JPH11117766A - ガスタービン用空気冷却システムおよび冷却方法 - Google Patents

ガスタービン用空気冷却システムおよび冷却方法

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JPH11117766A
JPH11117766A JP29956097A JP29956097A JPH11117766A JP H11117766 A JPH11117766 A JP H11117766A JP 29956097 A JP29956097 A JP 29956097A JP 29956097 A JP29956097 A JP 29956097A JP H11117766 A JPH11117766 A JP H11117766A
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JP
Japan
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temperature
low
antifreeze
air
gas turbine
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JP29956097A
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Yukihiro Yamamoto
幸弘 山本
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Chiyoda Corp
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Chiyoda Corp
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な設備で気温の高い電力需要のピーク時
にガスタービンの軸出力を増加させることができて経済
性に優れ、かつ燃焼用空気の過冷却に基づいて着氷を生
じる虞が無いガスタービンの燃焼用空気の冷却システム
および冷却方法を得る。 【解決手段】 空気冷却後の高温の不凍液を貯留する高
温側蓄冷部21と、この高温側蓄冷部から高温側供給管
24を介して送られる不凍液を低温液化ガスを冷却媒体
として冷却する熱交換部25と、この熱交換部から低温
側戻り管26を介して送られる低温の不凍液を貯留する
低温側蓄冷部22と、この低温側蓄冷部から送り出され
る低温側供給管28に介装された混合器29と、この混
合器から送りだされる不凍液によって燃焼用空気を冷却
する空気冷却器31と、この空気冷却器によって昇温さ
れた不凍液を高温側蓄冷部に導く高温側戻り管32と、
この高温側戻り管に枝配管されて熱交換後の不凍液の少
なくとも一部を混合器に導く不凍液温度制御ライン33
とを備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービンの燃
料用低温液化ガスの冷熱を利用して、当該ガスタービン
の燃焼用空気を冷却するためのガスタービン用空気冷却
システムおよび冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、特に高効率と低公害性に優れるこ
とから、低温液化ガスの一種である液化天然ガス(以
下、LNGと略称する。)を燃料として使用するガスタ
ービンと、蒸気タービンとを組合わせたコンバインドサ
イクルを設置した発電所が数多く建設されている。この
ような発電用ガスタービンにおいて燃料として用いられ
るLNGは、メタンを主成分とする天然ガス(以下、N
Gと略称する。)を、搬送および貯蔵の便宜上、常圧下
で−162℃以下に冷却することにより液化したもので
あり、上記発電所において、海水を熱源とするオープン
ラック式気化器や、あるいは当該LNGを熱源燃料とす
るサブマージド式気化器等によって再びガス化したうえ
で上記ガスタービンの燃料として使用している。
【0003】ところで、上記ガスタービンにあっては、
出力は主として燃料流量、燃焼ガス温度および燃焼圧力
によって決定される。一方、燃焼用の空気は、ガスター
ビンおよび発電機と同軸の空気圧縮機で燃焼圧力以上ま
で昇圧される。この空気圧縮機は、上記発電機と同じ回
転数、すなわち一定回転で運転されるので、気温が低く
空気の密度が大きい時には、その特性上、必要空気量を
圧縮する為の動力が少なくなり、結果として発電出力が
向上することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、従来の上記
発電用のガスタービンにあっては、発電所として最も需
要の大きい真夏の日中に、気温の上昇によって当該空気
圧縮機の軸動力が増加してしまい、この結果ガスタービ
ンの軸出力が低下してしまうという問題点があった。こ
のような問題点を解決するための一方策として、電力需
要のオフピーク時に冷凍機を使って冷熱を氷蓄熱槽に蓄
熱し、電力需要のピーク時に上記氷蓄熱槽からの冷熱に
よってガスタービンの取入れ空気を冷却する方法も提案
されているが、当該方法にあっては、冷凍機等の付帯装
置が必要となって設備費の高騰化を招来するという問題
点がある。
【0005】また、他の方策として、LNG貯蔵設備の
LNGの冷熱を直接利用してガスタービンに取入れられ
る燃焼用空気を冷却することにより、上記ガスタービン
の出力を増大させる試みもあるが、LNGの冷熱だけで
は出力増加量が小さく、しかもLNGの気化温度が−1
62℃と極めて低温であるために、直接冷熱源として用
いると、温度が低過ぎて空気中の水分が熱交換器の伝熱
面で凍結する等の問題が生じて取り扱いが難しいうえ
に、さらに通常LNG貯蔵設備と発電設備とが遠く離れ
ているために、ガスタービン冷却用のLNG冷熱を送気
するための配管設備に多大の費用を要するといった問題
点がある。
【0006】そこで、本発明者等は、先に特願平8−3
7174号において、これらの諸問題を解決し得るシス
テムとして、図2に示すようなガスタービン用空気冷却
システムを提案した。図2において、このガスタービン
用空気冷却システムは、不凍液を貯留する高温側蓄冷槽
1と、この高温側蓄冷槽1から蓄冷用ポンプ2によって
高温側供給管3を介して送られる不凍液を、発電用ガス
タービンの燃料用LNGを冷却媒体として冷却する熱交
換部4と、この熱交換部4から低温側戻り管5を介して
送られる低温の不凍液を一時貯留する低温側蓄冷槽6
と、この低温側蓄冷槽6から空気冷却用ポンプ7によっ
て低温側供給管8を介して送られる不凍液によって燃焼
用空気を冷却するフィンチューブ式の空気冷却器9と、
この空気冷却器9によって昇温された上記不凍液を高温
側蓄冷槽1に導く高温側戻り管10とから概略構成され
たものである。
【0007】ここで、図中実線で示した、高温側蓄冷槽
1から高温側供給管3、熱交換部4および低温側戻り管
5を介して低温側蓄冷槽6に至る不凍液の冷却ライン
は、24時間連続して運転するようになっており、他方
図中点線で示す、低温蓄冷槽6から低温側供給管8、空
気冷却器9および高温側戻り管10を介して高温側蓄冷
槽1に至る燃料空気の冷却ラインは、夏期の日中のよう
な空気温度が高い電力需要のピーク時に運転するように
なっている。したがって、上記高温側および低温側蓄冷
槽1、6は、それぞれ当該不凍液の全量を蓄えておくこ
とが可能な容量に設定されている。
【0008】以上の構成からなるガスタービン用空気冷
却システムにおいては、先ず、高温側蓄冷槽1に常温
(約25℃)の不凍液を満たした状態から、蓄冷用ポン
プ2を連続運転して、上記不凍液を高温側供給管3から
熱交換部4に送り、LNGによって約−40℃にまで冷
却して、低温側戻り管5から低温側蓄冷槽6に送って蓄
えておき、大気温度が高く需要が増大した時間帯に、空
気冷却用ポンプ7を運転して低温側蓄冷槽6内の不凍液
を低温側供給管8から空気冷却器9に送ることにより、
上記ガスタービンの燃焼用空気を、上記空気冷却器9に
おいて不凍液によって常温から10℃以下まで冷却する
ことができる。また、熱交換部4において不凍液と熱交
換して気化されたNGは、ガスタービンの燃料としてそ
のまま使用することができる。
【0009】したがって、上記空気冷却システムによれ
ば、予めガスタービンの燃料用LNGによって冷却して
低温側蓄冷槽6に蓄えておいた不凍液を、大気温度が高
く、かつ電力需要がピークとなる時間帯に空気冷却器9
に送ってガスタービンの取入れ空気を冷却することがで
きるため、ガスタービンの出力を増大させるために充分
な冷熱を確保することができ、よって電力需要のピーク
時にガスタービンの軸出力を増加させることができる結
果、上述した種々の問題点を解決することができる。加
えて、不凍液の冷却ラインを24時間連続して行なって
いるので、不凍液との熱交換によって気化したNGを常
時そのままガスタービンの燃料として使用できるため、
少なくとも夏期においては、従来LNGの気化に使用し
ていた気化器を運転する必要が無く、よって従来と比較
して当該気化器の稼働費用を削減することができるため
に極めて経済的であるという利点も得られる。
【0010】ところが、上記空気冷却システムにあって
は、熱交換部4においてLNGによって約−40℃に冷
却した不凍液を、そのまま空気冷却器9に送ってガスタ
ービンの燃焼用空気を常温から10℃以下まで冷却して
いるため、空気冷却器9において上記燃焼用空気が水蒸
気の凝固点(0℃)以下の温度で冷却されることにな
り、この結果、当該空気冷却器9の表面に着氷が生じて
空気冷却性能の低下が生じるという虞があった。また、
図中点線で示した、低温蓄冷槽6から低温側供給管8、
空気冷却器9および高温側戻り管10を介して高温側蓄
冷槽1に至る燃料空気の冷却ラインは、夏期の日中のよ
うな空気温度が高い電力需要のピーク時にのみ運転する
ようになっているために、両蓄冷槽1、6として、それ
ぞれ不凍液の全量を蓄えておくことが可能な容量のもの
を設置する必要があり、全体として装置が大型化すると
いう問題点があった。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、簡易な設備で気温の高い電力需要のピーク時
にガスタービンの軸出力を増加させることができて経済
性に優れ、かつ燃焼用空気の過冷却に基づいて着氷を生
じる虞が無いガスタービンの燃焼用空気の冷却システム
および当該冷却システムを用いた冷却方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
に係るガスタービン用空気冷却システムは、ガスタービ
ンの燃料用低温液化ガスの冷熱を利用して、上記ガスタ
ービンの燃焼用空気を冷却するための空気冷却システム
であって、空気冷却後の高温の不凍液を貯留する高温側
蓄冷部と、この高温側蓄冷部から高温側供給管を介して
送られる不凍液を低温液化ガスを冷却媒体として冷却す
る熱交換部と、この熱交換部から低温側戻り管を介して
送られる低温の不凍液を貯留する低温側蓄冷部と、この
低温側蓄冷部から送り出される低温側供給管に介装され
た混合器と、この混合器から送りだされる不凍液によっ
て燃焼用空気を冷却する空気冷却器と、この空気冷却器
によって昇温された不凍液を高温側蓄冷部に導く高温側
戻り管と、この昇温された不凍液の少なくとも一部を混
合器に導く不凍液温度制御ラインとを備えてなることを
特徴とするものである。
【0013】ここで、請求項2に記載の発明は、上記高
温側蓄冷部と低温側蓄冷部とが、互いの密度の温度依存
性を利用して一の貯留槽内に形成されているとともに、
上記高温側供給管と高温側戻り管が貯留槽の上部に接続
され、かつ低温側戻り管と低温側供給管が貯留槽の底部
に接続されていることを特徴とするものである。また、
請求項3に記載の発明は、上記不凍液が、少なくとも−
40℃において凍結しないものであることを特徴とする
ものである。
【0014】次いで、請求項4に記載の本発明に係るガ
スタービン用空気の冷却方法は、請求項1ないし3のい
ずれかに記載のガスタービン用空気冷却システムを用い
て、上記低温液化ガスによって熱交換部で冷却した不凍
液を、大気温度が高い時間帯に、低温側蓄冷部から混合
器に送り、不凍液温度制御ラインから送られてくる高温
の不凍液と混合して0℃以上であってかつ10℃未満の
温度にしたうえで、当該不凍液を空気冷却器に送ってガ
スタービンの燃焼用空気を冷却することを特徴とするも
のである。なお、空気冷却の効率を考慮すれば、上記混
合器における不凍液の出口温度は、0℃〜5℃の温度に
制御することが、より好ましい。
【0015】請求項1〜3のいずれかに記載の冷却シス
テムおよびこれを用いた請求項4に記載の冷却方法によ
れば、予めガスタービンの燃料用低温液化ガスによって
熱交換部で冷却され、上記低温側蓄冷部に蓄えられた不
凍液を利用して、大気温度が高い時間帯にガスタービン
の取入れ空気を冷却しているので、ガスタービンの出力
を増大させるために充分な冷熱を確保することができ、
よって気温の高い電力需要のピーク時にガスタービンの
軸出力を増加させることができる。この際に、低温側蓄
冷部から不凍液を一旦混合器に送り、この混合器におい
て不凍液温度制御ラインから送られてくる熱交換後の高
温の不凍液と混合して水の凝固点以上の温度である0℃
〜10℃の温度にしたうえで、これを空気冷却器に送っ
てガスタービンの燃焼用空気を冷却しているので、空気
冷却器表面において着氷が発生して空気冷却性能が低下
するといった虞がない。
【0016】また、請求項2に記載の発明によれば、温
度の高低による不凍液の密度の相違によって、一の貯留
槽の上部を高温側蓄冷部とし、下部を低温側蓄冷部とし
ているので、上記貯留槽として不凍液の全量を蓄えてお
くことが可能な容量のものを一基のみ設置すればよく、
よってシステムとして必要な貯留槽の設置個数および全
容量を、図2に示した従来のものと比較して、約1/2
に低減化することができるために経済的である。
【0017】なお、本発明において不凍液とは、使用温
度で凍結しない液体をいい、請求項3に記載の発明のよ
うに、少なくとも−40℃の温度で凍結しないものを使
用することが好ましい。このような不凍液を用いれば、
低温液化ガスの気化温度が例えばLNGのように−16
2℃と低い温度であっても、不凍液の凝結を防止するこ
とができるとともに、これらの熱交換によって効率的に
上記低温液化ガスを気化させることが可能となる。この
ような不凍液としては、例えばエチレングリコールの含
有率が50〜85wt%のエチレングリコール水溶液、プ
ロピレングリコールの含有率が約56wt%以上のプロピ
レングリコール水溶液、トリエチレングリコールの含有
率が約62〜77wt%のトリエチレングリコール水溶液
等の不凍液や、さらにはエタノールやメタノール等の液
体も使用可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るガスタービ
ン用空気冷却システムを、発電用ガスタービンの燃料用
LNGの冷熱を利用して、上記ガスタービンの燃焼用空
気を冷却するためのシステムに適用した一実施形態を示
すものである。図1において、符号20は、不凍液を貯
留するための貯留槽を示すもので、この貯留槽20は、
不凍液の温度による密度変化を利用して、使用状態に応
じてその上部または全体に高温側蓄冷部21が形成さ
れ、下部または全体に低温側蓄冷部22が形成されるよ
うになっている。この貯留槽20の上部には、高温側蓄
冷部21の不凍液を蓄冷用ポンプ23によって抜出す高
温側供給管24の一端部が接続され、この高温側供給管
24の他端部がLNG(低温液化ガス)を冷却媒体とし
て上記不凍液を冷却するための熱交換部25に導入され
ている。そして、この熱交換部25の吐出側は、低温側
戻り管26を介して貯留槽20下部の低温側蓄冷部22
に導かれている。
【0019】他方、貯留槽20の底部には、低温側蓄冷
部22から空気冷却用ポンプ27によって不凍液を送り
出す低温側供給管28の一端部が接続されており、この
低温側供給管28の他端部は、混合器29に導入されて
いる。そして、この混合器29から送りだされた不凍液
が、冷却管30を介して燃焼用空気を冷却するための空
気冷却器31に導かれている。この空気冷却器31の出
口側には、当該空気冷却器31における熱交換によって
昇温された不凍液を貯留槽20の高温側蓄冷部21に導
く高温側戻り管32が配管されている。
【0020】ここで、高温側戻り管32には、不凍液温
度制御ライン33が枝配管されており、上記不凍液の一
部が温度制御用ポンプ34によって不凍液温度制御ライ
ン33から混合器29に導かれるようになっている。さ
らに、この不凍液温度制御ライン33には、供給管30
における不凍液の温度を検出して、不凍液温度制御ライ
ン33から混合器29に供給する高温の不凍液の流量を
調節するための制御手段(図示を略す)が設けられてい
る。なお、上記不凍液としては、例えばエチレングリコ
ールを主成分とし、これに防錆剤、防かび剤を添加した
低腐食性の85%水溶液(平均比熱0.68kcal/kg・
K、凝結温度−60℃)が使用されている。
【0021】次に、以上の構成からなるガスタービン用
空気冷却システムを用いた本発明に係る冷却方法の一実
施形態について説明する。先ず、貯留槽20に常温(約
25℃)の不凍液を満たす。この状態においては、貯留
槽20の全体が高温側蓄冷部21になっている。次い
で、蓄冷用ポンプ23を連続運転して、上記不凍液を高
温蓄冷部21から高温側供給管24を介して熱交換部2
5に送る。すると、上記不凍液は、この熱交換部25に
おいてLNGによって約−40℃にまで冷却され、低温
側戻り管26から貯留槽20の下部に蓄えられて行く。
これによって、貯留槽20には、下部側から上方に向け
て低温側蓄冷部22が形成されてゆく。そして、大気温
度が高くなって需要が増大する時間帯の前に、貯留槽2
0内は、全て低温の不凍液が蓄えられた低温側蓄冷部2
2になる。他方、熱交換部25によって不凍液との熱交
換により昇温されたLNGは、気化することによりNG
となって、ガスタービンの燃料として送られて行く。
【0022】このようにして、LNGによって冷却した
不凍液を低温側蓄冷部22に蓄えておき、大気温度が高
く需要が増大した時間帯に、上記空気冷却用ポンプ27
を運転して貯留槽20の低温側蓄冷部22の不凍液をそ
の底部から抜出して、低温側供給管28から混合器29
に送り、さらに冷却管30から空気冷却器31に送るこ
とにより、ガスタービンの燃焼用空気を冷却する。この
際に、制御手段によって、不凍液温度制御ライン33か
ら熱交換後の高温(約25℃)の不凍液を混合器31に
送り、ここで混合して冷却管30から空気冷却器31に
供給する不凍液の温度を、凝固点以上の温度である0℃
から僅かに高い2〜3℃に調節する。
【0023】これにより、タービン燃焼用空気は、上記
空気冷却器9において凝固点よりも僅かに高い2〜3℃
の不凍液によって、常温から10℃以下の温度まで冷却
される。また、以上の運転を、上述した需要が増大する
時間帯に連続して行なうことにより、貯留槽20の低温
側蓄冷部22のレベルが徐々に降下するとともに、これ
にともなって、その上部に密度の小さい高温の不凍液か
らなる高温側蓄冷部21が増加形成されて行く。このよ
うにして、上記時間帯が経過した後に、貯留槽20の全
体が高温側蓄冷部21となり、当該高温側蓄冷部21の
不凍液が再び熱交換部25に送られて冷却され、上記操
作が繰り返される。
【0024】以上のように、上記空気冷却システムおよ
びこれを用いた冷却方法にあっては、予めガスタービン
の燃料用LNGによって熱交換部25で冷却され、貯留
槽20の低温側蓄冷部21に蓄えられた不凍液を利用し
て、大気温度が高い時間帯にガスタービンの取入れ空気
を冷却しているので、ガスタービンの出力を増大させる
ために充分な冷熱を確保することができ、よって気温の
高い電力需要のピーク時にガスタービンの軸出力を増加
させることができる。この際に、低温側蓄冷部21から
の不凍液を、一旦混合器29に送り、この混合器29に
おいて不凍液温度制御ライン33から送られてくる熱交
換後の高温の不凍液と混合して凝固点以上の温度である
0℃より僅かに高い2〜3℃にしたうえで、これを空気
冷却器31に送ってガスタービンの燃焼用空気を冷却し
ているので、タービン入口において着氷が発生する虞が
ない。
【0025】さらに、一基の貯留槽20内に、温度の高
低による不凍液の密度の相違を利用して高温側蓄冷部2
1および低温側蓄冷部22を形成しているので、上記貯
留槽20として不凍液の全量を蓄えておくことが可能な
容量のものを設置すればよく、よってシステムとして必
要な貯留槽20の設置個数および全容量を、図2に示し
た従来のものと比較して、約1/2に低減化することが
できるために経済的である。
【0026】なお、上記実施形態の説明においては、低
温液化ガスが、一般的にこの種の発電用ガスタービンの
燃料として用いられているLNGである場合について説
明したが、これに限定されるものではなく、LPG等の
他の低温液化ガスについても同様に適用することが可能
である。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜3のい
ずれかに記載の冷却システムおよびこれを用いた請求項
4に記載の冷却方法によれば、予めガスタービンの燃料
用低温液化ガスの冷熱を利用して不凍液を冷却してお
き、大気温度の高い電力需要増大時に、当該不凍液によ
ってタービン燃焼用空気を冷却することができるため
に、ガスタービンの出力を増大させるために充分な冷熱
を確保することができ、かつ簡易な設備によって気温の
高い電力需要のピーク時にガスタービンの軸出力を増加
させることができるうえに、不凍液との熱交換によって
気化したガスをそのままガスタービンの燃料として使用
できるため、気化器の稼働費用を削減することができて
経済的である。しかも、低温側蓄冷部から不凍液を一旦
混合器に送り、この混合器において不凍液温度制御ライ
ンから送られてくる熱交換後の高温の不凍液と混合して
凝固点以上の温度である0℃〜10℃の温度にしたうえ
で、これを空気冷却器に送ってガスタービンの燃焼用空
気を冷却しているので、タービン入口において着氷が発
生する虞がない。
【0028】また、請求項2に記載の発明によれば、温
度の高低による不凍液の密度の相違によって、一の貯留
槽の上部を高温側蓄冷部とし、下部を低温側蓄冷部とし
ているので、上記貯留槽として不凍液の全量を蓄えてお
くことが可能な容量のものを設置すればよく、よってシ
ステムとして必要な貯留槽の設置個数および全容量を低
減化することができるために経済的であり、さらに請求
項3に記載の発明によれば、低温液化ガスの気化温度が
例えばLNGのように−162℃と低い温度であって
も、不凍液の凝結を防止することができるとともに、こ
れらの熱交換によって効率的に上記低温液化ガスを気化
させることが可能になるといった効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガスタービン用空気冷却システム
の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】従来のガスタービン用空気冷却システムを示す
全体構成図である。
【符号の説明】
20 貯留槽 21 高温側蓄冷部 22 低温側蓄冷部 24 高温側供給管 25 熱交換部 26 低温側戻り管 28 低温側供給管 29 混合器 30 冷却管 31 空気冷却器 32 高温側戻り管 33 不凍液温度制御ライン 34 温度制御用ポンプ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガスタービンの燃料用低温液化ガスの冷
    熱を利用して、上記ガスタービンの燃焼用空気を冷却す
    るための空気冷却システムであって、空気冷却後の高温
    の不凍液を貯留する高温側蓄冷部と、この高温側蓄冷部
    から高温側供給管を介して送られる上記不凍液を上記低
    温液化ガスを冷却媒体として冷却する熱交換部と、この
    熱交換部から低温側戻り管を介して送られる低温の上記
    不凍液を貯留する低温側蓄冷部と、この低温側蓄冷部か
    ら送り出される低温側供給管に介装された混合器と、こ
    の混合器から送りだされる上記不凍液によって上記燃焼
    用空気を冷却する空気冷却器と、この空気冷却器によっ
    て昇温された上記不凍液を上記高温側蓄冷部に導く高温
    側戻り管と、この昇温された不凍液の少なくとも一部を
    上記混合器に導く不凍液温度制御ラインとを備えてなる
    ことを特徴とするガスタービン用空気冷却システム。
  2. 【請求項2】 上記高温側蓄冷部と上記低温側蓄冷部と
    は、互いの密度の温度依存性を利用して一の貯留槽内に
    形成されているとともに、上記高温側供給管と高温側戻
    り管は上記貯留槽の上部に接続され、かつ上記低温側戻
    り管と上記低温側供給管は上記貯留槽の底部に接続され
    ていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン
    用空気冷却システム。
  3. 【請求項3】 上記不凍液は、少なくとも−40℃にお
    いて凍結しないものであることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のガスタービン用空気冷却システム。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載のガ
    スタービン用空気冷却システムを用いて、上記低温液化
    ガスによって熱交換部で冷却した上記不凍液を、大気温
    度が高い時間帯に、上記低温側蓄冷部から上記混合器に
    送り、上記不凍液温度制御ラインから送られてくる高温
    の不凍液と混合して0℃以上であってかつ10℃未満の
    温度にしたうえで、当該不凍液を上記空気冷却器に送っ
    て上記ガスタービンの燃焼用空気を冷却することを特徴
    とするガスタービン用空気の冷却方法。
JP29956097A 1997-10-16 1997-10-16 ガスタービン用空気冷却システムおよび冷却方法 Pending JPH11117766A (ja)

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