JP3995463B2 - 電解加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解加工方法に関し、特に半導体ウエハ等の基板表面の導電性材料を加工するのに使用される電解加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体ウエハ等の基板上に回路を形成するための配線材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金に代えて、電気抵抗率が低くエレクトロマイグレーション耐性が高い銅(Cu)を用いる動きが顕著になっている。この種の銅配線は、基板の表面に設けた微細凹みの内部に銅を埋込むことによって一般に形成される。この銅配線を形成する方法としては、CVD、スパッタリング及びめっきといった手法があるが、いずれにしても、基板のほぼ全表面に銅を成膜して、化学機械的研磨(CMP)により不要の銅を除去するようにしている。
【0003】
図16は、この種の銅配線基板Wの一製造例を工程順に示すもので、先ず、図16(a)に示すように、半導体素子を形成した半導体基材1上の導電層1aの上にSiOからなる酸化膜やLow−K材膜等の絶縁膜2を堆積し、この絶縁膜2の内部に、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホール3と配線溝4を形成し、その上にTaN等からなるバリア膜5、更にその上に電解めっきの給電層としてシード層7を形成する。
【0004】
そして、図16(b)に示すように、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、コンタクトホール3及び配線溝4内に銅を充填するとともに、絶縁膜2上に銅膜6を堆積する。その後、化学機械的研磨(CMP)により、絶縁膜2上の銅膜6を除去して、コンタクトホール3及び配線溝4に充填させた銅膜6の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図16(c)に示すように銅膜6からなる配線が形成される。
【0005】
また、最近ではあらゆる機器の構成要素において微細化かつ高精度化が進み、サブミクロン領域での物作りが一般的となるにつれて、加工法自体が材料の特性に与える影響は益々大きくなっている。このような状況下においては、従来の機械加工のように、工具が被加工物を物理的に破壊しながら除去していく加工法では、加工によって被加工物に多くの欠陥を生み出してしまうため、被加工物の特性が劣化する。従って、いかに材料の特性を損なうことなく加工を行うことができるかが問題となってくる。
【0006】
この問題を解決する手段として開発された特殊加工法に、化学研磨や電解加工、電解研磨がある。これらの加工法は、従来の物理的な加工とは対照的に、化学的溶解反応を起こすことによって、除去加工等を行うものである。従って、塑性変形による加工変質層や転位等の欠陥は発生せず、前述の材料の特性を損なわずに加工を行うといった課題が達成される。
【0007】
電解加工として、イオン交換体を使用したものが開発されている。これは、図17に示すように、被加工物10の表面に、加工電極14に取付けたイオン交換体12aと、給電電極16に取付けたイオン交換体12bとを接触乃至近接させ、加工電極14と給電電極16との間に電源17を介して電圧を印加しつつ、加工電極14及び給電電極16と被加工物10との間に流体供給部19から超純水等の液体18を供給して、被加工物10の表面層の除去加工を行うようにしたものである。この電解加工によれば、超純水等の液体18中の水分子20をイオン交換体12a,12bで水酸化物イオン22と水素イオン24に解離し、例えば生成された水酸化物イオン22を、被加工物10と加工電極14との間の電界と超純水等の液体18の流れによって、被加工物10の加工電極14と対面する表面に供給して、ここでの被加工物10近傍の水酸化物イオン22の密度を高め、被加工物10の原子10aと水酸化物イオン22を反応させる。反応によって生成された反応物質26は、超純水等の液体18中に溶解し、被加工物10の表面に沿った超純水等の液体18の流れによって被加工物10から除去される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、加工電極及び給電電極と被加工物の間の少なくとも一方にイオン交換体を配置して電解加工を行うと、加工速度や加工終点の制御が困難であった。
ここで、加工電極と給電電極との間に供給する電流を一定に制御して電解加工を行うと、被加工面積が変化しない場合は、原理的に加工レートが一定となるため、加工中における制御が容易となる。また、電流積算量を容易に計算できるので、加工量や加工終点が把握しやすくなる。
【0009】
しかし、被加工面積が変化すると、加工レートが変化する。つまり、図18に示すように、基板Wの表面に設けた配線溝4の内部に埋込んだ銅膜6を、電流を一定にして電解加工で研磨すると、この研磨の進行に伴って、電解研磨終了時に絶縁体からなるバリア層5が基板Wの表面に露出する。そして、このように、バリア層5が基板Wの表面に露出すると、被加工面積が、ライン/スペース比及び配線密度に依存して減少し、これにより加工レートが急激に上昇してしまう。
【0010】
また、基板Wの表面の被加工物である銅膜6等の導電性膜を除去する場合、膜厚の減少に伴い導電性膜の電気抵抗が大きくなる。このため、電流を一定に制御して電解加工を行うと、膜厚の減少に伴って印加する電圧も増加し、その増加率は、配線パターンが露出する加工終点に近づくにつれて大きくなる。図19は、電流を一定に制御して電解加工を行った時の印加電圧の経時変化を示すもので、同図に示すように、電流密度が大きい程、この傾向が顕著になることが判る。これは、印加電圧は膜厚に反比例するためであり、このように、電圧が急上昇すると、加工終点(エンドポイント)の制御が困難となる。しかも、印加電圧が上昇しすぎると、超純水の絶縁破壊(いわゆる放電)が生じてしまい、被加工物に物理的ダメージを与えてしまう。
【0011】
一方、加工電極と給電電極との間に印加する電圧を一定に制御して電解加工を行うと、被加工面積の急激な減少に伴って、加工レートが急激に減少する。つまり、図20に示すように、基板Wの表面に設けた配線溝4の内部に埋込んだ銅膜6を、電圧を一定にして電解加工で研磨すると、この研磨の進行に伴って、加工終了時に絶縁体からなるバリア層5が基板Wの表面に露出する。そして、このように、バリア層5が基板Wの表面に露出すると、被加工面積が減少し、電流が流れづらくなって、加工レートが急激に減少する。しかも、銅膜6等の導電性膜は、膜厚の減少に伴ってその電気抵抗が増加し、この電気抵抗の増加に伴って電流値が減少し、この電流値の減少率は、加工終点に近づくにつれて小さくなる。図21は、電圧を一定に制御して電解加工を行った時に流れる電流の経時変化を示す。従って、特に加工終点近傍における加工レートの変化が小さく、このため電流を一定に制御する場合と比較して、加工終点において加工を確実に終了させることが容易となる。
【0012】
しかし、加工電極と給電電極との間に一定の電流を供給して電解加工を行うと、前述のように、電流値が経時的に変化し、電流値の変化に伴って加工レートも変化し、このため、加工中における制御が困難となる。
【0013】
本発明は、上記見識に基づいてなされたもので、加工レート変化をもたらすことなく、均一な加工が行えるようにした電解加工方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、絶縁膜の内部に設けた配線溝内に導電性材料を埋込むと共に該導電性材料を絶縁膜上に堆積させた基板を用意し、前記導電性材料と該導電性材料に近接させて配置した加工電極との間に、イオン交換基を有する接触部材を配置すると共に液体を供給し、前記導電性材料に給電する給電電極と前記加工電極との間に、電気量を積算し該積算電気量が所定の値に達する時毎に段階的に順次低下させた電圧を印加して、前記配線溝内に埋込んだ導電性材料が露出するまで導電性材料を除去することを特徴とする電解加工方法である。
【0015】
電解加工では、給電電極と加工電極との間に供給する電流値が大きいと、加工レートも大きくなる(電流値が小さいと、加工レートも小さくなる)。一方、給電電極と加工電極との間に供給する電圧にあっては、この電圧を高くすると、給電電極と加工電極との間を流れる電流値が大きなり、この結果、加工レートも大きくなる。そこで、このように、加工電極と給電電極との間に供給する電圧または電流の少なくとも一方を経時的に変化させる等、任意に制御することで、加工の段階(状況)に合わせて加工レートを最適に調整することができる。
【0017】
れにより、例えば配線パターンが露出する加工終点付近に至るまでの段階では、加工電極と給電電極との間に高電流または高電圧を供給して電解加工を行うことで加工レートを稼ぎ、加工終点が近づいた時点で低電流または低電圧による加工を行って加工レートを落とすことで、いわゆるオーバーエッチングが生じることを防止することができる。
【0018】
請求項に記載の発明は、前記積算電気量が所定の値に達するまで、前記加工電極と前記給電電極との間に電流を一定とした電圧を印加し、しかる後、前記積算電気量が所定の値に達する時毎に、前記給電電極と前記加工電極との間に、一定電圧を、段階的に順次低下させながら印加することを特徴とする請求項1記載の電解加工方法である。このように、被加工面積が変化しない段階では、加工レートが一定な電流を一定に制御した電解加工を行うことで、加工中の制御を容易に行い、加工面積が急激に減少する加工終了点では、電圧を一定にした電解加工を行うことで、加工終点における制御を容易に行うことができる。
【0019】
請求項に記載の発明は、前記積算電気量が所定の値に達するまで、前記加工電極と前記給電電極との間に一定電圧を印加し、しかる後、前記積算電気量が所定の値に達する時毎に、前記給電電極と前記加工電極との間に、一定電圧を、段階的に順次低下させながら印加することを特徴とする請求項1記載の電解加工方法である。
【0025】
請求項に記載の発明は、前記積算電気量により加工終点を検知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電解加工方法である。
請求項5に記載の発明は、前記イオン交換基を有する接触部材は、イオン交換体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電解加工方法である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下の例では、被加工物として基板を使用し、基板の表面に堆積させた銅を除去(研磨)するようにした電解加工(電解研磨)に適用した例を示しているが、他の電解加工にも適用できることは勿論である。
【0027】
図1及び図2は、電解加工装置36を示す。この電解加工装置36は、水平方向に揺動自在な揺動アーム44の自由端に垂設されて基板Wを下向き(フェイスダウン)に吸着保持する基板保持部46と、円板状で絶縁体からなり、扇状の加工電極50と給電電極52とを該加工電極50と給電電極52の表面(上面)を露出させて交互に埋設した電極部48とを上下に備えている。電極部48の上面には、加工電極50と給電電極52の表面を一体に覆う、積層体からなるイオン交換体56が取付けられている。
ここに、この例では、加工電極50と給電電極52とを有する電極部48として、基板保持部46で保持する基板Wの直径の2倍以上の直径を有するものを使用して、基板Wの表面全域を電解加工するようにした例を示している。
【0028】
揺動アーム44は、上下動用モータ60の駆動に伴ってボールねじ62を介して上下動し、揺動用モータ64の駆動に伴って回転する揺動軸66の上端に連結されている。また、基板保持部46は、揺動アーム44の自由端に取付けた自転用モータ68に接続され、この自転用モータ68の駆動に伴って回転(自転)するようになっている。
【0029】
電極部48は、中空モータ70に直結され、この中空モータ70の駆動に伴って回転(自転)するようになっている。電極部48の中央部には、純水、より好ましくは超純水を供給する純水供給部としての貫通孔48aが設けられている。そして、この貫通孔48aは、中空モータ70の中空部の内部を延びる純水供給管72に接続されている。純水または超純水は、この貫通孔48aを通して供給された後、吸水性を有するイオン交換体56を通じて加工面全域に供給される。また、純水供給管72から接続される貫通孔48aを複数設けて、加工液を加工面全域に行き渡らせ易くしてもよい。
【0030】
電極部48の上方には、電極部48の直径方向に沿って延びて、複数の供給口を有する純水または超純水を供給する純水供給部としての純水ノズル74が配置されている。これによって、純水または超純水が基板Wの表面に該基板Wの上下方向から同時に供給されるようになっている。ここで、純水は、例えば電気伝導度が10μS/cm以下の水であり、超純水は、例えば電気伝導度が0.1μS/cm以下の水である。なお、純水や超純水の代わりに電気伝導度500μS/cm以下の液体や、任意の電解液を使用してもよい。なお、本発明での電気伝導度は、1atm,25℃における換算値を示す。加工中に電解液を供給することにより、加工生成物、気体発生等による加工不安定性を除去でき、均一な、再現性のよい加工が得られる。
【0031】
この例では、電極部48に複数の扇状の電極板76を円周方向に沿って配置し、この電極板76にスリップリング78を介して電源80の陰極と陽極とを交互に接続することで、電源80の陰極と接続した電極板76が加工電極50となり、陽極と接続した電極板76が給電電極52となるようにしている。これは、例えば銅にあっては、陰極側に電解加工作用が生じるからであり、被加工材料によっては、陰極側が給電電極となり、陽極側が加工電極となるようにしてもよい。つまり、被加工材料が、例えば銅、モリブデンまたは鉄にあっては、陽極側に電解加工作用が生じるため、電源80の陰極と接続した電極板76が加工電極50となり、陽極と接続した電極板76が給電電極52となるようにする。一方、例えばアルミニウムやシリコンにあっては、陽極側で電解加工作用が生じるため、電極の陽極に接続した電極を加工電極となし、陰極側を給電電極とすることができる。
【0032】
このように、加工電極50と給電電極52とを電極部48の円周方向に沿って分割して交互に設けることで、基板の導電体膜(被加工物)への固定給電部を不要となして、基板の全面の加工が可能となる。更に、パルス状に正負を変化させることで、電解生成物を溶解させ、加工の繰返しの多重性によって平坦度を向上させることができる。
【0033】
ここで、加工電極50及び給電電極52は、電解反応により、酸化または溶出が一般に問題となる。このため、この給電電極52の素材として、電極に広く使用されている金属や金属化合物よりも、炭素、比較的不活性な貴金属、導電性酸化物または導電性セラミックスを使用することが好ましい。この貴金属を素材とした電極としては、例えば、下地の電極素材にチタンを用い、その表面にめっきやコーティングで白金またはイリジウムを付着させ、高温で焼結して安定化と強度を保つ処理を行ったものが挙げられる。セラミックス製品は、一般に無機物質を原料として熱処理によって得られ、各種の非金属・金属の酸化物・炭化物・窒化物などを原料として、様々な特性を持つ製品が作られている。この中に導電性を持つセラミックスもある。電極が酸化すると電極の電気抵抗値が増加し、印加電圧の上昇を招くが、このように、白金などの酸化しにくい材料やイリジウムなどの導電性酸化物で電極表面を保護することで、電極素材の酸化による導電性の低下を防止することができる。
【0034】
イオン交換体56は、例えば、アニオン交換能またはカチオン交換能を付与した不織布で構成されている。カチオン交換体は、好ましくは強酸性カチオン交換基(スルホン酸基)を担持したものであるが、弱酸性カチオン交換基(カルボキシル基)を担持したものでもよい。また、アニオン交換体は、好ましくは強塩基性アニオン交換基(第4級アンモニウム基)を担持したものであるが、弱塩基性アニオン交換基(第3級以下のアミノ基)を担持したものでもよい。
【0035】
ここで、例えば強塩基アニオン交換能を付与した不織布は、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行う所謂放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖をアミノ化して第4級アンモニウム基を導入して作製される。導入されるイオン交換基の容量は、導入するグラフト鎖の量により決定される。グラフト重合を行うためには、例えばアクリル酸、スチレン、メタクリル酸グリシジル、更にはスチレンスルホン酸ナトリウム、クロロメチルスチレン等のモノマーを用い、これらのモノマー濃度、反応温度及び反応時間を制御することで、重合するグラフト量を制御することができる。従って、グラフト重合前の素材の重量に対し、グラフト重合後の重量の比をグラフト率と呼ぶが、このグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
【0036】
強酸性カチオン交換能を付与した不織布は、前記強塩基性アニオン交換能を付与する方法と同様に、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行う所謂放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖を、例えば加熱した硫酸で処理してスルホン酸基を導入して作製される。また、加熱したリン酸で処理すればリン酸基が導入できる。ここでグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
【0037】
なお、イオン交換体56の素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、またはその他有機高分子が挙げられる。また素材形態としては、不織布の他に、織布、シート、多孔質材、ネット、短繊維等が挙げられる。
【0038】
ここで、ポリエチレンやポリプロピレンは、放射線(γ線と電子線)を先に素材に照射する(前照射)ことで、素材にラジカルを発生させ、次にモノマーと反応させてグラフト重合することができる。これにより、均一性が高く、不純物が少ないグラフト鎖ができる。一方、その他の有機高分子は、モノマーを含浸させ、そこに放射線(γ線、電子線、紫外線)を照射(同時照射)することで、ラジカル重合することができる。この場合、均一性に欠けるが、ほとんどの素材に適用できる。
【0039】
このように、イオン交換体56をアニオン交換能またはカチオン交換能を付与した不織布で構成することで、純水または超純水や電解液等の液体が不織布の内部を自由に移動して、不織布内部の水分解触媒作用を有する活性点に容易に到達することが可能となって、多くの水分子が水素イオンと水酸化物イオンに解離される。さらに、解離によって生成した水酸化物イオンが純水または超純水や電解液等の液体の移動に伴って効率良く加工電極50の表面に運ばれるため、低い印加電圧でも高電流が得られる。
【0040】
ここで、イオン交換体56をアニオン交換能またはカチオン交換能の一方を付与したもので構成すると、電解加工できる被加工材料が制限されるばかりでなく、極性により不純物が生成しやすくなる。そこで、イオン交換体56を、アニオン交換能を有するアニオン交換体とカチオン交換能を有するカチオン交換体とを同心状に配置して一体構成としてもよい。また、アニオン交換能を有するアニオン交換体とカチオン交換能を有するカチオン交換体とを重ね合わせたり、扇状に形成して、交互に配置したりしてもよい。更に、イオン交換体56自体にアニオン交換能とカチオン交換能の双方の交換基を付与するようにしてもよい。このようなイオン交換体としては、陰イオン交換基と陽イオン交換基を任意に分布させて存在させた両性イオン交換体、陽イオン交換基と陰イオン交換基を層状に存在させたバイポーラーイオン交換体、更には陽イオン交換基が存在する部分と陰イオン交換基が存在する部分とを厚さ方向に並列に存在させたモザイクイオン交換体が挙げられる。なお、アニオン交換能またはカチオン交換能の一方を付与したイオン交換体56を、被加工材料に合わせて使い分けてもよいことは勿論である。
【0041】
この電解加工装置36には、加工電極50と給電電極52との間に電源80から供給される電圧または電流の少なくとも一方を、任意に制御させるように該電源80を制御する制御部100が備えられている。また、電源80の陰極から延びる配線に接続されて電流値を検知し、この電流値と加工時間の積から電気量を求め、この電気量を積算して、トータルで使用された電気量を積算する積算電気量計(クーロンメータ)102が備えられ、この積算電気量計102の出力信号が制御部100に入力され、この制御部100からの出力信号が電源80に入力されるようになっている。
【0042】
更に、この例では、電源80の陰極及び陽極から延びる配線と制御部100が接続され、更に、制御部100からの出力信号が上下動用モータ60に入力され、これによって、加工電極50と給電電極52との間に供給される電流が一定に制御される。加工電極50と給電電極52との間に供給される電流を一定に制御する場合には、電源80の陰極から延びる配線から加工電極50と給電電極52との間に供給される電流値を計測し、例えばこの電流値が下がった場合には、上下動用モータ60を駆動し基板保持部46を下降させて基板Wと加工電極50及び給電電極52との距離を縮め、これによって、電流を一定に制御するようになっている。
【0043】
更に、図2に示すように、イオン交換体56を再生する再生部84が備えられている。再生部84は、基板保持部46を保持する揺動アーム44の電極部48を挟んだ対向位置に設けた該揺動アーム44と同様な構成の揺動アーム86と、この揺動アーム86の自由端に保持した再生ヘッド88とを有している。そして、電源80(図1参照)を介してイオン交換体56に加工時とは逆の電位を与え、イオン交換体56に付着した銅等の付着物の溶解を促進させることで、加工中にイオン交換体56を再生できるようになっている。この場合、再生されたイオン交換体56は、電極部48の上面に供給される純水または超純水でリンスされる。
【0044】
次に、この電解加工装置36による電解加工について説明する。
先ず、例えば図16(b)に示す、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを電解加工装置36の基板保持部46で吸着保持し、揺動アーム44を揺動させて基板保持部46を電極部48の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ60を駆動して基板保持部46を下降させ、この基板保持部46で保持した基板Wを電極部48の上面に取付けたイオン交換体56の表面に接触させるか、または近接させる。
【0045】
この状態で、電源80を接続して加工電極50と給電電極52との間に所定の電流または電圧を経時的に変化させて供給するとともに、基板保持部46と電極部48とを共に回転させる。同時に、貫通孔48aを通じて、電極部48の下側から該電極部48の上面に純水または超純水を、純水ノズル74により電極部48の上側から該電極部48の上面に純水または超純水を同時に供給し、加工電極50及び給電電極52と基板Wとの間に純水または超純水を満たす。これによって、イオン交換体56により生成された水素イオンまたは水酸化物イオンによって、基板Wに設けられた導電体膜(銅膜6)の電解加工を行う。ここに、純水または超純水がイオン交換体56の内部を流れるようにすることで、水素イオンまたは水酸化物イオンを多量に生成し、これを基板Wの表面に供給することで、効率のよい電解加工を行うことができる。
【0046】
すなわち、純水または超純水がイオン交換体56の内部を流れるようにすることで、水の解離反応を促進させる官能基(強酸性陽イオン交換材料ではスルホン酸基)に充分な水を供給して水分子の解離量を増加させ、水酸化物イオン(もしくはOHラジカル)との反応により発生した加工生成物(ガスも含む)を水の流れにより除去して、加工効率を高めることができる。従って、純水または超純水の流れは必要で、また純水または超純水の流れとしては、一様かつ均一であることが望ましく、一様かつ均一な流れとすることで、イオンの供給及び加工生成物の除去の一様性及び均一性、ひいては加工効率の一様性及び均一性を図ることができる。
【0047】
この時、加工電極50と給電電極52との間に電源80から供給する電流または電圧の少なくとも一方を経時的に変化させる。この例を、図3乃至図9を参照して説明する。
図3に示す例は、加工電極50と給電電極52との間に、一定の電圧を、段階的に低下させながら供給するようにした例を示す。つまり、先ず、初期の段階では、加工電極50と給電電極52との間に高い一定電圧Vを供給し、電流値と加工時間の積で求められる電気量(図3に斜線で示す部分の面積、以下同じ)が所定の値に達した時(時間t)、加工電極50と給電電極52との間に前記電圧Vより低い一定電圧Vを供給する。そして、積算電気量が所定の値に達した時(時間t)、加工電極50と給電電極52との間に電圧Vより低い一定電圧Vを供給し、更に、積算電気量が所定の値に達した時(時間t)、加工電極50と給電電極52との間に電圧Vより低い一定電圧Vを供給し、積算電気量が所定の値に達した時を加工終点として、加工を終了する(時間t)。
【0048】
このように、一定の電圧を、段階的に低下させながら加工電極50と給電電極52との間に供給して電解加工を行うことで、加工レートを段階的に落とし、これによって、加工の開始当初は加工レートを稼ぎ、加工終点が近づくに従って加工レートを順次落とすことで、いわゆるオーバーエッチングが生じることを防止することができる。
なお、この例では、電圧を段階的に低下させながら加工電極50と給電電極52との間に供給するようにした例を示しているが、一定の電流を、段階的に低下させながら加工電極50と給電電極52との間に供給するようにしてもよい。
【0049】
図4に示す例は、前記加工電極と前記給電電極との間に、一定電流を値を変えて順に供給し、しかる後、一定電圧を値を変えて順に供給するようにした例、すなわち加工電極50と給電電極52との間に、一定の電流を、段階的(図では2段階)に低下させながら供給し、しかる後、加工電極50と給電電極52との間に、一定の電圧を、段階的(図では2段階)に低下させながら供給しするようにした例を示す。つまり、先ず、初期の段階では、加工電極50と給電電極52との間に高い一定電流Iを供給し、電流値と加工時間の積で求められる電気量が所定の値に達した時(時間t)、加工電極50と給電電極52との間に前記電流Iより低い一定電流Iを供給する。そして、積算電気量が所定の値に達した時(時間t)、加工電極50と給電電極52との間に一定の電圧Vを供給し、更に、積算電気量が所定の値に達した時(時間t)、加工電極50と給電電極52との間に電圧Vより低い一定電圧Vを供給し、積算電気量が所定の値に達した時を加工終点として、加工を終了する(時間t)。
【0050】
これにより、電流を一定に制御した電解加工の加工レートと、電圧を一定に制御した電解加工の加工レートを段階的に変化させ、しかも、被加工面積が変化しない段階では、加工レートが一定な電流を一定に制御した電解加工を行うことで加工中の制御を容易に行い、加工面積が急激に減少する加工終了点では、電圧を一定にした電解加工を行うことで、加工終点における制御を容易に行うことができる。
なお、図4の実施例では、一定電流を値を変えて複数ステップで、一定電圧を値を変えて複数ステップでそれぞれ供給する例を示したが、電流、電圧を段階的に変えずに、一定の電流値を値を変えずに所定時間供給して加工し(定電流加工)、その後一定電圧を値を変えずに所定時間供給して加工(定電圧加工)してもよい。また、一定値定電流加工→一定値定電圧加工のサイクルを複数回繰り返して加工してもよい。更に、電流は一定値のみで値を変えずに、その後一定電圧を段階的に値を変えて複数ステップで供給したり、逆に一定電流を値を変えて複数ステップで供給した後、一定の電圧を値を変えずに供給するようにしてもよい。
【0051】
図5に示す例は、先ず加工電極50と給電電極52との間に一定の電圧を供給し、しかる後、加工電極50と給電電極52との間に供給する電圧を徐々に低下させるようにした例を示す。つまり、先ず、加工電極50と給電電極52との間に高い一定電圧Vを供給し、電流値と加工時間の積で求められる電気量が所定の値に達した時(時間t)、加工電極50と給電電極52との間に供給する電圧を徐々に低下させて、積算電気量が所定の値に達した時を加工終点として、加工を終了する(時間t10)。
このように、加工当初は一定の電圧を供給し、加工の進行に伴って、電圧を徐々に低下させることで、加工の開始当初は加工レートを稼ぎ、加工終点が近づくに従って加工レートを徐々に落とし、これによって、いわゆるオーバーエッチングランが生じることを防止することができる。
【0052】
図6に示す例は、先ず加工電極50と給電電極52との間に一定の電流を供給し、しかる後、加工電極50と給電電極52との間に供給する電流を徐々に低下させるようにした例を示す。つまり、先ず、加工電極50と給電電極52との間に高い一定電流Iを供給し、電流値と加工時間の積で求められる電気量が所定の値に達した時(時間t11)、加工電極50と給電電極52との間に供給する電流を徐々に低下させて、積算電気量が所定の値に達した時を加工終点として、加工を終了する(時間t12)。
これによっても、前述と同様に、加工レートを稼ぎ、いわゆるオーバーエッチングが生じることを防止することができる。
【0053】
図7に示す例は、先ず加工電極50と給電電極52との間に一定の電流を供給し、しかる後、加工電極50と給電電極52との間に供給する電流を徐々に低下させ、更に加工終了近傍で、加工電極50と給電電極52との間に一定の低電圧を供給するようにした例を示す。つまり、先ず、加工電極50と給電電極52との間に高い一定電流Iを供給し、電流値と加工時間の積で求められる電気量が所定の値に達した時(時間t13)、加工電極50と給電電極52との間に供給する電流を徐々に低下させる。そして、積算電気量が所定の値に達した時(時間t14)、加工電極50と給電電極52との間に一定の低電圧Vを供給し、積算電気量が所定の値に達した時を加工終点として、加工を終了する(時間t15)。これにより、加工終点における制御を更に容易に行うことができる。
【0054】
図8に示す例は、先ず加工電極50と給電電極52との間に供給する電圧または電流を直線的に徐々に低下させるようにした例を示す。つまり、電流Iにあっては、初期値をI、比例定数をaとした時、I=I−atの直線に沿って電流を徐々に低下させ、電圧Vにあっては、初期値をV、比例定数をbとした時、V=V−btの直線に沿って電圧を徐々に低下させ、積算電気量が所定の値に達した時を加工終点として、加工を終了する(時間t16)。これにより、加工レートの全加工工程に亘って、徐々に低下させることができる。
【0055】
図9に示す例は、先ず加工電極50と給電電極52との間に供給する電圧または電流を直線的に任意の曲線に沿って変化させるようにした例を示す。つまり、電流Iにあっては、I=f(t)の任意に設定した曲線に沿って電流を変化させ、電圧Vにあっては、V=f(t)の任意に設定した曲線に沿って電流を変化させる。そして、積算電気量が所定の値に達した時を加工終点として、加工を終了する(時間t17)。これにより、全加工工程に亘って、加工レートを任意に設定することができる。
【0056】
そして、電解加工完了後、電源80と加工電極50及び給電電極52との電気的接続を切り、基板保持部46と電極部48の回転を停止させ、しかる後、基板保持部46を上昇させて、加工後の基板を次工程に搬送する。
なお、この例では、電極部48と基板Wとの間に純水、好ましくは超純水を供給した例を示している。このように電解質を含まない純水または超純水を使用して電解加工を行うことで、基板Wの表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくすことができる。更に、電解によって溶解した銅イオン等が、イオン交換体56にイオン交換反応で即座に捕捉されるため、溶解した銅イオン等が基板Wの他の部分に再度析出したり、酸化されて微粒子となり基板Wの表面を汚染したりすることがない。
【0057】
超純水は、比抵抗が大きく電流が流れ難いため、電極と被加工物との距離を極力短くしたり、電極と被加工物との間にイオン交換体を挟んだりすることで電気抵抗を低減しているが、さらに電解液を組み合わせることで、更に電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。なお、電解液による加工では、被加工物の加工される部分が加工電極よりやや広い範囲に及ぶが、超純水とイオン交換体の組合せでは、超純水にほとんど電流が流れないため、被加工物の加工電極とイオン交換体が投影された範囲内のみが加工されることになる。
【0058】
また、純水または超純水の代わりに、純水または超純水に電解質を添加した電解液を使用してもよい。電解液を使用することで、さらに電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。この電解液としては、例えば、NaClやNaSO等の中性塩、HClやHSO等の酸、更には、アンモニア等のアルカリなどの溶液が使用でき、被加工物の特性によって適宜選択して使用すればよい。電解液を用いる場合は、基板Wとイオン交換体56との間に僅かの隙間を設けて非接触とすることが好ましい。
【0059】
更に、純水または超純水の代わりに、純水または超純水に界面活性剤等を添加して、電気伝導度が500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下(比抵抗で10MΩ・cm以上)にした液体を使用してもよい。このように、純水または超純水に界面活性剤を添加することで、基板Wとイオン交換体56の界面にイオンの移動を防ぐ一様な抑制作用を有する層を形成し、これによって、イオン交換(金属の溶解)の集中を緩和して加工面の平坦性を向上させることができる。ここで、界面活性剤濃度は、100ppm以下が望ましい。なお、電気伝導度の値があまり高いと電流効率が下がり、加工レートが遅くなるが、500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下の電気伝導度を有する液体を使用することで、所望の加工レートを得ることができる。
【0060】
また、基板Wと加工電極50及び給電電極52との間にイオン交換体56を挟むことで、加工レートを大幅に向上させるようにしている。つまり、超純水電気化学的加工は、超純水中の水酸化物イオンと被加工材料との化学的相互作用によるものである。しかし、超純水中に含まれる反応種である水酸化物イオン濃度は、常温・常圧状態で10−7mol/Lと微量であるため、除去加工反応以外の反応(酸化膜形成等)による除去加工効率の低下が考えられる。このため、除去加工反応を高効率で行うためには、水酸化物イオンを増加させる必要がある。そこで、水酸化物イオンを増加させる方法として、触媒材料により超純水の解離反応を促進させる方法があり、その有力な触媒材料としてイオン交換体が挙げられる。具体的には、イオン交換体中の官能基と水分子との相互作用により水分子の解離反応に関する活性化エネルギを低下させる。これによって、水の解離を促進させて、加工レートを向上させることができる。
【0061】
更に、この例では、電解加工の際に、イオン交換体56が基板Wに接触乃至近接するようにしている。イオン交換体56と基板Wとが近接した状態では、この間隔の大きさにもよるが、電気抵抗がある程度大きいので、必要とする電流密度を与えようとした時の電圧が大きくなる。しかし、一方では、非接触であるため、基板Wの表面に沿った純水または超純水の流れが作り易く、基板表面での反応生成物を高効率で除去することができる。これに対して、イオン交換体56を基板Wに接触させると、電気抵抗が極めて小さくなって、印加電圧も小さくて済み、消費電力も低減できる。
【0062】
また、加工レートを上げるために電圧を上げて電流密度を大きくすると、電極と基板(被加工物)との間の抵抗が大きい場合では、放電が生じる場合がある。放電が生じると、被加工物表面にピッチングが起こり、加工面の均一性や平坦化が困難となる。これに対して、イオン交換体56を基板Wに接触させると、電気抵抗が極めて小さいことから、このような放電が生じることを防止することができる。
【0063】
ここで、例えばイオン交換体56としてカチオン交換基を付与したものを使用して銅の電解加工を行うと、加工終了後に銅がイオン交換体(カチオン交換体)56のイオン交換基を飽和しており、次の加工を行う時の加工効率が悪くなる。また、イオン交換体56としてアニオン交換基を付与したものを使用して銅の電解加工を行うと、イオン交換体(アニオン交換体)56の表面に銅の酸化物の微粒子が生成されて付着し、次の処理基板の表面を汚染するおそれがある。
【0064】
そこで、このような場合に、電源80を介してイオン交換体56に加工時とは逆の電位を与え、再生ヘッド88を介してイオン交換体56に付着した銅等の付着物の溶解を促進させることで、加工中にイオン交換体56を再生する。この場合、再生されたイオン交換体56は、電極部48の上面に供給される純水または超純水でリンスされる。
【0065】
図10及び図11は、他の電解加工装置36bを示す。これは、電極部48の回転中心Oと基板保持部46の回転中心Oとを所定の距離dだけずらし、電極部48は回転中心Oを中心に回転(自転)し、基板保持部46は回転中心Oを中心に回転(自転)するようにしている。また、スリップリング78を介して電源80と加工電極50及び給電電極52とを電気的に接続している。更に、この例では、電極部48として、その直径が基板保持部46の直径より一回り大きく、電極部48が回転中心Oを中心に、基板保持部46が回転中心Oを中心にそれぞれ回転(自転)しても、基板保持部46で保持した基板Wの全面を電極部48で覆う大きさのものを使用している。
【0066】
この電解加工装置36bにあっては、基板保持部46を介して基板Wを回転(自転)させ、同時に中空モータ70を駆動して電極部48を回転(自転)させながら、電極部48の上面に純水または超純水を供給し、加工電極50と給電電極52との間に所定の電圧または電流を供給することで、基板Wの表面を電解加工することができる。
なお、電極部48や基板保持部46は自転しなくても、軌道運動(スクロール運動や往復運動)してもよい。
【0067】
図12及び図13は、更に他の電解加工装置36dを示す。これは、前記各電解加工装置における基板保持部46と電極部48の上下位置関係を逆にして、基板Wの表面を上向きに保持した、いわゆるフェースアップ方式を採用して基板の表面(上面)に電解加工を行うようにしたものである。すなわち、下方に配置された基板保持部46は、基板Wをこの表面を上向きにして載置保持し、自転用モータ68の駆動に伴って回転(自転)する。一方、加工電極50と給電電極52を有し、この加工電極50と給電電極52を、積層体からなるイオン交換体56で覆った電極部48は、基板保持部46の上方に配置され、下向きにして揺動アーム44の自由端に保持され、中空モータ70の駆動に伴って回転(自転)する。そして、電源80から延びる配線は、揺動軸66に設けられた中空部を通ってスリップリング78に達し、このスリップリング78から中空モータ70の中空部を通って加工電極50と給電電極52に給電するようになっている。
【0068】
そして、純水または超純水は、純水供給管72から供給され、電極部48の中心部に設けられた貫通孔48aを通じて基板Wの上方から該基板Wの表面(上面)に供給される。
【0069】
基板保持部46の側方に位置して、電極部48に取付けたイオン交換体56を再生する再生部92が配置されている。この再生部92は、例えば希釈した酸溶液を満たした再生槽94を有している。そして、揺動アーム44を揺動させて電極部48を再生槽94の直上方に移動させた後、下降させて、電極部48の少なくともイオン交換体56を再生槽94内の酸溶液に浸漬させる。この状態で、電極板76に加工の時とは逆の電位を、すなわち加工電極50を電源80の陽極に、給電電極52を電源80の陰極にそれぞれ接続することで、イオン交換体56に付着した銅等の付着物の溶解を促進してイオン交換体56を再生するようになっている。この再生後のイオン交換体56は、例えば超純水でリンスされる。
【0070】
更に、この例では、電極部48の直径は、基板保持部46で保持される基板Wの直径より十分に大きく設定されている。そして、電極部48を下降させてイオン交換体56を基板保持部46で保持した基板Wの表面に接触乃至近接させ、この状態で、基板の上面に純水または超純水を供給しつつ、加工電極50と給電電極52との間に所定の電圧または電流を供給し、基板保持部46と電極部48を共に回転(自転)させ、同時に揺動アーム44を揺動させて電極部48を基板Wの上面に沿って移動させることで、基板Wの表面に電解加工を施すようになっている。
【0071】
図14及び図15は、更に他の電解加工装置36eを示す。これは、電極部48として、その直径が基板保持部46で保持される基板Wの直径より十分に小さいものを使用して、この基板Wの全面が電極部48で完全に覆われてしまわないようにするとともに、イオン交換体56として、この例では、一対の強酸性カチオン交換繊維56a,56bと、この強酸性カチオン交換繊維56a,56bに挟まれた強酸性カチオン交換膜56cとの3層構造からなる積層体で構成したものを使用している。このイオン交換体(積層体)56は、通水性が良く、硬度が高いばかりでなく、基板Wと対向する露出表面(上面)が良好な平滑性を有するようになっている。その他の構成は、図12及び図13に示すものと同様である。
【0072】
このように、イオン交換体56を不織布、織布、多孔膜等のイオン交換材料を複数枚重ねた多層構造とすることで、イオン交換体56の持つトータルのイオン交換容量を増加させ、例えば、銅の除去(研磨)加工を行う際に、酸化物の発生を抑制して、酸化物が加工レートに影響することを防止することができる。つまり、イオン交換体56のトータルのイオン交換容量が除去加工の段階で取り込まれる銅イオンの量よりも小さい場合には、酸化物がイオン交換体の表面もしくは内部に生成されてしまい、加工レートに影響を及ぼす。この原因としては、イオン交換体のイオン交換基の量が影響し、容量以上の銅イオンは酸化物となると考えられる。このため、イオン交換体56を、イオン交換材料を複数枚重ねた多層構造として、トータルのイオン交換容量を高めることで、酸化物の発生を抑制することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、例えば導電性材料を加工する場合において、配線等を形成するための導電性材料が加工表面に露出した場合においても、急激な加工レート変化をもたらすことなく均一な加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 解加工装置の縦断正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】加工電極と給電電極との間に供給される電圧及び電流の一例を示すグラフである。
【図4】加工電極と給電電極との間に供給される電圧及び電流の他の例を示すグラフである。
【図5】加工電極と給電電極との間に供給される電圧及び電流の更に他の例を示すグラフである。
【図6】加工電極と給電電極との間に供給される電圧及び電流の更に他の例を示すグラフである。
【図7】加工電極と給電電極との間に供給される電圧及び電流の更に他の例を示すグラフである。
【図8】加工電極と給電電極との間に供給される電圧及び電流の更に他の例を示すグラフである。
【図9】加工電極と給電電極との間に供給される電圧及び電流の更に他の例を示すグラフである。
【図10】 他の電解加工装置の縦断正面図である。
【図11】図10の平面図である。
【図12】 更に他の電解加工装置の縦断正面図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】 更に他の電解加工装置の縦断正面図である。
【図15】図14の平面図である。
【図16】銅配線を形成する例を工程順に示す図である。
【図17】イオン交換体を備えた電解加工の原理の説明に付する図である。
【図18】電流を一定に制御して電解加工を行った時の加工レートの変化の状態を示す図である。
【図19】電圧を一定に制御して電解加工を行った時の加工レートの変化の状態を示す図である。
【図20】電流を一定に制御した電解加工を行った時の電圧の経時変化を示すグラフである。
【図21】電圧を一定に制御して電解加工を行った時の電流の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
6 銅膜
7 シード層
12a,12b イオン交換体
14 加工電極
16 給電電極
17 電源
19 流体供給部
22 水酸化物イオン
24 水素イオン
36,36b,36d,36e 電解加工装置
20 水分子
20 繊維径
26 反応物質
46 基板保持部
48 電極部
48a 貫通孔
50 加工電極
52 給電電極
56 イオン交換体
60 上下動用モータ
70 中空モータ
72 純水供給管
74 純水ノズル
76 電極板
78 スリップリング
80 電源
84,92 再生部
88 再生ヘッド
94 再生槽
100 制御部
102 積算電気量計

Claims (5)

  1. 絶縁膜の内部に設けた配線溝内に導電性材料を埋込むと共に該導電性材料を絶縁膜上に堆積させた基板を用意し、
    前記導電性材料と該導電性材料に近接させて配置した加工電極との間に、イオン交換基を有する接触部材を配置すると共に液体を供給し、
    前記導電性材料に給電する給電電極と前記加工電極との間に、電気量を積算し該積算電気量が所定の値に達する時毎に段階的に順次低下させた電圧を印加して、前記配線溝内に埋込んだ導電性材料が露出するまで導電性材料を除去することを特徴とする電解加工方法。
  2. 前記積算電気量が所定の値に達するまで、前記加工電極と前記給電電極との間に電流を一定とした電圧を印加し、しかる後、前記積算電気量が所定の値に達する時毎に、前記給電電極と前記加工電極との間に、一定電圧を、段階的に順次低下させながら印加することを特徴とする請求項1記載の電解加工方法。
  3. 前記積算電気量が所定の値に達するまで、前記加工電極と前記給電電極との間に一定電圧を印加し、しかる後、前記積算電気量が所定の値に達する時毎に、前記給電電極と前記加工電極との間に、一定電圧を、段階的に順次低下させながら印加することを特徴とする請求項1記載の電解加工方法。
  4. 前記積算電気量により加工終点を検知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電解加工方法。
  5. 前記イオン交換基を有する接触材料は、イオン交換体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電解加工方法。
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