JP3996863B2 - カメラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影レンズを内蔵し該撮像レンズをカム機構を介して所定の繰出位置と所定の沈胴位置との間で移動させるレンズ鏡胴を備え、前記撮影レンズを繰出位置に繰出した状態で撮影を行なうカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、不使用時にはレンズ鏡胴を沈胴させて厚みを薄くする工夫がなされたカメラが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記提案では、単焦点レンズを構成する第1レンズ群および第2レンズ群を内蔵するレンズ鏡胴を沈胴すると共に、レンズ群間を撮影可能な距離以下に縮めることで薄厚化が図られる一方、使用時には、レンズ鏡胴が沈胴位置からカメラ前方側の繰出位置までカムピンおよびカム溝からなるカム機構で繰り出され、レンズ群を撮影可能な距離に離間させた後で撮影が行なわれる。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−258702号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のようなタイプのカメラでは、光軸方向に対し斜めに設けられたカム溝に嵌入されているカムピンがそのカム溝の一方の壁に押し付けられながら、撮影レンズを内蔵するレンズ鏡胴が上記沈胴位置から繰出位置まで繰り出されており、レンズ鏡胴の沈胴位置から繰出位置までの繰り出しには、常にモータの回転駆動を必要とすることから繰り出しに時間がかかり、咄嗟の撮影には不向きである。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、撮影レンズを内蔵するレンズ鏡胴を沈胴位置から繰出位置に移動する際に要する時間の短縮が図られたカメラを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のカメラは、
撮影レンズを内蔵しこの撮像レンズをカム機構を介して所定の繰出位置と所定の沈胴位置との間で移動させるレンズ鏡胴を備え、上記撮影レンズを繰出位置に繰出した状態で撮影を行なうカメラにおいて、
上記撮影レンズを繰出方向に付勢する付勢部材を備え、
上記カム機構が、カムピンとこのカムピンに嵌入されこのカムピンを案内する閉ループ上のカム構とを有し、このカム溝が、上記カムピンを案内することで、上記撮影レンズを、上記付勢部材による付勢力により沈胴位置から繰出位置に繰り出させる繰出案内路と、この繰出案内路の繰出端に連続し、この繰出端に位置するカムピンを上記レンズ鏡胴の所定の第1の回転方向への回転に応じて案内することで上記撮影レンズを繰出位置から沈胴位置に沈胴させる沈胴案内路と、この沈胴案内路の沈胴端と上記繰出案内路の沈胴端とを繋ぎ、この沈胴案内路の沈胴端にあるカムピンを、上記レンズ鏡胴の、上記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向への回転に応じて、上記撮影レンズを沈胴位置に保ったままこの繰出案内路の沈胴端に近づいた初期位置に案内すると共に、撮影準備にあたっては上記レンズ鏡胴を上記第2の回転方向に回転させることでこの初期位置にあるカムピンをこの繰出案内路の沈胴端まで案内する待機案内路とからなるカム溝であることを特徴とする。
【0008】
本発明のカメラでは、撮影準備にあたっては、待機案内路上の初期位置にあるカムピンが、レンズ鏡胴の第2の回転方向への回転により、付勢部材による付勢力によりカムピンを沈胴位置から繰出位置に繰出させる繰出案内路に案内される。これにより、カムピンは、付勢部材による付勢力で繰出案内路の沈胴端から繰出端に移動することとなり、従来の、レンズ鏡胴を構成する回転部材と直動部材の組み合わせによってカムピンを移動させる方法と比べ、撮影レンズを内蔵するレンズ鏡胴を沈胴位置から繰出位置にすばやく移動させることができる。
【0009】
ここで、上記沈胴案内路が、上記カムピンを案内することで、上記撮影レンズを所定の固定ピント位置に移動させるピント調整案内路を含むものであってよい。
【0010】
本発明のカメラでは、繰出位置に繰り出すことによって所定の距離にピントを合わせるようにしても良いが、上記のピント調整案内路を有する構成とすることにより所定の距離に正確にピントを合わせることができる、
あるいは、上記沈胴案内路が、カムピンを案内することで、上記撮影レンズを被写体距離に応じたピント位置に移動させるピント調整案内路を含むものであってもよい。
【0011】
このように、本発明は、連続した、あるいはステップ的に変化したような距離にピントを合わせる様に構成することもできる。
【0012】
また、上記沈胴案内路の、少なくとも沈胴端近傍の部分がこの沈胴端に向かって徐々に浅く形成されるとともにこの沈胴端がこの沈胴胴端近傍の部分に対し段差をもって深く形成されことにより、この沈胴端に案内されたカムピンの、この沈胴案内路に沿った逆移動が防止されたものであることが好ましい。
【0013】
このようにすると、沈胴胴案内路の沈胴端においてカムピンを待機案内路内の初期位置に向かわせるためにレンズ鏡胴の回動が反転された場合に、カムピンが誤って待機案内路ではなく沈胴案内路の繰出端方向に向かってしまうという事態を防止することができる。
【0014】
ここで、上記繰出案内路にカムピンが案内されて、上記撮影レンズが繰出位置に繰り出したときの衝撃を緩和する緩衝材を備えたものであることが好ましい。
【0015】
このようにすると、付勢部材による付勢力による部材どうしの衝突による破損を防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1および図2は、本発明のカメラの第1実施形態の外観斜視図である。
【0018】
図1に示される本実施形態であるデジタルカメラ1は、不使用時には単焦点レンズ11aを内蔵するレンズ保持筒11がカメラ内部に収納される、CCD固体撮像素子上に結像された被写体像を表わす画像データを得る撮影を行なうデジタルカメラである。
【0019】
図1には、カメラ1が不使用状態、すなわちレンズ保持筒11がカメラ内部に収納されている様子が示されている。
【0020】
また、図1には、筐体2、フラッシュ発光窓12、レリーズボタン13、およびファインダ対物窓14が示されている。
【0021】
図2には、レンズ保持筒11が繰り出された状態のカメラ1が示されている。尚、このカメラ1の電源スイッチの図示は省略されている。
【0022】
図3は、図1および図2に示すカメラの縦断面図である。
【0023】
図3には、レンズ保持筒11をカメラ内部に収納した状態のカメラ1の縦断面をカメラ左側から見た場合の様子が示されており、左側が被写体側となっている。
【0024】
また、図3には、CCD固体撮像素子30、レンズ保持筒11を指示する、上部ガイドポール20および下部ガイドポール21、レンズ保持筒11の上部に設けられたカムフォロアピン111が嵌入されるカム溝を有する回転筒10、モータ50、このモータ50の駆動力を回転筒10に伝達するギア51、モータの回転に応じてパルスを発生するパルスジェネレータ60、レンズ保持筒11をカメラ前方側に付勢するバネ40、バネ40および2本のガイドポールが取り付けられているマウント80、および、レンズ保持筒11がカメラ前方側に移動し筐体2と衝突する際に発生するショックを和らげるための緩衝材70も示されている。
【0025】
さらに、図3には、回転筒10から突出している突出部10aおよび、この突出部10aを挟むように配置されているフォトインタラプタ90も示されている。尚、パルスジェネレータ60、回転筒10に設けられているカム溝の形状、突出部10a、およびフォトインタラプタ90についての詳細は後述する。
【0026】
図3に示すレンズ保持筒11は、上述した上部ガイドポール20と下部ガイドポール21とによって貫通されてその上下が支持されていると共に、このレンズ保持筒11上部の第1ガイドポールが挿通される部分の厚みは、レンズ保持筒下部の第2ガイドポール21が挿通される部分の厚みよりも厚く形成されている。これにより、このカメラ1では、カムフォロアピン111が上方の1箇所にしか立設されていなくても上述のカム機構によりスムーズに撮影レンズを光軸方向に移動させることができる。
【0027】
以下、レンズ保持筒11の光軸方向への移動についての概略を説明する。
【0028】
図4は、レンズ保持筒に備えられたカムフォロアピン、回転筒、およびフォトインタラプタを示す図である。尚、回転筒10に設けられているカム溝およびカムフォロアピンは、回転筒の表面からは目視できないため、本来であれば点線で表示すべきところであるが、ここでは説明の便宜のために実線で示されている。
【0029】
図4(a)から図4(d)には、この回転筒10の回転によるカムフォロアピン111の光軸方向への移動の様子が示されている。つまり、カム溝を有する回転筒10が回転しても、そのカム溝にカムフォロアピン111が嵌入されているレンズ保持筒11は、上下2本のガイドポールによって回転が防止されているために回転筒10の回転方向に応じて光軸方向に直動する。尚、図4(a)から図4(b)には、回転筒10が図3に示すギア51と噛合する部分である被ギア部10bが示されている。
【0030】
ここで、便宜上、図4(a)の状態、すなわち撮影を終えて電源がオフされ、レンズ保持筒11が所定の沈胴位置に向かって繰り込まれてきたところから説明を始める。
【0031】
電源がオフされたことにより、回転筒10がB方向に回転されたことで、図4(a)に示す位置にあったカムフォロアピン111は、図3に示すバネの被写体側への付勢に抗しながら沈胴方向に直動し、カム溝の角100aに到達する。図4(b)には、所定の方法でカムフォロアピンがこの角100aに到達したことが図示しないセンサによって検知され、回転筒10が今度は逆回転、すなわちA方向に回転し始めた時のカムフォロアピン111の状態が示されている。
【0032】
図5は、図4(b)に示された状態の、回転筒の突出部およびフォトインタラプタの様子を‘X’から見た場合の図である。
【0033】
図5には、カムフォロアピン111が図4(b)に示される位置への到達と同期して突出部10aがフォトインタラプタ90に検知され始めている様子が示されている。尚、このフォトインタラプタ90は、光の遮断状態をその中心部で監視している。
【0034】
また、図5には、突出部10aの中心とフォトインタラプタ90の中心とのなす角度θが−αであることが示されている。
【0035】
ここで、図6は、角度θに対するフォトインタラプタの出力を示す図である。
【0036】
図6には、角度θが−αになると同時にフォトインタラプタ90からの出力が変化する様子が示されている。
【0037】
このカメラ1では、さらに、カムフォロアピン111が図4(b)に示される位置に到達したことによりフォトインタラプタ90による検知がなされたことに同期して、パルスジェネレータから出力されるパルスをカウントするパルスカウンタ(不図示)のリセットが行なわれ、カウント値が予め設定されている所定の値となるまで回転筒10のA方向への回転がなされる。図4(c)には、その所定のカウント値に到達した直後のカムフォロアピン111の状態が示されており、このカメラ1では、電源のオフ後もカウント値が予め設定されている所定の値となるまで回転筒10のA方向への回転を行なってからカメラ動作を停止するようになっている。
【0038】
カムフォロアピン111が図4(c)に示す位置に留まっている状態のカメラ1において電源がオンされると、まず回転筒10はA方向にしばらく回転される。そうすると、カムフォロアピン111がカム溝の角100bに到達すると同時に、レンズ保持筒11は、図3に示されるバネの付勢によって一気にカメラ前方側に直動する。
【0039】
図4(d)には、図示しないセンサによってカムフォロアピンがカメラ前方側の角100cに到達したことが検知され、回転筒10がB方向に回転し始めた直後のカムフォロアピン111の状態が示されている。
【0040】
図7は、図4(d)に示された状態の、回転筒の突出部およびフォトインタラプタの様子を‘Y’から見た場合の図である。
【0041】
図7には、カムフォロアピン111の図4(d)に示される位置への到達と同期して突出部10aがフォトインタラプタ90に検知され始めている様子が示されている。
【0042】
尚、図6には、角度θが+αになると同時にフォトインタラプタの出力が変化している様子も示されている。
【0043】
このカメラ1では、さらに、カムフォロアピン111の図4(d)に示される位置への到達がフォトインタラプタ90によって検知されると同時に前述したパルスカウンタのリセットが行なわれ、詳しくは後述するピント調節を精密に行うことができる。このカメラ1では、被写体までの距離に応じたピント調節が行われた後撮影が行われ、電源がオフされると、上述したメカニズムでレンズ保持筒11の沈胴が行なわれる。
【0044】
ここで、図4に示すカム溝の詳細について説明する。
【0045】
図8は、カムフォロアピンの、回転筒に設けられたカム溝における動作の様子を示す図である。尚、図4と同様、ここでも、カム溝は実線で描かれている。
【0046】
図8(a)に示すカム溝は、繰出案内溝S、沈胴案内溝T、および待機案内溝Uからなる3つの案内溝で構成されており、沈胴案内溝Tの一部には、ピント調節溝が設けられている。尚、図8では、カム溝におけるカムフォロアピンの移動が相対的に表わされている。
【0047】
繰出案内溝Sは、光軸方向と平行に延びた溝であり、前述したように、カムフォロアピン111がこの繰出案内溝の沈胴側の角100bに到達することで、レンズ保持筒11は、自身に与えられているバネ40の付勢によりこの繰出案内溝の繰出側の角100cに一気に移動させられる。
【0048】
沈胴案内溝Tは、繰出案内溝の繰出側の角100cから沈胴側の角100aに至るまでレンズ保持筒11の曲面に沿って延びる、前述したピント調節溝t部分の端部100dで光軸に対する傾きが変化している溝である。
【0049】
待機案内溝Uは、光軸方向と略垂直方向にレンズ保持筒11の曲面に沿って延びる溝である。
【0050】
図8(b)には、時間経過に伴う回転筒10の回転角度の変化が折れ線で示されている。
【0051】
図4における説明と同様、撮影が終了しピント調節溝にいたカムフォロアピン111が、電源オフと共に、図8(a)に示す沈胴案内溝Tのカムフォロピン位置マル1にさしかかったところから説明を始める。
【0052】
回転筒10がB方向に回転していることでカムフォロアピン111は、カムフォロアピン位置マル1からカムフォロアピン位置マル2(100a)にさらに移動する。カムフォロアピンがカムフォロアピン位置マル2に到達したことが不図示のセンサによって検知されると、それに応じて、回転筒10は今度はA方向に回転される。その後、カムフォロアピン111が、カムフォロアピン位置マル3に到達すると、図6において示されるように、フォトインタラプタ90の出力が‘H’から‘L’に変化するため、これを合図にパルスジェネレータ60から出力されるパルスをカウントしているパルスカウンタのカウンタリセットが行なわれる。その後、回転筒10は、カウンタリセットが行なわれたカウンタが予め決められているカウント値に到達するまでA方向への回転を続け、その後全ての動作を停止する。これにより、このカメラ1では、カムフォロアピン111がカムフォロアピン位置マル5に位置した状態で全てのカメラ動作が停止される。
【0053】
上述した状態のカメラ1の電源がオンされると、回転筒10はA方向に回転し始め、カムフォロアピン111はカムフォロアピン位置マル6(100b)に到達する。これにより、カムフォロアピン111は、カムフォロアピン位置マル6からバネの付勢により一気にカムフォロアピン位置マル7(100c)に移動する。カムフォロアピン111がカムフォロアピン位置マル7に到達したことが不図示のセンサによって検知されると、回転筒10はB方向に回転され、これによりカムフォロアピン111がカムフォロアピン位置マル8に移動すると、カムフォロアピン111がカムフォロアピン位置マル2からカムフォロアピン位置マル3に移動したときと同様に、フォトインタラプタ90の出力が‘H’から‘L’に変化するため、これを合図に、パルスジェネレータ60から出力されるパルスをカウントしているカウンタのリセットが行なわれる。その後、撮像素子上に結像される被写体像のコントラストの比較によるピント位置の検出が、カムフォロアピン111をピント調整溝tを移動させることで行なわれ、決定されたピント位置に撮影レンズが移動した後撮影が行なわれる。撮影が終了し、電源がオフされると、このカメラ1は、回転筒10をB方向に回転させることで沈胴動作に入る。尚、図8(b)には、カムフォロアピン111がカムフォロアピン位置マル10に位置している時にオフされ場合が示されている。
【0054】
以上説明したように、このカメラ1では、沈胴位置から繰出位置までの移動を、沈胴動作によって蓄えられたバネ付勢力を利用して行なっており、これにより、撮影レンズを沈胴位置から繰出位置にまで繰り出す際に要する時間の短縮を図ることができる。
【0055】
図9は、図3に示すレンズ保持筒の上部に設けられたカムフォロアピンの詳細構成図である。尚、図9には、カムフォロアピン111のほかに、上部ガイドポール20も示されている。
【0056】
図9に示すカムフォロアピン111は、レンズ保持筒11の上部に設けられた穴11aに、ネジ止めされており、カムフォロアピン111の中心には、このネジ113を挿通させると共にネジ113の頭部を埋没させるために途中で径が変化する孔111aが形成されている。尚、レンズ保持筒11の上部の穴11aに嵌め込まれているカムフォロアピン111と穴11aの底部との間にはバネ112が挟み込まれた状態でネジ止めがなされている。
【0057】
図10は、図8に示す‘Z’からカム溝を見た場合の透視図である。
【0058】
図10の左側がカメラ前方側であり、実線は、回転筒10の内周面10eを示している。
【0059】
図10には、図8に示す沈胴案内溝Tおよび待機案内溝Uなどが示されており、沈胴案内溝Tの一部であるピント調節溝tも示されている。
【0060】
また、図10には、回転筒10の内部から内周側表面に向かうスロープT1も示されており、このスロープT1により、溝の深さは沈胴側に進むにつれて浅くなっている。このため、沈胴案内溝Tをピント調節溝tの方から移動してきたカムフォロアピン111は、沈胴側に移動するに従い、このスロープT1によって、図9において説明したその構造によって次第にへこまされることとなる。また、このスロープT1の端部T11は、待機案内溝Uの側面U1に繋がっており、、カムフォロアピン111がカムフォロアピン位置マル2に到達すると、待機案内溝Uの溝の深さがスロープT1の端部T11の溝の深さにくらべ急激に深くなっていることから、カムフォロアピンは突出した状態に戻る。したがって、このカメラ1によれば、回転筒10が、図8(a)のカムフォロアピン位置マル2に示す位置において、それまでのB方向への回転をA方向への回転に切り換えても、カムフォロアピン111が誤って沈胴案内溝Tをピント調節溝t方向に逆行してしまうことを防止することができる。
【0061】
次に、本発明のカメラの第2実施形態について説明する。
【0062】
本実施形態のカメラと第1実施形態のカメラ1との相違点は、カム溝のうちのピント調節溝の形状が変更されている点のみである。
【0063】
図11は、第2実施形態のカメラのカム溝を回転筒の表面から見た場合の透視図である。
【0064】
図11に示すカム溝のうち、繰出案内溝Sおよび待機案内溝Uは、第1実施形態と同じ形状であるので説明は省略する。尚、図11に示されているもので図8において示されているものと同じ形状を有するものは、図8において付されている符号と同じ符号が付されている。
【0065】
図11に示す沈胴案内溝T´のピント調節溝t´は、図8ではピント調節溝tに相当する部分が待機案内溝Uと平行な溝となっており、本実施形態のカメラは、待機案内溝Uと平行なピント調節溝t´にカムフォロアピン111を移動させることで、カメラから所定の距離離れた被写体に対する撮影を行なうためのカメラとなっており、撮影は、カムフォロアピンがピント調節溝t´の範囲内であればいずれの位置に存在しても構わないため、第1実施形態のようにこの範囲における精密なカムフォロアピン位置の把握は必要ない。したがって、第1実施形態において行なわれているカムフォロアピン位置マル3におけるカウンタリセットのみを残し、カムフォロアピン位置マル8におけるカウンタリセットは省略されている。
【0066】
本実施形態のカメラによっても、撮影レンズを沈胴位置から繰出位置にまで繰り出す際に要する時間の短縮を図ることができる。この第2実施形態では、繰出案内溝Sの繰出端から多少沈胴端側に戻った位置にピント調節溝が設けられているが、これは所定の距離に正確にピントを合わせるためであり、さほど精度が必要でない場合には、繰出端から沈胴端側に戻らずに待機案内溝Uと平行なピント調節溝t´を設けてもよい。
【0067】
尚、第1実施形態および第2実施形態では、デジタルカメラを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、カム溝およびカムフォロアピン構成されるカム機構を利用して、撮影レンズを所定の沈胴状態と所定の繰出位置との間で移動させるレンズ鏡胴を有するカメラであれば、通常のロールフィルムに写真撮影を行なうタイプのカメラであってもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカメラによれば、撮影レンズを内蔵するレンズ鏡胴の、所定の沈胴位置から所定の繰出位置までの繰り出しに要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカメラの第1実施形態の外観斜視図である。
【図2】本発明のカメラの第1実施形態の外観斜視図である。
【図3】図1および図2示すカメラの縦断面図である。
【図4】レンズ保持筒に備えられたカムフォロアピン、回転筒、およびフォトインタラプタを示す図である。
【図5】図4(b)に示された状態の、回転筒の突出部およびフォトインタラプタの様子を‘X’から見た場合の図である。
【図6】角度θに対するフォトインタラプタの出力を示す図である。
【図7】図4(d)に示された状態の、回転筒の突出部およびフォトインタラプタの様子を‘Y’から見た場合の図である。
【図8】カムフォロアピンの、回転筒に設けられたカム溝における動作の様子を示す図である。
【図9】図3に示すレンズ保持筒の上部に設けられたカムフォロアピンの詳細構成図である。
【図10】図8に示す‘Z’からカム溝を見た場合の透視図である。
【図11】第2実施形態のカメラのカム溝を回転筒の表面から見た場合の透視図である。
【符号の説明】
1 カメラ
2 筐体
10 回転筒
10a 突出部
10b 被ギア部
10e 内周面
11 レンズ保持筒
11a 単焦点レンズ
111 カムフォロアピン
111a 孔
112、40 バネ
113 ネジ
12 フラッシュ発光窓
13 レリーズボタン
14 ファインダ対物窓
20 上部ガイドポール
21 下部ガイドポール
30 CCD固体撮像素子
40 バネ
50 モータ
51 ギア
60 パルスジェネレータ
70 緩衝材
80 マウント
90 フォトインタラプタ

Claims (5)

  1. 撮影レンズを内蔵し該撮像レンズをカム機構を介して所定の繰出位置と所定の沈胴位置との間で移動させるレンズ鏡胴を備え、前記撮影レンズを繰出位置に繰出した状態で撮影を行なうカメラにおいて、
    前記撮影レンズを繰出方向に付勢する付勢部材を備え、
    前記カム機構が、カムピンと該カムピンに嵌入され該カムピンを案内する閉ループのカム構とを有し、該カム溝が、前記カムピンを案内することで、前記撮影レンズを、前記付勢部材による付勢力により沈胴位置から繰出位置に繰り出させる繰出案内路と、該繰出案内路の繰出端に連続し、該繰出端に位置するカムピンを前記レンズ鏡胴の所定の第1の回転方向への回転に応じて案内することで前記撮影レンズを繰出位置から沈胴位置に沈胴させる沈胴案内路と、該沈胴案内路の沈胴端と前記繰出案内路の沈胴端とを繋ぎ、該沈胴案内路の沈胴端にあるカムピンを、前記レンズ鏡胴の、前記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向への回転に応じて、前記撮影レンズを沈胴位置に保ったまま該繰出案内路の沈胴端に近づいた初期位置に案内すると共に、撮影準備にあたっては前記レンズ鏡胴を前記第2の回転方向に回転させることで該初期位置にあるカムピンを該繰出案内路の沈胴端まで案内する待機案内路とからなるカム溝であることを特徴とするカメラ。
  2. 前記沈胴案内路が、前記カムピンを案内することで、前記撮影レンズを所定の固定ピント位置に移動させるピント調整案内路を含むものであることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
  3. 前記沈胴案内路が、カムピンを案内することで、前記撮影レンズを被写体距離に応じたピント位置に移動させるピント調整案内路を含むものであることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
  4. 前記沈胴案内路、少なくとも沈胴端近傍の部分が該沈胴端に向かって徐々に浅く形成されると共に該沈胴端が該沈胴端近傍の部分に対し段差をもって深く形成されたものであり、前記カムピンが、前記カム溝の底面側に付勢されて進退可能なものであることにより、該沈胴端に案内されたカムピンの、該沈胴案内路に沿った逆移動が防止されたものであることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
  5. 前記繰出案内路にカムピンが案内されて、前記撮影レンズが繰出位置に繰り出したときの衝撃を緩和する緩衝材を備えたことを特徴とする請求項1記載のカメラ。
JP2003087792A 2003-03-27 2003-03-27 カメラ Expired - Fee Related JP3996863B2 (ja)

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