JP3994543B2 - 薄膜の測定方法と薄膜の測定装置 - Google Patents

薄膜の測定方法と薄膜の測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶基板上に形成された薄膜の厚さおよび密度を測定する測定方法とその測定装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
VLSI(Very Large Scale Integrated circuit )デバイス、ULSI(Ultra Large Scale Integrated circuit)デバイスなどのシリコンデバイスには、酸化膜や窒化膜などの薄膜の利用が不可欠となっている。
シリコン酸化膜は、選択拡散マスク、絶縁分離膜、MOS用ゲート絶縁膜などに利用され、窒化膜については、その高い絶縁性や誘電率を生かしてゲート絶縁膜や埋め込み絶縁膜などに用いられている。
これらの薄膜の絶縁耐圧などの電気的特性は、薄膜を利用したデバイスの特性に直接影響するため、その電気的特性の把握することはデバイスの特性向上や不良率の低減に結びつく。
さらに、その電気的特性の発現する仕組みを解明するためには、薄膜の膜質を評価する必要がある。
この膜質の評価項目としては、膜厚、膜表面の粗さ、膜基板界面の粗さ、膜応力など様々あるが、その中でも膜の密度は、薄膜を構成する原子の比率や稠密度(膜中の原子の詰まり具合)を反映し、膜の完全性を知る上で有用な物理量である。
薄膜の密度は、バルク(充分厚い状態)のそれとは異なる場合があり、特に膜厚が0.1nm程度〜10nm程度の薄い場合には、バルクの値から外れる。
薄膜の密度を測定することは容易ではないが、従来方法としては、次に述べるような三つの測定方法がある。
【0003】
第1の測定方法として、エリプソメトリー(偏光解析法)を用いる方法がある。この方法は、偏光の2成分であるP偏光およびS偏光の複素振幅反射率の絶対値の比と、反射の際のそれら2成分の位相差から、薄膜の屈折率と膜厚が求められる。
薄膜を構成する原子(元素)の組成比が既知であれば、それらの光学定数を使って屈折率から密度を求めることができる。
【0004】
第2の測定方法として、X線の反射を利用するX線反射率法を用いる方法がある。
この方法は、測定された反射率曲線に対して非線形の最小二乗法によるフィッティングを実行し、パラメータである薄膜の厚さ、薄膜の密度、薄膜と基板との界面および薄膜の表面の粗さを全て同時に求める方法である。
【0005】
第3の測定方法として、極微小角入射X線回折法と呼ばれる方法がある。
この方法について、シリコンの熱酸化膜の密度を測定した秋本、長谷川両氏の報告がある(「応用物理」(1993) Vol.62 ,No.11 ,pp.1128-1131)。この報告では、酸化膜の密度を算出する際に、熱酸化膜の密度は酸化膜形成法が同一ならば、酸化膜の厚さによらず、一定であるという前提を置いている。
そして、熱酸化膜の形成されたシリコンウェハの基板からのブラッグピークの強度を測定し、膜厚の異なる試料で得られた複数の強度値から、一つの酸化膜密度をフィッティングで求める。
【0006】
なお、ブラッグ回折、全反射、屈折などX線に関する参考文献は、多数出版されているが、X線の原理的な解説については、「X線回折・散乱技術 上」菊田惺志著(東京大学出版会)pp.240-243等に記載されている。
また、主に理論的な取り扱いについては、S. Kishino and K. Kohra, Jpn. J. Appl. Phys.10(1971)551.等に記載されており、S. Kimura, J. Harada and T.Ishikawa, Acta Cryst. A50(1994)337.等に記載されている。
また、主に理論的な取り扱いについては、L. G. Parratt, Phys. Rev. 95 (1954) 359.等に記載されており、B. Vidal and P. Vincent, Appl. Opt. 23 (1984) 1794. 等に記載されている。
また、吉田貞史、矢嶋弘義、「薄膜・光デバイス」(東京大学出版会)を参考にすることができ、和田順雄、Vol. 65, No. 11 「応用物理」(1996) 1125.を参考にすることができる。
また、理学電機ジャーナル 25(2) (1994) 58.を参考にすることができ、N. Awaji, S. Ohkubo, T. Nakanishi, Y. Sugita, K. Takasaki and S. Komiya, Jpn. J. Appl. Phys. 35 (1996) L67. を参考にすることができる。
また、古宮聰、淡路直樹、堀井義正、富田博文、Vol. 39, No. 1「日本結晶学会誌」(1997) 89.を参考にすることができる。
また、秋本晃一、長谷川英司、Vol. 62, No. 11 「応用物理」(1993) 1128.を参考にすることができ、E. Hasegawa, A. Ishitani, K. Akimoto, M. Tsukiji and N. Ohta, J. Electrochem. Soc. 142(1995) 273. を参考にすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
第1の測定方法であるエリプソメトリーの場合は、実験値である反射率の比と位相差から、屈折率が直接的に求まるのではなく、複雑な数値解析による合わせ込み(フィッティング)が必要となる。
さらに、エリプソメトリーでは、膜厚10nm以上での精度は一般に保証されているが、膜厚10nm未満の膜については、実験上の特別の配慮をしなければ膜厚10nm以上の場合と同程度までに測定誤差を抑えることが困難である。
また、エリプソメトリーでは、入射光に対する入射角および反射光に対する出射角の他に、入射光および出射光の振幅を測定しなければならず、誤差要因が多くあり、求められる密度の値の確度(確からしさ)は低くなるおそれがある。
【0008】
第2の測定方法であるX線反射率法の場合は、測定されるのは1つの反射特性であるのに対し、決定されるパラメータの数は4個となり、4個のパラメータについてフィッティングを用いているので、フィッティングの際の収束条件が複数存在し、密度の値の確度は低くなるおそれがある。
さらに、求められる物理量は互いに線形独立ではないので、密度の誤差は他の膜厚の粗さの絶対値等に依存し、実験条件だけからは決められないという問題点がある。
【0009】
第3の測定方法である極微小角入射X線回折法を用いた上記報告では、ブラッグピークの強度は、X線の酸化膜による吸収で、膜厚に応じて変化するという現象を利用している。
上記報告には、三つの問題点がある。一つは、同じ条件で形成された薄膜は厚さが異なっても同一の密度を持つという前提が、成り立たない場合がしばしばある。次に、密度算出の際に膜厚を予め求めておく必要がある。最後に、膜厚の算出にX線の動力学的回折理論(Dynamical Theory of Diffraction )を用いておらず、これらの点に鑑みると得られる密度の値の確度は低くなるおそれがある。
本発明の目的は、結晶基板上の薄膜の密度の測定において、密度の値を高精度で得ることができる薄膜の測定方法とその測定装置とを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜の測定方法では、結晶基板上に薄膜が形成された試料にX線を照射して回折X線の強度特性を測定し、前記薄膜を除去した後の前記試料に前記X線を照射して回折X線の強度特性を測定し、前記試料に前記薄膜が形成された場合の前記強度特性と前記薄膜を除去した場合の前記強度特性との比である規格化強度特性を算出し、前記試料の薄膜の厚さおよび密度をパラメータとして有する回折X線の強度の理論値であって前記薄膜が有る場合の前記理論値と無い場合の前記理論値との比である規格化理論値を、前記規格化強度特性に一致させるような前記パラメータの値を算出する。
【0011】
本発明の薄膜の測定方法では、好適には、前記強度特性は、入射X線の視斜角をブラッグピークとなる角の前後で所定の角度範囲で極微小角入射X線回折法により測定され、前記規格化理論値を前記規格化強度特性に一致させるような前記パラメータの値は、最小二乗法により算出される。
本発明の薄膜の測定方法では、好適には、前記試料に照射されるX線は、ブラッグピークが全反射臨界角近傍で生じるような波長を有する。
【0012】
本発明の薄膜の測定装置では、試料にX線を照射するX線発生装置と、結晶基板上に薄膜が形成された前記試料と前記薄膜を除去した後の前記試料の回折X線および鏡面反射X線を検出する検出器と、入射X線の視斜角を変化させて前記検出器からの検出信号に基づいて前記薄膜が形成された前記試料と前記薄膜を除去した前記試料の回折X線の強度特性を測定するX線強度測定装置と、前記X線強度測定装置の出力信号に基づいて前記薄膜が形成された前記試料の回折X線の強度特性と前記薄膜を除去した前記試料の回折X線の強度特性との比である規格化強度特性を算出する手段と、前記試料の薄膜の厚さおよび密度をパラメータとして有する回折X線の強度の理論値であって前記薄膜が有る場合の前記理論値と無い場合の前記理論値との比である規格化理論値を、前記規格化強度特性に一致させるような前記パラメータの値を算出する手段とを有する。
【0013】
本発明の薄膜の測定装置では、好適には、前記試料を載せるゴニオメータと、前記X線強度測定装置からの制御信号に基づいて駆動され、入射X線の視斜角をブラッグピークとなる角の近傍で変化させるように前記ゴニオメータを回転させるパルスモータとを有する。
本発明の薄膜の測定装置では、好適には、前記X線発生装置は、X線発生源と、前記X線発生源が出力するX線から、ブラッグピークが全反射臨界角近傍で生じるようなX線を取り出すモノクロメータとを有しており、前記モノクロメータで取り出されたX線が前記試料に照射される。
【0014】
本発明の薄膜の測定装置および測定方法では、好適には、前記回折X線の強度の理論値であるR(θ)は次式▲3▼で表される。
【数3】
Figure 0003994543
但し、{sin(θ+2α) /sin θ}×{|Eh /E1 2 }の値は動力学的回折理論に基づいて求められ、|E0r/E0 2 の値は薄膜表面および薄膜と結晶基板との界面におけるX線の境界条件から求められ、|E1 /E0r2 の値は入射X線の薄膜中での位相変化から求められ、θは視斜角、αは基板結晶のX線回折に関わる格子面と試料表面とのなす角、Eh は薄膜中および真空中もしくは薄膜中および空気中での回折X線の電界の振幅値、E0 は真空中もしくは空気中での入射X線の電界の振幅値、E0rは薄膜中かつ薄膜表面での入射X線の電界の振幅値、E1 は薄膜中かつ薄膜と結晶基板との界面での入射X線の電界の振幅値である。
【0015】
本発明の薄膜の測定方法では、先ず、結晶基板上に薄膜が形成された試料にX線を照射して回折X線の強度特性を測定する。
次に、前記薄膜を除去した後の前記試料に前記X線を照射して回折X線の強度特性を測定する。
次に、前記試料に前記薄膜が形成された場合の前記強度特性と前記薄膜を除去した場合の前記強度特性との比である規格化強度特性を算出する。
次に、前記試料の薄膜の厚さおよび密度をパラメータとして有する回折X線の強度の理論値であって前記薄膜が有る場合の前記理論値と無い場合の前記理論値との比である規格化理論値を、前記規格化強度特性に一致させるような前記パラメータの値を算出する。
前記薄膜が有る場合の前記理論値は、前記結晶基板上に薄膜が形成された状態の前記試料に対応し、前記薄膜が無い場合の前記理論値は、前記薄膜が除去された状態の前記試料に対応する。
【0016】
本発明の薄膜の測定装置では、X線発生装置は、試料にX線を照射する。
検出器は、結晶基板上に薄膜が形成された前記試料の回折X線および鏡面反射X線を検出する。
また、検出器は、前記薄膜を除去した後の前記試料の回折X線および鏡面反射X線を検出する。
X線強度測定装置は、入射X線の視斜角を変化させて前記検出器からの検出信号に基づき、前記薄膜が形成された前記試料の回折X線の強度特性を測定する。
また、X線強度測定装置は、入射X線の視斜角を変化させて前記検出器からの検出信号に基づき、前記薄膜を除去した前記試料の回折X線の強度特性を測定する。
薄膜の測定装置は、前記X線強度測定装置の出力信号に基づき、前記薄膜が形成された前記試料の回折X線の強度特性と前記薄膜を除去した前記試料の回折X線の強度特性との比である規格化強度特性を算出する手段を有する。
また、薄膜の測定装置は、前記試料の薄膜の厚さおよび密度をパラメータとして有する回折X線の強度の理論値であって前記薄膜が有る場合の前記理論値と無い場合の前記理論値との比である規格化理論値を、前記規格化強度特性に一致させるような前記パラメータの値を算出する手段を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の薄膜の測定装置を示す概略ブロック図である。
【0018】
この薄膜の測定装置100は、X線発生装置10と、試料14を載せて固定するゴニオメータ13と、検出器15,16と、X線強度測定装置17と、パルスモータ18と、演算装置19とを有する。
X線発生装置10は、X線12Bを試料14に照射し、X線12Bは入射X線を構成する。
X線発生装置10は、X線発生源11と、このX線発生源11が出力するX線11Bから特定の波長のX線を取り出すモノクロメータ12とを有しており、モノクロメータ12で取り出されたX線12Bが試料14に照射される。
前記試料14は、結晶基板上に薄膜が形成された試料14aと、当該試料14aから前記薄膜を除去した後の試料14bとを意味する。
【0019】
検出器15は、結晶基板上に薄膜が形成された試料14aの回折X線14Dを検出し、検出信号S15を生成する。
また、検出器15は、前記試料14aから前記薄膜を除去した後の試料14bの回折X線14Dを検出し、検出信号S15を生成する。
検出器16は、結晶基板上に薄膜が形成された試料14aの鏡面反射X線14Rを検出し、検出信号S16を生成する。
また、検出器16は、前記試料14aから前記薄膜を除去した後の試料14bの鏡面反射X線14Rを検出し、検出信号S16を生成する。
【0020】
X線強度測定装置17は、パルスモータ(ステッピングモータ)18を制御するモータ制御信号S17Mを生成する。
パルスモータ18は、X線強度測定装置17からのモータ制御信号S17Mに基づいて駆動され、入射X線12Bの視斜角θをブラッグピークとなる角の近傍で変化させるようにゴニオメータ13を回転させる。
X線強度測定装置17は、入射X線12Bの視斜角θを変化させて検出器15からの検出信号S15に基づいて試料14a,14bの回折X線14Dの強度特性等を測定し、記憶する。
X線強度測定装置17は、検出器16からの検出信号S16に基づいて鏡面反射X線14Rの強度特性等のデータを入力し、記憶する。
【0021】
演算手段19は、CPUとROMとRAMとを備えて各種演算を行う不図示のマイクロコンピュータを有し、一例としてディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を有してもよい。前記ROMまたはRAMには、式(1)〜(23)または式(4)〜(23)の計算を行うに必要な値が記憶されている。
演算手段19は、X線強度測定装置17の出力信号S17に基づいて試料14aの回折X線14Dの強度特性と試料14bの回折X線14Dの強度特性との比である規格化強度特性を算出する。
演算手段19は、前記試料14の薄膜の厚さdおよび密度ρをパラメータとして有する回折X線14Dの強度の理論値であって前記薄膜が有る場合の前記理論値と無い場合の前記理論値との比である規格化理論値を、前記規格化強度特性に一致させるような前記パラメータd,ρの値を算出し、演算手段19に接続されたディスプレイ装置またはプリンタ装置等の不図示の出力装置に出力する。
【0022】
薄膜の測定装置100を、以下に更に詳述する。
X線発生源11からのX線11Bは、モノクロメータ12により、測定すべき薄膜と結晶基板とからなる試料14に適した波長(例えば0.1nm程度)に、単色化される。
単色化されたX線12Bは、不図示のスリットにより、試料14へ入射する形状に整えられる。
通常、全反射条件下でX線を物質に入射させると、物質表面で屈折したX線は、物質の深さ方向に指数関数的に減衰し、表面からごく微小に入り込む(しみ込む)。この表面からごく微かに入り込む電磁波(X線を含む)をエバネッセント波と呼ぶ。エバネッセント波は、物質表面に極めて敏感であるという性質を有する。
薄膜の測定装置100では、X線のブラッグ回折の強度のピークであるブラッグピークが全反射臨界角θc近傍で生じるように、X線12Bの波長λを調整している。X線強度測定装置17は、ブラッグピークの角度を示すデータを演算装置19に出力する構成としてもよい。
X線を入射させる視斜角θは全反射臨界角θc近傍のごく小さい角度であり、試料14の結晶基板がシリコンで薄膜が酸化膜の場合は、一例として0度<θ≦0.4度程度とする。
パルスモータ18は、一例として0.001度程度〜0.01度程度ずつ、ゴニオメータ13を回転させる。
【0023】
薄膜の測定装置100では、X線の波長λを変えることでブラッグ角を調整し、ブラッグピークを全反射臨界角近傍に生じさせるので、X線11Bとしてはシンクロトロン放射光の利用が適している。
一方、金属ターゲットに荷電粒子等を照射してX線を発生するX線発生装置では、金属ターゲットの種類によりX線の波長が固定される。このようなX線発生装置を用いる場合は、試料14またはその結晶基板の回折に寄与する格子面と表面とのなす角をブラッグ角に一致するように、予めオフセットをつけた試料または結晶基板を用いてもよい。
【0024】
入射X線12Bを試料14の表面に所定の視射角θで入射させる。そして、試料14に入射したX線12Bのうち、試料表面で全反射された鏡面反射X線14Rは、検出器16の方向に進む。
一方、エバネッセント波は、試料14の格子面に対してブラッグ条件を満たし、検出器15の方向に回折する。このとき、視射角θと出射角(試料表面と回折X線14Dとのなす角)は等しくないので、生じる反射は非対称反射である。
試料14と検出器16との間には不図示のスリットが設けてあり、このスリットは、試料14に照射されずに検出器16に到来するX線をカットし、試料表面で全反射された鏡面反射X線14Rのみを通過させ、検出器16で検出されるようになっている。
試料14と検出器15との間には不図示のスリットが設けてあり、このスリットは、試料14のブラッグ回折による回折X線14Dを通過させ、ノイズの原因となる空気などによる散乱X線をカットし、検出器15で回折X線14Dが検出されるようになっている。
なお、ここでの回折とは、結晶に入射したX線が、結晶格子のある特定の面とブラッグ条件を満たし、ブラッグ角の方向に強め合って散乱される干渉現象をいう。
【0025】
試料14にて鏡面反射したX線14Rは検出器16で検出され、試料14の結晶基板にてブラッグ回折したX線14Dは検出器15で検出される。
試料14はゴニオメータ13に固定されており、X線強度測定装置17からモータ制御信号S17Mをパルスモータ18に送ってゴニオメータ13を微小回転させることにより、試料14に対するX線の視斜角θを、ブラッグピークの前後で所定の角度範囲だけ変化させる。
その変化に応じて、鏡面反射X線14Rの強度および回折X線14Dの強度をX線強度測定装置17は逐次記憶する。薄膜が形成された状態で強度測定した後に、薄膜をエッチングなどで除去した後で再び同様の強度測定を行う。
【0026】
薄膜の測定装置100におけるX線強度測定結果の一例を図2に示す。
鏡面反射X線14Rの強度特性f3 (θ)を示す鏡面反射曲線において、変曲点を与える角度θcが全反射臨界角であり、それより低角側、すなわちグラフの左側が全反射条件下に相当する。
薄膜が形成された状態で、すなわち薄膜を除去する前に測定された回折X線の強度特性f1 (θ)を示す回折強度曲線のピーク(ブラッグピーク)は全反射臨界角θcより微かに低角側に生じる。
薄膜を除去した後に、すなわち基板だけの状態で測定された回折X線の強度特性f3 (θ)を示す回折強度曲線のピーク(ブラッグピーク)も全反射臨界角θcより低角側に、かつf1 (θ)のピークよりも微かに低角側に生じる。
【0027】
1 (θ)とf2 (θ)の強度差は全反射臨界角θcよりも低い低角側で大きくなっている。これは、薄膜が無い場合に比べて薄膜が有る場合は、薄膜の影響で結晶基板に到達するエバネッセント波の強度が減少し、それだけ回折に寄与するX線の強度が低下するためである。
一方、全反射臨界角θcよりも高い高角側では、X線の侵入深さは急激に増大し、薄膜の影響は非常に小さくなり、両者の強度はほぼ一致する。
こうして測定された2つの強度特性f1 (θ)とf2 (θ)は、図1の薄膜の測定装置100における演算装置19に転送されて、理論計算による合わせ込みの対象として用いられる。以下の計算は演算装置19で実行される。
【0028】
一般に基板には反りが存在するために理想的な結晶状態からずれており、強度特性f1 (θ)とf2 (θ)から理想的な結晶状態を計算で再現するのは非常に困難である。
そこで、薄膜の測定装置100では、f2 (θ)でf1 (θ)を割る(または、f1 (θ)でf2 (θ)を割る)ことにより、基板の反りの影響を回折強度特性から除外する。
これは、反りのない理想的な状態における、薄膜除去前の回折X線の強度特性f1'(θ)と薄膜除去後の回折X線の強度特性f2'(θ)により、
1 (θ)=c(θ)f1'(θ) ……(1)
2 (θ)=c(θ)f2'(θ) ……(2)
と表されることに基づく。ここで、c(θ)は反りによる修正因子で視斜角θの関数であり、f1 (θ)とf2 (θ)に共通に作用する。
なお、c(θ)には、反り以外に、基板に起因し、かつ薄膜の除去前後に共通である誤差要因(例えば基板の格子歪みなど)を修正する因子を含めることができる。
上式(1),(2)の成立には、薄膜が試料の表裏に均一に形成されており、また表裏共に均一に除去される場合が好ましい。または、X線が入射する面にのみ形成されている場合は、薄膜と基板との界面に生ずる応力が微小である場合が好ましい。これらの条件は通常満足される。
【0029】
X線強度の測定結果から得られる規格化強度特性をfa (θ)とすると、式(1),(2)から、
Figure 0003994543
と表され、反りのない理想的な状態での回折強度を反映した特性を、規格化強度特性fa (θ)から得ることができる。
こうして得られた規格化強度特性fa (θ)を示す規格化回折強度曲線の概念図を図3に示す。
図3のグラフでは、前記図2のグラフに示すように、全反射臨界角θcより低角側ではf1 (θ)とf2 (θ)との差が開いていることから、fa (θ)の値は小さくなり、一方、全反射臨界角θcより高角側ではf1 (θ)とf2 (θ)とはほぼ一致することから、fa (θ)の値は1に近づく。
このfa (θ)を理論的に再現しようとして計算される規格化理論値fc (θ)を示す規格化回折強度曲線を、図3中に合わせて示す。
【0030】
規格化理論値fc (θ)において、薄膜の密度ρと厚さdがパラメータに採用されており、この計算について以下に述べる。
試料に対する入射X線と回折X線及び鏡面反射X線の関係を図4に示す。図中の符号141は結晶基板であり、符号140は結晶基板141上に形成された薄膜である。
回折X線の入射X線に対する相対強度であって、回折X線の強度の理論値R(θ)は、次式(4)で表される。
【数4】
Figure 0003994543
ここで、αは基板結晶の回折に関わる格子面と試料表面とのなす角であり、E0 は真空中(または空気中)での入射X線の電界の振幅値であり、Eh は薄膜中及び真空中(または空気中)での回折X線の電界の振幅値であり、E0rは薄膜中かつ薄膜表面での入射X線の電界の振幅値であり、E1 は薄膜中かつ薄膜と基板との界面での入射X線の電界の振幅値である。
回折X線と試料との成す角は全反射臨界角θcよりもかなり大きく、回折X線の薄膜中での吸収は無視できることを上記のEh の定義は意味する。
式(4)の右辺の第1成分sin(θ+2α) /sin θは、試料14に照射される入射X線の幅と検出器で検出される回折X線の幅の相違を補正するように作用する。
【0031】
式(4)の右辺第2成分を展開すると、次のようになる。
【数5】
Figure 0003994543
ここで、上式(5)中のg0 とg1 は、それぞれ次式(6)と次式(7)で表される。
【数6】
Figure 0003994543
【数7】
Figure 0003994543
但し、上式(7)中の(1+χ0(1)/2)は薄膜の屈折率を表す。
【0032】
χ0(1)は複素数であり、実部χ'0(1) と虚部χ"0(1) を用いて次式(8)〜(10)で表される。
【数8】
Figure 0003994543
【数9】
Figure 0003994543
【数10】
Figure 0003994543
ここで、λはX線の波長であり、re は古典電子半径であり、NA はアボガドロ数であり、xj 、Zj 、Mj 、fj ' およびfj " は、それぞれ薄膜を構成するj番目の元素(原子種)の組成比、電子数(原子番号)、原子量、原子散乱因子の異常分散項の実部および原子散乱因子の異常分散項の虚部であり、ρは薄膜の密度である。
例えば、1番目の元素をシリコンとし、2番目の元素を酸素とする。
【0033】
式(7)におけるθ1 は薄膜表面における屈折角であり、スネルの法則より次式(11)で表される。
【数11】
Figure 0003994543
【0034】
式(5)の右辺のE0mは薄膜中かつ薄膜表面での鏡面反射X線の電界の振幅値であり、E1mは薄膜中かつ薄膜と基板との界面での鏡面反射X線の電界の振幅値である。
また、薄膜と基板との界面での鏡面反射X線および入射方向のX線の電界ベクトルと磁界ベクトルの境界条件から、次式(12)が成立する。
【数12】
Figure 0003994543
ここで、Γ0 (1) は、基板の結晶中で回折が生じている場合に存在し得る入射方向の波数ベクトル↑k2 (1) の、試料表面に垂直な成分を用いて次式(13)で表される。
【数13】
Figure 0003994543
ここで、↑nは試料表面に垂直な単位ベクトル、k1 は入射X線の薄膜中の波数、δ0 は共鳴不足度であり、また、次式(14)が成立する。
【数14】
Figure 0003994543
ここで、k2 は基板結晶中のX線の波数であり、1+χ0(2)/2は基板結晶の屈折率を表す。
【0035】
Γ0 (1) は、マクスウェル方程式とブロッホの定理から導かれる結晶中の電磁波の波数ベクトルが満たす基本方程式を、2波近似とラウエ条件を用いて変形して得られた次の4次方程式(15)の解の1つである。
【数15】
Figure 0003994543
ここで、χp とχq はそれぞれ逆格子ベクトル↑hと−(↑h)に対応する、基板結晶の電気感受率のフーリエ級数(の係数)である。逆格子ベクトル↑hは回折に関わる格子面に対応し、その絶対値hは次式(16)により表される。
【数16】
Figure 0003994543
ここで、θB はブラッグ角である。また、次式(17)が成立する。
【数17】
Figure 0003994543
式(15)の他の3つの解をΓ0 (2) 、Γ0 (3) およびΓ0 (4) とすると、次のような判定条件を用いてΓ0 (1) を選択する。
Im(Γ0 (1) )<0、Im(Γ0 (4) )<0、
Im(Γ0 (2) )>0、Im(Γ0 (3) )>0、
|Re(Γ0 (1) )|<|Re(Γ0 (4) )|、
|Re(Γ0 (2) )|<|Re(Γ0 (3) )|
【0036】
式(5)のδ1 は入射X線が薄膜を通過する際に生じる位相変化であり、次式(18)が成立する。
【数18】
Figure 0003994543
ここで、dは薄膜の厚さであり、Kは入射X線の真空中(または空気中)の波数である。
【0037】
式(4)の右辺第3成分は、前記位相変化に伴って入射X線が薄膜中で受ける吸収を考慮したもので、次式(19)で表される。
【数19】
Figure 0003994543
【0038】
式(4)の右辺第4成分は、基板結晶にごく小さい角度で入射したX線の強度に対する基板結晶で回折したX線の強度を表しており、次式(20)で表される。
【数20】
Figure 0003994543
ここで、Γh (1) はラウエ条件から次式(21)が成立する。
【数21】
Figure 0003994543
以上に説明したように、式(4)〜(21)を用いて、入射X線に対する回折X線の相対強度R(θ)を計算することができる。
薄膜の密度ρは、式(9)と式(10)に表されるように、薄膜の屈折率に関係する。
薄膜の厚さdは、式(18)に表されるように、薄膜を通過する際の入射X線の位相変化に関係する。
薄膜の厚さdを0にして計算される相対強度は、薄膜を除去した後に測定される回折X線強度に相当する。この場合の相対強度R(θ)を特にR0 (θ)とすると、計算で得られる規格化理論値fc (θ)は、次式(22)で表される。
【数22】
Figure 0003994543
図3に示したように、X線強度の測定結果から得られる規格化強度特性fa (θ)と似た特性曲線となる。
【0039】
演算装置19は、次のような最小二乗法による演算を最終的には実行する。
X線強度の測定と同じ範囲内に、有限なN個の視斜角θi (i=1、2、…、N)を設定し、それらの視斜角におけるfa (θ)とfc (θ)の差の相対値の二乗和SUMが最小になるように、薄膜の密度ρと厚さdを変化させる。
二乗和SUMは、次式(23)で表される。
【数23】
Figure 0003994543
そして、二乗和SUMが最小値となる場合の薄膜の密度ρと厚さdとが、薄膜の測定装置100による測定結果となる。
【0040】
式(4)の右辺の成分のうち、|E0r/E0 2 は薄膜表面および薄膜と結晶基板との界面におけるX線の境界条件から求められ、|E1 /E0r2 は入射X線の薄膜中での位相変化から求められ、{sin(θ+2α) /sin θ}{|Eh /E1 2 }はX線の動力学的回折理論から求められる。それらを組み合わせて理論計算を行うことにより、薄膜の密度ρと厚さdとを同時に高精度で求めることができる。
【0041】
試料14に関しては、基板結晶の組成と構造と薄膜の組成は、既知である必要がある。
式(14)におけるχ0(2)や、式(15)におけるχp とχq は既知の結晶に対して値が与えられている。一般に、基板に用いられる結晶はシリコン、ガリウムヒ素、サファイアなどよく知られた物が多く、既知であるという条件は満たされる。
【0042】
式(9)と式(10)では、薄膜を構成する元素の組成比が必要である。
但し、元素の組成比が正確に分からない場合でも、次のような近似を利用できるときがある。例えば、シリコンウェハ上に形成されたシリコン酸化膜を薄膜として測定する場合、酸化膜の平均した組成をSiOx とする。
以下のSiとOからなる添字を各々シリコンと酸素に関わる量とすると、シリコンの原子量MSi≒2ZSi(ZSiはシリコンの原子番号)であり、酸素の原子量MO ≒2ZO (ZO は酸素の原子番号)である。
また、X線の波長が0.1nm程度では、シリコンの原子散乱因子の異常分散項の実部fSi’≒ZSi/70であり、酸素の原子散乱因子の異常分散項の実部fO ’≒ZO /20である。
よって、SiOx のxのとり得る範囲0〜4の間では、xの値にかかわらず、3桁の有効数字の範囲内で、式(9)および式(10)の右辺の密度ρ以外の係数の値に影響はない。一般に、このことは、原子量が原子番号の2倍で表される軽元素で構成される薄膜で成り立つ。但し、この場合でも、薄膜を構成する元素の種類は既知であることが必要である。
【0043】
薄膜の測定装置100では、第1に、薄膜の除去前後でそれぞれ試料の回折X線の強度特性を測定する。
これにより、薄膜の存在が回折強度に及ぼす影響を明瞭に抽出し、測定精度を高めることができる。また、個々の試料で密度ρと厚さdを求めることができる。また、薄膜の厚さdを変えた複数の試料を用いて、それらに共通の密度ρの値を求める必要がない。
なお、結晶基板上に形成する薄膜の厚さdとしては、0.1nm程度から10nm程度としてもよく、好適には1nm(ナノメートル)程度から10nm程度としてもよい。
【0044】
薄膜の測定装置100では、第2に、薄膜の除去後の回折強度で薄膜の除去前の回折強度を規格化する。
一般に、回折強度特性(回折強度曲線)は基板の反りの影響を受けるが、反りの影響は薄膜の除去前後で同程度であり、測定装置100では反りの影響を回避できる。
【0045】
薄膜の測定装置100では、第3に、薄膜の密度ρと厚さdを同時に求める。
薄膜が形成された基板の回折強度曲線は、薄膜の密度ρおよび厚さdに依存する。よって、それらを共にパラメータに採用した理論計算による合わせ込みで、密度ρと厚さdの値が同時に得られる。
【0046】
薄膜の測定装置100では、第4に、X線の動力学的回折理論と、薄膜の表面と界面におけるX線の境界条件、および薄膜中でのX線の位相変化に伴う吸収効果とに基づいて計算する。
X線の動力学的回折理論は、基板におけるX線の回折現象の説明に適しているが、その上に形成された薄膜中での反射・屈折現象を説明できない。
したがって、薄膜が形成された基板の回折現象は、動力学的回折理論と、薄膜の表面と界面におけるX線の境界条件、および薄膜中でのX線の位相変化に伴う吸収効果とを全て利用して解釈する方が、試料14における物理現象をより正確に把握することができる。
【0047】
薄膜の測定装置100は、組成が同じで薄膜の形成条件を変えた複数の試料の膜質の比較評価に用いることができる。
また、薄膜を用いた半導体デバイスの動作特性を向上させるための指針を与えることができる。例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などシリコンウェハ上の薄膜を対象とすれば、シリコンデバイスの電気的特性(酸化膜耐圧など)の向上に対する指針を与えことができる。
また、薄膜の密度ρと厚さdの値を利用すれば、エリプソメトリーや、X線反射率法で求められる値の精度を評価でき、さらにX線反射率法で求められる表面粗さや界面粗さの測定精度の向上に役立てることができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の薄膜の測定方法と本発明の薄膜の測定装置によれば、試料から薄膜を除去する前後で回折X線の強度測定をするので、薄膜が回折強度に及ぼす影響を抽出することができ、薄膜の測定精度を向上することができる。
また、薄膜の除去後の回折強度と薄膜の除去前の回折強度との比を求めて規格化することで、基板の反りの影響を除外することができ、薄膜の測定精度を向上することができる。
また、試料の回折強度は薄膜の密度と厚さに密接に関連することから、薄膜の密度および厚さをパラメータに有する理論値を用いて回折強度の測定値に一致させることで、薄膜の密度および厚さを同時に得ることができると共に、薄膜の測定精度を向上することができる。
更に、X線の動力学的回折理論と薄膜の表面と界面におけるX線の境界条件、および薄膜中でのX線の位相変化に伴う吸収効果に基づく前記理論値を用いることで、結晶基板上に薄膜が形成された試料におけるX線の回折、反射、屈折等を加味して薄膜を測定することができ、測定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜の測定装置の一例を示す概略ブロック図である。
【図2】図1の薄膜の測定装置によるX線強度測定結果の一例を示す図である。
【図3】規格化強度特性fa (θ)を示す規格化回折強度曲線と、規格化理論値fc (θ)を示す規格化回折強度曲線とを示す図である。
【図4】試料に対する入射X線と回折X線及び鏡面反射X線の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
10…X線発生装置、11…X線発生源、11B…X線、12…モノクロメータ、12B…入射X線、13…ゴニオメータ、14…試料、14D…回折X線、14R…鏡面反射X線、15,16…検出器、17…X線強度測定装置、18…パルスモータ、19…演算装置、100…薄膜の測定装置、140…薄膜、141…結晶基板、S17M…モータ制御信号、θ…視斜角、θc…全反射臨界角。

Claims (9)

  1. 結晶基板上に薄膜が形成された試料にX線を照射して回折X線の強度特性を測定し、
    前記薄膜を除去した後の前記試料に前記X線を照射して回折X線の強度特性を測定し、
    前記試料に前記薄膜が形成された場合の前記強度特性と前記薄膜を除去した場合の前記強度特性との比である規格化強度特性を算出し、
    前記試料の薄膜の厚さおよび密度をパラメータとして有する回折X線の強度の理論値であって前記薄膜が有る場合の前記理論値と無い場合の前記理論値との比である規格化理論値を、前記規格化強度特性に一致させるような前記パラメータの値を算出する
    薄膜の測定方法。
  2. 前記回折X線の強度の理論値であるR(θ)は次式▲1▼で表される
    Figure 0003994543
    (但し、{sin(θ+2α) /sin θ}×{|Eh /E1 2 }の値は動力学的回折理論に基づいて求められ、|E0r/E0 2 の値は薄膜表面および薄膜と結晶基板との界面におけるX線の境界条件から求められ、|E1 /E0r2 の値は入射X線の薄膜中での位相変化から求められ、θは視斜角、αは基板結晶のX線回折に関わる格子面と試料表面とのなす角、Eh は薄膜中および真空中もしくは薄膜中および空気中での回折X線の電界の振幅値、E0 は真空中もしくは空気中での入射X線の電界の振幅値、E0rは薄膜中かつ薄膜表面での入射X線の電界の振幅値、E1 は薄膜中かつ薄膜と結晶基板との界面での入射X線の電界の振幅値である。)
    請求項1記載の薄膜の測定方法。
  3. 前記強度特性は、入射X線の視斜角をブラッグピークとなる角の前後で所定の角度範囲で極微小角入射X線回折法により測定され、
    前記規格化理論値を前記規格化強度特性に一致させるような前記パラメータの値は、最小二乗法により算出される
    請求項1記載の薄膜の測定方法。
  4. 前記試料に照射されるX線は、ブラッグピークが全反射臨界角近傍で生じるような波長を有する
    請求項1記載の薄膜の測定方法。
  5. 試料にX線を照射するX線発生装置と、
    結晶基板上に薄膜が形成された前記試料と前記薄膜を除去した後の前記試料の回折X線および鏡面反射X線を検出する検出器と、
    入射X線の視斜角を変化させて前記検出器からの検出信号に基づいて前記薄膜が形成された前記試料と前記薄膜を除去した前記試料の回折X線の強度特性を測定するX線強度測定装置と、
    前記X線強度測定装置の出力信号に基づいて前記薄膜が形成された前記試料の回折X線の強度特性と前記薄膜を除去した前記試料の回折X線の強度特性との比である規格化強度特性を算出する手段と、
    前記試料の薄膜の厚さおよび密度をパラメータとして有する回折X線の強度の理論値であって前記薄膜が有る場合の前記理論値と無い場合の前記理論値との比である規格化理論値を、前記規格化強度特性に一致させるような前記パラメータの値を算出する手段と
    を有する
    薄膜の測定装置。
  6. 前記回折X線の強度の理論値であるR(θ)は次式▲2▼で表される
    Figure 0003994543
    (但し、{sin(θ+2α) /sin θ}×{|Eh /E1 2 }の値は動力学的回折理論に基づいて求められ、|E0r/E0 2 の値は薄膜表面および薄膜と結晶基板との界面におけるX線の境界条件から求められ、|E1 /E0r2 の値は入射X線の薄膜中での位相変化から求められ、θは視斜角、αは基板結晶のX線回折に関わる格子面と試料表面とのなす角、Eh は薄膜中および真空中もしくは薄膜中および空気中での回折X線の電界の振幅値、E0 は真空中もしくは空気中での入射X線の電界の振幅値、E0rは薄膜中かつ薄膜表面での入射X線の電界の振幅値、E1 は薄膜中かつ薄膜と結晶基板との界面での入射X線の電界の振幅値である。)
    請求項5記載の薄膜の測定装置。
  7. 前記試料を載せるゴニオメータと、
    前記X線強度測定装置からの制御信号に基づいて駆動され、入射X線の視斜角をブラッグピークとなる角の近傍で変化させるように前記ゴニオメータを回転させるパルスモータと
    を有する
    請求項5記載の薄膜の測定装置。
  8. 前記試料に照射されるX線は、ブラッグピークが全反射臨界角近傍で生じるような波長を有する
    請求項5記載の薄膜の測定装置。
  9. 前記X線発生装置は、
    X線発生源と、
    前記X線発生源が出力するX線から、ブラッグピークが全反射臨界角近傍で生じるようなX線を取り出すモノクロメータと
    を有しており、
    前記モノクロメータで取り出されたX線が前記試料に照射される
    請求項8記載の薄膜の測定装置。
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