JP3994229B2 - シートサイドポケット - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用シートの側部に設けられるシートサイドポケットの改良に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車のフロントシートにおいては、図４，５で示すようなシートサイドポケットをシートバックＢの側部に設けることが行われている。そのシートサイドポケットは、上端側を一つのタック状に或いはギャザー状に折り込んで伸縮自在に形成した外皮材１をトリムカバーＴの側面にあてがって物品の出入れ口２を有する袋状のポケット体Ｐとして縫合し、物品の出入れ口２を外皮材１のタック状或いはギャザー状の折り込みで拡開させて物品の出入れ間口３を取るポケット体Ｐとして設けられている。
【０００３】
このシートサイドポケットでは、外皮材１の上端側をタック状に或いはギャザー状に折り込むことから、ポケット体Ｐとして構造的に複雑なものに形成しなければならない。また、外皮材１の縫着にあたっても、上部側のタック状或いはギャザー状の折込みを構造的に崩さないよう縫い付けなければならないため、手間の掛かる作業が必要になる。
【０００４】
それに加えて、物品の出入れ口２が使用に伴う経時的変化で形状，構造的に緩み易く、口開き等を生ずることから外観的に損なわれ易い。また、物品の収納状態ではポケット体Ｐが外方に膨らむため、ウォークスルータイプの自動車において乗員がシートの横側を移動する際の邪魔になるところからウオークスルータイプのシートサイドポケットとしては好ましくない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポケット体として容易に縫製でき、構造も簡単にできて物品を容易に出し入れでき、また、ポケット体が外方に膨らむのを抑え得て体裁も良好に保てるシートサイドポケットを提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項１に係るシートサイドポケットにおいては、物品の収容空間を画定する凹部をパッドの側部に設け、所定の平面形状に裁断された外皮材をトリムカバーの側面にあてがって物品の出入れ口を有する袋状のポケット体として扁平状に縫合し、そのポケット体をパッドの凹部と位置合せさせてトリムカバーをパッドに被着し、物品の出入れ間口を凹部の窪みで確保可能なポケット体としてシートの側部に設けることにより構成されている。
【０００７】
本発明の請求項２に係るシートサイドポケットにおいては、物品の出入れ間口を凹部の内方に向かう下り勾配の傾斜面で確保可能なポケット体として設けることにより構成されている。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、図１〜３を参照して説明すると、図１で示すシートは自動車用のフロントシートであり、このフロントシートにおいてはシートサイドポケットがシートバックＢの側部下側寄りに設けられている。そのシートサイドポケットは、所定の平面形状に裁断形成した外皮材１０をトリムカバーＴの側面にあてがって扁平状に縫合することにより袋状のポケット体Ｐとして設けられている。トリムカバーＴは本革，合皮，ファブリック等を表皮材とし、後述するバックパッドを被包可能な立体形の袋状に縫製される。
【０００９】
外皮材１０はトリムカバーＴの表皮材と同質または異質シートの材料から裁断形成し、それをトリムカバーＴの側面にあてがって上端辺を除く三辺を縫い合わせることにより物品の出入れ口１１を上部側に有するポケット体Ｐとして形成するようにできる。物品の出入れ口１１は外皮材１０の上部側を内側に折り込んで縫い合わせることにより二枚重ねに形成でき、また、外皮材１０はトリムカバーＴを立体形の袋状に縫製するべく座面，側面，背面並びに底面の各トリム材を縫い合わせる際に上述した三辺を共縫いすることによりポケット体Ｐとして容易に縫製することができる。
【００１０】
そのポケット体Ｐの形成位置に合わせて、バックパッドＣの側部には図２で示す如く物品の収容空間を画定する凹部１２が設けられている。この凹部１２はバックパッドＣの発泡成形時に同時成形でき、鍵やカード，小型の地図等の小物類を収容可能な内のり，深さ形状に付形形成すればよい。また、その凹部１２は周側面を内側に向かう下り勾配の傾斜面で形成し、特に、上部側は物品の出入れ口１１に合わせて内側に向かう下り勾配の傾斜面１３に形成するとよい。
【００１１】
そのバックパッドＣに対し、上述したポケット体Ｐを設けたトリムカバーＴはポケット体Ｐを凹部１２と位置合わせてバックパッドＣを被包するよう組み付ける。これにより、シートバックＢと共に、図３で示すようにバックパッドＣの凹部１２と外皮材１０並びにトリムカバーＴによる扁平な袋状のポケット体Ｐとからシートサイドポケットを組み立てることができる。
【００１２】
このように構成するシートサイドポケットでは、物品をポケット体Ｐの内部に収納するときは物品を出入れ口１１から袋内に押し込むと、トリムカバーＴが部分的にバックパッドＣの凹部１２で内方に撓むことにより、物品の出入れ間口１４を確保することができる。また、ポケット体Ｐの内部に収容した物品を取り出すときは使用者が手を物品の出入れ口１１からポケット体Ｐの袋内に差し込めば、上述したと同様にトリムカバーＴが撓むことから物品の出入れ間口１４を確保することができる。そのため、ポケット体Ｐを扁平な袋状に通常通り縫製できるばかりでなく、これを扁平な袋状に縫着しても、物品の出入れ口１１を拡開できて物品を容易に出し入れすることができる。
【００１３】
それに加えて、物品の出入れに伴っては凹部１２の上部側が内方に向かう下り勾配の傾斜面１３で形成されているため、トリムカバーＴが該傾斜面１３に沿って撓み傾斜する。これにより、物品がトリムカバーＴに引っ掛かるのを防げるから物品を容易に出し入れすることができる。物品の収納状態においては、トリムカバーＴが物品の大きさに応じて凹部１２の内方に撓むため、ポケット体Ｐが外方に大きく膨らむのを抑えられ、ウォークスルータイプの自動車でも乗員が移動する際の邪魔にならない。また、ポケット体Ｐは物品の出入れ口１１を含む全体が扁平な袋状に縫着されて形崩れ等を生ずるのを防げるから、度重なる使用に伴っても体裁の良好なものに保つことができる。
【００１４】
なお、上述した実施の形態はシートサイドポケットをシートバックＢの側部に設ける場合で説明したが、これは同様な構成から、シートクッションＳの側部に設けることもできる。また、そのシートサイドポケットをシートバックＢの側部に一つ設ける場合で説明したが、複数個を同個所に並べて設けるようにもできる。更に、物品の出入れ口を上方に設ける場合で説明したが、この物品の出入れ口は前方または後方の横向きに設けることもでき、複数個設けるときには向きを違えて組み合わせることにより設けるようにもできる。
【００１５】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の請求項１に係るシートサイドポケットに依れば、所定の平面形状に裁断された外皮材をトリムカバーの側面にあてがって扁平状に縫着することから、物品の出入れ口を有する袋状のポケット体として設けるため、ポケット体として容易に縫製できて構造も簡単にでき、また、物品の受入れ空間をトリムカバーの裏面側で確保する凹部をパッドの側部に設け、パッドの凹部と相応するトリムカバーのカバー部分をパッドの凹部で撓ませて物品を収容可能なポケット体として設けるため、ポケット体が外方に膨らむのを抑え得て体裁も良好に保つことができる。
【００１６】
本発明の請求項２に係るシートサイドポケットに依れば、物品の出入れ間口を凹部の内方に向かう下り勾配の傾斜面で確保可能なポケット体として設けるため、トリムカバーが該傾斜面に沿って撓み傾斜することにより、物品がトリムカバーに引っ掛かるのを防げて物品を容易に出し入れすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るシートサイドポケットを設けたフロントシートを示す斜視図である。
【図２】同シートサイドポケットを設けるバックパッドを示す斜視図である。
【図３】同シートサイドポケットを設けたフロントシートを示す部分断面図である。
【図４】従来例に係るシートサイドポケットを設けたフロントシートを示す斜視図である。
【図５】従来例に係る別のシートサイドポケットを設けたフロントシートを示す斜視図である。
【符号の説明】
Ｔ トリムカバー
Ｃ パッド
Ｐ ポケット体
１０ 外皮材
１１ 物品の出入れ口
１２ 凹部
１３ 凹部の傾斜面
１４ 物品の出入れ間口

Claims (2)

1. 物品の出入れ口を有する袋状のポケット体として所定の平面形状に裁断された外皮材をトリムカバーの側面にあてがって扁平状に縫着し、物品の受入れ空間をトリムカバーの裏面側で確保する凹部をパッドの側部に設け、トリムカバーのポケット体をパッドの凹部と位置合せさせてトリムカバーをパッドに被着し、パッドの凹部と相応するトリムカバーのカバー部分をパッドの凹部で撓ませて物品を収容可能なポケット体として設けたことを特徴とするシートサイドポケット。
2. 物品の出入れ間口を凹部の内方に向かう下り勾配の傾斜面で確保可能なポケット体として設けたことを特徴とする請求項１に記載のシートサイドポケット。

Images