を有する搬送部材と、この搬送部材の各電極にn相の電位を印加する手段を含み、潜像担持体側の電位に対して進行波電界を発生させるために搬送部材に印加される電位の平均電位が、現像領域では潜像の画像部電位と非画像部電位の間となり、現像領域通過後の領域では潜像の画像部電位と非画像部電位の両電位よりも低い電位である構成としたので、飛散粉体を可及的に低減することができ、また、現像品質が向上する。
【0208】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る現像装置を備えて潜像を現像して画像を形成するので、飛散粉体が少なく、高画質画像を形成することができる。
【0209】
本発明に係る画像形成方法によれば、本発明に係る現像装置を用いて潜像を現像して画像を形成するので、飛散粉体が少なく、高画質画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る現像装置の第1実施形態を説明する概略構成図
【図2】同装置の搬送基板の正面説明図
【図3】同搬送基板の平面説明図
【図4】搬送基板に与える駆動波形の一例を説明する説明図
【図5】粉体の搬送、ホッピングの説明に供する説明図
【図6】粉体の搬送、ホッピングの具体例の説明に供する説明図
【図7】同装置の駆動回路の一例を示すブロック図
【図8】搬送電圧パターン及び回収搬送電圧パターンの駆動波形の一例を示す説明図
【図9】ホッピング電圧パターンの駆動波形の一例を示す説明図
【図10】ホッピング電圧パターンの駆動波形の他の例を示す説明図
【図11】ホッピングの原理の説明に供するシュミレーション対象領域の説明図
【図12】電極近傍の電界ベクトルの説明に供する説明図
【図13】印加電圧とホッピング方向電界と0V電極センターからの高さの関係の一例を説明する説明図
【図14】印加電圧に対するY方向速度及びホッピング高さの関係の一例を説明する説明図
【図15】ETH現像におけるホッピング電圧パターンの駆動波形を印加して現像を開始する直前(0μsec後)のトナー位置の説明に供する説明図
【図16】同じく100μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図17】同じく200μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図18】同じく300μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図19】同じく500μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図20】同じく1000μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図21】同じく1500μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図22】同じく2000μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図23】同じく現像終了後回収搬送電圧パターンの駆動波形を印加して100μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図24】同じく200μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図25】同じく400μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図26】同じく700μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図27】同じく1000μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図28】ホッピング電圧パターン用波形増幅器の一例を説明する説明図
【図29】同波形増幅器の説明に供する各部の波形の説明図
【図30】回収搬送電圧パターン及び搬送電圧パターン用波形増幅器の一例を説明する説明図
【図31】同波形増幅器の説明に供する各部の波形の説明図
【図32】同装置の搬送基板の電極幅及び電極間隔の説明に供する説明図
【図33】電極幅と0V電極端の電界(X方向)の関係の一例を説明する説明図
【図34】電極幅と0V電極端の電界(Y方向)の関係の一例を説明する説明図
【図35】表面保護層の膜厚と電界強度の関係の一例を説明する説明図
【図36】表面保護層の膜厚と電界強度の関係の説明に供する説明図
【図37】表面保護層の膜厚と電界強度の関係の説明に供する説明図
【図38】本発明に係る現像装置の第2実施形態を説明する概略構成図
【図39】同装置の回収搬送電圧パターンの駆動波形の説明図
【図40】同回収搬送電圧パターンの駆動波形を生成する波形増幅器の一例を説明する説明図
【図41】同回収搬送電圧パターンの駆動波形を印加して1000μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図42】同回収搬送電圧パターンのバイアス電圧を+100Vにした駆動波形を印加して1000μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図43】同回収搬送電圧パターンのバイアス電圧を+150Vにした駆動波形を印加して1000μsec後のトナー位置の説明に供する説明図
【図44】本発明に係る現像装置の第3実施形態におけるホッピング電圧パターンの駆動波形を説明する説明図
【図45】同ホッピング電圧パターンの駆動波形を生成する波形増幅器の一例を示す説明図
【図46】同実施形態の現像終了時のトナー位置の説明に供する説明図
【図47】本発明に係る現像装置の第4実施形態における回収搬送電圧パターンの駆動波形を印加した後1000μsecを経過した時のトナー位置の説明に供する説明図
【図48】本発明に係る現像装置の第5実施形態の説明に供する要部概略構成図
【図49】同実施形態の他の例の説明に供する要部概略構成図
【図50】本発明に係る現像装置の第7施形態におけるホッピング電圧パターンの駆動波形生成用の波形増幅器を説明する説明図
【図51】本発明に係る現像装置の第8実施形態の説明に供する要部概略構成図
【図52】シュミレーションで用いたトナーの半径分布を示す説明図
【図53】シュミレーションで用いたトナーの帯電量Q/m分布を示す説明図
【図54】本発明に係る画像形成装置の第1実施形態を説明する概略構成図
【図55】本発明に係る画像形成装置の第2実施形態を説明する概略構成図
【図56】同画像形成装置の現像装置部分の拡大説明図
【符号の説明】
1、41、61…搬送基板、2…駆動回路、10…感光体ドラム、11…搬送領域、12…現像領域、13…回収領域、101…支持基板、102…電極、22a〜22c、23a〜23c…波形増幅器、301…感光体ドラム、341…搬送基板、342…逆送搬送基板、401…感光体ドラム(潜像担持体)、405、408…走査光学系、413…ポリゴンミラー、415…帯電装置、416…現像装置、434…帯電ローラ、441…搬送基板、442…逆送搬送基板。
Claims (12)
- 潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像するための現像装置において、
前記粉体が負帯電トナーであり、
前記粉体を搬送させるための搬送手段が進行波電界を発生させるための複数の電極を有する搬送部材と、
この搬送部材の各電極にn相の電位を印加する手段を含み、
前記潜像担持体側の電位に対して前記進行波電界を発生させるために前記搬送部材に印加される電位の平均電位が、現像領域では前記潜像の画像部電位と非画像部電位の間となり、現像領域通過後の領域では前記潜像の画像部電位と非画像部電位の両電位よりも高い電位である
ことを特徴とする現像装置。 - 潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像するための現像装置において、
前記粉体が正帯電トナーであり、
前記粉体を搬送させるための搬送手段が進行波電界を発生させるための複数の電極を有する搬送部材と、
この搬送部材の各電極にn相の電位を印加する手段を含み、
前記潜像担持体側の電位に対して前記進行波電界を発生させるために前記搬送部材に印加される電位の平均電位が、現像領域では前記潜像の画像部電位と非画像部電位の間となり、現像領域通過後の領域では前記潜像の画像部電位と非画像部電位の両電位よりも低い電位である
ことを特徴とする現像装置。 - 請求項1又は2に記載の現像装置において、前記現像領域通過後に形成される電界の強さは前記潜像担持体に付着した粉体を潜像担持体面より引き剥がさない範囲であることを特徴とする現像装置。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の現像装置において、前記潜像担持体と前記搬送部材との間のギャップに応じて前記搬送部材に異なるバイアス電圧を印加し、又は前記搬送部材に印加する電位を異ならせることを特徴とする現像装置。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の現像装置において、前記潜像担持体と前記搬送部材との間のギャップが前記現像領域と前記現像領域通過後の領域で略同じであることを特徴とする現像装置。
- 請求項5に記載の現像装置において、前記搬送部材が湾曲面を形成可能な部材で形成されていることを特徴とする現像装置。
- 請求項6に記載の現像装置において、前記搬送部材の湾曲面を形成している部分が前記現像領域通過後の領域であることを特徴とする現像装置。
- 請求項7に記載の現像装置において、前記搬送部材の湾曲面を形成している部分は前記潜像担持体との間のギャップが潜像担持体の移動方向下流側ほど広くなっていることを特徴とする現像装置。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の現像装置において、前記搬送部材の電極に対して印加する駆動波形を生成する回路にはクランプ回路を含み、このクランプ回路には直流バイアス電圧を発生する手段を含むことを特徴とする現像装置。
- 請求項9に記載の現像装置において、前記直流バイアス電圧を発生する手段は直流バイアス電圧の値を変化可能なことを特徴とする現像装置。
- 潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像して画像を形成する画像形成装置において、前記請求項1ないし10のいずれかに記載の現像装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
- 潜像担持体上に粉体を付着させて潜像担持体上の潜像を現像して画像を形成する画像形成方法において、前記請求項1ないし10のいずれかに記載の現像装置で前記潜像を現像して画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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