JP3993792B2 - 水中油型乳化食品用抗酸化剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マヨネーズ、ドレッシング類などの水中油型乳化食品用等として好適な水中油型乳化食品用抗酸化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品中に含まれる油脂は、保存期間中に徐々に酸素を吸収し、それらの濃度がある段階に達すると、急速に酸化が進む結果、食品の変質をもたらす。
【0003】
ところで、水相と油相とが乳化されてなる水中油型乳化食品の代表的なものとして、マヨネーズやドレッシング類等がよく知られている。これらは、水相原料と油相原料とが水中油型に乳化され、美味しく、且つ栄養価の高い食品である。
ここで、油相原料としては、大豆油、菜種油等の食用植物油が一般的に使用されており、乳化剤としては、通常、呈味、色調及び乳化安定性の観点から、卵黄が主に用いられている。
【0004】
ところが、卵黄を使用して乳化したマヨネーズやドレッシング類等は、酸化安定性が十分でなく、長期間酸化条件におかれると、変色を生じたり、更には乳化が破壊され、油相が分離するなどの欠点がある。
【0005】
ここで酸化を防止するためには、抗酸化作用を有する化学物質からなる化学抗酸化剤を油脂含有食品に添加するのが一般的である。
例えば、特許第3072100号(特願平11−233596号)には、アスコルビン酸脂肪酸エステルを含有していることを特徴とする酸性調味料に係る発明が開示されており、この発明によれば、製造直後の風味がほぼ維持された風味安定性に優れた酸性調味料が得られるとされている。
【0006】
しかしながら、近年、化学物質の生体機能への悪影響が問題となっており、消費者は、一般的にこのような人工添加物を避ける傾向にある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、生体への影響が懸念される化学抗酸化物質を含有せずに食品に長期間優れた酸化安定性を付与することのできる水中油型乳化食品用抗酸化剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに、天然食品添加物であるポリ−γ−グルタミン酸を、酸又は酵素により分解して低粘度化して得られる分解物が、水中油型乳化食品用の抗酸化剤としての作用を有すること、並びに、このポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物を含有してなる水中油型乳化食品が、長期間優れた酸化安定性を有すると共に、低粘度で食品加工時の手間も解消されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、請求項1に係る本発明は、納豆粘質物から抽出されたか、或いはバチルス属の菌体外に分泌されたポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物からなる、水中油型乳化食品用抗酸化剤を提供するものである。
【0010】
また、請求項2に係る本発明は、分解度が65%以上の分解物からなる、請求項1記載の水中油型乳化食品用抗酸化剤を提供するものである。
【0011】
次に、請求項3に係る本発明は、水中油型乳化食品に対して0.003〜0.03質量%用いることを特徴とする、請求項1又は2記載の水中油型乳化食品用抗酸化剤を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、請求項1に係る本発明について、詳細に説明する。
請求項1に係る本発明は、納豆粘質物から抽出されたか、或いはバチルス属の菌体外に分泌されたポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物からなる、水中油型乳化食品用抗酸化剤に関するものである。
【0013】
すなわち、請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品用抗酸化剤は、納豆粘質物から抽出されたか、或いはバチルス属の菌体外に分泌されたポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物からなるものである。ここでポリ−γ−グルタミン酸の分解物ではなく、ポリ−γ−グルタミン酸そのものである場合には、粘度が高すぎて、食品加工時に手間がかかるものとなってしまう。
ポリ−γ−グルタミン酸の分解物の分子量の下限は、およそ5,000−10,000程度であって、それ以下の場合には酸化安定性効果に欠ける傾向にある。分子量の上限は、300,000程度であり、分子量があまり大きくなると、粘度が上がり、加工時の操作に支障が生じる。
【0014】
ポリ−γ−グルタミン酸としては、納豆粘質物に含まれるポリ−γ−グルタミン酸を抽出したものであってもよく、或いは納豆菌等のバチルス属の菌体外に分泌されたポリ−γ−グルタミン酸であってもよい。
ポリ−γ−グルタミン酸の構造は、L−グルタミン酸を構成単位としており、γ−カルボキシル基による酸アミド結合により形成される高分子物質である。
第3版 既存添加物自主規格(案)(日本添加物協会、平成14年2月)によれば、ポリ−γ−グルタミン酸は、使用基準のない納豆菌ガム(別名:納豆菌粘質物)に分類され、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料等の用途で用いられるものであり、消費者が安心して食することのできるものである。
【0015】
請求項1に係る本発明におけるポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物とは、上記ポリ−γ−グルタミン酸を塩酸,硫酸,硝酸等の酸により分解して得られる分解物であるか、又は上記ポリ−γ−グルタミン酸をプロテアーゼ等の酵素により分解して得られる分解物である。
【0016】
分解前のポリ−γ−グルタミン酸の調製方法、及び、酸又は酵素(特にプロテアーゼ)によるポリ−γ−グルタミン酸の分解方法の概要について、以下説明する。但し、以下の説明はあくまで例示であって、これに限定されるものではない。
【0017】
(1)ポリ−γ−グルタミン酸の調製方法
市販の納豆に3倍量の水を加えて、よく洗浄し粘質物を十分に溶解させた後、濾布等により豆の部分を除去する。更に、濾液を遠心分離して不溶解部分を除き、上清を塩酸によりpH2に調整する。
この際に生ずるタンパク質等の沈殿を、遠心分離により除いた後、塩化ナトリウムを添加して塩析効果によりポリ−γ−グルタミン酸を沈殿させる。次いで、遠心分離により沈殿を集めた後、水酸化ナトリウム水溶液で中和溶解する。その後、対水透析、凍結乾燥し、ポリ−γ−グルタミン酸がナトリウム塩として得られる。調製されたポリ−γ−グルタミン酸の分子量は、低角度レーザー光散乱計(LALLS;東ソーLS800)により確認される。
【0018】
(2)酸によるポリ−γ−グルタミン酸の分解方法
前記(1)で得られたポリ−γ−グルタミン酸を水に溶解した後、塩酸などの酸によりpH1に調整し、一定条件下で酸分解する。その後、室温に戻し、水酸化ナトリウム溶液で中和し、対水透析、凍結乾燥し、分解されたポリ−γ−グルタミン酸のナトリウム塩が得られる。
【0019】
(3)プロテアーゼによるポリ−γ−グルタミン酸の分解方法
前記(1)で得られたポリ−γ−グルタミン酸に各種プロテアーゼを添加し、一定条件下で処理する。その後、加熱してプロテアーゼを失活させ、分解されたポリ−γ−グルタミン酸のナトリウム塩が得られる。
ポリ−γ−グルタミン酸の分解度は、ゲル濾過HPLC(高速液体クロマトグラフィー)におけるポリ−γ−グルタミン酸のピークが、プロテアーゼを作用させた後低分子側に移動するか、或いは消失する場合をもって分解されたと確認する。
【0020】
前記(2)又は(3)の方法により分解されたポリ−γ−グルタミン酸の分子量は、低角度レーザー光散乱計(LALLS;東ソーLS800)により測定され、分解が確認される。ポリ−γ−グルタミン酸の分解度[%:(分解前の分子量−分解後の分子量)÷分解前の分子量×100]が約65%以上であれば(分子量でいうと、約927,000のものが、約300,000以下となる)、粘性が十分低下して溶解し易く、食品加工処理時に手間をとることがない。
【0021】
請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品用抗酸化剤は、上記の如きものであるが、必要に応じて、その機能を妨げない範囲内で、他の既知の抗酸化成分、例えば天然抗酸化成分等を配合することもできる。
【0022】
請求項1に係る本発明の抗酸化剤は、マヨネーズやドレッシング類等の水中油型乳化食品用の抗酸化剤として有用である。
【0023】
請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品用抗酸化剤は、従来の食品用抗酸化剤と同様に、一般的には食品製造時に添加することにより含有させれば良いが、食品製造後に含有させることもできる。その含有量は、抽出条件や食品の種類等によって異なり、一義的に決定することはできないが、水中油型乳化食品に含有させる場合には、食品に対して0.003〜0.03質量%の範囲で添加したとき、良好な酸化安定性が得られる。含有量が0.003質量%未満では、十分な効果が得られず、一方、0.03質量%を超えて添加しても酸化安定性は向上しない。
【0024】
水中油型乳化食品とは、水相と油相とが水中油型に乳化されてなる食品であり、これにポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物を添加し含有させたものである。
ポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物の含有量は、上記したように、水中油型乳化食品中0.003〜0.03質量%の範囲であり、この範囲内であるとき良好な酸化安定性が得られる。ここで該分解物の含有量が0.003質量%未満では、十分な効果が得られず、一方、0.03質量%を超えて含有させても酸化安定性は向上しない。
【0025】
水中油型乳化食品の水相を構成する原料(水相原料)は、マヨネーズやドレッシング類の製造に際して使用される原料や、その配合割合に準じて決定すればよく、特に制限されない。
通常、用いられる水相原料の例としては、水の他に、食塩,食酢,グルタミン酸ナトリウム,イノシン酸ナトリウム等の調味料、乳化剤、糖類、澱粉、ガム類、香辛料、着香料、着色料などがある。乳化剤としては、卵黄が一般的であるが、卵白、乳蛋白、大豆蛋白等を使用でき、これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
一方、油相を構成する原料(油相原料)としては、通常、食品に添加可能な親油性の物質であれば、特に制限がなく、例えば食用植物油脂や、親油性のある着香料等が挙げられる。
食用植物油脂としては、常温で液体の菜種油、大豆油、べに花油、サフラワー油、トウモロコシ油等が挙げられ、これらを単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0027】
水中油型乳化食品における油相と水相の割合については、特に制限はないが、通常は油相10〜90質量%に対して水相90〜10質量%、好ましくは油相30〜80質量%に対して水相70〜20質量%とする。
ここで、油相の比率が10質量%未満であると、調製された水中油型乳化食品が美味しくなく、一方、油相の比率が90質量%を超えると、転相し易くなるので、いずれも好ましくない。
【0028】
水中油型乳化食品の製造は、既知の手法により行えばよく、特に制限されない。
例えば、水以外の水相原料を、水等に分散・溶解し、これらに油相原料を加えて、一般的な撹拌機、例えば市販の万能混合撹拌機を用いて予備乳化する。次いで、コロイドミル等の乳化機により仕上げ乳化を行うことによって、水中油型乳化食品を製造することができる。
ここで、前記のポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物の添加は、水以外の水相原料を水等へ分散・溶解する際に行えばよい。ポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物は、前記したように、その分解度が65%以上では容易に溶解するため、水相原料の調製時に手間の掛からないものである。
【0029】
このようにして製造された水中油型乳化食品は、分解されたポリ−γ−グルタミン酸が添加されていることにより、エマルジョンの破壊が防止されており、長期間酸化安定性に優れたものとなっている。
ポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物を添加することにより、水中油型乳化食品の酸化安定性が付与される理由については、必ずしも明らかではないが、酸化のスタート物質であるラジカルを形成する際の触媒となる鉄等金属の封鎖や、油脂の自動酸化で生じるラジカルや過酸化物の消去等に関与しているものと考えられる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例等により詳しく説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例等により限定されるものではない。
【0031】
調製例1(ポリ−γ−グルタミン酸の調製)
市販の納豆500gに蒸留水1,500mlを加え、よく洗浄し粘質物を溶解させた後、濾布により豆の部分を除去した。粘稠な濾液を遠心分離し、上清を塩酸でpH2.0に調整した。遠心分離で沈殿を除いた後、塩化ナトリウムを150g加えて、ポリ−γ−グルタミン酸を沈殿させた。遠心分離により沈殿を集めた後、水酸化ナトリウム溶液で中和溶解した。その後、対水透析、凍結乾燥し、ポリ−γ−グルタミン酸をナトリウム塩として2g得た。
調製されたポリ−γ−グルタミン酸(サンプル1)の分子量を低角度レーザー光散乱計(LALLS;東ソーLS800)で測定した結果、92.7×10(9.27×10)であった。
また、調製されたポリ−γ−グルタミン酸(サンプル1)の溶液(2mg/ml、20mM トリス塩酸緩衝液、pH7.2)の粘度を、東洋精機(株)製のデジタル回転粘度計を用いて測定した。温度は23℃において、回転数は60rpm(ローター;HM−1)で行った。その結果を第1表に示す。
【0032】
調製例2(ポリ−γ−グルタミン酸の分解物の調製)
調製例1で調製されたポリ−γ−グルタミン酸(サンプル1)を、2mg/mlの濃度に溶解し、塩酸でpH1に調整し、50℃の温度で、所定時間〔0.5時間(サンプル2)、2時間(サンプル3)、4時間(サンプル4)、7時間(サンプル5)〕加熱した。加熱後、室温に戻した後、水酸化ナトリウム溶液で中和し、対水透析、凍結乾燥した。
得られたポリ−γ−グルタミン酸の塩酸による分解物(サンプル2、3、4、5)の分子量を低角度レーザー光散乱計(LALLS;東ソーLS800)により測定した結果と、分解度について第1表に示す。
【0033】
また、このようにして調製されたポリ−γ−グルタミン酸の分解物(サンプル2、3、4、5)の各溶液(2mg/ml、20mM トリス塩酸緩衝液、pH7.2)の粘度を、東洋精機(株)製のデジタル回転粘度計を用いて測定した。温度は23℃において、回転数は60rpm(ローター;HM−1)で行った。その結果を第1表に示す。
【0034】
【表1】
第1表
Figure 0003993792
【0035】
第1表から、以下のようなことが分かる。
サンプル2の結果から明らかなように、塩酸(pH1)でポリ−γ−グルタミン酸を加水分解すると、得られる分解物の分解度が僅か0.5時間という短時間で67%と70%近くまで到達した。また、サンプル2〜5の粘度は、サンプル1と比較して明らかに低いことから、得られる分解物は粘性が十分に低い上に、乾燥して再び溶解するのに手間が掛からないものであることが明らかとなった。
【0036】
比較例1
第2表に示す組成で水中油型乳化食品を調製した。なお、以下の説明において、この比較例の組成を「基本配合組成」と称する。
第2表に示す組成中、まず水相原料である卵黄、食塩、食酢(10%酸度)及び水を混合溶解した。次いで、これらに油相原料として菜種油を加え、ホバルトミキサーで予備乳化した。その後、コロイドミル(クリアランス:3/1000インチ、回転数:3000rpm)により仕上げ乳化を行って、水中油型乳化食品を調製した。
【0037】
得られた水中油型乳化食品について、酸化安定性を評価した。結果を第2表に示す。なお、酸化安定性の評価は、以下のようにして行った。
約200g容のガラス瓶に、得られた水中油型乳化食品の約100gを充填し、1重のサランラップで瓶の口を密封し、34℃、暗所の条件下に保管した。5週間後、水中油型乳化食品の表層の分離状態により、酸化安定性を次の3段階で評価した。なお、評価は、経験豊かな5名のパネラーによる視覚観察の平均値で示した。
【0038】
[酸化安定性の評価]
安定 :油分離していない。
やや安定:表層に僅かな油分離が見られる。
不安定 :表層が殆ど分離している。
【0039】
実施例1〜5
比較例1において、第2表に示す基本配合組成の水中油型乳化食品の水(18.000質量%)の一部(0.003〜0.040質量%)を、前記調製例2で調製したポリ−γ−グルタミン酸の分解物(サンプル5)に置き換えたこと以外は、比較例1と同様にして、5種の水中油型乳化食品(実施例1〜5)を調製した。なお、サンプル5は、水中油型乳化食品の水相部を調製する際、溶解し易く手間はかからなかった。
これら5種の水中油型乳化食品(実施例1〜5)について、比較例1と同様にして酸化安定性を評価した結果を第2表に示す。
【0040】
【表2】
第2表
Figure 0003993792
【0041】
第2表から、以下のようなことが分かる。
基本配合組成で作製した比較例1の水中油型乳化食品は、酸化安定性が低い。
これに対し、基本配合組成における水の一部(0.003〜0.040質量%)をポリ−γ−グルタミン酸の分解物に置き換えて調製した実施例1〜5の水中油型乳化食品は、5週間という長い期間酸化条件下に置かれても、油分離がほとんどなく、酸化安定性が高いことが分かる。このことから、ポリ−γ−グルタミン酸の分解物を添加することによって、水中油型乳化食品の酸化安定性が向上することが明らかである。
【0042】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品用抗酸化剤は、従来の化学抗酸化物質とは異なり天然食品添加物であるポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物からなるので、食品に長期間優れた酸化安定性を付与することができる。また、従来の化学抗酸化物質のように、消費者が生体機能への影響を懸念することなく、安心して使用することができる。
【0043】
請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品用抗酸化剤を用いた水中油型乳化食品は、従来の化学抗酸化物質とは異なり天然食品添加物であるポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物が含有されているので、長期間の酸化安定性に優れている。そのため、長期間酸化条件下に置かれても、変色を生じたり、乳化が破壊されて油相が分離したりすることがない。
従って、請求項1に係る本発明の水中油型乳化食品用抗酸化剤を用いた水中油型乳化食品は、消費者にとって好ましく受け入れられる成分のみから構成されており、食品工業分野において有用である。

Claims (3)

  1. 納豆粘質物から抽出されたか、或いはバチルス属の菌体外に分泌されたポリ−γ−グルタミン酸の酸又は酵素による分解物からなる、水中油型乳化食品用抗酸化剤。
  2. 分解度が65%以上の分解物からなる、請求項1記載の水中油型乳化食品用抗酸化剤。
  3. 水中油型乳化食品に対して0.003〜0.03質量%用いることを特徴とする、請求項1又は2記載の水中油型乳化食品用抗酸化剤。
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