JP3995357B2 - 電子音楽装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間内で手などを移動させることでその移動態様に応じた各種の音楽制御を行うことができる電子音楽装置に関するものである。本発明に係る電子音楽装置は、例えば電子楽器等において音楽制御を行うことなどに利用できる。ここで、本発明の電子音楽装置は、電子楽器、楽音生成装置、楽音変更装置、あるいはこれらの制御装置であり、例えば、シンセサイザ、キーボード、ドラムマシン、エフェクトプロセッサ、エフェクトペダル、シーケンサおよび音源モジュールなどを含むものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、所定の空間内における手などの動きを光学的に検出して操作指示を行う非接触式の電子音楽装置が知られている。このものは、空間内に光を照射する一つの光源(赤外線発光ダイオードなど)と、その空間内に手が進入したときにその手で反射された光源の光を受光する一つの受光素子(赤外線センサなど)とを一対にして設け、受光器に手からの反射光が受光されたら、その受光量があるしきい値を超えたときに、所定の操作の指示をONにし、しきい値以下である場合にはOFFにするというスイッチ的な制御を行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の非接触式の電子音楽装置は、光源からの照射光ビームの強度分布は例えば図26に示すようなものになる。この場合、手を光源の真上にかざした場合と横側につけた場合とでは、同じ高さでも受光器に受光される受光量は異なったものになる。したがって、受光量が所定のしきい値を超えるか否かでオン/オフの操作指示を行おうとする場合、単純に手の高さだけを目安にして操作指示を行うとすると、誤動作をさせてしまう可能性が高い。すなわち、この種の従来の電子音楽装置は、どの程度手をセンサに近づけたらスイッチONまたはスイッチOFFされるかを操作者が認識しにくく、よって音楽制御の操作指示を安定的に行えないという問題点がある。また、操作指示の内容としても、ある音楽制御を行うか否か、すなわち所定の一つの処理についてのオンかオフかの2値的な制御しか行えなかった。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、操作空間内で物体を移動させることにより所望の音楽制御を確実に行うことができるようにし、さらには物体の移動態様を種々変えることで種々の内容の音楽制御も行えるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明に係る電子音楽装置は、第1の形態として、音楽を出力するとともに、該音楽を所定の操作空間内を移動する物体の移動態様に応じた音楽制御の指示を行う電子音楽装置であって、該操作空間に光を照射する少なくとも1つの光源と少なくとも2つの光センサ、または、該操作空間内の物体で反射された光を受光する少なくとも1つの光センサと少なくとも2つの光源とを備え、該光源から該物体を経て該光センサに至るまでの光の経路を少なくとも2つ持つように配置し、該各経路を経た光の受光量に応じた検出値をそれぞれ出力するようにした光学手段と、音楽を生成する信号生成手段と、該光学手段により出力された各経路の検出値の差または比が所定の値となったことを契機として該信号生成手段で生成される音楽の制御を行う音楽制御手段とを備えたものである。この電子音楽装置では、少なくとも二つの経路を経てきた物体からの反射光の検出値に基づき、各経路の検出値の差または比が所定の値になったことを契機として音楽制御の指示を行うようにしているので、従来の光源と光センサが各1個の場合に比べて、操作空間内における音楽制御指示が発生される物体の位置が比較的に一意的に確定しやすく、操作者は物体の移動操作に応じて音楽制御指示が発生するタイミングを正確に把握することができるようになる。
【0006】
例えば、この光学手段を、一直線上に配置された二つの光源とその中央位置に配置された一つの光センサで構成し、各光源が時間的に交互に光を発生して光センサには各光源からの光が時分割で受光されるようにすれば、2種類の検出値が得られ、これらの検出値が同じ値となる位置は通常、光センサの真上付近と考えられるから、操作者は物体の移動に伴い音楽制御指示が発行されるタイミングを正確に把握することができる。なお、上記の「所定の関係」とは、上述したような「各経路の検出値が同じ値になったとき」だけに限られず、例えば「各経路の検出値の差が所定範囲内になったとき」あるいは「各経路の検出値の比が所定の値になったとき」などであってもよい。なお、上述の光源の光は、通常の可視光だけでなく赤外線や紫外線などであってもよい。
【0007】
また、上述の音楽制御指示としては、本発明に係る電子音楽装置が例えば電子楽器に適用された場合には、この音楽制御とは、自動演奏装置の制御、音源の制御、効果付与装置(エフェクタ)の制御などを含んだ制御のことをいう。この場合、具体的には以下のような制御が対象となる。
自動演奏装置:演奏情報の再生指示、停止指示、ループ再生指示、ミュート指示、ボリューム指示、パンポット指示、演奏情報の切り換え、など音源:音色グループ切り換え指示、音色番号切り換え指示、音源波形の切り換え指示、フィルターのカットオフやレゾナンスの指示、LFOのデプスやレイトの指示、エンベロープの指示など。
効果付与装置:エフェクトのON/OFF指示、エフェクトの種類の切り換え指示など。
【0008】
また、本発明に係る電子音楽装置は、第2の形態として、上述の第1の形態において、該音楽制御手段は、該光学手段により出力された各経路の検出値が等しくなったことを契機として該信号生成手段で生成される音楽の制御を行うものである。例えば、この光学手段を、一直線上に配置された二つの光源とその中央位置に配置された一つの光センサで構成し、各光源が時間的に交互に光を発生して光センサには各光源からの光が時分割で受光されるようにすれば、2種類の検出値が得られ、これらの検出値が同じ値となる位置は通常、光センサの真上付近と考えられるから、操作者は物体の移動に伴い音楽制御指示が発行されるタイミングを正確に把握することができる。
【0009】
また、本発明に係る電子音楽装置は、第3の形態として、上述の第1または第2の形態において、該各経路の検出値のそれぞれについて該検出値の現在までの最大値を検出する最大値検出手段と、該各経路の検出値の最大値の相互関係に応じて、何れかの最大値を選択する最大値選択手段と、予め該最大値の取りえる範囲を2以上の範囲に分けてその各範囲に対して異なる種類の音楽制御態様がそれぞれ割り当ててあり、該最大値検出手段により検出された最大値の属する範囲に対応した音楽制御態様を選択する選択手段とを備え、該音楽制御手段は、該選択手段により選択された音楽制御態様に基づいて該信号生成手段で生成される音楽の制御を行うものである。例えば、光センサに向かって物体を近づけ、所望の位置で反転して今度は物体を遠ざけるようにすると、検出値には明確な最大値が生じることになり、この最大値に基づいて音楽制御指示の内容を変えるようにすれば、物体を近づける状態から遠ざける状態に反転する位置に応じて、音楽制御指示の内容を種々の設定することができる。よって、最大値の範囲別(すなわち物体の移動の高さ別)に音楽制御指示の内容を変えるようにすれば、物体の移動態様に応じて行う音楽制御指示の内容を一層豊富化することができる。また、この装置では、操作者が上記反転をどの高さ位置で行うかを認識することで、それぞれの位置に応じた最大値を的確に発生することができ、よって所望の内容の音楽制御指示を的確に選択することができるようになる。なお、最大値が検出されたとの判断は、現在の検出値と検出値の最大値とを比較して、現在の検出値が最大値を下回った場合であってもよいし、現在の検出が最大値から所定の値だけ下回った場合であってもよい。なお、前記の最大値検出手段は、光学手段により検出された検出値が所定値よりも小さくなった後に検出された検出値の最大値を検出するものとすることができる。
【0010】
また、本発明に係る電子音楽装置は、第4の形態として、上述の第1または第2の形態において、該各経路の検出値に基づいて該操作空間内の物体の移動方向を検出する移動方向検出手段を備え、該音楽制御手段は、該移動方向検出手段により検出された移動方向に応じた音楽制御態様に基づいて該信号生成手段で生成される音楽の制御を行うものである。この構成では、物体が右から左に移動して光センサ上方にきた場合と、左から右に移動して光センサ上方にきた場合とでは、各経路の検出値の大きさが異なるものとなるので、上記各移動態様に応じて異なる内容の音楽制御指示を行うことができる。よって、操作指示する内容を豊富化することができる。
【0011】
また、本発明に係る電子音楽装置は、第5の形態として、上述の第1から第4のいずれかの形態において、該光源は複数であり、該複数の光源を時分割で順次点灯する点灯手段を備え、該光学手段は、該点灯手段により点灯されている光源と該光センサとにより形成される経路の検出値を出力するものである。このことにより、少ない数のセンサにより複数の経路の光量を検出することができる。
【0012】
【0013】
【0014】
また、上述の各電子音楽装置は、該検出値に基づいて該物体の移動速度を求める速度算出手段と、該移動速度の取りえる値の範囲を2以上の範囲に分けてその各範囲に対して操作指示の内容を割り当て、該速度算出手段で求めた移動速度の値に応じて該移動速度の属する範囲に対応した内容の操作指示を選択する第3の選択手段とを備えるように構成できる。このように構成すれば、求めた物体の移動速度の違いによっても、操作指示の内容を変えることができるから、物体の移動態様に応じて行う操作指示の内容を一層豊富化することができる。
【0015】
上述の各電子音楽装置においては、該光学手段は、離間して配置された二つの光源とその間に配置された一つの光センサからなり、各光源は時間的に交互に光を発生して該光センサには各光源からの光が時分割で受光されるように構成できる。例えば、二つの光源の光軸を互いに外向きに傾けることで、操作空間に、少なくとも一部が重ならない照射領域をもつように光を照射することができ、物体の移動の検出機構をコンパクトに構成できる。
【0016】
上述の各電子音楽装置は、信号生成手段として楽音を生成する楽音生成手段を採用するこることができる。このとき、上述の各音楽制御手段を、楽音生成手段に対して、生成される楽音の特質の制御を指示するものとすることができる。楽音の特質の制御とは、例えば楽音にエフェクトを付与するかしないかの制御や、生成する楽音の音色の選択などである。同様に上述の選択手段を、楽音生成手段に対して、生成される楽音の特質の制御態様の選択を指示するものとすることができる。楽音の特質の制御態様の選択とは、例えば楽音にエフェクトを付与するかしないかの選択や、生成する楽音の音色の選択、楽音に付与するエフェクトの種類の選択などである。
【0017】
また、上述の楽音生成手段として、予め記憶しているフレーズを表現するデータを読み出すことにより楽音を生成するものとすることができる。このとき、上述の各音楽制御装置を、この楽音生成手段に対して、前記のフレーズを表現するデータの読出しに関する制御を指示するものとすることができる。読出しに関する制御とは、例えばフレーズを表現するデータの読出しの開始や停止、あるいは読出し対象のフレーズの選択などである。同様に、上述の選択手段を、この楽音生成手段に対して、前記のフレーズを表現するデータの読出しに関する態様の選択を指示するものとすることができる。読出しに関する態様の選択とは、例えばフレーズを表現するデータの読出しを開始するか停止するか、あるいは読出し対象のフレーズの選択などである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施例としての電子音楽装置を電子楽器に適用した場合のハードウェア構成図であり、手の動きを検出する光学センサ部分に二つの赤外線発光ダイオードと一つの赤外線センサを用いている。図1において、1A、1Bはそれぞれ赤外線発光ダイオード(以下、単に発光ダイオードという)、2は赤外線を検出する赤外線センサである。3は装置の全体的な制御を行うCPU(中央処理装置)、4は制御用のプログラムや各種のテーブルを記憶する本体ROM、5は後述する各種レジスタやフラグなどを記憶する作業用のRAM、6はパネル上に配置される各種操作子や表示器、7はシーケンサ、8は音源、9はエフェクタ、10はタイマであり、これらがバス11を介して相互につながっている。
【0019】
シーケンサ7はフレーズを最大8つまで同時演奏が可能であり、シーケンサ内部のROM(シーケンサROM71)に100個分のフレーズの演奏データを記憶している。シーケンサ7はこれらのフレーズとは別に1つの曲データを再生することができるようになっており、10曲分の曲データをシーケンサROM71に記憶している。音源8は同時発音数が「128」のマルチティンバー構成であり、シーケンサ7と音源8とエフェクタ9とバス11とが図のように接続されている。タイマ10は、後述する図2のビームコントローラボタンが押されてONになった時にスタートし、5ms毎にCPU3に割込みをかけ、後述するタイマ割込みルーチンを実行させるものである。
【0020】
図2にはこの実施例装置のパネルの外観図が示される。パネル上には2つの発光ダイオード1A、1Bと赤外線センサ2とからなるビームコントローラが配置されている。発光ダイオード1A、1Bは電子楽器のパネル前面側から見て横一列に配置されており、その中間に赤外線センサ2が配置される。パネル上におけるこのビームコントローラ上方の空間は物体(具体的には通常は手)を移動させることで操作指示を行うための操作空間となる。このビームコントローラはその近傍に設けられたビームコントローラボタン61をトグル操作することによりON/OFFされるようになっている。
【0021】
発光ダイオード1A、1Bは発光のタイミングが互い違いとなるよう時分割に点灯制御されており、したがって操作空間内に赤外線ビームを同時に照射しないようになっている。また、発光ダイオード1A、1Bはビーム照射方向がパネル鉛直方向から互いに対して外側方向に傾斜するよう設けられている。図5にはこの発光ダイオード1A、1Bから照射される赤外線ビームの等レベル曲線が示される。この図5は実施例の電子楽器を前面側からパネル面上を横方向に見た時の等レベル曲線であり、発光ダイオード1A、1Bの赤外線ビームが互いに外側に向いて傾斜していることが分かる。このように外側に傾斜して設けてあるのは、それぞれの発光ダイオード1A、1Bによって照射される赤外線ビームの照射空間を前面からみて左右方向にずらすことにより、操作空間内における物体の左右方向への移動動作を確実に検出できるようにするためである。また、このような配置とすることにより、装置をコンパクトにすることができるというメリットもある。
【0022】
赤外線センサ2は発光ダイオード1A、1Bから照射された赤外線ビームが操作空間内の物体で反射されて戻ってきたものを受光して、その受光レベルに応じた電気量を出力する素子である。発光ダイオード1A、1Bは時分割で点灯制御されているから、赤外線センサ2は発光ダイオード1A、1Bの赤外線(反射光)を時間的に交互のタイミングで受光することになる。この実施例では発光ダイオード1Aから照射されて物体から反射してきた赤外線のレベルを「検出値RA」とし、発光ダイオード1Bから照射されて物体から反射してきた赤外線のレベルを「検出値RB」とする。
【0023】
その他の操作子64はRAM5に設けられたPHRASE1レジスタ〜PHRASE3レジスタに登録するフレーズを選択するためのに使われれる操作子やシーケンサで再生する曲データを選択するための操作子であり、選択方法は一般的なものを採用してあるので、詳細な説明は省くことにする。また、MODEボタン651 〜657 は後述するモードを選択するための操作子であり、モード1〜7の何れかを選択することができる。また、PLAYボタン62は選択された曲データを再生するためのボタン、STOPボタン63は再生を停止するボタンである。
【0024】
シーケンサ7内部のROM71に記憶されているフレーズの演奏データは図3に示すようなデータ構成とされている。すなわちフレーズの演奏データの他に、そのフレーズで使用すると好ましいエフェクトの種類(例えばコーラス、リバーブなどで、後述のモード3の具体例などで使用する)を記憶している。
【0025】
図4はRAM内に記憶しているデータの構成を示しており、以下のようなレジスタ及びフラグがある。
MODEレジスタ:現在のモードの番号を示す(電源投入時にMODE=1に初期化される)。
Aレジスタ:現在の検出値RAを現在値Aとして示す(電源投入時に0に初期化される)。
Bレジスタ:現在の検出値RBを現在値Bとして示す(電源投入時に0には初期化される)。
Amax レジスタ:検出値RAの現在までの最大値Amax を示す(電源投入時に0に初期化される)。
Bmax レジスタ:検出値RBの現在までの最大値Bmax を示す(電源投入時に0に初期化される)。
最大値書込み許可フラグ:レジスタAmax 及びBmax への書込み許可/禁止を示すフラグ(電源投入時にはONに初期化される)。ONで書込み許可、OFFで書込み禁止を示す。
LRトリガフラグ:パネル前面から見て物体がビームコントローラ上方を左から右に移動して左右の中間地点(赤外線センサ2の真上付近)を通過したことを示すフラグ(電源投入時にOFFに初期化される)。
RLトリガフラグ:物体が右から左に移動して左右の中間地点を通過したことを示すフラグ(電源投入時にOFFに初期化される)。
PHRASE1レジスタ:第1フレーズとして登録されたフレーズの番号を示す。
PHRASE2レジスタ:第2フレーズとして登録されたフレーズの番号を示す。
PHRASE3レジスタ:第3フレーズとして登録されたフレーズの番号を示す。
【0026】
以下、この実施例装置の動作を説明する。この実施例装置では、パネル上に設けられたビームコントローラ上方の操作空間内において物体を上下左右に動かすことで、各種の操作指示を行える。この操作指示は、物体をパネル前面から見て右から左に払うように移動させたか、あるいは左から右に移動させたか、そのときのパネル面から見た物体の高さはどの位であったか、などに応じてその操作指示の内容を変更できるようにしている。
【0027】
ビームコントローラの発光ダイオード1A、1Bはそれぞれビーム照射方向が外向きに傾斜して設けられているので、例えば図5の矢印の方向(左から右への方向)に物体(例えば手である)を動かしていくと、発光ダイオード1A、1Bの各検出値RA、RBは図6に示すような特性を示す。図6において、横軸はビームコントローラ前面(パネル前面)から見た横方向への物体の位置、縦軸は検出値RA、RBの値である。まず、発光ダイオード1Aからの赤外線ビームに対する特性について述べると、物体が左側から操作空間内に入るに従って、発光ダイオード1Aに物体が接近して赤外線センサ2への反射光が増加していくので、検出値RAは漸増し、やがて発光ダイオード1Aの近傍位置で物体の高さに応じたピーク値RApeak(特性中の頂点部分)に達し、その後は物体が発光ダイオード1Aから離れていくので、検出値RAは漸減していき、結果として図示するような山形となる。同様に、発光ダイオード1Bからの赤外線ビームに対する特性もピーク値をRBpeakとする山形となるが、検出値RBがピーク値となる位置が発光ダイオード1B近傍である点が異なる。物体を右から左に操作空間に入るように移動させた場合も同様な特性が得られることは容易に理解できる。
【0028】
この図6の特性から分かるように、二つの検出値RA、RBが同時に同じ値となる位置は、赤外線センサ2の真上付近であり、そのときパネル上のどの位の高さで物体を移動させたかによって検出値RA、RBの大きさ(絶対値)が変わってくる。また、検出値RAとRBのうちどちら側が先にピーク値となるかによって、物体を右から左に移動させたのか、あるいは左から右に移動させたのかが分かる。本実施例装置では、これらの物体の移動態様に応じて操作指示の内容を切り換えるようにしており、さらに各モード毎にその操作指示の内容も切り換えるようにしている。
【0029】
このモードの選択は、MODEボタン651 〜657 の何れかを押すことで行う。図13〜図19にはモード1〜7にそれぞれ応じた具体的な表示画面が示される。この表示画面はパネル上の表示器66に表示される。各モードにおける詳細な操作指示の内容は後述することとし、ここでは図13に示すモード1の表示画面を参照して表示画面の典型的なフォーマットの例を説明する。なお、図13〜図19に示すモード1〜7の詳細な内容については後述する。図13において、表示画面は、発光ダイオード1A、1Bに応じた検出値RA、RBをそれぞれ「L:○○」「R:××」という形で表示し、現在のモードの番号を「MODE=△」という形で示す。また、「L→R」の下には物体を左から右に移動させた場合にそれに対応して、所定の対象機器(例えばシーケンサ、音源あるいはエフェクタなど)に対して行う操作指示の内容を示し、「L←R」の下には右から左に移動させた場合にそれに対応して行う操作指示の内容を示している。この操作指示の内容としては、例えば「L→R」でシーケンサに対する演奏停止指示、「L←R」でフレーズの再生開始指示などである。「VERTICAL」の欄には手の上下方向の各高さ範囲に応じて選択される操作指示の制御対象(図13の例ではフレーズ番号)が表示され、各高さ範囲に対応した検出値の範囲が「VALUE」の欄に表示される。この検出値は「99」に近いほど高さがパネル面からみて低く、「0」に近いほど高さが高い」
【0030】
以下、この実施例装置の動作を図8〜図12のフローチャートを参照して説明する。ここで、図8と図9はメインルーチンのフローチャートである。図10と図11はタイマ割込みルーチンであり、タイマ10からCPU3への5ms毎の割込み毎に実行される。また図12は発光ダイオードに関する処理のフローチャートである。
【0031】
まず、図10と図11に示すタイマ割込み処理ルーチンについて説明する。このタイマ割込みルーチンは、発光ダイオード1A、1Bに応じた検出値RA、RBを逐次に検出して、これらの検出値に基づき、検出値の最大値Amax 、Bmaxの更新処理、LRトリガフラグとRLトリガフラグのオン/オフ処理、最大値書込み許可フラグのオン/オフ処理などを行うものである。
【0032】
タイマ割込み処理ルーチンが起動されると、まず、発光ダイオード1Aに関わる処理を行う(ステップS21)。図12にはこの処理のフローチャートが示される。発光ダイオード1Aを発光させ(ステップS41)、赤外線センサ2で検出した現在の検出値RA(すなわち発光ダイオード1Aについての物体からの反射光に応じた検出値)をAレジスタに現在値Aとして格納し(ステップS42)、発光ダイオード1Aを消灯する(ステップS43)。発光ダイオード1Aに関わる処理が終了したら、次には発光ダイオード1Bに関わる同様な処理を行う(ステップS22)。これにより、発光ダイオード1A、1Bは発光するタイミングが交互となって、これら発光ダイオード1A、1Bからの検出値RA、RBを時分割に得ることができる。
【0033】
現在値A、Bが得られたら、次に、最大値書込み許可フラグがONかOFFかを判定する(ステップS23)。ONであれば、最大値Amax 、Bmax の更新が可能であることを意味するから、まず現在値Aが最大値Amax 以上か否かを判定し(ステップS24)、現在値Aが最大値Amax 以上であれば、その最大値Amax を現在値Aで置き換えることで更新し(ステップS25)、現在値Aが最大値Amax よりも小さければ、その最大値Amax は既にピーク値に至っているものとしてその更新は行わない。次いで、現在値Bが最大値Bmax 以上か否かを判定し(ステップS26)、最大値Bmax 以上であれば、その最大値Bmax を現在値Bで置き換えることで更新し(ステップS27)。現在値Bが最大値Bmax よりも小さければ、最大値Bmax の更新は行わない。
【0034】
次いで、二つの現在値A、Bが等しいか否かを判定する(ステップS28)。二つの現在値A、Bが等しい場合は、図5の特性図からも分かるように、手が左右の中間位置(赤外線センサ2の真上付近)にあることを意味している。この場合には、最大値Amax とBmax の大小関係を判定する(ステップS29)、Amax ≧Bmax であれば、物体が左から右へ移動して中間位置に到達した(Amax >Bmax のとき)、若しくは中間位置付近で上下に振られている(Amax =Bmaxのとき)と推測でき、Amax <Bmax であれば、物体が右から左に移動したと推測できる。Amax ≧Bmax であれば、現在値Aが最大値Amax より小さいか否かを判定する(ステップS30)。この判定は、現在値Aがまだ増加中か、あるいは減少状態に入ったかを見るもので、これにより現在の最大値Amax が現在値Aに関わる特性のピーク値(山の頂点)であるか否かを判定できる。現在の最大値Amax がピーク値であれば、物体は左から右に移動して左右中間位置に到達したと確定でき、よって、LRトリガフラグをONに設定する(ステップS31)。一方、最大値Amax がピーク値でなければ、タイマ割込みルーチンをいったん終了し、次回以降で最大値Amax をさらに更新できるようにする。
【0035】
ステップS29の判定でAmax <Bmax であれば、検出値Bと最大値Bmax について同様の比較処理を行い(ステップS32)、最大値Bmax がピーク値であれば、物体が右から左に移動してい左右中間位置に到達したと確定して、RLトリガフラグをONに設定する(ステップS33)。
【0036】
LRトリガフラグまたはRLトリガフラグがONに設定された後は、ピーク値として検出した最大値Amax 、Bmax が変動しないように最大値書込み許可フラグをOFFにして(ステップS34)、最大値Amax 、Bmax が書き換えられないようにする。これは、後述するようにLRトリガフラグまたはRLトリガフラグがONになるとフレーズの演奏開始指示などがトリガされるが、このトリガ直後に手の動きを変えたことで現在値A、Bが大きくなってAmax レジスタ、Bmax レジスタに新たに最大値が書き込まれてしまうような場合も生じえ、このような場合には、次回の操作指示を行うにあたり、「VALUE」が小さなフレーズ(第1フレーズに相当)を制御対象に選んでトリガすることができなくなってしまうこともあるので、トリガ後は、最大値書込み許可フラグをOFFにして現在値AまたはBがいったん所定の値(0)以下になってからでないと、最大値が更新されないようにするものである。
【0037】
したがって、ステップS23で最大値書込み許可フラグがOFFであると判定された場合は、ビームコントローラ上にかざした手がその左右中間位置を過ぎた(すなわちトリガがされた)場合であると考えることができ、この場合には、現在値AまたはBが「0」になったときには(ステップS35、S36)、手がいったん操作空間内から外に出て手による今回の操作指示が終了したものと判断でき、その場合には次の操作指示に備えて、OFFにした最大値書込み許可フラグを再びONに設定して(ステップS37)、タイマ割込みルーチンを終了する。
【0038】
以上のように、このタイマ割込みルーチンでは、RAM5内のAmax レジスタ、Bmax レジスタにはそれぞれ現在値A、B(=検出値RA、検出値RB)の最大値(ピーク)が記憶されるようになっているので、Amax レジスタ、Bmax レジスタは、図7に示すように、例えば物体を左から右に移動させた場合、Amaxレジスタの値は図の(ア)の位置から変化しない。物体が中間地点(赤外線センサの真上)に達して現在値Aと現在値Bが同じ値になった時(図の(イ)の位置)に、Amax レジスタ、Bmax レジスタの大きさを比較し、そのときの大きい方の値(この場合はAmax レジスタのピーク値)の値に対応する制御対象を選んで処理を実行する(後述するモード=1の場合は「フレーズ2をストップする」という処理)。処理の実行が指示されると、Amax レジスタ、Bmax レジスタは「0」にクリアされるが、現在値A、現在値Bが「0」になるまではAmax レジスタ、Bmax レジスタへの書き込みを禁止するようになっている。
【0039】
次に、図8と図9に示すメインルーチンについて説明する。実施例装置の電源がONにされると、まずRAM5に設けられた前述した各種のレジスタやフラグを初期化する(ステップS1)。次いで、ビームコントローラボタン61が操作されたか否かを判定し(ステップS2)、操作されたならば、その操作によりトグル動作して、今までOFFであったものがONに切換えされたものであれば、表示用発光ダイオード611を点灯し、タイマ割込みをかけるためのタイマ10を起動する。一方、その操作により今までONであったものがOFFに切換えされたものであれば、表示用発光ダイオード611を消灯し、タイマ10をストップする(ステップS3)。
【0040】
次いで、MODEボタン651 〜657 のいずれかが押下操作されたかを判定し(ステップS4)、押されたならば、その押されたMODEボタンに対応するモード番号をMODEレジスタに書き込み(ステップS5)、このMODEレジスタに書き込まれたモード番号に応じた表示画面が表示器66に表示されるよう表示の切換えを行う(ステップS6)。
【0041】
次いで、LRトリガフラグがONか否かを判定し(ステップS7)、ONであれば、手が左から右に横切ったことになり、その場合には、Amax レジスタの最大値Amax (ピーク値)を参照し、対象機器(例えばシーケンサ、音源、エフェクタなど)にそのモードに対応した「L→R」の操作指示と最大値Amax に応じた制御対象情報を送る(ステップS8)。この後、LRトリガフラグをOFFにし、Amax レジスタとBmax レジスタを「0」にクリアする(ステップS9)。LRトリガフラグがOFFであれば、RLトリガフラグがONか否かを判定し(ステップS10)、ONであれば、手が右から左に横切ったことになり、その場合には、Bmax レジスタの最大値Bmax を参照し、そのモードに対応した操作指示と制御対象情報を対象機器(例えばシーケンサ、音源、エフェクタなど)に送り(ステップS11)、RLトリガフラグをOFFにし、Amax レジスタとBmax レジスタを「0」にクリアする(ステップS12)。次いで、その他の必要な処理を行い(ステップS13)、以上の処理をループして繰り返す(S2〜S13)。
【0042】
なお、この「その他の必要な処理」として、RLトリガフラグまたはLRトリガフラグのONに応じてトリガ処理がされる前に、「VERTICAL」の下に表示されている制御対象の項目について、そのトリガ処理により行われる操作指示の制御対象の項目の表示形態を他のものと変えて表示(例えば明るく光らせる、あるいは下地を白黒反転するなど)するような処理を行ってもよい。すなわちAmax レジスタ、Bmax レジスタの値のうちどちらか大きい方の値が「VALUE」のどの範囲に入るのかを判定し、それに基づいて「VERTICAL」の下に並ぶ項目の表示形態を変えて表示するようになっている。こうすることで、操作者は操作指示を実行する前に(左右中間位置でトリガがされる前に)、これから操作指示されようとしている制御対象が何であるかを前もって知ることができるので、演奏中に間違った処理を実行したりすることがなくなる。
【0043】
以下、モード1〜7の詳細な具体例について説明する。
〔モード1〕図13にはモード1の表示画面が示される。このモード1はシーケンサを制御するための操作指示を与えるためのモードである。ビームコントローラ上方を右から左に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、そのときの最大値Bmax (ピーク値)に対応するフレーズをトリガ(演奏開始)する。一方、ビーム上方を左から右に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、そのときの最大値Amax (ピーク値)に対応するフレーズの演奏を停止する。
【0044】
表示画面には、「L→R」の下には左から右に操作された場合の操作指示内容「STOP」が表示され、「L←R」の下には右から左に操作された場合の操作指示内容「TRIGER」が表示されている。「VERTICAL」の欄には物体の上下方向の高さに応じてトリガ/ストップされるフレーズの番号が表示され、それらを制御するためのピーク値の範囲の設定が「VALUE」の欄に例えば「0〜33」のように表示される。
【0045】
CPU3は、物体の右から左への移動でトリガ指示された場合には、Bmax レジスタのピーク値を参照して対応するフレーズの再生開始指示をシーケンサに送り、物体の左から右への移動でストップ指示された場合には、Amax レジスタのピーク値を参照して、対応するフレーズの再生停止指示をシーケンサに送るようになっている。
【0046】
〔モード2〕図14にはモード2の表示画面が示される。このモード2もシーケンサを制御するための操作指示を与えるためのモードである。ビームコントローラ上方を右から左に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Bmax レジスタのピーク値に対応するフレーズを1回だけ演奏するようワンショット・トリガする。一方、ビームコントローラ上方を左から右に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Amax レジスタのピーク値に対応するフレーズを繰り返し演奏するようループ・トリガする。さらに、フレーズをループでトリガした後、もう一度左から右に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Amax レジスタのピーク値に対応するフレーズのループ再生を停止する。
【0047】
表示画面には、「L→R」の下には左から右に操作された場合の操作指示内容「LOOP TRIGER/LOOP STOP」を表示し、「L←R」の下には右から左に操作された場合の操作指示内容「ONE SHOT TRIGER」を表示している。「VERTICAL」の欄には上下方向の高さに応じてトリガされるフレーズの番号が表示され、「VALUE」の欄には各フレーズの高さに対応したピーク値の範囲が例えば「0〜33」のように表示される。
【0048】
CPU3は、右から左への移動でトリガ指示された場合には、Bmax レジスタのピーク値を参照して対応するフレーズをワンショット(1回限りの再生)で再生開始する指示をシーケンサに送り、左から右への移動でトリガされた場合には、Amax レジスタのピーク値を参照して、対応するフレーズをループ再生する指示をシーケンサに送るようになっている。このとき、対応するフレーズが既にループ再生(繰り返しての再生)されている場合は、ループ再生を停止する指示をシーケンサに送るようになっている。
【0049】
〔モード3〕図15にはモード3の表示画面が示される。このモード3はシーケンサとエフェクタを制御するための操作指示を与えるためのモードである。ビームコントローラ上方を右から左に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Bmax レジスタのピーク値に対応するフレーズをエフェクト「ON」でトリガして再生開始する。また、ビームコントローラ上方を左から右に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Amax レジスタのピーク値に対応するフレーズをエフェクト「OFF」でトリガする。このとき、フレーズのデータ内に記憶されているエフェクトの種類に応じてエフェクタ9にエフェクト切換え「ON/OFF」の指示をするようになっている。
【0050】
表示画面には、「L→R」の下には左から右に操作された場合の操作指示内容「EFFECT ON+TRIGER」を表示し、「L←R」の下には右から左に操作された場合の操作指示内容「EFFECT OFF+TRIGER」を表示している。「VERTICAL」の欄には上下方向の高さに応じてトリガされるフレーズの番号が表示され、「VALUE」の欄には各フレーズの高さに対応したピーク値の範囲が例えば「0〜33」のように表示される。また、このモード3のときには、画面の一番下の「EFFECT TYPE」の欄にRAMのPHASEに登録した3つのフレーズに対応するエフェクトの種類が「CHORUS/REVERVE/EQ」のように表示されるようになっている。
【0051】
CPU3は、右から左にトリガされた場合には、Bmax レジスタのピーク値を参照して、それに対応するフレーズを再生する指示をシーケンサ7に送るとともに、当該フレーズに対応するエフェクトの種類を付与する指示をエフェクタ9に送る。また、左から右にトリガされた場合には、Amax レジスタのピーク値を参照してそれに対応するフレーズを再生する指示をシーケンサ7に送る。このとき、そのフレーズにエフェクトはかからない。
【0052】
〔モード4〕図16にはモード4の表示画面が示される。このモード4はシーケンサ7を制御するための操作指示を与えるためのモードである。ビームコントローラ上方を右から左に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、RAM5のPHRASE1〜PHRASE3に登録されているフレーズを順番にトリガする。すなわち、例えばPHRASE1を再生後にこの操作が行われた場合はPHRASE2を再生する。要するに「次のフレーズ再生」となる。この際、再生されるフレーズの音量は、Bmax レジスタのピーク値に対応したボリユームで再生される。また、ビームコントローラ上方を左から右に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、RAM5に登録されているフレーズを逆順番にトリガする。例えばPHRASE3を再生後にこの操作が行われた場合はPHRASE2を再生する。要するに「前のフレーズ再生」となる。このとき、再生されるフレーズの音量は、Amax レジスタのピーク値に対応したボリユームで再生される。
【0053】
表示画面には、「L→R」の下には左から右に操作された場合の操作指示内容「PRIVIEW PHRASE TRIGER」を表示し、「L←R」の下には右から左に操作された場合の操作指示内容「NEXT PHRASE TRIGER」を表示している。「VERTICAL」の欄には「VOLUME CONTROL」と表示され、上下方向の高さに応じた音量でフレーズをトリガすることを示している。
【0054】
CPU3は一番最初に右から左の操作でトリガされた場合には、RAM5に記憶されている最初のフレーズをBmax レジスタのピーク値を参照して対応するボリユームで再生する指示をシーケンサ7に送る。このとき、再生したフレーズにポインタを設定し、次にもう一度右からトリガされた場合は、ポインタを次のフレーズに移動して、次のフレーズをBmax レジスタのピーク値を参照して対応するボリユームで再生する指示をシーケンサ7に送る。
【0055】
また、CPU3は左から右への操作でトリガされた場合には、Amax レジスタのピーク値を参照して対応するポインタを1つ前のフレーズに移動して、前回トリガしたフレーズを、Amax レジスタを参照して対応するボリユームで再生する指示をシーケンサ7に送る。なお、このモード4では、上下方向の高さに応じて音量をコントロールしていたが、これに限らず、シーケンサ7に対して上下方向の高さに応じてパンポットやテンポの指示を送ってもよい。
【0056】
〔モード5〕図17にはモード5の表示画面が示される。このモード5はシーケンサ7を制御するための操作指示を与えるためのモードである。ビームコントローラ上方を右から左に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Bmax 実施例のピーク値に対応するフレーズをトリガする。このとき、シーケンサ7で他のフレーズ或いは曲データを再生中であろうとなかろうと、当該フレーズをトリガして再生開始する。一方、ビームコントローラ上方を左から右に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Amax レジスタのピーク値に対応するフレーズをトリガする。このとき、もしシーケンサ7で曲データを再生中の場合は、シーケンサ7での曲の演奏をミュートしてフレーズをトリガする。このとき、すでにシーケンサ7での曲の演奏がミュートされている場合は、そのミュートを解除するようになっている。
【0057】
表示画面には、「L→R」の下には左から右に操作された場合の操作指示内容「MUTE ON TRIGER/MUTE OFF」を表示し、「L←R」の下には右から左に操作された場合の操作指示内容「TRIGER」を表示している。「VERTICAL」の欄には上下方向の高さに応じてトリガされるフレーズの番号が表示され、それらフレーズ番号を選択するためのピーク値の範囲が「VALUE」の欄に「0〜33」のように表示される。
【0058】
CPU3は右から左への操作でトリガされた場合には、Bmax レジスタのピーク値を参照して対応するフレーズの再生開始指示をシーケンサ7に送り、左から右への操作でトリガされた場合には、Amax レジスタのピーク値を参照して対応するフレーズの再生開始指示をシーケンサ7に送るとともに、シーケンサ7で演奏されている曲データの演奏をミュートする指示をシーケンサ7に送るようになっている。このとき、シーケンサ7の曲データが既にミュートされている場合はミュートを解除する指示をシーケンサ7に送るようになっている。よって、シーケンサ7による曲データの再生が行われていない場合には、左右どちらからも同じようにフレーズをトリガすることになる。
【0059】
〔モード6〕図18にはモード6の表示画面が示される。このモード6は音源8のみを制御するための操作指示を与えるためのモードである。音源8で発音可能な音色が以下のようにグループ別に設定されているものとする。
グループ番号 グループ名 音色番号 音色名:1 ピアノ 1 ピアノ11 ピアノ 2 ピアノ21 ピアノ 3 ホンキートンク2 ベース 1 ピックベース2 ベース 2 ウッドベース2 ベース 3 フレットレスベース3 ギター 1 クリーンギター3 ギター 2 ナイロンギター3 ギター 3 ディストーションギター・ ・・・ ・ ・・・・・・ ・・・ ・ ・・・・・音源8はCPU3から送られてくるこれらの音色グループ番号と音色番号に従って楽音の音色を発生する。
【0060】
ビームコントローラ上方を右から左に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Bmax レジスタのピーク値に応じて、ピーク値=0〜50の場合に音色グループ番号をインクリメントさせ、ピーク値=51〜99の場合に音色番号をインクリメントさせる。また、ビームコントローラ上方を左から右に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Amax レジスタのピーク値に応じて、音色グループ番号または音色番号をデクリメントさせる。
【0061】
表示画面には、「L→R」の下には左から右に操作された場合の操作指示内容「デクリメント」を表示し、「L←R」の下には右から左に操作された場合の操作指示内容「インクリメント」を表示している。「VERTICAL」の欄には物体の上下方向の高さに応じて、音源8に対して音色グループ番号が送られるか、音色番号が送られるかを選択できるようになっている。それらを選択するためのピーク値の範囲が「VALUE」の欄に「0〜50」のように表示される。
【0062】
CPU3は右から左への操作でトリガされた場合には、Bmax レジスタのピーク値を参照して音色グループ番号或いは音色番号をインクリメントする指示を音源8に送り、左から右への操作でトリガされた場合には、Amax レジスタのピーク値を参照して音色グープ番号或いは音色番号をデクリメントする指示を音源8に送る。
【0063】
なお、このモード6では、物体の移動操作で音源8の音色の切換えをするものであったが、これに限らず、音源8に関するあらゆるパラメータに応用できるものである。また、例えば、音源8の制御に代えてシーケンサ7の制御にし、シーケンサROM71に記憶しているフレーズを、そのフレーズ番号をインクリメント/デクリメントすることで選択できるようにしてもよい。すなわち、シーケンサROM71に記憶されている100のフレーズをカテゴリー別に分けてそれぞれにカテゴリー番号を割り当て、さらに各カテゴリー番号に含まれるフレーズにフレーズ番号を割り当てておき、上述のモード6の音色グループをフレーズのカテゴリー番号、音色番号をフレーズ番号として、物体の右から左への操作または左から右への操作に応じて、それらカテゴリー番号またはフレーズ番号をインクリメントまたはデクリメントするようにする。
【0064】
〔モード7〕図19にはモード7の表示画面が示される。このモード7はエフェクタ9のみを制御するための操作指示を与えるためのモードである。エフェクタ9は3つの種類のエフェクタの組み合わせからなるエフェクトパッチを複数備えている。図2のその他の操作子64により付加させるエフェクトパッチを選択できるようになっている。
【0065】
ビームコントローラ上方を右から左に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Bmax レジスタのピーク値に対応するエフェクトをONする。また、ビームコントローラ上方を左から右に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Bmax レジスタのピーク値に対応するエフェクトをOFFする。
【0066】
表示画面には、「L→R」の下には左から右に操作された場合の操作指示内容であるエフェクト「ON」を表示し、「L←R」の下には右から左に操作された場合の操作指示内容であるエフェクト「OFF」を表示している。「VERTICAL」の欄にはエフェクトパッチ内のエフェクトの種類(この例ではワウ、ディストーション、リバーブ)を上下に3つ表示するようになっており、それらON/OFF制御するエフェクトの種類を選択するためのピーク値の範囲が「VALUE」の欄に「0〜33」のように表示される。「VERTICAL」の欄の下の3つのエフェクトの種類はそれぞれその他の操作子64で設定するようになっており、図示されていないRAM5内のレジスタに記憶するようになっている。
【0067】
CPU3は、右から左への操作でトリガされた場合には、Bmax レジスタのピーク値を参照して対応するエフェクトをONにする指示をエフェクタ9に送り、左から右への操作でトリガされた場合には、Amax レジスタのピーク値を参照して対応するエフェクトをOFFにする指示をエフェクタ9に送るようになっている。
【0068】
なお、モード7では、物体の移動操作によりエフェクトの種類の切換えをするものであったが、これに限らず、同様の手法でエフェクタに関するあらゆるパラメータを制御することができる。
【0069】
なお、この実施例装置におけるモードの具体例としては、以上に説明したものの他にも、例えば以下に示すモード8〜モード10などのような種々の形態が可能である。これらについて以下に説明するが、図示は省略する。
【0070】
〔モード8:シーケンサ制御+音源制御〕このモード8は、シーケンサ7と音源8に対する制御の操作指示を行うモードである。ビームコントローラ上方を右から左に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Bmax レジスタのピーク値に対応するフレーズをトリガし、その後、そのフレーズの演奏に対して、赤外線センサ2の検出値RA、検出値RB(=現在値A、B)に応じた大きさでモジュレーションやピッチベンドをかけるようにする。なお、検出値RAあるいは検出値RBの値が100以上になると、このコントロールは解除される。また、ビームコントローラ上方を左から右に物体を移動させると、物体が左右中間地点を通過した際に、Amax レジスタのピーク値に対応するフレーズを単にトリガするようにし、この場合にはモジュレーションやピッチベンドを物体の移動操作でコントロールしない。
【0071】
表示画面には、「L→R」の下には左から右に操作された場合の操作指示内容「TRIGER+CONTROL ON」を表示し、「L←R」の下には右から左に操作された場合の操作指示内容「TRIGER+CONTROL OFF」を表示している。「VERTICAL」の欄には上下方向の高さに応じてトリガされるフレーズの番号が表示され、それらを選択するためのピーク値の範囲が「VALUE」の欄に「0〜33」などのように表示される。このモード8では、フレーズをトリガした後、「VERTICAL」で選択されたフレーズに対して制御をかけるパラメー夕名が画面の一番下に例えば「CONTROL=MODULATION」などのように表示されるようになっている。
【0072】
〔モード9:音源制御〕このモード9は、音源8に対する制御の操作指示を行うモードである。音源8はフィルタを備える音源とする。ビームコントローラ上方を右から左に物体を移動させた場合には、物体が左右中間地点を通過した後に、赤外線センサ2の現在(左右中間地点通過後)の検出値RA、検出値RBに応じた値で、フィルタのレゾナンスを可変制御できるようにする。また、ビームコントローラ上方を左から右に物体を移動させた場合には、物体が左右中間地点を通過した後に、赤外線センサ2の検出値RA、検出値RBに応じた値で、フィルタのカットオフを可変制御できるようにする。なお、検出値RAあるいは検出値RBの値が100以上になると、これらのフィルタの制御は解除される。
【0073】
表示画面には、「L→R」の下には左から右に操作された場合に制御されるパラメータ名「レゾナンス」を表示し、「L←R」の下には右から左に操作された場合に制御されるパラメータ名「カツトオフ」を表示している。「VERTICAL」の欄には物体が左右中間地点を通過した後に、上下方向の移動により前記パラメータを連続的に可変制御することを示す「SEQUENCIAL CONTROL」という表示がされる。「L→R」や「L←R」の下に設定されている「カットオフ」等の音源パラメータはパネルのその他の操作子64で選択設定できるようにしてあってもよい。
【0074】
〔モード10:音源制御〕このモード10は、音源8に対する制御の操作指示を行うモードである。音源8にはLFO(低周波発振器)を備える。ビームコントローラ上方を右から左に物体を移動させた場合には、物体が左右中間地点を通過した後に、赤外線センサ2の現在の検出値RA、検出値RBに応じた値で、LFOのLFOデプス(振幅)を可変制御できるようにする。また、ビームコントローラ上方を左から右に物体を移動させた場合には、物体が左右中間地点を通過した後に、赤外線センサの検出値RA、検出値RBに応じた値で、LFOレイト(周期)を可変制御できるようにする。なお、検出値RAあるいは検出値RBの値が100以上になると、上記のコントロールは解除される。
【0075】
表示画面には、「L→R」の下には左から右に操作された場合に制御されるパラメータ名「LFOデプス」を表示し、「L←R」の下には右から左に操作された場合に制御されるパラメータ名「LFOレイト」を表示している。「VERTICAL」の欄には物体が左右中間地点を通過した後に、上下方向の移動により前記パラメータを連続的に可変制御することを示す「SEQUENCIAL CONTROL」という表示がされる。
【0076】
なお、以上に説明した実施例装置では、赤外線センサ2の検出値RAと検出値RBが同じ値になったときに所定の操作指示を行うようにしたが、検出値RAと検出値RBとの差が所定の範囲内になったときに操作指示を行うようにしてもよいし、また検出値RAと検出値RBの比が所定の比になったときに操作指示を行うようにしてもよい。
【0077】
また、上述の実施例では、物体の上下方向の位置と物体がどちらから移動されて2つの赤外線LEDの中間地点になったかとを検出して、多種多様な制御を行うようにしたが、さらに物体が移動する速度を検出してその移動速度に応じた制御も付加するものであってもよい。この速度の検出は、Amax レジスタ、Bmaxレジスタを監視してどちらかがピーク値になってから物体が中間地点に至るまでの時間を検出することにより、実現可能である。
【0078】
この場合の応用として、例えば、物体の高さに応じてコードの種類を指定する。また、右から左への操作に応じてコードの構成音の発音順をアップストロークの発音順序で、また左から右への操作に応じてダウンストロークの発音順序で指定する。さらに、物体の速度に応じて構成音が発音するタイミングとベロシティを指定する。このタイミングとベロシティの指定では、速度が速ければ、最初の構成音の発音の後の残りの構成音の発音は速いタイミングで、しかも大きな音量で発音する。また速度が遅ければ、最初の構成音の発音の後の残りの構成音の発音は遅いタイミングで、しかも小さな音量で発音する。また、この場合の表示画面は図20に示すように表示する。
【0079】
この方法によれば、物体を右から左に速く移動させてトリガすれば、構成音の発音タイミングを早く、しかも大きな音量でダウンストロークの発音がされる。一方、物体を左から右にゆっくり移動させてトリガすれば、構成音の発音夕イミングを遅く、しかも小さな音量でアップストロークの発音がされる。まさにギターのカッティング奏法のシミユレーションが可能となるものである。
【0080】
本発明の実施にあたっては上述したものの他にも種々の変形形態が可能である。例えば、上述の実施例では、2つの赤外線発光ダイオード1A、1Bと1つの赤外線センサ2を用いて物体の左右への動作を検出し、右から左への移動か左から右への移動かに応じて操作指示の内容を変えたが、単に、空間内での物体の移動で作られるピーク値(すなわち高さ)だけに応じて異なる処理をさせるのであるならば、前述の実施例を簡素化し、1つの赤外線発光ダイオードと1つの赤外線センサだけでも制御を行うことが可能である。
【0081】
すなわち、前述の実施例装置における赤外線発光ダイオード1Aのビーム照射方向をパネル面に対し鉛直にして赤外線センサ2の受光面も上方に同じ向きに配置し、赤外線発光ダイオード1Bは取り除く。この場合、発光ダイオード1Aは時分割ではなく連続的に点灯するようにする。所定時間毎に検出値RAを検出し、検出値RAが増加している場合はAmax レジスタにその検出値RAを最大値として記憶し、検出値RAが減少し始めたら、Amax レジスタの値をピーク値として、そのピーク値の大きさに応じた所定の処理を実行させるというものである。なお、このようなピーク値は、物体が左または右方向から水平に移動していて、赤外線センサ2の真上を通過したときや途中で反対方向に戻したとき、或いは物体を上から下に移動させていて途中から上方向に戻したときなどに生じる。
【0082】
この場合、RAM5には以下のレジスタやフラグを設定する。
Aレジスタ:発光ダイオード1Aからの現在の検出値RAを現在値Aとして記憶する。
Amax レジスタ:現在値Aの現在までの最大値Amax を記憶する。
トリガフラグ:ONの時は処理実行を指示する。
最大値書込み許可フラグ:ON時は最大値の書き込みを許可する。一度処理の実行が指示されると、検出値RAが「0」になるまで最大値書き込みフラグが「OFF」となるため、次の処理は行われない。
【0083】
また、この実施例装置では、MODEボタンにより次の4つのモード11〜モード14を設定できるものとする。
〔モード11:シーケンサ制御〕検出値RAが最大値でなくなった場合(すなわちAmax レジスタの値がピーク値となった場合)に、その最大値Amax に対応するフレーズの再生指示をシーケンサ7に送る。
〔モード12:シーケンサ制御〕検出値RAが最大値でなくなった場合(すなわちAmax レジスタの値がピーク値となった場合)に、その最大値Amax に対応して曲データの再生・停止指示をシーケンサ7に指示する。
〔モード13:音源制御〕検出値RAが最大値でなくなった場合(すなわちAmax レジスタの値がピーク値となった場合)に、その最大値Amax に対応する音色に切り換える指示を音源に指示する。
〔モード14:エフェクト制御〕検出値RAが最大値でなくなった場合(すなわちAmax レジスタの値がピーク値となった場合)に、その最大値Amax に対応するエフェクトの種類に切り換える指示をエフェクタ9に指示する。
【0084】
以下、この実施例装置の動作を図21、図22のフローチャートを参照して説明する。ここで、図21はメインルーチンのフローチャートである。図22はタイマ割込みルーチンであり、タイマ10からCPU3への5ms毎の割込み毎に実行される。まず、この図22に示すタイマ割込み処理ルーチンについて説明する。このタイマ割込みルーチンは、発光ダイオード1Aに応じた検出値RAを逐次に検出して、これらの検出値に基づき、検出値の最大値Amax の更新処理、トリガフラグのオン/オフ処理、最大値書込み許可フラグのオン/オフ処理などを行うものである。
【0085】
タイマ割込み処理ルーチンが起動されると、まず、発光ダイオード1Aに関わる処理を行う(ステップS61)。この処理は赤外線センサ2で検出した現在の検出値RAを現在値AとしてAレジスタに格納する処理である。現在値Aが得られたら、次に、最大値書込み許可フラグがONかOFFかを判定する(ステップS62)。ONであれば、最大値Amax の更新が可能であることを意味するから、現在値Aが最大値Amax 以上か否かを判定し(ステップS63)、最大値Amax 以上であれば、その最大値Amax を現在値Aで置き換えることで更新し(ステップS66)、現在値Aが最大値Amax よりも小さければ、その最大値Amax はピーク値に至ったものとして、トリガフラグを「ON」にする(ステップS64)。トリガフラグが「ON」に設定された後は、ピーク値として検出した最大値Amax が変動しないように最大値書込み許可フラグをOFFにして(ステップS65)、最大値Amax が書き換えられないようにする。最大値書込み許可フラグをOFFとする理由は前述の実施例と同じである。
【0086】
ステップS62で最大値書込み許可フラグがOFFであると判定された場合は、現在値A=0か否かを判定することにより(ステップS67)、ビームコントローラ上にかざした手が操作空間内から外に出て手による今回の操作指示が終了したか否かを判定する。今回の操作指示が終了した場合には、次の操作指示に備えて、OFFにした最大値書込み許可フラグを再びONに設定して(ステップS68)、タイマ割込みルーチンを終了する。
【0087】
次に、図21に示すメインルーチンについて説明する。実施例装置の電源がONにされると、まずRAM5に設けられた前述した各種のレジスタやフラグを初期化する(ステップS51)。次いで、前述の実施例のステップS2〜S6に相当するパネル処理を行う(ステップS52)。次いで、トリガフラグがONか否かを判定し(ステップS53)、ONであれば、Amax レジスタの最大値Amax(ピーク値)を参照し、対象機器(例えばシーケンサ、音源、エフェクタなど)にそのモードに対応した操作指示を送る(ステップS8)。この後、トリガフラグをOFFにし、Amax レジスタを「0」にクリアする(ステップS55)。次いで、その他の必要な処理を行い(ステップS13)、以上の処理をループして繰り返す(S2〜S13)。
【0088】
この実施例装置では、現在値Aと最大値Amax とを比較して現在値Aが最大値Amax を下回ったときに、音楽制御が開始されるようになっているが、本発明はこれに限定されず、例えば現在値Aが最大値Amax から所定の値だけ下回った場合に音楽制御を開始するものであってもよい。例えば仮に所定の値を5として、現在の最大値Amax が50であるとすると、現在値Aが50から45に減少している間は処理が実行されず、44以下になった時点で初めて処理を実行するようにする。こうすることにより、物体の微妙な動きや外界からのノイズで不本意に処理が実行されてしまうことを防ぐことができる。
【0089】
また、本発明の実施にあたって、以上に説明したものの他に、次のような変形形態も可能である。例えば、ビームコントローラの構成は上述のものに限られるものではなく、例えば図23に示すように、二つの赤外線発光ダイオード1A、1Bのビーム照射方向を互いに外側に向けて傾けることに代えて、互いに内側に向けて傾けるものであってもよい。また、図24に示すように、二つの赤外線センサ2A、2Bを離して配置し、その中間位置に赤外線発光ダイオードをそのビーム照射方向を垂直方向に向けて配置するものであってもよい。また、図25に示すように、上向きに配置された赤外線発光ダイオード1Aと赤外線センサ2Aを一つのペアー、同じく上向きに配置された赤外線発光ダイオード1Bと赤外線センサ2Bを他の一つのペアーとし、この二つのペアーを離して配置するものであってもよい。また、上述の実施例では発光ダイオードとセンサを横方向に配置して物体の左右方向の動きに応じて操作指示の内容を変えるようにしたが、これに限らず、発光ダイオードとセンサを横方向とともに前後方向にも配置して、物体の前後左右方向の動きに応じて操作指示を行えるようにしてもよい。
【0090】
また、上述の実施例では光源として赤外線発光ダイオードを用いた場合について説明したが、これに限らず、通常の可視光領域あるいは紫外線領域の波長の光を検出して音楽制御を行うものであってもよく、それらの領域の光を発生する発光ダイオードを用いるものなどであってもよい。また、発光ダイオードに代えて通常のランプやレーザダイオードなどを用いることも可能である。さらには、これらの光に代えて電波、超音波、磁気などを検出するようにしてもよい。
【0091】
また、上述の第1の実施例では、二つの発光ダイオード1A、1Bからの反射光を、時分割で受光することで、それぞれの発光ダイオード1A、1Bからの反射光をそれぞれ区別しているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば発光ダイオード1Aと1Bの照射光の波長を異ならせて同時的に照射し、センサ側にはそれぞれの波長に対応したセンサ(フィルタで波長を分離するなどの方法が可能)を二つ配置することで、発光ダイオード1A、1Bからの反射光をそれぞれ区別できるようにしてもよい。
【0092】
また、上述の実施例では、この電子音楽装置により電子楽器の制御を行うようにしたが、この電子音楽装置とは対照的に、一般的な制御装置として以下のような用途にも応用できる。
1.一般音響機器の制御。例えばミニコンポ、ラジカセ、CDプレーヤ、DJミキサー、ハードディスクレコーダ、MDプレーヤ、DAT装置、ミキサー、アンプ、イコライザ、その他の録音スタジオの器材などの制御。具体的な制御の例として、曲の選択や切換え、再生、録音、停止、フェードイン/フェードアウト、CD/MDなどのディスクチェンジ、内蔵エフェクタのオン/オフ、テンポやボリュームの指定、音響信号を出力するスピーカの選択指定、イコライジングパターンやミキシングパターンの切換えや選択指定。
2.映像機器全体の制御。例えばTVゲーム、ビデオデッキ、DVD、LDプレーヤ、液晶プロジャクタ、ビデオミキサーなどの制御。具体的な制御の例として、音楽制御に同期して映像の切換え、ワイプ指示、ワイプパターンの選択、ビデオの頭出し指定(VISS/VASS)、映像機器の音響部分の制御など。
3.会場の照明その他の仕掛けの制御。会場としては例えばホール、スタジアム、クラブなどがある。具体的な制御の例として、音楽制御に同期して照明の制御、音楽制御に同期してストロボランプを発生させる、音楽制御に同期して会場照明の色や色のパターンを切り換える、音楽制御に同期して花火を打ち上げるなどである。
4.上記の1.〜3.にある装置の組合せを制御する。特に、DJ(ディスク・ジョッキー)やVJ(ビデオ・ジョッキー)に応用すれば、新規な聴覚的・視覚的な効果を奏することができる。
【0093】
なお、上述した実施形態においては、楽音生成手段として、予めフレーズを表現する演奏データを記憶しておき、この演奏データを読み出し、読み出した演奏データに基づいて楽音信号を生成するものについて説明したが、楽音信号を生成することができるものであれば、どのようなものを楽音生成手段としてもよい。例えば、上記した実施形態において、音源8に予めフレーズを表現する複数の楽音波形データを記憶しておき、演奏データによりいずれの楽音波形データを読み出すかを指定して、指定した楽音波形データを読み出すことにより楽音信号を生成するようにしてもよい。
【0094】
またこの場合、鍵盤やパッドなどの演奏操作手段を備え、演奏者の演奏操作に応じて演奏操作手段から演奏データを発生させ、この演奏データに対応する楽音波形データを読み出すようにしてもよい。あるいは、MIDI信号などの外部既記からの演奏データを入力する演奏データ入力端子を備え、演奏データ入力端子から入力された演奏データに基づいて楽音信号を生成するものを楽音生成手段とすることができる。
【0095】
楽音波形データを読み出すことにより楽音信号を生成する場合には、反射光の検出値が所定の条件を満たしたことを条件に、予め設定されている所定のフレーズのうち、満たした条件に対応する楽音波形データを読み出すようにすることができる。
【0096】
また、音楽制御手段、選択手段および楽音生成手段は、専用のハードウェアにより構成することもできるし、CPUあるいはDSPなどの処理装置とこの処理装置で実行される処理プログラムとにより構成することもできる。
【0097】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、操作空間内で物体を移動させることにより所望の音楽制御を確実に行うことができるようになる。また、物体の移動態様を種々変えることで種々の内容の音楽制御も行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例としての電子音楽装置を搭載した電子楽器のハードウェア構成を示す図である。
【図2】実施例装置のパネル構成を示す図である。
【図3】実施例装置で用いるフレーズのデータ構成を説明する図である。
【図4】実施例装置におけるRAMの格納データの構成を示す図である。
【図5】実施例装置における検出値RA及び検出値RBの等レベル曲線を示す図(横から見た図)である。
【図6】実施例装置において物体が水平方向に横切った場合の検出値RA及び検出値RBの特性を示す図である。
【図7】実施例装置において物体が水平方向に横切った場合のAmax レジスタ及びBmax レジスタに格納される値の特性を示す図である。
【図8】実施例装置におけるメインルーチン(1/2)のフローチヤートである。
【図9】実施例装置におけるメインルーチン(2/2)のフローチヤートである。
【図10】実施例装置におけるタイマ割込ルーチン(1/2)のフローチヤートである。
【図11】実施例装置におけるタイマ割込ルーチン(2/2)のフローチヤートである。
【図12】実施例装置における発光ダイオード1Aの処理を示すフローチヤートである。
【図13】実施例装置におけるモード1の時の表示画面の具体例を示す図である。
【図14】実施例装置におけるモード2の時の表示画面の具体例を示す図である。
【図15】実施例装置におけるモード3の時の表示画面の具体例を示す図である。
【図16】実施例装置におけるモード4の時の表示画面の具体例を示す図である。
【図17】実施例装置におけるモード5の時の表示画面の具体例を示す図である。
【図18】実施例装置におけるモード6の時の表示画面の具体例を示す図である。
【図19】実施例装置におけるモード7の時の表示画面の具体例を示す図である。
【図20】実施例装置における物体移動速度にも応じて操作を行うモードの時の表示画面の具体例を示す図である。
【図21】本発明の他の実施例におけるメインルーチンを示すフローチャートである。
【図22】本発明の他の実施例におけるタイマ割込みルーチンを示すフローチャートである。
【図23】本発明の他の実施例としての発光ダイオードとセンサとの配置例を示す図である。
【図24】本発明のまた他の実施例としての発光ダイオードとセンサとの配置例を示す図である。
【図25】本発明のまた他の実施例としての発光ダイオードとセンサとの配置例を示す図である。
【図26】従来例における発光ダイオードの照射特性を説明する図である。
【符号の説明】
1A、1B 赤外線発光ダイオード
2、2A、2B 赤外線センサ
3 CPU(中央処理装置)
4 本体ROM(リード・オンリー・メモリ)
5 RAM(ランダム・アクセス・メモリ)
6 パネル上の操作子と表示器
7 シーケンサ
8 音源
9 エフェクタ
Claims (5)
- 音楽を出力するとともに、該音楽を所定の操作空間内を移動する物体の移動態様に応じて制御する電子音楽装置であって、該操作空間に光を照射する少なくとも1つの光源と少なくとも2つの光センサ、または、該操作空間内の物体で反射された光を受光する少なくとも1つの光センサと少なくとも2つの光源とを備え、該光源から該物体を経て該光センサに至るまでの光の経路を少なくとも2つ持つように配置し、
該各経路を経た光の受光量に応じた検出値をそれぞれ出力するようにした光学手段と、
音楽を生成する信号生成手段と、
該光学手段により出力された各経路の検出値の差または比が所定の値となったことを契機として該信号生成手段で生成される音楽の制御を行う音楽制御手段とを備えた電子音楽装置。 - 該音楽制御手段は、該光学手段により出力された各経路の検出値が等しくなったことを契機として該信号生成手段で生成される音楽の制御を行うものである請求項1記載の電子音楽装置。
- 該各経路の検出値のそれぞれについて該検出値の現在までの最大値を検出する最大値検出手段と、
該各経路の検出値の最大値の相互関係に応じて、何れかの最大値を選択する最大値選択手段と、
予め該最大値の取りえる範囲を2以上の範囲に分けてその各範囲に対して異なる種類の音楽制御態様がそれぞれ割り当ててあり、該最大値選択手段により選択された最大値の属する範囲に対応した音楽制御態様を選択する選択手段とを備え、
該音楽制御手段は、該選択手段により選択された音楽制御態様に基づいて該信号生成手段で生成される音楽の制御を行うものである請求項1または2記載の電子音楽装置。 - 該各経路の検出値に基づいて該操作空間内の物体の移動方向を検出する移動方向検出手段を備え、
該音楽制御手段は、該移動方向検出手段により検出された移動方向に応じた音楽制御態様に基づいて該信号生成手段で生成される音楽の制御を行うものである請求項1または2記載の電子音楽装置。 - 該光源は複数であり、
該複数の光源を時分割で順次点灯する点灯手段を備え、
該光学手段は、該点灯手段により点灯されている光源と該光センサとにより形成される経路の検出値を出力するものである請求項1から4のいずれかに記載の電子音楽装置。
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