JP3994497B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非水電解質電池に関するもので、さらに詳しくはその正極活物質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高エネルギー密度化のために作動電圧が4V前後を示す活物質や長寿命化のために負極に炭素材料を用いる電池などが注目を集めている。
【0003】
長寿命化のため負極に炭素材料を用いる場合であっても、正極の作動電圧が高いものでなければ高エネルギー密度電池が得られにくいということから、LiCoO2 やLiNiO2 等の、LiMO2 で示される層状構造を有する化合物またはLiMn2 4 等の、LiM2 4 で示されるスピネル構造を有する化合物が提案され、すでに一部実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような正極活物質はその表面が親水性であり、水を吸着あるいは反応することがあった。すなわち、非水電解質電池において、電池内部への水の混入は電解質の分解や負極への被膜形成による抵抗増大等の悪影響が考えられるため、極力抑制する必要がある。そのため通常、真空乾燥により吸着水分を除去することが行われている。しかしながら、正極活物質表面の親水性を示す水酸基の除去は難しく、高真空あるいは高温乾燥が必要となる。高真空で乾燥する場合、その乾燥工程における製造コストの問題や酸素分圧が異なることによる酸化物の脱酸素が起こることが考えられる。また、高温で乾燥する場合、電極のバインダーの分解や集電体の変質等の悪影響が考えられる。
【0005】
正極活物質として例えばスピネル構造を有するマンガン酸リチウムの場合、4V付近に平坦な電位を示すため、従来の正極活物質に用いられているコバルト酸リチウムとほぼ同等の材料として代用することが可能である。マンガンはコバルトに比べると資源的に豊富であるため安価であり、そのうえ安全性の点でも有利であることから、次世代の有望な活物質として一部商品化も行われている。しかしながら、マンガン酸リチウムは充電状態においてマンガンが溶出し、その結果充放電容量が低下すると考えられている。この溶出の原因として、電解液中に不純物として存在するフッ酸の影響が考えられる。通常電解液に用いられる溶質はLiPF6 やLiBF4 等の無機塩が用いられている。この様な無機塩の場合、電池内部に混入した水により分解し、フッ酸を生成することが知られている。つまり、乾燥によって除去できなかった水分によって塩が分解し、フッ酸が生成することで、マンガンの溶出を促進していることが考えられる。
【0006】
また、LiNiO2 等一部の活物質は、水と反応し分解することが分かった。すなわち、ここで生じる分解生成物は不純物として活物質中に混入するため、単位重量及び単位体積当りの容量が低下することになる。さらに、この分解生成物としては、強アルカリを示し、電解液やバインダーを分解することにより、充放電効率が低下したりサイクルによる容量が低下するという問題点があった。
【0007】
さらに炭素材料表面では、リチウム吸蔵の際に電解液と炭素材料の間に炭酸リチウムのようなイオン伝導性の高い被膜を形成するが、この被膜形成時あるいは形成後にフッ酸の様な酸が存在すると、イオン伝導性の低いハロゲン化リチウムを生じる。炭素材料と電解液の界面に生じたハロゲン化リチウムは、リチウムの吸蔵放出を妨げ、その結果負極の界面抵抗を増大させ、容量特性を低減させる原因の一つと考えられる。
【0008】
一方、活物質焼成後、電池組立、注液までのかなりの工程での、乾燥後の水分の再吸着も考えられる。すなわち、これらの工程をすべて乾燥空気雰囲気下で行うことは、コストを上げる要因となる。また、注液直前に真空乾燥により吸着水分を除去することもできるが、電極を巻き込んだ状態において電極表面に吸着した水分を完全に除去するには、高温かつ高真空が必要である。しかしながら、セパレータとしてシャットダウン特性を有するポリエチレン製微多孔膜を使用する場合、高温乾燥を行うとセパレータのシャットダウン特性が働き、電池性能を失うことになるため、更なる高真空乾燥が要求される。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、生産性に優れたエネルギー密度の大きい長寿命非水電解質電池を提供することにある。
【0010】
上記課題について鋭意検討した結果、本発明に係る非水電解質電池の正極活物質は、中心層と一種以上の表面層からなり、少なくともその中心層がアルカリ金属を可逆的に吸蔵放出可能な活物質で形成され、表面層はその活物質とは異なる一種類以上の疎水性化合物で形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記課題の問題点である水分の混入源として、正極、負極、セパレータ、電解液等の要因が考えられる。これらの水分量を測定したところ、特に正極に存在する水分量が多いことが分かった。正極に存在する水の状態として、吸着水、結晶水が挙げられるが、他に活物質表面に存在する水酸基等も脱水反応により水を放出することが考えられる。つまり、この種の水分を除去することにより正極においてはマンガン等の溶出や活物質の分解を抑制することが可能であり、一方負極においても界面抵抗の増大を抑制できることが期待される。
【0012】
しかしながら、正極材料に於けるこの種の水は焼成段階では700℃以上での高温にさらされるためほとんど存在しないと考えられる。つまり、焼成後の冷却過程から注液までの間に吸着、反応することが考えられる。よって、正極活物質表面を水を寄せ付けにくい疎水性化合物でコートすることにより、電池内部へ持ち込む水分量を減らすことを考えた。つまり、簡単で安価な表面処理により、再吸着によって電池内部に持ち込む水分を減らすことができ、よって塩の分解を抑制することが可能となり、正極の溶出や負極の界面抵抗の増大を抑制することにより電池寿命を長くすることができる。また、水の再吸着を防ぐことで、活物質と水の反応を抑制することができ、活物質の容量を損なうことがなくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明中のアルカリ金属を可逆的に吸蔵放出可能な正極活物質としては、高エネルギー密度の点から少なくともα−NaFeO2 構造またはスピネル構造を有する酸化物であることが望ましい。α−NaFeO2 構造を有する酸化物として、Liy NiO2 、Liy CoO2 、Liy Ni1-x x 2 (Mは例えば、Li,Ca,Cr,Ni,Fe,Coの1種類以上の元素であり、異種元素置換量を示すx値については置換できる最大量まで有効であるが、好ましくは放電容量の点から0≦x≦1である。また、リチウム量を示すy値についてはリチウムを可逆的に利用しうる最大量が有効であるが、好ましくは放電容量の点から0≦y≦1である。)等が、またスピネル構造を有する酸化物としてはLiMn2 4 、Liy [Mn2-x x ]O4 (Mは例えば、Li,Ca,Cr,Ni,Fe,Coの1種類以上の元素であり、異種元素置換量を示すx値については置換できる最大量まで有効であるが、好ましくは放電容量の点から0≦x≦1である。また、リチウム量を示すy値についてはリチウムを可逆的に利用しうる最大量が有効であるが、好ましくは放電容量の点から0≦y≦2である。)、Li4/3 Ti5/3 4 等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの酸化物の中でマンガンを含有するものに関して、その効果が顕著であったため最も好ましい。
【0014】
さらに、表面層を形成する疎水性化合物が有機化合物であることが望ましく、次の一般式(C n+1 M(但し、AはH,Fから選ばれる少なくとも1種類以上の元素であり、MはC,Siから選ばれる少なくとも1種類以上の元素、nは1又は2である。)で示される疎水性基を有する化合物が望ましい。例えば t-ブチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いる負極材料としては、リチウムを吸蔵、放出できるもので有ればよい。但し、炭素を負極に用いる電池の場合その効果は顕著である。炭素材量としては、特にX線回折法による面間隔(d002)が3. 354〜3. 369Åで、C軸方向の結晶の大きさ(Lc)が200Å以上でのものが、高容量が得られるため好ましい。
【0016】
本発明に用いる正極、負極材料は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望ましい。所定の形状を得る上で、粉体を得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
【0017】
本発明に併せて用いることができる負極材料としては、リチウム金属、リチウム合金などや、カルコゲン化合物、メチルリチウム等のリチウムを含有する有機化合物等が挙げられる。また、リチウム金属やリチウム合金、リチウムを含有する有機化合物を併用することによって、本発明に用いる炭素材料にあらかじめリチウムを挿入することも可能である。
【0018】
正極、負極の電極合剤として導電剤や結着剤やフィラー等を添加することができる。導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば何でも良い。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維や金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。これらの中で、アセチレンブラックとケッチェンブラックの併用が望ましい。その添加量は1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
【0019】
また、正極及び負極活物質粉体の少なくとも表面層部分を電子伝導性やイオン伝導性の良いもので修飾することも可能である。例えば、金、銀、カーボン、ニッケル、銅等の電子伝導性のよい物質や、炭酸リチウム、ホウ素ガラス、固体電解質等のイオン伝導性のよい物質をメッキ、焼結、メカノフュージョン、蒸着等の技術を応用してコートすることが挙げられる。
【0020】
結着剤としては、通常、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、カルボキシメチルセルロース等といった熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有するポリマー、多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いることができる。また、多糖類の様にリチウムと反応する官能基を有する結着剤は、例えばメチル化するなどしてその官能基を失活させておくことが望ましい。その添加量としては、1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
【0021】
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、アエロジル、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は0〜30重量%が好ましい。
【0022】
電極活物質の集電体としては、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等の他に、接着性、導電性、耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理したものを用いることができる。負極用集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金等の他に、接着性、導電性、耐酸化性向上の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理したものを用いることができる。これらの材料については表面を酸化処理することも可能である。これらの形状については、フォイル状の他、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス体、多孔質体、発砲体、繊維群の形成体等が用いられる。厚みは特に限定はないが、1〜500μmのものが用いられる。
【0023】
セパレータとしては、イオンの透過度が優れ、機械的強度のある絶縁性薄膜を用いることができる。耐有機溶剤性と疎水性からポリプロピレンやポリエチレンといったオレフィン系のポリマー、ガラス繊維、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等からつくられたシート、微孔膜、不織布、布が用いられる。セパレータの孔径は、一般に電池に用いられる範囲のものであり、例えば0.01〜10μmである。また、その厚みについても同様で、一般に電池に用いられる範囲のものであり、例えば5〜300μmである。
【0024】
また、電解質としては、例えば有機電解液、高分子固体電解質、無機固体電解質、溶融塩等を用いることができ、この中でも有機電解液を用いることが好ましい。この有機電解液の有機溶媒として、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル類や、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の置換テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、ギ酸メチル、酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド等が挙げられ、これらを単独又は混合溶媒として用いることができる。
【0025】
また、支持電解質塩としては、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiAsF6 との様な無機塩や次の一般式(1)
(R1 SO2 )(R2 SO2 )NLi
で示される塩が望ましい。例えば、LiN(CF3 SO2 2 ,LiN(CF2 ClSO2 2 ,LiN(CF2 BrSO2 2 ,LiN(CF2 ISO2 2 ,LiN(C2 5 SO2 2 ,LiN(C3 7 SO2 2 ,LiN(C4 9 SO2 2 ,LiN(CF3 SO2 )(C2 5 SO2 ),LiN(CF3 SO2 )(C3 7 SO2 ),LiN(CF3 SO2 )(C4 9 SO2 ),LiN(C2 5 SO2 )(C3 7 SO2 ),LiN(C2 5 SO2 )(C4 9 SO2 ),LiN(C3 7 SO2 )(C4 9 SO2 ),LiN(CF2 HSO2 2 ,LiN(CFH2 SO2 2 ,LiN(CH3 SO2 2 ,LiN(C2 4 HSO2 2 ,LiN(C2 3 2 SO2 2 ,LiN(C2 2 3 SO2 2 ,LiN(C2 FH4 SO2 2 ,LiN(C2 5 SO2 2 ,LiN(C2 2 SO2 2 等の有機リチウム塩が挙げられる。さらに、一般式(1)中のR1 、R2 がCn 2n+1で表され、nは1から4までの数であり、R1 =R2 又はR1 ≠R2 である有機含フッ素リチウム塩が好ましい。これらの中でも耐電位性とイオン伝導度から、R1 、R2 がR1 =R2 =C2 5 あるいはR1 、R2 がR1 =C4 9 、R2 =CF3 で示される有機含フッ素リチウム塩が好ましい。また、これらの塩を混合して用いることも可能である。
【0026】
一方、高分子固体電解質として用いる場合は、上記のような支持電解質塩をポリエチレンオキシドやその架橋体、ポリフォスファゼンやその架橋体等といったポリマーの中に溶かし込んだものを用いることができる。さらに、Li3 N,LiI等の無機固体電解質も使用可能である。つまり、リチウムイオン導伝性の非水電解質であればよい。
【0027】
【作用】
正極活物質が、中心層と一種以上の表面層からなり、少なくともその中心層がアルカリ金属を可逆的に吸蔵放出可能な活物質で形成され、表面層はその活物質とは異なる一種類以上の疎水性化合物で形成されていることで、活物質あるいは電解質と水との反応が抑えられ、活物質の容量低下あるいは電極界面抵抗上昇が抑制される。このことにより、単位重量及び単位体積当りの容量の低下が起こらずサイクル寿命が長くなる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0029】
(実施例1)
スピネル構造を有するマンガン酸リチウムの調製にあたっては、Li2 CO3 とMnOOHを用い、Li:Mnのモル比が1.03:2.00となるように秤量、混合し、850℃で20時間焼成した。焼成後粉砕したもののX線回折パターンより、スピネル構造を有するマンガン酸リチウムが単一相で得られていることが分かった。
【0030】
このマンガン酸リチウムを疎水処理した。マンガン酸リチウムの粉末をトリメチルシリルクロライドを脱水テトラヒドロフランに溶解した溶液で処理した。処理したマンガン酸リチウムをを乾燥し、IRを測定したところ、810cm-1に強い吸収が現れたため、表面にトリメチルシリル基を有するマンガン酸リチウムが得られたことを確認した。この様にして表面層を活物質とは異なる一種類以上の疎水性化合物が形成されていること正極活物質を得た。
【0031】
この正極活物質を用いて次のようにしてコイン型非水電解質電池を試作した。正極活物質とアセチレンブラック及びポリテトラフルオロエチレン粉末とを重量比70:25:5で混合し、トルエンを加えて十分混練した。これをローラープレスにより厚み0.8mmのシート状に成形した。次にこれを直径16mmの円形に打ち抜き減圧下200℃で15時間熱処理し正極1を得た。正極1は正極集電体6の付いた正極缶4に圧着して用いた。
【0032】
負極は負極活物質に人造黒鉛(平均粒径6μm)を用いた。負極活物質とポリテトラフルオロエチレン粉末とを重量比95:5で混合し、トルエンを加えて十分混練した。これをローラープレスにより厚み0.8mmのシート状に成形した。次にこれを直径16mmの円形に打ち抜き減圧下200℃で15時間熱処理し負極2を得た。負極2は負極集電体7の付いた負極缶5に圧着して用いた。
【0033】
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶剤にLiPF6 を1mol/l溶解した電解液を用い、セパレータ3にはポリプロピレン製微多孔膜を用いた。 上記正極、負極、電解液及びセパレータを用いて直径20mm、厚さ1.6mmのコイン型非水電解質電池を作製した。この電池をAとする。
【0034】
(比較例1)
正極活物質の表面の疎水処理を行わないこと以外は実施例1と同様にして電池を作製した。この電池をBとする。
【0035】
(実施例2)
マンガン酸リチウムの代わりにα−NaFeO2 構造を有するコバルト酸リチウム(市販品)を用いること以外は実施例1と同様にして電池を作製した。この電池をCとする。この正極活物質のIRを測定したところ、810cm-1強い吸収が現れたため、表面にトリメチルシリル基を有するコバルト酸リチウムが得られたことを確認した。
【0036】
(比較例2)
マンガン酸リチウムの代わりにα−NaFeO2 構造を有するコバルト酸リチウム(市販品)を用いること以外は比較例1と同様にして電池を作製した。この電池をDとする。
【0037】
このようにして作製した電池A,B,C,Dを用いて充放電サイクル試験を行った。試験条件は、試験温度20℃において、充電電流3mA、充電終止電圧4.2V、放電電流3mA、放電終止電圧3.0Vとした。また、初期の容量の70%になった時点をサイクル寿命として測定した。これら作製した電池の充放電試験の結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003994497
【0039】
表1から分かるように本発明による電池A、Cは比較電池B、Dに比べて初期充放電容量、及び初期効率はほとんど変わらないが、サイクル寿命が良いことが分かる。
【0040】
実施例1、2においては、表面層を活物質とは異なる一種類以上の疎水性化合物が形成されている正極活物質として、表面にトリメチルシリル基を有するマンガン酸リチウムについて挙げたが、同様の効果が他の疎水性化合物についても確認された。
【0041】
このような簡単な疎水処理を行うことにより、サイクル特性が向上する理由として定かではないが、以下のように考えられる。正極活物質表面には吸着水のほかに通常の乾燥では除去しにくい結晶水、あるは水酸基のようなプロトンソースを有している。この様なプロトンソースは、電解質や活物質自身と反応したり、さらにその分解生成物によってバインダーや電解質を分解することが考えられる。これらの分解生成物の中で特にフッ酸は負極の表面被膜と反応し抵抗の高いフッ化リチウムを形成するため、電池としての内部抵抗が上昇しサイクル劣化が起こると考えられる。つまり、この様なプロトンソースを疎水化処理を行うことによりできるだけ除去し、また水分の再吸着も防ぐことができるため、プロトンソースに起因する電池材料の分解を抑制することができ、その結果内部抵抗の上昇も抑えられサイクル特性が向上すると考えられる。この様な理由で本発明の正極活物質を用いることにより、エネルギー密度の大きな非水電解質電池において優れたサイクルの安定性が実現できると考えられる。
【0042】
なお、本発明は上記実施例に記載された活物質の出発原料、製造方法、正極、負極、電解質、セパレータ及び電池形状などに限定されるものではない。また、負極に炭素材料を用いるものや、電解質、セパレータの代わりに固体電解質を用いるものなどにも適用可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成されているので、エネルギー密度の大きい可逆性に優れた長寿命の非水電解質電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るコイン型非水電解質電池の断面図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 負極缶
6 正極集電体
7 負極集電体
8 絶縁パッキング

Claims (3)

  1. 正極活物質が、中心層と一種以上の表面層からなり、少なくともその中心層がアルカリ金属を可逆的に吸蔵放出可能な活物質で形成され、表面層はその活物質とは異なる一般式(C n 2n+1 3 Si(但し、nは1又は2である。)で示される疎水性基を有する一種類以上の疎水性化合物で形成されていることを特徴とする非水電解質電池。
  2. 前記アルカリ金属を可逆的に吸蔵放出可能な活物質が、少なくともα−NaFeO2構造またはスピネル構造を有する酸化物である請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 前記酸化物が、マンガンを含有する請求項2記載の非水電解質電池。
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