JP3992766B2 - コンピュータ支援ビデオ顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコンピュータ支援顕微鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
出願人の米国特許第5,031,099号からは、従来通りの顕微鏡スタンドを有する顕微鏡と、それとは別個に配置されるコンピュータと、コンピュータに付属するモニタ、プリンタ、キーボードなどの周辺装置とから構成されるコンピュータ支援ビデオ顕微鏡が知られている。この場合、コンピュータは、周辺装置との通信を可能にすると共に、電動焦点合わせ動作や電動十字マークなどの顕微鏡の様々に異なる電動機能の制御をも可能にする多種多様な差し込みカードを含む。このように一体化されていない構造を利用する方法においては、顕微鏡の装置全体のみならず、モニタ、キーボードなどのコンピュータの周辺装置及び場合によってはコンピュータマウス又はトラックボールのような他の入力手段をもワークテーブル上に並べて配置しなければならないので、きわめて広いスペースを必要とするという欠点がある。
【0003】
さらに、英国特許第2084754号により知られているモジュール構成の顕微鏡は複数の挿入口を有するフレームから構成され、照明モジュールと観察モジュールをこのフレームの異なる口に差し込むことができる。この顕微鏡では、必要に応じて、同一の光学素子を利用して直立顕微鏡又は倒立顕微鏡を選択的に実現することができる。さらに、この場合、後の画像処理に備えてビデオ出力端子を介してビデオカメラを接続できることも記載されている。ところが、このシステムで要求されるスペースは少なくとも上記の米国特許による顕微鏡と同じ程度には大きい。
【0004】
さらに、米国特許第4,361,377号には、密閉ハウジングを有し且つ観察時には顕微鏡用プレパラートをハウジングの開口を経てハウジングの内部へ挿入することができる単眼小型顕微鏡が記載されている。ところが、この場合の最も単純な顕微鏡においては、画像記録又は画像処理などのコンピュータ支援は不可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コンパクトな構造を有し且つ顕微操作者のワークステーションでごくわずかしかスペースを必要としない特に臨床ルーチン検査又は病理ルーチン検査のためのコンピュータ支援ビデオ顕微鏡を提供すべきである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的は、独立特許請求の範囲第1項及び第2項の特徴を伴う顕微鏡によって解決される。本発明の有利な構成は従属特許請求の範囲の特徴から明らかである。
【0007】
すなわち、本発明によるビデオ顕微鏡は密閉ハウジングを有し、そのハウジングの中に顕微鏡の全ての光学素子が配置されている。ハウジングの前面は、標準形の被検体支持体の上に顕微鏡用プレパラートを導入するための開口をさらに有する。従って、本発明によれば、対物レンズ、集光レンズ及び被検体載置台を任意に操作できるこれまでと変わらない通常通りの顕微鏡構成ではない。ユーザが依然として操作できるのは、プレパラートを挿入するための開口スリットと、場合によっては、顕微鏡用プレパラートの照明に利用されるランプが損傷した場合にランプを交換するときに使用するランプ交換口のみである。そこで、ビデオモニタを顕微鏡の上に設置できるように、本発明によるビデオ顕微鏡のハウジングを特に直方体形に形成することができる。ハウジングの外寸は市販のディスケットメカニズム又はコンパクトディスクメカニズムの寸法に相応しているので、それに合わせて準備されているネットワーク一体型の標準ハウジングを使用できる。従って、顕微鏡とそのようなメカニズムを互いに積み重ねるか又は複数の顕微鏡を互いに積み重ねることも可能であり、その結果、顕微鏡操作者のワークテーブル上に顕微鏡を設置するために付加スペースが要求されることはほぼない。
【0008】
別の実施の態様においては、顕微鏡はパーソナルコンピュータのディスクメカニズム受け入れ口に挿入するための構成を有する。この場合、顕微鏡は5 1/4ツォルの標準受け入れ口寸法のうちわずか1つ分又は2つ分のスペースを占めるだけであるのが好ましい。そのため、いわゆるラック構造のコンピュータでは、空いたディスクメカニズム受け入れ口の未使用スペースを利用することになる。さらに、コンピュータのネットワーク部を顕微鏡の電流供給にも同時に使用できるので、顕微鏡専用の追加ネットワーク部を設けなくとも良い。
【0009】
2つの実施の態様においては、被検体平面が水平に向いているとき、顕微鏡の水平方向寸法は垂直方向寸法より大きい。この点で、本発明による顕微鏡の外観は従来の顕微鏡構成とは全く異なっている。
【0010】
プレパラートの挿入を除き、顕微鏡全体の制御は、双方の実施の態様に共通して、たとえば、キーボード、マウス、トラックボール又はトラックパッドなどのコンピュータの入力手段を介して実行される。従って、顕微鏡の内部にある可動光学素子及び可動機械要素は全て電動駆動されている。そこで、電動運動を制御するための電子素子は顕微鏡の外のドライバカード、たとえば、コンピュータの差し込みカードに配置されるべきであろう。これにより、ドライバカードから発生する熱は顕微鏡から離れた場所に保持されるので、光路に悪影響を及ぼす可能性のある顕微鏡内部の熱膨張が引起こされるおそれはない。ドライバカードと顕微鏡はデジタルデータ経路、たとえば、コンピュータバスを介して互いに接続されている。
【0011】
特にコンパクトな構造を得るためには、顕微鏡の中で光線をほぼZ形に導くと有利である。その場合、光源から発出した光は、まず、第1の平面、すなわち、照明平面に位置する光路に沿って導かれ、顕微鏡のほぼ中央でミラーにより照明平面に対しほぼ垂直な方向へ方向転換され、プレパラートを通過した後、第2のミラーにより第2の、第1の平面と平行な観察平面に位置する光軸に沿って方向転換され、続いて、この第2の平面においてビデオセンサへと導かれる。照明平面と観察平面の双方で十分に長い光路を実現するために、それぞれの平面にある光路をさらに折ることができる。照明平面及び観察平面と平行なさらに別の第3の平面には、被検体載置台として、ハウジングの挿入口と整列する支持面を設けるべきであろう。
【0012】
プレパラートを動かして被検体の関心部分を選択するために、2つの互いに垂直な方向に移動自在なピンセット状のマニピュレータを設けることができる。プレパラートを挿入したとき、このマニピュレータは所定の引渡し位置でプレパラートをつかみ、続いてプレパラートを支持面に沿ってすべらせながら所望の位置へ導く。
【0013】
コンパクトな構造であり、その結果として変換自在の対物レンズを使用しないにもかかわらず、様々に異なる倍率を得ることができるようにするためには、顕微鏡対物レンズを複数の部分から構成し、対物レンズの前方レンズ又は前方レンズ群を含む前部を電動方式で光路に対し出し入れ自在にするべきであろう。さらに、対物レンズの少なくとも第2の部分素子を焦点合わせのために光軸と平行に電動方式で摺動自在にすべきであろう。
【0014】
本発明による顕微鏡においては、顕微鏡の中に挿入されたプレパラートに手を触れることはできず、そのため、プレパラートで向きを設定することは不可能であるので、ハウジングの内部の、開口の付近に、アレイセンサを配置すべきであろう。プレパラートを挿入するとき、プレパラートはアレイセンサの前方を通過する。これにより、プレパラートのおおまかな概観像を形成し、向きを確定するためにその画像をモニタに表示することができる。同時に、場合によっては、被検体支持体上にあるバーコードをダイオードセルによって走査することができ、そのバーコードの中にコード化されている情報をコンピュータのメモリに直接に書込むことが可能である。バーコードの代わりに又はバーコードに加えて、プレパラート支持体に記入された文字を必要に応じてOCR(光学文字認識)画像処理用ソフトウェアによって認識し、対応するASCII文字の形態でコンピュータのデータバンクに書込むこともできる。
次に、図に示されている実施形態に基づいて本発明の個々の点をさらに詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1の斜視図において1は顕微鏡操作者のワークテーブルである。テーブル1の下方にはパーソナルコンピュータ3のラック2(直立している)が配置されている。顕微鏡4は利用可能なコンピュータラック2のディスクメカニズム受け入れ口の1つに挿入される。その他のディスクメカニズム受け入れ口は空いていても良く、あるいは、同じ構造又は類似する構造の別の顕微鏡(図示せず)又は図4に示唆するようなフロッピーディスクメカニズムやCDメカニズムなどのディスクメカニズム37,38を収納していても良い。挿入口25へのプレパラートの出入れを除いて、顕微鏡4の操作はコンピュータのコンピュータマウス5及びキーボード6によって実行される。ビデオモニタ7は顕微鏡の画像を表示する。
【0016】
本発明による顕微鏡4はコンパクトな構造であるために、ワークステーション1のテーブル面で全くスペースをとらないので、ワークステーションには、コンピュータ操作のために必要な周辺装置のみが設置されている。また、たとえば、全てのディスクメカニズム受け入れ口が使用中であるか又はラック構成のコンピュータの代わりにいわゆるデスクトップコンピュータを使用するために、コンピュータラック2の中に利用可能なディスクメカニズム受け入れ口がない場合であっても、本発明による別の構造の顕微鏡4′をビデオモニタ7の下方に配置することができる。顕微鏡4′は外部ディスクメカニズム向けの標準形ハウジングと、コンピュータのドライバカードに至る追加の接続ケーブルとを有する。デスクトップコンピュータの場合、コンピュータと、顕微鏡4′と、場合によっては1つ又は複数のディスクメカニズムと、モニタ7とを積み重ねることができる。顕微鏡4′は概念の上では差し込み装置としてではなく、付属装置として構成されているのであるが、以下にさらに詳細に説明する顕微鏡4とほぼ同じ構造を有する。唯一の相違点は、顕微鏡4′が別個のネットワーク部(図示せず)を有し、顕微鏡4とは異なり、コンピュータ3の高速PCバスに接続されるのではなく、コンピュータ3の接続カードに接続されるということである。
【0017】
図4のブロック線図には、コンピュータラック2が点線で表示されている。ラック2の中にはコンピュータ3と、複数のディスクメカニズム37,38と、顕微鏡4とが配置され、それらは高速PCバス35、たとえば、32ビットのデータ幅をもつバスを介して接続している。顕微鏡4に電流を供給する働きをするのはコンピュータネットワーク部39である。顕微鏡を制御するために、コンピュータ3にはドライバカード40が設けられており、顕微鏡4の様々なモータを制御するための電子素子はそのドライバカードに配置されている。顕微鏡4はドライバカード40を介して、コンピュータ3の作業用メモリにロードされているプログラム42に応じて制御される。複数の接続カード41を介して、コンピュータ3は周知のようにモニタ7、キーボード6及びマウス5のような周辺装置と接続している。
【0018】
図2及び図3からわかるように、顕微鏡4はほぼ直方体形のハウジング8を有し、そのハウジングの中に顕微鏡の光学素子と機械要素が全て配置されている。この場合、詳細には示されていないが、ハウジング8は、通常通り、2つ又は3つの、ねじ結合などの手段により互いに結合された部分から構成されている。ハウジングの唯一つの開口はプレパラートの挿入口として利用される水平のスリット25であり、ハウジング8の前面8aにある。さらに、ランプ10を交換するときのために、挿入口25の隣には前面8aから取り外し自在に蓋部分31が設けられている。
【0019】
光線の誘導は、それぞれの光学素子の光軸により決められている通りに、顕微鏡の内部で2つの異なる平面において行われる。それらの平面のうち一方は観察平面であり、図2の切断平面と一致する。第2の平面は照明平面であり、図2の図面の平面の下側に位置している。照明平面と観察平面は互いに平行である。
【0020】
照明平面及び観察平面に加えて、同様にそれら2つの平面と平行に位置する第3の平面がある。これは、ガラス又はガラスセラミックから製造された透明板33の表面によって形成され且つ挿入口25と同じ高さに並んでいるプレパラート平面である。
【0021】
顕微鏡の光源10はハウジングの前方領域に、挿入口25の脇に並んで配置されている。光源10から出た照明光路は、まず、顕微鏡の側壁とほぼ平行に後方へ向かい、モータ11aを介して駆動される集光レンズズーム11を通過する。なお、ハウジングの前方とは図2の左側で後方とは右側である。集光レンズズーム11は照射野を微調整する働きをする。集光レンズズーム11を通過した後、照明光路はミラー12により照明平面の中で斜め前方へ反射され、次に、2分割集光レンズの第1の部分13を通過する。その後に続くミラー15を経て照明光路は照明平面に対し垂直に上方へ偏向され、プレパラート平面の前で、集光レンズの第2の部分16を通過する。集光レンズの2つの部分(13,16)は複数のレンズ又はレンズ群を含んでいて良いが、図では簡易にするために単独のレンズとして示されている。直径の異なる複数の開口と、リング形ダイアフラムと、DICプリズムとを有する電動ダイアフラムスライダ14を介して、照明光路の口径及び/又は所望のコントラストを調整可能である。特に照射野の大きい照明を得るために、さらに、集光レンズの第2の部分16も同様に電動方式で光路からはずすことができるように構成されている。ダイアフラムスライダ14により口径を調整すると共に、集光レンズズーム11によって照射野を調整することにより、本発明による顕微鏡においても、ケーラー照明を実現できる。
【0022】
観察側の光学素子の配列は、ほぼ照明光路の光軸とプレパラート平面との交点で、照明光路に対し点対称である。従って、対物レンズの前部17の光学素子は集光レンズの第2の部分16と同軸に配置されており、同様に小さな倍率での結像のために電動方式で光路からはずすことができるように構成されている。対物レンズの前部17の後方では、垂直方向に進む光路は別のミラー18を経て、照明光路と平行な観察平面へと方向転換され、続いて対物レンズの第2の部分20を通過する。集光レンズ13,16の場合と同様に、対物レンズの2つの部分17,20も複数のレンズ又はレンズ群を含んでいて良いのであるが、簡易にするために単独のレンズとして図示されている。光路は後続するミラー21を経て観察平面で後方へ偏向され、モータ22aを介して駆動される観察側ズーム22の後でビデオチップ23に到達する。
【0023】
たとえば、位相コントラスト又は微分干渉コントラストなどのコントラストを確定する方法として、複数の異なる切替え位置19a,19b(図2には切替え位置は2つしか示されていない)を有する別の電動ダイアフラムスライダ19が観察光路の中に配置されている。特定のコントラスト確定方式と、それに対応するダイアフラムスライダ14の切替え位置を選択するときに、それに付随するコントラスト変調器19a,19bが自動的に光路に導入されるように、ダイアフラムスライダ19の切替え位置はコンピュータプログラムを介して集光レンズダイアフラムスライダ14の切替え位置と結合している。たとえば、位相コントラストの確定が望まれており、それに応じてダイアフラムスライダ14を介してリング形ダイアフラムを光路の中へ導入するのであれば、付随する位相板もダイアフラムスライダ19を介して自動的に観察光路の中へ導入される。微分干渉コントラストについても同様のことが起こるのは自明であり、その場合、照明側と観察側の双方で互いに適合する、適切なDICプリズムと偏光箔が導入されることになる。
【0024】
挿入口25に差し込まれたプレパラートを搬送するために、2つの異なる搬送機構が設けられている。第1の搬送機構はプレパラート引込み装置26から構成されており、この引込み装置は、たとえば、挿入口25のすぐ後ろで、プレパラート平面の上側に配置され、電動駆動される駆動ローラから形成されていれば良い。プレパラートは引込み装置26により顕微鏡の内部へ引込まれる。続いて、引き渡し位置でプレパラートはピンセット形のマニピュレータ29,29a,29bによって把持され、マニピュレータの2つのつめ29a,29bでしっかりとクランプされる。2つのつかみつめ29a,29bのクランプ運動は電磁石(図示せず)又はばね力により行われる。マニピュレータ29,29a,29bはプレパラート平面と平行に、2つの互いに垂直な方向へ移動自在である。この移動のために、まず、マニピュレータ29,29a,29b自体をラック28に沿って案内し、そのラック28をラック28に対しそれぞれ垂直に位置する2本の互いに平行なロッド27a,27bによって案内する。この場合、2本の平行なロッドの一方27aは、マニピュレータ29を挿入口25の方向へ移動させるためにハウジングに配置されたモータ27cにより駆動されて、回転運動するラックとして構成されている。その方向に対し垂直な方向への駆動のためには、マニピュレータ29自体に別のマイクロモータ34が設けられている。
【0025】
ここで、図2及び図3においては光学素子と電動駆動要素は示されているが、図を見やすくするために、それらとバス差し込みプラグ24との間の接続線路は図示されていないということを明示しておく。コンピュータ3と顕微鏡との接続は、全て、顕微鏡をPCバス35(図4を参照)に接続する差し込みプラグ24を介して行われる。従って、プラグ24はデータ入出力部として動作する。
【0026】
挿入口25を監視するために、挿入口のすぐ背後にダイオードアレイ32が配置されている。このダイオードアレイ32は挿入口を監視すると同時に、プレパラートの概観像を形成する働きもする。プレパラートを被検体支持体30に載せて挿入口25に差し込むと、ダイオードアレイ32はそのアレイに入射するランプ10の光の強さの変化を検出する。あるいは、ダイオードアレイを追加の発光ダイオードと組合わせて、挿入口に光のバリヤを形成することも可能である。そこで、ダイオードアレイ32の出力信号はプレパラート引込み装置26をオンするトリガパルスを発生させる。発光ダイオードを追加する実施形態の場合には、トリガパルスはランプ10それ自体をもオンすることができる。引込み中、プレパラート支持体30はダイオードアレイの下方を通過し、その際に接触方式でプレパラート30の概観像を走査撮影し、続いてモニタに表示する。この概観像を作成するときの照明を得るために、光源10から拡散発出する光の一部を利用する。プレパラートにバーコード又は文字が設けられていれば、その後の概観像の画像処理によってその画像に含まれている情報を復号し、プレパラートに対応するコンピュータ3のデータバンクに書込む。被検体支持体30が顕微鏡の内部へ全て引込まれた後、引込み装置26は動作停止し、被検体支持体30はマニピュレータ29,29a,29bによってつかまれる。続いて、マウス5又はトラックボール(図示せず)を使用して、モニタ7上のコンピュータカーソルを所望の被検体部分に位置決めする。マニピュレータ29,29a,29bの駆動装置27c,34を介して、被検体支持体30はコンピュータカーソルの位置に応じて摺動するが、この摺動は、コンピュータカーソルにより選択された概観像の中の位置が光軸とプレパラート平面の交点と常に一致するように行われる。従来の顕微鏡で後に検査するときにも、プレパラートの関心領域を台のバーニャを利用して容易に再び見つけることができるように、その関心領域の座標を読取り、記憶できる。
【0027】
所望のコントラスト設定と所望の倍率はコンピュータキーボード6を介して調整可能である。所望の倍率に応じて、対物レンズの前部レンズ17は光路に出入りするように旋回され、且つ観察側ズーム22は駆動モータ22aを介して調整される。集光レンズの第2の部分16や集光レンズズーム11のような照明側素子は、プログラム制御により、ケーラー照明に設定される。たとえば、冒頭で挙げた米国特許第5,031,099号の中でも実現されているような受動オートフォーカスという意味での焦点合わせを実行するために、対物レンズの第2の部分20は光軸と平行に、ビデオチップ23によって記録される画像が最大コントラストに達するまで摺動される。さらに、その後、たとえば、コントラストの弱い画像部分に焦点合わせするために、マウスを介して又はコンピュータキーボードの方向キーを使用して手動操作で焦点合わせをすることができる。
【0028】
プレパラートを十分に検査し終わり、それ以上の検査が望まれない場合には、マニピュレータ29,29a,29bによって被検体支持体30を先にマニピュレータがプレパラートをつかんでいた引き渡し位置に再び戻し、続いて、引込み装置26により再び挿入口25を通して顕微鏡の外へ排出する。その後、別のプレパラートが挿入されるのに備えて、ダイオードアレイ32は挿入口25を監視する。
【0029】
図2及び図3に示した本発明による顕微鏡の構造全体の幅は140mm、奥行は170mm、高さは40mm又は80mmである。プレパラート30を移動させるためのマニピュレータ29の自由運動経路の長さは顕微鏡の奥行方向に75mmを越え、顕微鏡の幅方向には25mmを越える。これにより、対物レンズの前部レンズと集光レンズとの間に、従来の被検体支持体のあらゆる位置を設定することができる。光線の誘導経路をできる限りコンパクトに形成するように、カメラチップ23の対角線の長さは多くとも1/2インチであり、相応して小さい像領域を得るために顕微鏡内部の光学系全体も設計されている。その結果、使用される結像光学系の交差距離は(像領域の直径が約20mmの場合の)従来の光学系の交差距離の約30%から50%まで短くなり、これはコンパクトな構造を得るには非常に有利である。
【0030】
ランプの輝度は、カメラチップ23によって記録された画像の画像輝度に応じて自動的に制御される。ランプ電圧が変化したときに発生する色温度の変化は、その後、ビデオ画像の様々な色成分を適切に均衡させることにより補正される。デジタル化画像データは少なくとも32ビットのデータ幅を有する高速PCバスへ直接に転送される。
【0031】
以上説明した本発明による顕微鏡の実施形態においては、機械的振動に対抗する措置は全くとられていない。機械的振動が障害となる場合には、1つ又は複数の互いに堅固に結合した基板に全ての光学素子を固定し、その基板を粘弾性材料を介して外側ハウジングの内部に支承することができる。
【0032】
説明した顕微鏡は、主として透過光の中で作業が進み、通常は若干の異なる倍率やコントラストしか必要にならない医療関係のルーチン検査に特に適している。直接光の場合にも相応する顕微鏡が考えられることは言うまでもなく、そのような顕微鏡では、プレパラート平面と照明平面との間に観察平面に対する十分な空間を形成するために、プレパラート平面を照明平面からさらに離間させるだけで良いであろう。
【0033】
本発明による顕微鏡をテレパソロジーに適用すると、プレパラートとの全ての対話はモニタを介して実行され且つ顕微鏡全体はソフトウェア制御されるので特に有利である。従って、制御データの遠隔伝送によって複数の互いに接続された顕微鏡を全く同じように制御することが可能である。
【0034】
本発明による顕微鏡には、プレパラート支持体を顕微鏡に自動的に順次供給し、顕微鏡から取り出す自動送り出し装置と、各プレパラートの自動処理用のコンピュータプログラムとを補足して、「自動解析装置」を構成することができる。その場合、このような「自動解析装置」は、事前に設定されたプログラムの経過に従って、多数の同様のプレパラートの自動顕微鏡検査処理を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った顕微鏡を含むワークステーションの斜視図。
【図2】 本発明による顕微鏡の観察平面の断面図。
【図3】 図2に対し垂直な平面における図2の顕微鏡の断面図。
【図4】 顕微鏡及びコンピュータから成るユニットのブロック線図。
【符号の説明】
2…コンピュータラック、3…パーソナルコンピュータ、4,4′…顕微鏡、8…ハウジング、10…ランプ、11…集光レンズズーム、12…ミラー、13…集光レンズの第1の部分、14…電動ダイアフラムスライダ、15…ミラー、16…集光レンズの第2の部分、17…対物レンズの前部、18…ミラー、19…電動ダイアフラムスライダ、20…対物レンズの第2の部分、21…ミラー、22…観察側ズーム、23…ビデオチップ、25…挿入口、26…プレパラート引込み装置、29…マミピュレータ、29a,29b…つかみつめ、30…被検体支持体、32…ダイオードアレイ、33…透明板、35…高速PCバス、39…コンピュータネットワーク部、40…ドライバカード、42…プログラム。
Claims (10)
- 密閉されたハウジング(8)を有し、顕微鏡の全ての光学素子がそのハウジングの内部に配置され、且つハウジング(8)の前面(8a)にプレパラート(30)を挿入するための開口(25)を有し、ハウジング(8)の内部の開口の付近に、概観像を作成するためのアレイセンサ(32)が配置されているコンピュータ支援ビデオ顕微鏡。
- ハウジング(8)は、ほぼ直方体形に形成されており、光路は、被検体平面が水平方向に向いているときに水平方向の寸法が垂直方向の寸法より大きくなるように導かれる請求項1に記載のビデオ顕微鏡。
- 全ての可動光学素子(11,13,14,16,17,19,20,22)は電動方式で駆動されており、それらの素子の電動運動はコンピュータプログラム(42)を介して制御される請求項1または2項に記載のビデオ顕微鏡。
- 電動運動を制御するための電子素子は顕微鏡の外に配置されるドライバカード(40)に配置されており、ドライバカード(40)と顕微鏡(4)はデジタルデータ経路(35)を介して接続されている請求項3に記載のビデオ顕微鏡。
- 照明光路は第1の平面で導かれ、ミラー(15)により第1の平面に対し垂直な方向へ方向転換され、且つプレパラートから来る光が観察光路の中で別のミラー(18)により第1の平面と平行な第2の平面へと方向転換され、続いてこの第2の平面の中で導かれる請求項1から4のいずれか1項に記載のビデオ顕微鏡。
- 第1の平面及び第2の平面と平行な第3の平面に支持面(33)が被検体載置台として設けられている請求項5に記載のビデオ顕微鏡。
- 2つの互いに垂直な方向に移動自在であり、顕微鏡(4)の中に挿入されたプレパラート(30)をつかみ且つ規定された通りに位置決めするマニピュレータ(29,29a,29b)が設けられている請求項6に記載のビデオ顕微鏡。
- 観察光路の中に、前部(17)が電動方式で光路からはずれるように旋回自在である対物レンズ(17,20)が設けられている請求項4から7のいずれか1項に記載のビデオ顕微鏡。
- 対物レンズの少なくとも1つの素子(20)は焦点合わせのために対物レンズの光軸と平行に摺動自在である請求項8に記載のビデオ顕微鏡。
- プレパラート(30)を挿入したときにアレイセンサ(32)はトリガ信号を発生し、そのトリガ信号により電動引込み装置(26)が稼動状態となり、その結果、プレパラート(30)は顕微鏡(4)の内部へ引込まれる請求項1から9のいずれか1項に記載のビデオ顕微鏡。
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