JP3992843B2 - 車両用lanシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、分散型の車両用LANシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用LANシステムを図4に示し、それを以下に説明する。
すなわち、図4において、1〜4はそれぞれ一本の電源バス5及び通信バス6によって接続されて、分散型LANシステムを構成する第1〜第4制御ユニット(電子回路ユニット)で、車両(図4において、破線で囲まれている部分)の各部に配置されており、それぞれの第1〜第4制御ユニット1〜4は、センサ、スイッチ等が接続される入力ポートと、各種ランプ、モータ等の制御対象部品が接続される出力ポートと、通信バス6に接続される通信ポートと、電源バス5に接続される電源ポートとを有する。また、前記電源バス5にはメータユニット9、エンジン及び自動変速制御ユニット15及び診断ユニット17が接続され、通信バス6には診断ユニット17が接続されている。
【0003】
まず第1制御ユニット1は、エンジンルームの中に設備されて、第2制御ユニット2の入力ポートに接続されたライティングスイッチ10、ターンスイッチ(不図示)、スモールランプスイッチ(不図示)等がオン、またはオフ操作されることによって、その第2制御ユニット2の通信ポートから通信バス6に出力される制御信号を受けて、出力ポートに接続されたヘッドランプ7a,7b,ターンランプ(不図示)、スモールランプ(コーナランプ)8a,8bを点灯したり、また消灯する。また、この第1制御ユニット1の入力ポートには、図示されない水温センサ、チャージセンサ等が接続されている。
【0004】
第2制御ユニット2は、コンソールボックス内に設備されて、その入力ポートにはライティングスイッチ10、ターンスイッチ(不図示)、スモールランプスイッチ(不図示)、運転席用パワーウインドウスイッチ11等が接続され、また出力ポートには運転席用パワーウインドウ駆動用モータ12が接続され、さらに通信ポートは通信バス6に接続されている。また、この第2制御ユニット2の出力ポートにはメータユニット9が接続され、メータユニット9の駆動に必要な車速信号、エンジン回転数信号を入力ポートから取り込み、メータユニット9に供給する。
【0005】
第3制御ユニット3は、助手席側ドア内に設備されて、その入力ポートには助手席用パワーウインドウスイッチ14が接続され、また出力ポートには助手席用パワーウインドウ駆動用モータ13が接続され、通信ポートは通信バス6に接続されている。また、この第3制御ユニット3の出力ポートにはエンジン及び自動変速制御ユニット15が接続され、そのエンジン及び自動変速制御ユニット15の作動に必要な車速信号、エンジン回転数信号等を通信ポートから取り込み、エンジン及び自動変速制御ユニット15に供給する。
【0006】
第4制御ユニット4は、トランクルーム内に設備されて、その入力ポートにはトランクが開放されたときにオンするトランクオープンスイッチ16が接続され、また出力ポートにはストップランプ7c,7d、スモールランプ8c,8d等が接続され、通信ポートは通信バス6に接続されている。
【0007】
診断ユニット17は、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれに対して一定周期毎に信号バス6を介して診断信号を伝送すると共に、該信号バス6を介して第1〜第4制御ユニット1〜4から供給される応答信号を読み取り、その結果に故障等の異常を示すデータが含まれていると判断すると、診断ユニット17は、第2制御ユニット2を介してメータユニット9に警報ランプ点灯信号を伝送してメータユニット9内に配置された警報ランプ等を駆動して知らせる。
【0008】
すなわち、上記構成において、イグニッションスイッチ20がオンされると、第1〜第4制御ユニット1〜4に対して一本の電源バス5を介してバッテリ21から給電され、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれは、独立に作動を開始する。
【0009】
そこで、第1〜第4制御ユニット1〜4の入力ポートに、その入力ポートに接続された各種スイッチ20,11,14,16からスイッチ信号が入力されたり、またセンサ等から検出信号が入力されたりすると、スイッチ信号、検出信号が入力ポートに供給された第1〜第4制御ユニット1〜4は、この入力信号に伝送先のIDコードを添付して通信バス6に出力する。
【0010】
また第2制御ユニット2の入力ポートに図示されないセンサから車速度信号、エンジン回転数信号等が供給されると、第2制御ユニット2は、それらの入力信号に供給先固有のIDコードを添付して通信バス6に出力すると共にメータユニット9に出力ポートから供給する。
【0011】
また、第2、第3制御ユニット2,3は、例えばパワーウインドウスイッチ11,14の操作に伴うスイッチ信号が入力された場合には、このスイッチ信号を通信バス6に出力せずに、直接的に出力ポートから各モータ12,13等に駆動信号を出力する。
またさらに、診断ユニット17は、電源投入後、第1〜第4制御ユニット1〜4に対して一定周期毎に診断信号を供給して、各制御ユニット1〜4の故障診断を行い、必要に応じてメータユニット9内のワーニングランプを点灯させる。
【0012】
また当然ながら、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれの通信ポートは、通信バス6から供給される信号に含まれるIDコードを入力し、そのIDコードが正規のものである場合には、そのIDコードに添付されているスイッチ信号等の制御信号を入力する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に示す構成のものにあっては、診断ユニットが所定の周期で各制御ユニットのそれぞれを診断し、故障が発見された場合のみメータユニットのワーニングランプを点灯することによってユーザに知らせる構成であるので、ユーザが走行開始前にチェックしたい場合、それが出来ないという問題点があった。
【0014】
そこで、この発明は、走行開始前においても故障診断ができるようにすることを第1の目的とする。
また、最近液晶表示パネル等の大型パネルが安く入手出来るようになり、車両用ナビゲーション等において使用されているように手軽に車両内に設備されるようになったので、この表示パネルを故障診断の表示に共用することにより、表示パネルの使用価値、すなわち人間、機械間のインターフェイスとしての使用価値を高め、コストの低減を図ることを可能にすることを第2の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
第1の発明による車両用LAN装置は、少なくともセンサ、スイッチまたはアクチュエータのうちの何れか1つが接続された複数の電子回路ユニット間が、車両に配線された一本の電源バスで接続され、さらにそれらの複数の電子回路ユニット間が一つの通信バスで接続されると共に、前記電源バス及び通信バスに診断ユニットが接続されてなる車両用LANシステムにおいて、前記診断ユニットは、前記電源バスからの給電開始直後、前記通信バスを介して前記複数の電子回路ユニットの全てに対してそれぞれの電子回路ユニットから前記通信バスへの信号の出力を禁止させるための出力禁止信号を供給した後に、それぞれの電子回路ユニットに対して前記通信バスを介して診断信号を順番に供給し、その診断信号の供給後に、前記出力禁止信号の供給を停止して、前記電子回路ユニットのそれぞれから前記通信バスを介して前記診断信号に対する応答信号の供給を受けること特徴とする。
【0016】
第2の発明は、第1の発明における車両用LANは、さらに電子キーのIDコードを照合することによってエンジンの始動を許可する盗難防止装置が接続されることによって、前記診断ユニットは、前記通信バスを介して前記電子回路ユニットの全てに対して出力禁止信号の供給を開始した後、前記盗難防止装置が不正IDコードを検出したとき、前記電子回路ユニットの全てに対して作動を中止させるための信号を供給すること特徴とする。
【0017】
第3の発明は、第1及び第2の発明における診断回路は、前記電子回路ユニットのそれぞれを診断している時に、前記車両の走行開始を示す信号が供給されたとき、診断を中止することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を図1に基づいて説明する。
なお、図1において、既に図4において説明したものと均等なもの、及び同一なものには同一符号を付してその詳細説明は省略し、異なる部分、すなわち、診断操作スイッチ18、盗難防止ユニット22、表示ユニット23が追加されている点、診断ユニット17の機能が変更されている点、及びそれに伴う第2制御ユニット2に多少の機能が追加されている点についてのみ以下に説明する。
【0019】
すなわち、盗難防止ユニット22は、電子符号錠、いわゆるイグニッションキーの把持部にIDコードが埋め込まれたキーがキーシリンダーに差し込まれると、その差し込み回転操作の途中で、電磁気結合によって読み取られたキーのIDコードが、車両側に設定されたIDコードと比較され、一致したときにはエンジン始動が継続されるが、不一致の場合には、エンジン始動が中断される。
【0020】
診断ユニット17’は、図4に示す診断ユニット17と同一機能を有する他に、次の機能が追加されている。すなわち、診断ユニット17’の入力ポートに診断操作スイッチ18が接続され、電源バス5を介して給電が開始されると、その直後に通信バス6を介して第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれに対してそれぞれの通信ポートから通信バス6への出力を禁止するための出力禁止信号を供給し、その後、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれに診断信号を順番に供給し、その診断信号に対する応答信号を、第1〜第4制御ユニット1〜4から受け取った後、診断結果を表示ユニット23の大型液晶パネルに表示する。
【0021】
なお、この表示ユニット23の大型表示パネルは、車両用ナビゲーションの地図表示を主目的としているもので、この表示ユニット23には図示されないナビゲーションシステム回路が接続されて、表示情報が供給される。
【0022】
次に、上記診断ユニット17’の作動を図2に示すフローチャートに従って説明する。
【0023】
まず、イグニッションキーがキーシリンダに差し込まれ、アクセサリスイッチがオンされるとスタートステップ100からステップ110進み、さらにイグニッションスイッチ20がオンされると、それがステップ110で診断された後にステップ120に進む。その操作の途中でイグニッションキーに設けられたIDコードが、電磁結合によって車両側に設けられた盗難防止ユニット22に伝送され、その盗難防止ユニット22に設定された基準のIDコードに一致するか否かが盗難防止ユニット22によって検定される(ステップ120)。
【0024】
ステップ130では、上記ID照合ステップ120において、読み取られたIDコードが正規のIDコードであると判断されると、エンジンの始動を継続するために信号が図示されないエンジンコントローラに出力される。また正規でないと判断されると、エンジンの始動を停止させるための信号が出力される。その後、ステップ140に進み、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれに対して、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれから通信バス6への信号の出力を禁止するための出力禁止信号を出力した後にステップ150で、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれに対して順番に診断信号を供給する。
【0025】
例えば、第1制御ユニット1に対して、右前ヘッドランプ7b、左前ヘッドランプ7a、右前コーナランプ8b、左前コーナランプ7aの順に点灯を行うための診断信号を供給し、次に第2制御ユニット2に対してパワーウインドウ駆動用モータ12を瞬間駆動するための診断信号を供給し、次に第3制御ユニット3に対してパワーウインドウモータ13を瞬間駆動するための診断信号を供給し、更に第4制御ユニット4に対して右後ストップランプ7d、左後ストップランプ7c、右後コーナランプ8d、左後コーナランプ8cの順に瞬間点灯を行うための診断信号を供給する。
【0026】
次のステップ160では、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれに対して供給した診断信号に対する応答信号を、第1〜第4制御ユニット1〜4から通信バス6を介して読み取り、その読み取った診断結果に故障を示す信号が含まれているか否かを判断して、次のステップ170で、その判断結果を表示ユニット23に供給して表示する。その結果、運転者等のユーザは、表示を見て故障の有無を判断でき、またユーザは直接各種ランプの点灯等を見たりして故障の有無を判断できる。
【0027】
その後、ステップ180に進むことによって、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれに対して出力許可信号を供給することによって、それぞれのユニット1〜4は、独立したユニットとしての作動を開始し、ステップ190で診断を中止する。
【0028】
次に、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれについての上記診断後の作動を図3に基づいて説明する。
【0029】
すなわち、第1〜第4制御ユニット1〜4のそれぞれは、電源バス5から給電されると、ステップ300からステップ310に進み、ステップ310でイグニッションスイッチ20がオンされ、電源バス5の電圧が所定値に達して電源が投入されたと判断されるのを待つ。ステップ310で電源が所定の電圧に達したと判断されると、ステップ320に進み、各制御ユニット1〜4はそれぞれの入力ポートからスイッチ信号等を読み取る。
【0030】
その後、ステップ330で診断ユニット17’から通信バス6を介して出力禁止信号が供給されているか否かを読み取り、出力禁止信号が供給されていると判断すると、ステップ340で各制御ユニット1〜4のそれぞれは、通信バス6への出力を禁止し、出力禁止信号の供給が停止され、出力許可信号に切り換ったことを判断すると、ステップ330からステップ350に進み、ステップ350で各制御ユニット1〜4のそれぞれは、互いに通信バス6を介して信号の授受を行う。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の発明によれば、分散型LANを構成する各電子回路ユニットに接続されたランプ等の診断を確実に行うことができるという効果が発揮される。
【0032】
第2の発明によれば、IDコードの検定と診断とを速やかに行うことができるという効果が発揮される。
【0033】
第3の発明によれば、イグニッションスイッチをオン操作した後に、急に走行を開始した場合には、走行開始前の診断が中止されて、車両は通常状態で走行できるので使用上何等支障を来すことがないという効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両用LANの回路ブロック説明図である。
【図2】図1における診断ユニットの作動を示すフローチャートである。
【図3】図1における各制御ユニット1〜4のフローチャートである。
【図4】従来の車両用LANの回路ブロック説明図である。
【符号の説明】
1〜4 制御ユニット(電子回路ユニット)
5 電源バス
6 通信バス
7a,7b,7c,7d ヘッドランプ
8a,8b,8c,8d スモールランプ(コーナランプ)
9 メータユニット
10 ライティングスイッチ
11,14 パワーウインドウスイッチ
12,13 パワーウインドウ駆動用モータ
15 エンジン及び自動変速制御ユニット
16 トランクオープンスイッチ
17,17’ 診断ユニット
18 診断操作スイッチ
20 イグニッションスイッチ
22 盗難防止ユニット
23 表示ユニット
Claims (3)
- 少なくともセンサ、スイッチまたはアクチュエータのうちの何れか1つが接続された複数の電子回路ユニット間が、車両に配線された一本の電源バスで接続され、さらにそれらの複数の電子回路ユニット間が一つの通信バスで接続されると共に、前記電源バス及び通信バスに診断ユニットが接続されてなる車両用LANシステムにおいて、
前記診断ユニットは、前記電源バスからの給電開始直後、前記通信バスを介して前記複数の電子回路ユニットの全てに対してそれぞれの電子回路ユニットから前記通信バスへの信号の出力を禁止させるための出力禁止信号を供給した後に、それぞれの電子回路ユニットに対して前記通信バスを介して診断信号を順番に供給し、その診断信号の供給後に、前記出力禁止信号の供給を停止して、前記電子回路ユニットのそれぞれから前記通信バスを介して前記診断信号に対する応答信号の供給を受けること特徴とする車両用LANシステム。 - 前記電源バス及び通信バスには、さらに電子キーのIDコードを照合することによってエンジンの始動を許可する盗難防止装置が接続されることによって、前記診断ユニットは、前記通信バスを介して前記電子回路ユニットの全てに対して出力禁止信号の供給を開始した後、前記盗難防止装置が不正IDコードを検出したとき、前記電子回路ユニットの全てに対して作動を中止させるための信号を供給すること特徴とする請求項1記載の車両用LANシステム。
- 前記診断ユニットは、前記電子回路ユニットのそれぞれを診断している時に、前記車両の走行開始を示す信号が供給されたとき、診断を中止することを特徴とする請求項1記載の車両用LANシステム。
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