JP3995496B2 - 廃プラスチック含有造粒炭 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス用の微粉炭に廃プラスチックを添加して加圧成型した造粒炭(成型炭または塊成炭)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリ塩化ビニル(PVC)等からなる一般家庭用または産業用の廃プラスチックの大部分が、埋立てあるいは焼却処理されていたが、環境(大気、土壌)への悪影響は避けられないものであった。このため、近年、その有効利用の開発が盛んに行われるようになり、その一つとして、高炉用コークスを製造するため、0.3mm以下のコークス用微粉炭にバインダーを添加、混合して加圧成型した造粒炭に前記廃プラスチックを含有させる方法がある。
【0003】
上記した方法として、例えば特開平6−228565号公報には、コークス炉に装入する石炭と同程度(3mm以下)の粒径に破砕されたプラスチックをそのまま、またはペレット化して装入炭に混ぜて成型炭とし、前記成型炭を装入炭に混ぜてコークス炉で乾留する方法が提案されている。また、特開2000−319674号公報には、石炭に平均粒径が5mm程度の粒状廃プラスチックとバインダーを混合した混合物を、該廃プラスチックの軟化温度以上で融点より低い温度で加熱・混練し、その後、加圧成型する方法が提案されている。さらに、特開2001−11468号公報には、粉砕した粒状の廃プラスチックを6mm未満の細粒と6mm以上の粗粒とに区分し、細粒を成型炭中に混合し、粗粒を石炭に混合する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した各特許公開公報に記載されているものの何れも、数mm程度の粒径の廃プラスチックを微粉炭に混合して加圧成型して造粒炭とし、これを他の石炭と混合してコークス炉に装入して、乾留して高炉用コークスとするものである。この乾留時に、造粒炭中の前記数mm程度の廃プラスチックがガス化して、その部分に空隙が発生して、コークス品質(強度)が低下することから、廃プラスチックの添加量を少なくせざるを得ない問題を有するものであった。本発明は、廃プラスチックを添加してもコークス品質(強度)の悪化を抑制出来る造粒炭とすることを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは、造粒炭への廃プラスチック添加条件のコークス強度への影響について種々実験、検討した結果、添加する廃プラスチックの粒度、または、厚さが0.8mm以下の粒状またはフィルム状とすることによりコークス強度低減を大幅に抑制可能となることを判明した。
本発明は、この知見に基づいてなされたものであり、その発明の要旨とするところは、(1)微粉石炭にバインダーと廃プラスチックを添加して混合した後、加圧成型する造粒炭をその他の石炭に混合してコークス炉に装入するに際し、前記廃プラスチック厚さ0.8mm以下のフィルム状で、かつ、その長さを15mm以下とすると共に、該造粒炭への該廃プラスチック添加率を6質量%以下としたことを特徴とする廃プラスチック含有造粒炭。
【0006】
(2)前記コークス炉に装入する廃プラスチックを微粉炭および前記その他の合計石炭の2質量%以下となるように、該造粒炭中の廃プラスチック量を調整したことを特徴とする前記(1)に記載の廃プラスチック含有造粒炭である。
【0007】
なお、本発明において、粒状とは、角状、丸状の粒状物であり、また、フィルム状とは薄い膜状のものであり、さらに、長さ15mm以下とは、フイルム状廃プラスチックを破砕した後、篩装置で分級を行うのであるが、この篩装置に設けた網目15mmの篩網を通過したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明者等は、0.3mm以下の微粉炭に長さ10mm以下のフィルム状廃プラスチック3%とタールバインダー6%を添加混合し、線圧4トン/cmの平ロール型塊成機により厚さ10mmの平板状の塊成炭を製造し、この塊成炭を粒径0.3mm以上の石炭に30質量%配合(対装入炭の配合割合1%)して装入炭とし、この装入炭をコークス炉で乾留してコークスを製造した後、このコークスの強度を測定する試験を行った。その際に、厚さの異なる種々の廃プラスチックを使用して、その厚さとコークス強度の関係を調査した結果を図1に示す。
【0009】
この図からわかるように、フィルム状廃プラスチックの厚さが0.8mm以下となるとコークス強度の低下を大幅に抑制可能となることが判明した。また、粒度が0.8mm以下の粒状廃プラスチックについても前記同様の試験を行ったが、図1と同様の結果を得た。これは塊成炭が加圧成型されて密度が高い状態となっていることから、廃プラスチックの厚さ、または粒度が0.8mm以下のフィルム状または粒状であれば、コークス炉で塊成炭が乾留される際に、該廃プラスチックが溶融して塊成炭中に空隙が発生したとしても、その塊成炭を構成する微粉炭の炭化時における膨張圧により直ちに前記空隙が埋まって、新しいコークス組織を形成し、コークス強度に影響を与えないものと推定される。しかし、廃プラスチックの厚さ、または粒度が0.8mmを超えると、その空隙の全部を埋めることが出来なくなり、コークスになった際に、廃プラスチック由来の大きな気孔が発生して、その周囲が脆弱な組織となり強度が低下するものと推定される。
【0010】
また、本発明は、0.8mm以下の粒状とフィルム状の廃プラスチックが単独でも良く、また、この両者が混在していても良いことは当然であり、また、0.8mm以下の厚さ、または粒度の廃プラスチックが主体(80%以上、好ましくは90%以上)であれば良く、その他は厚さ、または粒度が0.8mmを若干超えるものを含んでも差し支えない。また、前記粒状廃プラスチックはフィルム状廃プラスチックに比較して、体積的に非常に小さくする必要があるために、破砕に時間が掛かると共にハンドリングが複雑となり、フィルム状とすることが好ましい。
【0011】
さらに、厚さが0.3mmのフィルム状廃プラスチックで、その長さを種々変えて前記同様の試験を行った結果を図2に示す。この図2からフィルム状廃プラスチックの長さが15mm以下になるとコークス強度の低下を抑制可能となることが判明した。また、10mm以下になるとコークス強度の低下が殆ど無くなり好ましいことが判明した。
【0012】
これは、フィルム状廃プラスチックの長さが15mm以下になると、該フィルム状廃プラスチックの殆どが造粒炭中に包含されるために前記のように生じた空隙の全部を埋めることが出来、コークス強度の低下が殆ど無いものと思われる。しかし、長さが15mmを超えると、該フィルム状廃プラスチックの1部が造粒炭よりはみ出る場合が多くなり、これが、0.3mm以上のその他の石炭と混合して装入炭として装入すると、造粒炭よりはみ出したフィルム状廃プラスチックがその他の石炭との間に介在して、この部分がコークス強度を低下するものと思われる(その他の石炭は造粒炭のように加圧されていないため、フィルム状廃プラスチックが溶融すると、その溶融部分が空隙として残るため)。
【0013】
また、粒状、またはフィルム状の廃プラスチックの成型炭への添加量は6質量%以下であれば、コークス強度(DI)の低下は殆ど認められないために好ましい。これは、前記のように、乾留時に廃プラスチックがガス化して空隙が発生した際に、その空隙を成型炭を構成する微粉炭自体が埋めるためであると思われる。しかし、6質量%を超えるとその作用が不足してコークス強度が低下するものと推定される。粒状、またはフィルム状の廃プラスチックのコークス炉への装入量は、該コークス炉に装入する全装入石炭(造粒炭として装入する微粉炭とその他の石炭との和)の2質量%以下とすることが望ましい。これも、前記同様に22質量%以下であればコークス強度の低下は殆ど認められず、これを超えるとコークス強度が低下する。
【0014】
これを維持するために、造粒炭とその他の石炭の配合割合を一定とする場合には、造粒炭の廃プラスチック添加量が6質量%以下の範囲で、その添加量を調整する。また、造粒炭とその他の石炭の配合割合を調整可能な場合には、造粒炭の廃プラスチック添加量を一定にして、その他の石炭への造粒炭の配合割合を調整する。しかし、造粒炭の配合割合を調整すると、このことでコークス強度は変化することから前者である造粒炭中への廃プラスチック添加量を調整することが好ましい。
【0015】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明する。
先ず、廃プラスチック含有造粒炭の製造工程を図3を参照して説明する。図3において、各種のコークス用の原料炭1を配合槽2より切り出し、粉砕機3にて−3mmが80%になるように粉砕し、その後、乾燥・分級装置4により乾燥しつつ、微粉炭5と粗粒炭6に分級(分級点0.3mm)する。そして、分級された乾燥微粉炭5を混合装置9へ送り、タールバインダー7を6質量%と一般廃棄物廃プラスチック8を添加混合後、線圧4トン/cmを有する平ロール塊成機(コンパクティングマシーン)10にて加圧・成型して1mm以上が90%の造粒炭(塊成炭)11とした。そして、この造粒炭11を前記粗粒炭6に配合して装入炭12とし、試験コークス炉(炉温:1150℃、乾留時間:18.5h、装入量:60kg)13に装入し乾留した。なお、本実施例ではロールプレスとして、コンパクティングマシーンを使用したが、ブリケットマシーンを使用しても良い。
【0016】
【表1】
Figure 0003995496
【0017】
次に、図3の製造工程で製造した結果を表1に示す。この表から、本発明例No.1〜3はフイルム状廃プラスチックを添加した例で、本発明例No.4は粒状廃プラスチックを添加した例で、本発明例No.5はフイルム状と粒状の廃プラスチックを添加した例であり、何れもNo.10に示すベースである廃プラスチックを添加しない場合におけるコークス強度と遜色がなく、コークス強度の低下を防止出来た。
【0018】
比較例No.6は請求項2に対する比較例であり、フイルム状廃プラスチックの長さが、請求項2の上限を外れた場合であり、比較例No.7は請求項3に対する比較例であり、造粒炭へのフイルム状廃プラスチックの添加量が請求項3の上限を外れ、装入炭に対する廃プラスチックの割合が2質量%を超えた場合であり、比較例No.8は請求項1に対する比較例であり、造粒炭に添加したフイルム状廃プラスチックの厚さが、請求項1の上限を外れた場合であり、何れもベースのコークス強度より若干低下したが、操業上問題となるものではなかった。
従来例No.9は造粒炭への粒状廃プラスチックの添加量が3質量%ではあるが、粒径が3mm以下のため本発明例に比較して大幅にコークス強度が低下した。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、コークス強度の低下を抑制することが出来、コークス炉で廃プラスチックを大量(従来の2倍程度)に使用することが可能となり、この分野における効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム状廃プラスチックの厚さとコークス強度の関係を示す図、
【図2】フィルム状廃プラスチックの長さとコークス強度の関係を示す図、
【図3】廃プラスチック含有造粒炭製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 原料炭
2 配合槽
3 粉砕機
4 乾燥・分級装置
5 微粉炭
6 粗粒炭
7 タールバインダー
8 廃プラスチック
9 混合装置
10 平ロール塊成機
11 造粒炭
12 混合炭(装入炭)
13 コークス炉

Claims (2)

  1. 微粉石炭にバインダーと廃プラスチックを添加して混合した後、加圧成型する造粒炭をその他の石炭に混合してコークス炉に装入するに際し、前記廃プラスチック厚さ0.8mm以下のフィルム状で、かつ、その長さを15mm以下とすると共に、該造粒炭への該廃プラスチック添加率を6質量%以下としたことを特徴とする廃プラスチック含有造粒炭。
  2. 前記コークス炉に装入する廃プラスチックを微粉炭および前記その他の合計石炭の2質量%以下となるように、該造粒炭中の廃プラスチック量を調整したことを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチック含有造粒炭。
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