JP3992212B2 - 配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法及び装置、並びに電力逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法 - Google Patents

配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法及び装置、並びに電力逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電系統に設置される配電用自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じたときにその原因が系統に連系している分散電源に起因するものであるか、系統切換に起因するものであるかを判定する電力逆潮流原因判定方法及び装置、並びに、電力の逆潮流の原因に応じて自動電圧調整器の動作モードを最適のモードとする電力逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、太陽光発電設備などの自家発電設備が需要家に多く設置されるようになり、該自家発電設備が分散電源として配電系統と連系するようになっている。また配電系統においては、電力の需給バランスを図ったり、工事の際の停電を防いだりするために、複数の系統を連系させるようにしている。
【0003】
このような配電系統においては、系統の各部の負荷容量と分散電源の容量との大小関係や、配電用自動電圧調整器(以下SVRともいう。)の一次側または二次側で行われた系統の切換により、SVRの二次側から一次側に電力が逆送される(電力の逆潮流が生じる)ことがある。SVRで電力の逆潮流が生じると、正しい電圧調整を行うことができなくなるため、系統の各部の電圧が異常になるのを防ぐために、例えばSVRのタップを固定したりするなどの対策を講じる必要がある。
【0004】
図1は、一例として、2分割2連系の簡略配電系統を示したもので、同図において1及び1´は電源変電所、2及び2´は電源変電所1及び1´の二次側にそれぞれ開閉器3及び3´を介して一端が接続された配電線、4及び4´はそれぞれ配電線2及び2´の他端に開閉器5及び5´を介して接続されたSVR、6及び6´はSVR4及び4´の二次側に一端が接続された配電線、7及び7´は配電線6及び6´の他端にそれぞれ開閉器8及び8´を介して接続された他の配電線、9は変電所1側の系統と変電所1´側の系統とを連系させるための開閉器である。また10及び11はSVR4の一次側及び二次側で系統に連系している一次側連系分散電源及び二次側連系分散電源、12及び13はSVRの一次側及び二次側にそれぞれ接続された一次側負荷及び二次側負荷である。
【0005】
なお配電線2´,6´側にも分散電源や負荷が接続されるが、これらの図示は省略されている。
【0006】
図2ないし図4は、図1に示した配電系統のうち、変電所1側の系統に設置されたSVR4における電力の潮流方向を種々のケースについて示したもので、同図において、G1 及びG2 はそれぞれ分散電源10及び11の容量を示し、P1 及びP2 は負荷12及び13の容量を示している。
【0007】
なお図2ないし図4においては、開閉器を長方形のブロックで示しており、白抜きで示した各開閉器のブロックは各開閉器が開いていることを示し、黒く塗りつぶした各開閉器のブロックは各開閉器が閉じていることを示している。またSVRの上に表示された矢印は電力の潮流方向を示している。
【0008】
図2(A)ないし(D)は、図1において開閉器8及び9が開いている常時系統状態を示したもので、同図(A)及び(B)はそれぞれP1 <G1 でかつP2 <G2 の場合、及びP1 <G1 でかつP2 >G2 の場合を示している。また図2(C)及び(D)はそれぞれP1 >G1 ,P2 <G2 の場合、及びP1 >G1 ,P2 >G2 の場合を示している。
【0009】
また図3(A)ないし(D)は開閉器3及び8を開き、開閉器9を閉じてSVR4の一次側で2系統を連系させたSVR一次側系統切換時の状態を示したもので、同図(A)及び(B)はそれぞれP1 <G1 でかつP2 <G2 の場合、及びP1 <G1 でかつP2 >G2 の場合を示している。また図3(C)及び(D)はそれぞれP1 >G1 ,P2 <G2 の場合、及びP1 >G1 ,P2 >G2 の場合を示している。
【0010】
更に図4(A)ないし(D)は開閉器3及び9を開き、開閉器8を閉じて、SVRの二次側で他系統と連系させたSVR二次側系統切換時の状態を示したもので、同図(A)及び(B)はそれぞれP1 <G1 でかつP2 <G2 の場合、及びP1 <G1 でかつP2 >G2 の場合を示している。また図4(C)及び(D)はそれぞれP1 >G1 ,P2 <G2 の場合、及びP1 >G1 ,P2 >G2 の場合を示している。
【0011】
図2及び図3から明らかなように、常時系統状態(図2)及びSVR一次側系統切換時(図3)においては、P1 とG1 との大小関係の如何に係わりなく、P2 <G2 のとき(二次側で連系している分散電源の容量が二次側配電線に接続されている負荷の容量に比べて大きいとき)にSVRで電力の逆潮流が生じる。
【0012】
また図4に示したSVR二次側系統切換時には、P2 とG2 との大小関係に係わりなく、P1 >G1 のとき(一次側に連系している分散電源の容量が一次側配電線に接続されている負荷の容量に比べて小さいとき)にSVRで電力の逆潮流が生じる。
【0013】
図5は、SVR4の一例として、タップ付きの調整変圧器の一次側及び二次側をそれぞれ配電線2及び6に接続して該調整変圧器の出力電圧を二次側の配電線6に直接印加することにより電圧調整を行う直接式SVRの構成例を示したものである。同図において20はタップt1 〜t9 を有する単巻変圧器からなる調整変圧器、21は調整変圧器のタップを切り換える負荷時タップ切換器で、調整変圧器20の一次側には負荷時タップ切換器21を通して配電線2の電圧Vp が入力されている。また調整変圧器21の二次側は配電線6に接続されている。24はSVRの二次側の電圧Vs を検出する計器用変圧器(PT)、25は二次側の電圧を目標電圧に保つようにタップ切換器21にタップ切換指令を与える電圧調整継電器(90リレー)、26は電圧調整継電器25に対して直列に接続された線路電圧降下補償器(LDC)で、電圧調整継電器25と線路電圧降下補償器26との直列回路は計器用変圧器24の出力端子間に接続されている。LDC26には、二次側の配電線6を流れる負荷電流IL を検出する変流器(CT)27の出力が入力されている。
【0014】
このSVRにおいては、電圧調整継電器25がPT24の出力電圧VL'から二次側の電圧Vs を検出して、一次側の配電線2側から二次側の配電線6側に電力が送られているとき(電力順送時)に二次側の電圧Vs を目標電圧に保つようにタップ切換器21にタップ切換指令を与える。タップ切換器21は、電圧調整継電器から与えられるタップ切換指令に応じて調整変圧器20のタップを切り換えて、SVRの二次側の電圧Vs を目標電圧に保つように(電圧Vs と目標電圧との差を許容範囲に収めるように)調整する。即ち、電力順送時に二次側の電圧Vs が目標電圧よりも低くなったときには電圧調整継電器25が昇圧指令を発生し、これにより調整変圧器20のタップを昇圧側に切り換えて二次側電圧Vs と目標電圧との差を許容範囲以下にするように電圧を調整する。また二次側の電圧Vs が目標電圧を超えたときには電圧調整継電器25が降圧指令を発生し、これにより調整変圧器20のタップを降圧側に切り換えて二次側の電圧と目標電圧との差を許容範囲以下とするように電圧を調整する。
【0015】
LDC26は、配電線6の線路インピーダンスを模擬した抵抗とリアクタンスとから成っていて、該抵抗及びリアクタンスにCT27の出力電流ILDC が流れるようになっており、LDC26の両端には、線路インピーダンスによる電圧降下に比例した電圧降下VLDC が生じる。このとき電圧調整継電器25に加わる電圧V90はVs −VLDC となり、LDCが挿入されていない場合に比べて、VLDC だけ低くなる。そのため電圧調整継電器25は、調整変圧器20のタップを線路電圧降下VLDC 分だけ昇圧側に切り換えるように負荷時タップ切換器21にタップ切換指令を与えて、線路インピーダンスによる電圧降下を補償する。
【0016】
本明細書では、上記のように、SVRがその二次側電圧を目標電圧に保つように調整するときの動作モードを二次側電圧調整モードと呼ぶ。
【0017】
図5に示したSVRにおいて、二次側の配電線6側から一次側の配電線2側に電力が逆送されている状態でその動作モードが二次側電圧調整モードである場合の動作を考える。電力逆送時に二次側配電線6の電圧Vs が目標電圧より低くなると、PT24の出力電圧も低下するため、電圧調整継電器25は昇圧指令を発生する。これによりタップ切換器21は調整変圧器20のタップを電力順送時の昇圧側(タップt9 側)に切り換えるが、このタップ切換方向は逆送時には一次側配電線2の電圧Vp を低下させる方向(降圧側)となるため、配電線2の電圧Vp が低下する。このときタップ切換は配電線2側で行われるため、タップが切り換えられてもPT24の出力電圧は変化せず、電圧調整継電器25に加わる電圧は目標電圧よりも低いままの状態にある。そのため、電圧調整継電器25は昇圧指令を発生し続けることになり、タップ切換器21はタップを電力順送時の昇圧側(逆送時の降圧側)の最終タップt9 まで切り換える。タップが最終タップまで切り換えられると、リミットスイッチがそれを検出するため、タップ切換動作が停止する。
【0018】
上記のように、SVRで電力の逆潮流が生じている状態では、動作モードが二次側電圧調整モードのままであると、タップが逆送時の降圧側の最終タップt9 まで切り換えられるため、一次側配電線2の電圧Vp が異常に低下することになり、配電系統の電圧が乱れることになる。
【0019】
このような異常状態が生じるのを防ぐため、電力の逆送時に一次側の電圧を目標電圧に保つように調整する機能を持たせることにより、電力の逆送時にも順送時と同様に電圧調整を正常に行わせることができるようにした完全逆送形のSVRまたは電力逆送時に調整変圧器20のタップを予め設定したタップ(例えば素通しタップt4 )に固定する逆送時タップ固定形のSVRが用いられている。
【0020】
本明細書では、SVRの一次側の電圧を目標電圧に保つように調整する動作モードを一次側電圧調整モードと呼び、電力逆送時に調整変圧器のタップを予め設定したタップに固定する動作モードをタップ固定モードと呼ぶ。
【0021】
完全逆送形のSVRでは、例えば、電力の逆送を検出する逆送継電器(67リレー)を設けるとともに、調整変圧器20の一次側及び二次側にそれぞれ計器用変圧器と電圧調整継電器(90リレー)とを設けて、電力の順送時には二次側に設けた計器用変圧器と電圧調整継電器とを用いて二次側電圧を目標電圧に保つように電圧調整継電器から負荷時タップ切換器にタップ切換指令を与えることにより動作モードを二次側電圧調整モードとして電圧調整を行い、電力の逆送時には一次側に設けた計器用変圧器と電圧調整継電器とを用いて一次側電圧を目標電圧に保つように負荷時タップ切換器にタップ切換指令を与えることにより動作モードを一次側電圧調整モードとして電圧調整を行うようにしている。
【0022】
また逆送継電器を設けるとともに、計器用変圧器を一次側と二次側とに切換え接続する回路を設けて、電力の順送時には計器用変圧器を二次側に接続して二次側電圧調整モードで電圧調整を行わせ、逆送継電器により電力の逆送が検出されたときには、計器用変圧器を一次側に接続するとともに、タップ切換の方向を逆にするように電圧調整継電器からタップ切換え指令を発生させることにより、一次側電圧調整モードで電圧調整を行わせるようにした完全逆送形のSVRも知られている。
【0023】
また逆送時タップ固定形のSVRでは、電力順送時には二次側電圧を目標電圧に保つように動作モードを二次側電圧調整モードとし、電力の逆送が検出されたときに、一次側配電線2の電圧Vp の異常低下を生じさせないように、調整変圧器20のタップを予め設定したタップ(例えば素通しタップt4 )に固定するタップ固定モードとしている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のSVRでは、逆送継電器(67リレー)を設けて、該逆送継電器により電力の逆送が検出されたときに、SVRの動作モードを一次側電圧調整モードとするか、またはタップ固定モードとしていた。
【0025】
図4(C)及び(D)に示したように、SVR4の二次側が他系統の電源変電所に接続され、一次側が電源変電所から切り離される系統切換(SVR二次側系統切換)が行われたことに起因してSVRで電力の逆潮流が生じている場合(以下このような原因で生じる電力の逆潮流を単に系統切換に起因する電力の逆潮流という。)には、上記のような対策を講じることにより、一次側配電線2の電圧が異常低下するのを防ぐことができる。
【0026】
しかしながら、図2(A),(C)及び図3(A),(C)のように、電力の逆潮流が系統切換に起因するものではなく、SVRの一次側が電源変電所に接続され、二次側が電源変電所から切り離されている状態で、二次側で分散電源G2 が連系していることに起因して電力の逆潮流が生じている場合(以下このような原因で生じる電力の逆潮流を単に分散電源に起因する電力の逆潮流という。)には、SVR4の一次側の配電線2が電源変電所1aに接続されていて、一次側の電圧が変電所の電圧により固定されるため、電力の逆送時にSVRの動作モードを一次側電圧調整モードとして一次側の電圧を目標電圧に保つようにタップ切換を行うと、SVRの二次側以降の電圧を一次側の系統電圧の変動方向に暴走させることがあるという問題があった。
【0027】
例えば、SVR4の一次側電圧が低下すると、SVRの一次側電圧を上昇させるようにタップを降圧側(タップt1 側)に切り換えるが、一次側電圧が変電所の電圧により固定されていて上昇することができないために、該タップ切換が同方向に切り換え続けられることにより二次側電圧が低下してしまうことがあった。
【0028】
また電力の逆潮流がSVRの二次側で系統切換が行われたことに起因するものではなく、一次側が変電所に接続されている状態で二次側に分散電源が連系していることに起因するものである場合に、SVRの動作モードをタップ固定モードとして調整変圧器の一次側のタップを設定されたタップに固定すると、動作モードをタップ固定モードに切り換える直前に選択されていたタップが設定されたタップから離れたタップである場合に、SVRの二次側以降の系統電圧を異常に低下させるか、または上昇させるという問題があった。
【0029】
例えば、図5においてタップt9 が選択されている状態で電力の逆送が検出されて、タップが素通しタップt4 に固定されると、二次側配電線6の電圧が下がり過ぎることになり、タップt1 が選択されている状態で電力の逆送が生じてタップが素通しタップt4 に固定されると、二次側配電線6の電圧が上り過ぎることになる。
【0030】
上記のような問題を生じさせないようにするため、系統切換に起因する電力の逆潮流が生じたときには、SVRの動作モードを一次側電圧調整モードとしてSVRの一次側電圧を調整するようにするか、またはSVRの動作モードをタップ固定モードとしてタップを予め設定したタップに固定し、分散電源に起因する電力の逆潮流が検出されたときには、動作モードを、電力が順送されているときの定常時の動作モード(二次側電圧調整モード)のままとして、SVRの二次側の電圧を調整するようにするのが好ましい。
【0031】
ところが、従来用いられている逆送継電器は、電力の逆潮流が生じたことを検出することはできても、その逆潮流が系統切換に起因するのか、分散電源に起因するのかを判定できなかったため、系統切換に起因する電力の逆潮流が生じた場合と、分散電源に起因する電力の逆潮流が生じた場合とを識別して、SVRの動作モードを最適なモードに切り換えることができなかった。
【0032】
なお配電の自動化が進んでいる系統では、その機能を拡張することにより系統の各所で電力の潮流方向を監視して逆潮流の原因を分析し、その分析結果を各SVRに通信により伝送するシステムを構築することが考えられるが、このようなシステムの構築は多大のコストがかかるためいまだ実現していない。
【0033】
本発明の目的は、配電用自動電圧調整器で生じた電力の逆潮流が二次側で系統切換が行われて一次側が電源変電所から切り離され、二次側が他系統の電源変電所に接続されたことに起因するものであるのか、一次側が電源変電所に接続され、二次側で分散電源が連系していることに起因するものであるのかを各自動電圧調整器のところで判定することができる配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法及び該判定方法を実施する判定装置を提供することにある。
【0034】
本発明の他の目的は、配電用自動電圧調整器で生じた電力の逆潮流の原因に応じて該自動電圧調整器の動作モードを最適なモードに切り換えることができるようにした逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる逆潮流原因判定方法は、配電系統に設置された配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定する配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法に係わるもので、本発明においては、自動電圧調整器の一次側及び二次側でそれぞれ生じる電圧の変化を検出し、自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ自動電圧調整器の一次側で二次側よりも大きな電圧の変化が生じたことが検出されたときに、自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流(系統切換に起因する電力の逆潮流)が生じていると判定する。また自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ自動電圧調整器の二次側で一次側よりも大きな電圧の変化が生じたことが検出されたときに、自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流(分散電源に起因する電力の逆潮流)が生じていると判定する。
【0036】
上記一次側及び二次側の電圧の変化は、自動電圧調整器の調整動作(負荷時タップ切換式の自動電圧調整器ではタップ切換動作)が行われたときに生じる電圧の変化である。上記一次側及び二次側の電圧変化は常時行わせるようにしてもよいが、逆潮流の原因の判定を確実にするためには、自動電圧調整器の調整動作が行われた際に該自動電圧調整器の一次側及び二次側でそれぞれ生じる電圧の変化を検出するようにする(調整動作が行われていないときに検出された電圧変化は無視する)のが好ましい。
【0037】
また電力の逆潮流の原因の判定は、逆潮流が検出された後、最初にタップ切換が行われたときに行ってもよいが、逆潮流の原因を遅滞なく検出するためには、電力の逆潮流が検出されたときに、負荷に与える影響が少い方向(昇圧側または降圧側)にタップを1タップだけ強制的に切り換えて、その時の電圧変化を検出するようにするのが好ましい。
【0038】
配電用自動電圧調整器としては、負荷時タップ切換式のものが多く用いられている。負荷時タップ切換式の配電用自動電圧調整器が用いられる場合には、該自動電圧調整器のタップが切り換えられたときに自動電圧調整器の一次側及び二次側でそれぞれ生じる電圧の変化を検出するようにするのが好ましい。
【0039】
上記のように、自動電圧調整器が設けられた配電系統において、自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じている状態では、自動電圧調整器による調整動作が行われたときに、自動電圧調整器の一次側及び二次側で電圧の変化が生じる。
【0040】
ここで自動電圧調整器として負荷時タップ切換式のものが用いられているとし、図4(C),(D)に示したように、自動電圧調整器4の二次側の配電線が他系統の電源変電所に接続され、電力の逆潮流が生じている状態を考える。この状態では、他系統の電源変電所が安定電源として自動電圧調整器4の二次側の配電線に接続されているので、自動電圧調整器でタップが切り換えられると、自動電圧調整器4の二次側の電圧はほとんど変化しないが、一次側の電圧はタップ切換方向と同じ方向に少なくとも1タップ分変化する。従って、系統切換により電力の逆潮流が生じている状態では、自動電圧調整器4のタップが切り換えられたときに該自動電圧調整器の二次側の電圧は変化しないが、一次側では電圧が1タップ分変化する。
【0041】
これに対し、図2(A),(C)及び図3(A),(C)に示したように、自動電圧調整器の二次側で分散電源が連系していることに起因して電力の逆潮流が生じている状態では、安定電源である電源変電所が自動電圧調整器の一次側の配電線に接続されているので、自動電圧調整器のタップが切り換えられると、自動電圧調整器の一次側の電圧はほとんど変化しないが、二次側では顕著な電圧変化が生じる。
【0042】
上記のように、電力の逆潮流が生じている状態で自動電圧調整器のタップ切換が行われると、その逆潮流が系統切換に起因するものであるときには、自動電圧調整器の一次側で顕著な電圧変化が生じ、その逆潮流が系統切換によるものではなく、分散電源に起因するものであるときには、自動電圧調整器の二次側で顕著な電圧変化が生じる。
【0043】
実際に、系統切換により電力の逆潮流が生じている状態で自動電圧調整器の調整動作が行われたときの自動電圧調整器の一次側及び二次側の電圧の変化と、系統切換が行われていない状態で分散電源に起因して電力の逆潮流が生じている状態で、自動電圧調整器の電圧調整動作が行われたときの一次側及び二次側の電圧の変化とを検証した結果、系統切換に起因して電力の逆潮流が生じている状態では、自動電圧調整器の電圧調整動作が行われたときにその一次側で二次側よりも大きな電圧の変化が生じ(実質的に一次側のみで電圧の変化が生じ)、二次側で分散電源が連系していることに起因して電力の逆潮流が生じている状態では、自動電圧調整器で電圧調整換動作が行われたときにその二次側で一次側よりも大きな電圧の変化が生じる(実質的に二次側のみで電圧の変化が生じる)ことが明らかになった。
【0044】
従って、逆送継電器のような電力逆潮流検出装置により、配電用自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されたときに、自動電圧調整器の一次側及び二次側でそれぞれ生じる電圧の変化を検出すると、自動電圧調整器の一次側で二次側よりも大きな電圧の変化が検出されたときに系統切換に起因する電力の逆潮流が生じていると判定することができ、また自動電圧調整器の二次側で一次側よりも大きな電圧の変化が生じたことが検出されたときに分散電源に起因する電力の逆潮流が生じていると判定することができる。
【0045】
上記の説明では、自動電圧調整器の一次側で二次側よりも大きな電圧の変化が検出されたときに自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、自動電圧調整器の二次側で一次側よりも大きな電圧の変化が生じたことが検出されたときに自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定するとしたが、自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ自動電圧調整器の一次側でしきい値以上の電圧の変化が生じたことが検出されたときに自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ自動電圧調整器の二次側でしきい値以上の電圧変化が生じたことが検出されたときに自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定するようにしてもよい。
【0046】
また本発明においては、自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の一次側電圧の時間的変化率が二次側電圧の時間的変化率(微分値)よりも大きいときに、自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ自動電圧調整器の二次側電圧の時間的変化率が一次側電圧の時間的変化率よりも大きいときに、自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定するようにしてもよい。
【0047】
一次側電圧の時間的変化率と二次側電圧の時間的変化率の大小を判定するには、例えば一次側電圧を整流して得た一次側電圧の平均値Va1の微分値D1 =dVa1/dtと、二次側電圧を整流して得た二次側電圧の平均値Va2の微分値D2 =dVa2/dtとの差D1 −D2 の絶対値がしきい値以下であるか否かを判定するようにすればよい。
【0048】
本発明に係わる逆潮流原因判定方法を実施する逆潮流原因判定装置は、例えば、自動電圧調整器の一次側及び二次側の電圧をそれぞれ検出する第1の電圧検出装置及び第2の電圧検出装置と、第1の電圧検出装置の出力及び第2の電圧検出装置の出力をそれぞれデジタル値に変換して第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値を出力する第1及び第2のA/D変換器と、第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値をそれぞれ一定のサンプリング周期でサンプリングして、それぞれの検出値をサンプリングする毎に、今回サンプリングされた第1の電圧検出値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされた第1の電圧検出値との差である第1の電圧変化分及び今回サンプリングされた第2の電圧検出値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされた第2の電圧検出値との差である第2の電圧変化分を演算する電圧変化分演算手段と、第1の電圧変化分と第2の電圧変化分との差を逆潮流原因判定値として演算する逆潮流原因判定値演算手段と、電力逆潮流検出装置により自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で逆潮流原因判定値の符号から第1の電圧変化分が第2の電圧変化分よりも大きいと判定されたときに自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、電力逆潮流検出装置により自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で逆潮流原因判定値の符号から第2の電圧変化分が第1の電圧変化分よりも大きいと判定されたときに自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定する電力逆潮流原因判定手段とを備えることにより構成できる。
【0049】
電力の逆潮流が生じている状態で、自動電圧調整器による電圧調整動作が行われたときに、その一次側及び二次側で生じる電圧の変化は調整変圧器の1タップ分に相当する微小なものである。上記のように、電圧の検出値をデジタル値に変換して、その変化を検出するようにすると、自動電圧調整器のタップ切換時の電圧変化を高い分解能をもって正確に検出することができるので、電力の逆潮流の原因の判定を高精度で確実に行うことができる。
【0050】
また上記のように構成すると、自動電圧調整器の一次側電圧の変化と二次側電圧の変化との差の符号を見るだけで電力の逆潮流の原因を判定でき、複雑な演算を必要としないため、判定装置の構成を簡単にすることができる。
【0051】
なお上記逆潮流原因判定手段は、電力逆潮流検出装置により電力の逆潮流が生じていることが検出されていて、かつ第1の電圧変化分がしきい値以上であるときに該電力の逆潮流が系統切換に起因したものであると判定し、電力逆潮流検出装置により電力の逆潮流が生じていることが検出されていて、かつ第2の電圧変化分がしきい値以上であるときに分散電源に起因した電力の逆潮流が生じていると判定するように構成することもできる。
【0052】
このように構成すると、電圧変化分の演算や逆潮流原因判定値の演算を行う必要がないため、判定装置の構成を簡単にすることができる。
【0053】
また上記逆潮流原因判定装置は、自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じたことを検出する電力逆潮流検出装置と、自動電圧調整器の一次側電圧及び二次側電圧をそれぞれ検出する第1及び第2の電圧検出器と、第1の電圧検出器の出力及び第2の電圧検出器の出力をそれぞれ整流する第1及び第2の整流器と、第1の整流器の出力及び第2の整流器の出力をそれぞれ微分する第1及び第2の微分器と、電力逆潮流検出装置により自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で第1の微分器の出力が第2の微分器の出力よりも大きいことが検出されたときに自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、電力逆潮流検出装置により自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で第2の微分器の出力が第1の微分器の出力よりも大きいことが検出されたときに自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定する電力逆潮流原因判定手段とを備えることにより構成することもできる。
【0054】
上記逆潮流原因判定装置において、デジタル処理により整流器の出力の微分値を求めるようにすることもできる。この場合には、第1の整流器の出力及び第2の整流器の出力をそれぞれデジタル値に変換して第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値を出力する第1及び第2のA/D変換器と、第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値をそれぞれ一定のサンプリング周期でサンプリングして、それぞれの検出値をサンプリングする毎に、前回以前のサンプリング時から今回のサンプリング時までの第1の電圧検出値の時間的変化率である第1の電圧変化率と、前回以前のサンプリング時から今回のサンプリング時までの第2の電圧検出値の時間的変化率である第2の電圧変化率とを演算する電圧変化率演算手段とを設ける。
【0055】
またこの場合電力逆潮流原因判定手段は、電力逆潮流検出装置により自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で第1の電圧変化率が第2の電圧変化率よりも大きいことが検出されたときに自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、電力逆潮流検出装置により自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で第2の電圧変化率が第1の電圧変化率よりも大きいことが検出されたときに自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定するように構成する。
【0056】
本発明に係わる電力逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法は、二次側電圧を目標電圧に保つように調整する二次側電圧調整モードと、一次側電圧を目標電圧に保つように調整する一次側電圧調整モード及び調整変圧器のタップを予め定めたタップに固定するタップ固定モードの少なくとも一方とに動作モードを切り換え得る配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定して、その判定結果に応じて前記配電用自動電圧調整器の動作モードを決定する方法で、本発明においては、系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定されたときに自動電圧調整器の動作モードを、タップ固定モードまたは一次側電圧調整モードとし、分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定されたときには、自動電圧調整器の動作モードを電力が順送されているときの動作モードである二次側電圧調整モードとする。
【0057】
上記のように、電力の逆潮流が二次側で分散電源が連系していることに起因することが検出されたときに、自動電圧調整器の動作モードを電力が順送されている定常時の動作モードである二次側電圧調整モードのままとすると、動作モードを一次側電圧調整モードに切り換えた場合のように、自動電圧調整器の二次側の電圧が異常に低下するのを防いで、電圧の品質を維持することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
図6は、本発明に係わる電力逆潮流時自動電圧調整器制御方法を実施する制御装置の構成を示したもので、同図において40は例えば完全逆送形の負荷時タップ切換式SVR、2及び6はそれぞれSVR40の一次側及び二次側の配電線である。
【0059】
完全逆送形のSVR40は例えば図7に示すように構成される。図7において20はタップt1 〜t9 を備えた調整変圧器、21はモード切換信号Vt に応じて調整変圧器20のタップt1 〜t9 を切り換える負荷時タップ切換器、24a及び24bはそれぞれ調整変圧器の一次側及び二次側の電圧を検出する第1の計器用変圧器24a及び第2の計器用変圧器24bである。第1の計器用変圧器24aの二次コイルの両端には第1の電圧調整継電器25aと第1のLDC26a(線路電圧降下補償器)とが直列に接続され、第2の計器用変圧器24bの二次コイルの両端には第2の電圧調整継電器25bと第2のLDC26bとが直列に接続されている。また一次側配電線2及び二次側配電線6の線路電流を検出する第1及び第2の変流器27a及び27bが設けられていて、これらの変流器27a及び27bの出力がそれぞれ第1及び第2のLDC26a及び26bに入力されている。
【0060】
第1の電圧調整継電器25aは、第1の計器用変圧器24aの出力電圧から一次側配電線2の電圧を検出して、一次側の電圧Vp を目標電圧に保つように(一次側電圧調整モードで)タップ切換指令Vtaを発生する。また第2の電圧調整継電器25bは、第2の計器用変圧器24bの出力電圧から二次側配電線6の電圧を検出して、二次側の電圧Vs を目標電圧に保つように(二次側電圧調整モードで)タップ切換指令Vtbを発生する。電圧調整継電器25a及び25bがそれぞれ発生するタップ切換指令Vta及びVtbは動作モード切換回路28を通して負荷時タップ切換器21に与えられている。動作モード切換回路28は電力逆潮流原因判定装置30が判定結果に応じて発生する原因判定信号Vj に応じてタップ切換指令Vta及びVtbのいずれかを選択して負荷時タップ切換器21にモード切換信号Vt を与える回路である。
【0061】
LDC26aは、一次側配電線2の線路インピーダンスを模擬した抵抗とリアクタンスとから成っていて、該抵抗及びリアクタンスに変流器27aの出力電流が流れるようになっている。LDC26aの両端には線路インピーダンスによる電圧降下に比例した電圧降下が生じ、この電圧降下分だけ電圧調整継電器25aに印加される電圧が低くなることにより、一次側配電線2の線路インピーダンスによる電圧降下が補償される。
【0062】
同様に、LDC26bは、二次側配電線6の線路インピーダンスを模擬した抵抗とリアクタンスとから成っていて、該抵抗及びリアクタンスに変流器27bの出力電流が流れるようになっている。LDC26bの両端には線路インピーダンスによる電圧降下に比例した電圧降下が生じ、この電圧降下分だけ電圧調整継電器25bに印加される電圧が低くなることにより、二次側配電線6の線路インピーダンスによる電圧降下が補償される。
【0063】
図6に示した判定装置30は、SVR40の一次側及び二次側の電圧をそれぞれ検出する第1の電圧検出装置31a及び第2の電圧検出装置31bを備え、第1及び第2の電圧検出装置31a及び31bの出力がそれぞれ第1及び第2のピーク検出回路32a及び32bに入力されている。第1及び第2のピーク検出回路32a及び32bの出力はそれぞれ第1及び第2のトラックホールド(T/H)回路33a及び33bを通して第1及び第2のA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)34a及び34bに入力され、これらの変換器から得られるデジタル信号がマイクロコンピュータ35に入力されている。また36はSVR40で電力の逆潮流が生じたことを検出する公知の逆送継電器(67リレー)で、この逆送継電器の出力は、マイクロコンピュータ35に与えられている。マイクロコンピュータ35は電力の逆潮流原因の判定結果に応じて、SVR40の動作モードを切り換えるための原因判定信号Vj をSVR40の動作モード切換回路28に与える。
【0064】
第1の電圧検出装置31a及び第2の電圧検出装置31bはそれぞれ、図7に示した第1の計器用変圧器24a及び第2の計器用変圧器24bと、これらの計器用変圧器の出力を入力として、一次側配電線2及び二次側配電線6の線路電圧に比例した電圧信号を出力するバッファ回路とにより構成することができる。
【0065】
図示の例では、第1及び第2の電圧検出装置31a及び31bと、第1及び第2のピーク検出回路32a及び32bと、第1及び第2のトラックホールド回路33a及び33bと、第1及び第2のA/D変換器34a及び34bと、マイクロコンピュータ35と、逆送継電器36とにより電力逆潮流原因判定装置30が構成されている。
【0066】
逆送継電器36は、SVR40の一次側または二次側の配電線のU相及びW相間の電圧を検出する計器用変圧器の出力信号と、U相及びW相の線路電流をそれぞれ検出する変流器の合成出力とを入力として、U相,W相間の電圧ベクトルと、U相及びW相の線路電流の合成ベクトルとの位相差を検出することにより、電力が順送されているか逆送されているかを検出する。
【0067】
図6に示された制御装置において、第1及び第2の電圧検出装置31a及び31bはそれぞれ、SVR40の一次側の配電線電圧及び二次側の配電線電圧にそれぞれ比例した検出信号電圧を第1及び第2のピーク検出回路32a及び32bに入力する。第1及び第2のピーク検出回路32a及び32bはそれぞれ入力信号のピーク値を検出して、SVR40の一次側の配電線電圧及び二次側の配電線電圧のピーク値を示すアナログ信号を第1及び第2のトラックホールド回路33a及び33bに与える。トラックホールド回路33a及び33bはそれぞれA/D変換器34a及び34bがアナログ信号をデジタル信号に変換するために要する処理時間の間、ピーク検出回路32a及び32bが出力した信号を保持する回路で、トラックホールド回路33a及び33bはそれぞれSVR40の一次側の配電線電圧及び二次側の配電線電圧のピーク値に相応した大きさを有するアナログ信号をA/D変換器34a及び34bに与える。
【0068】
第1及び第2のA/D変換器34a及び34bはそれぞれピーク検出回路32a及び32bが検出した一次側の配電線電圧のピーク値及び二次側の配電線電圧のピーク値を与えるアナログ信号の大きさをデジタル値に変換して、これらのデジタル値を第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値としてマイクロコンピュータ35に与える。
【0069】
マイクロコンピュータ35は、所定のプログラムを実行することにより、電圧変化分演算手段と、逆潮流原因判定値演算手段と、電力逆潮流原因判定手段とを実現する。
【0070】
マイクロコンピュータが実現する電圧変化分演算手段は、第1及び第2のA/D変換器34a及び34bが出力する第1の電圧検出値(一次側電圧のピーク値)及び第2の電圧検出値(二次側電圧のピーク値)をそれぞれ一定のサンプリング周期でサンプリングして、例えば図8(A)及び(B)に示すようにサンプリング時間T1 ,T2 ,…においてそれぞれサンプリングした第1の電圧検出値V1 ,V2 ,…及び第2の電圧検出値V1 ´,V2 ´,…を順次メモリに記憶させる。
【0071】
電圧変化分演算手段はまた、第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値をサンプリングする毎に、第1の電圧検出値の今回のサンプリング値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされた第1の電圧検出値のサンプリング値との差を第1の電圧変化分として演算し、第2の電圧検出値の最新のサンプリング値と前回以前にサンプリングされた第2の電圧検出値のサンプリング値との差を第2の電圧変化分として演算して、それぞれの演算結果をメモリに記憶させる。
【0072】
逆潮流原因判定値演算手段は、上記第1の電圧変化分と第2の電圧変化分との差を逆潮流原因判定値として演算して、その演算結果をメモリに記憶させる。逆潮流原因判定値を演算する際には、第1の電圧変化分から第2の電圧変化分を減じてもよく、第2の電圧変化分から第1の電圧変化分を減じてもよいが、本実施形態では、第1の電圧変化分から第2の電圧変化分を減じるものとする。
【0073】
電力逆潮流原因判定手段は、逆送継電器36により電力の逆潮流が検出されたときに上記逆潮流原因判定値の符号が正であるか負であるかを判定して、逆潮流原因判定値の符号から第1の電圧変化分が第2の電圧変化分よりも小さいと判定されたときに分散電源に起因した電力の逆潮流が生じていると判定し、逆潮流原因判定値の符号から第1の電圧変化分が第2の電圧変化分よりも大きいと判定されたときに系統切換に起因した電力の逆潮流が生じていると判定する。
【0074】
図8(A)及び(B)は、図4(C)または(D)に示すようにSVR40の一次側の配電線が変電所から切り離され、該SVRの二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われて電力の逆潮流(系統切換による電力の逆潮流)が生じている状態で、調整変圧器のタップが一次側から見て昇圧方向(二次側電圧を上昇させる方向)に切り換えられたときの一次側配電線電圧及び二次側配電線電圧の変化を示している。これらの図においてT1 ,T2 ,…はサンプリング時間を示し、V1 ,V2 ,…はそれぞれサンプリング時間T1 ,T2 ,…にサンプリングされた第1の電圧検出値(ピーク電圧値)を示している。またV1',V2',…はそれぞれサンプリング時間T1 ,T2 ,…にサンプリングされた第2の電圧検出値を示している。
【0075】
この例では、サンプリング時間T4 において調整変圧器のタップが1タップ切り換えられている。SVRの二次側で系統切換が行われた状態では、SVRの二次側に安定電源である変電所が接続され、SVRの一次側は変電所から切り離されているので、図8(B)に示すようにタップ切換が行われてもSVRの二次側の電圧はほとんど変化しないが、一次側の電圧は図8(A)に示すように1タップ分だけタップ切換の方向と反対方向に変化する。図示の例では、タップが一次側から見て昇圧方向に1タップ切り換えられているが、このタップ切換方向は、二次側から見ると降圧方向であるので、SVRの一次側電圧はタップ切換が行われたときに1タップ分だけ低下する。
【0076】
図9(A)及び(B)は、同じくSVR4で系統切換による逆潮流が生じている状態で、調整変圧器のタップが一次側から見て降圧方向(二次側電圧を低下させる方向)に1タップ切り換えられたときの一次側電圧及び二次側電圧の変化を示している。この場合には、タップ切換が行われたときに二次側電圧はほとんど変化しないが、一次側電圧は1タップ分だけ上昇する。
【0077】
図10(A)及び(B)は、図2(A),(C)または図3(A),(C)に示すように、SVRの一次側が電源変電所に接続され、二次側が電源変電所から切り離されている状態(二次側系統切換が行われていない状態)で、二次側で分散電源が連系していることに起因して電力の逆潮流が生じている場合に、サンプリング時間T4 においてタップが一次側から見て昇圧方向(二次側電圧を上昇させる方向)に1タップ切り換えられたときの一次側電圧及び二次側電圧の変化を示している。二次側系統切換が行われていないときには、SVRの一次側の配電線が安定電源である電源変電所に接続されているので、系統に接続されている分散電源に起因して逆潮流が生じている状態でタップが昇圧側に切り換えられると、図10(A)に示すようにSVRの一次側電圧はほとんど変化しないが、二次側電圧は図10(B)に示すようにタップの切り換え方向と同方向に変化する。
図11(A)及び(B)は、系統切換が行われていない状態で、分散電源に起因して電力の逆潮流が生じている場合に、サンプリング時間T4 においてタップが降圧方向(二次側電圧を低下させる方向)に1タップ切り換えられたときの一次側電圧及び二次側電圧の変化を示している。この場合は、SVRの一次側の電圧はほとんど変化しないが、二次側電圧が1タップ分だけ下降する。
【0078】
上記のように、SVRにおいて系統切換に起因して電力の逆潮流が生じているときには、SVRのタップが切り換えられたときに、その一次側で二次側よりも大きな電圧変化が生じ、分散電源に起因する電力の逆潮流が生じたときには、タップが切り換えられたときにSVRの二次側で一次側よりも大きな電圧変化が生じる。従って、これらの電圧変化を検出することにより、電力の逆潮流が、二次側で系統切換が行われたことに起因するものであるのか、二次側で分散電源が連系したことに起因するものであるのかを判定することができる。
【0079】
本発明においては、上記一次側電圧の変化を検出するために、例えばSVRの一次側電圧のピーク値である第1の電圧検出値がサンプリングされる毎に、今回のサンプリング値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされてメモリに記憶されているサンプリング値との差の絶対値を第1の電圧変化分として演算する。
【0080】
また二次側電圧の変化を検出するために、SVRの二次側電圧のピーク値である第2の電圧検出値がサンプリングされる毎に、今回のサンプリング値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされてメモリに記憶されているサンプリング値との差の絶対値を第2の電圧変化分として演算する。そして、逆潮流原因判定値演算手段により、上記第1の電圧変化分から第2の電圧変化分を引き算して逆潮流原因判定値を演算して、この逆潮流原因判定値の符号から第1の電圧変化分が第2の電圧変化分よりも小さいと判定されたときに分散電源に起因した電力の逆潮流が生じていると判定し、逆潮流原因判定値の符号から第1の電圧変化分が第2の電圧変化分よりも大きいと判定されたときに系統切換に起因した電力の逆潮流が生じていると判定する。
【0081】
なおSVRの一次側電圧の変化分及び二次側電圧の変化分を求める際には、サンプリングのタイミングとタップ切換のタイミングとが一致すると計測される電圧値が不安定になり、また差をとるサンプリング値のサンプリング時間が離れ過ぎているとタップ切換以外の系統の電圧変化の影響を受けてタップ切換による電圧の変化分を正確に検出できなくなるので、今回の(最新の)サンプリング値と前回のサンプリング値との差をとるのではなく、今回のサンプリング値と前々回のサンプリング時のサンプリング値との差をとるようにするのが好ましい。
【0082】
即ち、図8ないし図11に示したようにサンプリングが行われる場合には、第1の電圧検出値(一次側電圧のピーク値)V3 ,V4 ,…がサンプリングされる毎に、今回のサンプリング値と前々回のサンプリング値との差V3 −V1 ,V4 −V2 ,…を演算してそれぞれの絶対値をとることにより第1の電圧変化分を演算し、第2の電圧検出値(二次側電圧のピーク値)V3',V4',…がサンプリングされる毎に、V3'−V1',V4'−V2',…を演算してそれぞれの絶対値をとることにより第2の電圧変化分を演算するのが好ましい。
【0083】
図8及び図9に示した例において、第1の電圧検出値V3 ,V4 ,…がサンプリングされる毎に、V3 −V1 ,V4 −V2 ,…の絶対値を演算して第1の電圧変化分を演算し、第2の電圧検出値V1',V2',…がサンプリングされる毎に、V3'−V1',V4'−V2',…の絶対値を演算して、第1の電圧変化分から対応する第2の電圧変化分を減算することにより、逆潮流原因判定値を演算した結果を表1に示した。
【0084】
【表1】
Figure 0003992212
図8及び図9に示したように、二次側系統切換が行われたことに起因する電力の逆潮流が生じていても、タップが切り換えられない場合(タップが固定されている場合)には、逆潮流原因判定値が零である。これに対し、系統切換に起因して電力の逆潮流が生じている状態でタップが切り換えられたときには、SVRの一次側で二次側よりも大きな電圧変化が生じるため、SVRのタップが昇圧方向及び降圧方向のいずれの方向に切り換えられた場合も、上記逆潮流原因判定値の符号は正になる。
【0085】
また二次側で分散電源が連系していることに起因して電力の逆潮流が生じている状態でタップが切り換えられたときには、図10及び図11に示したように、SVRの二次側で一次側よりも大きな電圧変化が生じるため、SVRの一次側の電圧の変化分(絶対値)から二次側の電圧の変化分(絶対値)を減算して求めた逆潮流原因判定値の符号は負になる。
【0086】
従って、これら判定値の符号を見ることにより、電力の逆潮流の原因が系統切換によるものか、分散電源によるものかを判定することができる。
【0087】
本発明においては、上記のようにして、SVRで生じた電力の逆潮流が系統切換に起因するものであるのか、分散電源に起因するものであるのかを判定して、SVRで生じた電力の逆潮流が系統切換に起因するものであると判定されたときには、SVRの動作モードを、SVRの一次側の電圧を目標電圧に保つように調整する一次側電圧調整モードとする。またSVRで生じた電力の逆潮流が分散電源に起因するものであると判定されたときには、SVRの動作モードを電力が順送されている定常時の動作モードである二次側電圧調整モードのままとする。
【0088】
上記のように、逆潮流原因判定値の符号から逆潮流の原因を判定して、その判定結果に基づいてSVRの動作モードを切り換えるように制御する場合に、マイクロコンピュータ35が実行するプログラムのアルゴリズムの一例を示すと図12のようになる。
【0089】
即ち、このアルゴリズムによりSVRを制御する場合には、先ずステップ1において逆送継電器36により電力の逆潮流が生じているか否かを判定する。その結果電力の逆潮流が検出されていないと判定されたときには、ステップ2に移行してSVR40の動作モードを二次側電圧調整モードとする。このときマイクロコンピュータ35は、SVR40の電圧調整継電器25bが発生するタップ切換指令Vtbを負荷時タップ切換器21に与えるように、動作モード切換回路28に原因判定信号Vj を与える。このときタップ切換器21は、電圧調整継電器25bが発生するタップ切換指令に応じて調整変圧器20のタップを切り換えて調整変圧器の二次側の配電線の電圧を目標電圧に保つように電圧調整を行う。ステップ2においてSVRの動作モードを二次側電圧調整モードとした後、電力の逆潮流が検出されているか否かを判定するステップ1に戻る。
【0090】
またステップ1において逆送継電器36が電力の逆潮流を検出していると判定されたときには、ステップ3に移行して、一次側電圧がサンプリングされた時に今回サンプリングされた一次側電圧のサンプリング値Vn と前々回のサンプリング時にサンプリングされたサンプリング値Vn-2 との差の絶対値を第1の電圧変化分ΔV1 として演算し、続いてステップ4において、二次側電圧がサンプリングされた時に今回サンプリングされた二次側電圧のサンプリング値Vn'と前々回のサンプリング時にサンプリングされたサンプリング値Vn-2'との差の絶対値を第2の電圧変化分ΔV2 として演算する。
【0091】
次いでステップ5において、第1の電圧変化分ΔV1 から第2の電圧変化分ΔV2 を演算して、逆潮流原因判定値F(=ΔV1 −ΔV2 )を演算し、ステップ6において、判定値Fの符号が正であるか否かを判定する。その結果判定値Fの符号が正である場合(電力の逆潮流が系統切換に起因している場合)には、ステップ7に移行してSVR40の動作モードを一次側電圧調整モードとするべくSVRの動作モード切換回路28に原因判定信号Vj を与える。
【0092】
このとき動作モード切換回路28は、電圧調整継電器25aが発生するタップ切換指令Vtaを負荷時タップ切換器21に与えて、調整変圧器20の一次側電圧を目標電圧に保つように電圧調整動作を行わせる。
【0093】
またステップ6において判定値Fの符号が正でないと判定されたときには、ステップ8に移行して判定値Fが負であるか否かを判定し、判定値が負である場合(二次側で分散電源が連系していることに起因して電力の逆潮流が生じている場合)には、ステップ9に移行してSVR40の動作モードを二次側電圧調整モードとするべくSVRの動作モード切換回路28に原因判定信号Vj を与える。ステップ9で動作モードを二次側電圧調整モードとした後ステップ1に戻る。
【0094】
ステップ8において、判定値Fが負でないと判定されたとき(タップ切換が行われていないためF=0のとき)にはステップ1に戻り、タップ切換が行われて判定値Fが正または負になるまでステップ3ないし8を繰り返す。
【0095】
上記のように、逆潮流の原因が分散電源にあることが検出されたときに、SVRの動作モードを電力が順送されている定常時の動作モードである二次側電圧調整モードのままとすると、二次側で分散電源が連系していることに起因して電力の逆潮流が生じているときに動作モードを一次側電圧調整モードとした場合のように、SVRの二次側の電圧が異常に低下するのを防ぐことができるため、電力の逆送時にも系統の電圧の品質を維持することができる。
【0096】
図12に示したアルゴリズムによる場合には、ステップ3及び4により第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値をそれぞれ一定のサンプリング周期でサンプリングして、それぞれの検出値をサンプリングする毎に、今回サンプリングされた第1の電圧検出値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされた第1の電圧検出値との差である第1の電圧変化分及び今回サンプリングされた第2の電圧検出値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされた第2の電圧検出値との差である第2の電圧変化分を演算する電圧変化分演算手段が実現される。
【0097】
またステップ5により第1の電圧変化分と第2の電圧変化分との差を逆潮流原因判定値として演算する逆潮流原因判定値演算手段が実現される。
【0098】
更に、ステップ6及び8により、電力逆潮流検出装置によりSVRで電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で逆潮流原因判定値の符号から第1の電圧変化分が第2の電圧変化分よりも大きいと判定されたときにSVRの一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、電力逆潮流検出装置によりSVRで電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で逆潮流原因判定値の符号から第2の電圧変化分が第1の電圧変化分よりも大きいと判定されたときにSVRの一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定する電力逆潮流原因判定手段が実現される。
【0099】
そして、第1の電圧検出装置31a及び第2の電圧検出装置31bと、第1及び第2のA/D変換器34a及び34bと、マイクロコンピュータ35により実現される上記電圧変化分演算手段、逆潮流原因判定値演算手段、及び電力逆潮流原因判定手段により、本発明に係わる電力逆潮流原因判定装置が構成される。
【0100】
図12に示した例では、電力の逆潮流が検出されたときに、SVRでタップが切り換えられて一次側電圧及び二次側電圧に変化が現れるのを待つようにしているが、逆送継電器などの逆潮流検出装置により電力の逆潮流が検出されたときに直ちに逆潮流の原因を調べるために系統電圧に大きな影響がない方向にタップを切り換えるようにしてもよい。
【0101】
上記の例では、SVRの一次側で二次側よりも大きな電圧の変化が検出されたときにSVRの一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、SVRの二次側で一次側よりも大きな電圧の変化が生じたことが検出されたときにSVRの一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定するとしたが、SVRで電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつSVRの一次側でしきい値以上の電圧の変化が生じたことが検出されたときにSVRの一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、SVRで電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつSVRの二次側でしきい値以上の電圧変化が生じたことが検出されたときにSVRの一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定するようにしてもよい。
【0102】
ここで、SVRの調整変圧器のタップ間電圧が100[V]である場合、その電圧を検出するPTの変成比を1/60とすると、電力の逆潮流が生じている状態でタップ切換が行われたときに調整変圧器の一次側または二次側で生じる電圧の変化は1.6[V][=100×(1/60)]以下で、微小なものであるため、本発明の方法を実施するに際しては高い検出精度が必要になる。したがって、電圧の変化分の演算はデジタル演算により行うのが好ましい。
【0103】
上記の例では、SVRの一次側電圧の変化分と二次側電圧の変化分とを比較するか、または一次側電圧及び二次側電圧をそれぞれしきい値と比較することにより電力の逆潮流が二次側で行われた系統切換えによるものか、二次側で連系している分散電源に起因するものかを判定するようにしたが、本発明においてはまた、一次側電圧の時間的変化率(微分値)と二次側電圧の時間的変化率(微分値)とを比較することにより、電力の逆潮流が生じている原因を判定するようにしてもよい。
【0104】
図13及び図14は、一次側電圧の時間的変化率と二次側電圧の時間的変化率とを比較することにより、電力の逆潮流が生じている原因を判定する場合の判定装置の構成を示したもので、図14においてPT1 は、U相ないしW相の一次側配電線2u〜2wのうちのU相とW相の配電線2u,2w間の電圧を検出する第1の計器用変圧器、PT2 は、U相ないしW相の二次側配電線6u〜6wのうちのU相とW相の配電線6u,6w間の電圧を検出する第2の計器用変圧器であり、第1の計器用変圧器PT1 及び第2の計器用変圧器PT2 によりそれぞれSVRの一次側電圧及び二次側電圧をそれぞれ検出する第1及び第2の電圧検出装置が構成されている。
【0105】
第2の計器用変圧器PT2 の出力は180度位相を反転させたU相の電流とW相の電流との合成電流を検出する変流器CT1 の出力とともに逆送継電器(67リレー)36に入力されている。逆送継電器36は、計器用変圧器PT2 により検出されたU相、W相間の電圧ベクトルと、変流器CT1 により検出されたU相及びW相の線路電流の合成ベクトルとの位相差を検出することにより、電力が順送されているか逆送されているかを検出する。逆送継電器36は常開接点36aを有していて、SVR40で電力の逆潮流が生じていることを検出したときに接点36aを閉じることにより逆電流検出信号を出力する。接点36aの閉成により与えられる逆潮流検出信号は計器用変圧器PT1 及びPT2 により検出される一次側電圧及び二次側電圧の検出値とともに逆潮流原因判定部50に与えられている。
【0106】
なお図7に示すような完全逆送形のSVRを用いる場合には、調整変圧器の一次側及び二次側にそれぞれ設けられている計器用変圧器24a及び24bをそれぞれ上記第1及び第2の計器用変圧器PT1 及びPT2 として用いることができる。
【0107】
逆潮流原因判定部50は例えば図14に示すように構成される。図14に示した逆潮流原因判定部50は、計器用変圧器PT1 及びPT2 の出力信号をそれぞれ直流信号に変換する第1及び第2の整流器51及び52と、これらの整流器の出力をそれぞれ微分する第1の微分器53及び第2の微分器54と、第1の微分器53の出力D1 と第2の微分器54の出力D2 とを比較して電力の逆潮流の原因を判定する第1の変化率判定器55及び第2の変化率判定器56とにより構成されている。この例では、第1の変化率判定器55及び第2の変化率判定器56により、電力逆潮流原因判定手段57が構成されている。この電力逆潮流原因判定手段は、電力逆潮流検出装置によりSVRで電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で第1の微分器53の出力が第2の微分器54の出力よりも大きいことが検出されたときにSVR40の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定して第1の変化率判定器55から判定信号Q1 を出力し、SVRで電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で第2の微分器の出力が第1の微分器の出力よりも大きいことが検出されたときにSVRの一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定して第2の変化率判定器56から判定信号Q2 を出力する。
【0108】
第1の微分器53及び第2の微分器54は、それぞれの入力電圧が図15(A)に示すように上昇した時に、図15(B)に示すようなパルス状の微分信号を出力する。この微分信号の波高値は、入力電圧の立上がりが速ければ速いほど高くなり、入力電圧の変化量が大きければ大きい程高くなる。
【0109】
また第1の微分器53及び第2の微分器54は、それぞれの入力電圧が図16(A)に示すように下降した時に、図16(B)に示すようなパルス状の微分信号を出力する。この微分信号の波高値は、入力電圧の立下がりが早ければ早い程高くなり、入力電圧の変化量が大きければ大きい程高くなる。
【0110】
第1の変化率判定器55は、第1の微分器53の出力信号の大きさd1 から第2の微分器54の出力信号d2 の大きさを減算することにより逆潮流原因判定値d1 −d2 を演算してその逆潮流原因判定値をしきい値do と比較し、逆潮流原因判定値がしきい値よりも大きいとき(判定条件d1 −d2 >do >0が成立したとき)に、一次側電圧の時間的変化率が二次側電圧の時間的変化率よりも大きいとして、電力の逆潮流が系統切換に起因するものであることを示す判定信号Q1 を出力する。
【0111】
第2の変化率判定器56は、第2の微分器54の出力信号の大きさd2 から第1の微分器53の出力信号の大きさd1 を減算することにより逆潮流原因判定値d2 −d1 を演算してその逆潮流原因判定値をしきい値do と比較し、逆潮流原因判定値がしきい値よりも大きいとき(判定条件d2 −d1 >do >0が成立したとき)に、二次側電圧の時間的変化率が一次側電圧の時間的変化率よりも大きいとして、電力の逆潮流が分散電源に起因するものであることを示す判定信号Q2 を出力する。
【0112】
SVR40の二次側で系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じている状態で、タップが昇圧側に切換えられると、SVRの一次側では図8(A)に示すように大きな電圧の変化が生じるが、二次側では電圧の変化はほとんど生じない。またタップが降圧側に切換えられた場合には、SVRの一次側で図9(A)に示すような電圧の変化が生じるが、二次側ではほとんど電圧の変化が生じない。
【0113】
したがって、電力の逆潮流の原因が二次側で行われた系統切換に起因する場合には、タップの切換え方向の如何に係わりなく、タップ切換え時に図17(A)に示すように、第1の微分器53から波高値が高い微分信号が得られるが、第2の微分器54は図17(B)に示すように微小な微分信号しか発生しない。このときd1 −d2 >do >0の判定条件が成立するため、第1の変化率判定器55は、図17(C)に示すように電力の逆潮流が系統切換えに起因するものであることを示す判定信号Q1 を出力するが、第2の変化率判定器56は図17(D)に示すように、判定信号を出力しない。
【0114】
これに対し、分散電源に起因する電力の逆潮流が生じている状態でタップ切換えが行われたときには、図10及び図11に示したように、SVRの二次側で一次側よりも大きな電圧の変化が生じる。したがって、この場合は、タップ切換え時に、図18(B)に示すように第2の微分器54が波高値が高い微分信号を発生するが、第1の微分器53は図18(A)に示すように微小な微分信号しか出力しない。このとき判定条件d2 −d1 >do >0が成立するため、第2の変化率判定器56は、図18(D)に示すように、電力の逆潮流が分散電源に起因するものであることを示す判定信号Q2 を出力するが、第1の変化率判定器55は図18(C)に示すように判定信号を出力しない。
【0115】
また系統電圧に瞬時的な変化が生じたときには、図19(A)及び(B)に示すように第1及び第2の微分器53及び54がほぼ等しい波高値の微分信号D1 及びD2 を発生するため、判定条件d1 −d2 >do >0及びd2 −d1 >do >0はいずれも成立せず、図19(C)及び(D)に示すように第1の変化率判定器55及び第2の変化率判定器56はいずれも判定信号を出力しない。
【0116】
図14に示した例において、第1及び第2の微分器53及び54はアナログ回路により構成することができ、また第1の変化率判定器55及び第2の変化率判定器57もアナログ演算回路により構成することができるが、微分器53及び54と電力逆潮流原因判定手段57とをマイクロコンピュータを用いて実現することもできる。
【0117】
上記各微分器をマイクロコンピュータを用いて実現する場合には、第1及び第2の整流器51及び52の出力をそれぞれデジタル値に変換して第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値を出力する第1及び第2のA/D変換器を設けて、これらのA/D変換器の出力をマイクロコンピュータに入力する。
【0118】
また第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値をそれぞれ一定のサンプリング周期でサンプリングして、それぞれの検出値をサンプリングする毎に、前回以前のサンプリング時から今回のサンプリング時までの第1の電圧検出値の時間的変化率である第1の電圧変化率と、前回以前のサンプリング時から今回のサンプリング時までの第2の電圧検出値の時間的変化率である第2の電圧変化率とを演算する電圧変化率演算手段と、電力逆潮流検出装置によりSVR40で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で第1の電圧変化率が第2の電圧変化率よりも大きいことが検出されたときにSVRの一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、電力逆潮流検出装置によりSVRで電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で第2の電圧変化率が第1の電圧変化率よりも大きいことが検出されたときにSVRの一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定する電力逆潮流原因判定手段とをマイクロコンピュータにより実現する。
【0119】
上記の例では、タップ付きの調整変圧器の二次側の電圧を直接配電線に印加する直接式のSVRを用いたが、電源側の配電線電圧が入力されるタップ付きの並列変圧器の二次側の電圧を直列変圧器を通して負荷側の配電線に注入するようにした間接式の負荷時タップ切換式SVRを用いることもできる。
【0120】
またタップ付きの調整変圧器及び負荷時タップ切換器を用いることなく、配電線からとった交流電圧を整流して得た直流電圧をインバータにより調整電圧に変換して、該調整電圧を配電線に注入することにより電圧調整を行うSVRを用いる場合や、誘導電圧調整器を用いる場合にも、電力の逆潮流発生時に所定の電圧幅だけ電圧を変化させる調整動作を行わせてそのときの一次側電圧及び二次側電圧の変化を検出することにより本発明を適用することもできる。
【0121】
上記の例では、SVRの一次側電圧及び二次側電圧を検出する電圧検出装置として計器用変圧器を用いているが、他の電圧検出手段を用いてSVRの一次側電圧及び二次側電圧を検出する電圧検出装置を構成することもできる。
【0122】
また本発明に係る電力逆潮流原因判定方法は、逆送時タップ固定形のSVRが用いられる場合にも適用することができる。この場合のSVRの動作モードは、系統切換に起因すると判定されたときにタップ固定モードとし、分散電源に起因すると判定されたときに二次側電圧調整モードのままとする。
【0123】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係わる電力逆潮流原因判定方法及び装置によれば、配電用自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じたときに、該自動電圧調整器の一次側及び二次側の電圧の変化から、その電力の逆潮流が二次側で系統切換が行われたことに起因するものであるのか、一次側が電源変電所に接続され、二次側で分散電源が連系していることに起因するものであるのかを判定することができるため、各自動電圧調整器のところで電力の逆潮流の原因を判定して、自動電圧調整器の動作モードの選択などの措置を的確に行うための情報を得ることができる利点がある。
【0124】
また本発明に係わる判定方法は、自動電圧調整器の一次側及び二次側の電圧を検出してその変化を比較するだけで電力の逆潮流の原因を判定することができるので、既設の自動電圧調整器にも容易に適用することができる。
【0125】
更に本発明に係わる逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法によれば、配電用自動電圧調整器で生じた電力の逆潮流の原因に応じて該自動電圧調整器の動作モードを最適なモードに切り換えることができるので、分散電源に起因する電力の逆潮流が生じたときに系統電圧が暴走したり、系統電圧の異常低下が生じたりするのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する配電系統の要部の構成例を示す単線結線図である。
【図2】(A)ないし(D)はSVRの一次側が電源変電所に接続されている状態で電力の逆潮流が起こる場合と起こらない場合とを示した説明図である。
【図3】(A)ないし(D)はSVRの一次側が他系統の電源変電所に接続されている状態で電力の逆潮流が起こる場合と起こらない場合とを示した説明図である。
【図4】(A)ないし(D)はSVRの二次側で系統切換が行われている状態で電力の逆潮流が起こる場合と起こらない場合とを示した説明図である。
【図5】配電用SVRの一例を示した回路図である。
【図6】本発明に係わる電力逆潮流時SVR制御方法を実施する制御装置の構成例を示した構成図である。
【図7】完全逆送形のSVRの構成例を示した回路図である。
【図8】(A)及び(B)は系統切換による電力の逆潮流が生じている状態で昇圧側にタップ切換が行われたときの一次側電圧及び二次側電圧を示した線図である。
【図9】(A)及び(B)は系統切換による電力の逆潮流が生じている状態で降圧側にタップ切換が行われたときの一次側電圧及び二次側電圧を示した線図である。
【図10】(A)及び(B)は分散電源による電力の逆潮流が生じている状態で昇圧側にタップ切換が行われたときの一次側電圧及び二次側電圧を示した線図である。
【図11】(A)及び(B)は分散電源による電力の逆潮流が生じている状態で降圧側にタップ切換が行われたときの一次側電圧及び二次側電圧を示した線図である。
【図12】本発明に係わる電力逆潮流原因判定装置をマイクロコンピュータを用いて構成する場合にマイクロコンピュータが実行するプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図13】本発明において、SVRの一次側電圧の時間的変化率と二次側電圧の時間的変化率とを比較することにより電力の逆潮流の原因を判定する場合の電力逆潮流原因判定装置の構成例を示した構成図である。
【図14】図13の判定装置で用いる逆潮流原因判定部の構成例を示したブロック図である。
【図15】図13に示した微分器にほぼステップ状に上昇する電圧が入力されるときの入力電圧と出力信号の波形を示した波形図である。
【図16】図13に示した微分器にほぼステップ上に下降する電圧が入力されるときの入力電圧と出力信号の波形を示した波形図である。
【図17】図13及び図14に示した電力逆潮流原因判定装置において、SVRの二次側で行われた系統切換に起因して電力の逆潮流が生じているときに第1及び第2の微分器と第1及び第2の変化率判定器とから得られる信号の波形を示した波形図である。
【図18】図13及び図14に示した電力逆潮流原因判定装置において、SVRの二次側で分散電源が連系していることに起因して電力の逆潮流が生じたときに第1及び第2の微分器と第1及び第2の変化率判定器とから得られる信号の波形を示した波形図である。
【図19】図13及び図14に示した電力逆潮流原因判定装置において、系統切換及び分散電源の連系以外の要因でSVRの一次側及び二次側で同時に電圧の変動が生じたときに第1及び第2の微分器と第1及び第2の変化率判定器とから得られる信号の波形を示した波形図である。
【符号の説明】
2 一次側配電線
4 自動電圧調整器(SVR)
6 二次側配電線
20 調整変圧器
21 負荷時タップ切換器
24 計器用変圧器
25 電圧調整継電器
30 電力逆潮流原因判定装置
31a 第1の電圧検出装置
31b 第2の電圧検出装置
32a 第1のピーク検出回路
32b 第2のピーク検出回路
34a 第1のA/D変換器
34b 第2のA/D変換器
35 マイクロコンピュータ
36 逆送継電器
40 SVR
51 第1の整流器
52 第2の整流器
53 第1の微分器
54 第2の微分器
55 第1の変化率判定器
56 第2の変化率判定器
57 電力逆潮流原因判定手段

Claims (12)

  1. 配電系統に設置された配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定する配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法であって、
    前記自動電圧調整器の一次側及び二次側でそれぞれ生じる電圧の変化を検出し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の一次側で二次側よりも大きな電圧の変化が生じたことが検出されたときに、前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の二次側で一次側よりも大きな電圧の変化が生じたことが検出されたときに、前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定することを特徴とする配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法。
  2. 配電系統に設置された配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定する配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法であって、
    前記自動電圧調整器の一次側及び二次側でそれぞれ生じる電圧の変化を検出し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の一次側でしきい値以上の電圧の変化が生じたことが検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の二次側でしきい値以上の電圧変化が生じたことが検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定することを特徴とする配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法。
  3. 配電系統に設置された負荷時タップ切換式の配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定する配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法であって、
    前記自動電圧調整器の一次側及び二次側でそれぞれ生じる電圧の変化を検出し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記タップが切り換えられて前記自動電圧調整器の一次側で二次側よりも大きな電圧の変化が生じたことが検出されたときに、前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記タップが切り換えられて前記自動電圧調整器の二次側で一次側よりも大きな電圧の変化が生じたことが検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定することを特徴とする配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法。
  4. 配電系統に設置された負荷時タップ切換式の配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定する配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法であって、
    前記自動電圧調整器の一次側及び二次側でそれぞれ生じる電圧の変化を検出し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記タップが切り換えられて前記自動電圧調整器の一次側でしきい値以上の電圧の変化が生じたことが検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記タップが切り換えられて前記自動電圧調整器の二次側でしきい値以上の電圧の変化が生じたことが検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定することを特徴とする配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法。
  5. 配電系統に設置された負荷時タップ切換式の配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定する配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法であって、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の一次側電圧の時間的変化率が二次側電圧の時間的変化率よりも大きいときに、前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の二次側電圧の時間的変化率が一次側電圧の時間的変化率よりも大きいときに、前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定することを特徴とする配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定方法。
  6. 配電系統に設置された配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定する配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定装置であって、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じたことを検出する電力逆潮流検出装置と、
    前記自動電圧調整器の一次側及び二次側の電圧をそれぞれ検出する第1の電圧検出装置及び第2の電圧検出装置と、
    前記第1の電圧検出装置の出力及び第2の電圧検出装置の出力をそれぞれデジタル値に変換して第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値を出力する第1及び第2のA/D変換器と、
    前記第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値をそれぞれ一定のサンプリング周期でサンプリングして、それぞれの検出値をサンプリングする毎に、今回サンプリングされた第1の電圧検出値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされた第1の電圧検出値との差である第1の電圧変化分及び今回サンプリングされた第2の電圧検出値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされた第2の電圧検出値との差である第2の電圧変化分を演算する電圧変化分演算手段と、
    前記第1の電圧変化分と第2の電圧変化分との差を逆潮流原因判定値として演算する逆潮流原因判定値演算手段と、
    前記電力逆潮流検出装置により前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で前記逆潮流原因判定値の符号から前記第1の電圧変化分が前記第2の電圧変化分よりも大きいと判定されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、前記電力逆潮流検出装置により前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で前記逆潮流原因判定値の符号から前記第2の電圧変化分が前記第1の電圧変化分よりも大きいと判定されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定する電力逆潮流原因判定手段と、
    を具備したことを特徴とする配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定装置。
  7. 配電系統に設置された配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定する配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定装置であって、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じたことを検出する電力逆潮流検出装置と、
    前記自動電圧調整器の一次側及び二次側の電圧をそれぞれ検出する第1の電圧検出装置及び第2の電圧検出装置と、
    前記第1の電圧検出装置の出力及び第2の電圧検出装置の出力をそれぞれデジタル値に変換して第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値を出力する第1及び第2のA/D変換器と、
    前記第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値をそれぞれ一定のサンプリング周期でサンプリングして、それぞれの検出値をサンプリングする毎に、今回サンプリングされた第1の電圧検出値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされた第1の電圧検出値との差である第1の電圧変化分及び今回サンプリングされた第2の電圧検出値と前回以前のサンプリング時にサンプリングされた第2の電圧検出値との差である第2の電圧変化分を演算する電圧変化分演算手段と、
    前記電力逆潮流検出装置により前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で前記第1の電圧変化分がしきい値以上であると判定されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、前記電力逆潮流検出装置により前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で前記第2の電圧変化分がしきい値以上であると判定されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定する電力逆潮流原因判定手段と、
    を具備したことを特徴とする電力逆潮流原因判定装置。
  8. 配電系統に設置された負荷時タップ切換式の配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定する配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定装置であって、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じたことを検出する電力逆潮流検出装置と、
    前記自動電圧調整器の一次側電圧及び二次側電圧をそれぞれ検出する第1及び第2の電圧検出装置と、
    前記第1の電圧検出装置の出力及び第2の電圧検出装置の出力をそれぞれ整流する第1及び第2の整流器と、
    前記第1の整流器の出力及び第2の整流器の出力をそれぞれ微分する第1及び第2の微分器と、
    前記電力逆潮流検出装置により前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で前記第1の微分器の出力が第2の微分器の出力よりも大きいことが検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、前記電力逆潮流検出装置により前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で前記第2の微分器の出力が第1の微分器の出力よりも大きいことが検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定する電力逆潮流原因判定手段と、
    を具備したことを特徴とする配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定装置。
  9. 配電系統に設置された負荷時タップ切換式の配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定する配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定装置であって、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じたことを検出する電力逆潮流検出装置と、
    前記自動電圧調整器の一次側及び二次側の電圧をそれぞれ検出する第1及び第2の電圧検出装置と、
    第1の電圧検出装置の出力及び第2の電圧検出器の出力をそれぞれ整流する第1及び第2の整流器と、
    前記第1の整流器の出力及び第2の整流器の出力をそれぞれデジタル値に変換して第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値を出力する第1及び第2のA/D変換器と、
    前記第1の電圧検出値及び第2の電圧検出値をそれぞれ一定のサンプリング周期でサンプリングして、それぞれの検出値をサンプリングする毎に、前回以前のサンプリング時から今回のサンプリング時までの第1の電圧検出値の時間的変化率である第1の電圧変化率と、前回以前のサンプリング時から今回のサンプリング時までの第2の電圧検出値の時間的変化率である第2の電圧変化率とを演算する電圧変化率演算手段と、
    前記電力逆潮流検出装置により前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で前記第1の電圧変化率が第2の電圧変化率よりも大きいことが検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、前記電力逆潮流検出装置により前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出されている状態で前記第2の電圧変化率が第1の電圧変化率よりも大きいことが検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定する電力逆潮流原因判定手段と、
    を具備したことを特徴とする配電用自動電圧調整器の電力逆潮流原因判定装置。
  10. 二次側電圧を目標電圧に保つように調整する二次側電圧調整モードと、一次側電圧を目標電圧に保つように調整する一次側電圧調整モード及び調整変圧器のタップを予め定めたタップに固定するタップ固定モードの少なくとも一方とに動作モードを切り換え得る配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定して、その判定結果に応じて前記配電用自動電圧調整器の動作モードを決定する電力逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法であって、
    前記自動電圧調整器の一次側及び二次側でそれぞれ生じる電圧の変化を検出し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の一次側で二次側よりも大きな電圧の変化が検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことにより電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の二次側で一次側よりも大きな電圧の変化が生じたことが検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定されたときには、前記自動電圧調整器の動作モードを、前記タップ固定モード、または前記一次側電圧調整モードとし、
    前記分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定されたときには、前記自動電圧調整器の動作モードを前記二次側電圧調整モードとすることを特徴とする電力逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法。
  11. 二次側電圧を目標電圧に保つように調整する二次側電圧調整モードと、一次側電圧を目標電圧に保つように調整する一次側電圧調整モード及び調整変圧器のタップを予め定めたタップに固定するタップ固定モードの少なくとも一方とに動作モードを切り換え得る配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定して、その判定結果に応じて前記配電用自動電圧調整器の動作モードを決定する電力逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法であって、
    前記自動電圧調整器の一次側及び二次側でそれぞれ生じる電圧の変化を検出し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の一次側でしきい値以上の電圧の変化が検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の二次側でしきい値以上の電圧の変化が検出されたときに前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定されたときには、前記自動電圧調整器の動作モードを、前記タップ固定モード、または前記一次側電圧調整モードとし、
    前記分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定されたときには、前記自動電圧調整器の動作モードを前記二次側電圧調整モードとすることを特徴とする電力逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法。
  12. 二次側電圧を目標電圧に保つように調整する二次側電圧調整モードと、一次側電圧を目標電圧に保つように調整する一次側電圧調整モード及び調整変圧器のタップを予め定めたタップに固定するタップ固定モードの少なくとも一方とに動作モードを切り換え得る配電用自動電圧調整器で二次側から一次側に電力の逆潮流が生じたときに、該電力の逆潮流の原因を判定して、その判定結果に応じて前記配電用自動電圧調整器の動作モードを決定する電力逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法であって、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の一次側電圧の時間的変化率が二次側電圧の時間的変化率よりも大きいときに、前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所から切り離されて二次側が他系統の電源変電所に接続される系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記自動電圧調整器で電力の逆潮流が生じていることが検出され、かつ前記自動電圧調整器の二次側電圧の時間的変化率が一次側電圧の時間的変化率よりも大きいときに、前記自動電圧調整器の一次側が電源変電所に接続されて分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定し、
    前記系統切換が行われたことに起因して電力の逆潮流が生じていると判定されたときには、前記自動電圧調整器の動作モードを、前記タップ固定モード、または前記一次側電圧調整モードとし、
    前記分散電源が二次側で連系していることに起因して電力の逆潮流が生じていると判定されたときには、前記自動電圧調整器の動作モードを前記二次側電圧調整モードとすることを特徴とする電力逆潮流時配電用自動電圧調整器制御方法。
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