JP3998170B2 - 眼鏡用レンズ及び同レンズの加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は眼鏡用レンズ及び同レンズの加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来における眼鏡用レンズではハード膜やマルチ膜などの表面コーティングを施したレンズの周囲を図7に示すようにフレームに合わせて切り取り線pで示すようにカットし(これを玉型をカットするという)、その後図8に示すように面取り加工を施すようにしている。純粋に視力矯正の点からすればレンズ有効領域51より外側の部分は表面寄りの斜めに光がレンズ有効領域51に到達する部分(表面寄り部分)以外は不要であるが、実際にはフレームに装着する部分を残す必要がある。そのため図7のSで示す部分は残す必要があるもののあまりに残した部分が角張るのはレンズの美観の点からも好ましくないため図8のように明らかに不要といえる部分に面取り加工を施すわけである。また、物理的にも角張っていると欠損の原因となってしまうからでもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、面取り加工によって研磨された面取り面52は擦りガラス状とされてしまう。特に近視矯正用の凹レンズでは眼鏡使用者と対面している第三者から見た場合には面取り面52がレンズ効果によって特に斜めの角度から見た場合に大きく拡大され眼鏡の厚みを強調するような効果を与えてしまう。そのため特に厚いレンズを使用している眼鏡使用者には自分と対面している第三者にいかにも厚いレンズを使用しているという印象を与え、あまり好ましいものではなかった。また、レンズ有効領域51と面取り面52とは不連続面となるためその境界線が目立ち、やはり同様の効果を与える原因となっていた。
更に、表面コーティングを施したレンズに面取り加工を施すと境界付近における表面コーティングの剥がれ(いわゆる膜はげ)が生じ、レンズ自体の美観はやはり損なわれる。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、レンズ有効領域の外側に設けられる面取り部分の欠点を改良した眼鏡用レンズ及び同レンズの加工方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明では、眼鏡使用者に設定された矯正視力を得るために材料ブロック裏面に所定の曲率でレンズ有効領域を加工する第1のレンズ加工工程と、
同第1のレンズ加工工程によって加工される前記レンズ有効領域の外周に同レンズ有効領域と連続的な3次元曲面を面取り部として加工する第2のレンズ加工工程とを備え、同第2のレンズ加工工程においては計算データとしてレンズ外方からレンズの中心方向に向かう所定の数の直線を設定しそれら各直線にて切断されたレンズ断面の形状データをシュミレートして得るとともに、シュミレートして得られた隣接する各直線における断面形状間を補間して同面取り部の全体の形状データを得るようにしたことをその要旨とする。
また請求項2の発明では請求項1発明の構成に加え、前記レンズ有効領域の最端部に設定される視野限界位置は光がフレーム位置から入射して眼に達するまでをシュミレートしてその位置を決定するようにしたことをその要旨とする。
【0005】
また請求項3の発明では請求項1又は2の発明の構成に加え、前記面取り部の外側に形成されるカット部にはカット時のずれを考慮した余裕部を前記面取り部と隣接して設けたことをその要旨とする。
また請求項4の発明では請求項1〜3のいずれかの発明の構成に加え、前記面取り部にはフレーム装着時のずれを考慮した余裕部をレンズ有効領域と隣接して設けたことをその要旨とする。
また請求項5の発明では請求項1〜4のいずれかの発明の構成に加え、眼鏡のフレーム形状情報に基づいて同フレームに対応したレンズの外形輪郭加工をする第3のレンズ加工工程とを備えたことをその要旨とする。また請求項6の発明では請求項1〜5のいずれかの発明の構成に加え、前記第2のレンズ加工工程は前記第1のレンズ加工工程と同時に行われるようにしたことをその要旨とする。
【0006】
【発明の効果】
請求項1〜4の発明では、レンズ有効領域の外側に擦りガラス状ではなくまた、継ぎ目もないレンズ有効領域と連続的な面取り部が形成されることとなり、レンズの美観が向上する。
また、請求項2の発明では上記効果に加え次のような効果を奏する。すなわち、縁寄りほどレンズ厚みが大きくなる凹レンズでは側面が拡大されて眼鏡の厚みを強調するような作用があるが、このような面取り部とすることでそのような作用を抑制することができる。請求項5の発明では請求項3又は4の効果に加え、レンズの裏面の加工を施す際に光学的使用面と併せて面取り加工を行うことができるためそれらを別々に加工する場合に比べ加工誤差がなくなり滑らかに面が連続することとなる。請求項6の発明では請求項3〜5のいずれか効果に加え、面取り部より内側において加工時にコーティングが剥落することがなくなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を凹レンズに適用した具体的な実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1のレンズは図1に示すようないわゆる「セミ」と呼ばれる十分な厚みを有する材料ブロック10を図示しないCAM(computer aided manufacturing)装置にて切削加工あるいは研削加工して得られる。本実施の形態1における材料ブロック10の表面は所定の曲率となるように凸状に形成され、裏面は所定の曲率となるよう凹状に形成されている。
本実施の形態1では材料ブロック10の形状データをCAM装置に入力するとともに、レンズ有効領域11の形状データと面取り部12及びカット部13の形状データを合成した合成形状データに基づいて切削して図2に示すようなレンズ有効領域11、面取り部12及びカット部13を同時に加工する。切削加工された材料ブロック10には更に切削面にスムージング加工及びポリッシング加工を施し滑らかな加工面を形成させる。
【0008】
ここに、図2に示すように、レンズ有効領域11、面取り部12及びカット部13を上記のように加工することを一次加工とし、この段階で得られるレンズを丸レンズと称する。次いで、この丸レンズに対して既知の表面コーティングを施す。本実施の形態1の表面コーティングはハード膜を形成させた後その外側にマルチ膜を形成させるものである。この加工を二次加工とする。
図3に示すように、二次加工が終了した丸レンズに対してレンズを装着するフレームに応じてカット部13のカットを行う。この段階のレンズを玉型レンズと称する。すなわち、フレームに装着可能な完成されたレンズ15である。尚、本実施の形態1のレンズ15は面取り部分の大きないわゆる又老(またろう)型の累進多焦点レンズとした。
【0009】
このような加工工程で得られるレンズ15の面取り部12及びカット部13は次のような手段によって形状データを計算し上記加工が施される。
図4に示すように、レンズ外方からレンズの幾何中心に向かう所定の数の直線を設定し、各直線にて切断したレンズ断面の所望の形状データをシュミレートする。
例えば、ある直線Pについて説明する。図4に示すように、直線P上ではレンズ有効領域の最端部、すなわち視野限界位置Aとフレーム配置位置Dはそのレンズ固有の値として一義的に決定される。視野限界位置Aは光がフレーム位置から入射して眼に達するまでをシュミレートしてその限界とする。但し、フレーム装着時のずれを考慮して本実施の形態1では第1の補正位置A’を視野限界位置Aの外方に取る。第1の補正位置A’は一般にどの程度ずれるかの経験則に従って設定する。次に、この第1の補正位置A’〜フレーム配置位置D間の距離の1/4を第1の補正位置A’から直線Pに沿ってプロットする。これを面取り部12の一番高い頂点位置Bとする。更にこの第1の補正位置A’〜フレーム配置位置D間の距離の1/3をフレーム配置位置Dから直線Pに沿ってプロットする。これを直線開始点Cとする。更に、加工誤差、すなわちカット位置のずれを考慮して本実施の形態1ではフレーム配置位置Dの外方に第2の補正位置D’を取る。第2の補正位置D’は一般にどの程度ずれるかの経験則に従って設定する。
【0010】
これら視野限界位置A〜第2の補正位置D’の配置位置、すなわち水平方向の位置が決定した段階で次に面取り部12及びカット部13の直線P上の軌跡、すなわちこれらプロットされた各位置に基づいて垂直方向の形状を決定する。
ここに、第1の補正位置A’〜頂点位置B間の面取り部12の形状は本実施の形態1では3次関数曲線で表される。この関数は次の4つの条件によって決定される。
1)第1の補正位置A’を通ること。
2)第1の補正位置A’での傾きがレンズ有効領域と平行となること。
3)頂点位置Bを通ること。
4)頂点位置Bでの傾きが水平であること。
【0011】
また、頂点位置B〜フレーム配置位置Dまでの形状は本実施の形態1では頂点位置B〜直線開始点C間は2次関数曲線で表され、直線開始点C〜フレーム配置位置Dの間は1次関数直線で表される。これらの関数は次の5つの条件によって決定される。
1)頂点位置Bを通ること。
2)頂点位置Bでの傾きが水平であること。
3)2次曲線と一次直線が直線開始点Cにおいて連続となること。
4)直線開始点Cにおける一階微分値が連続であること。
5)フレーム配置位置Dを通ること。
また、フレーム配置位置D〜第2の補正位置D’は上記1次関数直線を延長する。
また、第2の補正位置D’〜カット部13の縁(丸レンズの外縁)までの形状は最終的にはカットされるため特に形状に限定はない。例えば本実施の形態1ではレンズの表面に対して平行となるように切削加工及び研削加工を行う。これは材料ブロック10の形状に応じて経験則にて設定する。
【0012】
このようにして直線Pについてその断面の形状データを得ると同様に他のレンズの幾何中心に向かう直線上の断面形状の形状データを得る。そして隣接する断面形状間については既知の補完計算を行い、レンズ有効領域11の形状データと併せて全体として立体的なレンズ裏面形状のデータを得る。この得られた形状データに基づいてCAM(computer aided manufacturing)装置にて切削及び研削加工する。
ここに、図5に示すように、レンズの幾何中心Oから離れた位置、例えば耳寄りではレンズが厚くなり、逆に幾何中心Oに近い位置、例えば上下方向寄りではこれと比較してレンズは薄い。従って、レンズ全体のバランスを取る必要から面取り部12の頂点位置Bの高さ調整及びフレーム配置位置Dでの厚み調整が必要である。そのため、ここに図3に示すように材料ブロック10にレンズ有効領域11の曲率で切削をしたと仮想した場合の各直線上の切削面(これを切削線Kとする)から頂点位置Bに降ろした垂線を頂点位置低減量Eとする。そして、視野限界位置Aと頂点位置Bとの頂点高さの差を頂点高さFとする。このときこれら頂点位置低減量Eと頂点高さ比Fとをパラメータにして頂点位置Bを設定することができる。これには、例えば以下のような低減量調整手段が考えられる。
【0013】
1)全周に渡って同じ頂点高さFに設定する。つまり、頂点位置低減量Eの多寡にかかわらず全周同じ高さに設定されることとなる。
2)頂点高さFを頂点位置低減量Eとの関係で考える。例えば、頂点高さFを頂点位置低減量Eの1/3とするとか、同量とするとかである。この結果、例えばレンズの幾何中心Oから離れるほど頂点位置低減量Eが増加するため、その場合では切削量が多くなる傾向となる。
3)頂点高さFを頂点位置低減量Eとの関係を更に縁の厚さ(レンズの幾何中心Oからの距離と考えてもよい)をパラメータとして考えること。例えば、最大縁厚(レンズの幾何中心Oから最も遠距離)部分においては頂点高さFを頂点位置低減量Eの1/3とし、最小縁厚(レンズの幾何中心Oから最も近距離)部分においては頂点高さFを頂点位置低減量Eのと同量とするなどが考えられる。この場合にどのように、1/3から同量まで逓減させていくかは種々の手段が考えられるが、一般的には単純に縁の厚さあるいはレンズの幾何中心Oからの距離の差をパラメータとすれば足る。
【0014】
次に、フレーム配置位置Dでの厚み(以下、縁厚とする)の低減量調整について説明する。レンズの厚みはレンズの幾何中心Oからの距離が遠いほど厚くなる。そのため、レンズの幾何中心Oから遠距離ほど多く低減させることがレンズのデザインとしても好ましい。一方、例えばレンズの幾何中心Oから最も遠距離位置と同じ低減量にすると最も近距離位置の縁厚をその厚み以上に低減してしまうというマイナス計算となってしまう可能性もありうる。そのため、これらの点を考慮して例えば以下のような低減量調整手段が考えられる。
1)最小縁厚(レンズの幾何中心Oから最も近距離)部分については前記仮想的な切削線Kから一定量だけ低減させるようにする。そして、その他の縁はその最小縁厚と同じにする。これならマイナス計算となってしまうことはないが、レンズの幾何中心Oから遠距離部分を多く低減させることはできない。そこで、
2)最大縁厚(レンズの幾何中心Oから最も遠距離)部分について一定量だけ低減させた後、最小縁厚部分との差を取りその差をパラメータとしてさらに低減量として上乗せしていく。例えば(最大縁厚部分−最小縁厚部分)×0.5を最大縁厚部分の低減量として加える。そして最大最小縁厚部分以外では厚みに比例させて低減量を決定するようにする。どのように逓減させていくかは種々の手段が考えられるが、上記と同様一般的には単純に縁の厚さあるいはレンズの幾何中心Oからの距離の差をパラメータとすれば足る。
【0015】
このように構成することによって、本実施の形態1では次のような効果を奏する。
(1)図8の従来の面取り面52をカットする場合に比べて面取り部12は曲面に形成されているため、滑らかで段差がなく更に擦りガラス状の状態になることがないため、眼鏡使用者と対面する第三者側からのレンズの外観見栄えが良くなる。また、レンズ有効領域11と面取り部12とは連続面として構成されているためこの部分においていわゆるイメージジャンプがなく第三者側からフレーム付近の視認状況に違和感を感じることがない。特にマイナス度数の部分(レンズ上方側)では特に縁厚が厚くなるため、面取り部12による効果が大きい。
(2)レンズ有効領域11はレンズのフレーム装着時のずれを考慮して第1の補正位置A’を取っている。そのため、フレーム装着時に若干装着位置がずれたとしても使用者においてレンズ有効領域における視野が確保されるため不快感は生じない。
(3)フレーム配置位置Dの外側に第2の補正位置D’が設けられ、この位置まで面取り部12が延長して形成されているため、カット部13のカット位置が本来計算した位置から外方に多少ずれても段差等の不具合が生じることがない。
(4)レンズ有効領域11、面取り部12及びカット部13は同時に切削されているため加工時間が短縮され、更にレンズ有効領域11だけを別個に加工した場合に比べて両者の連続面での加工誤差が生じることがない。
【0016】
(実施の形態2)
本実施の形態2のレンズ15は面取り部分の少ないいわゆる又近(またきん)型の面取りを施した累進多焦点レンズである。以下、実施の形態1と同じ構成については実施の形態1と同じ名称及び番号を使い詳しい説明は省略する。
実施の形態2でも実施の形態1と同様の加工工程によってレンズ有効領域11、面取り部12及びカット部13を加工する。レンズ15の面取り部12及びカット部13は次のような手段によって形状データを計算し上記加工が施される。本実施の形態2でも実施の形態1と同様に図4に示すようにレンズ外方からレンズの幾何中心に向かう所定の数の直線を設定し、各直線にて切断したレンズ断面の所望の形状データをシュミレートする。
例えば、ある直線Pについて説明する。図6に示すように、直線P上ではレンズ有効領域の最端部、すなわち視野限界位置Aとフレーム配置位置Dはそのレンズ固有の値として一義的に決定される。また、第1の補正位置A’を視野限界位置Aの外方に取る。次に第1の補正位置A’における接線と第1の補正位置A’〜フレーム配置位置D間の中間位置における垂線との交点を中点Bとし、フレーム配置位置Dを通る垂線との交点を端点Cとする。中点Bを通る水平線とフレーム配置位置Dを通る垂線との交点を縁点Eとし、フレーム配置位置Dを通る垂線上であって交点をCと縁点Eの間に通過点Fを設定する。更に本実施の形態2でもフレーム配置位置Dの外方に第2の補正位置D’を取る。
【0017】
これら視野限界位置A〜第2の補正位置D’の配置位置、すなわち水平方向の位置と中点B及び通過点Fについては加えて垂直方向の位置が決定した段階で次に面取り部12及びカット部13の直線P上の軌跡、すなわち垂直方向にこれらプロットされた各点に基づいて形状を決定する。
ここに、第1の補正位置A’〜通過点F間の面取り部12の形状は本実施の形態2では3次関数曲線で表される。この関数は次の4つの条件によって決定される。
1)第1の補正位置A’を通ること。
2)第1の補正位置A’での傾きがレンズ有効領域と平行となること。
3)通過点Fを通ること。
4)通過点Fでの傾きが中点Bと通過点Fとを結ぶ直線と平行であること。
また、フレーム配置位置D〜第2の補正位置D’は上記3次関数曲線を延長する。
【0018】
また、第2の補正位置D’〜カット部13の縁(丸レンズの外縁)までの形状は最終的にはカットされるため特に形状に限定はない。実施の形態1に準ずる。 このようにして直線Pについてその断面の形状データを得ると同様に他のレンズの幾何中心に向かう直線上の断面形状の形状データを得る。そして隣接する断面形状間については既知の補完計算を行い、レンズ有効領域11の形状データと併せて全体として立体的なレンズ裏面形状のデータを得る。この得られた形状データに基づいてCAM(computer aided manufacturing)装置にて切削及び研削加工する。
【0019】
次に、フレーム配置位置Dでの厚み(以下、縁厚とする)の低減量調整について説明する。例えば以下のような低減量調整手段が考えられる。
1)全周にわたって通過点Fを端点Cと同一に設定する。
2)全周にわたって通過点Fを縁点Eと同一に設定する。この場合、理論的には3次係数は0となり3次関数曲線は2次関数曲線とされる。
3)全周にわたって通過点Fを端点Cと縁点Eの中点に設定する。
このように構成することによって、本実施の形態2では実施の形態1の(1)〜(4)の効果と同様の効果を奏する。
【0020】
なお、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
・上記実施の形態ではいわゆる又老と又近について面取り部12を加工する場合について説明したが、これらは一例に過ぎず、要は従来職人的カンでカットしていた面取り部分をレンズ有効領域11と連続した曲面でかつ擦りガラス状にならないよう形成できれば足る。
・上記実施の形態では近視用のレンズに適用した。近視用レンズでは特に縁寄りが厚くなるため本発明の効果がもっとも顕著であるが、その他老視用や乱視用、あるいはこれらを組み合わせた度数のレンズに適用してもよい。
・レンズとしてはSVレンズ、累進多焦点レンズ又はバイフォーカルレンズ等通常の眼鏡用レンズであればいずれに適用しても構わない。
・上記実施の形態ではレンズ有効領域11、面取り部12及びカット部13を同時に加工していたが、必ずしも同時でなくとも構わない。
・上記実施の形態での頂点高さの低減量や縁厚の低減量の手段は一例にすぎない。例えば、実施の形態1において頂点高さの基準位置を視野限界位置Aとしたが、要は頂点位置Bの高さを相対的に決定できる基準位置であれば視野限界位置Aを基準としなくともよい。また、同様に頂点位置低減量Eも切削線Kを基準にする必要はない。更に、実施の形態2において基準にすべき点として第1の補正位置A’〜フレーム配置位置D間の中間位置にある中点Bである必要はない。
・上記実施の形態では第1の補正位置A’や第2の補正位置D’というようなフレーム装着時のずれを考慮した余裕量を取っていたがこれは必ずしも必要ではない。
・面取り部の設計においては3次関数で設計することが最も好ましい。もちろん、2次関数や4次関数以上であっても構わない。更に、レンズ有効領域に近い部分をより精緻な曲面となる高次元の関数で設計することが好ましい。この場合のレンズ有効領域に近い部分を3次関数で設計することが最も好ましい。
その他本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
【0021】
上記実施の形態から把握できる本発明のその他の技術的思想について下記に付記として説明する。
(1)裏面に少なくとも累進面が形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の眼鏡用レンズ。
(2)前記面取り部を全周囲に施したことを特徴とする請求項1又は2若しくは付記1のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
(3)前記カット部にはカット時のずれを考慮した余裕部を前記面取り部と隣接して設けることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の眼鏡用レンズの加工方法。
(4)前記面取り部にはフレーム装着時のずれを考慮した余裕部をレンズ有効領域と隣接して設けることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の眼鏡用レンズの加工方法。
(5)前記面取り部の頂点位置をレンズの厚みに応じて調整するようにしたことを特徴とする請求項3〜6若しくは付記3又は4のいずれかに記載の眼鏡用レンズの加工方法。
(6)前記面取り部の縁厚をレンズの厚みに応じて調整するようにしたことを特徴とする請求項3〜6若しくは付記3〜5のいずれかに記載の眼鏡用レンズの加工方法。
(7) 少なくとも前記面取り部を2次以上の関数で設計するようにすることを特徴とする請求項1又は2若しくは付記1又は2のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
(8) 前記面取り部においてレンズ有効領域に近い部分を遠い部分に比較してより高次の関数で設計するようにしたことを特徴とする請求項1又は2若しくは付記1又は2のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
(9) 前記面取り部においてレンズ有効領域に近い部分を高次の関数で設計し、レンズ有効領域から離間するほど低次の関数で設計することを特徴とする請求項1又は2若しくは付記1又は2のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
(10) 少なくとも前記面取り部を2次以上の関数で設計するようにすることを特徴とする請求項3〜6若しくは付記3〜6のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
(11) 前記面取り部においてレンズ有効領域に近い部分を遠い部分に比較してより高次の関数で設計するようにしたことを特徴とする請求項3〜6若しくは付記3〜6のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
(12) 前記面取り部においてレンズ有効領域に近い部分を高次の関数で設計し、レンズ有効領域から離間するほど低次の関数で設計することを特徴とする請求項3〜6若しくは付記3〜6のいずれかに記載の眼鏡用レンズ。
【0022】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に使用される材料ブロックの正面図。
【図2】 実施の形態1における丸レンズの部分拡大正面図。
【図3】 実施の形態1における玉型レンズの部分拡大正面図。
【図4】 実施の形態1及び2における周方向の形状を決定する際のデータの取り方を説明する概念説明図。
【図5】 実施の形態1及び2において玉型レンズをフレームに装着すると仮定した場合のレンズの主要位置を示した概念図。
【図6】 実施の形態2における玉型レンズの部分拡大正面図。
【図7】 従来のレンズの加工方法を説明する部分拡大正面図。
【図8】 従来のレンズの加工方法を説明する部分拡大正面図。
【符号の説明】
11…レンズ有効領域、12…面取り部、13…カット部、15…レンズ。
Claims (6)
- 眼鏡使用者に設定された矯正視力を得るために材料ブロック裏面に所定の曲率でレンズ有効領域を加工する第1のレンズ加工工程と、
同第1のレンズ加工工程によって加工される前記レンズ有効領域の外周に同レンズ有効領域と連続的な3次元曲面を面取り部として加工する第2のレンズ加工工程とを備え、
同第2のレンズ加工工程においては計算データとしてレンズ外方からレンズの幾何中心に向かう所定の数の直線を設定しそれら各直線にて切断されたレンズ断面の形状データをシュミレートして得るとともに、シュミレートして得られた隣接する各直線における断面形状間を補間して同面取り部の全体の形状データを得るようにしたことを特徴とする眼鏡用レンズの加工方法。 - 前記レンズ有効領域の最端部に設定される視野限界位置は光がフレーム位置から入射して眼に達するまでをシュミレートしてその位置を決定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の眼鏡用レンズの加工方法。
- 前記面取り部の外側に形成されるカット部にはカット時のずれを考慮した余裕部を前記面取り部と隣接して設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の眼鏡用レンズの加工方法。
- 前記面取り部にはフレーム装着時のずれを考慮した余裕部をレンズ有効領域と隣接して設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の眼鏡用レンズの加工方法。
- 眼鏡のフレーム形状情報に基づいて同フレームに対応したレンズの外形輪郭加工をする第3のレンズ加工工程とを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の眼鏡用レンズの加工方法。
- 前記第2のレンズ加工工程は前記第1のレンズ加工工程と同時に行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の眼鏡用レンズの加工方法。
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