JP3993693B2 - ホルダー及びホルダーの装着方法 - Google Patents

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秀明 横山
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コップ、缶、携帯電話、その他の小物などを入れるためのホルダーに関し、特に、このホルダーを支持体に安定的に取り付けるための保持機構並びにこのホルダーの装着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車などの室内において、飲み物容器や小物などを安定して収納することの出来る車両用ホルダーがエアコン吹き出し口のルーバなどに取り付けられることが一般に知られている。図14は、従来の車両用ホルダーをルーバに取り付けた状態を示す側面図である。同図において、有底のホルダー本体101の下端から水平方向に支持ブラケット103が突設され、その先端には、ほぼ直角にバネ受け部材105が取り付けられている。そして、バネ受け部材105とホルダー本体101の一方の縦壁部107との間には、バネ109が両者を離反する方向に付勢するように介在されている。一方、縦壁部107の上端部付近には、ルーバ110を係止し得る先端形状をした鈎フック113が、支持ブラケット103とほぼ並行に突設されている。このような構造をした車両用ホルダを、鈎フック113の先端部でルーバ110に係合させることにより、容易、且つ安定的に車両用ホルダーを保持することができる。このような技術は、例えば実開平6ー50967号公報などで開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実開平6ー50967号公報などに記載のような従来技術は、ホルダー本体とルーバとの間にバネ部材を介在させる構造であるため、ルーバの吹き出し面とホルダー本体の側面との間に隙間ができ、ホルダー本体が前面に張り出して、運転席や助手席の邪魔になったり、ホルダー本体が振動などによって不安定になる虞がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホルダー本体をルーバ等支持体に対し隙間なく密着して安定的に取り付けることのできる車両用ホルダーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ホルダー本体と挟持手段とによって支持体を挟持し、付勢手段によって挟持手段をホルダー本体側へ付勢するように構成されたことを特徴とするホルダーである。これによって、ホルダー本体は支持体に密着され、ホルダーは支持体に安定的且つ強固に装着される。
【0006】
すなわち、請求項1に係るホルダーは、物品を保持可能な形状に形成されたホルダー本体と、前記ホルダー本体に固定され、ホルダー本体を支持体に保持する保持機構とを備えたホルダーにおいて、前記保持機構が、前記ホルダー本体に対して前記支持体を挟んで対向する位置に置かれる挟持手段と、前記挟持手段を前記ホルダー本体方向へ移動させ、これら挟持手段とホルダー本体との間の間隔を狭めるように作用する付勢手段とを、備えたことを特徴とする。上記のホルダー本体と保持機構との固定は、一体成形、ネジや差し込みなどによる結合、接着による結合などによるものである。また、上記の付勢手段は、挟持手段をホルダー本体方向へ押圧するものであっても良いし、逆に挟持手段をホルダー本体方向へ引き寄せるものであっても良い。
【0007】
したがって、請求項1に係るホルダーは、ホルダー本体が前記保持機構によって支持体へ向けて引き寄せられるので、ホルダーと支持体との間に隙間なく装着される。
【0008】
請求項2に係るホルダーは 請求項1のホルダーにおいて、前記保持機構が更に、前記ホルダー本体に固定されて外方に延伸するレールを有し、前記挟持手段が前記レールの長手方向に自在にスライドするスライド部材にて構成され、前記付勢手段が弾性的な伸縮部材で構成されていることを特徴とする。
【0009】
すなわち、ホルダー本体から延在されたレールに沿ってスライドするスライド部材を、弾性的な伸縮部材によってホルダー本体側に付勢移動させることによって、簡単な構成で支持体を強固に挟持することができる。弾性的伸縮部材としては、具体的には、押圧するものとして圧縮バネ、弾性ゴムブロック、弾性プラスチックブロックなどが使用され、引き寄せるものとしては、引っ張りバネ、ゴム紐などが使用され、場合によっては糸を用いてもよい。
【0010】
請求項3に係るホルダーは、請求項2のホルダーにおいて、前記スライド部材に、前記付勢手段の付勢力に抗して、前記スライド部材を前記ホルダー本体から離反する方向へ押圧するレバーが設けてあることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係るホルダーは、請求項2のホルダーにおいて、前記スライド部材に、前記付勢手段の付勢力に抗して、前記スライド部材を前記ホルダー本体から離反する方向へ引っ張る紐が設けてあることを特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項3又は4の手段によって、ホルダーを支持体に装着するときにレバーを押すか紐を引っ張り、ホルダー本体の外側面とスライド部材との間隔を広げてその間に支持体を介在させた後に、レバー又は紐による外力を除けば簡単に支持体を狭持することが出来る。
【0013】
請求項5に係るホルダーは 請求項2のホルダーにおいて、前記保持機構がラッチ機構を有しており、このラッチ機構が、スライド部材をレール上でホルダー本体から遠方側の位置に係止すると共に、前記レールを支持体に対してホルダー本体の方向へ引き動かす毎に前記の係止とその解除を繰り返すことを特徴とする。
【0014】
すなわち、このようなラッチ機構を用いることにより、レバーや紐を用いないで、予めスライド部材とホルダー本体との間隔を広げておき、スライド部材を支持体に係合させてからホルダー本体側を操作することによって、ワンタッチでホルダーを支持体に装着することができる。
【0015】
請求項6は、ホルダーの装着方法である。すなわち、物品を保持可能な形状に形成されたホルダー本体と、前記ホルダー本体に固定され、ホルダー本体を支持体に保持する保持機構とを備え、前記保持機構が、前記ホルダー本体に対して前記支持体を挟んで対向する位置に置かれる挟持手段と、前記挟持手段を前記ホルダー本体方向へ移動させ、これら挟持手段とホルダー本体との間の間隔を狭めるように作用する付勢手段とを備え、前記保持機構が更に、前記ホルダー本体に固定されて外方に延伸するレールを有し、前記挟持手段が前記レールの長手方向に自在にスライドするスライド部材にて構成され、前記付勢手段が弾性的な伸縮部材で構成されており、前記保持機構が更にラッチ機構を有しており、このラッチ機構が、スライド部材をレール上でホルダー本体から遠方側の位置に係止すると共に、前記レールを支持体に対してホルダー本体の方向へ引き動かす毎に前記の係止とその解除を繰り返すようになされたホルダーを用い、
前記スライド部材を前記ホルダー本体から引き離して、係止位置に保持させる操作ステップと、
係止位置に保持された前記スライド部材を前記支持体に対して前記ホルダー本体の反対側に位置させる操作ステップと、
このように配置された前記スライド部材の端部を前記支持体の端部に係合させ、前記ホルダー本体を前記支持体から離反させる方向に引っ張り、前記の係止を解除し、前記スライド部材がホルダー本体方向へ摺動ことを許容する操作ステップと、
によってホルダーを前記支持体に支持することを特徴とするホルダーの装着方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態の幾つかを詳細に説明する。図1〜図3は、本発明の第1の実施の形態のホルダーであって、特に車両用ホルダーとして好適なホルダーの構成を示している。図1(A),(B)は、第1の実施の形態のホルダーを車室内のルーバに取り付けた状態を示し、同図(A)は斜視図、同図(B)は同図(A)の側面図である。また、図2(A),(B)は、第1の実施の形態のホルダーの組立て構造を示し、同図(A)は斜視図、同図(B)は同図(A)の側面図である。更に、図3は、ホルダーをルーバに取り付ける寸前の状態を示す側面図である。
【0017】
図1(A)において、ホルダー1はホルダー本体3とその保持機構を有しており、この保持機構はホルダー本体の縦壁部5から外方に延在させたレール7と、このレールに沿ってスライド可能な挟持手段、即ちスライド部材もしくはフック9とを有している。このフック9とホルダー本体の縦壁部5とによって支持体、例えば自動車のエア・コンディショナーの吹き出し口のルーバ11、を挟持し、フック9を圧縮コイルバネ13の付勢力によってホルダー本体方向へ押圧することにより、ホルダー本体はルーバ11に強固に保持されるようになっている。さらに、縦壁部5にその両側付近で外方に向けて突出させて設けた支持爪15a,15bがルーバ11に支えられて、ホルダー1が傾くことなく安定的に支持されている。これによって、図1(B)の側面図に示すように、縦壁部5はルーバ11の表面に接触するので、ホルダー1はルーバ11に隙間なく密着して安定的に取り付けられる。
【0018】
図2(A)に示すように、このようなホルダー1の構造は、ホルダー本体3のルーバへの取付面側は平面状の縦壁部5で囲われ、他の壁部は飲料缶や携帯電話などの小物をスペース効率よく収納ないし保持できるように、曲面状の縁部6で囲われている。そして、縦壁部5のほぼ中央上部より外方に向けてレール7が固定して延在してあり、このレール7の端部より、フック9がレール7に沿ってスライド自在に挿通されている。さらに、レール7の端部からコイルバネ13を挿通した後、レール7の端部にはバネ受け部材17がネジ止めなどによって固着され、バネ13の一端が当接している。
【0019】
また、フック9よりホルダー本体3方向に延在して、棒状のレバー19が設けられている。このレバー19は、折り曲げ自在なフレキシブルな棒を用いて、フック9に固着するか、または、折り曲げ不可能な棒を用いて、フック9から着脱可能なように設ける。
【0020】
さらに、縦壁部5の外側の両端部分で、レール7とほぼ平行な高さの位置に、それぞれ、支持爪15a、15bが突出して設けられている。また、縦壁部5の内側には、折り曲げられたフレキシブルなレバー19を保持し得るように、レバー保持具21a、21bが固着されている。尚、レバー19がフック9より着脱自在のものであれば、紛失防止のために、レバー保持具21a、21bにレバー19が取り付けられるように構成してもよい。
【0021】
このような構成のホルダー1は、未使用状態においては、図2(B)に示すように、バネ受け部材17に一端が当接したバネ13に付勢されて、フック9がレール7をスライドして縦壁部5側へ移動した状態となっている。
【0022】
そして、ホルダー1をルーバに取り付けるときは、図3に示すように、レバー19によりフック9を押して、バネ13の付勢力に抗してフック9をバネ受け部材17側へスライドさせる。この状態でバネ受け部材17の部分からレール7及びその付属部品をルーバの隙間に挿入して、縦壁部5がルーバの表面に接触した位置でレバー19の押圧を解除する。
【0023】
これによって、図1(A),(B)に示すように、ホルダー1の縦壁部5とフック9とによってルーバ11が挟持され、バネ13の付勢力によってフック9がルーバ11の端面を押圧するので、ホルダー1はルーバ11に確実に保持される。このとき、縦壁部5の両側に突出された支持爪15a、15bはレール7とほぼ同じ高さに設けられているので、ホルダー1の取付け時に、支持爪15a、15bは自然にルーバ11の隙間に挿入される。これによって、支持爪15a、15bがルーバ11によって支えられる状態となり、ホルダー1の傾きが防止される。このようにして、ホルダー1はルーバ11の表面に隙間なく密着し、且つ傾かないように取り付けられ、車両の振動などによって不安定な状態となったり外れたりすることなく、安定した状態で保持される。
【0024】
そして、ホルダー1がルーバ11に安定して取り付けられたら、邪魔にならないように、フレキシブルなレバー19を縦壁部5の内周面に沿って折り曲げ、レバー保持具21a、21bによって保持する。尚、レバー19を折り曲げ不可能な棒にして、フック9から着脱自在な構造にしたときは、ホルダー1をルーバ11に取り付け後にレバー19をフック9から取り外して、レバー保持具21a、21bに収納しておくことにより、レバー19の紛失防止となる。また、ホルダー1をルーバ11から取り外すときは、レバー19を押して、フック9をバネ13の付勢力に抗してバネ受け部材17側へスライドさせ、挟持状態を解除すればよい。
【0025】
次に本発明の第2の実施の形態のホルダーについて説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態における挟持手段、すなわちスライド部材もしくはフック9のスライド機構を変えたものである。
【0026】
図4〜図6は、本発明の第2の実施の形態の構成を示す側面図であり、図4はホルダーを支持体に取り付けてないときの状態を示し、また、図5はホルダーをルーバに装着する寸前の状態を示し、更に、図6はホルダーがルーバに装着された状態を示す。
【0027】
この実施の形態の場合は、フックを移動させるのに、第1の実施の形態のような棒状のレバーを用いるのではなく、紐を用いているところが特徴である。すなわち、図4に示すように、フック9には紐31の一端が取り付けられ、一方、バネ受け部材17の上部には回転自在な滑車33が取り付けられている。そして、紐31はフック9から滑車33を経由してホルダー本体3の方向へ、バネ13に接触しないように張られている。このとき、紐31が弛んだりして滑車33から外れないように、紐通し35に挿通されて、結び目37によって、紐31が弛む方向への移動を阻止されている。
【0028】
ルーバへの取付け時には、図5に示すように、紐31をホルダー本体3側(矢印方向)へ引っ張ると、フック9がバネ13の付勢力に抗して、レール7に沿ってバネ受け部材17側へ移動する。そして、第1の実施の形態と同様な方法により、ルーバの隙間に、バネ受け部材17側からレール7を挿入し、縦壁部5がルーバの表面に接触した位置で紐31を離す。
【0029】
これによって、図6に示すように、ホルダー本体3の縦壁部5とフック9がルーバ11を挟持し、バネ13の付勢力によってホルダー1はルーバ11に密着して取り付けられる。尚、ホルダー1を安定して支えるために、支持爪がルーバ11に支持される構成は第1の実施の形態と同じである。また、この実施の形態の場合は、紐31を用いているので、ホルダー1に物を収納するには邪魔にならないが、紐31を纏めておくために、縦壁部5に紐保持具を設けてもよい。
【0030】
次に本発明の第3の実施の形態のホルダーについて説明する。この実施の形態の場合も、スライド部材もしくはフック9のスライド機構が変わるのみであるので、説明の重複を避けて、フックのスライド機構のみについて説明する。
【0031】
図7は、本発明の第3の実施の形態の、ホルダーの保持機構に用いられるラッチ機構の構造を示す原理図あり、図8は、このラッチ機構を用いて、ホルダーをルーバに取り付けた状態を示す側面図である。
【0032】
図7に示すラッチ機構51は、フック9から突出するピン53aが係合してフックの摺動案内をするためにレール7の表面に形成された溝55を有している。図8にはフック9とこれを付勢する圧縮バネ57との関係が表わされている。
【0033】
フック9から突出するピン53は、溝55を自在にスライドできるように構成されており、しかも本体のフック9に対して横移動できるように装着されている。溝55はホルダー本体に対して遠方側の部分においてハート形構造の係止手段を有しており、このハート形構造部では通路の深さをスライド方向変換部で変えることにより、フックから突出するピン53のスライド方向がハート形の溝内で一方向のみに向かうように、即ち逆行しないように構成されている。
【0034】
このようなラッチ機構51の構成において、フック9がa点にあるとき、フック9をバネ受け部材17へ向けて押すと、フック9は、圧縮バネ57の付勢力に抗して溝55を矢印(イ)の方向へスライドしてb点で停止する。そして、もう一度、b点にあるフック9をバネ受け部材17へ向けて押すと、フック9はバネ57に付勢されて矢印(ロ)の方向に移動して再びa点に戻る。
【0035】
したがって、ホルダー1をルーバ11へ取付ける時には、予め、a点にあるフック9を押してb点の位置に移動させておき、ルーバ11のスリットにバネ受け部材17を先にして挿入し、フック9をルーバ11の内側へもたらす。そして、フック9をルーバ11の内側端面に引っかけてホルダー本体3を手前に引けば、フック9はb点からバネ57に付勢されてa点の方向へ移動する。そして、縦壁部5とフック9がルーバ11を挟持した位置でフック9は停止する。これによって、バネ57の付勢力により、ルーバ11が縦壁部5とフック9とにより押圧挟持され、ホルダー1は確実に保持される。
【0036】
図9は、本発明の第4の実施形態による、溝の深さが均一な平面型ラッチ機構を用いたホルダーの構成を示し、図9(A)は斜視図、(B)は側面図,(C)はスライド部材のA−A断面図である。
【0037】
同図(A)において、ホルダー本体3の縦壁部5にはラッチ機構75を有するレール7が取り付けられている。ラッチ機構75は、レール7に形成された長手方向に均一な深さの溝77を有しており、溝77に沿ってスライド部材9が自在にスライドできるように構成されている。この溝77は、ラッチ機構75の、ホルダー本体3から遠方側の、端部において、図示のような形状で、スライド部材9がリターンできるように形成されている。すなわち、転換点b、c、d、eの箇所の向い側には、スライド部材を移動させるとき、下記の突起81を一方向(b→c,c→d,d→e,e→b)へのみ案内する傾斜面b′,c′,d′,e′が設けてある。また、スライド部材9には、同図(C)に示すA−A断面図のように、溝77に係合してスライドできる突起81が形成されている。この突起81は、同図(C)に示す矢印のようにスライド部材9の幅方向に移動できるように構成されている。更に、スライド部材9は、同図(B)に示すように、引っ張りバネ83によってホルダー本体3側に付勢されている。
【0038】
そして、スライド部材9をホルダー本体3から離れる方向に押すと、溝77に沿って突起81が図のa−b−c−dの方向にスライドし、dの位置で停止し、この位置にスライド部材9を係止する。更に、スライド部材9をホルダー本体3から離れる方向に押すと、突起81は溝77に沿ってdからeに移動し、次いでeからbへ移動可能になり、その結果バネ83に付勢されたスライド部材9はホルダー本体3の方向へ移動しルーバ11の端面と衝合して停止する。これによって、ホルダーは、スライド部材9と縦壁部5とによってルーバ11を押圧挟持し、ルーバに確実に保持される。
【0039】
次に、このホルダーをルーバに取り付け、取り外すときのメカニズムについて説明する。図10(A)、(B)、(C)、(D)は、図9の実施例のホルダーをルーバに取り付けるときの操作ステップを示す図であり、同図(A)はルーバへの挿入準備、同図(B)は挿入前、同図(C)は挿入後、及び同図(D)はルーバへの装着後の状態を示す。
【0040】
図10の順序に従って説明すると、先ず、同図(A)のように、スライド部材9をホルダー本体3から離す方向へ引っ張り、スライド部材9を図9(A)のd点に係止する。次に、図10(B)のように、ルーバ11のスリットに、スライド部材9をラッチ機構75を有するレール7と共に挿入する。そして、同図(C)のように、ルーバ11の端部にスライド部材9の端部爪9aを引っかけ、ホルダー本体3を図の右方に引っ張る。これにより、スライド部材9は、図9(A)のd点からe点の方向にスライドする。更に、同図(D)のように、ホルダー本体3から手を離すと、スライド部材9は、図9(B)に示す引っ張りバネ83に付勢されてホルダー本体3の方向へスライドする。すなわち、スライド部材9は図9(A)のa点の方向へスライドする。そして、ルーバ11の両端面にスライド部材9とホルダー本体3の縦壁部5が突き当たった位置で静止する。これによって、車両用ホルダーはルーバ11に押圧保持される。
【0041】
次に、車両用ホルダーをルーバから取り外すときのメカニズムについて説明する。図11(A),(B)、(C)は、図9の実施例のホルダーをルーバから取り外すときの操作ステップを示す図であり、同図(A)はルーバからの取り外し準備、同図(B)はルーバのスリットからの抜き取り前、同図(C)は抜き取り後の状態を示す。
【0042】
図11の順序に従って説明すると、先ず、同図(A)のように、ホルダー本体3をルーバ11から引き離す方向へ引っ張る。これによって、スライド部材9は図9(A)のa点からb、cを経由してd点に係止される。次に、同図(B)のように、ホルダー本体3を少しルーバ11の奥側に押して、端部爪9aの引っかけをルーバ11の端部から外した後、ホルダー本体3を少し持ち上げる。そして、同図(C)のように、ホルダー本体3を引っ張り、スライド部材9をルーバ11のスリットから引き抜く。
【0043】
以上、幾つかの実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。例えば、ラッチ機構の部分を、ボールペンなどに用いられているノック機構を適用してもよい。
【0044】
すなわち、図12に示すように、レール7を円柱状に構成すると共に、スライド部材9を円筒状に構成し、この円筒状スライド部材を上記円柱状レール7に軸線方向移動可能に嵌装する。スライド部材9とバネ受け部材17との間には圧縮コイルバネ13をレール7に遊嵌して設け、スライド部材をホルダー本体3方向へ押圧するようにしている。スライド部材9には、図13の展開図(図の上縁と下縁が連続する)に示すような案内溝もしくは案内孔91が設けてあり、この案内溝もしくは案内孔91はスライド部材9の周方向に連続しており、この案内溝もしくは案内孔には図12に示すようにレール7から突出するピン71が係合している。
【0045】
上記の案内溝91は、スライド部材9の軸線方向へ長く伸びる第一の延長通路92−1と、この延長通路92−1より中央寄りで終端している係止部93とを有している。第一の延長通路92−1の向かい側には斜壁94が設けてあり、この斜壁94は軸線方向へ伸びる案内壁95との間に第一の一時待機溝96−1を形成している。一時待機溝96−1の向かい側には上記の係止部93へ向かって傾斜する案内壁97が設けられ、係止部93の向い側には、第二の一時待機溝96−2へ向かって傾斜する案内壁98が設けられ、第二の一時待機溝96−2の向い側には第二の延長通路92−2に向かって傾斜する案内壁99が設けられており、以下同様の態様で第二の延長通路92−2から第三の延長通路92−3へ、更に第三の延長通路92−3から第一の延長通路92−1へ移行する溝が形成されている。
【0046】
このように構成したホルダーを、例えば自動車のルーバに取り付ける場合には、先ずスライド部材9をバネ13の作用力に抗してバネ受け部材17方向へ押し動かすと、例えば第一の延長通路92−1と係合していたピン71はAの位置から矢印にしたがってBの位置へ至り、スライド部材9を押し動かす力を除くと、Bの位置からCの位置、すなわち係止部93に至り、したがって、スライド部材9はホルダー本体3から遠方側の位置に係止される。この状態でホルダーの保持機構をバネ受け部材17を先にしてルーバ11の隙間から差し込み、次いでスライド部材9の端部をルーバ11の内縁部に当てて、ホルダー本体3を手前側へ引くと、スライド部材9はバネ受け部材17方向へ押し遣られ、その結果ピン71はC位置から出て案内壁98に案内され第二の一時待機溝96−2へ入り、ホルダー本体3を手前側へ引く力を解除すると、ピン71は第二の一時待機溝96−2から出て案内壁99に案内され第二の延長通路92−2へ入る。従って、スライド部材9はバネ13の作用によりホルダー本体3方向へ押し進められ、ホルダー本体3とスライド部材9との間にルーバ11を挟み付け、かくしてホルダー1はルーバ11に確固に支持される(図12参照)。
【0047】
ホルダー1をルーバ11から取り外す際には、図12の状態からホルダー本体3を手前方向へ引くと、スライド部材9はルーバ11によって押し動かされ、その運動の過程で係止部93がピン71に係合することにより、レール7上でホルダー本体3から遠方側に係止されるので、その状態でルーバの隙間から保持機構全体を引き抜き、ホルダー1をルーバ11から取り外すことができる。
【0048】
また、本発明の要旨の範囲内で、上記のスライド部材、すなわちフックを付勢するのにバネを用いるのではなく、ゴムなどの弾性体を用いて構成することもできる。要するに、ホルダー本体から外方に延在されて、フックをスライドさせることの出来るスライド機構と、このフックをホルダー本体側に付勢させる付勢機構とを備え、フックとホルダー本体の側面とによって保持物体を押圧挟持し得る構成であれば本発明の範囲に含まれることは云うまでもない。更に、一本のレールを備えた保持機構を示したが、必要に応じて二本以上のレールを備えていてもよく、また一本のレールを備えた保持機構を2組以上ホルダー本体に固定するようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のホルダーは、車内のエアコン吹き出し口などに密着して取り付けられるので、安定且つ強固な取り付けを行うことができる。また、前面への張り出しを最小限に抑える事が出来るので運転席や助手席の邪魔にならない。さらに、ホルダーの側壁全面でルーバの面と接触しているので、振動なども起こりにくく、取り付けたときの安定感もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のホルダーを車室内のルーバに取り付けた状態を示す図で、(A)は斜視図、(B)は(A)の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態のホルダーの組立て構造図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)の側面図である。
【図3】図2(B)のホルダーをルーバに取り付ける手前の状態を示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のホルダーの構成を示す側面図で、ホルダーを使用していないときの状態を示す図である。
【図5】図4において、ホルダーをルーバに装着する手前の状態を示す図である。
【図6】図4において、ホルダーがルーバに装着された状態を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の、ホルダーに用いられるラッチ機構の構造を示す原理図ある。
【図8】図7のラッチ機構を用いて、ホルダーをルーバに取り付けた状態を示す側面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態における、ラッチ機構を用いたホルダーの構成図で、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)はスライド部材のA−A断面図である。
【図10】図9のホルダーをルーバに取り付けるときの操作ステップを示す図で、(A)はルーバへの挿入準備、(B)は挿入前、(C)は挿入後、(D)はルーバへの装着後の状態を示す。
【図11】図9のホルダーをルーバから取り外すときの操作ステップを示す図で、(A)はルーバからの取り外し準備、(B)はルーバのスリットからの抜き取り前、(C)は抜き取り後の状態を示す。
【図12】本発明の第4の実施の形態において、ラッチ機構の変化形を用いたホルダーの側面図である。
【図13】図12のラッチ機構に用いられるスライド部材の展開平面図である。
【図14】従来のホルダーをルーバに取り付けた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1…ホルダー
3…ホルダー本体
5…縦壁部
7…レール
9…スライド部材(フック)
9a…端部爪
11…ルーバ
13、57、83…バネ
15a、15b…保持爪
17…バネ受け部材
19…レバー
21a,21b…レバー保持具
31…紐
33…滑車
35…紐通し
37…結び目
51、75…ラッチ機構
55、77…溝
71…ピン
81…突起
91…案内溝もしくは案内孔
92−1、92−2、92−3…延長通路
93…係止部
96−1、96−2…一時待機溝

Claims (6)

  1. 物品を保持可能な形状に形成されたホルダー本体と、前記ホルダー本体に固定され、ホルダー本体を支持体に保持する保持機構とを備えたホルダーにおいて、
    前記保持機構が、
    前記ホルダー本体に対して前記支持体を挟んで対向する位置に置かれる挟持手段と、
    前記挟持手段を前記ホルダー本体方向へ移動させ、これら挟持手段とホルダー本体との間の間隔を狭めるように作用する付勢手段とを、
    備えたことを特徴とするホルダー。
  2. 前記保持機構が更に、前記ホルダー本体に固定されて外方に延伸するレールを有し、前記挟持手段が前記レールの長手方向に自在にスライドするスライド部材にて構成され、前記付勢手段が弾性的な伸縮部材で構成されていることを特徴とする、請求項1記載のホルダー。
  3. 前記スライド部材には、前記付勢手段の付勢力に抗して、前記スライド部材を前記ホルダー本体から離反する方向へ押圧するレバーが設けてあることを特徴とする、請求項2記載のホルダー。
  4. 前記スライド部材には、前記付勢手段の付勢力に抗して、前記スライド部材を前記ホルダー本体から離反する方向へ引っ張る紐が設けてあることを特徴とする、請求項2記載のホルダー。
  5. 前記保持機構がラッチ機構を有しており、このラッチ機構が、スライド部材をレール上でホルダー本体から遠方側の位置に係止すると共に、前記レールを支持体に対してホルダー本体の方向へ引き動かす毎に前記の係止とその解除を繰り返すことを特徴とする、請求項2記載のホルダー。
  6. 物品を保持可能な形状に形成されたホルダー本体と、前記ホルダー本体に固定され、ホルダー本体を支持体に保持する保持機構とを備え、前記保持機構が、前記ホルダー本体に対して前記支持体を挟んで対向する位置に置かれる挟持手段と、前記挟持手段を前記ホルダー本体方向へ移動させ、これら挟持手段とホルダー本体との間の間隔を狭めるように作用する付勢手段とを備え、前記保持機構が更に、前記ホルダー本体に固定されて外方に延伸するレールを有し、前記挟持手段が前記レールの長手方向に自在にスライドするスライド部材にて構成され、前記付勢手段が弾性的な伸縮部材で構成されており、前記保持機構が更にラッチ機構を有しており、このラッチ機構が、スライド部材をレール上でホルダー本体から遠方側の位置に係止すると共に、前記レールを支持体に対してホルダー本体の方向へ引き動かす毎に前記の係止とその解除を繰り返すようになされたホルダーを用い、
    前記スライド部材を前記ホルダー本体から引き離して、係止位置に保持させる操作ステップと、
    係止位置に保持された前記スライド部材を前記支持体に対して前記ホルダー本体の反対側に位置させる操作ステップと、
    このように配置された前記スライド部材の端部を前記支持体の端部に係合させ、前記ホルダー本体を前記支持体から離反させる方向に引っ張り、前記の係止を解除し、前記スライド部材がホルダー本体方向へ摺動ことを許容する操作ステップと、
    によってホルダーを前記支持体に支持することを特徴とする、ホルダーの装着方法。
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