JP3996020B2 - 固体撮像装置の駆動方法と固体撮像・駆動装置およびそれを用いたカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固体撮像装置の駆動方法と固体撮像・駆動装置およびそれを用いたカメラに関するものである。本発明は、主としてスチルカメラを対象とするが、ビデオカメラでも、同じシーケンスを使用するものがあり、またシーケンスは異なるが、固体撮像装置の基板電圧制御を行うものがあるので、ビデオカメラに適用することも可能である。
【0002】
固体撮像装置(CCDやCMOSセンサ)を用いたカメラとして、スチルカメラおよびビデオカメラが考えられる。スチルカメラおよびビデオカメラとしては、写真撮影用、放送用等として用いる他、PDA(パーソナルディジタルアシスタント)、あるいは携帯電話に付属しているもの等、種々のものが考えられる。
【0003】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラやデジタルスチルカメラは、その小型、軽量などの使い易さと高画質化により成長を続けている。その中でもカメラの高機能化に対する要望が高まっており、新しい機能が実現できる固体撮像装置の駆動方法が差別化のキーポイントとなっている。
【0004】
以下、固体撮像装置を用いたカメラの概略図を用いて従来の固体撮像装置の駆動方法について説明する。
【0005】
図5に固体撮像装置を用いたカメラの概略図を示す。図5において、7は固体撮像装置、8は駆動信号発生回路、9は垂直ドライバ、10は相関二重サンプリング回路、11は前処理回路、12はADコンバータ、13はデジタル映像信号処理回路、14は制御装置、15は光学部をそれぞれ示す。ここで、固体撮像装置7と駆動信号発生回路8と垂直ドライバ9とを合わせて、固体撮像・駆動装置と称する。
【0006】
光学部15は、入射する光信号を機械的に遮断するメカニカルシャッタ機構を持つレンズで構成されており、固体撮像装置7の受光領域内に光信号を集光させ結像させる。
【0007】
固体撮像装置7は、駆動信号発生回路8から出力されるパルス電圧である水平転送信号φH1,φH2およびφR、ならびに駆動信号発生回路8から出力されるパルス電圧を垂直ドライバ9によりレベルシフトしてなる垂直転送信号φV1a,φV1b,φV2,φV3a,φV3bおよびφV4などの駆動信号により駆動され、固体撮像装置出力信号を出力する。
【0008】
また、図5において、V1,V2,V3,V4は、撮像素子の垂直転送部に印加するパルスである。通常は4相パルスを印加して転送を行う。撮像素子への印加電圧は0V/−8Vの振幅が必要である。V1,V2,V3,V4を出力する駆動信号発生回路8は、CMOSレベル(3.3V)であるので、垂直ドライバ9で0V/3Vを−8V/0Vに反転してレベルシフトする。CH1,CH2,CH3,CH4は、フォトダイオード(または光電変換素子)に蓄積された電荷を垂直転送部へ読み出すために垂直転送部とフォトダイオード(または光電変換素子)とを隔てるゲートに印加する+15Vのパルスであり、フォトダイオード(または光電変換素子)から垂直転送部へ電荷を移す。パルスCH1〜CH4は、フォトダイオード(または光電変換素子)につながる垂直転送部のゲートに印加するパルスV1〜V4に重畳される。したがって、重畳された電圧は、+15V/0V/−8Vの3値になる。
【0009】
したがって、図5における垂直ドライバ9の出力φV1a,φV1b,φV22,φV3a,φV3b,φV4と、駆動信号発生回路8の出力のパルスV1〜V4,CH1〜CH4との関係は以下のようになる。
【0010】
φV1a=V1+CH1
φV1b=V1+CH3
φV2 =V2
φV3a=V3+CH2
φV3b=V3+CH4
φV =V4
相関二重サンプリング回路10では、入力した固体撮像装置出力信号に含まれるリセットノイズを駆動信号発生回路8から出力される相関二重サンプリング回路用サンプリング信号により低減させ、差動増幅回路によって正論理に極性を反転して出力する。
【0011】
前処理回路11では、入力した相関二重サンプリング回路10の出力信号のゲインおよび出力DC(直流)レベルを設定して出力する。
【0012】
ADコンバータ12では、入力した前処理回路11の出力信号を駆動信号発生回路8から出力されるADコンバータ用サンプリング信号によりサンプリングしてデジタル信号化する。
【0013】
最後に、デジタル映像信号処理回路13では、このデジタル信号化された固体撮像装置出力信号に対して輝度信号処理および色信号処理などの信号処理を施した後、映像信号として出力する。
【0014】
制御装置14は、駆動信号発生回路8から出力される固体撮像装置7の駆動信号のタイミング制御、光学部15を構成するメカニカルシャッタの開閉シーケンスのタイミング制御を行う。
【0015】
以上のように構成された固体撮像装置を用いたカメラのカメラシーケンスについて説明する。
【0016】
図6は固体撮像装置を用いたカメラの駆動信号タイミングおよびカメラシーケンスの概略を示すタイミング図である。
【0017】
ここでは例として、垂直転送信号φV1a,φV1b,φV2,φV3a,φV3bおよびφV4により駆動される、垂直4相転送方式でインターレーススキャン方式の固体撮像装置について説明する。
【0018】
図6において、VDは制御装置14から出力される垂直同期信号であり、駆動信号タイミングおよびカメラシーケンスの同期信号となる。
【0019】
φV1a,φV1b,φV2,φV3a,φV3bおよびφV4は垂直ドライバ9から出力される垂直駆動(転送)信号であり、固体撮像装置7を駆動する。垂直駆動(転送)信号φV1a,φV1b,φV3aおよびφV3bは、光電変換素子に蓄積された信号電荷を垂直転送部へ読み出す電荷読み出し信号を重畳している。
【0020】
φsubは垂直ドライバ9から出力される不要電荷排出信号であり、固体撮像装置7を構成する光電変換素子に蓄積される電荷を基板方向へ排出し光電変換素子の蓄積時間を制御する。
【0021】
なお、V1,V2,V3,V4およびCH1,CH2,CH3,CH4は、垂直駆動(転送)信号φV1a,φV1b,φV2,φV3a,φV3bおよびφV4の基になるパルス電圧であり、これらのパルス電圧を垂直ドライバ9にて合成するとともにレベルシフトすることで、垂直駆動(転送)信号φV1a,φV1b,φV2,φV3a,φV3bおよびφV4が生成される。また、Subは不要電荷排出信号φsubの基になるパルス電圧であり、これらのパルス電圧を垂直ドライバ9にてレベルシフトすることで、不要電荷排出信号φsubが生成される。
【0022】
TRGは制御装置14から出力されるトリガ信号であり、カメラの露光開始タイミングを制御する。
【0023】
MSは制御装置14から出力されるメカニカルシャッタ信号であり、光学部15のメカニカルシャッタの開閉を制御する。
【0024】
SUBSWは駆動信号発生回路8から出力される固体撮像装置7の基板電圧を制御する基板電圧制御信号である。
【0025】
Vsubは固体撮像装置7の基板電圧である。
【0026】
CCDoutは固体撮像装置7から出力される固体撮像装置出力信号で信号が大きくなる程、マイナス方向へ大きくなる負論理出力である。
【0027】
図6に示す通り、固体撮像装置を用いたカメラのカメラシーケンスは、制御装置14から出力される垂直同期信号VDを同期信号として、固体撮像装置7を構成する光電変換素子の電気信号を垂直方向にライン間引きして出力し、フレームレートを上げることにより簡易動画を実現する駆動方法である倍速モニタモードと、固体撮像装置7を構成する光電変換素子の電気信号を全ライン出力し、1フレームの静止画を実現する駆動方法であるフレームモードの組み合わせにより動作している。
【0028】
つぎに、倍速モニタモードおよびフレームモードの固体撮像装置を構成する光電変換素子に蓄積される電荷の蓄積時間について説明する。
【0029】
第1に、倍速モニタモードでの固体撮像装置を構成する光電変換素子に蓄積される電荷の蓄積時間について説明する。
【0030】
図6に示すA,B,D,Eの期間が倍速モニタモードにおける電荷蓄積時間である。基本的には、垂直同期信号VDの周期が蓄積時間であるが、光電変換素子に蓄積される電荷を基板方向へ排出する不要電荷排出信号φsubを固体撮像装置7に入力することにより、電荷蓄積時間を制御することが可能である。つまり、垂直同期信号期間内で不要電荷排出信号φsubの固体撮像装置7への入力がしたがって、垂直同期信号期間内で不要電荷排出信号φsubの固体撮像装置7への入力が終了した時刻から、制御装置14から出力される光学部15のメカ終了した時刻から、垂直駆動信号φV1aおよびφV3aの読み出し信号により光電変換素子に蓄積された電荷が読み出されるまでの時間が倍速モニタモード時の電荷蓄積時間となる。
【0031】
第2に、フレームモードでの固体撮像装置を構成する光電変換素子に蓄積される電荷の蓄積時間について説明する。
【0032】
図6に示すCの期間がフレームモードにおける電荷蓄積時間である。基本的には倍速モニタモードと同様で、垂直同期信号期間内で不要電荷排出信号φsubの固体撮像装置7への入力が終了した時刻から、垂直駆動信号φV1a,φV1b,φV3aおよびφV3bの読み出し信号により光電変換素子に蓄積された電荷が読み出されるまでの時間がフレームモードの蓄積時間となる。
【0033】
しかしながら、奇数フィールドと偶数フィールドの2つのフィールドから1フレームを構成するインターレーススキャン方式のCCDでは、奇数フィールドおよび偶数フィールドともに同一時刻の信号を得るために、固体撮像装置7を構成する光電変換素子へ入射する光信号を機械的に遮断するメカニカルシャッタを用いることが一般的となっている。ニカルシャッタの開閉を制御するメカニカルシャッタ信号MSによりメカニカルシャッタが閉じるまでの時間、すなわちCの期間がフレームモード時の電荷蓄積時間となる。
【0034】
つぎに、前述した図6に示すカメラシーケンスに基づいて動作している固体撮像装置を用いたカメラにおいて、倍速モニタモードからフレームモードへの駆動モードの切り替わりのシーケンスについて以下に説明する。
【0035】
駆動信号発生回路8は、制御装置14からのカメラの露光開始タイミングを制御するトリガ信号TRGの入力をトリガとして、固体撮像装置7の内部に構成されて固体撮像装置7の基板電圧Vsubを降圧させるための基板電圧制御信号SUBSWを出力する。ここで、基板電圧Vsubの降圧はフレームモード時における固体撮像装置の飽和特性向上のための操作である。
【0036】
つぎに、固体撮像装置7の基板電圧Vsubが充分に安定したタイミングで制御装置14から光学部15へメカニカルシャッタの開閉を制御するメカニカルシャッタ信号MSを出力し、メカニカルシャッタを閉じ、固体撮像装置7を構成する光電変換素子への光信号を機械的に遮断してフレームモード時の蓄積時間を設定する。また、併せて、制御装置14は、トリガ信号TRGと同期して垂直同期信号VDの周期を倍速モニタモードからフレームモードへ変更するとともに、駆動信号発生回路8の駆動モードを倍速モニタモードからフレームモードへ切り替えて垂直駆動信号φV1a,φV1b,φV2,φV3a,φV3b,φV4のタイミングを変更し、1フレームのフレームモードの動作を実現させる。
【0037】
なお、図6において、フレームモード期間におけるクロス斜線を入れた矩形領域は、通常の転送レート(例えば、50kHz)に対して、高速なレート(例えば200kHz)になっている区間を示している。これは、決められた期間内に必要とされる垂直転送段数の転送を実現するために、高速なパルスとなっている。その目的は、パルスCH1〜CH4にて、フォトダイオードの信号を垂直転送部へ読み出す直前に垂直転送部に存在する不要電荷を掃きだすためである。
【0038】
1フレームのフレームモードの動作が終了した後には、直後の垂直同期信号VDに同期して基板電圧制御信号SUBSWの出力を停止し、基板電圧Vsubを通常の電圧へ昇圧させ、同時にメカニカルシャッタ信号MSによりメカニカルシャッタを再び開けて倍速モニタモードでの電荷蓄積を再開する。さらに垂直同期信号VDの周期をフレームモードから倍速モニタモードへ変更し、駆動信号発生回路8の駆動モードもフレームモードから倍速モニタモードへ切り替えて垂直駆動信号φV1a,φV1b,φV2,φV3a,φV3bおよびφV4のタイミングを変更し、再び倍速モニタモードの連続動作を実現させる。
【0039】
以上のようなシーケンスで倍速モニタモードからフレームモードへの駆動モードの切り替え動作を行う。
【0040】
つぎに、前述したシーケンスで、倍速モニタモードからフレームモードへの駆動モードの切り替えが行われる従来の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧Vsubの降圧方法について説明する。
【0041】
図7に従来の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法の概略を示す。図7において、16は駆動信号発生回路で、図5の駆動信号発生回路8に対応している。17は垂直ドライバで、図5の垂直ドライバ9に対応している。18は固体撮像装置で、図5の固体撮像装置7に対応している。19は固体撮像装置18の内部に構成される基板電圧制御回路である。20は固体撮像装置18の内部に構成される基板電圧発生回路である。
【0042】
固体撮像装置18の基板電圧Vsubは、固体撮像装置18の内部に構成される基板電圧発生回路20の抵抗Raおよび抵抗Rbにより決定される値に従って内部発生される。また、基板電圧Vsubの出力部は、固体撮像装置18のSUB端子に接続されている。その理由は、駆動信号発生回路16から出力されるパルス電圧を垂直ドライバ17によりレベルシフトして生成した不要電荷排出信号φsubを固体撮像装置18に入力して、不要電荷排出信号φsubを基板電圧Vsubに重畳するためである。
【0043】
なお、駆動信号発生回路16から出力されるパルス電圧SUBは、0V/3.3Vの負極性であり、垂直ドライバ(基本的に、反転ドライバ)17のOSUB端子の出力は−8V/+15Vの正極性である。コンデンサC1以降は、DCバイアスがかかる。垂直ドライバ17には、電源(3.3V)の他、+15V、−8Vの電源を供給する。
【0044】
ここで、図7の回路におけるクランプ動作について説明する。コンデンサC1と固体撮像装置18の内部のダイオードとで、ダイオードクランプ回路(ピーククランプ回路)が構成されている。OSUB端子の電圧が−8Vの期間は、ダイオードがオンとなり、抵抗Ra,Rbで決まる電圧VsubがコンデンサC1に印加されて、コンデンサC1が充電され、Vsubの電位を保持する。OSUB端子が+15Vになったとき、ダイオードはオフとなり、コンデンサC1は放電する。実際は、+15Vの期間はごく短いため、放電による電位変化はわずかである。この期間は、電圧がVsub+15Vとなる。
【0045】
固体撮像装置18の内部に構成される基板電圧制御回路19の出力部は、固体撮像装置18の基板電圧Vsubの出力部と接続されており、駆動信号発生回路16のOSUBSW端子から出力される基板電圧制御信号SUBSWによって導通状態となり、基板電圧Vsubを降圧する動作を行う。
【0046】
駆動モードが倍速モニタモードからフレームモードへ切り替わる場合には、駆動モードの切り替わりのトリガとなるトリガ信号TRGが制御装置から出力されると同時に駆動信号発生回路16から基板電圧制御信号SUBSWが出力され、基板電圧制御回路19の抵抗Rcと基板電圧発生回路20の抵抗RaおよびRbで決定される値により、フレームモード時の基板電圧Vsubの電圧は倍速モニタモード時に対して降圧される。
【0047】
以上のように、従来の固体撮像装置の駆動方法では、固体撮像装置18の内部に構成される基板電圧制御回路19を制御し、固体撮像装置18の基板電圧Vsubを降圧することで、倍速モニタモードからフレームモードへの駆動モードの変更に伴う飽和特性劣化を防ぐ構成となっている。
【0048】
【特許文献1】
特開平10−150183号公報(第3〜5頁、図1)
【0049】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成では、駆動信号発生回路16から出力されるパルス電圧を垂直ドライバによりレベルシフトして得られる不要電荷排出信号φsubを固体撮像装置に入力するが、この不要電荷排出信号φsubの入力経路に挿入されているカップリングコンデンサC1に蓄積されている電荷が基板電圧制御回路19を経由して放電する過渡現象が、カップリングコンデンサC1の大きな容量値で決まる時定数に従って推移することとなる。したがって、固体撮像装置18の基板電圧Vsubが基板電圧発生回路20および基板電圧制御回路19の抵抗値で決定される所定の電圧に降圧するまでの応答時間が長くなる。そのため、トリガ信号TRGの入力から露光開始までの期間が垂直同期信号期間より超えることとなり、図6の固体撮像装置出力信号CCDoutのB出力に見られる倍速モニタモードでの無効出力(トリガ信号TRGの発生後の倍速モード出力)の発生やカメラシーケンス設定における時間的な制約などの不具合が発生している。
【0050】
本発明は、上記問題点に鑑み、固体撮像装置の基板電圧が所定の電圧に降圧するまでの応答時間の高速化を図ることができる固体撮像装置の駆動方法と固体撮像・駆動装置およびそれを用いたカメラを提供することを目的とする。
【0051】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の固体撮像装置の駆動方法は、垂直ドライバから不要電荷排出信号をカップリングコンデンサを介して固体撮像装置の基板電圧発生回路に伝達して、基板電圧発生回路から発生する基板電圧に不要電荷排出信号を重畳させ、固体撮像装置の駆動モードを切り替えるためのトリガ信号の発生と同時に基板電圧を降圧させる固体撮像装置の駆動方法であって、垂直ドライバから基板電圧発生回路への不要電荷排出信号の伝達経路を、トリガ信号の発生と同時に電気的または物理的に遮断することを特徴とする。なお、電気的に遮断というのは、トランジスタ回路などの半導体スイッチ回路による遮断を意味し、物理的に遮断というのは、リレースイッチ等の機械的接点による遮断を意味する。
【0052】
この方法によれば、カップリングコンデンサの放電時の過渡現象の影響を排除することができ、固体撮像装置の駆動モードの切り替え時における固体撮像装置の基板電圧の降圧動作を短時間で急峻に実現させる固体撮像装置の駆動方法を提供することができ、高品質で高機能を持つビデオカメラおよびデジタルスチルカメラを実現することができる。
【0053】
また、本発明の固体撮像・駆動装置は、基板電圧を発生する基板電圧発生回路と、基板電圧を降圧させる基板電圧制御回路とを有した固体撮像装置と、固体撮像装置における不要電荷を排出する不要電荷排出信号を生成するためのパルス電圧を発生するとともに、固体撮像装置の駆動モードを切り替えるためのトリガ信号の発生と同時に基板電圧制御回路に基板電圧制御信号を与えて基板電圧を降圧させる駆動信号発生回路と、駆動信号発生回路から発生するパルス電圧をレベルシフトして不要電荷排出信号を生成する垂直ドライバと、不要電荷排出信号を基板電圧発生回路に伝達して基板電圧に不要電荷排出信号を重畳させるカップリングコンデンサとを備えた固体撮像・駆動装置であって、垂直ドライバから基板電圧発生回路への不要電荷排出信号の伝達経路中に挿入されて不要電荷排出信号の伝達経路を電気的または物理的に遮断するスイッチ手段をさらに備え、スイッチ手段を遮断動作させる制御信号を駆動信号発生回路からスイッチ手段にトリガ信号の発生と同時に与えるようにしたことを特徴とする。
【0054】
この構成によれば、垂直ドライバから基板電圧発生回路への不要電荷排出信号の伝達経路中に挿入されて不要電荷排出信号の伝達経路を電気的または物理的に遮断するスイッチ手段を設け、スイッチ手段を遮断動作させる制御信号を駆動信号発生回路からスイッチ手段にトリガ信号の発生と同時に与えるようにしたので、カップリングコンデンサの放電時の過渡現象の影響を排除することができ、固体撮像装置の駆動モードの切り替え時における固体撮像装置の基板電圧の降圧動作を短時間で急峻に実現させる固体撮像装置の駆動方法を提供することができ、高品質で高機能を持つビデオカメラおよびデジタルスチルカメラを実現することができる。
【0055】
また、本発明のカメラは、上記の固体撮像・駆動装置の構成を用いているので、上記の固体撮像・駆動装置と同様の作用を有する。
【0056】
上記のカメラとしては、固体撮像装置(CCDやCMOSセンサ)を用いたデジタルスチルカメラが主であるが、その他、ビデオカメラも考えられる。それは、ビデオカメラでも、デジタルスチルカメラと同じシーケンスで制御したり、シーケンスが異なっても基板電圧制御を行う場合があるからである。カメラとしては、PDAあるいは携帯電話に内蔵されたものや、放送用のものも含まれる。
【0057】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する(請求項1,2,3,6に対応する)。
【0058】
図1は本発明の第1の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法の概略を示すブロック図である。
【0059】
図1において、1は駆動信号発生回路で、図5の駆動信号発生回路8に対応している。2は垂直ドライバで、図5の垂直ドライバ9に対応している。3は固体撮像装置で、図5の固体撮像装置7に対応している。4は固体撮像装置3の内部に構成される基板電圧制御回路、5は固体撮像装置3の内部に構成される基板電圧発生回路、6は垂直ドライバ2から固体撮像装置3への不要電荷排出信号φsubの伝達経路中に設けたスイッチ手段をそれぞれ示す。このスイッチ手段6は、不要電荷排出信号φsubの入力経路中に設けられたカップリングコンデンサC1の放電経路を遮断する機能を有する。
【0060】
本実施の形態における固体撮像装置を用いたカメラの概略は従来の固体撮像装置を用いたカメラの概略と同様で、図5に示す通りであり、説明は省略する。
【0061】
図4は本発明の第1の実施の形態における固体撮像装置を用いたカメラの駆動信号タイミングおよびカメラシーケンスの概略を示すタイミング図である。
【0062】
ここでは例として、φV1a,φV1b,φV2,φV3a,φV3bおよびφV4の垂直転送信号により駆動される、垂直4相転送方式でインターレーススキャン方式の固体撮像装置について説明する。
【0063】
図4において、VDは制御装置14から出力される垂直同期信号であり、駆動信号タイミングおよびカメラシーケンスの同期信号となる。
【0064】
φV1a,φV1b,φV2,φV3a,φV3bおよびφV4は垂直ドライバ2から出力される垂直駆動(転送)信号であり、固体撮像装置3を駆動する。垂直駆動(転送)信号φV1a,φV1b,φV3aおよびφV3bは、光電変換素子に蓄積された信号電荷を垂直転送部へ読み出す電荷読み出し信号を重畳している。
【0065】
φsubは垂直ドライバ2から出力される不要電荷排出信号であり、固体撮像装置3を構成する光電変換素子に蓄積される電荷を基板方向へ排出し光電変換素子の蓄積時間を制御する。
【0066】
TRGは制御装置14から出力されるトリガ信号であり、カメラの露光開始タイミングを制御する。
【0067】
MSは制御装置14から出力されるメカニカルシャッタ信号であり、光学部15のメカニカルシャッタの開閉を制御する。
【0068】
SUBSWは駆動信号発生回路1から出力される固体撮像装置3の基板電圧を制御する基板電圧制御信号である。
【0069】
SWはスイッチ手段6を制御するスイッチ手段制御信号である。スイッチ手段制御信号SWは、スイッチ手段6の導通遮断を制御することで、垂直ドライバ2から出力される不要電荷排出信号φsubの固体撮像装置3への伝達を制御する。また、スイッチ手段6の遮断時には、カップリングコンデンサC1の電荷の放電も、阻止する。これによって、カップリングコンデンサC1の蓄積電荷の影響が排除され、固体撮像装置3の基板電圧Vsubの下降、上昇が短時間に急峻に行われることになる。
【0070】
CCDoutは固体撮像装置3から出力される固体撮像装置出力信号で信号が大きくなる程、マイナス方向へ大きくなる負論理出力である。
【0071】
本実施の形態における固体撮像装置を用いたカメラのシーケンス、倍速モニタモードおよびフレームモードの固体撮像装置を構成する光電変換素子に蓄積される電荷の蓄積時間、倍速モニタモードからフレームモニタモードへの駆動モードの切り替わりシーケンスは従来の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法と同様であるので説明は省略する。
【0072】
図4に示すカメラシーケンスに基づいて倍速モニタモードからフレームモードへの駆動モードの切り替えが行われる本発明の第1の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法について、図1および図4を用いて説明する。
【0073】
固体撮像装置3の基板電圧Vsubは、固体撮像装置3の内部に構成される基板電圧発生回路5の抵抗Raおよび抵抗Rbにより決定される値に従って内部発生される。また、基板電圧Vsubの出力部は、固体撮像装置3のSUB端子に接続されている。その理由は、駆動信号発生回路1から出力されるパルス電圧を垂直ドライバ2によりレベルシフトして生成された不要電荷排出信号φsubを固体撮像装置3に入力して、不要電荷排出信号φsubを基板電圧Vsubに重畳するのである。
【0074】
固体撮像装置3の内部に構成される基板電圧制御回路4の出力部は、固体撮像装置3の基板電圧Vsubの出力部と接続されており、駆動信号発生回路1のOSUBSW端子から出力される基板電圧制御信号SUBSWによって導通状態となり、基板電圧Vsubを降圧する動作を行う。
【0075】
スイッチ手段6は、駆動信号発生回路1から出力されるパルス電圧が垂直ドライバ2によりレベルシフトされて生成される不要電荷排出信号φsubがカップリングコンデンサC1を介して固体撮像装置3に入力される系において、固体撮像装置3と垂直ドライバ2の外部でかつ、カップリングコンデンサC1と直列に設けられ、駆動信号発生回路1のSW端子から出力されるスイッチ手段制御信号SWによって動作する。この例では、スイッチ手段6は、カップリングコンデンサC1の固体撮像装置3側に配置されているが、逆に垂直ドライバ2側に配置されていてもよい。
【0076】
以上のような構成において、スイッチ手段6は、導通状態では不要電荷排出信号φsubを固体撮像装置3のSUB端子に入力させ、遮断状態では固体撮像装置3から垂直ドライバ2を見たインピーダンスを等価的にハイインピーダンスとさせ、固体撮像装置3のSUB端子に接続するカップリングコンデンサC1などの回路負荷の影響を除去する。
【0077】
駆動モードが倍速モニタモードの場合には、基板電圧制御信号SUBSWが出力されないため、固体撮像装置3の基板電圧Vsubは基板電圧発生回路5を構成する抵抗Raおよび抵抗Rbにより決定される値に従って内部発生される。また、スイッチ手段制御信号SWも出力されないため、スイッチ手段6は導通状態となっている。
【0078】
駆動モードが倍速モニタモードからフレームモードへ切り替わる場合には、駆動モードの切り替わりのトリガとなるトリガ信号TRGが制御装置から出力されると同時に駆動信号発生回路1から基板電圧制御信号SUBSWが出力され、基板電圧制御回路4の抵抗Rcと基板電圧発生回路5の抵抗Raおよび抵抗Rbで決定される値により、フレームモード時の基板電圧Vsubの電圧は倍速モニタモード時に対して降圧される。また同様にトリガ信号TRGが制御装置から出力されると同時にスイッチ手段制御信号SWも一時的に出力される。
【0079】
従来の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法の構成であれば、垂直ドライバと固体撮像装置との間に挿入されているカップリングコンデンサC1に蓄積している電荷が基板電圧制御回路を経由して放電する過渡現象が、カップリングコンデンサC1の大きな容量値で決まる時定数に従って推移することとなり、基板電圧Vsubが所定の電圧に安定するまでに長い時間を要していたが、本発明の第1の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法の構成では、スイッチ手段6によりカップリングコンデンサC1が電気的に遮断されており、固体撮像装置3から垂直ドライバ2を見た場合、等価的にハイインピーダンスの状態となっておりカップリングコンデンサC1の放電時の過渡現象の影響を受けることなく、短時間で急峻な基板電圧Vsubの降圧が実現できる。
【0080】
スイッチ手段制御信号SWは基板電圧Vsubの降圧が安定した後は、直ちに出力を停止し、スイッチ手段6を導通状態にさせて、不要電荷排出信号φsubが固体撮像装置3に入力できる状態に戻す。
【0081】
同様に、駆動モードがフレームモードから倍速モニタモードへ切り替わる場合にも基板電圧制御信号SUBSWの立ち上がりに同期してスイッチ手段制御信号SWを一時的に出力して、スイッチ手段6を遮断状態にして、等価的にハイインピーダンスの状態を実現させ、急峻な基板電圧Vsubの昇圧を実現させる。
【0082】
以上説明したように、この実施の形態によれば、カップリングコンデンサC1の放電時の過渡現象の影響を排除することができ、固体撮像装置3の駆動モードの切り替え時における固体撮像装置3の基板電圧の降圧および昇圧動作を短時間で急峻に実現させる固体撮像装置の駆動方法を提供することができ、高品質で高機能を持つビデオカメラおよびデジタルスチルカメラを実現することができる。
【0083】
以上、本発明の第1の実施の形態について説明したが、以下に説明する本発明の第2および第3の実施の形態においても同等の効果を得ることができ、かつ、第1の実施の形態に比較して固体撮像装置を用いたカメラの部品点数を削減することができ、その効果は大である。
【0084】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しながら説明する(請求項4,6に対応する)。
【0085】
図2は本発明の第2の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法の概略を示すブロック図である。
【0086】
第2の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法は、第1の実施の形態で説明したスイッチ手段6を垂直ドライバ2の内部に取りこみ、駆動信号発生回路1から垂直ドライバ2へのスイッチ手段制御信号SWにより垂直ドライバ2の不要電荷排出信号φsubの出力端子OSUBをハイインピーダンスすることで、第1の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法と同等の効果を得ることができ、かつ、第1の実施の形態に比較して固体撮像装置を用いたカメラの部品点数を削減することができ、その効果は大である。
【0087】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態について、図面を参照しながら説明する(請求項5,6に対応する)。
【0088】
図3は本発明の第3の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法の概略を示すブロック図である。
【0089】
第3の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法は、第1の実施の形態で説明したスイッチ手段6を固体撮像装置3内部に取りこみ、駆動信号発生回路1から固体撮像装置3へのスイッチ手段制御信号SWにより固体撮像装置のSUB端子をハイインピーダンスすることで、第1の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法と同等の効果を得ることができ、かつ、第1の実施の形態に比較して固体撮像装置を用いたカメラの部品点数を削減することができその効果は大である。
【0090】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、カップリングコンデンサの放電時の過渡現象の影響を排除することができ、駆動モードの切り替え時における固体撮像装置の基板電圧の降圧動作を短時間で急峻に実現させる固体撮像装置の駆動方法を提供することができ、高品質で高機能を持つビデオカメラおよびデジタルスチルカメラを実現することができ、その実用的効果は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法の概略を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における固体撮像装置を用いたカメラの駆動信号タイミングおよびカメラシーケンスの概略を示すタイミング図である。
【図5】固体撮像装置を用いたカメラの概略を示すブロック図である。
【図6】従来の固体撮像装置を用いたカメラの駆動信号タイミングおよびカメラシーケンスの概略を示すタイミング図である。
【図7】従来の固体撮像装置の駆動方法における基板電圧の降圧方法の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 駆動信号発生回路
2 垂直ドライバ
3 固体撮像装置
4 基板電圧制御回路
5 基板電圧発生回路
6 スイッチ手段
Claims (6)
- 垂直ドライバから不要電荷排出信号をカップリングコンデンサを介して固体撮像装置の基板電圧発生回路に伝達して、前記基板電圧発生回路から発生する基板電圧に前記不要電荷排出信号を重畳させ、前記固体撮像装置の駆動モードを切り替えるためのトリガ信号の発生と同時に前記基板電圧を降圧させる固体撮像装置の駆動方法であって、
前記垂直ドライバから前記基板電圧発生回路への前記不要電荷排出信号の伝達経路を、前記トリガ信号の発生と同時に電気的または物理的に遮断することを特徴とする固体撮像装置の駆動方法。 - 基板電圧を発生する基板電圧発生回路と、前記基板電圧を降圧させる基板電圧制御回路とを有した固体撮像装置と、
前記固体撮像装置における不要電荷を排出する不要電荷排出信号を生成するためのパルス電圧を発生するとともに、前記固体撮像装置の駆動モードを切り替えるためのトリガ信号の発生と同時に前記基板電圧制御回路に基板電圧制御信号を与えて基板電圧を降圧させる駆動信号発生回路と、
前記駆動信号発生回路から発生するパルス電圧をレベルシフトして前記不要電荷排出信号を生成する垂直ドライバと、
前記不要電荷排出信号を前記基板電圧発生回路に伝達して前記基板電圧に前記不要電荷排出信号を重畳させるカップリングコンデンサとを備えた固体撮像・駆動装置であって、
前記垂直ドライバから前記基板電圧発生回路への前記不要電荷排出信号の伝達経路中に挿入されて前記不要電荷排出信号の伝達経路を電気的または物理的に遮断するスイッチ手段をさらに備え、前記スイッチ手段を遮断動作させる制御信号を前記駆動信号発生回路から前記スイッチ手段に前記トリガ信号の発生と同時に与えるようにしたことを特徴とする固体撮像・駆動装置。 - スイッチ手段は、垂直ドライバおよび固体撮像装置の外部に設けている請求項2記載の固体撮像・駆動装置。
- スイッチ手段は、固体撮像装置の内部に設けている請求項2記載の固体撮像・駆動装置。
- スイッチ手段は、垂直ドライバの内部に設けている請求項2記載の固体撮像・駆動装置。
- 請求項2,3,4,5のいずれかに記載の固体撮像・駆動装置を備えたカメラ。
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