JP3997933B2 - 多気筒圧縮機用アキュムレータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多気筒圧縮機に用いられるアキュムレータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧縮機には一般的に吸入側にアキュムレータが設置されている。このアキュムレータは、圧縮機に接続される冷凍サイクルの運転条件等により、多量の液冷媒が吸入側に戻ったような場合でも、気液分離作用により、圧縮機には気体冷媒のみ吸入させるためのものである。これにより、液冷媒の圧縮による異常音の発生や、圧縮機内部の部品の破損などによる信頼性低下を防いでいる。
【0003】
この種の代表的なアキュムレータを、図4に示す(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図4において、底面が概ね球面形状を有する密閉容器101に、上方に入口管102と、前記密閉容器101底面に設けた孔103から挿入し、ロウ付けされ、かつ他方が圧縮機(図示せず)と接続された出口管104と、前記入口管102と前記出口管104との間を仕切るための複数個の孔を有する仕切板105とで構成されている。
【0005】
上記構成により、入口管102から流入した冷媒に、液冷媒が含まれていた場合でも、仕切板105に当たった後、この仕切板105に設けられた複数個の孔を通り、一旦、密閉容器101に溜まった後、気化して出口管104から気体冷媒として圧縮機へ流出する。
【0006】
また、前記密閉容器101の底面は、一般的に強度を確保する目的から、概ね球面形状、もしくはそれに類似した形状とする場合がほとんどである。さらにこのような概ね球面形状にすることにより、密閉容器101の剛性アップを図ることができ、圧縮機運転時の共振による騒音や振動の増加を抑えている。
【0007】
一方、上記出口管104の密閉容器101底面付近には、オイル戻し孔106が設けられている。このオイル戻し孔106は、圧縮機から吐出される冷媒に含まれる少量のオイルが、冷凍サイクルを経て、アキュムレータに戻り、密閉容器101の底部に溜まったものを再び圧縮機側へ戻す働きをしている。なお、オイルの比重は、液冷媒のそれよりも大きいために、密閉容器101の最も底部ほどオイルの濃度が高くなる。従って、オイル戻し孔106は、できるだけ密閉容器101の底面付近に設けるのが望ましい。
【0008】
これにより、アキュムレータの密閉容器101の底部に多量のオイルが溜まることはなく、常に圧縮機側へ再び戻り、圧縮機内部の油面低下などによる信頼性低下が生じるようなことはない。また、常に少量のオイルを気体冷媒とともに圧縮機の吸入側へ流出させることにより、圧縮機の圧縮機構部でのシール性、摺動性などを十分確保することができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−189908号公報(第16頁、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のアキュムレータの構成は、単気筒圧縮機に用いられるものであるが、多気筒圧縮機に用いられるアキュムレータでも、構成は基本的に同じである。この場合、密閉容器の底面に複数の孔を設け、これらの孔からそれぞれ出口管を挿入し、ロウ付けした構成となる。
【0011】
しかしながら、このような構成にした場合、前記密閉容器の底面に設けられる複数の孔は、底面中心からずらした位置に設けざるをえない。従って、密閉容器底面が概ね球面形状であるために、出口管に設けられるオイル戻し孔も、密閉容器底面から高くする必要がある。
【0012】
これにより、密閉容器の底部に溜まるオイルの量が増え、アキュムレータに接続される圧縮機内部の油面低下の一因となっていた。また、オイル戻し孔から戻るオイルの濃度が低下する場合があり、圧縮機の吸入側へ流出するオイル量が減少し、圧縮機の圧縮機構部でのシール性、摺動性が低下する可能性があった。
【0013】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、アキュムレータの密閉容器底部に溜まるオイルの量をできるだけ少なくすることにより、このアキュムレータに接続される圧縮機へのオイル戻りを良くした多気筒圧縮機用アキュムレータを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、底面が概ね球面形状を有する密閉容器において、密閉容器底面付近に設けられる複数の出口管のオイル戻し孔を互いに向かい合った位置としたものである。
【0015】
上記構成により、それぞれのオイル戻し孔の位置を最も密閉容器底面に近づけることができるので、アキュムレータ底部に残留するオイルの最大量をできるだけ少なくすることができるとともに、常に最も濃度の高いオイルを圧縮機の吸入側へ戻すことが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるの多気筒圧縮機用アキュムレータの縦断面図である。
【0018】
図1において、底面が概ね球面形状を有する密閉容器1に、上方に入口管2と、前記密閉容器1の底面に設けた孔3a、3bから各々挿入し、ロウ付けされ、かつ他方が圧縮機(図示せず)と接続された複数の出口管4a、4bと、前記入口管2と前記出口管4a、4bとの間を仕切るための複数個の孔を有する仕切板5とで構成されている。
【0019】
一方、前記出口管4a、4bの密閉容器1の底面付近には、オイル戻し孔6a、6bがそれぞれ設けられており、これらオイル戻し孔6a、6bが互いに向かい合った位置としている。
【0020】
上記構成により、入口管2から流入した冷媒に、液冷媒が含まれていた場合でも、仕切板5に当たった後、この仕切板5に設けられた複数個の孔を通り、一旦、密閉容器1に溜まった後、気化してそれぞれの出口管4a、4bから気体冷媒として圧縮機へ流出する。また、前記密閉容器1の底面および上面は、半球面形状としているので、密閉容器1の強度確保、および剛性アップを図ることができ、圧縮機運転時の共振による騒音や振動の増加を抑えることができる。
【0021】
また、オイル戻し孔6a、6bにより、圧縮機から吐出される冷媒に含まれる少量のオイルが、冷凍サイクルを経て、アキュムレータに戻り、密閉容器1の底部に溜まったものを再び圧縮機側へ戻している。さらに、これらオイル戻し孔6a、6bを互いに向かい合った位置としているので、それぞれの位置を最も密閉容器1の底面に近づけることができ、密閉容器1の底部に残留するオイルの最大量をできるだけ少なくすることができるとともに、常に最も濃度の高いオイルを圧縮機の吸入側へ戻すことができる。
【0022】
図3は、本発明の効果によるアキュムレータ底部に残留するオイル量を説明するための要部断面図であり、従来のオイル戻し孔位置と、本願発明のオイル戻し孔位置を同じ図面に書き込んでいる。
【0023】
図3では、本願発明のオイル戻し孔6a、6bとその時のアキュムレータ底部に残留するオイル量の最も低くなる油面高さをAで表し、オイル戻し孔を出口管の並びと直角方向に設けた従来のアキュムレータにおけるオイル戻し孔を106a−B、106b−Bで示し、この時のアキュムレータ底部に残留するオイル量の最も低くなる油面高さをBで表している。また、オイル戻し孔を出口管の並びと同じ方向に設けた別の従来のアキュムレータにおけるオイル戻し孔を106a−C、106b−Cで示し、この時のアキュムレータ底部に残留するオイル量の最も低くなる油面高さをCで表している。このとき、それぞれオイル戻し孔は可能な限り密閉容器の底面近くに設けるようにしている。
【0024】
図3から明らかな様に、アキュムレータ底部に残留するオイル量の最も低くなる油面高さは、オイル戻し孔開口の最も低い縁部と一致するので、オイル戻し孔を互いに向き合わせた時が最も油面高さが低くなることが判る。
【0025】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2におけるの多気筒圧縮機用アキュムレータの縦断面図である。図2において、図1と同じ構成要素については、同一の符号を用い、その説明を省略する。
【0026】
図2において、出口管4a、4bが挿入される密閉容器1の底面の孔は、密閉容器1内側にそれぞれバーリング(切り起こし)7a、7bを設けている。
【0027】
上記構成により、上記実施の形態1による作用、効果に加えて、出口管4a、4bを挿入、ロウ付けする時に、これら出口管4a、4bの傾きを抑えて取り付け性を良くすることができるとともに、これら出口管4a、4bの取り付け強度を上げることによる剛性アップを図ることができ、これら出口管4a、4bから発生する騒音や振動の増加を抑えることができる。
【0028】
また、上記実施の形態1による作用、効果と同じく、それぞれのオイル戻し孔6a、6bの高さ位置を最も密閉容器1の底面に近づけることができ、密閉容器1の底部に残留するオイルの最大量をできるだけ少なくすることができるとともに、常に最も濃度の高いオイルを圧縮機の吸入側へ戻すことができる。
【0029】
【発明の効果】
上記実施例から明らかなように、本願発明の多気筒圧縮機用アキュムレータによれば、図3で説明する通り、従来の 多気筒圧縮機用アキュムレータにおける、オイル戻し孔を出口管の並びと直角方向に設けた場合や、出口管の並びと同じ方向に設けた場合に比べて、最も密閉容器の底部に設けることができる。これにより、密閉容器の底部に残留するオイルの最大量をできるだけ少なくすることができるとともに、常に最も濃度の高いオイルを圧縮機の吸入側へ戻すことができる。従って、アキュムレータに接続される圧縮機内部の油面を十分確保できるとともに、常に少量のオイルを気体冷媒とともに圧縮機の吸入側へ流出させることができ、圧縮機の信頼性、シール性、摺動性が低下するようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す多気筒圧縮機用アキュムレータの縦断面図
【図2】本発明の第2の実施形態を示す多気筒圧縮機用アキュムレータの縦断面図
【図3】本発明の効果によるアキュムレータ底部に残留するオイル量を説明するための要部断面図
【図4】従来の圧縮機用アキュムレータの縦断面図
【符号の説明】
1 密閉容器
2 入口管
3a、3b 出口管挿入孔
4a、4b 出口管
5 仕切板
6a、6b オイル戻し孔
7a、7b バーリング

Claims (2)

  1. 底面が概ね球面形状を有する密閉容器に、
    上方に入口管と、
    前記密閉容器底面に設けた孔から挿入し、ロウ付けされ、かつ他方が圧縮機と接続された複数の出口管と、
    前記入口管と前記出口管との間を仕切るための複数個の孔を有する仕切板とを設置するとともに、
    前記出口管の密閉容器底面付近にオイル戻し孔を各々設け、これらオイル戻し孔が互いに向かい合った位置としたことを特徴とする多気筒圧縮機用アキュムレータ。
  2. 出口管が挿入される密閉容器底面の孔は、密閉容器内側にバーリングを設けたことを特徴とする請求項1記載の多気筒圧縮機用アキュムレータ。
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