JP3993391B2 - 靭性に優れた耐摩耗性鉄系皮膜及びその成膜方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた靭性と耐摩耗性を兼ね備えた鉄系皮膜及びその成膜方法に関し、詳細には輸送機,産業機械,レジャー用品などの分野において、高い耐摩耗性が要求される治工具,車軸,軸受け,等速ジョイント,レールガイド等の各種摺動,転動の要素を含んだ機械部品の靭性及び耐摩耗性向上に有用な鉄系皮膜、およびその成膜方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の過酷な使用環境に対応すべく、摺動部材や転動部材などの各種機械部品には、硬度のみならず高い靭性が要求されている。この様な技術として例えば特開平5−78821号には、Co,Ni及びMoから選ばれる1種以上の金属と、Si,Ti,V,Cr,Fe,Zr,Nb及びWから選ばれる1種以上の金属の炭化物又は窒化物との混合組織からなる被膜をイオンプレーティング法によって母材表面に被覆することにより耐摩耗性,被膜靭性を向上させる技術が提案されている。また特開平5−125521号には、TiNとNiからなる被膜をイオンプレーティング法によって母材表面に被覆して密着性を向上させる技術が開示されている。更に特開平9−71856号にはAl,Si,Fe,Ti,V,Cr,Zr,Nb,Hf及びWよりなる群から選択される1種以上の金属の炭化物,窒化物または炭窒化物中にCo,Ni,Mo及びCuよりなる群から選択される1種以上の金属を含む被膜をイオンプレーティング法によって母材表面に被覆すして靭性及び密着性を改善する方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これら提案されている技術は十分な靭性を確保するためにNi,Co,Mo,Cu等の高価な金属を多量に添加する必要があり、高コストの要因となっていた。特に成膜にイオンプレーティング法やスパッタリング法などの気相コーティング法を用いる場合、特殊な組成のターゲット材を溶製したり、或いは複数種のターゲットを用いるような複雑な成膜操作が必要となり、製造コストが大幅に上昇するため、その適用は一部の高級品に限られていた。
【0004】
また従来技術の皮膜を施した耐摩耗部材は潤滑油存在下で使用されるため、潤滑油は鋼製部品への適用を前提に添加剤などの成分設計が行なわれている。しかしながら皮膜を構成する主成分がFe以外であると、潤滑油と膜との相性が悪く、潤滑油が劣化するという問題が生じていた。例えば皮膜にNiが多量に含有されているとNiは潤滑油中のS系極圧剤と反応し、Ni硫化物を生成して潤滑油を黒変させると共に、極圧剤を消費するため、潤滑油の寿命が著しく低下するという問題が生じている。
【0005】
本発明は上記問題を鑑みなされたものであって、その目的は優れた靭性と耐摩耗性を有する鉄系皮膜を提供すること、およびその成膜方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明の皮膜とは、該皮膜が10vol%以上のオーステナイト相を含み、且つ少なくともFe,Ni,Cr,Nを含有することに要旨を有する。この際、前記皮膜の平均表面硬度がHv900以上であることが推奨される。また前記皮膜に含まれるNが4質量%以上であり、且つ下記式を満たすものが望ましい。
窒化物含有量(vol%)≧−1.44×N含有量(質量%)+13
本発明の皮膜を母材表面に形成して皮膜被覆材料として用いることができる。
【0007】
本発明の皮膜を母材に形成するにあたり、Fe,Ni,Crを含む合金ターゲットを用い、窒素を含むプラズマ雰囲気中、8〜30mTorrの窒素分圧下で気相コーティング法によって母材表面に被覆することが推奨される。この際、気相コーティング時のカソード電流が60A以上、100A未満であることが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決するためにはコーティング膜の組織が膜性能を最大限引き出す上で重要であることに着目し、Fe−Cr−Ni系窒素膜の組織,靭性および耐摩耗性の関係について鋭意研究を重ねた結果、特定組織を有するFeと特定元素とを含有する皮膜であれば、靭性と耐摩耗性に優れることを見出し、本発明に至った。以下本発明について詳述する。
【0009】
本発明の皮膜は母材表面に形成される皮膜であって、該皮膜が10vol%以上のオーステナイト相を含み、且つ少なくともFe,Ni,Cr,Nを含有することに要旨を有する。
【0010】
本発明の皮膜の含有成分であるCr,NiおよびNを除いた残部は実質的にFeであり、使用目的に応じて適宜Fe含有量を調節すればよく、皮膜中のFe含有量は特に限定されない。Feの含有量が多いほど皮膜と潤滑油との相性を向上させることができるので皮膜中のFe含有率は少なくとも50質量%とすることが推奨される。本発明の皮膜にはCr及びNを含有させることによって皮膜の硬度は向上するが、硬度向上に伴って皮膜の靭性が低下する。そのため皮膜の靭性を低下させずに硬度を向上させるには、皮膜中のFe組織をオーステナイト相(以下、「γ相」と表記することがある。)を含む組織とすることが必要である。γ相の割合は特に限定されないが、要求される靭性および耐摩耗性を得るためには皮膜中に含有されるFe組織の少なくとも10vol%がγ相であることが必要である。好ましくは20vol%以上である。上限は特に限定されず、Fe組織が全てγ相であってもよい。尚、γ相が上記比率で含まれていれば残部は析出物等であってもよく特に限定されない。
【0011】
本発明におけるγ相の含有率はXRD(X線回折)によって測定することができる。γ相にはNが固溶限を超えて含まれる場合が多く、Nを過飽和に含んだγ相を形成することによって膜の高硬度化及び高靭性化を図ることができる。尚、γ相にNが固溶している場合、XRDで測定されるγ相のピークは低角度側にシフトする。そのシフト量はγ相のN固溶量を反映しており、XRDのピーク分離を行なった結果についてリートベルト法に基づいたシミュレーションで相対感度係数を求め、各相の定量を行なう方法によってγ相量を定量する。またNが過飽和状態であるかどうかの判断は、加熱処理を行なって窒化物などの析出相が生じるかどうかをXRDなどで測定することによって確認することができる。
【0012】
本発明の皮膜の成分として含まれるNiは、γ相の生成を促進させる成分であり、特に靭性の向上に効果的である。こうした効果を発揮させるにはNiが含有されていればよく、Ni含有量は特に限定されないが、Ni含有量が少ないとγ相の割合が高くても十分な靭性を確保できない場合があるので好ましくは2.5質量%以上,より好ましくは4質量%以上含有されていることが望ましい。尚、γ相生成促進という観点からはNi含有量の上限は限定されないが、Niは高価な元素であるので多量に添加するとコスト上昇の要因となり、また添加効果も飽和する傾向があるので、上限は30質量%とすることが推奨される。この際、Niによる潤滑油劣化を防止しつつ、十分なNi添加効果を発揮させるという観点から、上限を10質量%とすることが望ましい。
【0013】
本発明の皮膜の成分として含まれるNは、Niと同様γ相の生成を促進させる成分であると共に、鉄系皮膜の硬度を向上させる成分である。Nを含有させることによって、皮膜の耐摩耗性と共に靭性を向上させることができる。皮膜に含まれるN量については特に限定されないが、γ相生成促進効果および硬度向上効果を十分得るには好ましくは4質量%以上,より好ましくは5質量%以上含有されていることが望ましい。またN量の上限は特に限定されないが、好ましくは20質量%、より好ましくは15質量%を上限とすることが推奨される。
【0014】
本発明の皮膜の成分として含まれるCrは、鉄系皮膜の硬度を向上させる成分であり、皮膜の耐摩耗性を向上させるために必要な成分である。Cr含有量は特に限定されないが、十分な皮膜硬度向上効果を得るためには5質量%以上含有させることが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。また上限については特に限定されないが、CrがNiに対して多量に含有されているとγ相の生成を阻害することがあり、また膜自体が脆くなることがあるので、好ましくは25質量%、より好ましくは20質量%を上限とすることが好ましい。
【0015】
本発明において「残部は実質的にFe」とは、Fe系合金中に通常含まれているC,B,P,Si,S,Nb等やその他金属元素およびその窒化物,炭化物若しくは炭窒化物がマトリックス中に混入し、それらが皮膜の特性に大きな影響を与えない範囲で含まれていてもよい趣旨であって、皮膜の特性に大きな影響を与えない範囲で酸化物や硼化物などを混入させる場合も本発明の範囲内とする意味である。
【0016】
本発明に係る皮膜の膜厚は特に限定されず、使用環境,適用部材,要求される寸法精度等によって必要な膜厚を選定すればよい。極端に膜厚が薄い場合や逆に厚い場合は皮膜による十分な効果が得られないことがある。したがって膜厚は好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下である。
【0017】
本発明に係る皮膜が被覆される母材の種類は特に限定されず、機械構造用鋼、工具用鋼、軸受け鋼等のFe基合金;Ti合金、Al合金、Mg合金等の各種合金;超硬材料;セラミックスなどを用いることができる。これらのうち高い硬度を有する素材が好ましく、高い硬度を有していれば局部的な面圧がかかる環境下で使用しても、母材の変形による皮膜の破壊や、剥離を防止することができる。また膜が変形した際の膜/基材界面に生じる剪断応力を抑えるには本発明の皮膜と母材とのヤング率差が小さい方が好ましく、ヤング率差が小いほど皮膜と母材との界面に生じるせん断応力が高くなっても、密着性を維持することができる。この様な観点からFe系基材を用いることが好ましく、より好ましくは硬度の高いFe系基材である。母材として硬度がHv600以上である素材が推奨され、特にHv900以上を有するFe基合金が好ましい。
【0018】
本発明において皮膜の硬度は少なくともHv900を有することが好ましい。Hv900以上であれば、耐摩耗性部材として窒化処理鋼や浸炭窒化処理鋼を用いた場合、母材硬度と同程度の硬度を有する皮膜を施すことができ、広範な用途に用いることができる。より優れた耐摩耗性が要求される分野に適用するためには皮膜の硬度はHv1000以上であることが好ましい。
【0019】
また耐摩耗性と靭性に優れた皮膜としては膜の硬度がHv900以上であって、且つ膜成分が下記式を満足することが推奨される。
鉄系窒化物含有量(vol%)≧−1.44×N含有量(質量%)+13
且つ N含有量(質量%)≧4
【0020】
上記式を満足する皮膜であれば、固溶Nおよび窒化物析出によってより効果的に皮膜硬度向上と靭性向上を図ることができ、硬度Hv900以上であっても優れた靭性を維持することができる。
【0021】
本発明における皮膜に含有される窒化物が、好ましくは300nm以下、より好ましくは100nm以下の微細な状態で存在していれば、より優れた硬度向上効果と靭性向上効果が得られる。尚、窒化物の生成量・形態・種類などは成膜時の投入エネルギー(窒化物生成を促進するエネルギー)によって変化するが、本発明においては窒化物の効果は析出による硬化にあるので、特に窒化物の種類は限定されない。窒化物としてはFe2N,Fe3N,Fe4Nや(Fe・Cr)21-x(複合窒化物、尚、xは1より小さい数である。)などが例示される。
【0022】
本発明に係る皮膜を母材に被覆する方法としては、反応性のプラズマ溶射を用いることも可能であるが、気相コーティング法を用いることが推奨され、膜の緻密さやプロセス条件の設定自由度の観点からイオンプレーティング法やスパッタリング法が望ましい。
【0023】
本発明ではFe,Ni,Crを含有するターゲットを用いて、窒素を含むプラズマ雰囲気中で成膜すればよい。より詳細には、皮膜形成時のプロセスガスとして窒素、或いは窒素−メタン混合ガスなど窒素含有ガスを用い、該プロセスガス雰囲気中でプラズマを発生させ、母材に向って蒸発、あるいは飛散させたターゲット材料と、該プラズマとを反応させながら成膜することによって本発明に係る皮膜を母材に形成することができる。
【0024】
ターゲット材としては、Fe,Ni,Crを含有するものであれよく、この様なターゲット材としては例えば、市販のオーステナイト系ステンレス若しくはニッケルクロムモリブデン鋼等の合金鋼をターゲットとして用いることができる。本発明では市販の鉄系合金をターゲット材料を用いることができるので、特殊な合金の溶製を必要とせず、また複数種のターゲットを用いて複雑な成膜操作を必要としないので経済性にも優れている。この際、皮膜が過飽和なNを含有する非平衡な状態を保つには、成膜時の母材温度及びバイアス電圧を低く設定することが推奨されるが、バイアス電圧を低くし過ぎると、膜の緻密度が低下して靭性が低下することがあるので、−80V以上,−30V以下の電圧を採用することが望ましい。母材の温度はターゲット合金の組成や成膜条件によって変わるが、窒化物生成をできるだけ抑制してγ相を安定化させるため、成膜時の最高温度を200℃未満とすることが好ましい。200℃以上であるとフェライト相(α相)が生成しやすくなると共に、γ相が生成しにくくなる。また皮膜の靭性が劣化するので好ましくない。
【0025】
γ相の生成を促進すると共にγ相中の窒化物の生成を抑制するには、成膜時のカソード電流を低くすることが望ましい。カソード電流を低くすることによって母材の温度上昇を抑制することができるので、窒化物生成を抑制できると共に、皮膜の緻密さが上昇し、皮膜靭性が向上する。好ましいカソード電流は60〜100Aである。
【0026】
また成膜時の窒素分圧を適宜制御して8mTorr以上とすることが推奨される。窒素分圧が低すぎると皮膜がフェライト相(α相)主体となってしまうためγ相が生成し難くなり、十分な皮膜硬度が得られないことがある。上限については特に限定されないが、窒素分圧が高すぎるとγ相中の窒化物析出が促進されるため、γ相の比率が低下して皮膜靭性が低下することがあるので上限は30mTorrとすることが望ましい。
【0027】
以下実施例に基づいて本発明を詳述する。尚、下記実施例は本発明を限定する趣旨のものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更を加えて実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0028】
【実施例】
クロムモリブデン浸炭窒化鋼(最表面硬度Hv900以上)を母材として用い、この母材表面にアークイオンプレーティング法によって下記表1に示す条件(ターゲット材,成膜時処理温度)で膜厚が5μmとなる様に皮膜を被覆した。この際、導入ガスとして窒素を用いた。また窒化物生成をできるだけ抑制してγ相を安定化させるため、成膜時の最高温度を200℃未満に抑えるために必要に応じて間欠成膜を行なうと共に、圧力調整のためにArガスを必要に応じて適宜混入させた。得られた核被覆材料の膜硬度(マイクロビッカ−ス硬度計による)、および靭性(スクラッチ試験機による)について評価した。またγ相量は、別途XRDを用いたリートベルト法によって測定すると共に、TEM観察にて窒化物の結晶粒径を測定し、被膜のN含有量をEPMAで評価した。結果を表1に示す。成膜方法の他の条件を以下に示す。
【0029】
<アークイオンプレーティング成膜条件>
ガス導入前真空度 :1×10-3〜10-5Torr
スパッタクリーニング:−500〜−800V,2min(間欠)
ガス導入後N2分圧 :8〜30mTorr
成膜時カソード電流 :60A以上,100A未満
成膜時バイアス電圧 :−5〜−100V
成膜前温度 :100〜150℃
<靭性評価方法>
圧子 :ダイアモンド,先端径200μmR
速度 :10mm/min
荷重 :100N/min
靭性評価基準:チッピング発生荷重
<XRDによる定量条件>
γ相量:使用ピークγ(111),(200),(220)の強度総和
α(200)の強度
窒化物(110)の強度
相対感度係数 γ相 0.1523
α相 1.0
Fe3N 1.5755
(Cr,Fe)21-X 1.5223
【0030】
γ相及び析出相以外に同定された相は主にα相である。その他同定不能相が見られる場合があったが、量的にはわずかであるために定量する際には無視した。また相対感度係数はリートベルト法によるシミュレーションで分離ピークにフィットする値を計算して求めた。
γ相中N量:使用ピークγ(111),(220)より格子定数を算出し平均
N(質量%)=−116.252+32.618×平均格子定数(Å)
<皮膜中N含有量測定>
面分析:100μmφ領域の表面から分析
定量 :SUS304合金を使用して感度微調整
【0031】
【表1】
Figure 0003993391
【0032】
本発明にて規定する条件にて表面処理膜を施したNo.2、4、6〜9、11、12では、膜の靭性と硬度(耐摩耗性)に優れている。またTEM観察の結果、いずれも100nm以下の結晶粒径であった。一方、本発明の範囲外であるNo.3、5、10、13〜15では膜の靭性(一部では膜剥離も発生)に問題があり、結果として十分な性能を発揮できない。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐摩耗性を有する表面処理膜を安価で簡便な方法によって施すことが可能であり、結果として実用性に優れた耐摩耗部品を得ることが可能である。

Claims (4)

  1. 母材表面に形成される皮膜であって、該皮膜が下記(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とする靭性に優れた耐摩耗性鉄系皮膜。
    (1)10vol%以上のオーステナイト相を含む。
    (2)少なくともNi,Cr,Nを含有し、皮膜に含まれるNi含有量は2.5質量%以上、Cr含有量は5質量%以上、N含有量は4質量%以上である。
    (3)皮膜の平均表面硬度はHv1000以上である。
    (4)下記式を満たす鉄系窒化物が析出している。
    鉄系窒化物含有量(vol%)≧−1.44×N含有量(質量%)+13。
  2. 請求項1記載の皮膜を、母材表面に形成したものである皮膜被覆材料。
  3. 請求項1記載の皮膜を母材に形成するにあたり、Fe,Ni,Crを含む合金ターゲットを用い、窒素を含むプラズマ雰囲気中、8mTorr以上の窒素分圧下で気相コーティング法によって母材表面に被覆することを特徴とする成膜方法。
  4. 気相コーティング時のカソード電が60A以上、100A未満である請求項に記載の成膜方法。
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