JP3994645B2 - 手乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水洗い等で濡れた手を乾燥させるために、洗面所やトイレ・キッチン等で使用する手乾燥装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水洗等によって濡れた手をタオルやハンカチを使用して拭く代わりに、送風された温風に手をかざすことによって、手を衛生的に乾燥する手乾燥装置が実用化されている。この手乾燥装置は図7に示すように、高圧空気流発生装置61から上吹出ノズル62と下吹出ノズル63を経て送風される空気流を、手の両面に同時に高速噴流として吹き付け、手挿入部3より挿入した手の水分を吹き飛ばして乾燥させるものである。また、外郭は乾燥部後64、乾燥部前65、乾燥部底66、側面67、フロントケース68の5部品によって構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記従来例のように高速噴流により水分を吹き飛ばす手乾燥装置は、外郭を多くの部品で構成しており、勘合部分が多く継ぎ目も多くなるため外観の見栄えや清掃性に劣るというなどの問題があった。また、部品点数の多さから本体が重くなり、手軽に施工できないという課題もあった。
【0004】
そこで本発明は上記問題点を解消し、外観の見栄えを向上させ、清掃性がよく清潔感のある、また施工性の良い手乾燥装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、本体外郭の略前部を形成するフロントケースと、その本体の上面開放部から挿入された手を乾燥する乾燥室と、この乾燥室の内面に配されて電動送風機から送風された空気流を噴出する噴出孔と、その電動送風機の送風側と噴出孔を連通する空気室とを備え、乾燥室は左右が開放してあるU字状とし、U字状の壁面前後に前空気室と後空気室を固定するとともに、その前空気室と後空気室に沿って乾燥室の上部開口面積を矯正するための金属板の補強手段を有した構成にしてある。
【0006】
この発明によれば、樹脂成形品で生じやすいヒケや変形を本体の内側から矯正することにより、乾燥室とフロントケースとの側面での勘合を良くし、外観の見栄えを向上することができる。また、勘合部の隙間が抑えられるため、清掃性が良く清潔感をだすことができる。また部品点数も少なく、簡単な構成で本体を軽量にすることにより、施工性を良くすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。図1は本実施形態の手乾燥装置の全体構成を概略して示す斜視図、図2、6はその縦断正面図、図3は図2のA−A断面図、図4は着脱可能部品を分解して示す斜視図、図5はスリット状ノズルの外観形状を示す図である。
【0008】
以下の説明では空気を循環させて手を乾燥する手乾燥装置の構成で説明する。
【0009】
1は空気流を送風する電動送風機である。2は本体、3は手を乾燥する乾燥室4の上面が開放した手挿入部(開放部)、乾燥室4の入口部(内面上方)4aに電動送風機1が送風する空気流を噴出する噴出孔5を、また奥部(内面下方)4bに噴出孔5から噴出した空気流を回収する吸気口6を有している。
【0010】
7は乾燥室4の下方にあって電動送風機1へ空気を供給する送風流路、(電動送風機1の左側の流路)8は吸気口6から電動送風機1へ空気を環流するための循環流路で、循環流路8は吸気口6から下へ延び、空気と水滴の両方を含んだ回収部8aと、回収部8aから電動送風機1への環流部8bと、送風流路7とにわかれ、回収部8aからドレンタンク9へ水滴を回収するための水滴回収口10が設けてある。
【0011】
11は電動送風機1を収納する電動送風機ケース11で、内部は仕切り部12により高圧部13にあるファン14と低圧部15にあるモーター16に分離してあり、送風流路7からファン14の中心へ空気を吸引し、円周状に送風するようになっている。
【0012】
そして、送風の一部空気流がファン14の内部からモーター16へ空気を逃がす構成にしてある。17はファン吸気口吸音材、18は電動送風機ケース11の高圧部13の内側に設けた吸音材、19は電動送風機吹出し口、20は電動送風機ケース11の電動送風機吹出し口19に設けたリブである。
【0013】
次に図3の断面図により電動送風機1から出たあとの空気の流れにそって構成を説明する。21は空気室で前空気室21aと後空気室21bがあり、互いに連通している。空気室21は本体2内で左右幅ほぼ全体を占め、十分広い断面積(噴出孔5の約10倍以上)を確保している。空気は電動送風機吹出し口19から空気室吸入口22に入る。電動送風機吹出し口19と空気室吸入口22はシール部材23とリブ20により漏れないように構成してある。空気室吸入口22から入った空気は内部を通過し、送風口24に設けたノズルユニット25に行く。ノズルユニット25は乾燥室4の上方に設けたノズルユニット開口部26に挿入するようになっている。
【0014】
前空気室21aにはスリット状ノズル27、後空気室21bには丸孔ノズル28が対応している。なお、スリット状ノズル27は使用者側に位置するようにしてあり、手の平に対応させ、丸孔ノズル28は奥側で手の甲に当たるように構成してある。
【0015】
図4は各主要部品を分解した概略図で、この図を元に構成を説明する。
【0016】
ドレンタンク9の上に装着した循環流が通過するための流路をドレンタンク9の中に設けてある中箱体29で構成してある(循環流路の具体的構成)。
【0017】
中箱体29の電動送風機1側へ入る部分にはフィルター30を設けてある。29aはドレンタンク9へ水滴を落とすためのドレン用開口部である。ドレンタンク9は本体2から着脱可能で、なおかつ中箱体29、フィルター30の各々は分離可能である。
【0018】
次に、乾燥室4は、略断面U字形状に一体成形してあり、その側面開放部には2枚の側板31が設けてある。側板31は下側に固定用フランジ32があり、凹部33のところで乾燥室4の奥部4bにビス締めしてある。また、側板上部付近では浮き上がり防止部34によりノズルユニット25の入角部35に引っかかるようになっている。
【0019】
36は側板31上部に設けた飛び散り防止部36で内側に出っ張りを設けてある。側板31は採光のできる光透過体(半透明、スケルトンなども含む)で構成してあり、外側はシボ加工してある。そして、形状として緩やかに外側に丸みを帯びさせてある。これら側板31は、乾燥室4の前後面に設けた溝等に沿って挿入・離脱ができ、乾燥室4より着脱することも可能である。
【0020】
37はセンサ(手検知手段)で、発光部38と受光部39と制御手段40へ行く信号線41とで構成してある。42はセンサカバーである。
【0021】
43は表示部で、ここでは三角形をした電源ランプとして記載してある。表示部43は操作状態を表示するものでもかまわない。
【0022】
44は電源SWで防水カバー45で覆われ、フロントケース46の側部47に設けてある。フロントケース46は上部48、側部47を有し、前部49と上部48と側部47との間は曲面になっており、前から見た場合、中の部材等との固定するビスなどは見えない構成となっている。フロントケース46の上部48と側部47の一部は乾燥室4と勘合するようになっており、内部で固定するための突き出し部50を設けてある。また、フロントケース46は底板51と固定するような固定部52を有し、底板51と裏面でビスにより固定してある。
【0023】
なお、本体2は置き台53に載せて運転させることも可能であり、その場合、ドレンタンク9は取り外しできるようになっている。
【0024】
また、外観として構成されるフロントケース46、乾燥室4、ドレンタンク9、側板31、センサカバー42、さらにフィルター30、中箱体29はポリプロピレン樹脂で成形してある。
【0025】
次に上記構成の動作について説明する。
【0026】
手が手挿入部3より乾燥室4内に挿入されると、センサ37が手を検出して電動送風機1を駆動する。すると吸気口6から吸い込まれた空気流は循環流路8及び送風流路7を通り電動送風機1の高圧部13に吸い込まれ、ファン14の中心からファンのはねを通り円周状に空気を吐き出す。なお、電動送風機ケース11のファン14の吸込み部分は負圧になるため、ファン吸気口吸音材17を介して電動送風機ケース11に吸い付くようになり、高圧部13から空気流が漏れることはない。
【0027】
一方、ファン14からモーター16へは一部の空気が低圧部15にあるモーター16へ流れ、モーター16の冷却を行う。冷却用に使用された空気は電動送風機ケース11の下側又は後側へ放出され、本体2外へ出て行く。
【0028】
電動送風機ケース11内にある吸音材18は高圧部の内周にファンと対抗するように張られてある。従って、電動送風機ケース11内で高速に回転しているファンからでる音はここで相当程度吸収される。
【0029】
電動送風機1から出た空気は空気室21の両前空気室21a、後空気室21bを通って噴出孔5があるノズルユニット25に導かれる。前空気室21a、後空気室21bでは、上述のように噴出孔5に比べて断面積が十分広く確保されているため、ほぼ均等な圧縮状態となり、噴出孔5から安定した高速噴流を噴出することができる。噴出孔5は、手の平と手の甲の両面同時に噴流を吹き付けるよう対峙して設けられており、その噴出方向を、乾燥室4の奥方向、すなわち図では下方向(挿入された手の指の方向:手は図示せず)にわずか(5〜10゜)に傾けている。前空気室21aからはスリット状ノズル27にて、後空気室21bからは丸孔ノズル28にて、それぞれ手の平と、手の甲に当たる。
【0030】
手の平は水滴を付けた時両手でこすって洗うため、たくさんの水が付着している。一方手の甲は多くの水は付着していないが、手のしわなどに水滴が付着している。
【0031】
従って、手の平にはスリット状ノズルから多くの空気を噴射し、手の甲には丸孔ノズルにてスポット的に手のしわの部分の水滴を吹き飛ばすようにしてある。
【0032】
ここで手の平にあたるように構成したスリット状ノズルの面積は丸孔ノズルの2倍以上の面積にしている。そのため多くの空気流が手の平にあたる。但し、スリット状ノズルの面積は丸孔ノズルの10倍以下の面積にしないと、丸孔ノズルからの噴射する空気が少なすぎて手の甲の乾燥が十分にできない。
【0033】
また、スリット状ノズルの長手方向の中心位置10mm〜50mmの間を閉塞して、両手の間には無駄な空気を噴出さずに、手の部分のみに空気を噴出するようにしてある。
【0034】
このことにより真中の一番風量が多くなるところを出ない状態にしているため、両ノズルから出てきた空気流がぶつかって出るうなり音を防止することができる。
【0035】
その後、空気流は吸気口6に吸い込まれる。その空気流は循環流路8を通って電動送風機1を経て噴出側風路12から再び空気流として送風される。この送風された空気流は、電動送風機1を繰り返し通過することと、空気室21で繰り返し圧縮されることにより昇温され、別途加熱手段を設けなくても温かい風を噴出孔5から供給することができる。
【0036】
一方、図2に示すように、空気流とともに吸気口6に吸入された水滴は、循環流路8の回収部8aで空気流にのって下方に加速し、環流部8bへの屈曲位置において、慣性により水滴回収口10の位置に落下分離され、ドレンタンク9に回収される。フィルター30は主に電動送風機1に塵埃が流入するのを防いでいる。
【0037】
メンテナンス時には電源スイッチ44を一旦OFFにして清掃を行うが、側板31、ドレンタンク9、中箱体29、フィルター30の全てあるいはいずれかを、本体2から取り外して分離し、流水にさらして物理力を与えながら洗浄することができる。清掃終了後は取り外した上記部品を再び本体2に装着し、電源スイッチ44をONにする。
【0038】
尚、上記手乾燥装置は洗浄した手を乾燥する用途に用いるものであるが、洗浄が不十分であった場合には、水滴中に塵埃や汚れ成分等が含まれているものである。このため長期の使用によって、どうしても乾燥室4の内部や循環流路8等には汚れが付着してしまう。このため本実施形態ではドレンタンク9、中箱体29などを取り外し可能なため清掃が容易で、非常に使い勝手の良いものである。
【0039】
また、側板31は光透過体のため使用時に採光が充分でき乾燥室4の内部を外から透視可能となるため、閉空間中に手を挿入することに対する違和感・拒絶感・恐怖感等を緩和することができる。
【0040】
フロントケース46、乾燥室4、ドレンタンク9、側板31、センサカバー42、さらにフィルター30、中箱体29はポリプロピレン樹脂で成形してあるため、耐薬品性があり、トイレで使用しても割れにくい。また、耐候性もあり、変色しないという効果がある。
【0041】
しかし、ポリプロピレン樹脂で成形したものの組み合わせは難しく、特にフロントケース46と乾燥室4の勘合は非常に難しい。
【0042】
乾燥室4はU字型になっているため、樹脂のヒケや変形により入口部4aが狭くなり、フロントケース46と側面での勘合で隙間を生じやすい。その矯正として金属板の補強手段54を左右に設けてある。この補強手段54により乾燥室4とフロントケース46との側面での勘合を良くし、外観の見栄えを向上することができる。
【0043】
なお、補強手段54にビード55を設けることにより、大きな樹脂成型品である乾燥室4やフロントケース46の側面の内側への倒れ込みを矯正し、外観の見栄えをさらに向上することができる。
【0044】
上述のように本実施形態によれば、電動送風機1が送風する空気流は、スリット状ノズル27と丸孔ノズル28から空気流を手の平、手の甲の特性に応じて噴射させるため、非常に効率よく乾燥させることができる。手の平側をスリット状ノズルにしているため、風量も多くなり、連続した空気が供給されるためすばやく乾かすことができる。これらのノズル構成は丸孔とスリットの組みあわせにより得られた効果である。従って、電動送風機1は小型でコンパクトなもので十分足り、本体全体もコンパクトな構成ができる。
【0045】
なお、上記実施例では、空気流が電動送風機1を通過しながら循環する場合の説明を行なったが、空気流を循環せずに外側から空気を供給してもよい。そして別途加熱手段を設けて、暖かい風を噴出させるようにしても構わない。その場合でもノズル形態を同じようすればスリット状ノズル27と丸孔ノズル28から空気流を手の平、手の甲の特性に応じて噴射させるため、非常に効率よく乾燥させることができる。従って、電動送風機1は小型でコンパクトなもので十分足り、従って、本体全体もコンパクトな構成ができる。
【0046】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、樹脂成形品で生じやすいヒケや変形を本体の内側から矯正することにより、乾燥室とフロントケースとの側面での勘合を良くし、外観の見栄えを向上することができる。また、勘合部の隙間が抑えられるため、清掃性が良く清潔感をだすことができる。また部品点数も少なく、簡単な構成で本体を軽量にすることにより、施工性を良くすることができる。
【0047】
また、金属板の補強手段を設けることにより、子供が本体上部にぶら下がったり、大人が本体上部に寄りかかっても破損しない強度面でも丈夫な構成にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の手乾燥装置の全体構成を示す斜視図
【図2】同実施形態を示す縦断正面図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】同実施形態における着脱可能部品を分解して示す斜視図
【図5】同実施形態におけるノズルのユニット外観図
【図6】同実施形態を示す縦断正面図
【図7】従来の手乾燥装置の構成を示す縦断側面図
【符号の説明】
1 電動送風機
4 乾燥室
5 噴出孔
21a 前空気室(空気室)
21b 後空気室(空気室)
46 フロントケース
54 補強手段
Claims (1)
- 本体外郭の略前部を形成するフロントケースと、前記本体の上面開放部から挿入された手を乾燥する乾燥室と、前記乾燥室の内面に配されて電動送風機から送風された空気流を噴出する噴出孔と、前記電動送風機の送風側と噴出孔を連通する空気室とを備え、乾燥室は左右が開放してあるU字状とし、U字状の壁面前後に前空気室と後空気室を固定するとともに、前空気室と後空気室に沿って乾燥室の上部開口面積を矯正するための金属板の補強手段を有した手乾燥装置。
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