JP3994902B2 - 熱間仕上圧延ワークロールのサーマルクラウン予測方法および熱間圧延方法 - Google Patents

熱間仕上圧延ワークロールのサーマルクラウン予測方法および熱間圧延方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間仕上圧延ワークロールのサーマルクラウン予測方法および、それを用いた熱間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱間圧延とは、被圧延金属材料(以下、被圧延材)を数100〜千数100℃に加熱した後、熱間圧延ライン上に抽出し、一対のロールで被圧延材を挟圧しつつ、そのロールを回転させることで薄く延ばすことをいう。
【0003】
熱間圧延ライン100を図5に示すが、3/4連続と呼ばれるタイプのものが多い。これは、被圧延材8の搬送方向上流から下流に向かう順に、加熱炉10、複数の粗圧延機(Rougher)12(多くの場合4機。そのうち一部(多くの場合1機)を往復圧延するようにし、残る圧延機が一方向圧延を行うようにする。しかし、4機中3機が一方向のタイプに限らず、例えば3機中1機が一方向のタイプも含め、3/4連続という)、クロップシャー14、デスケーリング装置16、仕上圧延機(Finisher)18、冷却ゾーン22、コイラー(巻取装置)24等を順次配置して成る。
【0004】
粗圧延機12、仕上圧延機18を構成する圧延機は複数あるので、それぞれRougher、Finisherの頭文字を取り、各圧延機(スタンド)のナンバーを付与して、R1、R2、R3、F1、F2…F7などと略称される。コイラーも同様に複数あって、号機ナンバーを付与して、DC1、DC2などと略称される。
【0005】
そして、各圧延機をはじめとする各設備間には図示しない多数のテーブルローラがあり、これにより被圧延材8が矢印A方向に搬送される。
【0006】
ところで、上記した熱間圧延ライン100では、仕上圧延機18で被圧延材8の先端を噛み込み、圧延し、尾端を圧延し終わり、という動作を断続的に繰り返す操業形態をとるのが一般的である。
【0007】
高温の被圧延材8に直接接触するワークロール13、19は、被圧延材8を何本か圧延するうちに、次第に熱膨張する。
【0008】
ところで、被圧延材8を所望の厚さに仕上圧延するには、上下のワークロール13、19の間隙を適正な値に設定して圧延することが必要である。特に、高い精度で被圧延材8を所望の厚さに圧延することが要求される仕上圧延機18のワークロール19では、前述の熱膨張分を精度良く予測し、上下のワークロールの間隙を適正な値に設定して圧延することが必要となる。
【0009】
ワークロールの熱膨張分のことは、サーマルクラウンとも呼ばれている。サーマルクラウンは、図6を用いて説明すると、両ロールバレル端から、ある一定長d(mm)だけバレル中央域に入った位置でのロール直径D2、D3を相加平均したもの(D2+D3)/2と、ロールバレル中央でのロール直径D1との差として定義される量である。半径あたりのサーマルクラウンは、その2分の1である。dは一例として25mmが挙げられるが、これに限るものではない。図6は誇張して描いているが、サーマルクラウンの大きさは、ワークロールの半径あたりで数10μmから大きい場合でも300μmを超えない場合が殆どである。
【0010】
なお、ワークロールが、その軸方向にシフトする圧延機構造をとる場合には、熱間圧延ライン100の被圧延材幅方向中心における上下ワークロールの熱膨張分の合計を以って、サーマルクラウンと定義される。
【0011】
これまでにも、熱間圧延におけるワークロールのサーマルクラウン予測方法に関しては、種々の予測モデルとその学習方法が提案されている。
【0012】
例えば、特許文献1や特許文献2のように、熱膨張量を修正する学習係数Aのロール軸方向分布を求める、などしてワークロール熱膨張モデル(サーマルクラウン予測計算モデル)にて計算するサーマルクラウンあるいは、そのロール軸方向分布そのものを学習あるいは調整する手法等、種々の方法が開発、提案されている。
【0013】
【特許文献1】
特開平8−108207号公報
【特許文献2】
特開平8−238515号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法では、サーマルクラウンあるいは、そのロール軸方向分布そのものを学習あるいは調整するため、次のような問題に対処できなかった。
【0015】
その問題とは、一言でいうと、ロール一本単位に異なる、密度、比熱、熱伝導率、線膨張係数の影響である。例えば、ロールの製品カタログで見ても、そのロールを製造するメーカーごとに、成分は異なる。そして、更には、ロールの製品カタログ上の成分はあくまで代表値であり、実際には、いくらかのばらつきがある。
【0016】
そして、サーマルクラウンが予測から外れれば、圧延後の被圧延材の板厚が所望の値の範囲から外れてしまう、という品質上の問題や、仕上圧延機でタンデム圧延を行っている被圧延材の各スタンドにおけるマスフローのバランスが一定でなくなり、被圧延材がスタンド間で緩んでしまって折れ重なった末に圧延継続不能となったり、被圧延材が破断する、などの通板上の問題を生ずる場合があった。
【0017】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、熱間仕上圧延ワークロールのサーマルクラウンを精度良く予測計算できる方法および、それを用いた熱間圧延方法を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱間仕上圧延ワークロールのサーマルクラウンを熱間圧延操業中に予測するに際し、ワークロール1本毎に、密度、比熱、熱伝導率、線膨張係数のうちの1つ以上を、サーマルクラウンの予測計算式に反映させることを特徴とする熱間仕上圧延ワークロールのサーマルクラウン予測方法である。
【0019】
本発明は、又、熱間仕上圧延ワークロールのサーマルクラウンを熱間圧延操業中に予測し、、仕上圧延機各スタンドのワークロール間隙を被圧延材先端の噛み込みに先立って設定する熱間圧延方法において、ワークロール1本毎に、密度、比熱、熱伝導率、線膨張係数のうちの1つ以上を、サーマルクラウンの予測計算式に反映させることを特徴とする熱間圧延方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施例)
(実施例1)
本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0022】
仕上圧延機18に組み込むワークロール19の成分代表値(質量%)を製品カタログから抜粋したものを下記表1に示すが、各社間で違いがある。特に、Si、Mo、V、Nbなどは違う。また、例えばA社のものだけとっても、製造された時期によって、違いがある場合がある。
【0023】
【表1】
Figure 0003994902
【0024】
これら成分の異なるワークロールについて、熱伝導率、密度、比熱、線膨張係数(併せてヤング率も)に代表される物性値について製品カタログから抜粋したものを下記表2に示す。従来はこれらを一通りのデータで扱っていたため、最初の行に、それら値も併せて示す。
【0025】
【表2】
Figure 0003994902
【0026】
C社のものは、Mo含有量が特に少なく、V含有量が特に多いため、これら物性値の違いになって現れたものと考えられる。
【0027】
これら物性値の違いを、該ワークロールのサーマルクラウン予測計算に反映する。サーマルクラウン予測計算は、次に述べるようにして行う。ワークロール19を円柱に見立て、例えば、図1(a)に示すように、ある切断面で仮想的に切断した、円柱半径方向3分割、円柱軸方向46分割の仮想的なメッシュに分割し、円柱座標系で表した熱伝導方程式(1)を2次元的に差分化し、例えば時間増分を5秒として、各メッシュ毎の代表温度を、その時間増分5秒毎に計算する。
【0028】
【数1】
Figure 0003994902
ここに、
θ:各メッシュ毎の代表温度
t:時間
κ:熱伝導率
c:比熱
ρ:密度
をそれぞれ表す。
【0029】
メッシュ分割の各寸法や時間増分は、この例に限るものではなく、また、本例のような円柱座標系を適用しての2次元差分解法に限らず、要は、ワークロールの時間的な温度変化を計算できる方法であれば、その他の計算方法によってもよい。
【0030】
境界条件処理について説明する。
【0031】
上記した円柱座標系を適用しての2次元差分解法に従えば、まずワークロール19と被圧延材8が接触する部分では、図1(b)に示す通り、適宜な定常ロール温度θ(固定定数として例えば60℃というように決めてしまう場合が多いが、これに限るものではない)と、ワークロール19最表層のメッシュにおける代表温度θとの差に、被圧延材接触部(ワークロール19と被圧延材8が接触する部分のこと)の熱伝達係数αrollingを掛け算することで、次に示すような方程式(2)により、被圧延材8の側からワークロール19の側に単位時間に流入する熱流束qrollingを計算し、これをワークロール19と被圧延材8が接触する部分での境界条件として、先述の熱伝導方程式(1)の円柱座標系を適用しての2次元差分解法に反映する。
【0032】
qrolling=αrolling(θ−θ) ・・・・(2)
ここに、
qrolling :ワークロールと被圧延材が接触する部分における、被圧延材側からワークロール側に単位時間に流入する熱流束
αrolling:ワークロールと被圧延材が接触する部分における、熱伝達係数
θ:定常ロール温度
θ:ワークロール最表層のメッシュにおける代表温度
をそれぞれ表す。
【0033】
一方、ワークロール19と被圧延材8の非接触部分では、図1(c)に示す通り、適宜な冷却水温度θW(固定定数として例えば30℃というように決めてしまう場合が多いが、これに限るものではなく、実測するなどしてもよい)と、ワークロール19最表層のメッシュにおける代表温度θとの差に、被圧延材非接触部(ワークロール19と被圧延材8が接触しない部分のこと)の熱伝達係数αwaterを掛け算することで、次に示すような方程式(3)により、被圧延材8の側からワークロール19の側に単位時間に流入する熱流束qwaterを計算し、これをワークロール19と被圧延材8が接触する部分での境界条件として、先述の熱伝導方程式(1)の円柱座標系を適用しての2次元差分解法に反映する。
【0034】
先行する被圧延材の尾端が抜けた後、後行する被圧延材の先端が噛み込むまでのインターバル時間では、冷却水を停止する場合もあるため、そういう場合は、次の方程式(4)により、被圧延材8の側からワークロール19の側に単位時間に流入する熱流束qairを計算し、これをワークロール19と被圧延材8が接触する部分での境界条件として、先述の熱伝導方程式(1)の円柱座標系を適用しての2次元差分解法に反映する。
【0035】
qwater=αwater(θW−θ) ・・・・(3)
qair=αair(θA−θ) ・・・・(4)
ここに、
qwater:ワークロールと被圧延材が接触する部分における、被圧延材側からワークロール側に単位時間に流入する熱流束(水冷時)
qair:ワークロールと被圧延材が接触する部分における、被圧延材側からワークロール側に単位時間に流入する熱流束(空冷時)
αwater:ワークロールと被圧延材が接触しない部分における、熱伝達係数(水冷時)
αair:ワークロールと被圧延材が接触しない部分における、熱伝達係数(空冷時)
θW:冷却水温度
θA:雰囲気温度
をそれぞれ表す。
【0036】
以上のようにして、ワークロール19の各部の温度を計算により求めたら、そのワークロール19を圧延機に組み込んで圧延を開始する前の該ワークロール19各部の温度との差をとり、それと線膨張係数とを掛け算することにより、図2中にuで示す、ワークロール19の半径あたりの熱膨張量、即ちサーマルクラウンを計算する。正確には、次に示すような方程式(5)により、計算する。
【0037】
【数2】
Figure 0003994902
ここに、
u:半径あたりサーマルクラウン
β:線膨張係数
θ0:ワークロールを圧延機に組み込んで圧延を開始する前のワークロール各部の温度
rW:ワークロール半径
をそれぞれ表す。
【0038】
以上の計算を、ワークロール1本毎に行うことにより、密度、比熱、熱伝導率、線膨張係数のうちの1つ以上の実データを、サーマルクラウンの予測計算式に反映させる。製品カタログ上の値を実データとして入力してもよいし、実際に測定した値を用いてもよい。実際に測定する場合、その測定の仕方については(実施例3)にて後述する。
【0039】
(実施例2)
本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0040】
上記実施例1に説明した、サーマルクラウン予測計算結果に基き、図5に示した熱間圧延ライン100の仕上圧延機18の各スタンドのワークロール間隙を被圧延材先端の噛み込みに先立って設定する。
【0041】
図5中、30で示すホットメタルディテクタ(HMD)の直下に被圧延材8の先端が達し、高温の被圧延材8の発する赤外線にホットメタルディテクタ30が感応したタイミングで、ホットメタルディテクタ30から伝送経路G、Wを通じて、制御装置50経由でプロセスコンピュータ70に電気信号が伝達され、これを受けたプロセスコンピュータ70内では、該被圧延材8を仕上圧延するための各スタンドのワークロール間隙を設定するための設定計算が、下記式(6)により行われる。
【0042】
その際、例えば、各スタンドの被圧延材搬送速度は、最終スタンドの被圧延材搬送速度については、スレッディング速度、トップ速度がビジネスコンピュータ90からプロセスコンピュータ70に伝達されるなどし、各スタンドのワークロール間隙を設定するための設定計算を行うには、プロセスコンピュータ70内での詳説しない予測計算により、各スタンドの圧延荷重の予測計算が行われ、その結果が、各スタンドのワークロール間隙を設定するための設定計算に反映されるなどする。これら実施の形態の詳細や制御装置50、プロセスコンピュータ70、ビジネスコンピュータ90の機能分担などについては、ここで述べた方法は一つの例にすぎず、本発明の実施の形態はこれに限るものではない。
【0043】
=h−Pest, /M+Soil, +a×ΔTh+(Th−We)・・・・(6)
ここに、
:iスタンドの板厚設定値
est, :iスタンドの圧延荷重予測値
:iスタンドのミル定数
oil, :iスタンドの油膜厚バー内変動量
:iスタンドの調整定数
ΔTh:iスタンドのワークロール半径あたりのサーマルクラウン変化(上下ワークロール合計)
Th:iスタンドで、ある被圧延材を圧延後、次の被圧延材を圧延開始するまでのワークロール半径あたりのサーマルクラウン変化(上下ワークロール合計)
We:iスタンドのワークロール半径あたりの磨耗(上下ワークロール合計)
をそれぞれ表す。
【0044】
ここで、ミル定数Mは、正確には被圧延材厚、幅等に依存するため、それを反映してもよいが、通常は定期修理タイミングなどに一度実測した値を制御装置50やプロセスコンピュータ70内に記憶格納しておいて使用するため、被圧延材1本ごとに異なるとは限らないが、実測した実績値には違いない。
【0045】
油膜厚バー内変動量Soil, とは、ワークロールやバックアップロールのベアリングの給油に用いている油の膜の厚さが、圧延中の加減速に伴うワークロールやバックアップロールの周速に依存して変動するため、それを反映しようとするものであるが、通常は、前述した、被圧延材の仕上圧延開始前に換算して、先端から2mの位置等の代表位置における被圧延材速度の関数(ここでは詳説しない)として定義する(同部は殆ど全ての場合、ズームアップ(加速圧延)における、スレッディング速度での圧延中に相当するため、スレッディング速度を以ってこれに充てる)。しかし、実直にワークロールとバックアップロールの周速の関数(両ロールとも直径が異なれば、異なった値を示す)として表しても、勿論よい。被圧延材1本毎に異なるが、被圧延材速度、又は、ワークロールやバックアップロールの周速の関数という計算上の値である。
【0046】
サーマルクラウンは、1本の被圧延材を圧延中に変化(成長)するサーマルクラウンΔThと、1本の被圧延材を圧延後、次の被圧延材を圧延開始するまでの、いわゆるインターバルに変化するサーマルクラウンThに分かれるが、共に、1本の被圧延材を圧延開始してから終了するまでの実績の時間、1本の被圧延材を圧延後、次の被圧延材を圧延開始するまでの実績の時間を、ワークロールを仕上圧延機に組み入れて以降、圧延した被圧延材全数の分について、実施例1にて説明した計算を行い、累積計算する。1本の被圧延材を圧延開始してから終了するまでの実績の時間、1本の被圧延材を圧延後、次の被圧延材を圧延開始するまでの実績の時間を計算に反映する、という意味で、一部は実績値、一部は計算上の値である。
【0047】
磨耗Weは、各被圧延材を1本圧延する毎に次式(7)により計算した結果を、順次加算していった累計値として表される。
【0048】
We=b×Pact, ×L÷(rW ×W) ・・・・(7)
ここに、
:iスタンドの調整定数
L:iスタンドの該ワークロールによる被圧延材の圧延長
W:iスタンドの該ワークロールによる被圧延材の圧延幅
rW :iスタンドの該ワークロールの半径
をそれぞれ表す。
【0049】
ちなみに、以上(6)、(7)式に示すのは全て、熱間圧延ライン100の被圧延材幅方向中央における値である。又、ワークロール半径あたりのサーマルクラウン変化、ある被圧延材を圧延後、次の被圧延材を圧延開始するまでのワークロール半径あたりのサーマルクラウン変化、ワークロール半径あたりの磨耗は、上下ワークロール合計の値であるが、片方、即ちワークロール1本ずつ計算し、合計する。
【0050】
(実施例3)
本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0051】
次の式(8)および式(9)はゲージメータ実績計算値とゲージメータ誤差を示したものである。
【0052】
GM , =S+Pact, /M−Soil, −a×ΔTh−(Th−We)・・・・(8)
ΔhGM , =hX, −hGM , ・・・・(9)
ここに、
GM , :iスタンドのゲージメータ実績計算値
:iスタンドの上下ワークロール間隙(圧下位置)
act, :iスタンドの圧延荷重実績
:iスタンドのミル定数
oil, :iスタンドの油膜厚バー内変動量
:iスタンドの調整定数
ΔTh:iスタンドのワークロール半径あたりのサーマルクラウン変化(上下ワークロール合計)
Th:iスタンドで、ある被圧延材を圧延後、次の被圧延材を圧延開始するまでのワークロール半径あたりのサーマルクラウン変化(上下ワークロール合計)
We:iスタンドのワークロール半径あたりの磨耗(上下ワークロール合計)
ΔhGMi:iスタンドのゲージメータ誤差
X :iスタンドの出側板厚計で測定した板厚の実績値
をそれぞれ表す。
【0053】
ゲージメータ実績計算値は、通常はゲージメータ板厚とかゲージメータ式と当業者間で称されるが、一部、実測した実績値を式に代入するため、本発明では、それがわかるよう、そのように称した。ここで、実測した実績値を直接的に使用するのは、上下ワークロール間隙Sと圧延荷重Pact, である。これらは被圧延材1本ごとに異なる。具体的には、被圧延材の仕上圧延開始前に換算して、先端から2mの位置とかいう具合に、代表位置の圧延荷重を以ってこれに充てるのが好ましく、本実施例ではそうするが、本発明はこれに限るものではない。
【0054】
ミル定数M、油膜厚バー内変動量Soil, 、サーマルクラウン変化ΔTh、Th、磨耗Weは、実施例2のものと同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0055】
ちなみに、以上(8)、(9)式に示すのは全て、熱間圧延ライン100の被圧延材幅方向中央における値である。又、ワークロール半径あたりのサーマルクラウン変化、ある被圧延材を圧延後、次の被圧延材を圧延開始する迄のワークロール半径あたりのサーマルクラウン変化、ワークロール半径あたりの磨耗は、上下ワークロール合計の値であるが、片方、即ちワークロール1本ずつ計算し、合計する。これらは実施例2と同様である。
【0056】
図3は、ある圧延サイクルにて、全被圧延材75本のうち一部の被圧延材34本目から52本目までだけについて、A社の新ワークロールを上ワークロールとしてF6に組み込み、それ以外の1本目から33本目と53本目から75本目までについてB社のワークロールを上ワークロールとしてF6に組み込んだ場合の、F6スタンドのゲージメータ実績計算値と、F6スタンド出側のX線板厚計で測定した板厚の実績値との差、即ち、F6スタンドのゲージメータ誤差を各被圧延材のF7出側厚(命令値)、F7出側幅(命令値)とともに、圧延順に示したものである。ちなみに被圧延材の仕上圧延開始前に換算して、先端から2mの位置における値である。
【0057】
これを見てもわかる通り、まずは、ゲージメータ実績計算値と、X線板厚計で測定した板厚の実績値が一致しない。また、ゲージメータ誤差はA社の新ワークロールを使用した場合とB社のワークロールを使用した場合とで異なっている。ロールの製品カタログ上の成分はあくまで代表値であり、実際にはいくらかのばらつきがあるため、それが原因でこのようになった、と推定される。
【0058】
これを合わせこむための手順を以下に説明する。
【0059】
まず、磨耗分を正しく測定する。それには、圧延を終了した該当ワークロールの磨耗プロフィールを、図示しないロールショップ(熱間圧延ライン100に付設)のロールグラインダに付設のロールプロフィル計にて測定し、該ワークロールの、熱間圧延ライン100の被圧延材幅方向中央に相当する位置におけるワークロール半径あたりの磨耗深さを測定する。半径あたりの磨耗深さは、図6に模式的に示したように、両ロールバレル端からある一定長d(mm)だけバレル中央域に入った位置でのロール直径D2、D3を相加平均したもの(D2+D3)/2と、ロールバレル中央でのロール直径D1との差として定義される量の2分の1である。dは一例として25mmが挙げられるが、これに限るものではない。
【0060】
その測定結果が、(8)式で計算される、ワークロール半径あたりの磨耗Weと一致しない場合は、一致するように、調整定数bを較正する。
【0061】
そのもとで、該当するワークロールで圧延した被圧延材のうち、だいぶ後半のもの、どれでもよいが、該ワークロールの密度、比熱、熱伝導率、線膨張係数のうちの1つ以上を変えてみて、先に実施例1に述べたようなサーマルクラウンを差分計算により求める計算をオフラインで計算し直してみる、という手順を、ゲージメータ実績計算値が板厚計で実測した板厚の実績値に一致するまで繰り返す、というのが1つの方法である。
【0062】
どれを変えるかは、密度、比熱、熱伝導率、線膨張係数の4つのうち、どれを変えても、結果的にゲージメータ誤差がゼロになればよい。
【0063】
あるいは実際に測定できるものは測定するようにして、測定できないものを変えるようにするなどしてもよいし、測定が簡単なものは測定し、測定が困難なものを変えるようにするなどしてもよい。
【0064】
密度は、材質が異なる部分の多層構造でない均一なワークロールであれば、その重量を実測し、幾何学的形状から計算で決まる体積で割り算することで求まる。
【0065】
比熱、熱伝導率は、ワークロールの圧延に関係ない部位、例えばロールバレルの軸方向端部などからテストピースを切り出して実験室に持ち込むことで測定することができる。
【0066】
線膨張係数は、ワークロールが完全に室温まで冷却された状態で片方のロールネックの軸方向端部からもう片方のロールネックの軸方向端部までの長さを測定した後、温度100℃程度の水を満たした水槽に没し、十分均一な状態に水温まで加熱された後に取り出して、ワークロールの温度および片方のロールネックの軸方向端部から、もう片方のロールネックの軸方向端部までの長さを測定する、などして測定することができる。
【0067】
いずれにせよ、ゲージメータ誤差がゼロになるようにすることにより、ゲージメータ実績計算値に対する板厚計で実測した板厚の実績値の偏差を、該ワークロールのサーマルクラウン予測計算式における該ワークロールの密度、比熱、熱伝導率もしくは線膨張係数のうちの1つ以上の誤差に帰し、次に該ワークロールをいずれかの仕上圧延スタンドに組み込んで被圧延材を圧延する際に、該ワークロールのサーマルクラウン予測計算式における密度、比熱、熱伝導率もしくは線膨張係数のうちの1つ以上を補正して、該ワークロールを含む上下ワークロールのサーマルクラウンを予測計算する。
【0068】
ここでは、問題としているA社の新ワークロール、B社のワークロールを組み込んだ上ワークロールに、その誤差を帰する。なぜなら、下ワークロールは、A社の新ワークロール、B社のワークロールを熱間圧延操業に投入する以前に誤差なく使えていたワークロールを使用していたからである。
【0069】
以上のような方法により、本発明の第3の実施の形態では、ワークロールのサーマルクラウン予測計算式における密度、比熱、熱伝導率もしくは線膨張係数のうちの1つ以上を補正するのであるが、より簡便な方法の例を、ここで紹介する。
【0070】
磨耗に全く誤差がなかった(あったとしてもわずかなため識別できない程度の場合も含む)場合について、上記図3のように、A社の新ワークロールを使用した場合とB社のワークロールを使用した場合と、を比較した例に基き、説明する。
【0071】
A社の新ワークロールとB社のワークロールは、先に表1に示した通り、カタログ上、異なっている物性値は線膨張係数だけであり、A社の新ワークロールが1.53×10-5/℃、B社のワークロールが、1.23×10-5/℃である。
【0072】
一方、ゲージメータ誤差(板厚計で実測した板厚−ゲージメータ実績計算値)は、A社の新ワークロールを使用した場合が−0.29mm、B社のワークロールを使用した場合が、−0.19mmである。
【0073】
ということは、A社の新ワークロールについて、線膨張係数をB社のワークロールのものと同じ1.23×10-5/℃にもしも仮に置き換えたとすると、ゲージメータ誤差は、−0.19mmにその大きさが縮小する。
【0074】
この要領に従い、外挿すれば、
1.53×10-5/℃−(1.53×10-5/℃−1.23×10-5/℃)
÷(−0.19mm−(−0.29mm))×(0−(−0.29mm))
=0.66×10-5/℃
にA社の新ワークロールの線膨張係数を補正すれば、ゲージメータ誤差は、ゼロになる。
【0075】
同様に、
1.23×10-5/℃−(1.53×10-5/℃−1.23×10-5/℃)
÷(−0.19mm−(−0.29mm))×(0−(−0.19mm))
=0.66×10-5/℃
にB社のワークロールの線膨張係数を補正すれば、ゲージメータ誤差は、ゼロになる。
【0076】
以上、説明した例では、F6について説明したが、その他のスタンドの出側にも、図4に示すごとく、板厚計40を設置すれば、それらスタンドについて、本発明の第3の実施の形態の適用は可能である。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、仕上圧延機ワークロールのサーマルクラウンを精度良く予測計算でき、圧延後の被圧延材の板厚が所望の値の範囲から外れてしまう品質上の問題や、仕上圧延機でタンデム圧延を行っている被圧延材がスタンド間で緩んでしまって折れ重なった末に圧延継続不能となったり、被圧延材が破断する、などの通板上の問題が生ずるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワークロール温度の計算の方法について図解して示した図
【図2】サーマルクラウンの計算の方法について図解して示した図
【図3】ある圧延サイクルにて、各社のワークロールをF6上に組み込んだ場合の、F6スタンドのゲージメータ誤差を圧延順に示したタイムチャート
【図4】板厚計の設置の様子の一例を示した図
【図5】本発明を適用すべき熱間圧延ラインの一例について全体構成を示した図
【図6】サーマルクラウンおよび磨耗深さの定義について示した図
【符号の説明】
8…被圧延材
10…加熱炉
12…粗圧延機
14…クロップシャー
16…デスケーリング装置
18…仕上圧延機
13、19…ワークロール
22…冷却ゾーン
24…コイラー
30…ホットメタルディテクタ(HMD)
50…制御装置
70…プロセスコンピュータ
90…ビジネスコンピュータ
100…熱間圧延ライン
W、G…伝達経路

Claims (2)

  1. 熱間仕上圧延ワークロールのサーマルクラウンを熱間圧延操業中に予測するに際し、
    ワークロール1本毎に、密度、比熱、熱伝導率、線膨張係数のうちの1つ以上を、サーマルクラウンの予測計算式に反映させることを特徴とする熱間仕上圧延ワークロールのサーマルクラウン予測方法。
  2. 熱間仕上圧延ワークロールのサーマルクラウンを熱間圧延操業中に予測し、仕上圧延機各スタンドのワークロール間隙を被圧延材先端の噛み込みに先立って設定する熱間圧延方法において、
    ワークロール1本毎に、密度、比熱、熱伝導率、線膨張係数のうちの1つ以上を、サーマルクラウンの予測計算式に反映させることを特徴とする熱間圧延方法。
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