JP3996137B2 - 抗重金属モノクローナル抗体およびその使用方法 - Google Patents

抗重金属モノクローナル抗体およびその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、重金属としてカドミウムまたはカドミウムと水銀を特異的に認識するモノクローナル抗体、並びにその使用方法に関する。詳細には、カドミウム錯体またはカドミウム錯体と水銀錯体を特異的に認識しうるモノクローナル抗体、および該抗体を用いるカドミウムおよび/または水銀を定性的または定量的に検出する方法に関する。
近年、環境保全などの社会的な環境意識や健康に対する影響への関心の高まりから、産業や生活に伴う様々な場面における環境汚染物質の排出・蓄積の動向が注視されている。環境汚染物質の中でも重金属類、特にカドミウムや水銀は過去にその毒性による重篤な問題を起こしていることもあり、公的機関により飲料水や地下水における水質基準、土壌における環境基準、環境への排出基準が設けられている。このため、これらの基準を満たしているかどうかを種々の検査対象についてカドミウムや水銀の測定が行われているが、通常はガスクロマトグラフィーや質量分析法などが用いられる。しかし、これらの方法は高価な測定機器が必要であり、また測定も測定機器を設置した施設で行う必要がある。このため、環境汚染物質としてのカドミウムや水銀を現場で簡易的に測定する手段が求められていた。
一方、免疫反応を利用した測定法としては、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、免疫発光測定法、エンザイムイムノアッセイ(EIAまたはELISA)などの方法が知られている。また、微量物質の測定法としては、間接蛍光抗体法、競合アッセイ法の他に蛍光センサーを利用する方法(非特許文献1)などがあり、その応用範囲は広い。近年、環境汚染物質の測定にも免疫学的測定方法が適用されており、環境汚染物質として内分泌攪乱物質または環境ホルモンを簡易かつ高感度に測定する方法が報告されている(特許文献1)。しかし、測定すべき環境汚染物質がカドミウムなどの金属元素やそのイオンの場合、一般的にはそれ自体が抗原性を持たないため、カドミウムおよびそのイオンを抗原として用いること不可能であると考えられており、カドミウムなどの重金属を特異的に認識する抗体は知られていない。
特開2002−189027公報 N. Ohmura, et al., Anal. Chemistry, Vol.73, pp.3392‐3399 (2001)
従って、本発明の課題は、環境汚染物質としての重金属であるカドミウムや水銀を免疫学的に検出・定量しうる方法およびこれに用いるカドミウムを特異的に認識するモノクローナル抗体を提供することである。
そこで、本発明者らは、抗カドミウム抗体、抗水銀抗体としてこれらの錯体を特異的に認識しうる抗体は作成可能であると考えて鋭意研究を行ったところ、それ自体では抗原としては小さすぎるが該錯体とタンパク質を結合して高分子量化することによりカドミウムや水銀を特異的に認識するモノクローナル抗体を作成しうることを見出した。
従って、本発明は、
[1]受託番号FERM P−19240として寄託されたハイブリドーマにより産生され、カドミウム−EDTA錯体を特異的に認識し、カドミウム−EDTA錯体に対する交差反応性を100%としたときに、カルシウム−EDTA錯体、銅−EDTA錯体、鉄−EDTA錯体、水銀−EDTA錯体、マグネシウム−EDTA錯体、ニッケル−EDTA錯体、鉛−EDTA錯体、亜鉛−EDTA錯体及び金属を配位していないEDTAに対して1%未満の交差反応性を示すモノクローナル抗体;
[2]受託番号FERM P−19703として寄託されたハイブリドーマにより産生され、カドミウム−EDTA錯体及び水銀−EDTA錯体を特異的に認識し、水銀−EDTA錯体に対する交差反応性がカドミウム−EDTA錯体に対する交差反応性と比較して5倍高く、水銀−EDTA錯体に対する交差反応性を100%としたときに、銅−EDTA錯体、マンガン−EDTA錯体、亜鉛−EDTA錯体、鉄−EDTA錯体、マグネシウム−EDTA錯体、カルシウム−EDTA錯体、鉛−EDTA錯体及び金属を配位していないEDTAに対して0.26%以下の交差反応性を示すモノクローナル抗体;
[3]受託番号FERM P−19240として寄託され、前記[1]に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
[4]受託番号FERM P−19703として寄託され、前記[2]に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
[5]試料中のカドミウムおよび/または水銀を定性的または定量的に測定する免疫学的方法において、前記[1]または前記[2]に記載のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする方法
[6]前記[1]または前記[2]に記載のモノクローナル抗体を含む、試料中のカドミウムおよび/または水銀を定性的または定量的に測定するためのキット;並びに
[7]SH基含有物質を添加した試料と添加しない試料のそれぞれに対しEDTAを添加して前記[2]に記載のモノクローナル抗体を用いた免疫学的方法により測定し、カドミウムと水銀を区別して定性的または定量的に測定する方法;
に関する。
本発明のモノクローナル抗体は、重金属としてカドミウムおよび/または水銀の法的規準(例えば環境基準、水質基準など)以下の検出限界を有し、これら重金属について環境基準濃度の測定が可能であることが好ましい。具体的には、抗カドミウム抗体は、その検出限界が排水基準の100ppb以下、好ましくは環境基準の10ppb以下であることが好ましい。抗水銀抗体は、検出限界が環境基準である0.5ppb以下であることが好ましい。
また、本発明の抗カドミウムモノクローナル抗体は、正確な測定を与えるためにカルシウム、マグネシウム、銅、鉄、ニッケル、鉛、亜鉛などのその他の金属とはほとんどまたは全く交差反応せず、カドミウム以外の重金属との親和性はカドミウムの10%以下、好ましくは1%以下である。
また、本発明の抗水銀モノクローナル抗体は、同様にカルシウム、マグネシウム、銅、鉄、ニッケル、鉛、亜鉛などのその他の金属とはほとんどまたは全く交差反応せず、カドミウムを除くその他の重金属との親和性は10%以下、好ましくは1%以下である。また、この抗水銀モノクロナール抗体は、同時にカドミウムとも反応し、水銀を除くその他の金属即ちカルシウム、マグネシウム、銅、鉄、ニッケル、鉛、亜鉛などのその他の金属とは区別して検出することができる。
本発明の抗カドミウムモノクローナル抗体としては、カドミウムを特異的に認識するモノクローナル抗体、特に錯体を形成したカドミウムを特異的に認識するモノクローナル抗体であればいずれの抗体でもよいが、例えばSo25A1、So21D5、So26G8が挙げられる。これらのモノクローナル抗体はカドミウムやその他の金属に対してほとんど同じ特性を示すため、即ち主にカドミウムと反応してカルシウム、マグネシウム、銅、鉄、水銀、ニッケル、鉛、亜鉛などのその他の金属とはほとんどまたは全く交差反応しないという特性を示すため、同一の親細胞に由来するハイブリドーマから産生されるものと考えられる。なお、モノクローナル抗体So26G8を産生するハイブリドーマは、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成15年2月27日付けで受託番号FERM P−19240として寄託されている。
また、本発明の抗水銀抗体としては、水銀を特異的に認識するモノクローナル抗体、特に錯体を形成した水銀を特異的に認識するモノクローナル抗体であればいずれの抗体でもよいが、例えばモノクローナル抗体Nx22C3が挙げられる。モノクローナル抗体Nx22C3を産生するハイブリドーマは、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成16年2月26日付けで受託番号FERM P−19703として寄託されている。
本発明のモノクローナル抗体を用いるカドミウムおよび/または水銀を定性的または定量的に測定する免疫学的方法において、カドミウムと水銀はキレート剤に配位させ、形成された錯体を本発明のモノクローナル抗体により検出・測定する。故に、本発明は、(i)試験試料にキレート剤を添加して錯体を形成させ、(ii)該錯体を特異的に認識する抗体を用いる免疫学的手法によりカドミウムおよび/または水銀を定性的または定量的に測定する方法に関する。本発明のモノクローナル抗体は、前述のようにカドミウムや水銀をEDTAに配位させた錯体に対して親和性が高く、且つ他の金属をEDTAに配位させた錯体との交差反応性が低いため、試験試料中のカドミウムや水銀をより正確に測定することができる。
その中でも、本発明のモノクローナル抗体Nx22C3は、水銀−EDTA錯体とカドミウム−EDTA錯体の双方に対して非常に高い親和性・特異性を有している。そこで、試験試料にあらかじめSH基含有物質(例えば、メルカプトエタノールやグルタチオンなどのSH基を有する化合物、あるいは牛血清アルブミンなどシステイン残基を含むタンパク質)を添加して、そのSH基と水銀を共有結合させ、水銀のEDTAとの錯体形成を阻害するようにする。次いで、SH基含有物質で前処理した試料と前処理しない試料について、EDTAを添加した後、Nx22C3抗体を用いて測定することにより、試験試料中に水銀およびカドミウムが存在するか否かを区別して判定し、かつ2つの測定値から水銀とカドミウムの各々の濃度を算出することができる。従って、本発明は、試験試料にSH基含有物質を添加して前処理すること、およびその前処理した試料と前処理しない試料について、EDTAを添加した後にモノクローナル抗体Nx22C3を用いて金属イオン濃度を測定し、その測定結果から試験試料中に水銀またはカドミウムの存在・不存在を判定し、かつ水銀とカドミウムの各々について同時に濃度を測定する方法に関する。
本発明において用いる免疫学的手法としては、本発明のモノクローナル抗体を用いればいずれでも良いが、例えば免疫クロマトグラフィー、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、免疫発光測定法、エンザイムイムノアッセイ(EIAまたはELISA)、CLEIA(化学発光酵素免疫測定法)、免疫比濁法(TIA)、ラテックス免疫比濁法(LTIA)、蛍光センサー法などの方法が挙げられる。
本発明のカドミウムおよび/または水銀を定性的または定量的に測定するためのキットは、本発明の抗カドミウムあるいは抗水銀のモノクローナル抗体のみから構成されていてもよいが、他の試薬例えばキレート剤、キレート剤−タンパク質複合体、ポジティブコントロール試料、ネガティブコントロール試料などを包含してもよい。また、モノクローナル抗体、キレート剤−タンパク質複合体のいずれか、または両方が標識されていてもよい。さらに、本発明のキットは、モノクローナル抗体を含め必要な試薬がフィルターなどに吸着されている免疫クロマトグラフィー装置(例えば、試験紙)の形態でもよい。尚、免疫クロマトグラフィー装置には、モノクローナル抗体あるいはキレート剤−タンパク質複合体のいずれか一方が固定され、他方が流動可能に供給されれば良い。
本発明によれば、環境汚染物質として注目されている重金属のカドミウムや水銀をEDTAに配位させた錯体を特異的に認識するモノクローナル抗体およびこれを用いるカドミウムおよび/または水銀を検出・定量するための免疫学的方法、該方法に用いるキット(装置)が提供される。本発明のモノクローナル抗体はカドミウムおよび/または水銀をEDTAに配位させた錯体に対して高い親和性・特異性を有するため微量のこれら重金属を検出することができ、環境への排出基準のみならず、高い検出感度が要求される水質基準や環境基準に対する判定にも用いることができる。また、この方法は免疫学的手法を用いるため、環境調査の現場でカドミウムおよび/または水銀を迅速且つ簡便に測定できる。
<抗原>
本発明では、カドミウムイオン、水銀イオン単独では抗原性を持たないため、抗カドミウム抗体および抗水銀抗体を作成するためこれら重金属をキレート剤に配位させ、形成された金属錯体を抗原として用いた。キレート剤としては、カドミウムや水銀を配位しうるものであれば任意のキレート剤を用いることができるが、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、テトラエチレントリアミン(TET)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、クエン酸、シュウ酸、クラウンエーテル、ニトリロテトラ酢酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、ペニシラミン、ペンテテートカルシウム三ナトリウム、ペンテト酸、スクシメルおよびエデト酸トリエンチンを挙げることができるが、好ましくはEDTAである。
また、カドミウム錯体、例えばカドミウムとEDTAの錯体(以後、Cd−EDTAと略記する)、水銀錯体、例えば水銀とEDTAの錯体(以後、Hg−EDTAと略記する)では免疫応答を誘導するには分子として小さすぎるため、キャリアとなる高分子量物質に結合させ、これを抗原または免疫源として用いる。キャリアとして用いることができる高分子量物質の例としては多糖類、タンパク質などが挙げられるが、タンパク質が好ましい。アルブミン、オバルブミン、ヘモシアニン、グロブリン、ゼラチン、コラーゲンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
これら金属錯体とタンパク質の複合体を作成するには、タンパク質と結合しうる官能基を有するキレート剤または該官能基を導入したキレート剤を用いるか、あるいはリンカーを介してタンパク質とキレート剤を結合させることができる。そのようなキレート剤は市販されており、例えばイソチオシアノベンジル−EDTA(同仁化学)が挙げられる。複合体の形成は常法により行うことができる。
<抗重金属モノクローナル抗体の作製>
マウス免疫、ハイブリドーマの作製およびその培養などの一連のモノクローナル抗体の作製は、常法に従って、例えばモノクローナル抗体作製マニュアル、多田ら著、学際企画発行、1995年(ISBN 4-906514-19-7)を参照して適宜行うことができ、免疫するマウスの系統、脾臓細胞と融合させるミエローマなども特に限定されない。
<抗体生産細胞のスクリーニング>
抗体生産細胞のスクリーニングには一般的にはELISA法を用いるが、より少ない抗体量でスクリーニングが可能であるため、蛍光センサー法(特許文献1)を用いるのが好ましい。この方法は、一次スクリーニングおよび二次スクリーニングからなり、一次スクリーニングは担体に固定化した抗原(カドミウム錯体−タンパク質複合体または水銀錯体−タンパク質複合体)に抗体を含有するハイブリドーマ培養上清を添加し、固定化抗原に結合した抗体を蛍光標識した二次抗体(抗マウスIgG抗体)を用いて蛍光センサーで検出する。二次スクリーニングでは、培養上清に過剰量の金属錯体を添加して平衡化した後、錯体と結合しなかった抗体の固定化抗原との結合を一次スクリーニングと同様に測定する。一次スクリーニングと二次スクリーニングの差から所望の金属錯体と特異的に結合する抗体を特定する。
<モノクローナル抗体の産生および精製>
特定したクローンを培養し、単離したコロニーは徐々に培地量を増やしながら継代する。得られた培地は、脱塩カラムを用いて培地自体に含まれる若干の重金属を除去するのが好ましい。さらに、培地中に他のタンパク質の影響を除くために、抗体を精製する方法、例えばプロテインAアフィニティーカラムクロマトグラフィーにより抗体を精製するのが好ましい。
<モノクローナル抗体の評価>
得られたモノクローナル抗体は、カドミウム錯体、水銀錯体と他の金属の錯体との親和性を比較することによりその抗体の抗原に対する親和性および特異性を評価する。親和性は、抗体の抗原との結合を50%阻害する抗原濃度(IC50)により評価する。そして、特異性は、カドミウムや水銀に対するIC50と他の金属に対するIC50を比較することにより評価する。IC50はいずれの方法で算出してもよいが、測定結果をソフトウェア(例えばOrigin Version 6.0など)により解析して求めてもよい。例えば、蛍光センサー法などで得られた測定値は、抗原を加えなかったときの測定値を100%として相対値に変換した後、抗体と抗原の結合曲線の近似式:
y=99/(1+(x/P1)P2)+0.5
[式中、xは抗体量であり、yは抗体と抗原の結合量(%)であり、P1およびP2は近似のパラメーターである]に導入する。また、P1およびP2はソフトフェアにより決定し、得られた結合曲線から、y=50になるときのxの値(=P1)をIC50とする。また、抗体の特異性はカドミウムや水銀をEDTAに配位させた錯体に対するIC50と他の金属をEDTAに配位させた錯体に対するIC50との比を交差反応性として求める。
<免疫クロマトグラフィー>
抗体を用いた免疫学的測定法の一例として免疫クロマトグラフィーを挙げる。この方法は、試料を試験紙上に滴下するだけで目的物質の有無を数分から数十分の間に判定できるため簡便性に優れ、かつ特別な機械装置を必要としないため非常に安価である。本発明において、免疫クロマトグラフィーは、キレート剤−タンパク質複合体を利用することにより所望の金属イオンを効果的に検出するものである。図7にその実施形態の一例を示す。プラスチックバッキングシート1の上に、メンブレン2と吸収パッド3を一部で重なるように配置し、メンブレン2の先端の試料滴下位置5に試料を滴下すると試料が吸収パッド3に向かってメンブレン2上を流動し、標識された抗金属EDTAモノクロナール抗体あるいは標識されたEDTA−タンパク質複合体が固定化された領域4を通過する際に、金属EDTA錯体が抗体に捕捉されあるいは抗金属EDTAモノクロナール抗体がEDTA−タンパク質複合体のEDTAと錯体を形成してその錯体に抗金属EDTAが捕捉されて、固定化領域4が目視可能となることで検出対象物の有無を簡易に検出可能としている。なお、EDTAなどのキレート剤を直接標識することは困難であるため、キレート剤にタンパク質を付加する前あるいは後に、タンパク質に色素粒子を付加することで間接的にキレート剤を標識するのが好ましい。あるいは、モノクローナル抗体自体を標識することもできる。これらタンパク質の標識は通常行われている手法によって行うことができる。
(1)試験法1
本発明のモノクローナル抗体を試験紙の一部分に試料の流れを横切るように帯状に固定化する。次いで、試験試料中にキレート剤−タンパク質−色素粒子(キレート剤−標識タンパク質)複合体を添加して、カドミウムイオンまたは水銀イオンと結合させたのち試験紙に滴下させる(図9(A),(B)参照)。目的の金属イオンが存在する場合には、金属−キレート剤錯体が形成され、金属錯体と標識タンパク質複合体が試験紙上に帯状に固定化したモノクローナル抗体によって補足され、その結果として色素粒子が帯状に密集して試料中の金属イオンが可視化する(図9(C),(D)参照)。試料中に金属イオンが存在しない場合は、キレート剤−タンパク質−色素粒子複合体は試験紙上に固定化されたモノクローナル抗体に補足されないため、色素粒子により可視化されない。
(2)試験法2
キレート剤−タンパク質複合体を利用して金属イオンを検出する免疫クロマトグラフィーとして次の方法がある。まず、試験法1における抗体の代わりにキレート剤−タンパク質を試験紙上に帯状に固定化する(図10(B)参照)。色素粒子はモノクローナル抗体に付加する。この標識抗体と試験試料を混合してからともに試験紙に滴下させると(図10(A),(B)参照)、金属イオンが試験紙上のキレート剤−タンパク質複合体に捕捉され金属−キレート剤錯体を形成し、結果として標識されたモノクロナール抗体が金属−キレート剤錯体を介して試験紙上に補足され、帯状に密集した色素粒子により試料中の金属イオンが可視化される(図10(C),(D)参照)。
これら2つの試験法の利点は、タンパク質を介することでキレート剤を帯状に試験紙に固定することが容易になること、およびタンパク質1分子当たりに複数のキレート剤を付加するすることができ、単純に試験紙上にキレート剤を固定した場合に比べて表面積を大きく取ることが可能になり、結果として検出感度を上げることができることである。
本発明を下記の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例では抗原としてカドミウムとEDTAの錯体(Cd−EDTA)、キャリアタンパク質としてヘモシアニンを用いて、カドミウムとしてCd−EDTAを特異的に認識する抗体を作製した。
実施例1 抗カドミウムモノクローナル抗体
(1)抗原の作製
1mgのイソチオシアノベンジル−EDTA(同仁化学社製)を200μlの50mM MES緩衝液(pH5)に溶解した後、200μlの10mM カドミウム溶液を添加した。30分間静置して錯体を形成させ、2mg/mlのスカシガイ由来のへモシアニン(以下KLHと略す)を1ml添加した。次いで10N〜1N 水酸化ナトリウム溶液によりpHを9.5に調整した。これを一晩緩やかに撹拌し、ゲル濾過カラムにより溶液を25mM HEPES緩衝液(pH7.0)に置換し、抗原を精製した。得られたCd−EDTAとヘモシアニンの複合体を免疫用の抗原とした。また、ヘモシアニンの代わりにオバルブミンを用いて同様な操作を行ってCd−EDTAとオバルブミンの複合体を作製し、これをスクリーニング用抗原とした。
(2)抗カドミウム抗体の作製
a)マウスの免疫
6匹のBALB/C近交系のマウス(雌、5週齢、日本クレア)を1週間程度飼育環境に慣らしたのち、1回目の免疫を行った。免疫は、実施例1の免疫用抗原と等量のアジュバントを十分に混合してエマルジョンとした。1回の免疫につき、タンパク質量にして約0.3mgの抗原を用いて1回につき2カ所、100μlずつ皮下注射した。2回目以降の免疫は2週間程度おきに3回または4回行った。3回目の免疫後、4〜7目の間にマウスの尾部より数滴の血液を採取し、スクリーニング用抗原を用いて抗体価を測定し、抗体の産生を確認した。
b)ハイブリドーマの作製
最後の免疫から4日〜6日経過したマウスから、脾臓を摘出し、脾臓細胞とミエローマ細胞(NSO株、理化学研究所)と融合させた。細胞を融合する際は、重合度1500のポリエチレングリコールで脾臓細胞とミエローマを処理した。細胞融合に関する一連の操作は37℃にて行った。得られたハイブリドーマは96穴プレートに分注し、HAT培地中で37℃,5%COの条件下で培養した。ハイブリドーマは、融合後約2週間培養し、その間は3〜4日に1回培地を交換した。なお、10日目前後まではHAT培地を用い、その後はHT培地を用いた。
c)スクリーニング
スクリーニングは、フロー式蛍光センサー(キネクサ3000)を用いて蛍光センサー法にて行った。また、抗原を固定化する担体としてアガロースビーズ(NHS修飾済み,ファルマシア)を用いた。2mlのアガロースビーズ懸濁液に対して、上記(1)の作製方法で得たスクリーニング用抗原100μgを添加して抗原をビーズに固定化した。
96穴プレートの培養液の上清を約10μlずつ取り、1本の試験管にまとめた(約1ml)。一次スクリーニングでは、この試験管に固定化抗原を添加し、固定化抗原に結合した抗体は蛍光物質Cy5にて標識された二次抗体(抗マウスIgGヤギ抗体)を用いて間接的に蛍光標識し、上清中の抗体と固定化抗原との結合を蛍光センサーにより検出した。二次スクリーニングでは、培養上清にCd−EDTAを1μMとなるように加え、平衡化したのち、錯体と結合しなかった抗体のビーズへの結合を同様に測定した。二次スクリーニングによって、Cd−EDTAと特異的に結合する抗体を含むと判定されたプレートについては,1本の試験管にまとめる培養上清を12穴分〜1穴分と段階的に絞り込みながら、一次スクリーニング同様、上清中の抗体のビーズへの結合を測定し、目的の抗体を産生するハイブリドーマとして、So22B11、So21D5、So25A1、So26G8を特定した。スクリーニングによって陽性と判断された抗体生産細胞は、メチルセルロース培地を用いて単一の細胞に由来するコロニーを形成させた後、コロニーを液体培地に移し培養を続けた。
d)モノクローナル抗体の生産
単離されたコロニーを96穴プレート、24穴プレート、25cmフラスコの順に培地量を増やしながら継代した。継代の後3〜5日の間に培養上清中の抗体量を蛍光センサーにて測定し、抗体量の多いものを次の培地に移した。なお、96穴プレートの培地量は200μl、24穴プレートの培地量は1000μl、25cmフラスコの培地量は10mlである。また、培養後の培地は脱塩カラムを用いて培地に含まれる若干の重金属を除去し、25mM HEPES緩衝液(pH7.0)に置換した。さらに、プロテインAアフィニティーカラムに供して、得られたモノクローナル抗体を精製した。
(3)抗カドミウム抗体の評価
Cd−EDTA及び他の金属とEDTAの錯体に対する親和性を測定・比較することで得られた抗カドミウム抗体So22B11、So21D5、So25A1、So26G8を評価した。なお、カドミウム以外の金属として、カルシウム(Ca−EDTA)、銅(Cu−EDTA)、鉄(Fe−EDTA)、水銀(Hg−EDTA)、マグネシウム(Mg−EDTA)、ニッケル(Ni−EDTA)、鉛(Pb−EDTA)および亜鉛(Zn−EDTA)を用い、フリーのEDTAをコントロールとした。
まず、蛍光センサーに導入して2V前後の蛍光強度を得られる濃度の抗体溶液(約1nM)を作製した。この抗体溶液に、金属EDTA錯体溶液を10μMになるように加え、抗体と十分平衡化させた。平衡化した溶液を蛍光センサーに導入して固定化抗原に結合する抗体の量を測定した。この結果、抗体So22B11が最も強い親和性を示した錯体は、Ca−EDTAでありCd−EDTA、Mg−EDTA、Hg−EDTAおよびコントロールのEDTAにも同じような親和性を示しており、モノクローナル抗体So22B11は特定の金属の定量には不向きな抗体であると評価される。これに対して、So21D5、So25A1、So26G8はいずれも、Cd−EDTAに対して最も強い親和性を示し、2番目に強い親和性を示すCu−EDTAとは頭著な差が見られた。これらの結果を図1に示す。なお、図1において、Freeは金属を配位していないEDTA、他は表示金属とEDTAとの錯体を示す。蛍光強度は抗原を加えなかったときの蛍光強度の値を100%として相対値を示している。
(4)抗カドミウム抗体の詳細な評価
上記(3)にてカドミウムに対して特異性が高いと評価されたモノクローナル抗体So21D5、So25A1、So26G8についてはさらに詳細な分析した。なお、本実施例では、各種全属EDTA錯体に対するIC50を求め、抗体の錯体ヘの親和性を厳密に評価した。
各金属錯体の濃度(0.1nM〜100mM)を10倍ずつ変化させて、金属錯体濃度を変化させたときの各モノクローナル抗体と金属錯体との結合量を蛍光センサーで測定した。その結果を結合曲線として図2に示す。また、得られた測定結果をソフトフェア(Origin Version 6.0)により解析して、各金属錯体に対するIC50を求め、抗体の交差反応性をカドミウムに対するIC50と他の金属に対するIC50との比として求めた。モノクローナル抗体So26G8の各金属錯体とのIC50および交差反応性を下記の表に示す。尚、図2において、Freeは金属を配位していないEDTA、他は表示金属とEDTAとの錯体を示す。蛍光強度は抗原を加えなかったときの蛍光強度の値を100%として相対値を示している。
モノクローナル体So26G8はCd−EDTAに対して最も強い親和性を示し、他の金属錯体と1%以上の交差反応性を示さなかったことから、カドミウム−EDTA錯体に対して非常に特異性が高いことが明らかとなった。また、モノクローナル抗体So21D5、So25A1についても同様に評価したが、結果はSo26G8と一致していた。このため、モノクローナル抗体So21D5、So25A1およびSo26G8を産生するハイブリドーマは同一の親細胞に由来すると考えられる。
実施例2 抗水銀モノクローナル抗体
(1)抗原の作製
1mgのイソチオシアノベンジル−EDTA(同仁化学社製)を200μlの50mM MES緩衝液(pH5)に溶解した後、最終濃度が5mMになるように塩化水銀溶液を添加した。次いで、実施例1−(1)と同様にして水銀−EDTA錯体(Hg−EDTA)−ヘモシアニン複合体を得て、これを免疫用の抗原とした。また、ヘモシアニンの代わりにオバルブミンを用いて同様な操作を行ってHg−EDTAとオバルブミンの複合体を作製し、これをスクリーニング用抗原とした。
(1)抗水銀抗体の作成
前記(1)で調製した抗原を用いたこと以外は実施例1−(2)と同様にして、1000株以上のハイブリドーマを作製し、これらのハイブリドーマの中から、Hg−EDTAとの結合強度を指標にしてスクリーニングし、Hg−EDTAに強い結合性を有する株としてNx22C3株を得た。Nx22C3株はメチルセルロース培地を用いてシングルコロニーとした後、再度液体培地に戻した。次いで、単離されたコロニーを96穴プレート、24穴プレート、25cmフラスコの順に培地量を増やしながら継代し、培養後の培地からモノクローナル抗体Nx22C3を精製した。
(3)抗水銀抗体の評価
抗カドミウム抗体と同様にして、得られたモノクローナル抗体とHg−EDTAおよび他の金属とEDTAの錯体に対する親和性を測定・比較することで得られた抗水銀抗体Nx22C3株を評価した。なお、水銀以外の金属として、Cd−EDTA、Cu−EDTA、Zn−EDTA、Mg−EDTA、Fe−EDTA、Ca−EDTAおよびPb−EDTAを用い、フリーのEDTAをコントロールとした。なお、IC50値に対して抗体濃度が十分に小さい(10分の1以下の)場合にIC50値と結合解離定数がほぼ一致することが知られているため、本実施例では評価として結合解離定数を用いた。
その結果、モノクローナル抗体Nx22C3は、Cd−EDTAとは19.2%の交差反応性を示したが、これはHg−EDTAとCd−EDTAの立体構造がよく似ているためであると考えられる。Cd−EDTA以外の錯体に対する交差反応性は0.26%以下であり、Nx22C3抗体がHg−EDTAとCd−EDTAに対して強い特異性を有することが確認された。これらの結果を下記の表2に示す。
試験例1 抗カドミウム抗体を用いた測定試験
カドミウムに対する法規制には、環境基準、水質基準と排水基準があり、規制値はそれぞれ10ppbと100ppbである。このため、本発明のモノクローナル抗体So26G8がこれらの規制値の濃度のカドミウムを検出しうるかを実施例1−(4)と同様に評価した。なお、本試験例では法規制値の標記単位に合わせて濃度をppbにて表す。
その結果、抗体のCd−EDTAに対する結合曲線は10ppbよりも2桁ほど低い濃度から曲線が下り始めており、この抗体So26G8がカドミウムの環境基準と排出基準の判定に利用できることが示された(図3)。また、Cu−EDTAとZn−EDTAに関しては,結合曲線が100ppb付近から下り始めている(図3)。この結果は測定試料中に銅または亜鉛が100ppb以上存在している場合、銅または亜鉛によってカドミウムの擬陽性となる可能性を示す。しかし、この抗体で陰性であった場合はカドミウムも銅も亜鉛も規制値以上は存在しないことが示される。また、抗体で陽性の場合には、カドミウム、銅および亜鉛の濃度を従来の方法で厳密に測定すればよいため、本発明のモノクローナル抗体は調査現場での簡易測定に非常に有用であることが示された。
試験例2 抗水銀抗体を用いた測定試験
水銀に対する環境基準は0.5ppbである。このため、本発明のモノクローナル抗体Nx22C3がこの規制値の濃度の水銀を検出し得るかを試験例1に従って評価した。また、モノクローナル抗体Nx22C3はカドミウムとも反応するため、カドミウムについても同様に評価した。
Nx22C3抗体の結合分析のグラフについて、蛍光強度がおよそ80%の時の錯体濃度が検出下限とし、Nx22C3抗体のHg−EDTAとCd−EDTAに対する検出限界を決定した(図4を参照)。その結果、Nx22C3抗体のHg−EDTAに対する検出限界は0.3ppb(1.5nM)であり、Cd−EDTA錯体に対する検出限界は0.3ppb(2.7nM)であった。よってNx22C3抗体は水銀の環境基準である0.5ppbおよびカドミウムに対する環境基準10ppbの測定が可能であることが確認された。尚、図4において横軸はNx22C3抗体に加えたCd−EDTAまたはHg−EDTAの濃度を示しており、縦軸は蛍光強度の相対値を示している。蛍光強度は、EDTA錯体の濃度が0の時(EDTA錯体を抗体に加えなかった時)の蛍光強度を100とした。曲線は各データの近似曲線を示す。
しかし、Nx22C3抗体は水銀とカドミウム両方と結合するため、これらの金属を両方含む試料については正確な濃度を測定できない可能性がある。そこで、水銀とカドミウムの化学的な性質の差を利用して一方の金属がEDTAと錯体を形成することを阻害することにより、水銀とカドミウムを区別して測定することを試みた。具体的には、水銀イオンの水溶液にグルタチオンやメルカプトエタノール、あるいは牛血清アルブミンなどシステイン残基を含むタンパク質を添加すると、これらに含まれるSH基と水銀が反応し、SH基の硫黄と水銀が共有結合することが知られているため、試料にSH基含有物質例えばグルタチオンを添加する場合と添加しない場合で測定する。カドミウムイオンが添加したグルタチオンと反応せず、かつグルタチオンがNx22C3抗体とCd−EDTAと結合を阻害しなければ、Nx22C3抗体によって水銀とカドミウムを区別して測定することが可能となる。
そこで、試料にグルタチオンを添加した場合と添加しない場合でカドミウムと水銀について結合分析を行った結果、カドミウムは低濃度でもグルタチオンの影響をほとんど受けることなくNx22C3抗体により測定できることが確認された(図5を参照)。この抗体のカドミウムに対する感度は、So26G8抗体を50倍ほど上回るものであった。一方、水銀はグルタチオンによってEDTAとの錯体形成が阻害される。その結果、Nx22C3抗体とHg−EDTAとの結合は検出されなかった(図6を参照)。これらの結果から、グルタチオンで前処理した場合と前処理しない場合について測定することにより、試料中に水銀およびカドミウムが存在するか否かを区別して判定しうることのみならず、水銀とカドミウムの各々について同時に濃度を測定しうることが示された。尚、図5及び図6において、各試料のEDTAの濃度は100μMである。グルタチオンを加えた試料のグルタチオン濃度は10μMであり、EDTAを加える前に金属と反応させた。蛍光強度は金属の濃度が0の試料(EDTA濃度は100μM)の蛍光強度を100%として相対値で示した。
実施例3 免疫クロマトグラフィー
免疫クロマトグラフィー装置を次のように構成した。プラスチックバッキングシート
(商品コード:314−004.020,
ニップンテクノクラスタ)上にメンブレン(5mm×50mm)
(FF60,ニップンテクノクラスタ
)を配置させ、さらにメンブレンの一端と重複するように吸収パッド
(吸収紙300,ニップンテクノクラスタ
)を配置させる(図7を参照)。次いで、メンブレン(試験紙)の一部分に1mg/mlの抗カドミウム抗体So26G8 約2μlを塗布し、37℃で1時間乾燥して固定化し、試験紙を100mg/mlのBSA溶液に浸し、37℃で1時間乾燥してブロッキングした。
10ppb〜1ppmの濃度の塩化カドミウム溶液100μlを10μlのEDTA−OVA−青色ラテックスと試験管中で混合し、この混合液に試験紙の先端を浸した。試料とEDTA−OVA−青色ラテックスの混合液は試験紙に吸い取られ、30分後に抗カドミウムEDTA抗体を固定した位置に青色のバンドが検出された(図8)。この結果から本実施例の免疫クロマトグラフィーでは、100ppbのカドミウムを再現性よく検出しうることが確認された。因みに、カドミウムに対する感度は、So26G8よりもNx22C3抗体の方が50倍程上回るため、Nx22C3抗体を用いる免疫クロマトグラフィーの場合の方がより再現性よく低濃度まで検出できるものと推定できる。
作製したモノクローナル抗体とカドミウムまたはその他の金属との結合を示すグラフである。 モノクローナル抗体So26G8とカドミウムまたはその他の金属との結合曲線である。 モノクローナル抗体So26G8とカドミウムとの結合曲線において、横軸のカドミウム濃度をppbにて表したグラフである。 モノクローナル抗体Nx22C3と水銀またはその他の金属との結合曲線である。 グルタチオン添加・不添加の場合におけるモノクローナル抗体Nx22C3とカドミウムとの結合曲線である。 グルタチオン添加・不添加の場合におけるモノクローナル抗体Nx22C3と水銀との結合曲線である。 免疫クロマトグラフィー装置の構成図である。 免疫クロマトグラフィーによるカドミウムの検出結果を示す図である。 本発明にかかる抗重属モノクローナル抗体を用いた重金属の第1の検出方法の原理図である。 本発明にかかる抗重属モノクローナル抗体を用いた重金属の第2の検出方法の原理図である

Claims (7)

  1. 受託番号FERM P−19240として寄託されたハイブリドーマにより産生され、カドミウム−EDTA錯体を特異的に認識し、カドミウム−EDTA錯体に対する交差反応性を100%としたときに、カルシウム−EDTA錯体、銅−EDTA錯体、鉄−EDTA錯体、水銀−EDTA錯体、マグネシウム−EDTA錯体、ニッケル−EDTA錯体、鉛−EDTA錯体、亜鉛−EDTA錯体及び金属を配位していないEDTAに対して1%未満の交差反応性を示すモノクローナル抗体。
  2. 受託番号FERM P−19703として寄託されたハイブリドーマにより産生され、カドミウム−EDTA錯体及び水銀−EDTA錯体を特異的に認識し、水銀−EDTA錯体に対する交差反応性がカドミウム−EDTA錯体に対する交差反応性と比較して5倍高く、水銀−EDTA錯体に対する交差反応性を100%としたときに、銅−EDTA錯体、マンガン−EDTA錯体、亜鉛−EDTA錯体、鉄−EDTA錯体、マグネシウム−EDTA錯体、カルシウム−EDTA錯体、鉛−EDTA錯体及び金属を配位していないEDTAに対して0.26%以下の交差反応性を示すモノクローナル抗体。
  3. 受託番号FERM P−19240として寄託され、請求項1に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  4. 受託番号FERM P−19703として寄託され、請求項2に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  5. 試料中のカドミウムおよび/または水銀を定性的または定量的に測定する免疫学的方法において、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする方法。
  6. 請求項1または2に記載のモノクローナル抗体を含む、試料中のカドミウムおよび/または水銀を定性的または定量的に測定するためのキット。
  7. SH基含有物質を添加した試料と添加しない試料のそれぞれに対しEDTAを添加して請求項2に記載のモノクローナル抗体を用いた免疫学的方法により測定し、カドミウムと水銀を区別して定性的または定量的に測定する方法。
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