JP3993493B2 - プラズマエッチング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ処理装置および処理方法に係り、特に半導体製造工程における微細なパターンを形成するのに好適なプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造工程では、たとえば成膜、エッチング、アッシングなどの微細加工プロセスで、プラズマ処理装置が広く用いられている。プラズマ処理によるプロセスは、真空チャンバー(リアクタ)内部に導入されたプロセスガスをプラズマ発生手段によりプラズマ化し、半導体ウエハ表面で反応させて微細加工を行うとともに、揮発性の反応生成物を排気することにより、所定の処理を行うものである。
【0003】
このプラズマ処理プロセスでは、リアクタ内壁やウエハの温度、あるいは内壁への反応生成物の堆積状態がプロセスに大きな影響を及ぼす。また、リアクタ内部に堆積した反応生成物が剥離すると、発塵の原因となって、素子特性の劣化や歩留まりの低下につながる。
【0004】
このため、プラズマ処理装置においては、プロセスを安定に保ちかつ異物の発生を抑制するために、リアクタ内部の温度や表面への反応生成物の堆積を制御することが重要である。
【0005】
たとえば、特開平8―144072号公報には、シリコン酸化膜のドライエッチング工程における選択比を向上させる目的で、リアクタ内部の各部の温度を、エッチングステージの温度よりも150℃以上高い150℃以上300℃以下(望ましくは200℃以上250℃以下)の高温度値に±5℃以内の精度で制御保持するドライエッチング装置が記載されている。このようにリアクタ内面各部の温度を高温に加熱制御することで、リアクタ内面へのプラズマ重合物の付着量が減少し、半導体ウエハ上へのプラズマ重合物の付着量が増加して、選択比が向上する。
【0006】
また、特開平5―275385号公報には、平行平板型のプラズマ処理装置において、クランプリング(被処理体保持手段)、フォーカスリング(プラズマ集中手段)の少なくとも一方に、プラズマ処理により生じる反応生成物が付着しない温度に昇温・維持させる加熱手段を設けた装置が記載されている。加熱手段としては抵抗発熱体を用いている。加熱により反応生成物の付着が防止できるので、反応生成物の剥離や、被処理体表面へのパーティクルの付着が低減される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、プラズマ処理装置では、チャンバー内壁面の温度や内壁表面への反応生成物の堆積の制御が重要である。
【0008】
しかしながら、チャンバー内壁面、特に広い面積をもつ側壁面の温度を200℃〜250℃程度以上の高温に設定すると、エッチング特性が内壁表面の温度に非常に敏感となり、プロセスの再現性・信頼性が低下しやすいという問題がある。
【0009】
たとえば、S.C. McNevin, et al., J. Vac. Sci. Technol. B 15(2) Mar/Apr 1997, p.21, 'Chemical challenge of submicron oxide etching' には、誘導結合型のプラズマにおいて、側壁温度が200℃から170℃に変化すると酸化膜エッチレートが5%以上増加することが示されている。この理由としては、側壁温度の低下により、より多くの炭素が壁に吸着するようになり、ウエハー上への炭素の堆積が減少して、酸化膜エッチレートが増加したものと推測されている。このように、特に高密度プラズマでは、高温領域でプラズマがリアクタ内壁と強く相互作用するために、リアクタ内部の温度バランスの変化により、内壁表面への反応生成物の堆積や表面の組成変化が急速に進んで、エッチング特性の変化としてあらわれることになる。
【0010】
さらに、高温領域では、上記のプラズマと内壁との相互作用が、温度変化に対して非常に敏感となる。たとえば、内壁面材料としてSiO2を用いた場合、 SiO2のF原子によるエッチレートと壁温の間の熱力学的関係式が報告されており、(D. L.Flamm, et al., J. Appl. Phys., 50, p.6211 (1979))、この関係式を150℃以上の温度領域に適用すると、壁温度が200℃から250℃以上では、エッチレートが指数関数的に急激に増加していく。
【0011】
従って、このような高温領域では、温度制御は、たとえば±5℃以内と高い精度が要求される。しかしながら、内壁面は高密度なプラズマにさらされるわけであるから、壁面の温度をこのような高温領域で高精度に制御するのは容易ではない。また、これを実現するには、温度制御に、温度検出手段とヒータやランプなどの加熱手段を用いることになるが、温度制御の機構・手段がおおがかりになってしまう。さらに、このような高温領域では内壁面には反応生成物は堆積しないので、壁面はプラズマによりエッチングされて消耗する。したがって、内壁面の部品を定期的に交換する必要があり、消耗品のコスト上昇につながる。また、加熱に大きなエネルギーを要するので、エネルギー消費の観点からも好ましくない

【0012】
同様な問題は、ウエハや電極周囲のリングの加熱についてもあてはまる。リングを加熱して昇温することで反応生成物の付着は防止できるものの、抵抗発熱体などの加熱機構は装置構成を複雑にさせる。また、反応生成物の付着は防止できても、リングや内壁表面がプラズマでエッチングされて消耗すると、構成材料そのものが新たな発塵源となるおそれがある。さらにリングや内壁面の部品が消耗するとこれらを定期的に交換する必要があり、装置のランニングコスト上昇につながる。
【0013】
こうした課題を解決するひとつの方法が、チャンバー内壁面をポリマーによる表面コーティング層で保護することである。たとえば、特開平7―312363には、ワークピース(被加工物)の支持台の温度をチャンバーの壁面よりも高い状態で維持して、チャンバー内壁面に表面コーティング層を形成させるプラズマエッチング装置が記載されている。そして、コンタミナント粒子をポリマーフィルム内に捕獲して蓄積することで、反応生成物によるコンタミナントのチャンバ内への残留蓄積を低減するとされている。
【0014】
しかしながら、この場合には壁面の保護を目的とするものではなく、コンタミナント粒子の捕獲が目的である。また、チャンバー内壁面に表面コーティング層を形成させる際の温度は、ワークピース(被加工物)よりも5℃以上低い値と記述されているのみであり、温度の範囲と制御の精度については考慮がなされていない。また、圧力範囲も数百mtorr(数10Pa)の高圧力のレンジである。しかしながら、膜の堆積温度は、膜の組成や質を変化させ、膜の剥離強度や異物発生に影響すると推測される。また、堆積膜の温度変動は、熱膨張と収縮の繰り返しによりクラックの発生や剥離につながって、異物の原因となると予測され、温度制御の精度は重要な因子である。また、数十mtorr以下(数Pa以下)の圧力範囲では、高イオンエネルギー化や分子の平均自由行程が長くなることで、膜堆積状況が異なると考えられる。さらに、上記の公知例ではコンタミナントをとりこんだコーティング層をプラズマ処理チャンバー壁面から除去する必要があり、これが装置のスループットや消耗品コストに直接影響するが、この点については考慮がなされていない。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、リアクタ内部の温度と反応生成物の堆積を制御することにより、エッチング特性に経時的な変化を生じさせることなく、プロセスの再現性・信頼性を、長期間にわたってかつ低コストで維持できるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題について鋭意研究を重ねた結果、リアクタ内の圧力が数Pa以下の領域で、リアクタ内壁面の温度をウエハよりも十分低い温度で、しかも一定温度に制御したときに、内壁面に強固なコーティング膜が形成されることを見出した。さらに詳細な分析の結果、このコーティング膜は、膜形成時の温度が低いほどポリマー重合が進んでいること、および膜形成時の温度を一定に制御することでしっかりした層状の構造が形成されること、したがって膜表面の剥離や損傷がみられず発塵の原因とはならないことを知見した。
【0017】
なお、上記においてリアクタ内壁面の温度が「ウエハよりも十分低く一定」とは、ウエハよりも5℃以上低い範囲で、望ましくは20℃以上低い範囲で、±10℃以内の精度で制御することを意味している。また、ウエハの処理中の温度がおよそ100℃から110℃程度である場合には、温度範囲は100℃以下、望ましくは80℃以下を意味している。
【0018】
ところで一方、リアクタ内部においては、上記のような低温領域での制御が困難な部分あるいは構成部品も存在する。本発明者らは、このような個所についても検討を重ねた結果、発熱抵抗体のような複雑な加熱機構を有することなく、その温度や表面への反応生成物の堆積を制御する方法を見出すに至った。
【0019】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、真空処理室と、プラズマ発生装置と、処理室にガスを供給する処理ガス供給手段と、該真空処理室内で処理される試料を保持する電極と、該真空処理室を減圧する真空排気系とを有するプラズマ処理装置において、前記処理ガスにプラズマ放電により重合膜が形成されるような組成のガスを少なくとも1種類以上含み、前記処理室内でプラズマ放電により前記処理ガスをプラズマ化し、前記処理室の内部でプラズマに接する内壁面(あるいは内部構成部品の表面)の少なくとも一部分を、試料よりも十分に低い温度で一定に制御して、処理室内壁面に強固な重合膜を形成させることを特徴とする。
【0020】
本発明の他の特徴は、前記の重合膜を形成させる内壁面の温度を、試料よりも5℃以上、望ましくは20℃以上低い範囲で、±10℃以内の精度で、制御することにある。
【0021】
本発明の他の特徴は、前記の重合膜を形成させる処理室内壁面の温度を、0℃以上100℃以下、望ましくは20℃以上80℃以下の範囲で、±10℃以内の精度で、制御することにある。
【0022】
本発明の他の特徴は、前記の処理室内の処理圧力を0.1Pa以上10Pa以下、望ましくは0.5Pa以上4Pa以下とすることにある。
【0023】
本発明の他の特徴は、前記の重合膜を形成させる処理室内壁面を構成する部材を、容易に交換可能な構造とすることにある。
【0024】
本発明の他の特徴は、前記の処理室内壁面に形成された重合膜の成長を抑制する処理プロセスを含むことにある。
【0025】
本発明のさらに他の特徴は、真空処理室と、プラズマ発生装置と、処理室にガスを供給する処理ガス供給手段と、該真空処理室内で処理される試料を保持する電極と、該真空処理室を減圧する真空排気系とを有するプラズマ処理装置において、上記処理室の内部でプラズマに接する構成部品(あるいは内壁面)を、その少なくとも一部分にバイアスが印加され、かつその熱容量を十分に小さくし、かつその表面積を小さくするように構成することにある。
【0026】
本発明の他の特徴は、上記の処理室の内部でプラズマに接する構成部品の温度を、100℃以上250℃以下、望ましくは150℃以上200℃以下の範囲で調整することにあり、さらに処理室の処理圧力を0.1Pa以上10Pa以下、望ましくは0.5Pa以上4Pa以下とすることにある。
【0027】
本発明の他の特徴は、前記内壁構成部品の形状がリング状であり、当該部品のプラズマに接する表面積が処理室内壁の全面積の20%以下であることにある。
【0028】
本発明の他の特徴は、上記の処理室の内部でプラズマに接してその少なくとも一部分にバイアスが印加される構成部品の形状がリング状であり、その厚みが6mm以下、内径が試料径以上であることにある。
【0029】
本発明のさらに他の特徴は、前記のプラズマ処理装置において、前記内壁構成部品のプラズマに接する側の近傍に赤外光吸収体を形成するように構成して、当該部品の温度を赤外線照射手段により遠隔的に制御することにある。
【0030】
本発明の他の特徴は、上記の赤外線照射で温度制御される部品の温度を、100℃以上250℃以下、望ましくは150℃以上200℃以下の範囲で、±10℃以内の精度で、制御することにある。
【0031】
本発明のさらに他の特徴は、上記のプラズマ処理装置において、プラズマ発生装置が有磁場UHF帯電磁波放射方式であることにある。
【0032】
本発明によれば、プラズマ放電により処理ガスの一部が重合して、処理室内壁面のプラズマに接する部分あるいは部品の表面に、ポリマーによる表面コーティング層が形成される。そして、リアクタ内壁面の温度をウエハよりも十分低い温度で一定温度に制御することで、このコーティング層のポリマー重合が進んでしっかりした層状の構造を形成することが可能となる。したがって内壁面がプラズマによりエッチングされて消耗することがないので、内壁面の部品交換の頻度が低減でき、ランニングコスト低下が可能となる。また、このコーティング層は、膜の組成が緊密であるので、プラズマにさらされても、表面に剥離や損傷が生じないので、発塵の原因とはならない。
【0033】
また、チャンバー内壁面の温度をウエハよりも低い温度領域に設定しているので、内壁面を200℃以上の高温領域に設定した場合に比べて、プラズマと内壁面との相互作用が弱く、しかも温度変化に対して敏感とならない。このため、プロセスの再現性・信頼性が長期間にわたって低下しにくく、また温度制御の精度もたとえば±10℃以内でよく、温度制御に複雑な機構を用いることなく比較的容易に実現することが可能となる。
【0034】
また、内壁面に所定の値を超える重合膜が形成された場合にはこの膜を除去する必要がある。この膜除去プロセスをクリーニングではなく、装置を大気開放して重合膜が形成された処理室内壁面の構成部品を交換して装置は再び稼動させ、膜の除去はチャンバから取り出した後にウエットクリーニングなどでex-situに行って内壁面を再生することで、装置の不稼動時間を低減してスループットを低下させないとともに、部品の再生と繰り返し使用により消耗品コストを低減できる効果がある。また、処理中に重合膜の成長を抑制するプロセスを加えることで、装置の開放と清掃までの時間を延ばすことができる。
【0035】
一方、本発明のさらに他の特徴によれば、リアクタ内部において、ウエハよりも十分に低い領域での温度制御が困難な部分あるいは構成部品については、その少なくとも一部分にバイアスが印加される構造を設け、かつ部品全体の熱容量を十分に小さくすることにより、ヒータやランプなどの複雑な機構を用いることなく部品全体が高温領域に制御できるので、反応生成物の過剰な堆積を抑制して反応生成物の剥離にともなう異物発生を低減できる。また、部品の表面積を小さくすることで、温度や表面状態が変動してもプロセスへの影響を抑制できる。さらに、上記の構成部品に印加されるバイアスの程度を調整して、温度を100℃以上250℃以下、望ましくは150℃以上200℃以下の範囲に設定することにより、およそ250℃以上の高温領域に設定した場合に比べて温度変化に対して敏感ではないので、構成部品の温度変動がプロセスに対して実質的に影響しないレベルに小さくできる利点がある。
【0036】
本発明のさらに他の特徴によれば、処理室内部でプラズマに接する構成部品の温度を、赤外線照射とガス熱伝達を用いて、より能動的に高温領域で高精度に制御できるので、反応生成物の過剰な堆積を抑制して反応生成物の剥離にともなう異物発生を低減できるとともに温度や表面状態の変動を抑制してプロセスに対する影響を抑制できる。さらに、温度を100℃以上250℃以下、望ましくは150℃以上200℃以下の範囲で±10℃以内の精度で、制御することにより、およそ250℃以上の高温領域に設定した場合に比べて、温度変化に対して敏感ではないので、構成部品の温度変動がさらに微細なプロセスに対しても実質的に影響しないレベルに小さくできる利点がある。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を、有磁場UHF帯電磁波放射放電方式のプラズマエッチング装置へ適用した実施例を示すもので、当該プラズマエッチング装置の断面模式図である。
【0038】
図1において、処理室100は、10ー6Torr程度の真空度を達成可能な真空容器であり、その上部にプラズマ発生手段としての電磁波を放射するアンテナ110を、下部にはウエハなどの試料Wを載置する下部電極130を、それぞれ備えている。アンテナ110と下部電極130は、平行して対向する形で設置される。また、処理室100の周囲には、電磁コイル101A、101B、ヨーク101Cからなる磁場形成手段101が設置されており、所定の分布と強度をもつ磁場が形成される。そして、アンテナ110から放射される電磁波と磁場形成手段101で形成される磁場との相互作用により、処理室内部に導入された処理ガスをプラズマ化して、プラズマPを発生させ、試料Wを処理する。
【0039】
処理室100の側壁102には、側壁内面の温度を制御するジャケット103が交換可能に保持される。そして、ジャケット103の内部には熱媒体供給手段104から熱媒体が循環供給されて温度が制御される。ジャケットの温度は、0℃〜100℃、望ましくは20℃〜80℃の範囲で、±10℃以内の精度で制御される。一方、処理室100は、真空室105に接続された真空排気系106により真空排気されて、処理室100の内部が0.1Pa以上10Pa以下、望ましくは0.5Pa以上4Pa以下の所定の処理圧力に調整される。処理室100および真空室105はアース電位となっている。処理室100の側壁102、ジャケット103は重金属を含まず熱伝導性のよいたとえばアルミニウムなどの非磁性金属材料として、表面に耐プラズマ性のアルマイトなどの表面処理を施してもよい。
【0040】
電磁波を放射するアンテナ110は、円板状導電体111、誘電体112、誘電体リング113からなり、真空容器の一部としてのハウジング114に保持される。また、円板状導電体111のプラズマに接する側の面にはプレート115が設置され、さらにその外周にリング116が設置される。試料のエッチング、成膜等の処理を行なう処理ガスは、ガス供給手段117から所定の流量と混合比をもって供給され、円板状導電体111とプレート115に設けられた多数の孔を通して、所定の分布に制御されて、処理室100に供給される。
【0041】
円板状導電体111には、アンテナ電源121、アンテナ高周波電源122が、それぞれマッチング回路・フィルタ系123、124を介して接続され、またフィルタ125を通してアースに接続される。アンテナ電源121は、望ましくは300 MHzから900 MHzのUHF帯周波数の電力を供給し、アンテナ110からUHF帯の電磁波が放射される。一方、アンテナ高周波電源122は、円板状導電体111に、たとえば100kHz程度の低周波、あるいは数MHzから10MHz程度の高周波のバイアスを印加することで、円板状導電体111に接するプレート115の表面での反応を制御する。プレート115はウエハと対向しているので、処理プロセスにもっとも大きく影響するが、この面にバイアスを印加して反応生成物を堆積させないことで、装置プロセスが安定化する。また、たとえば、CF系のガスを用いた酸化膜エッチングにおいて、プレート115の材質を、高純度のシリコンやカーボンなどとすることで、プレート115の表面でのFラジカルやCFxラジカルの反応を制御して、ラジカルの組成比を調整する。プレート115の下面とウエハWの距離(以下、ギャップと呼ぶ)は、30mm以上150mm以下、望ましくは50mm以上120mm以下とする。
【0042】
円板状導電体111は、図示しない温度制御手段、すなわちその内部を循環する熱媒体により温度が所定の値に維持され、円板状導電体111に接するプレート115の表面温度が制御される。リング116は、アンテナ高周波電源122によるバイアスで加熱されて温度制御されるが、これについては後に詳しく述べる。
【0043】
処理室100の下部には、アンテナ110に対向して下部電極130が設けられている。下部電極130には、400kHzから13.56MHzの範囲のバイアス電力を供給するバイアス電源141がマッチング回路・フィルタ系142を介して接続されて試料Wに印加するバイアスを制御するとともに、フィルタ143を介してアースに接続される。
【0044】
下部電極130は、静電吸着装置131により、その上面、すなわち試料載置面にウエハなどの試料Wを載置保持する。静電吸着装置131は、その上面に静電吸着用誘電体層(以下、静電吸着膜と略称する)が形成されている。そして、静電吸着用の直流電源144とフィルタ145により数100V〜数kVの直流電圧を印加して、静電吸着膜を介して試料Wと静電吸着装置111との間に作用するクーロン力を発生させて、試料Wを下部電極130上に吸着・保持する。静電吸着膜としては、たとえば酸化アルミニウムや酸化アルミニウムにチタン酸化物を混合した誘電体を用いる。
【0045】
さらに、試料Wは、その表面反応を制御するために、図示しない温度制御手段によりその表面温度が所定の温度に制御される。このために、下部電極130には、静電吸着装置131と試料Wの間の熱伝達性を高めるために、不活性ガス、たとえばHeガスが所定の流量と圧力に設定されて供給されている。これにより、ウエハの温度は、最高でおよそ100℃〜110℃以下の範囲に制御される。
【0046】
また、静電吸着装置131の上面の試料Wの外側部には、試料台リング132が設けられている。試料台リング132には、SiCなどのセラミクスやカーボン、シリコン、石英材料を用いる。試料台リング132は、アルミナなどの絶縁体133で、静電吸着装置131と絶縁される。さらに、試料台リング132に絶縁体133を介してバイアス電源141からのバイアス電力を一部漏洩させて加えることで、試料台リング132へのバイアス印加を調整して、その表面での反応を制御することも可能である。たとえば、CF系のガスを用いた酸化膜エッチングにおいて、試料台リング132の材質を高純度のシリコンとすれば、シリコンのスカベンジ作用により試料台リング132の表面でのFラジカルやCFxラジカルの反応を調整して、特にウエハ外周部でのエッチング均一性を向上することができる。試料台リング132は、バイアスにより加熱されるともに、伝熱ガスにより冷却されて、温度制御されるが、これについては後に詳しく述べる。
【0047】
本実施例によるプラズマエッチング装置は以上のように構成されており、このプラズマエッチング装置を用いて、たとえばシリコン酸化膜のエッチングを行う場合の具体的なプロセスを、図1を用いて説明する。
【0048】
まず、処理の対象物であるウエハWは、図示していない試料搬入機構から処理室100に搬入された後、下部電極130の上に載置・吸着される。そして、必要に応じて下部電極の高さが調整されて所定のギャップに設定される。ついで、処理室100内は真空排気系106により真空排気されていく。一方、試料Wのエッチング処理に必要なガス、たとえばC4F8とArが、ガス供給手段117から、所定の流量と混合比、たとえばAr流量300sccm、C4F8流量9sccmをもって、アンテナ110のプレート115から処理室100に供給される。同時に、処理室100は真空排気系106により排気され、処理室100の内部が所定の処理圧力、例えば1Paになるように調整される。他方、磁場形成手段101により、所定の分布と強度の磁場が形成される。そして、アンテナ電源121によりアンテナ110からUHF帯の電磁波が放射され、磁場との相互作用により処理室100内にプラズマPが生成される。このプラズマPにより、処理ガスを解離させてイオン・ラジカルを発生させ、さらにアンテナ高周波電源122、バイアス電源141を制御して、ウェハWにエッチング等の処理を行う。そして、エッチング処理の終了にともない、電力および処理ガスの供給を停止してエッチングを終了する。
【0049】
さて、本実施例におけるプラズマ処理装置は上記のように構成されているが、リアクタ内各部、特に側壁103の内面およびリング116、試料台リング132の温度制御および反応生成物の堆積制御について、具体的に説明していく。
【0050】
まず側壁103について、図1により説明する。すでに説明したように、処理室100の側壁102の内側にはジャケット103が保持され、熱媒体により温度制御が可能となっている。
【0051】
本発明者らは、酸化膜エッチングを対象に、処理ガスとしてC4F8とArの混合ガス系を用いて圧力2Paで実験した結果、リアクタ内壁面の温度をウエハ温度(およそ100℃程度)よりも十分低い温度である25℃から80℃の範囲で±10℃以内の精度で一定温度に制御したときに、内壁面に強固なコーティング膜が形成されることを見出した。このような数十mtorr以下(数Pa以下)の圧力範囲ではエネルギーの高いイオンが増加するので、膜堆積におけるイオンアシストの効果が高まって、緊密な膜が形成されると考えられる。堆積膜の状況は、側壁温度が低いと緻密で強固な膜が形成され、側壁温度が高いとやや粗い構造であった。この膜質変化を定量的に明らかにするために、側壁温度25℃、50℃、80℃で堆積した膜の組成(元素濃度比)をXPS(X線光電子分光法)で分析したところ、次のような結果であった。
【0052】
Figure 0003993493
この結果からも明らかなように、側壁温度が低いほどカーボンリッチな膜質となっている。また、ここでは示していないが、C1sピークの分析から、側壁温度が低いほどカーボン同士の結合が進んでおり、ポリマー重合が進んでいることもわかっている。これが、マクロには緻密で強固な膜として観察されたと推測できる。
【0053】
またこの実験時には、側壁面の温度は±10℃以内の精度で制御されているので、膜の堆積中に温度変動にともなう内部応力が発生せず、膜構造が緻密になると予測される。電子顕微鏡による観察の結果、しっかりした層状の構造が形成されていることを確認した。この膜はきわめて緊密で強固であり、デポ堆積加速試験で試験的におよそ200ミクロンの膜厚にまで堆積させても、テープ剥離や摩擦試験による膜のはがれは観察されなかった。さらに、この膜はプラズマに対しても高い耐性を示しており、プラズマ処理によっても膜表面の剥離や損傷がみられず、発塵の原因とはならないことを知見した。
【0054】
このように、リアクタ内壁面の温度をウエハ温度よりも十分低い温度で一定に制御することで、内部に熱応力の発生しない強固な堆積膜をリアクタ側壁内面に形成することができる。この膜は十分な耐プラズマ性を有しており、反応生成物の剥離や試料表面へのパーティクルの付着が低減するので、リアクタ内壁の保護膜として作用する。したがって、側壁は消耗したり損傷したりしないので、側壁の部品交換の頻度が低減でき、ランニングコストの低下につながる。また、側壁が堆積膜で保護されるので、耐プラズマ性の高いSiCなどのセラミクスを使う必要がなく、部品コストの低減が可能となる。また、特に側壁温度を常温〜約50℃程度の範囲で制御すれば、側壁の加熱のためのエネルギーが少なくてすむので、省エネルギーにもつながる効果がある。側壁材料としては、重金属を含まずかつ熱伝導性のよい金属、たとえばアルミを用いればよい。
【0055】
なお、堆積膜が存在しない初期状態では、アルミが露出しているために、プラズマからダメージを受けて表面が変質する可能性がある。そこでこれを防止するために、表面に高分子材料をコーティングしてもよい。あるいは、アルミ表面をたとえばアルマイト処理して、さらに、アルマイト処理で生じた微細な孔を高分子材料で封孔処理をしてもよい。もちろん、この封孔処理はアルミのアルマイト処理に限らずに適用できる。このように、高分子による膜をアルミ表面と堆積膜との界面に介在させることで、アルミ表面と堆積膜との密着性をまして、堆積膜を剥離させにくくする効果もある。また、プロセスによっては、膜が過剰に堆積する場合もありうるが、この場合は、ウエハ処理後に短時間のプラズマクリーニングを併用して膜の堆積を制御することで、膜の厚みを一定に保ってもよい。
【0056】
次に、試料台リングについて説明する。すでに図1の実施例で説明したように、試料台リング132は、バイアス印加によりその表面での反応を制御することで、特にウエハ外周部でのエッチング特性を均一にできる。このとき、試料台リング132はバイアスにより加熱されるが、その表面における反応と膜の堆積を制御するために、印加バイアスと温度を制御する必要がある。しかも、静電吸着装置131を組込んだ下部電極に複雑な機構を組み込むことなく、印加バイアスならびに温度の制御が可能であることが望ましい。これは、漏洩バイアスの制御とバイアスによる加熱およびガス伝熱による冷却のバランスにより具現化できる。この実施例を、図2に示す下部電極130の断面図(右側半分)により説明する。
【0057】
下部電極130は、試料Wを静電吸着装置131により保持する。静電吸着装置131は、絶縁体134によりアース135と絶縁される。本実施例では、試料台リング132を、静電吸着装置131に対して絶縁体133を介して設置することにより、バイアス電源141から供給されるバイアス電力の一部を漏洩させて加える構造としている。印加されるバイアスは、絶縁体133の厚みや材質により調整できる。このようなバイアス印加構造とすることにより、下部電極130の内部で試料台リング132への配線構造を設けたり、試料台リング132に別のバイアス電源を接続したりする必要がない。
【0058】
また、静電吸着装置131は、温調用熱媒体の循環(図示していない)により、所定の温度に維持されている。そして、試料Wと静電吸着装置131の表面の間には、伝熱用ガス(例えばHeガス等)の流路136が形成され、伝熱用ガスが導入されることで熱伝導が良好に保たれる。ここで、本実施例では、試料台リング132、絶縁体133、静電吸着装置131の間にも伝熱用ガスの流路136A、136Bが形成される。そして、ウエハ冷却用伝熱ガスの一部が導入されて、接触部での熱伝導が良好に保たれる。このため、試料台リング132は、所定の温度に維持された静電吸着装置131との間の熱伝達が良好に保たれて、温度が安定に保たれる。この結果、試料台リング132へのバイアス印加による温度変動が抑制され、試料台リング132における表面反応や試料の処理特性が安定化できる。また同時に、バイアスによる加熱とイオンアシストにより反応生成物の堆積が防止できるので、反応生成物の剥離や、試料表面へのパーティクルの付着が低減される。
【0059】
このように、試料台リングは、漏洩バイアスの印加とバイアスによる加熱とガス伝熱による冷却のバランスにより、簡単な構造で表面反応や温度と膜堆積の制御が可能となり、処理の長期安定化と異物の低減を図ることができる。
【0060】
なお、本実施例では、伝熱用ガスにより熱伝達を確保したが、たとえば熱導電性シートなど、他の熱伝達手段を用いてもよい。
【0061】
次に、アンテナ110について説明する。すでに図1の実施例で述べたように、円板状導電体111にはアンテナ高周波電源122が接続されて100kHz程度または数MHzから10MHz程度のバイアスが印加される。また、円板状導電体111の温度は熱媒体により所定の値に維持される。したがって、円板状導電体111に接するプレート115は、バイアスが印加されるとともにその表面温度も制御される。プレート115はウエハと対向しているので、処理プロセスにもっとも大きく影響するが、この面にバイアスを印加して反応生成物を堆積させず、さらにプレートの材質に高純度のシリコンを用いてスカベンジ作用による表面反応を用いることで、プロセスを安定化することができる。
【0062】
一方、プレート115の外周部のリング116は、プレート115と同様にアンテナ高周波電源122によるバイアスで加熱し、さらにリング116の熱容量を小さくすることで温度変化の応答性を高めている。これを図3を用いて説明する。
【0063】
図3は、リング116の温度制御方法を示した実施例である。本実施例では、リング116の形状を薄くして、かつプレート115にその一部分がかかり、かつ誘電リング113やプレート115との熱的な接触が少なくなるように構成されている。この場合、プレート115にアンテナ高周波電力を印加すると、プレート115へのバイアスにより、イオンが図中の矢印のようにリング116の表面に引き込まれる。本実施例では、ヒータやランプなどの加熱機構を用いていないので、機構が複雑にならない利点がある。
【0064】
リング116のバイアス印加部分の幅wは、バイアスによる加熱が効率よく行えるように、たとえば10mm以上とする。リング116の厚みは、バイアスで有効に加熱されるためにはたとえば6mm以下、望ましくは4mm以下とする。このように薄い形状とすることで、リング116の熱容量が小さくなる。この結果、リング全体をおよそ100℃以上250℃以下、望ましくは150℃以上200℃以下に加熱することが可能となる。この結果、反応生成物の堆積が抑制されて、反応生成物の剥離にともなう異物発生を低減できる。また、この温度範囲では、およそ250℃以上の高温領域に比べて表面反応の変化が温度変化に対して敏感ではないので、構成部品の温度変動がプロセスに対して実質的に影響しないレベルに小さくできる利点がある。
【0065】
リング116の厚みは、デポ膜の堆積を抑制でき、しかもリング表面がイオンでスパッタされて消耗しないように、アンテナバイアスのパワー・周波数、リング116の材質、リング116への反応生成物の堆積速度などとのバランスで決定される。また、図中に示したように、バイアスが印加される部分以外は厚みを薄くして、リング全体の熱容量をさらに小さくしてもよい。このように、リング116の熱容量を小さくすることで、処理の初期段階の短い時間で応答性よく温度が上昇するので、処理特性への影響が小さい。また、リング116の内径dは、試料の直径よりも大きいことが望ましい。リアクタの内径は試料の1.5倍程度になるから、試料径300mmの場合は、リングの幅sはおよそ50mmから70mmとなり、その表面積はリアクタ内壁面全体に対してたとえば20%以下と十分に小さくなる。このように、部品の表面積を小さくすることで、温度や表面状態が変動してもプロセスへの影響を抑制できる。しかもリング116はウエハよりも外周部に位置しているので、そのプロセスへの影響はさらに小さくなる。
【0066】
ところで、上記の実施例は、プラズマによる受動的な加熱であるため、ある程度の温度変動はさけられない。この変動は現状のプロセスでは影響が顕在化しなくても、処理プロセスの微細化により、エッチング特性に影響を及ぼす可能性があり、この場合にはランプやヒータなどによる積極的な温度制御機構が必要となる。図4には、ランプ加熱による温度制御機構の実施例を示す。
【0067】
本実施例においては、誘電体リング113Aの一部が、上記リング116と同様の構造116Aでバイアスが印加できるように構成されており、さらに誘電体リング113Aのプラズマに近い側に、赤外光・遠赤外光を吸収するたとえばアルミナ薄膜などの赤外吸収体151が形成されている。そして、赤外線放射手段152から赤外光・遠赤外光が放射され、赤外透過窓153、誘電体リング113Aを通過して、赤外吸収体151で吸収され、リング116を加熱する。赤外吸収体151は赤外線により遠隔的に加熱できるので、赤外線吸収体151を誘電体リング113Aのプラズマに近い側に設置することで、誘電体リング123のプラズマにさらされる表面の温度をより高精度に制御することが可能となる。また、加熱機構に赤外線の吸収を用いているため、発熱抵抗体による加熱に比べて応答性がよい利点がある。さらに、バイアス印加部116Aにより、誘電体リング113Aはバイアスによっても加熱されるので、温度の応答性が向上する。
【0068】
一方、赤外線放射手段152はホルダ154に設置されるが、ホルダ154と誘電体リング113Aの間には隙間が設けられ、その隙間にガス供給手段155を通して、温度制御用の伝熱ガスが供給される。伝熱ガスは、真空封止手段156A、156Bで封止される。このガス伝熱により、誘電体リング113Aはホルダ154を通して放熱される。したがって、たとえば処理開始時にはバイアスとランプにより加熱し、処理中にはガス伝熱により放熱させることで、温度制御の精度が向上する。この結果、誘電体リング123の温度をおよそ100℃から250℃、望ましくは150℃から200℃の範囲で±5〜10℃程度の精度で制御できる。この温度では、膜の堆積が減少するため、膜の剥離による異物発生が抑制される。また、誘電体リング113Aの表面状態が温度に対して依存性が大きくない領域であるので、表面状態が変化せず、長期的に安定したプラズマ処理が可能となる。
【0069】
上記の図3、図4の実施例はいずれも、プラズマに接するリング116、誘電体リング113Aを加熱して膜の堆積を減少させるものであったが、プラズマに接するリングを、図1で説明した側壁内面と同様に、ウエハ温度よりも低い温度に一定に制御して安定な堆積膜を形成することも可能である。図5は、この実施例を示し、誘電体リング113Bを、冷媒による温度制御で20℃〜100℃程度の範囲で制御するものである。
【0070】
この実施例では、誘電体リング113Bに設けられた冷媒流路161に、熱媒体供給手段162から温度制御用の冷媒が供給される。冷媒は、封止手段163で封止される。誘電体リング113Bの温度は、図示していない温度コントローラや温度検出器により、所定の値に維持する。このような構成により、プラズマ処理時に、誘電体リング113Bの温度を20℃〜100℃程度の範囲に維持することができる。このため、誘電体リング123の表面に安定した強固な反応生成物の膜が堆積するので、誘電体リング123の表面が削られて消耗することはない。また、プロセスによって膜が過剰に堆積する場合は、プラズマクリーニングを併用して、膜を一定の厚みに保ってもよい。
【0071】
なお、前記の各実施例は、いずれも有磁場UHF帯電磁波放射放電方式のプラズマ処理装置の場合であったが、放射される電磁波はUHF帯以外にも、たとえば2.45GHzのマイクロ波や、あるいは数10MHzから300MHz程度までのVHF帯でもよい。また、磁場はかならずしも必須ではなく、たとえば無磁場マイクロ波放電でもよい。さらに、上記以外にも、たとえば磁場を用いたマグネトロン型のプラズマ処理装置や平行平板型の容量結合方式プラズマ処理装置、あるいは誘導結合型のプラズマ処理装置などに、前記の各実施例を適用できる。
【0072】
図6は、本発明を、磁場を用いたRIE装置(マグネトロンRIE装置やMagnetically Enhanced RIE装置)に適用した例である。真空容器としての処理室100は、側壁102と、ウエハなどの試料Wを載置する下部電極130と、これに対向して接地される上部電極201を備え、また真空容器内に所定のガスを導入するガス供給手段117と、真空容器内を減圧排気する真空排気系106と、前記下部電極と上部電極の間に電界を発生させる電界発生手段203と、真空容器内に磁界を発生させる磁界発生手段202を備えている。磁界発生手段202は、複数の永久磁石またはコイルが処理室100の外周にリング状に配置され、処理室内部に電極に対してほぼ平行な磁場を形成する。そして、電極間に発生する電界により処理ガスをプラズマ化して、プラズマPを発生させ、試料Wを処理する。さらに、マグネトロンRIEでは、磁界発生手段202により電界とほぼ直交する方向に磁場が形成されるので、電子とプラズマ中の分子・原子との衝突頻度が高まって、プラズマ密度が増加し、高いエッチング特性が得られる。
【0073】
本実施例では、図1で述べた実施例と同様に、側壁102に側壁内面の温度を制御するジャケット103が交換可能に保持され、ジャケット103の内部に熱媒体供給手段104から熱媒体が循環供給されて、ジャケットの温度が0℃〜約100℃、望ましくは20℃〜約80℃の範囲で、±10℃以内の精度で制御される。ジャケット103は、たとえばアルマイト処理を施したアルミニウムで構成する。
【0074】
このような構成により、リアクタ内壁面をウエハ温度よりも十分低い温度で一定に制御できるので、リアクタ側壁内面に強固な堆積膜を形成できる。この膜は十分な耐プラズマ性を有しており、リアクタ内壁の保護膜として作用し、反応生成物の剥離や試料表面へのパーティクルの付着が低減する。したがって、側壁は消耗したり損傷したりしないので、側壁の部品交換の頻度が低減でき、ランニングコストの低下につながるとともに、耐プラズマ性の高いSiCなどのセラミクスを使う必要がなく、部品コストの低減が可能となる。
【0075】
また、本実施例では、図1、図2で述べた実施例と同様に、試料台リング132に、電界発生手段203から供給されるバイアス電力の一部を漏洩させる構造とし、さらにガス伝熱により冷却することで、試料台リング132における表面反応や試料の処理特性が安定化できる。また同時に、バイアスによる加熱とイオンアシストにより反応生成物の堆積が防止できるので、反応生成物の剥離や試料表面へのパーティクルの付着が低減される。
【0076】
図7は、本発明を、平行平板型プラズマ処理装置に適用した例である。真空容器としての処理室100は、側壁102と、ウエハなどの試料Wを載置する下部電極130と、これに対向する上部電極210、および上部電極210に電力を供給して電極間に電界を発生させる電界発生手段221とを備えている。所定の処理ガスが処理室100内にガス供給手段117より供給され、真空排気系106で真空容器内が減圧排気される。そして、電極間に発生する電界により処理ガスをプラズマ化して、プラズマPを発生させ、試料Wを処理する。上部電極210は、電極板211が絶縁体212、213で絶縁されてハウジング214に保持される。また、電極板211のプラズマに接する側の面にはプレート215が、その外周にはシールドリング216が設置される。シールドリング216は、絶縁体212、213をプラズマから保護すると同時に、試料台リング132と対をなして、プラズマPを処理室100に封じ込めることでプラズマ密度を向上させて、高いエッチング特性を得る。
【0077】
本実施例では、図1で述べた実施例と同様に、側壁102の内面の温度がジャケット103により0℃〜約100℃、望ましくは20℃〜約80℃の範囲で、±10℃以内の精度で制御されるため、耐プラズマ性を有する堆積膜が形成されてリアクタ内壁の保護膜として作用し、パーティクルの低減や側壁の部品交換の頻度の低減が可能となる。また、試料台リング132についても漏洩バイアス印加構造とガス冷却により、表面反応や試料の処理特性が安定化でき、反応生成物の堆積を防止してパーティクル発生が低減される。さらにシールドリング216は、図3の実施例と同様に、その形状が薄く、かつプレート115に対してシールドリング216の一部分がかかり、かつ他部品との熱的な接触が少なくなるように構成されている。このため、プレート115に電力を印加すると、シールドリング216がセルフバイアスによるイオンにより加熱され、反応生成物の堆積が抑制されて、異物発生を低減できる。
【0078】
図8は、本発明を、誘導結合型のプラズマ処理装置に適用した例である。真空容器としての処理室100は、側壁102と、ウエハなどの試料Wを載置する下部電極130と、天板230とを備えており、真空排気系106で減圧排気される。天板230の上部には、誘導放電用コイル231が配置され、高周波電源232から高周波電力を供給する。処理ガスはガス供給手段117より供給され、誘導放電用コイル231による誘導放電でプラズマ化されて、プラズマPが発生し、試料Wを処理する。誘導結合型のプラズマ処理装置では、天板にシリコンを用いてプロセスを安定化させたり、たとえばファラデーシールドや磁場などの手段でプラズマと壁との相互作用を抑制することで、側壁をウエハよりも低温としても高いエッチング特性が安定して得られる。
【0079】
本実施例では、図1で述べた実施例と同様に、側壁102の内面の温度がジャケット103により0℃〜約100℃、望ましくは20℃〜約80℃の範囲で、±10℃以内の精度で制御される。このため、耐プラズマ性を有する堆積膜が形成されてリアクタ内壁の保護膜として作用し、パーティクルの低減や側壁の部品交換の頻度の低減が可能となる。また、試料台リング132についても漏洩バイアス印加構造とガス冷却により、表面反応や試料の処理特性が安定化でき、反応生成物の堆積を防止してパーティクル発生が低減される。
【0080】
なお、前記の各実施例は、いずれも処理対象が半導体ウエハであり、これに対するエッチング処理の場合であったが、本発明はこれに限らず、例えば処理対象が液晶基板の場合にも適用でき、また処理自体もエッチングに限らず、たとえばスパッタリングややCVD処理に対しても適用可能である。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、リアクタ内部の温度と壁面の状態を制御することにより、エッチング特性に経時的な変化を生じさせることなく、プロセスの再現性・信頼性を、長期間にわたって低コストで維持できるプラズマ処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例になる、プラズマエッチング装置の断面模式図である。
【図2】本発明の一実施例である、試料台リングの温度制御方法を示す図である。
【図3】本発明の一実施例である、リングの温度制御方法を示す図である。
【図4】本発明の一実施例である、赤外ランプによるリングの温度の制御方法を示す図である。
【図5】本発明の一実施例である、冷媒によるリングの温度制御方法を示す図である。
【図6】本発明の一実施例になる、有磁場RIEプラズマエッチング装置の断面模式図である。
【図7】本発明の一実施例になる、平行平板型プラズマエッチング装置の断面模式図である。
【図8】本発明の一実施例になる、誘導結合型プラズマエッチング装置の断面模式図である。
【符号の説明】
100…処理室、101…磁場形成手段、102…処理室側壁、103…ジャケット、104…ガス供給手段、105…真空室、106…真空排気系、110…アンテナ、110…円板状導電体、112…誘電体、113…誘電体リング、115…プレート、116…温度制御手段、117…ガス供給手段、121…アンテナ電源、122…アンテナ高周波電源、130…下部電極、131…静電吸着装置、132…試料台リング、133…絶縁体、141…バイアス電源、151…赤外吸収体、152…赤外線放射手段、153…赤外透過窓、155…ガス供給手段、142…静電吸着装置、143…絶縁体、147…冷媒流路。

Claims (2)

  1. 真空処理室と、プラズマ発生装置と、前記真空処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、前記真空処理室内で処理される試料を保持する試料載置面を有する電極と、該試料載置面に形成された静電吸着膜を有する静電吸着装置と、前記電極の前記試料載置面の外周部に形成された試料台リングと、前記静電吸着装置の前記試料載置面に伝熱ガスを導入する手段と、前記真空処理室を減圧する真空排気系とを有し、試料のエッチング処理を行うと共に該処理に伴う反応生成物を前記真空排気系で排出するエッチング装置において、
    前記真空処理室内で前記試料載置面に対向する位置に配置され、前記処理ガス供給手段から供給される処理ガスを前記真空処理室に導入するための多数の孔を有するプレートと、
    前記真空処理室の外壁の一部を構成するハウジング内において、前記プレートの外周側に一部が該プレートにかかるようにして配置され前記真空処理室の内壁の天井の一部を構成する誘電体リングと、
    該誘電体リングを加熱する加熱手段と、
    内部に熱媒体が供給され、前記真空処理室の側壁の内面温度を制御するジャケットと、
    該ジャケットの温度を0℃〜100℃の範囲に制御する手段と、
    エッチング処理中にガス伝熱により前記誘電体リングのプラズマに面しない領域の熱を前記ハウジングに放熱する手段とを備え
    エッチング処理中に、前記誘電体リングを100℃〜250℃の範囲に加熱して前記反応生成物の堆積を抑制する
    ことを特徴とするエッチング処理装置。
  2. 真空処理室と、プラズマ発生装置と、前記真空処理室に処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、前記真空処理室内で処理される試料を保持する試料載置面を有する電極と、前記真空処理室を減圧し試料のエッチング処理に伴う反応生成物を排出する真空排気系と、内部に熱媒体が供給され、前記真空処理室の側壁の内面温度を制御するジャケットと、該ジャケットの温度を0℃〜100℃の範囲に制御する手段と、前記真空処理室の外壁の一部を構成するハウジング内に設けられ前記真空処理室の天井部分の一部を構成する誘電体リングと、該誘電体リングを100℃〜250℃の範囲に加熱して前記反応生成物の堆積を抑制する加熱手段と、エッチング処理中にガス伝熱により前記誘電体リングのプラズマに面しない領域の熱を前記ハウジングに放熱する機能を備えたエッチング装置用のプレートであって、
    前記プレートは、材質が高純度のシリコンであり、前記真空処理室の内壁の天井部分を構成するものであり、前記真空処理室内で前記試料載置面に対向しプラズマに面する位置に配置され、前記処理ガス供給手段から供給される処理ガスを前記真空処理室に導入するための多数の孔を有し、前記誘電体リングの内周側の一部が前記プレートの外周側にかかるようにして保持され、
    前記プレートは前記プラズマ発生装置を構成するアンテナの円板状導電体に接しており、該円板状導電体は温度制御手段により内部を循環する熱媒体により温度が所定の値に維持され、該円板状導電体に接することで前記プレートの表面温度が制御されるように構成されていることを特徴とするエッチング処理装置用のプレート。
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