JP3992774B2 - 天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備 - Google Patents

天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然ガスをハイドレートとして貯蔵すると共に蓄冷する天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遠距離輸送用都市ガス導管或は、地域の消費者に都市ガスを供給する主配管に沿って、都市ガスを安価に安定して供給するために、天然ガスの貯蔵基地を設置するのが一般的である。
【0003】
この例として、前者では米国に多く建設されているピークシェービング用LNG基地がその代表例である。これは季節の差でガス需要が非常に異なり、需要の多い季節(冬期)には導管で多量に需要地迄送らなければならなく、一方需要の少ない季節(夏期)には導管は低負荷で使用されることになる。
【0004】
このように、変動するガス需要の最高に合致した長距離配管を設置することは、非常にコスト高の原因になる。
【0005】
このため、図3に示すように、需要の少ない季節に遊びの多い高圧都市ガス導管(幹線)10を利用して、需要地域に近い場所に一時体積の小さいLNGタンク11を設置し、需要の少ない季節に液化装置12で導管からの天然ガスを液化してLNGとしてLNGタンク11に貯蔵し、需要か多くなる季節に、LNGタンク11内のLNGをポンプ13にて気化器14を通してガス化して、これを都市ガス分配配管網15に供給して、需要のピークに対処している。このように、長距離配管の有効利用を図ることにより、配管の建設投資を節約して、ガスコストの低減を行っている。
【0006】
一方、地域に都市ガスを安定供給を図ると共に、ピークシェービング用基地と同じように、ガス需要の少ない夜間に供給幹線を有効に利用するために、需要地域の近傍に図2に示すようにガスホルダ16を設置しているのが一般的である。
【0007】
図2において、16は、需要地に設置された球形、円筒形に形成されたガスホルダで、高圧都市ガス導管10に開閉バルブ17と圧力制御弁18を介して1〜2kg/cm2 Gの中間圧力ガス供給管22に供給したり、その中間ガス供給管20より減圧弁23を介して一般家庭用等の低圧ガス供給管24に供給したりしている。またこの中間ガス供給管24にバルブ25を介して有水槽ガスホルダー26が接続され、そのガスホルダー26に貯蔵された都市ガスが、減圧弁23を介して低圧ガス供給管24に供給するようにされる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図3に示したLNGのピークシェービング基地では、天然ガスの液化のために単位重量当り消費されるエネルギー(電気、etc)が非常に大きくなる(液化装置:大型=約400Wh/kg,小型=900Wh/kg)。又、貯蔵液体が非常に低温(約−160℃)のため、貯蔵容器に使用する金属材料もステンレス,Al或いは9%Ni鋼等と高価なものとなる。容器も高い断熱性能を有する構造となり、コストアップの原因となっている。
【0009】
また、貯蔵容器は漏れた場合に液の拡散を防止し、気化ガスの量を抑制して、危険範囲を狭くするために、法規で容器を防液提で囲むことが義務づけられている。このため、設備の建設敷地も比較的広く必要とする。
【0010】
図2に示した消費地近傍に設置されるガスホルダー16は、通常約10kg/cm2 Gでガス状での貯蔵のため、単位容積当りの貯蔵密度が低いので、単位エネルギー当りの容積が大きくなり、比較的広い建設敷地を必要とする。又、期待される機能の点からガスホルダは市街地城或いは近傍に設置されるため、危険性から設置場所の選定が非常に難しい状況にある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、これらピークシェービング用LNG貯蔵設備或は消費地域近傍に設置されるガスホルダ等の問題点について、解決するもので、設置面積が少なく、しかも天然ガスを安全に貯蔵できると共に電気等のエネルギー消費を少なくできる天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ガス導管に接続され、ガス導管からの天然ガスを氷粒が形成された冷水中に供給してハイドレートを生成すると共にこれを貯留する天然ガス貯蔵用ハイドレートタンクと、貯留されたハイドレートを導入して天然ガスと水に分離して天然ガスを消費系に供給する分離器と、ハイドレート分解温度より凝固点の高い加熱用媒体が収容され、天然ガス貯蔵用ハイドレートタンクから分離器にいたるハイドレートを上記加熱用媒体で加熱して冷熱回収し、その冷熱回収で凝固した加熱用媒体を、天然ガスのハイドレート生成時の冷熱源として貯留する蓄熱器とを備えた天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備である。
【0013】
請求項2の発明は、蓄熱器は、天然ガスのハイドレート分解温度より凝固点の高い加熱用媒体が、凝固媒体として下部に、その液媒体が上部に比重差で収容され、天然ガス貯蔵用ハイドレートタンクから分離器にいたるハイドレートを上記液媒体で加熱すると共に加熱により凝固した凝固媒体を貯留し、この凝固媒体を、天然ガスのハイドレート生成時の冷熱源として用いる請求項1記載の天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備である。
【0014】
請求項3の発明は、天然ガス貯蔵用ハイドレートタンクは、冷却用の熱交換器を有し、その熱交換器が、蒸発側熱交換器としてヒートポンプサイクルに組み込まれると共にそのヒートポンプサイクルの凝縮側熱交換器に蓄熱器が組み込まれて、蓄熱器の冷熱源が凝縮側熱交換器に供給される請求項1又は2記載の天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備である。
【0015】
以上において、メタンを主成分とし、エタン、プロパン成分が混合している天然ガスが、圧力と温度条件が整えば水と結合してハイドレート(水和物)を作ることが知られている。その時のハイドレート中の炭化水素分子と水の結合割合はモル数及び重量比で次の通りである。
【0016】
Figure 0003992774
これらの成分から構成されるハイドレートは、温度が低ければ低いほどその平衡圧力は低くなる。例えば、メタン成分が90モル%の場合、273Kでの平衡圧力は約1MPa以下となり、その時ハイドレート中の天然ガス含有量は約13.6重量%である。この時のハイドレートの比重は1.03〜1.04である。従って、単位体積当りの天然ガス貯蔵量は140kg/m3 となる。
【0017】
これらの特性をべースにLNG貯蔵量1000トン、液化量100トン/Dの条件で各基地の特性を概略比較すると次のようになる。
【0018】
LNG液化貯蔵(ピークシェービング)基地、蓄冷型LNG液化貯蔵(ピークシェービング)基地、ガスホルダ基地、LNGサテライト基地、ハイドレート貯蔵基地について比較する。
【0019】
LNG液化基地を100として割合で示す。
【0020】
Figure 0003992774
ハイドレートは多量の水分を保持し、分解燃焼時には水が遊離し、燃焼熱を水の蒸発熱で奪うためとハイドレートの分解熱も比較的高い(180Kcal/kg:NG)ことにより、激しい燃焼にはならない。
【0021】
これらの性質を利用して天然ガスをハイドレートとして貯蔵することで、危険性が少なく、しかも低コストで貯蔵が行える。さらにこのハイドレートを利用した蓄熱器を用いることで、熱回収が有効に行える。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0023】
図1は、本発明の蓄熱器を備えた天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備を示し、基本的には天然ガスのガス導管30からの天然ガスを導入し、これを水と結合させてハイドレートhとすると共にこれを貯蔵する天然ガス貯蔵用ハイドレートタンク32と、起動時など、ハイドレートタンク32の熱交換器33に冷媒を供給して冷却するための冷凍機34と、天然ガス貯蔵用ハイドレートタンク32内に貯蔵されたハイドレートhを使用時に導入して、水と天然ガスに分離して天然ガスNGを消費系ライン35に供給する分離器36と、その分離時にハイドレートhを加熱すると共に冷熱を冷熱用ハイドレートkとして貯留する蓄熱器38と、蓄熱器38と天然ガス貯蔵用ハイドレートタンク32の熱交換器33とを結び蓄熱器38の冷熱を天然ガス貯蔵用ハイドレートタンク32に戻すヒートポンプサイクル40とから構成される。
【0024】
次に、これらの構成を詳細に説明する。
【0025】
天然ガス貯蔵用ハイドレートタンク32は、内部に冷水wが貯留された容器41からなり、その冷水wの水面上に冷凍機34に組み込まれた熱交換器33が設けられ、その熱交換器33の上部に冷水wの噴射管42が設けられ、冷水wの水面下に天然ガスのガス導管30と接続されたガス分散管43が設けられて構成される。
【0026】
ハイドレートタンク32には、容器41内の冷水を、ポンプ45にて抜き取ると共に噴射管42から噴射する冷水循環手段46が接続される。この冷水循環手段46は、容器41の略中央と下部に接続された冷水抜き取りライン47,48と、そのライン47,48に接続されたポンプ45と、そのポンプ45の吐出側と噴射管42とを結ぶ戻しライン50とからなる。
【0027】
ガス分散管43は、導入ライン51に接続され、その導入ライン51が、ガス導管30と減圧弁52を介して接続される。
【0028】
この導入ライン51には、容器41内の冷水を抜き取ると共に天然ガスと共に冷水wをガス噴射管43から噴射する冷水噴射手段53が接続される。この冷水噴射手段53は、その吸込側が容器41内の水面近くの冷水を抜き取るべく容器41に接続され、他端が導入ライン51に接続された冷水噴射ライン54と、そのライン54に接続されたポンプ55と、そのポンプ55の吸込側と吐出側に接続されたバルブ56,57とからなっている。
【0029】
冷凍機34は、熱交換器33からの戻り側接続配管58を介して接続された圧縮機60と、その圧縮機60の吐出側に接続された凝縮器61と、凝縮器61からの凝縮液を貯留するリキッドタンク62と、そのリキッドタンク62に接続された減圧弁63からなり、減圧弁63が、送り側接続配管64を介して熱交換器33に接続されて冷凍サイクルが形成される。この冷凍機34の冷媒は、プロパン等が用いられ、圧縮機60で圧縮された高温高圧の冷媒が、凝縮器61に流れ、そこで凝縮した後、リキッドタンク62に貯留され、減圧弁63で減圧され、送り側接続配管64を介して熱交換器33に流れ、そこで0℃以下(−5〜−10℃)で蒸発して戻り側接続配管58を介して圧縮機60に戻るようになっている。
【0030】
熱交換器33の冷媒送り側接続配管64より分岐し、容器41内の底部を冷却すると共に熱交換器33に戻す冷却ライン65が接続される。
【0031】
ハイドレートタンク32の容器41の頂部には未反応の天然ガスを圧縮機66で昇圧して導入ライン51に戻すオフガスライン67が接続される。
【0032】
容器41の底部には生成したハイドレートhを抜き取って分離器36に導入するための抜き取りライン70が接続される。この抜き取りライン70には、バルブ71とスラリーポンプ72が接続され、その吐出側に、分離器36で分離された水とハイドレートと熱交換する第1熱交換器73と蓄熱器38に組み込まれた第2熱交換器74が接続され、さらに補助熱交換器75が接続される。
【0033】
また抜き取りライン70の吐出側は、バルブ76を介して冷水噴射ライン54に接続される。
【0034】
分離器36内で分離された天然ガスは、その頂部に接続した消費系ライン35に供給され、水は、底部に接続した水回収ライン78より、第1熱交換器73を通し、冷水循環手段46の戻しライン50を介して噴射管42より容器41に戻される。
【0035】
蓄熱器38は、その容器80内に、天然ガスのハイドレート分解温度(7℃)より凝固点の高いパラキシレン(凝固点13℃)等の加熱媒体84が収容され、上部に液媒体81が下部に凝固媒体83が、比重差により分離して貯留される。
【0036】
容器80には、加熱用媒体84の液媒体81,凝固媒体83をそれぞれ抜き出す抜き出しライン85,87が接続される。液媒体81のライン85には、バルブ88を介して抜き取りポンプ89に接続され、凝固体溶液83のライン87には、バルブ90を介して抜き取りポンプ91が接続される。ライン85は、二股に分岐され、その一方がバルブ92を介して凝固体溶液83側の抜き取りポンプ91に接続される。
【0037】
これら抜き取りポンプ89,91の吐出側には制御弁95,96が接続され、それら制御弁95,96が三方切換弁98に接続される。
【0038】
蓄熱器38には、この抜き取りポンプ89,91、制御弁95,96、三方切換弁98を通り、第二熱交換器74を通って容器80に戻る加熱・蓄熱ライン100が接続されると共に、三方切換弁98よりヒートポンプサイクル40の凝縮器102を通って容器80に戻る蓄熱利用ライン104とが接続される。
【0039】
蓄熱器38の容器80内の上部の気相には、ダイヤフラム105が設けられ、気相に窒素ガス等が封入されていて、容器80内の液体、気体の膨張,収縮による圧力変化をダイヤフラム105で防止している。ダイヤフラム105内は約1atmに保持する。容器80には、ブリザバルブ106と窒素ガスの充填ノズル107が設けられている。
【0040】
ヒートポンプサイクル40は、戻り側接続配管58に吸入圧制御弁110を介して接続された圧縮機111と、その圧縮機111の吐出側に接続された凝縮器102と、リキッドタンク112と、そのリキッドタンク112の冷媒出口と戻り側接続配管58とを結ぶ膨張弁113と、天然ガス貯蔵用ハイドレートタンク32の熱交換器33とで構成される。
【0041】
このヒートポンプサイクル40の冷媒の流れは、熱交換器33からの蒸発冷媒ガスが、戻り側接続配管58を介し、吸入圧制御弁110で、吸込圧力が制御されて、圧縮機111に導入され、そこで高温高圧に圧縮され、凝縮器102に流れ、そこで蓄熱8の加熱用媒体84と熱交換して凝縮し、凝縮液がリキッドタンク112に貯留されると共に膨張弁113で減圧されて熱交換器33に流れ、そこで、噴射管34から噴射される水と熱交換して蒸発して吸入圧制御弁110を介して圧縮機111に戻る流れとなる。
【0042】
また熱交換器33の出口側には温度コントローラ115が設けられ、そのコントローラ115の圧縮機111の蒸発ガス吸込温度が所定温度となるよう膨張弁113での弁開度(減圧比)が制御され、同時に接続配管58に接続した圧力コントローラ116で、吸入圧制御弁110の弁開度が制御されて、吸込圧力が制御されるようなっている。
【0043】
次に、天然ガスをハイドレートとして貯蔵する操作を説明する。
【0044】
先ず、最初の起動は次のように行う。
【0045】
ハイドレートタンク32の容器41に水を、内蔵されている熱交換器33より低いレベル迄充填する。次に、ポンプ45を起動し容器41内の水を噴射管42より熱交換器33の上部から散水する。散水開始後、圧縮機60、凝縮器61、リキッドタンク62、減圧弁63等で構成されている冷凍機34を起動させ、冷媒(例:プロパン)を接続配管64を通じて熱交換器33に導入する。
【0046】
熱交換器33はパネル状の熱交換器で、パネル内に配列されているチューブ側に冷媒が入り、直立しているパネル表面上を散水された水が流下する。チューブ内では0℃以下(−5〜−10℃)の温度で冷媒が蒸発し、パネル表面の水は冷媒の蒸発熱により冷却され氷結する。
【0047】
パネル表面には、氷が付着しないように氷の剥離剤がコーティング(或は剥離性のある材質を使用)してあるので、氷がパネル表面から容器41内の水面上に自重で落下し推積する(ハーベスト型製氷機)。但し、氷が容器41の水面上に蓄積できる構造であれば、本構造の熱交に限定しなくても良い。又、容器41とは別個にして氷を容器41に呼び込んでも良い。或る程度容器41内の水面上に氷が推積し、容器41下部の水温が約0℃になった時点で、高圧都市ガス導管30から都市ガス(天然ガス)を導入ライン51を介し、容器41下部の水中にガス分散管43を通して導入する。
【0048】
水中に分散されたガスは、約0℃に冷却された水と反応してハイドレートを作る。この反応は発熱反応で、天然ガスの場合、約180Kcal/kgであるため、水温を上昇させようとするが、水中に浮遊混在している氷によって冷却(氷の融解熱:約80Kcal/kg)されるので、約0℃に平衡した圧力(0.9MPa)でハイドレートhが生成される。生成されたハイドレートhは前述したように、水wよりも比重が重いため、水中を沈下し容器41下部に推積する。
【0049】
従つて、圧縮機60側の冷凍機34で、前もって製造したい量のハイドレートの生成熱に相当した熱量以上の氷を容器41内に製造しておけば、ハイドレート(圧力:0.9MPa)を製造することが出来る。
【0050】
冷凍機34での氷の製造は、電力料金の安い夜間に行い蓄冷するのが経済的に有利である。
【0051】
容器41から払い出されるハイドレートhと冷水wの混合物を、第1熱交換器73を介し第2熱交換器74で加熱しハイドレートを分解する場合に、熱源として蓄熱器38に貯蔵されている、パラキシレン等の液媒体81の凝固熱(パラキシレンの場合、38.5Kcal/kg)を利用する。
【0052】
例えば、2.1MPaA(ata)における天然ガスのハイドレートhの分解温度は、約7℃である。パラキシレンを液媒体81に用いた場合、その凝固点は、約13℃である。
【0053】
従つて、液媒体81の凝固点を、ハイドレートhの分解温度と適切な温度差がとれるような加熱用媒体84(蓄冷剤)を選定することにより発生した熱量を、熱交換し得る伝熱面積を持った第2熱交換器74により、天然ガスのハイドレートの分解吸熱により、液媒体81は熱を奪われて凝固し、凝固媒体83となる。
【0054】
この凝固媒体83は蓄熱器38の容器80に送られて貯蔵される。この場合に、液媒体81の全体が凝固すると流動性がなくなるので、全体が凝固しないよう十分な量の液媒体81を流すことにより凝固が発生した後も流動のための潤滑性が得られる。
【0055】
天然ガスハイドレートhの分解熱は180Kcal/kgで、パラキシレン(液媒体81)のそれは38.5Kcal/kgであるので、両流体の流量比(重量比)の関係は、
180×WC1 =38.5×Wp → WC1/Wp =0.214
となる。
【0056】
両流体の重量比WR =(天然ガスハイドレート)/(パラキシレン 凝固体)は、
WR = 6.32 WC1/Wp =1.35
となる。
【0057】
これらの比率よりパラキシレンの流量を多少多く流すことにより、天然ガスハイドレートは熱的には完全に分解され、天然ガスと水になる。
【0058】
液媒体81を抜き出しライン85より抜き取り、ポンプ89で液媒体81を吸入加圧して、ポンプ89の吐出側で流量をコントロールして、三方切換弁98により第2熱交換器74に流す。
【0059】
天然ガスハイドレートhの分解は、昼間に行われるので、分解中はパラキシレンの凝固媒体83は蓄熱器38の容器80の下部に推積(比重が重いため)される。
【0060】
一方、ガス需要か少なく、導管30に遊びの多い夜間に天然ガスハイドレートhを製造することになる。
【0061】
この時に容器41での天然ガスハイドレート生成熱と、蓄熱器38でのパラキシレンの凝固媒体83の分解熱を、圧縮機111で構成されるヒートポンプシステム40で結び、天然ガスハイドレートhの生成に消費される電力の低減を図る。
【0062】
この蓄熱によるヒートポンプサイクル40の操作を夜間に行うことで、電気は夜間料金となるので、ランニングコストが非常にセーブ出来る有効なシステムである。
【0063】
ヒートポンプサイクル40によるシステムの運転は、次のように行う。
【0064】
容器41は、ハイドレートhの払い出し分解により、上層の一部を除いては、分離器36から返送された水でほとんど満たされている。
【0065】
この水をポンプ55(スラリーポンプ72)により吸引し、分離器36、第1熱交換器73を経由して、熱交換器33上に噴射管42にて散水する。
【0066】
次にヒートポンプサイクル40のリキッドタンク112に貯蔵されている冷媒(例えばC3 )液を、膨張弁113を通して熱交換器33に導入し、熱交換器33の伝熱チューブ内を流れる間に、散水液と熱交換し、散水液は氷結する。
【0067】
また、冷媒は、熱交換器33内で、蒸発するように圧縮機111の吸入量を吸入弁110(或はアンローダー弁、バイパス弁等)で制御する。
【0068】
吸入弁110で、熱交換器33内の圧力を所定の値に維持することにより、その圧力に平衡した冷媒の一定の蒸発温度を得る。例えば、蒸発温度を−5〜−10℃に設定し、散水から0℃で氷結するように所定の熱量を熱交換し得る伝熱面積を熱交換器33に備えれば、連続的に氷を容器41内に蓄積することができる。
【0069】
一方、圧縮機111で吸入され加圧された蒸発ガス冷媒は、凝縮器102に送られ、蓄熱器38から送られて来る液媒体81を含む凝固媒体83と熱交換(冷却)して凝縮する。
【0070】
凝縮器102で凝縮した冷媒はリキッドタンク112を通して再循環使用される。
【0071】
冷却用の凝固媒体83は、蓄熱器38の容器80の下部からポンプ91で吸引加圧され、ライン85,バルブ92で吸引加圧された液媒体81と混合(凝固媒体83の量の20wt%程度)して、凝縮器102に送られて圧縮機111の吐出側冷媒ガスを冷却する。冷却に使用された凝固媒体83は液媒体81になり、蓄熱利用ライン104にて蓄熱器38に返送される。
【0072】
蓄熱器38内の加熱用媒体84は、比重の差により、上層に液媒体81、下部に凝固媒体83が蓄蔵されている。
【0073】
蓄熱器38の気相圧力は、ハイドレートhの分解熱で上昇する傾向になるので、ダイヤフラム105の伸縮により約1atmに容器80内の圧力を制御する。
【0074】
冷却に使用された加熱用媒体84は、蓄熱器38の容器80内に貯蔵され、次の天然ガスハイドレートhの出荷分解時の加熱源として、再使用される。
【0075】
上述のように、天然ガスハイドレートタンク32の容器41内に製造し、蓄積された氷層の下部の水中に、天然ガスを吸き込むことにより、立上げ運転で述べたようにして、ハイドレートhが生成される。この場合ガス導入ライン51に、ポンプ45により氷か混合した水を送入すると、更に効果的に生成熱を奪うことか出来て、効果的にハイドレートhを生成することが出来る。
【0076】
天然ガスハイドレートhの製造には、圧縮機111により構成されるヒートポンプシステム40で回収される冷熱量は、必要冷熱量の約80%なので、圧縮機60により構成される冷凍機34により補充(約20%)しなければならない。これら2つの装置は、接続配管58,64で共に接続され、同時に運転して熱交換器33で製氷することができるシステムとなっている。従って、両装置共に電気料金の安い夜間に運転することができる。
【0077】
ヒートポンプシステム40、冷凍機34による天然ガスハイドレートの製造運転は、それぞれの運転条件が整えば、個別運転及び同時運転も可能なシステムとなっている。
【0078】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、天然ガスをハイドレートとして貯蔵することで、危険性が少なく、しかも低コストで貯蔵が行える。さらにパラキシレン等の凝固熱を利用した蓄熱器を用いることで、熱回収が有効に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図である。
【図2】従来のLNGピークシェービング基地を示す図である。
【図3】従来のガスホルダ基地を示す図である。
【符号の説明】
30 天然ガス導管
32 天然ガス貯蔵用ハイドレートタンク
34 冷凍機
36 分離器
38 蓄熱器
40 ヒートポンプサイクル
h ハイドレート
w 冷水

Claims (3)

  1. ガス導管に接続され、ガス導管からの天然ガスを氷粒が形成された冷水中に供給してハイドレートを生成すると共にこれを貯留する天然ガス貯蔵用ハイドレートタンクと、貯留されたハイドレートを導入して天然ガスと水に分離して天然ガスを消費系に供給する分離器と、ハイドレート分解温度より凝固点の高い加熱用媒体が収容され、天然ガス貯蔵用ハイドレートタンクから分離器にいたるハイドレートを上記加熱用媒体で加熱して冷熱回収し、その冷熱回収で凝固した加熱用媒体を、天然ガスのハイドレート生成時の冷熱源として貯留する蓄熱器とを備えたことを特徴とする天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備。
  2. 蓄熱器は、天然ガスのハイドレート分解温度より凝固点の高い加熱用媒体が、凝固媒体として下部に、その液媒体が上部に比重差で収容され、天然ガス貯蔵用ハイドレートタンクから分離器にいたるハイドレートを上記液媒体で加熱すると共に加熱により凝固した凝固媒体を貯留し、この凝固媒体を、天然ガスのハイドレート生成時の冷熱源として用いる請求項1記載の天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備。
  3. 天然ガス貯蔵用ハイドレートタンクは、冷却用の熱交換器を有し、その熱交換器が、蒸発側熱交換器としてヒートポンプサイクルに組み込まれると共にそのヒートポンプサイクルの凝縮側熱交換器に蓄熱器が組み込まれて、蓄熱器の冷熱源が凝縮側熱交換器に供給される請求項1又は2記載の天然ガスのハイドレートによるガス貯蔵設備。
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