JP3991695B2 - インクジェットヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットヘッドとして、1列又は2列に配置された多数のノズルにそれぞれ接続された多数の圧力室を有する流路ユニットと、各圧力室の容積を変化させる圧電シートが積層されたアクチュエータユニットとが貼り合わされたものが知られている。アクチュエータユニット内の少なくとも一層の圧電シートには、複数の圧力室に共通でグランド電位に保持され共通電極と、各圧力室に対応する位置にそれぞれ配置された個別電極とで挟み込まれた活性部が設けられている。そして、インクを吐出すべき圧力室に対応する個別電極を共通電極とは異なる電位とすることで、圧電効果により活性部を積層方向に変位させて圧力室内の容積を変動させることによってインクをノズルから吐出することが可能となっている。
【0003】
上述したようなインクジェットヘッドとして、圧力室が流路ユニットの表面に沿った細長い形状(多角形及び楕円のいずれでもよい)を有するものがある。このようなインクジェットヘッドでは、ノズルを1列又は2列に高密度に配置するべく、例えば特開平10−217452号公報や特開2001−246744号公報に示されているように、各圧力室はその長手方向が流路ユニットの長手方向に直交する方向(幅方向)と同じになるように、言い換えると、各圧力室の幅方向が流路ユニットの長手方向と同じになるように配置される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、印刷速度の高速化への要請が強まっており、それに応えるべく、インクジェットヘッドの長尺化が検討されている。ところが、上記公報に記載のような各圧力室の幅方向が流路ユニットの長手方向と同じになるように圧力室が配置されたインクジェットヘッドについては、ヘッドを長尺なものにすると均一な吐出性能が得られなくなることを本発明者は見いだした。
【0005】
そこで、本発明の目的は、吐出性能の均一性を保ちつつ長尺化を図ることが可能なインクジェットヘッドを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
各圧力室の幅方向が流路ユニットの長手方向と同じになるように圧力室が配置されたインクジェットヘッドについて、吐出性能の均一性を保ちつつ長尺化を図ることが困難である理由として、以下のことが考えられる。第1に、一般に流路ユニットが金属材料製であるのに対し、アクチュエータユニットが焼結したセラミックス製であるため、ヘッドを長尺化するほどアクチュエータユニットの寸法精度が悪化して、すべての圧力室と活性部とを正確に位置合わせしづらくなることが挙げられる。第2に、上述のようなインクジェットヘッドでは、圧力室と活性部との幅方向についての位置ずれによる吐出性能への影響が、長手方向についての位置ずれによる吐出性能への影響よりも大きいことが挙げられる。
【0007】
この2番目の点について、図8を参照しつつ説明する。図8(a)は、圧力室及び活性部が正しい位置にあるときの両者の位置関係の一例を描いた模式的な平面図であり、このとき活性部3(幅L1、長さL2)はその中心位置が圧力室2の中心位置と重なるように平面視において圧力室2内に含まれている。図8(b)は、活性部3が図8(a)の状態からその幅方向に距離aだけずれたときの両者の位置関係を描いた模式的な平面図である。図8(c)は、活性部3が図8(a)の状態からその長手方向に距離bだけずれたときの両者の位置関係を描いた模式的な平面図である。この図からも分かるように、幅方向または長手方向に同じ距離だけずれても、圧力室の幅に対して圧力室の長さの方が十分に大きいから、圧力室2の幅に対する活性部3の位置の変化割合は、圧力室2の長手方向に対する活性部3の位置の変化割合の方がはるかに小さい。活性部3が圧力室2の周囲の壁に接近すると、その周囲の壁によって活性部3の変形が拘束されることになるので、幅方向には、わずかの位置ずれによって拘束される割合が大きくなる。一方、長手方向には、その長手方向の両端から中央までの距離が大きいので、中央においてほぼ所定の変形を得ることができる。したがって、圧力室2と活性部3との長手方向の位置ずれの影響は、幅方向の位置ずれによる影響よりも小さい。さらに、活性部3はその幅方向を、アクチュエータユニットの長手方向に沿わせて多数並置されるから、アクチュエータユニットをセラミックスで製作し、焼結によりアクチュエータユニットの長手方向に大きな収縮を生じたとき、活性部3がその幅方向に大きくずれることになる。このため、活性部3は、圧力室2に対してその幅方向にずれやすいが、アクチュエータユニットの長手方向が圧力室2の長手方向であると、その影響は上記のように小さいことになる。
【0008】
本発明者は、以上のような認識に基づいて検討を重ねた結果、以下のようなインクジェットヘッドに到達した。すなわち、請求項1のインクジェットヘッドは、全体がほぼ直方体であって、一端が吐出ノズルに他端がインク供給源にそれぞれ接続され且つその両端を結ぶ長さがその両端を結ぶ方向と直交する方向の長さよりも大きい複数の圧力室を有しており、前記複数の圧力室が直方体を形成する六面のうちの一の平面上にその平面に沿って相互に隣接配置された流路ユニットと、各圧力室の容積を変化させる複数の活性部を有し且つ複数の前記圧力室に対向して配置されたアクチュエータユニットとを備え、前記活性部の変形により対応する前記圧力室の容積を変化させて前記吐出ノズルからインク滴を吐出するインクジェットヘッドにおいて、前記複数の圧力室は、その長手方向に沿って配列された圧力室列を複数形成しており、複数の前記圧力室列は、それぞれ前記流路ユニットの前記一の平面の長手方向に沿って配置されていると共に、複数の前記圧力室列同士が、前記一の平面に平行で前記長手方向と交差する方向に隣接しており、前記流路ユニットには、前記交差する方向に延在した複数のインク通路が形成されており、各インク通路は、当該インク通路に沿う複数の前記圧力室の前記他端に連通しており、前記一の平面に直交する方向から見たときに、前記圧力室の両端を結ぶ直線上において、前記圧力室の範囲が前記インク通路の範囲を含んでおり、各活性部は、前記一の平面に直交する方向に関して前記圧力室と対向しており且つ前記圧力室の長手方向に細長い駆動電極を有しており、前記駆動電極が前記圧力室の前記他端を越えて延在することで、前記駆動電極の一端が前記流路ユニットの長手方向に隣接する他の前記圧力室との間にある桁部と対向しており、前記アクチュエータユニットには、フレキシブルフラットケーブルに形成された配線パターンと電気的に接続される端子であり且つ前記一の平面と直交する方向に関して前記桁部と対向する領域の表面に形成された表面電極と、前記表面電極と前記駆動電極との間に穿設されたスルーホールと、前記スルーホール内に充填されて前記表面電極と前記駆動電極とを電気的に接続する導電性材料とが形成されたものである。
【0009】
請求項1によると、圧力室がその長手方向に沿って配列されることによって形成された圧力室列が流路ユニットの長手方向に沿って配置されているために、ヘッドの長尺化によりアクチュエータユニットの寸法精度が悪化し、すべての圧力室と活性部とを正確に位置合わせしづらくなって圧力室と活性部との位置ずれ量が大きくなるとしても、その位置ずれは主に圧力室の長手方向に生じるものとなる。従って、従来のように位置ずれが主に圧力室の幅方向に生じる場合に比べて、吐出性能への影響が少なくなる。そのため、ヘッドの長さと吐出性能の均一性との関連性が小さくなって、長尺化された高速印刷が可能なインクジェットヘッドを製造しても、インクジェットヘッドの吐出性能の均一性を保つことができる。
【0010】
また、請求項2のインクジェットヘッドは、複数の前記圧力室列が、互いに平行であって前記流路ユニットの長手方向に互いにずれるように配置されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2によると、互いに平行であって流路ユニットの長手方向に互いにずれるように複数の圧力室列が配置されているため、圧力室列が1つだけ配置されている場合と比較すると、インクジェットヘッドがその幅方向に1回移動するだけで多くの印刷ドットを形成することができる。従って、圧力室列同士のずれ量を適宜設定することにより、高解像度の画像を高速で印刷することが可能になる。
【0012】
また、請求項3のインクジェットヘッドは、前記アクチュエータユニットが、複数の前記圧力室に跨るように積層された圧電材料からなる複数の連続平板層を含んでおり、各連続平板層の一方側には複数の前記圧力室に共通の共通電極が配置されると共に、各連続平板層の他方側には各圧力室ごとに前記駆動電極が配置されており、前記連続平板層の前記共通電極と各駆動電極とによって挟まれた領域が前記活性部となっていることを特徴としている。
【0013】
請求項3によると、共通電極と駆動電極とが重なる領域の大きさを変更するだけで容易に活性部の長さを変更することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態によるインクジェットヘッドの分解斜視図である。図1に示すように、本実施の形態による圧電式のインクジェットヘッド1は、ほぼ直方体の流路ユニット10上にこれとほぼ同形状のアクチュエータユニット20が積層され、アクチュエータユニット20上に外部機器との接続のためのフレキシブルフラットケーブル40が貼付されたものである。インクジェットヘッド1は、流路ユニット10の下面側に開口したノズル54(図2参照)から下向きにインクを吐出する。
【0016】
図2は、流路ユニットの分解斜視図である。図2に示すように、流路ユニット10は、ノズルプレート43、マニホールドプレート11、12、スペーサプレート13及びキャビティプレート14の5枚の導電性のある薄板を接着にて重ねて接合して積層したものである。本実施の形態において、ノズルプレート43を除く各プレート11、12、13、14は、42%ニッケル合金鋼板製で、50μm〜150μm程度の厚さである。
【0017】
ノズルプレート43には、微小径を有するインク吐出用のノズル54が、マトリクス状に多数穿設されている。さらに具体的にいうと、ノズルプレート43内には、複数のノズル54がノズルプレート43の長手方向(長辺方向:矢印A)に沿ってピッチPで配列された複数のノズル列36が形成されており、これら複数のノズル列36は、ノズルプレート43の長手方向に沿って互いに平行に、且つ、ノズルプレート43の長手方向に等距離(距離X)ずつずれていくように配置されている。このようにノズル列36が配置されることによって、多数のノズル54が短辺と長辺とが直交していないほぼ平行四辺形の領域内に含まれるようになると共に、当該平行四辺形の短辺方向(矢印B)に沿った別の複数のノズル列37が構成される。
【0018】
マニホールドプレート12には、インク通路としての一対のマニホールド室12a、12aが穿設されている。各マニホールド室12aは、各ノズル列37と平行に延在しこれよりも僅かにマニホールドプレート12の長手方向にオフセットしたノズル列37と同数の枝部と、各枝部の根元同士を連結する基部とからなる櫛刃形状を有している。
【0019】
マニホールドプレート12の下側にあるマニホールドプレート11の上面には、各マニホールド室12aとほぼ同じ位置にて、平面視形状で略同じ形状の上向き開放するようにマニホールド室11aが凹設され、両マニホールド室11a、12aが一体となって1つのマニホールド室を形成している。
【0020】
また、キャビティプレート14の平面図である図3にも示すように、キャビティプレート14には、多数の細幅の圧力室16がそれぞれの長手方向がキャビティプレート14の長手方向に沿うようにマトリクス状に穿設されている。さらに具体的にいうと、キャビティプレート14内には、複数の圧力室16がキャビティプレート14の長手方向(長辺方向:矢印A)に沿ってピッチPで配列された複数の圧力室列42が形成されており、これら複数の圧力室列42は、キャビティプレート14の長手方向に沿って互いに平行に、且つ、キャビティプレート14の長手方向に等距離(距離X)ずつずれていくように配置されている。このように圧力室列42が配置されることによって、多数の圧力室16が短辺と長辺とが直交していないほぼ平行四辺形の領域内に含まれるようになると共に、当該平行四辺形の短辺方向(矢印B)に沿った別の複数の圧力室列43が構成される。本実施の形態において、圧力室16の長さと幅との比はおよそ8である。
【0021】
平面視でほぼ半円形に形成された各圧力室16の先端(図3中の下側端部)は、スペーサプレート13及びマニホールドプレート11、12にノズル54と同じパターンで穿設された微小径の貫通孔17、17を介して、ノズルプレート43に穿設されたノズル54に連通している。一方、各圧力室16の他端は、スペーサプレート13のマニホールド室12aに対応した位置にノズル54と同じパターンで穿設された貫通孔18を介して、マニホールドプレート11、12におけるマニホールド室11a、12aに連通している。
【0022】
また、キャビティプレート14及びスペーサプレート13の対角位置には、左右両マニホールド室12a、12aの基部にそれぞれ連通した一対の供給孔19a、19bが穿設されている。図2に示すように、最上層のキャビティプレート14に穿設された供給孔19a、19aの上面には、その上方のインクカートリッジ(図示せず)から供給されるインク中の塵除去のためのフィルタ29が張設されている。
【0023】
インクカートリッジから供給孔19a、19bを介して左右両マニホールド室11a、11a、12a、12a内に流入したインクは、各貫通孔18を通って各圧力室16内にそれぞれ分配されたのち、各圧力室16内から貫通孔17を通って、当該圧力室16に対応するノズル54に至る。
【0024】
図4は、アクチュエータユニット20の部分的な分解斜視図である。図4に示すように、アクチュエータユニット20は、8枚の圧電セラミックスシート(以下単に「圧電シート」という)21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、23を積層した構造で、各圧電シートは全圧力室16が構成する上記平行四辺形を被覆する大きさを有しており、その長さは流路ユニット10よりもやや短い。下から2番目及び4番目の圧電シート21b、21dの上面には、多数の個別電極24が設けられている(図6及び図7参照)。これら個別電極24は、流路ユニット10の圧力室16と同じパターンにマトリクス状に配列されている。そして、各個別電極24は、アクチュエータユニット20の長辺方向に延びた細幅形状を有している。各個別電極24の電位は独立して制御可能となっている。
【0025】
また、圧電シート21aの上面のほぼ全面及び後述する領域61を除いた圧電シート21c、21eの上面のほぼ全面には、共通電極25が形成されている(図6及び図7参照)。従って、各個別電極24の大部分は、平面視において共通電極25とオーバーラップしている。共通電極25は、常に一定の電位(グランド電位)に保たれている。その他の圧電シート21f、21g、23の上面には、個別電極又は共通電極は設けられていない。なお、最上段の圧電シート23は圧電セラミックス材料でなく、絶縁材料であってもよい。各シートの厚さは約30μmである。
【0026】
圧電シート21c、21eの上面であって、平面視で各個別電極24の先端に対応した位置には、圧電シート21cの部分拡大平面図である図5にも示すように、共通電極25が形成されていない領域61が設けられている。そして、各領域61内には、個別電極24の先端の半円形領域とほぼ同じ径のダミー個別電極26が形成されている。また、圧電シート21b、21dの上面のうち、平面視で共通電極25の長手方向両端部近傍に対応する位置には、ダミー共通電極27が形成されている。
【0027】
図1及び図4に示すように、最上段の圧電シート23の上面には、各個別電極24の各々に対する表面電極30と、共通電極25の長手方向両端部近傍に対する表面電極31とが設けられている。
【0028】
さらに、最下段の圧電シート21aを除いた圧電シート21b、21c、21d、21e、21f、21g、23には、各表面電極30と、それに対応する位置(同じ上下位置)の個別電極24及びダミー個別電極26とを互いに接続するためのスルーホール32が各個別電極24につき1つずつ穿設されている。同様に、最下段の圧電シート21aを除いた圧電シート21b、21c、21d、21e、21f、21g、23には、表面電極31と、共通電極25の長手方向両端部近傍及びダミー共通電極27とを互いに接続するための数個のスルーホール33が穿設されている。スルーホール32、33内には導電性材料が充填されている。そして、各スルーホール32内の導電性材料を介して、積層方向に重なった個別電極24、ダミー個別電極26及び表面電極30がそれぞれ電気的に接続されている。同じく、各スルーホール33内の導電性材料を介して、積層方向に重なった共通電極25、ダミー共通電極27及び表面電極31が電気的に接続されている。
【0029】
【0030】
このような構成のプレート型のアクチュエータユニット20における下面(圧力室16と対面する面)全体には、接着剤層としてのインク非浸透性の合成樹脂材からなる接着剤シート(図示せず)が貼着されている。また、アクチュエータユニット20は、各個別電極24が圧力室16の各々に平面視で対応した位置に配置されるように、流路ユニット10に接着及び固定されている(図6及び図7参照)。さらに、アクチュエータユニット20の上側面には、フレキシブルフラットケーブル40が重ねられることによって、フレキシブルフラットケーブル40に形成された各種の配線パターンが、各表面電極30、31と電気的に接続されている。
【0031】
なお、接着剤シート等の接着剤層の材料としては、少なくともインク非浸透性であり、且つ電気絶縁性を備えたものであって、ナイロン系やダイマー酸ベースのポリアミド樹脂を主成分とするポリアミド系ホットメルト形接着剤、ポリエステル系ホットメルト形接着剤のフィルム状のものを使用しても良いが、ポリオレフィン系ホットメルト形接着剤をアクチュエータユニット20に塗布してから、流路ユニット10に接着するようにしてもよい。
【0032】
図6は、本実施の形態によるインクジェットヘッド1の圧力室の幅方向に沿った部分断面図である。図7は、本実施の形態によるインクジェットヘッド1の圧力室の長手方向に沿った部分断面図である。
【0033】
図6および図7に示すように、本実施の形態において、流路ユニット10とアクチュエータユニット20は、各個別電極24が圧力室16の各々に平面視で対応した位置に配置されるように互いに組み付け固定されている。アクチュエータユニット20内の4枚の圧電シート21b、21c、21d、21eの共通電極25と多数の個別電極24とによって挟み込まれた領域は、公知のように両電極24、25が対向する方向に分極処理され、両電極間に分極方向と平行に電界を発生すると圧電効果により厚み方向すなわちシート積層方向に膨らむ又は引っ込むように湾曲する。つまり、この領域は、個別電極24に電圧を印加することで変位する活性部となっている。活性部は、図6に示すように圧力室16よりもやや幅が狭く、図7に示すように圧力室16よりもやや短い。各圧電シート内に島状に形成されている。そして、4枚の圧電シートにそれぞれ形成された活性部は、対応するもの同士が平面視で互いに上下に連続するような位置に形成されている。従って、上下に連続した4つの活性部は、一まとまりの活性部群を形成している。なお、アクチュエータユニット20は、活性部群間の不活性部において圧力室16間に形成された隔壁上に固着されている。
【0034】
本実施の形態のインクジェットヘッド1を製造するには、アクチュエータユニット20及び流路ユニット10をそれぞれ別々に作成した後、両者を接着剤シートで固定する。その後、フレキシブルフラットケーブル40を介して全ての個別電極24と共通電極25との間に、通常の吐出動作時よりも高い電圧を印加する。すると、個別電極24と共通電極25との間に挟まれた圧電シート21b、21c、21d、21eの部分が分極処理されて活性部となる。
【0035】
次に、本実施の形態のインクジェットヘッド1におけるインク吐出動作について説明する。選択された活性部群に属する個別電極24に吐出動作のための電圧を印加すると、個別電極24と共通電極25との間に分極方向と同方向の電界が発生して、当該活性部群に属する活性部は圧電効果によりキャビティプレート14方向(下方)に突出するように伸長し、最下層にある圧電シート21aが活性部と対応する位置において下方に湾曲する。このようにして各個別電極24に対応する圧力室16の容積が縮小することにより、圧力室16内のインクがノズル54から液滴状に噴出して印字が行われる。その後、個別電極24への電圧の印加を中止すると、4枚の圧電シート21b〜21eの活性部が平板形状に戻る。
【0036】
なお、インクの吐出動作を行うには、予め全ての個別電極24に電圧を印加して全ての圧力室16の容積を縮小させておき、インクの吐出動作をしようとする圧力室16に対応する個別電極24の電圧を解除して圧力室16の容積を拡大し、その後、再びその個別電極24に電圧を印加して圧力室16の容積を縮小し、インクに吐出圧力を加えるように構成する、いわゆる「引き打ち」をしてもよい。
【0037】
上述のように、本実施の形態のインクジェットヘッド1は、複数の圧力室16がその長手方向に沿って配列された圧力室列42が、流路ユニット10の長手方向に沿って配置されたものである。そのため、インクジェットヘッド1の長尺化によりアクチュエータユニット20の寸法精度が悪化し、すべての圧力室16と活性部とを正確に位置合わせしづらくなって圧力室16と活性部との位置ずれ量が大きくなるとしても、その位置ずれは主に圧力室16の長手方向に生じるものとなる。従って、先に説明したように、位置ずれが主に圧力室16の幅方向に生じる場合に比べて、吐出性能への影響が少なくなる。よって、インクジェットヘッド1の長さと吐出性能の均一性との関連性が小さくなって、長尺化された高速印刷が可能なインクジェットヘッド1を製造しても、インクジェットヘッド1の吐出性能の均一性を保つことができるようになる。
【0038】
また、本実施の形態のインクジェットヘッド1においては、複数の圧力室列42が互いに平行であって流路ユニット10の長手方向に互いにずれるように配置されているため、インクジェットヘッドがその幅方向に1回移動するだけで多くの印刷ドットを形成することができる。従って、圧力室列42同士のずれ量を適宜設定することにより、高解像度の画像を高速で印刷することが可能になる。
【0039】
また、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、上述のように、アクチュエータユニット20と流路ユニット10との間に、全ての圧力室16を覆うように接着剤シートを介在させることにより、接着剤シートがインクを浸透させない被膜の役割を果たすと共に、アクチュエータユニット20と流路ユニット10とを強固に固定する。また、複数の圧力室16に跨るように8枚の圧電シート21a、…を積層してアクチュエータユニット20を構成しているから、圧力室16に対する変位量を圧電シートの積層数によって容易に変更することができると共に、各圧電シートに電極を印刷等で形成して積層することで、アクチュエータユニット20を容易に製作することができる。さらに、個別電極24と共通電極25とが重なる領域の大きさを変更することで、容易に活性部の長さを変更することができる。
【0040】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の実施の形態ではアクチュエータユニットが電極の印刷された圧電シートを積層したものであるが、アクチュエータユニットはこのようなものに限られるものではなく、圧力室の容積が変更されるように変形する活性部を有するものであれば圧電式以外のどのようなものでもよい。また、上述の実施の形態では、アクチュエータユニット内の一部の圧電シートだけに活性部を設けているが、積層された圧電シートのすべてに活性部が設けられていてもよい。
【0041】
また、上述の実施の形態では活性部の長さを圧力室よりも短くしているが、活性部の長さを圧力室よりも長くしてもよい。このようにした場合、長手方向について圧力室が活性部に含まれることになって、活性部の長手方向の位置ずれはほとんど吐出性能に影響を与えなくなるので、本発明のような構成をとることがさらに有効となる。
【0042】
【0043】
また、圧力室や活性部などの形状、圧電シートなどの積層数、圧力室の配列方向などは、適宜変更してよい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によると、圧力室がその長手方向に沿って配列されることによって形成された圧力室列が流路ユニットの長手方向に沿って配置されているために、ヘッドの長尺化によりアクチュエータユニットの寸法精度が悪化し、すべての圧力室と活性部とを正確に位置合わせしづらくなって圧力室と活性部との位置ずれ量が大きくなるとしても、その位置ずれは主に圧力室の長手方向に生じるものとなる。従って、従来のように位置ずれが主に圧力室の幅方向に生じる場合に比べて、吐出性能への影響が少なくなる。そのため、ヘッドの長さと吐出性能の均一性との関連性が小さくなって、長尺化された高速印刷が可能なインクジェットヘッドを製造しても、インクジェットヘッドの吐出性能の均一性を保つことができる。
【0045】
請求項2によると、互いに平行であって流路ユニットの長手方向に互いにずれるように複数の圧力室列が配置されているため、インクジェットヘッドがその幅方向に1回移動するだけで多くの印刷ドットを形成することができる。従って、圧力室列同士のずれ量を適宜設定することにより、高解像度の画像を高速で印刷することが可能になる。
【0046】
請求項3によると、共通電極と駆動電極とが重なる領域の大きさを変更するだけで容易に活性部の長さを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態によるインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図2】 図1に示すインクジェットヘッドを構成する流路ユニットの分解斜視図である。
【図3】 図2に示す流路ユニットを構成するキャビティプレートの平面図である。
【図4】 図1に示すインクジェットヘッドを構成するアクチュエータユニットの部分的な分解斜視図である。
【図5】 図4に示すアクチュエータユニットに含まれる圧電シートの上面に形成された共通電極の部分拡大図である。
【図6】 図1に示すインクジェットヘッドの幅方向に沿った部分断面図である。
【図7】 図1に示すインクジェットヘッドの長手方向に沿った部分断面図である。
【図8】 インクジェットヘッドの圧力室と活性部との位置関係を描いた模式的な平面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
10 流路ユニット
14 キャビティプレート
16 圧力室
20 アクチュエータユニット
21a〜21g、23 圧電シート
24 個別電極
25 共通電極
36、37 ノズル列
40 フレキシブルフラットケーブル
42、43 圧力室列
54 ノズル
Claims (3)
- 全体がほぼ直方体であって、一端が吐出ノズルに他端がインク供給源にそれぞれ接続され且つその両端を結ぶ長さがその両端を結ぶ方向と直交する方向の長さよりも大きい複数の圧力室を有しており、前記複数の圧力室が直方体を形成する六面のうちの一の平面上にその平面に沿って相互に隣接配置された流路ユニットと、
各圧力室の容積を変化させる複数の活性部を有し且つ複数の前記圧力室に対向して配置されたアクチュエータユニットとを備え、
前記活性部の変形により対応する前記圧力室の容積を変化させて前記吐出ノズルからインク滴を吐出するインクジェットヘッドにおいて、
前記複数の圧力室は、その長手方向に沿って配列された圧力室列を複数形成しており、複数の前記圧力室列は、それぞれ前記流路ユニットの前記一の平面の長手方向に沿って配置されていると共に、複数の前記圧力室列同士が、前記一の平面に平行で前記長手方向と交差する方向に隣接しており、
前記流路ユニットには、前記交差する方向に延在した複数のインク通路が形成されており、各インク通路は、当該インク通路に沿う複数の前記圧力室の前記他端に連通しており、
前記一の平面に直交する方向から見たときに、前記圧力室の両端を結ぶ直線上において、前記圧力室の範囲が前記インク通路の範囲を含んでおり、
各活性部は、前記一の平面に直交する方向に関して前記圧力室と対向しており且つ前記圧力室の長手方向に細長い駆動電極を有しており、前記駆動電極が前記圧力室の前記他端を越えて延在することで、前記駆動電極の一端が前記流路ユニットの長手方向に隣接する他の前記圧力室との間にある桁部と対向しており、
前記アクチュエータユニットには、フレキシブルフラットケーブルに形成された配線パターンと電気的に接続される端子であり且つ前記一の平面と直交する方向に関して前記桁部と対向する領域の表面に形成された表面電極と、前記表面電極と前記駆動電極との間に穿設されたスルーホールと、前記スルーホール内に充填されて前記表面電極と前記駆動電極とを電気的に接続する導電性材料とが形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 複数の前記圧力室列が、互いに平行であって前記流路ユニットの長手方向に互いにずれるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記アクチュエータユニットが、複数の前記圧力室に跨るように積層された圧電材料からなる複数の連続平板層を含んでおり、
各連続平板層の一方側には複数の前記圧力室に共通の共通電極が配置されると共に、各連続平板層の他方側には各圧力室ごとに前記駆動電極が配置されており、
前記連続平板層の前記共通電極と各駆動電極とによって挟まれた領域が前記活性部となっていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
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