JP3996217B2 - 窓ガラスを製造するための透明なガラス組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、建築や自動車に使用される窓ガラスを製造するに適するソーダ石灰シリカ系ガラス組成物に関係する。本発明による組成物は、フロートガラス法による連続的なガラスリボンの形態のガラスの製造に特に適する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
フロートガラス法に使用されるソーダ石灰シリカ系ガラスの組成は、次の非常に代表的な組成から長い間に極めてわずかしか変わっていない特徴がある。
SiO2 73.08重量%
Al2 3 0.11
CaO 8.94
MgO 3.88
Na2 O 13.68
2 O 0.02
Fe2 3 0.12
SO3 0.23
特に酸化鉄の濃度が低いことを特徴とするガラスは、照射A(TLA )における全光透過率が極めて高いガラスシートを製造することを可能にする。この特徴は、自動車、ビルディング、船舶に装備するための窓ガラスの製造に望まれる。
【0003】
通常Fe2 3 で表される鉄は、酸化第1鉄と酸化第2鉄の形態でガラスの中に分布し、それぞれの濃度はガラスの酸化還元の程度に依存する。酸化第2鉄の存在は紫外線と可視範囲の短波長のスペクトルの吸収を可能にし、酸化第1鉄の存在は近赤外線と長波長のスペクトルの吸収を可能にする。後者の吸収現象は全エネルギー透過率(Tg )を下げる効果を有する。これら酸化鉄、特にFeOはガラスの着色に寄与する。
【0004】
前記のような装備用のタイプのガラスから製造される窓ガラスは、厚さが増してくると酸化鉄が低濃度であっても有意な色を有する。
本発明の目的は、特にFeOの形態の鉄の含有率が同じであり且つ同じ厚さのガラスであっても、公知のガラスより着色が少なく且つ赤外線の吸収が良好な窓ガラスの製造を可能にするガラス組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本発明は、グレー又はブロンズ色を有し、照射Aにおける光透過率が高いガラス組成物を提供する。
本発明の目的は、下記の組成で成分を含むソーダ石灰シリカ系ガラス組成物によって達成される。単位は全て重量%である。
【0006】
SiO2 69〜75%
Al2 3 0〜3%
2 3 0〜5%
CaO 2〜10%
MgO <2%
Na2 O 9〜17%
2 O 0〜8%
Se 0〜0.002%
CoO 0〜0.001%
Cr2 3 0〜0.001%
0.02%<Fe2 3 (合計)<0.2%
ここで、この組成物はフッ素、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、及び4%未満の酸化バリウムむ含むことがあり、アルカリ土類金属の酸化物の%値の合計は10%未満に維持される。
【0007】
次に説明するように、本発明のガラス組成物の一部を構成する各々の成分の含有率と性質は、フロートガラスのリボンから切断されたシートより窓ガラスを製造するに必要な生産性を有しながら、FeOの最大吸収帯が長波長側に移動する特徴を有するガラスの製造を可能にする。
シリカは次の理由によって比較的狭い範囲に限定される。約75%より多いとガラスの粘度が高くなり、失透する傾向が増し、このため錫浴の上に溶融して注型することがかなり難しくなり、69%未満であるとガラスの耐加水分解性が急激に低下し、さらに可視領域での透過率が減少する。
【0008】
このガラスの耐加水分解性の低下はAl2 3 を導入することによって少なくとも部分的に補うことができるが、この酸化物は粘度の増加を生じ、可視領域の透過率を下げるため、非常に限られた量でしか使用できない。
アルカリ金属酸化物のNa2 OとK2 Oはガラスの溶融を容易にすることができ、高温での粘度が標準ガラスに近い粘度に保たれることができる。K2 Oは約8%まで使用可能である。この割合を超えると、その組成物のコストの増加が経済的に問題となる。また、K2 Oの割合の増加は、基本的にNa2 Oを減らすことによってのみ実施でき、このことは粘度の増加に影響することがある。ここで、特定の組成において、K2 Oの存在は赤外におけるガラスの吸収を増加させることができる。Na2 OとK2 Oの合計は、好ましくは15重量%より多い。
【0009】
アルカリ土類金属の酸化物は、本発明のガラスの特性を達成するに決定的な役割を果たす。
本発明のガラス組成物中のMgO含有率を2%未満、好ましくは1%未満、さらには実質的に含まないように制限することは、特にFeO吸収帯を長波長に移動させる効果を有することが事実上見出されている。粘度に大きな影響を及ぼすMgOを全て除去することは、Na2 Oを増やすことによって少なくとも部分的に補うことができる。即ち、MgO含有率がゼロの場合、Na2 OとK2 Oの含有率の合計は15重量%より高いことが好ましい。
【0010】
CaOは10重量%までに制限すべきであり、この値を超えるとガラスの失透の傾向が急激に高くなる。
光透過率を高くすることができるBaOは、本発明の組成物に4%未満の含有率で添加することができる。事実として、BaOはMgOやCaOよりもガラスの粘度に対する影響が非常に小さい。本発明の範囲において、BaOの増加は、基本的にアルカリ土類金属酸化物、MgO、とりわけCaOを犠牲にして行われる。したがって、BaOのかなりの増加は、特に低温でのガラス粘度の増加を生じさせる。また、高い割合でBaOを導入すると、組成物のコストをかなり増加させ、ガラスの耐加水分解性を下げる傾向が生じる。本発明のガラスが酸化バリウムを含む場合、この酸化物の割合は0.5〜3.5重量%が好ましい。
【0011】
各々のアルカリ土類金属酸化物の含有率の範囲を限定する他に、所望の透過性を得るためには、MgO、CaO、及びBaOの含有率の合計を10%以下に制限することが必要である。基本的に経済的理由により、本発明のガラス組成物は酸化ストロンチウムを実質的に全く含まないことに注目すべきである。
また、本発明のガラス組成物は、好ましくは0.5〜2重量%の範囲でフッ素を含むことができる。ガラスの溶融と粘度に対する周知の作用に加え、この成分は、赤外線の吸収に対して特定の影響を有し、この影響はMgOの除去とNa2 OとK2 Oの導入によって生じる影響に付加的である。この影響は赤外におけるFeO吸収帯のピークを若干移動させることに現れるが、とりわけ赤外の近くの可視範囲の端で吸収帯の勾配を直線的にさせる。
【0012】
また、本発明のガラス組成物は酸化亜鉛を含むことができる。この酸化物は必要によりガラスの粘度を低下させることができ、ガラスの耐加水分解の増加と失透し易さの低下に寄与する。このことが、高い割合でシリカとアルミナ、又はシリカのみを含む本発明のガラス組成物にZnOを導入することが好ましい理由である。また、酸化亜鉛は、還元(reduced) ガラスの製造に使用可能なガラス化できる混合物に有益に添加することがある。この酸化物は、このタイプのガラスに生成することがある硫化鉄の生成によって生じる琥珀色の外観を防ぐことができる。即ち、FeO/Fe2 3 (合計)の比が約0.4以上の場合、本発明のガラス組成物に少なくとも0.05%の割合で酸化亜鉛を導入することができる。組成物のコストを過度に増加させないため、ZnOの含有率は約3重量%を超えないことが好ましい。
【0013】
また、本発明のガラス組成物は酸化ジルコニウムを含むことができる。この酸化物は、ガラスを安定化と耐薬品性を向上させることができ、特に耐加水分解を改良することができる。この酸化物は、アルミナを殆ど又は全く含まない本発明のガラス組成物に1.5重量%までの量で導入することができる。
また、本発明のガラス組成物は、ガラス原料の不純物として及び/又はガラス用混合物中にカレットを入れる結果として及び/又は精製剤(SO3 、Cl、Sb2 3 、As2 3 )の使用に由来する不純物から付与される他の成分を1重量%までの量で含んでもよい。
【0014】
ブロンズ色を有する本発明のガラスは一般にセレンとコバルトを含む。これらは、照射Cにおける約565nm以上の主要な波長によって特徴づけられる。
グレーの陰影を有する本発明のガラスは、一般にセレンとさらに酸化コバルトと酸化クロムを含む。これらは照射Cにおける約550nm未満の主要な波長によって特徴づけられる。
【0015】
本発明によるガラスは、所望とする酸化還元度を達成することができる条件で製造することができる。即ち、本発明のガラスは、0.35未満、一般に0.2〜0.3のレドックスのスルフェートのような公知の精製剤を使用して製造することができる。このことは特にセレンを含むガラスについて当てはまる。
また、これらは、例えば欧州特許明細書第297404号に記載の条件で製造することができ、0.4又は0.5以上のレドックスを有することができる。ここで、本発明のよるガラスのレドックスは常に0.8未満に維持される。
【0016】
本発明によるガラス組成物の一部を構成する各々の成分の性質と含有率において、特にアルカリ土類金属酸化物は、スペクトル範囲のFeO吸収帯の最大波長を長い方に移動させることによって近赤外の吸収が改良されたガラスを得ることを可能にする。この移動は、その吸収帯及び/又はその波長の強度を増すことによって達成されることが多い。この移動は、本発明によるガラスの赤外における吸収を増加させるだけでなく、FeOによって生じる着色を弱くする作用を有する。したがって、この現象は、同じ鉄含有率を有する普通のガラス、即ち同等な品質のガラス原料を有するガラスよりも、所定の厚さにおいて着色の少ないガラスが製造されることを可能にする。また、このことは、所定の厚さにおいて、高い鉄含有率を有する、即ちガラス原料の純度が悪くても同等な色を有するガラスの製造を可能にする。この現象の結果、本発明のガラス組成物のFe2 3 の形態で表される全鉄含有率が約0.04重量%以上の場合、有意な赤外線の吸収とガラスの弱い色が得られる。
【0017】
本発明のガラスは、3.85mmの厚さにおいて80%より高い全光透過率と1以上のTLA /TE の比を有することを特徴とする。
本発明によるガラスは、照射C(PC )において3.85mmの厚さで2%未満の励起純度(excitation purity) を有する。本発明によるグレーのガラスに関して、この純度は同じ厚さで1.5%未満、3.15mmの厚さで1%未満である。
【0018】
【実施例】
本発明によるガラスの長所は、下記の例によってさらに理解することができる。2種のガラス組成物を重量%で表している。ガラス1は、特にMgOの含有率に関して公知のタイプを代表し、ガラス2は本発明の組成物である。PARRYMOON MASS 2 法によって、厚さ3.85mmについて照射A(TLA )における全光透過率、全エネルギー透過率(TE )、及び赤外における透過率(TIR)を測定した。2種のガラス組成はFeO含有率は同じく0.028%であった。
【0019】
Figure 0003996217
公知のガラスに比較して本発明のガラスのFeOの吸収帯のピークに相当する波長(λFeO)が約90nm移動し、この帯のかなりの広がりを伴った。この広がりの値は、最小透過率より0.5%高い透過率に対応する2つの波長の間の差(σFeO)によって把握できる。ガラスの着色への影響の他に、同じFeO含有率であってその酸化物の含有率が少なくても、このスペクトル上の変化は、本発明のガラスの赤外吸収の若干の増加を生じさせた。
【0020】
本発明のガラス組成物は、通常のフロートガラス法に適する。溶融ガラスを錫浴の上に注ぐことによって得られるリボンの厚さは0.8〜10mmまで変えることができる。ガラスリボンを切断して得られる窓ガラスは、特に自動車に装着すべき場合は次に曲げ操作に供することができる。
別な窓ガラスの製造においては、本発明によるガラス組成物から得られる窓ガラスを表面処理に供することがあり、あるいは例えば破壊の際の飛散防止性(antilacoration)や漏れ防止性のフィルムのような有機物のコーティングを施すこともできる。また、エナメルコーティングで局部的にコーティングすることもできる。
【0021】
本発明によるガラスは、高温における熱分解法、減圧下での気相の化学蒸着(CVD)等による化学的堆積によって少なくとも1種の金属酸化物の皮膜をコーティングすることもできる。

Claims (9)

  1. 次の成分を含み、
    ・SiO2 69〜75重量%
    ・Al23 0〜3重量%
    ・B23 0〜5重量%
    ・CaO 2〜10重量%
    ・MgO <2重量%
    ・Na2 O 9〜17重量%
    ・K2 O 0〜8重量%
    ・Se 0〜0.002重量%
    ・CoO 0〜0.001重量%
    ・Cr23 0〜0.001重量%
    ・Fe23 及びFeO(全量を酸化第2鉄に換算して)
    0.02〜0.2重量%
    また、フッ素、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、及び4重量%未満の酸化バリウムを随意に含み、SrOは含まない、ただしアルカリ土類金属の酸化物の合計は10重量%以下であるソーダ石灰シリカ系ガラス組成物の少なくとも1枚のシートを含むことを特徴とする窓ガラス。
  2. MgOの含有率が1重量%未満である請求項1に記載の窓ガラス。
  3. アルカリ金属酸化物の合計が15重量%より多い請求項1又は2に記載の窓ガラス。
  4. 0.5〜3.5重量%のBaOを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の窓ガラス。
  5. 0.5〜2重量%のフッ素を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の窓ガラス。
  6. 0.05〜3重量%のZnOを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の窓ガラス。
  7. 1.5重量%までのZrO2 を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の窓ガラス。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の窓ガラスであって、該窓ガラスが厚さが0.8〜10mmのガラスシートからなる窓ガラス
  9. 3.85mmの厚さにおいて80%以上のTLA 値を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の窓ガラス。
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