JP3995193B2 - シート材穿孔装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンチとダイス孔とが協働してシート材に穿孔するシート材穿孔装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
たとえばコピーした用紙等のシート材をファイルする時には、綴じ孔を穿孔する必要がある。近年事務用機器の発達に伴って、該事務用機器に穿孔装置を内蔵させ、コピー等の処理と同時に穿孔することで、人手による穿孔の煩わしさを排除するものがある。
【0003】
従来、ファイリング用綴じ孔を穿孔するための穿孔装置の一例として、特開平3−228598号で開示されているように、パンチガイドにより摺動案内され、カムにより往復駆動されるパンチと、ダイスからなるシート材穿孔装置が知られている。従来これらの穿孔装置では、穿孔数と同数のパンチとダイスの対を有し、該パンチを押圧するカムは前記パンチにそれぞれ対応した位置に配置されており、孔数と同数のカム等を要していた。
また、コピーした用紙などの綴じ孔を穿孔するシート材穿孔装置としては、直線運動するパンチをダイス孔に挿入して穿孔する往復動型のシート材穿孔装置(例えば実開平5−29700号公報、特開平10−180693号公報など)が知られている。
【0004】
これら従来の往復動型シート材穿孔装置は、いずれも回転円板カムを回転することによりパンチを直線駆動して穿孔するものである。
【0005】
また、特開2001−9791号および特開2001−171900号で開示されているように、カムを複数有するカム部材をパンチと交差する方向に動作させ、カムに対応するパンチを動作させることによりダイスと協働してシート材を穿孔する構造として、通紙方向の寸法を小さくしたシート材穿孔装置が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記パンチの駆動を回転円板カムによる場合、穿孔後のパンチ引き抜き時にパンチがシート材に固着して残るのを防止するため、パンチ引抜き用のコイルバネや、あるいは引抜き力を補助するためのカムフォロアなどを設けなければならず、構成部品が多くなり、外形も大きくなるため、複写機等における通紙方向の外形の小型化が困難であるという問題点があった。また、パンチ駆動カムの回転部分が露出するためカム回転部分の安全カバーが必要であり、一層外形が大きくなることが避けられなかった。
また、パンチに対応するカムを複数有するカム部材を、パンチと交差する方向に動作させるシート材穿孔装置は、パンチの穿孔反力をカム部材が受けるため、カム部材は前記反力を支えるだけの充分な強度が必要となり、重量が増加し、大きな駆動力が必要になるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決し、小型コンパクトなシート材穿孔装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、駆動力を穿孔装置の孔列の方向に取ることが、穿孔装置の小型化にとって有効であるとの知見から、カム部材を移動する従来の装置の課題であった、重量増等の問題を解決すべく研究をすすめ、穿孔反力の一部をテコの如く回転支点で受け止める構造のシート材穿孔装置を開発した。
すなわち、本発明は、往復運動するパンチおよび該パンチと対応するダイス孔で協働してシート材に孔列を形成するシート材穿孔装置において、駆動源の駆動力によって前記孔列の方向に往復動作をする駆動アームと、回転支点を有し、前記駆動アームと係合して回転動作する連結体と、該連結体の回転動作をパンチの穿孔方向動作に変換するカム機構とを備えることを特徴とするシート材穿孔装置である。
【0009】
カム機構の好ましい形態としては、たとえば連結体に具備したカム溝と、パンチに設けた前記カム溝と係合するピンで構成され、前記カム溝は、パンチを穿孔方向に往復移動するように連結体の回転支点からの曲率が漸減するように配置した構造とすることができる。
また、駆動アームの連結体との係合部は、長孔または一端を開口した孔形状をなし、連結体の回転動作による駆動アームの揺動を抑制することもできる。
【0010】
また本発明において、駆動アームは、往復範囲がパンチ列方向において右側往復動作と左側往復動作の切り替え駆動機構に連結され、駆動アームの右側往復動作により穿孔方向に往復移動する第1のパンチ群と、駆動アームの左側往復動作により穿孔方向に往復移動する第2のパンチ群を有し、一方側の往復動作時に他方のパンチ群が穿孔動作しないように、カム機構に非穿孔動作領域を設けることで、駆動アームの動作位置によって、穿孔したいパンチ群を選択することができる。
【0011】
また、パンチ群を選択する前記カム機構は、連結体に具備したカム溝と、パンチに設けた前記カム溝と係合するピンで構成され、前記カム溝は、駆動アームの一方側の往復動作時にパンチを穿孔方向に往復移動するように連結体の回転支点からの曲率が漸減するように配置された作動領域と、該作動領域に連続し駆動アームの他方側の往復動作時にパンチが穿孔動作しないように連結体の回転支点からの曲率を実質的に一定にした非穿孔動作動領域とを有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のもっとも重要な特徴の一つは、前記パンチ列方向に駆動する駆動アームと、回転支点を有し一端に前記駆動アームと係合して回転動作する連結体と、該連結体の回転動作をパンチの穿孔方向動作に変換するカム機構とを具備することにある。
この構成により、連結体の回転運動に変換された駆動力は、回転支点をテコの支点とし、パンチの穿孔方向動作の駆動力とすることができる。
このとき、穿孔反力の一部は、回転支点に分配されるため、駆動アームや連結体としての強度は、直接反力を受ける場合に比べて小さくて済むことになる。そのため、部品の小型化、軽量化を達成することができる。
【0013】
本発明において、前記駆動アームあるいは連結体としては、板金や軽金属及び樹脂材料を使用することも可能であり、また、特にコの字断面等として断面係数を高めた構造でなく、単純断面のものも利用することができる。
複数のパンチを、一つの駆動アームで駆動するためには、孔列の幅に駆動アームをさし渡す必要があり、駆動アームの軽量化は、モータ等の駆動源の負荷の軽減にもつながるため、シート材穿孔装置全体の軽量化に貢献できる。
また、本発明において駆動アームの連結体が係合する係合部は、テコの力点となる部分である。この係合部としては、、突起部と孔、ギヤ等の噛合い駆動、接触摩擦駆動等を採用することができる。たとえば突起部と孔とはどちらを駆動アーム側に設けてもよい。
また、係合部に長孔または一端を開口した孔形状とすることにより、連結体の回転動作による駆動アームの揺動を抑制することができ、駆動アームを単純な直線運動で駆動できるものとなる。また、係合部として、一端を開口した孔形状とすることは、連結体の駆動アームとを、開口部分から組付けることが可能になり、組立性が向上するという利点もある。
【0014】
本発明におけるカム機構は、連結体の回転運動をパンチの穿孔方向動作に変換する重要部分である。
単純なテコの如く、回転支点から半径方向にのびた連結体となる棹状の部材に対して、摺動する構成を採用することで、回転運動を直線運動に変換するカム機構を構成することができる。復帰のためにバネ等の付勢手段を設けることも可能である。
好ましくは、連結体に具備したカム溝と、パンチに設けた前記カム溝と係合するピンでカム機構を構成することができる。
また、このとき、前記カム溝は駆動アームの往復動作時にパンチを穿孔方向に往復移動するように連結体の回転支点からの曲率が漸減するように配置することで、ピンは確実にカム溝を摺動して、曲率の漸減にともなって、なめらかな穿孔方向動作を行うことになる。
もちろん、上述した、カム溝とピンの構成は、一例であって、連結体側をカム溝とする必要はなく、パンチ側をカム溝としても良い。
またカム機構としては、カム面とピンの構成であっても良いし、ピンで無くても、ローラ等であっても良い。カムとカムフォロアの関係で良いのである。
【0015】
また、本発明において、上述した連結体に具備したカム溝の構成を、駆動アームの一方側の往復動作時にパンチを穿孔方向に往復移動するように連結体の回転支点からの曲率が漸減するように配置された作動領域と、該作動領域に連続し駆動アームの他方側の往復動作時にパンチが穿孔動作しないように連結体の回転支点からの曲率を実質的に一定にした非穿孔動作領域とを有するカム溝とすることにより、駆動アームの往復範囲がパンチ列方向において右側往復動作と左側往復動作の切り替え機構を採用することで、駆動するパンチを容易に選択することができる。
この構成は、2孔や3孔といった、一つの穿孔装置で切り替えを要求される場合に有効である。
また、前記カム溝の作動領域の形状を、駆動アームが等速動作してもパンチの動作速度を穿孔時のみ遅くなる溝形状とすることにより、駆動部の最大負荷を軽減することもできる。
【0016】
前述の駆動アームを右側往復動作と左側往復動作へ切り替える機構としては、たとえば、駆動アームに、駆動部により回転動作する回転部材の上に設けたピンと連結する長手方向と交差した方向のスライド溝を設け、スライドリンク機構により回転部材に設けたピンの待機位置を基準として左右に往復回転することにより駆動アームを左右に往復駆動させる方法、または、駆動アームと駆動部により回転動作する回転部材を、突起部と孔又はギヤ等で連結し、回転部材を左右に往復回転することにより駆動アームを左右に往復駆動させる方法等を採用できる。
【0017】
以下、本発明の実施の1形態として2孔のシート材穿孔装置について図面により具体的に説明する。図1は本発明実施形態のシート材穿孔装置の上面および正面図、図2は駆動部の分解斜視図、図3はその断面図を示す。
【0018】
以下、これらの図に基づいて本発明シート材穿孔装置の構成について説明する。
図1、2においてダイス孔列は、ダイスフレーム6に設けられた2つのダイス孔7a、7b(図示しない)で構成されており、対応するパンチ列は、上フレーム11に設けられた上ガイド孔12a、12b(図示しない)と下フレーム21に設けられた下ガイド孔22a、22b(図示しない)に保持された2つのパンチ1a、1bで構成されている。
【0019】
ガイドフレーム10は、コ字形断面の板金製の上フレーム11と下フレーム21を向き合わせて両端をボルト26により一体に結合し、箱形断面の梁に構成される。上フレーム11の上背面11aと下フレーム21の下背面21aとに貫通して、パンチ1a、1bを保持する2か所の上ガイド孔12a、12b(図示しない)と下ガイド孔22a、22b(図示しない)が設けられる。
【0020】
上下ガイド孔12a、12b、22a、22bは穿孔する孔間隔の位置に、図3に示すように上ガイド孔12a、12bにはプレス加工によりフランジ12c、12dがそれぞれ箱の内側にバーリング加工され、下フレーム21には箱の内側にそれぞれ上に向かって固着されているブッシュ23a、23bによって下ガイド孔22a、22bが形成されている。フランジ12c、12dおよびブッシュ23a、23bの内径はパンチ1a、1bの軸外周が滑動する径にリーマ加工され、パンチ1a、1bを滑動可能に支持する。これによりパンチ1a、1bは2点で支持されるのでガイド精度が向上する。なお、上ガイド孔12a、12bのフランジ12c、12dは箱の外側でもよく、また、下ガイド孔22a、22bは、上ガイド孔12a、12bと同様プレス加工により箱の内側にそれぞれ上に向かってフランジで形成しても良い。さらにフランジ12c、12dおよびブッシュ23a、23bの内径はプレス加工にてパンチ1a、1bの軸外周が滑動する径に仕上がり上下ガイド孔12a、12b、22a、22bの軸心がずれないように組み立てることができれば、必ずしもリーマ加工する必要は無い。
【0021】
ベースフレームを兼ねるコ字形断面の板金製ダイスフレーム6には、穿孔位置に2個のダイス孔7a、7bが設けられている。ダイスフレーム6とガイドフレーム10は、上下ガイド孔12a、12b、22a、22bの位置がダイス孔7a、7bに対応するようにして通紙口5を形成するようにボルト9により締結されている。
【0022】
駆動アーム30は、ガイドフレーム10の内を摺動可能なコ字形断面材からなり、一端には駆動ギヤ45上に設けた駆動ピン46と連結するスライド溝30aを有し、各連結体32に対応する位置には駆動アームの動作方向とほぼ直交して伸びる作動長孔30bを具備している。この作動長孔30bは、一端を開口している切り欠き孔とすることで、上方から前記連結体32に組み付けることが可能であり、組立性を改善できる。
【0023】
また連結体32は各パンチに対応した位置に設けられている。連結体32の一端には回動可能なように下フレーム21の支軸孔24に嵌入する支軸32aを設け、他端には駆動アーム30の作動長孔30bと連結する突起32bを設け、中央部には支軸32aからの曲率が漸減するように配置されたカム溝32cが配置されている。連結体32は、パンチ1a、1bの軸線に直交して設けられた貫通孔とカム溝32cにパンチピン4が挿入され、パンチ1a、1bを保持している。連結体32の支軸32aは、下フレーム21の支軸孔24に嵌入され、突起32bは駆動アーム30の作動長孔30bに係合して組み立てられている。
【0024】
駆動アーム30のコ字形断面の外幅は、ガイドフレーム10を構成している上下フレーム11、21の内幅よりわずかに狭く、上下フレーム11、21が形成する箱形断面内を滑動できるようになっている。駆動アーム30の動作方向とほぼ直交して伸びる作動長孔30bを具備することで、連結体32の回転動作による駆動アーム30の揺動を抑制し、前記箱形断面内を滑動できる。
【0025】
これにより、駆動アーム30が図のXY方向に往復駆動されると、連結体32が回転運動し、パンチ1a、1bが図の上下方向に移動される。また、駆動アーム30、連結体32は、樹脂成形体又は軽合金板金を使用することにより、慣性重量による穿孔時の振動と騒音を小さくすることができる。
【0026】
駆動アーム30の一端には、駆動ギヤ45上に設けたピン46と連結する長手方向に直交してスライド溝30aが設けられている。
【0027】
モータ取付け板13は、上下フレーム11、21にビス止めされている。モータ取付け板13にモータ41が取付けられ、ギヤ42、43、44を介して駆動ギヤ45を回転駆動するようになっている。駆動ギヤ45の駆動ピン46が駆動アーム30の端部に設けたスライド溝30aに挿入されて駆動手段40を構成している。駆動ギヤ45がモータ41により回転駆動されると、スライドリンク機構により駆動アーム30が図のXY方向に往復駆動される。
【0028】
駆動アーム30が図のXY方向に往復駆動されると、連結体32が回転運動し、パンチ1a、1bが図1(b)の上下方向に移動され、通紙口5に挿入されたシート材(図示しない)を穿孔する。駆動ギヤ45は、駆動ギヤ45に具備した予めパンチの定位置に停止するように設定されたカム(図示しない)に伴ってON/OFFするリミットスイッチ47によりパンチ1a、1bが定位置に停止するようになっている。
【0029】
パンチ1a、1bの先端は図4に示すように逆V字又は逆U字形に成形され、溝方向を通紙方向にして装着されている。このように刃先溝方向を通紙方向に平行に装着すれば、パンチ1a、1bの先端はRを持った線になるのでシート材端部をスムースに通過させることができる。これにより送られるシート材の引っ掛かりを防止する。
【0030】
次にカム溝32cの形状について図4で説明する。カム溝32cは、駆動アーム30のX方向(左方向)の移動動作時に、パンチを下方に移動するように連結体32の回転支点からの曲率が漸減するように配置し、パンチ1a、1bが待機位置から穿孔終了まで移動する。その後、駆動アーム30のY方向(右方向)への移動動作によって、パンチ1a、 1bを上方向に移動させ、パンチ1a、1bが穿孔終了から待機位置まで復帰して、一連の動作を終了する。
【0031】
図5は複数の穿孔をする場合に、複数のパンチが同時に穿孔するのではなく、パンチを順次降下させて、複数の孔を順次穿孔する一例を示すものである。すなわち、図の右側、中央、左側の3個のパンチ1a、1bをそれぞれパンチピン4で取付けた連結体32を有するシート材穿孔装置において、駆動アーム30が矢印方向(図の左方向)に移動すると、まず左側のパンチ1aが穿孔開始する。このとき、下フレーム21に設けた3個所の支軸孔24は、上下方向にそれぞれ僅かにずらしてあり、これに伴って下フレーム21の支軸孔24に嵌入された連結体32は、上下方向にそれぞれ僅かにずれることになる。すなわちパンチピン4で連結体32に保持されたパンチ1a、1b、1cもずれて順次穿孔する。パンチ1a、1b、1cの順で順次穿孔していくので、連結体32及びパンチ1a、1b、1cを共通化しつつ、パンチ駆動動力を小さくできる利点がある。
【0032】
図6は複数のパンチを備えたシート材穿孔装置において、例えば2つ孔又は3つ孔を選択して穿孔できる穿孔モード切替機構の一例を示すものである。すなわち、図6のa1、a2、a3、b1、b2の5個のパンチを、選択によりグループAのa1、a2、a3の3つ孔を穿孔したり、グループBのb1、b2の2つ孔を穿孔することが可能である。
【0033】
ここで、本実施例のカム溝の形状について説明する。図7(b)に示すようにグループAのカム溝33は、それぞれの連結体32の支軸32aと突起32bを結ぶ軸線から左側では駆動アームのY方向(右方向)の移動動作時にパンチを穿孔方向に移動するように連結体32の回転支点からの曲率が漸減するように配置された作動領域と、前記軸線の右側では該作動領域に連続し駆動アームのX方向(左方向)の移動動作時にパンチが穿孔動作しないように連結体の回転支点からの曲率を実質的に一定(円弧)となるように配置されている。一方、図7(a)に示すようにグループBのカム溝34は、前記軸線から右側では駆動アームのX方向(左方向)の移動動作時にパンチを穿孔方向に移動するように連結体32の回転支点からの曲率が漸減するように配置された作動領域と、前記軸線の左側では該作動領域に連続し駆動アームのY方向(右方向)の移動動作時にパンチが穿孔動作しないように連結体の回転支点からの曲率を実質的に一定(円弧)となるように配置されている。従って、図6に示す駆動アーム30がY方向(右方向)に移動するときには、グループAのパンチは待機位置から穿孔終了まで移動し、グループBのパンチは穿孔動作せず、駆動アーム30がX方向(左方向)に移動するときには、グループBのパンチは待機位置から穿孔終了まで移動し、グループAのパンチは穿孔動作しない。
【0034】
例えばグループAの3つの孔を穿孔する場合には、図6の待機位置にある駆動アーム30を矢印Y方向(右方向)に移動する。これによって、グループAのそれぞれの連結体32の回転と同時にa1、a2、a3の3つのパンチが降下を開始し、カム溝D、E、FのD1、E1、F1位置で穿孔を完了する。このとき、カム溝B、Cはそれぞれの円弧部B0−B2、C0−C2を移動するので、パンチは穿孔方向に移動しない。
【0035】
また、グループBの2つの孔を穿孔する場合には、図6の待機位置にある駆動アーム30を矢印X方向(左方向)に移動する。これによって、グループBのそれぞれの連結体32の回転と同時にb1、b2、の2個のパンチが降下を開始し、カム溝B、C のB1、C1、位置で穿孔を完了する。このとき、カム溝D、E、Fはそれぞれの円弧部D0−D2、E0−E2、F0−F2を移動するので、パンチは穿孔方向に移動しない。
【0036】
このようにして、図6,7に示すカム溝形状を採用すれば、駆動アーム30の移動を選択することにより、例えば1台のシート材穿孔装置で2つ孔と3つ孔を選択して穿孔することができる。すなわち、待機位置で図6の駆動ピン46が上死点にあるとき、パンチピン4(図示しない)がカム溝のC0、D0、E0、F0、G0位置(図7で示す支軸32aと突起32bを結ぶ軸線上の位置)にあるようにして、駆動ギヤ45を時計方向に180度回転すると、駆動アーム30は図のY方向に移動し、a1、a2、a3の3つのパンチが降下して3つの孔を穿孔する。反対に、駆動ギヤ45を反時計方向に180度回転すると、駆動アーム30は図のX方向に移動し、b1とb2の2つのパンチが降下して2つの孔を穿孔する。なお、前記グループ分け及び孔数も自由に選択できる。
【0037】
以上説明したように、本発明のシート材穿孔装置は、従来のようにパンチの駆動を円板カムの回転で行うのではなく、駆動アーム30の往復動作をカム溝を備えた連結体32の回転揺動運動に変換して、連結体32に取付けられたパンチを駆動アーム30の移動方向と直交方向に駆動することで、装置を小型化することができる。また、従来のようなパンチに対応するカムを複数有する駆動アームをパンチと交差する方向に動作させるシート材穿孔装置のように、パンチの穿孔反力を駆動アームで受けるのではなく、カム機構を具備した連結体32を回転動作させることでパンチを駆動させる。本発明の場合、穿孔反力を連結体で受けるため、駆動アーム自身の強度を軽減し、駆動アームの小型軽量化ができるとともに摺動機構の簡略化ができる。
【0038】
具体的には、カム溝を備えた連結体32をパンチ列方向に揺動回転させ、前記連結体32の突起32bを駆動アーム30の作動長孔30bと係合させて、駆動アーム30を原動節、連結体32を従動節として往復直進運動を揺動回転運動に変換することにより、連結体32に取付けたパンチをシート材面に直交して往復駆動して穿孔するので、簡易な構造で上記目的が達成できる。また、前述のとおりカム溝33、34とパンチをパンチピン4で連結することで、パンチの引抜き方向の移動も強制的に行われるので、従来の円板カムによる駆動のように、パンチ駆動ばねやカムフォロアが不要になり、部品が少なく小型化できる。
【0039】
また、駆動アーム30を摺動させるガイドフレーム10を2つのコ字形断面材のフレームを向き合わせて結合して中空箱形断面の梁を形成させているので、装置の組み立てが容易である。
【0040】
さらに、駆動アーム30がガイドフレーム10の中空箱形断面内で移動駆動され、パンチの駆動部分がガイドフレーム10内に内蔵されて覆われることになるので、小型かつ安全なシート材穿孔装置が得られる。
【0041】
また、パンチの穿孔反力は、パンチ毎に設けた連結体32が受ける。このため、前記駆動アーム30にはパンチの穿孔反力が直接かからないことにより、駆動アーム30の断面を小さくできるとともに、摺動面圧を低く抑えられることで、摺動面にローラ等なしで、円滑に駆動アーム30を往復駆動することができる。
【0042】
また、前記駆動アーム30は樹脂成形品又は軽合金材を使用しているので、慣性重量による穿孔時の振動と騒音を小さくし確実な穿孔ができる。
【0043】
また、直流モータ又はステッピングモータにより駆動ギヤ45を回転し、この回転運動を往復スライダクランク機構(スコッチヨーク)により直線運動に変換して駆動アーム30を駆動するので、パンチが最初高速で移動し穿孔時は低速で移動する。これにより穿孔時の力が大きくなりモータ41の動力を小さくできる。
【0044】
パンチは、ガイドフレーム10の上下端で支持されるので、パンチのガイド精度が向上し綺麗な穿孔をすることができるとともに、組み立てが容易になる。
【0045】
また、パンチの刃先が逆V字又は逆U字形にされ、刃先溝方向を通紙方向にして装着されているので、通紙の際にシート材がパンチに引っ掛からない。
【0046】
また、連結体32に設けられたカム溝33、34の形状は、パンチがシート材に接触する位置近傍まで高速で移動し、その後低速で移動する形状にしたり、複数のパンチが順次穿孔するように配列してパンチ動力を小さく設定することができる。
【0047】
また、連結体32は駆動アーム30のストローク位置を選択することにより、選択されたパンチのみを駆動して穿孔するカム溝形状にすることにより、一つのシート材穿孔装置で例えば2つ孔を穿孔したり、あるいは3つ孔を穿孔したり、孔数を選択して穿孔することが簡易にできる。
【0048】
この場合、クランクの回転方向を180度変換して、2孔穿孔又は3孔穿孔を選択できるカム溝33、34とすることもできる。
【0049】
【発明の効果】
上述したように、本発明のパンチユニットによれば、駆動アームの往復動作を連結体に具備したカム機構の回転動作を介しパンチを駆動するので、安全で部品が少なく構造が簡素で小型化され、かつ組み立てが容易であるので、コストを低減したパンチユニットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施形態のシート材穿孔装置の上面及び正面図である。
【図2】 本発明実施形態のシート材穿孔装置の駆動部の分解斜視図である。
【図3】 本発明実施形態のシート材穿孔装置の駆動部を示す断面図である。
【図4】 本発明実施形態のシート材穿孔装置の連結体の一実施例を示す詳細図である。
【図5】 本発明実施形態のシート材穿孔装置の別の実施例を示す図である。
【図6】 本発明実施形態のシート材穿孔装置の穿孔モード切替機構の一例を示す図である。
【図7】 本発明実施形態のシート材穿孔装置の穿孔モード切替機構の連結体を示す図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c パンチ、4 パンチピン、5 通紙口、6 ダイスフレーム、7a、7b ダイス孔、9 ボルト、10 ガイドフレーム、11 上フレーム、11a 上背面、12a、12b 上ガイド孔、12c、12d フランジ、13 モータ取付け板、21 下フレーム、21a 下背面、22a、22b 下ガイド孔、23a、23b ブッシュ、24 支軸孔、26 ボルト、30 駆動アーム、30b 作動長孔、30d スライド溝、32 連結体、41 モータ、42,43,44 ギヤ、45 駆動ギヤ、33、34 カム溝
Claims (5)
- 往復運動するパンチおよび該パンチと対応するダイス孔で協働してシート材に孔列を形成するシート材穿孔装置において、駆動源の駆動力によって前記孔列の方向に往復動作をする駆動アームと、回転支点を有し、前記駆動アームと係合して回転動作する連結体と、該連結体の回転動作をパンチの穿孔方向動作に変換するカム機構とを備えることを特徴とするシート材穿孔装置。
- カム機構は、連結体に具備したカム溝と、パンチに設けた前記カム溝と係合するピンで構成され、前記カム溝は、パンチを穿孔方向に往復移動するように連結体の回転支点からの曲率が漸減するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載のシート材穿孔装置。
- 駆動アームの連結体との係合部は、長孔または一端を開口した孔形状をなし、連結体の回転動作による駆動アームの揺動を抑制したことを特徴とする請求項1または2に記載のシート材穿孔装置。
- 駆動アームは、往復範囲がパンチ列方向において右側往復動作と左側往復動作の切り替え駆動機構に連結され、駆動アームの右側往復動作により穿孔方向に往復移動する第1のパンチ群と、駆動アームの左側往復動作により穿孔方向に往復移動する第2のパンチ群を有し、一方側の往復動作時に他方のパンチ群が穿孔動作しないように、カム機構に非穿孔動作領域が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシート材穿孔装置。
- カム機構は、連結体に具備したカム溝と、パンチに設けた前記カム溝と係合するピンで構成され、前記カム溝は、駆動アームの一方側の往復動作時にパンチを穿孔方向に往復移動するように連結体の回転支点からの曲率が漸減するように配置された作動領域と、該作動領域に連続し駆動アームの他方側の往復動作時にパンチが穿孔動作しないように連結体の回転支点からの曲率を実質的に一定、または曲率範囲を規制した非穿孔動作領域とを有することを特徴とする請求項4に記載のシート材穿孔装置。
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