JP3998328B2 - 鮮度保持シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鮮度保持剤と、その保持剤を具備した鮮度保持用シート及びトレー、さらに詳しくは、魚介類や野菜等、主として生鮮食品等の鮮度を保持するための鮮度保持剤と、その保持剤を具備させたシートやトレーに関する。
【0002】
【従来の技術】
生鮮食品の鮮度を保持することは究極の課題であり、そのために従来より種々の試みがなされている。
【0003】
たとえば、野菜や果物の場合には、冷蔵庫や箱等の中で密封状態にしておくと、その野菜や果物から発散されるエチレンガスによって鮮度が低下することが経験的に認められている。
【0004】
これを解決するために、近年においては、たとえば不織布からなるシートや合成樹脂製のシート等、鮮度保持用のシートも開発されており、このシートで野菜等の生鮮食品を包装することが試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、不織布製のシートは、不織布が本来保有する通気性を利用したに過ぎない。
【0006】
すなわち、そのシートで野菜等の生鮮食品を包装したときに、通気性の良好な不織布を介してエチレンガスを外部に放散しうるようにしたもので、エチレンガスが極力内部に滞留することのないようにするという消極的な観点から鮮度保持を図るものにすぎない。
【0007】
一方、合成樹脂製のシートは、エチレンガスを透過しうるような特殊な素材の合成樹脂を用い、上記不織布のシートと同様に、生鮮食品を包装したときに、エチレンガスが内部に滞留することなく、特殊な合成樹脂製シートの透過性によりエチレンガスを外部に放散しうるようにしたものである。
【0008】
従って、いずれしても、従来の鮮度保持用のシートは、エチレンガスを内部に滞留させないことによって、鮮度の低下を極力防止するという消極的な観点から鮮度保持を図るにすぎないもので、生鮮食品の鮮度保持という究極の課題を根本的に解決するものではなかった。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、従来の鮮度保持シートに比べて鮮度保持効果を著しく増大させることを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するために、鮮度保持シートであって、竹の炭とトルマリン鉱石とが含有され、竹酢液により中和された鮮度保持剤の水玉模様などの模様が吸水パルプ又は不織布からなるシート本体の表面に印刷されてなる。
【0011】
竹の炭の粉末は、竹を乾留し、これを粉状にすることによって得られるもので、得られた粉体の粒子は、一般の多孔性物質に比べても著しく空隙が多い多孔質物質である。
【0012】
ちなみに、このような竹の炭の粉末は、1cm3あたり表面積が20アールにもなり、一般に多孔性物質として知られている木炭が1cm3あたりの表面積10アールであることに比べると、約2倍の表面積を有し、これが優れた吸着効果の要因となっている。
【0013】
竹の乾留は、たとえば高圧蒸気釜によってケージ圧3気圧、100 ℃〜150 ℃、20〜30分の条件下で行う。
【0014】
一方、トルマリン鉱石は、通常電気石と称され、硬度7.25、比重3.05の六方晶系の結晶構造を有する。
【0015】
トルマリン鉱石は、極性の結晶体であり、一般の誘電体のように電場の中におかなくても電気分極を生ずる性質を有する。
【0016】
トルマリン鉱石の組成は、NaX3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4で表される。
【0017】
ここで、Xとは、Mg、Fe、Mn、Li、Alのうちから任意に選択される金属元素を意味し、XがMgの場合にはドラバイト(苦土電気石)と称され、XがFe又はMnの場合にはショール(鉄電気石)と称され、XがLi又はAlの場合にはエルバイト(リチア電気石)と称されている。
【0018】
本発明は、多孔質物質である竹の炭の粉の吸着,消臭効果と、トルマリン鉱石の静電力による吸着効果によって鮮度保持効果が生ずることを見い出して完成されたものであるが、両者を混合することによって、竹炭の鮮度保持効果を半永久的に保持することができるという相乗的な効果も有する。
【0019】
すなわち、トルマリン鉱石の電極分極を生ずる性質によって静電気が生じ、これが竹炭の活性化を促進することとなるのである。
【0020】
本発明の鮮度保持剤には、さらにカテキン類の粉末を含有させることが可能である。
【0021】
カテキン類は、緑茶の中に含まれる成分であるが、抗酸化力を有する。
【0022】
一般に、肉や油脂類等の不飽和脂肪酸を含む食品類は、空気中に放置しておくと、比較的容易に変質して風味を低下させ、不快臭を発生させる。
【0023】
カテキン類は、このような肉類、油脂類、魚介類等に含まれる不飽和脂肪酸の酸化を防ぎ、鮮度を保持する作用を有するのである。
【0024】
本発明の鮮度保持剤には、さらに青竹の皮の粉末を含有させることが可能である。
【0025】
この青竹の皮の粉末は、強い殺菌力及び消臭力を有する。
【0026】
そのままでも使用できるが、乾留すると消臭力が増大する。
【0027】
また、鮮度保持剤をトレーに具備させることって鮮度保持用トレーとして使
用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0029】
〔実施例1〕
一実施例としての鮮度保持剤の組成は次のとおりである。
成分 配合量(重量%)
竹炭の粉末 8〜10%
トルマリン鉱石の粉末 5〜8%
カテキン類の粉末 1%
青竹の皮の粉末 2〜3%
竹酢液 適量
【0030】
残量は、基剤等が適宜配合される。
【0031】
ここで、竹炭の粉末、トルマリン鉱石の粉末、カテキン類の粉末、青竹の皮の粉末の効果は上述のとおりであるが、竹酢液は中和のために配合されるものである。
【0032】
すなわち、竹炭の粉末、トルマリン鉱石の粉末、カテキン類の粉末、青竹の皮の粉末のみでは、強アルカリ性となるため、酸性の竹酢液を配合してpHを6.8 〜7程度に維持するのである。
【0033】
〔試験例1〕
本試験例では、竹の炭の粉末による吸着効果を試験した。
【0034】
魚の生臭さ等の要因となるトリメチルアミンを20%の濃度で充填した40cm角の箱の中に、竹の炭の粉末を具備させた30cm角のシートを入れた。
【0035】
トリメチルアミンの濃度は、10分後には13%に減少し、30分後には12%に減少し、60分後には10%に減少し、さらに120 分後には8%に減少した。
【0036】
この結果、竹の炭の粉末のトリメチルアミンに対する吸着効果が非常に良好であることが裏付けられた。
【0037】
この吸着効果が、魚等の生鮮食品の鮮度保持効果を生じさせると認められる。
【0038】
〔実施例2〕
本実施例は、鮮度保持シートの実施例である。
図1において、1は吸水パルプからなるシート本体で、上記実施例1の組成からなる鮮度保持剤2が具備されている。
【0039】
この鮮度保持剤2は、水玉模様が施されるごとく、前記シート本体1にオートスクリーンで印刷することによって該シート本体1に具備されている。
【0040】
このようなシート本体1に鮮度保持剤2を具備させるには、アルギン酸ソーダ等の天然糊剤を鮮度保持剤に混合し、これをシート本体1に付着させることによって行い、天然糊剤は鮮度保持剤のバインダーとして機能する。
【0041】
〔試験例2〕
上記実施例2の鮮度保持シートの水玉模様が施された面を表にしてマグロの刺身と大根のケンを載置し、冷蔵庫に保存した。
【0042】
比較例として、紙の上にマグロの刺身と大根のケンを載置し、冷蔵庫に保存した。
【0043】
上記実施例2の鮮度保持シートにマグロの刺身等を載置したもの、及び比較例の紙上にマグロの刺身等を載置したものを冷蔵庫に入れた後、それぞれ3日目に冷蔵庫から取り出し、外観の変化を観察した。
【0044】
実施例2の鮮度保持シート1上に載置したマグロの刺身は、ほとんど変色することなく、本来のマグロの赤みの色を維持していた。また、大根のケンもシャキっとした食感が維持されていた。
【0045】
これに対して比較例の紙上に載置したマグロの刺身は、黒く変色し、身も変形していた。また、大根のケンもひからびて変色していた。
【0046】
枝豆、豆腐、桃等の他の食品についても上記実施例2の鮮度保持シートで同様に試験を行い、良好な鮮度保持効果が得られた。
【0047】
〔実施例3〕
本実施例は、鮮度保持用トレーの実施例である。
【0048】
図3において、3はトレー本体で、再生紙によって構成され、このトレー本体3に、上記実施例1の鮮度保持剤が具備されている。
【0049】
このトレーに収納される生鮮食品が、肉や魚介類等、水分や血が流出するおそれのある生鮮食品の場合には、吸水パルプからなるトレー本体3に上記鮮度保持剤をそのまま付着させ、生鮮食品が卵や野菜等の場合には、トレー本体3に印刷をして鮮度保持剤を具備させることが可能である。
【0050】
〔その他の実施例〕
尚、上記実施例1では鮮度保持剤として上記のような組成のものを用いたが、鮮度保持剤の組成は上記実施例1に限定されるものではない。
【0051】
要は、竹炭の粉末とトルマリン鉱石の粉末が含有されていればよいのである。
【0052】
また、熊笹のエキスやキトサンの粉末を配合することも可能である。これらを配合した場合には、鮮度保持効果がより良好となる。
【0053】
また、上記実施例2では、吸水パルプでシート本体1が構成されていたが、シート本体1の素材はこれに限定されるものではなく、たとえば不織布でシート本体1が構成されていてもよい。
【0054】
さらに、該実施例2では、水玉模様が施されるように鮮度保持剤がシート本体1に具備されていたが、鮮度保持剤をシート本体1に具備させる態様は該実施例に限定されない。
【0055】
さらに、実施例3のトレー本体2の形状も、箱形や皿形等、その形状は問わない。
【0056】
さらに、本発明の鮮度保持剤は、シートやトレーの他に、たとえば袋のようなものに具備させることも可能である。
【0057】
【発明の効果】
叙上のように、本発明の鮮度保持剤は、竹の炭の粉末と、トルマリン鉱石の粉末とを含有したものであるため、このような鮮度保持剤を具備させたシートやトレー等で生鮮食品、たとえば野菜や果物類を包装し或いは載置した場合、多孔性物質である竹の炭の粉末によって、野菜や果物類から発散されるエチレンガスが速やかに吸着,分解され、またトルマリン鉱石の粉末によって電気的に分解され、従って両者によって野菜等の鮮度低下の要因とされていたエチレンガスを分解できるので、単に外部にエチレンガスを発散若しくは透過させていた従来の鮮度保持シートに比べると、その鮮度保持効果が著しく向上することとなった。
【0058】
また、竹の炭の粉末の殺菌作用,防腐作用により鮮度保持効果はより良好となる。
【0059】
さらに、竹の炭の粉末の吸着効果により消臭作用も有するので、鮮度低下の要因となる生鮮食品の臭気も好適に除去することができる。
【0060】
さらに、竹の炭の粉末の吸着効果とともに、トルマリン鉱石の粉末の電気的な作用により、生鮮食品の水分の質も調節され、これが鮮度保持効果を一層高めることとなっている。
【0061】
さらに、鮮度保持剤にカテキン類を含有させた場合には、肉類、油脂類、魚介類等に含まれる不飽和脂肪酸の酸化を防ぎ、抗酸化力を高めることができ、生鮮食品の腐敗を好適に防止できるいう効果がある。
【0062】
さらに、鮮度保持剤に青竹の皮の粉末を具備させた場合には、強い殺菌力及び消臭力を有することとなり、鮮度保持効果を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態としての鮮度保持シートの正面図。
【図2】同要部拡大断面図。
【図3】一実施形態としての鮮度保持用トレーの斜視図。
【符号の説明】
1…シート本体 2…鮮度保持剤
3…トレー本体
Claims (4)
- 竹の炭とトルマリン鉱石とが含有され、竹酢液により中和された鮮度保持剤が吸水パルプからなるシート本体の表面に模様として印刷されてなることを特徴とする鮮度保持シート。
- 前記模様は水玉模様である請求項1記載の鮮度保持シート。
- 前記鮮度保持剤にカテキン類が含有されている請求項1又は2記載の鮮度保持シート。
- 前記鮮度保持剤に青竹の皮の粉末が含有されている請求項1乃至3のいずれかに記載の鮮度保持シート。
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