JP3991372B2 - デジタル信号処理装置 - Google Patents

デジタル信号処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3991372B2
JP3991372B2 JP24926496A JP24926496A JP3991372B2 JP 3991372 B2 JP3991372 B2 JP 3991372B2 JP 24926496 A JP24926496 A JP 24926496A JP 24926496 A JP24926496 A JP 24926496A JP 3991372 B2 JP3991372 B2 JP 3991372B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gain
signal
time constant
level
generating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP24926496A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1051253A (ja
Inventor
美昭 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Victor Company of Japan Ltd filed Critical Victor Company of Japan Ltd
Priority to JP24926496A priority Critical patent/JP3991372B2/ja
Publication of JPH1051253A publication Critical patent/JPH1051253A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3991372B2 publication Critical patent/JP3991372B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Stereophonic System (AREA)
  • Reverberation, Karaoke And Other Acoustics (AREA)
  • Tone Control, Compression And Expansion, Limiting Amplitude (AREA)
  • Control Of Amplification And Gain Control (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルオーディオ信号のレベルをコンプレス(圧縮)、リミット(制限)するデジタル信号処理装置に関し、特に信号レベルが急峻に立ち上がる場合にその立ち上がり時からなだらかに減衰させて聴感を向上させるデジタル信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコンプレス/リミット回路としては、例えば特開平3−198413号公報、特開平6−164275号公報などに示されるものがある。図8はかかる従来のコンプレス/リミット回路を模式的に示し、また、図9(a)は遅延回路1及びレベル検出回路3に入力される信号、図9(b)は遅延回路1により遅延された信号、図9(c)はスムーズフィルタ5によりゲイン調整用アンプ2に設定されるゲイン曲線G、図9(d)はゲイン調整用アンプ2の出力信号の一例を示している。図8においてデジタルオーディオ信号は遅延回路1により時間t1の分だけ遅延され、次いでゲイン調整用アンプ2によりゲイン制御信号Gに基づいてゲインが調整される。この場合、ゲインGは通常時には「1」に設定され、コンプレス/リミット機能が設定されている場合には信号レベルが急峻に立ち上がる場合に、その立ち上がり時からなだらかに減衰するように「1」から徐々に低下する値に設定される。
【0003】
例えば図9(a)に示すように急峻に立ち上がる信号A、例えば1kHzのバースト波が入力した場合、この入力信号のレベルaがレベル検出回路3により検出される。検出されたレベルがコンプレス/リミット用の閾値Vthと比較され、ゲイン生成回路4はこの閾値Vthを超えると、この差分Δ(=a−Vth)に応じたコンプレスゲインg(Δ)を生成し、これをスムーズフィルタ5に出力する。スムーズフィルタ5は係数乗算器、遅延器、加算器より成るIIRフィルタ(ローパスフィルタ)で構成され、設定係数に応じた時定数で図9(c)の曲線で示すように「1」から徐々に低下するゲインGをゲイン調整用アンプ2に設定する。
【0004】
したがって、遅延回路1により遅延された信号bは、立ち上がり時点近傍から「1」から例えば0.2になだらかに低下するゲインGにより減衰され、また、ゲインGの減衰率(時定数)は設定係数に応じた値となる。ここで、信号bのゲインGの減衰が開始される時点をアタックポイント、減衰される時間をアタック時間といい、遅延時間t1はアタック時間t2の2倍程度又はそれ以上が必要とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の回路では、信号レベルの減衰がなだらかになるようにアタック時間t2を長くしようとすると、入力信号の遅延時間t1を長くしなければならないので、出力信号は時間遅れが長いエコーのような信号となって却って耳障りになるという問題点がある。なお、エコーの問題を解決するために入力信号の遅延時間t1を短くすると、t1 ≧ 2t2の関係により、アタック時間t2を長くすることができないという問題点がある。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、入力信号の遅延時間を短くしてエコーを防止することができるとともにアタック時間を長くすることができるデジタル信号処理装置を提供することを第1の目的とする。本発明はまた、複数系統の信号に対してコンプレス/リミット特性処理を行うにあたり、複数系統の信号レベルのバランスを図りつつ入力信号の遅延時間を短くしてエコーを防止することができるとともにアタック時間を長くすることができるデジタル信号処理装置を提供することを第2の目的とする。本発明はまた、マルチチャンネル再生のための複数系統の信号に対してコンプレス/リミット特性処理を行うにあたり、デコード前の少ない系統の信号から共通レベルを検出することにより、マルチチャンネルの信号レベルのバランスを図りつつ入力信号の遅延時間を短くしてエコーを防止することができるとともにアタック時間を長くすることができるデジタル信号処理装置を提供することを第3の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記第1の目的を達成するために、スムーズフィルタにより出力されたゲインの時定数を延長するようにしている。
すなわち本発明によれば、デジタル入力信号を遅延する遅延手段と、
前記遅延手段により遅延された前記デジタル信号を可変のゲインで減衰する減衰手段と、
前記デジタル入力信号のレベルを検出するレベル検出手段と、
前記レベル検出手段により検出されたレベルに基づきコンプレス/リミット用の第1のゲインを生成するゲイン生成手段と、
前記ゲイン生成手段により出力された前記第1のゲインにフィルタ処理を施して減衰時定数を付与した第2のゲインを生成するスムーズフィルタと、
前記スムーズフィルタにより出力された第2のゲインと、当該手段から出力される第4のゲインの所定サンプル前の信号に対して前記減衰時定数よりも長くする処理をして得られた第3のゲインと、を比較して値の大きい一方のゲインを選択することによってゲインの減衰時定数を延長して第4のゲインとする時定数延長手段とを有し、第4のゲインを印加するデジタル信号処理装置が提供される。
【0008】
本発明は上記第2の目的を達成するために、複数系統のデジタル入力信号のレベルを検出するレベル検出手段と、検出されたレベルの平均あるいは最大値を検出する共通レベル検出手段とを設けている。
すなわち本発明によれば、複数系統のデジタル入力信号をそれぞれ遅延する遅延手段と、
前記遅延手段により遅延された前記複数系統のデジタル信号を可変のゲインで減衰する減衰手段と、
前記複数系統のデジタル入力信号のレベルを検出するレベル検出手段と、
前記レベル検出手段により検出されたレベルの平均あるいは最大値を検出する共通レベル検出手段と、
前記共通レベル検出手段により検出されたレベルに基づきコンプレス/リミット用の第1のゲインを生成するゲイン生成手段と、
前記ゲイン生成手段により出力された前記第1のゲインにフィルタ処理を施して減衰時定数を付与した第2のゲインを生成するスムーズフィルタと、
前記スムーズフィルタにより出力された第2のゲインと、当該手段から出力されるゲインの所定サンプル前の信号に対して前記減衰時定数よりも長くする処理をして得られた第3のゲインと、を比較して値の大きい一方のゲインを選択することによってゲインの減衰時定数を延長して第4のゲインとする時定数延長手段とを有し、第4のゲインを印加するデジタル信号処理装置が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態をその実施例によって説明する。図1は本発明に係るデジタル信号処理装置の第1実施例を示すブロック図、図2は図1のデジタル信号処理装置を備えた全体構成を示すブロック図、図3は図1のデジタル信号処理装置の主要信号を示す波形図、図4は図1のスムーズフィルタ及び時定数延長部の一例を詳細に示すブロック図である。
【0011】
図1に示すデジタル信号処理装置13は図2に示すDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)10により構成され、操作部11のコンプレッサ/リミッタキー11aが操作された場合にCPU12の制御により入力信号についてコンプレス/リミット処理を行う。上記操作部11は図示省略の各別の選択キーによってアタック時間t2、コンプレス開始閾値Vth、ゲインGの圧縮の度合いなどがそれぞれ指定できるようになっている。また、図2に示すように、操作部11からの信号はCPU12を介して所定のパラメータに変換されてDSP10に供給され所定の演算回路の係数を切り換えるように構成される。さて、図1において、入力デジタルオーディオ信号は遅延回路1により時間t1だけ遅延され、次いでゲイン調整用アンプ2によりゲイン制御信号に基づいてゲインGが調整される。ゲインGは通常時には「1」に設定され、コンプレス/リミット機能が設定されている場合には信号レベルが急峻に立ち上がる場合にその立ち上がり時からなだらかに減衰するように「1」から徐々に低下する値に設定される。
【0012】
例えば図3(a)に示すように急峻に立ち上がる信号Aが入力した場合、図3(b)に示すように遅延回路1により、従来例より比較的短い時間t1だけ遅延されてゲイン調整用アンプ2に印加される。ここで、ゲイン調整用アンプ2の入力信号AのゲインGの減衰が開始される時点をアタックポイント、減衰される時間をアタック時間といい、遅延時間t1はアタック時間t2の2倍程度が好適とされている。
【0013】
デジタルオーディオ信号のレベルaがレベル検出回路3により検出され、ゲイン生成回路4に与えられる。ここで、検出されたレベルaはゲイン生成回路4でコンプレス/リミット用の閾値Vthと比較され、この閾値Vthを超えると、この差分Δ(=a−Vth)に応じたコンプレスゲインg(Δ)を生成し、これがスムーズフィルタ5に与えられる。コンプレスゲインg(Δ)は、例えば、
【0014】
【数1】
g(Δ)=1−Pi(KiΔ2+Δ)/a (式1)
のように表される差分Δの関数である。ただし、aはレベル、Pi及びKiはゲインGの圧縮の度合いによって決められる定数である。
【0015】
スムーズフィルタ5はローパスフィルタで構成され、図3(c)の曲線(立ち上がり時点Pi→アタックポイントPt→減衰点Pu)で示すように、設定係数に応じた時定数でゲインを従来例より比較的急峻に下げる。
【0016】
そして、本実施例では、スムーズフィルタ5により設定されるゲインの時定数を時定数延長部6により、図3(c)の曲線{立ち上がり時点Pi→アタックポイントPt→減衰点cc(>Pu)}で示すように延長し、ゲイン調整用アンプ2に設定する。したがって、ゲインを時定数延長部6により延長しない構成では、遅延時間t1を短くすると出力信号dは図3(d)の破線で示すように急峻に立ち下がってアタック時間を長くすることができないが、本実施例では、ゲインGを時定数延長部6により延長するので、出力信号dは図3(d)の実線で示すようになだらかに低下し、したがって、アタック時間を長くすることができる。また、入力信号の遅延時間を短くするので、エコーを防止することができる。
【0017】
次に、図4を参照してスムーズフィルタ5と時定数延長部6の一例を説明する。図4に示すスムーズフィルタ5は1次のIIR(無限インパルス応答)フィルタを縦列接続したものであり、3段分の加算器51、遅延器52、53及び係数乗算器54〜56を有する。係数乗算器54〜56には図2に示すCPU12によりゲインGを1未満に設定するための係数が印加され、図3(c)の曲線(立ち上がり時点Pi→アタックポイントPt→減衰点Pu)で示すように時定数が急峻に低下するゲインGがスムーズフィルタ5から出力される。時定数延長部6はスイッチSW、遅延器61及び係数乗算器62により構成され、ゲインGの時定数を延長するための係数Ka(<1)がCPU12により係数乗算器62に設定される。
【0018】
スムーズフィルタ5の出力信号はスイッチSWを介して遅延器61、係数乗算器62を介してスイッチSWにフィードバックされ、比較器でスムーズフィルタ5の出力信号と係数乗算器62の出力信号を比較して大きい方をスイッチSWにより選択することにより、曲線Pi(立ち上がり時点)→Pt(アタックポイント)の区間ではスムーズフィルタ5の出力信号を選択し、Pt(アタックポイント)以降の区間では係数乗算器62の出力信号、すなわちゆるやかな低下率のゲインccを選択する。
【0019】
図5は他の例の時定数延長部6aを示している。図5において、スムーズフィルタ5は同一の構成であり、時定数延長部6aはスイッチSW、遅延器61、係数乗算器62、減算器63及び加算器64により構成され、同様に、時定数を延長するための係数KaがCPU12により係数乗算器62に設定される。また、減算器63において遅延器61の出力からスムーズフィルタ5の遅延器52の出力が減算されて係数乗算器62に印加され、加算器64において係数乗算器62の出力とスムーズフィルタ5の遅延器52の出力が加算されてスイッチSWにフィードバックされる。この場合にも同様に、比較器でスムーズフィルタ5の出力信号と加算器64の出力信号を比較することにより、Pt(アタックポイント)以降の区間では加算器64の出力信号、すなわちゲインccをスイッチSWにより選択する。このようにスムーズフィルタ5の入力信号が時定数延長部6aの出力信号から減算されたものに係数Kaを乗算するようにしているため、図3(C)で0.2によって示すゲインに向って減衰曲線ccが収束するように形成される。このような時定数延長部6、6aでは、例えば延長前のアタック時間t2=4msから100msに延長されるように、減衰がなだらかにされる。
【0020】
さて、上記第1実施例では、信号レベルの減衰をなだらかにしてアタック時間を長くするようにしたが、減衰がなだらか過ぎると、音のクリア感、歯切れ感と呼ばれるアタック感が無くなる場合がある。図6及び図7は信号レベルの減衰をなだらかにしてアタック時間を長くするとともにアタック感を強調する第2実施例を示している。ここで、遅延回路1による遅延時間は図7(a)に示すように第1実施例の遅延時間t2よりΔtだけ短い。図6は第2実施例のスムーズフィルタ5a及び時定数延長部6bを示し、スムーズフィルタ5aは5段IIRフィルタである。そして、この実施例の時定数延長部6bでは、図5に示す加算器64の出力ゲイン(<1)を二乗するための乗算器65が追加されている。
【0021】
図7を参照してこの第2実施例を説明すると、例えば図7(a)に示すように急峻に立ち上がる信号Aが入力された場合、図7(b)に示すように遅延回路1により、従来例より比較的短い時間(t1−Δt)だけ遅延されてゲイン調整用アンプ2に印加される。また、デジタルオーディオ信号のレベルaがレベル検出回路3により検出され、ゲイン生成回路4に供給される。ここで、コンプレス/リミット用の閾値Vthと比較され、この閾値Vthを超えると、この差分Δ(=a−Vth)に応じたコンプレスゲインg(Δ)を生成し、これをスムーズフィルタ5に出力する。コンプレスゲインg(Δ)は例えば式1に示したものが用いられる。
【0022】
そして、第2実施例では、スムーズフィルタ5により設定されるゲインの時定数を時定数延長部6bにより、図7(c)の曲線{立ち上がり時点Pi→アタックポイントPt→cc’(Pu<減衰点cc’<cc)}で示すように延長する。この場合、比較器がスムーズフィルタ5の出力信号と乗算器65の出力信号を比較して大きい方をスイッチSWにより選択すると、図7(c)に示すように立ち上がり時点Pi、アタックポイントPt、第1実施例の場合のアタックポイントPt’の区間ではスムーズフィルタ5の急峻なゲインが選択されるので、図7(d)に示すようにPt−Pt’区間で出力信号が急峻に立ち下がり、したがって、アタック感を強調することができる。また、第1実施例の場合のアタックポイントPt’以降ではなだらかな曲線cc’のゲインが選択されるので、信号レベルの減衰をなだらかにしてアタック時間を延長することができる。
【0023】
次に複数系統の信号レベルのバランスを図りつつコンプレス/リミット特性処理を行うことが可能な本発明の第3実施例について説明する。 図10は第3実施例を示すブロック図である。第3実施例は図1の第1実施例と次の点で異なる。すなわち、第1実施例が1系統(1チャンネル)の信号用に構成されているのに対し、図10の第3実施例は2系統(2チャンネル)の信号用に構成されている。具体的にはLチャンネルの信号は遅延回路1とレベル検出回路3へ入力され、Rチャンネルの信号は遅延回路21とレベル検出回路23へ入力される。2つのレベル検出回路3、23の出力信号はそれぞれ共通レベル検出回路7へ与えられる。共通レベル検出回路7は2つの入力信号のうち、大きいレベルの信号(最大レベル信号)を選択する。選択された信号はゲイン生成回路4へ与えられる。ゲイン生成回路4以下の構成は2つのゲイン調整用アンプ2、22が2系統用に設けられ、時定数延長部6の出力信号がこれらのゲイン調整用アンプ2、22に与えられている点を除き、基本的に第1実施例と同様である。
【0024】
図11は図10の共通レベル検出回路7とゲイン生成回路4の具体的構成を示すブロック図である。共通レベル検出回路7はコンパレータ(COMP)25とNOT回路27と2つのスイッチ26、28を有している。コンパレータ25はLチャンネルの入力信号レベルがRチャンネルの入力信号レベルより大きいとき、Hレベルの信号を出力し、よってスイッチ26がオンとなりスイッチ28はオフとなる。一方、Rチャンネルの入力信号レベルがLチャンネルの入力信号レベルより大きいとき、Lレベルの信号を出力し、よってスイッチ26がオフとなりスイッチ28はオンとなる。こうして、2つの系統の一方が選択される。この例では2系統であるが、入力信号が3系統ある場合も、同様に最大レベルの信号が選択される。
【0025】
図10のゲイン生成回路4は、図11に示すようにコンパレータ29、閾値発生回路30、加算器31、36、39、乗算器34、35、38、41、42、除算器37、所定値発生回路33、40、スイッチ回路32を有している。図中、Δは共通レベル検出回路7の出力信号と閾値発生回路30からの閾値Vthとの差分を示す。共通レベル検出回路7からの最大レベル信号のレベルが閾値Vthより大きいとき、コンパレータ29の出力信号によってスイッチ回路32を介して減算器として動作する加算器31の出力信号が差分Δとして加算器36と乗算器34、42に与えられる。KiとPiは係数である。所定値発生回路33は論理”0”に相当する電圧を発生し、所定値発生回路40は論理”1”に相当する電圧を発生する。よって、共通レベル検出回路7からの最大レベル信号のレベルが閾値Vthより大きくないときは、加算器36の出力は0となり、出力信号g(Δ)は1となる。
【0026】
図11に示した例では、Lchの信号がRchの信号より大きい場合が表示されていて、Lchの信号に関し、係数Qi、Ki、Piが閾値Vthに対して曲線特性を決定する様子を示している。すなわち、出力信号g(Δ)は、
【0027】
【数2】
Ka=1−Pi(QiΔ3+KiΔ2+Δ)/Lin (式2)
となり、この値でコンプレス/リミットゲインとなる。ただし、Pi、Qi、KiはゲインGの圧縮の度合いによって決まる定数、Linは最大レベルである。
【0028】
また、式(1)と比べて式(2)は係数Qiの3次の項を持つため、曲線特性の設計自由度が向上する。ゲイン生成回路4において、入力レベル(上記例ではLin)により除算しているのは、Lin=1に正規化するためである。ゲイン生成回路4の出力信号はスムーズフィルタ5、時定数延長部6にて上記実施例と同様に処理され、ゲイン調整用アンプ2、22にゲインGとしてそれぞれ与えられる。よって、アタック時にはさらに時定数の作用により曲線特性が形成される。すなわち、Lchについて見ると遅延回路1における時定数dINと、スムーズフィルタ5の時定数τfを用いて、アタック時間τaは、
【0029】
【数3】
τa=τf−dIN (式3)
【0030】
として与えられる。Rchについても同様であり、ゲイン調整用アンプ2、22からはコンプレス/リミットゲインがバランスよく調整された出力信号d、eがそれぞれ得られる。
【0031】
なお、上記各実施例においてアタック時間を長い方に切り換えた場合には、時定数延長部6、6aの係数Kaを0から1の間で連続的に変化させることで連続的な時間変化を与えることができるとともに、アタック時間を短い方に切り換えた場合には、係数Kaを0にした状態でスムーズフィルタ5の時定数のみを連続的に変化させることで連続的な時間変化を与えることができる。したがって、アタック時間の短い方から十分に長い方まで連続的に途切れることなく良好に実施される。
【0032】
また、上記各実施例のゲイン生成回路4は差分Δに基づきコンプレス/リミット用のゲインg(Δ)を生成する例で説明したが、これに限るものではなく、レベルに応じたコンプレス/リミット用のゲインgを生成するものであれば適用することができる。
【0033】
上記第3実施例では共通レベル検出回路7で複数の入力信号中の最大レベル信号を選択しているが、最大レベル信号を選択する代わりに複数の入力信号のレベルの平均を演算するものであってもよい。
【0034】
次にサラウンドオーディオ用の複数系統の信号レベルのバランスを図りつつコンプレス/リミット特性処理を行うことが可能な本発明の第4実施例について説明する。まず、サラウンドオーディオ用のエンコーダについて説明する。図13はサラウンドオーディオ用のエンコーダを示すブロック図である。この例では、ドルビーサラウンド方式の4系統、すなわちL、C、S、Rの4系統の信号からなるマルチチャンネル信号をエンコードしてLt、Rtの2チャンネルの信号とするエンコーダが示されている。このエンコーダは加算器91、93、97、100と、減衰器92、94と、BPF95と、ノイズリダクションエンコーダ96と、移相器98、99とを有している。減衰器92、94は3dB減衰させるものであり、BPF95のパスバンドは100Hz〜7kHzである。また、移相器98は90°進相(+90°)させるものであり、一方、移相器99は90°遅相(−90°)させるものである。
【0035】
図13に示したエンコーダなどにより2系統の信号とされ、記録あるいは伝送されたものをデコードして元のマルチチャンネル信号(本例では4チャンネル)とするサラウンドオーディオ用デコーダとしては、従来図14に示す構成のものが知られている。図14の従来のサラウンドオーディオ用デコーダは、入力2チャンネル信号をデコードして4チャンネル化した後、これらの4チャンネルの各信号(Lt、Rt、Lt+Rt、Lt−Rt)のレベル変化をコントロール回路78で監視して、いずれか1つの信号レベルが著しく大きくなった場合には、他の3チャンネルの信号レベルを減衰・低下させるよう、対応するアンプ74〜77のゲインを制御する。信号GL、GR、GC、GSはコントロール回路78から各アンプ74〜77に与えられるゲイン制御信号である。このゲイン制御により、サラウンドオーディオのリスナーに、より明確な方向感のある音場を提供している。このため、コントロール回路78は各アンプのゲインを0〜30dB減衰させるような出力信号を供給する構成となっている。
【0036】
本発明の第4実施例はかかる従来のサラウンドオーディオ用デコーダに対してわずかな追加・変更を行うことによって4系統などのマルチチャンネルでのコンプレス/リミット特性処理を実現することの可能なデジタル信号処理装置である。図12はかかる第4実施例の構成を示すブロック図である。換言すれば、第4実施例は図10に示す第3実施例と図14の従来のサラウンドオーディオ用デコーダを組み合わせた形のものである。すなわち、図12のデジタル信号処理装置は図14のコントロール回路78からのゲイン制御信号GL、GR、GC、GSを、入力の2チャンネルの信号レベルの平均あるいは最大値から得られる共通信号レベルGによって調整・制御して、制御されたゲイン制御信号GL *、GR *、GC *、GS *を各アンプ74〜78に与えるものである。2チャンネルの信号レベルの平均あるいは最大値から共通信号レベルGを得るための構成は図10に示されたものと実質的に同じであり、図12中の処理部83の回路番号が図10と同一のものは図10と対応している。
【0037】
図12中、遅延回路70、71は2系統の入力信号Lt、Rtを遅延させるものであり、図10中の遅延回路1、21にそれぞれ対応している。乗算器79、80、81、82はコントロール回路78からの4つのゲイン制御信号GL、GR、GC、GSを、処理回路83からの共通信号レベルGによって調整・制御して、制御されたゲイン制御信号GL *、GR *、GC *、GS *を各アンプ74〜77に与えるものである。処理回路83中のブロック3〜7及び23は図10の対応ブロックと同一であるので説明を省略する。かかる構成により、2系統の遅延回路を用いて4チャンネルのコンプレス/リミット特性処理を実現することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、スムーズフィルタにより出力されたゲインの時定数を延長するようにしたので、入力信号の遅延時間を短くしてエコーを防止することができるとともにアタック時間を長くすることができる。また、本発明によれば、スムーズフィルタにより出力されたゲインと、減衰手段により出力されたゲインを比較し、大きい方のゲインを減衰手段に印加するので、エコーを防止してアタック時間を長くすることができるとともに、アタック感を強調することができる。また、複数系統の信号に対してコンプレッサ/リミッタのアタック時における過大をバランスよく確実に抑えつつ、時定数を長く設定することができる。また、マルチチャンネル信号に対してバランスと時定数の設定の際にコンプレス/リミット特性処理を小規模の回路構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るデジタル信号処理装置の第1実施例を示すブロック図である。
【図2】図1のデジタル信号処理装置を備えた全体構成を示すブロック図である。
【図3】図1のデジタル信号処理装置の主要信号を示す波形図である。
【図4】図1のスムーズフィルタ及び時定数延長部の一例を詳細に示すブロック図である。
【図5】図1のスムーズフィルタ及び時定数延長部の他の例を詳細に示すブロック図である。
【図6】第2実施例のスムーズフィルタ及び時定数延長部を詳細に示すブロック図である。
【図7】図6のデジタル信号処理装置の主要信号を示す波形図である。
【図8】従来のデジタル信号処理装置を示すブロック図である。
【図9】図8のデジタル信号処理装置の主要信号を示す波形図である。
【図10】本発明に係るデジタル信号処理装置の第3実施例を示すブロック図である。
【図11】図10中の共通レベル検出回路とゲイン生成回路の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明に係るデジタル信号処理装置の第4実施例を示すブロック図である。
【図13】サラウンドオーディオ用エンコーダを示すブロック図である。
【図14】従来のサラウンドオーディオ用デコーダを示すブロック図である。
【符号の説明】
1、21、70、71 遅延回路(遅延手段)
2、22 ゲイン調整用アンプ(減衰手段)
3、23 レベル検出回路(レベル検出手段)
4 ゲイン生成回路(ゲイン生成手段)
5、5a スムーズフィルタ
6、6a、6b 時定数延長部(時定数延長手段)
7 共通レベル検出回路(共通レベル検出手段)
10 DSP
11 操作部
11a コンプレッサ/リミッタキー
12 CPU
13、13A デジタル信号処理装置
25、29 コンパレータ
26、28 スイッチ
27 NOT回路
30 閾値発生回路
31、36、39、51、63、64、91、97、100 加算器又は減算器
32 スイッチ回路
33、40 所定値発生回路
34、35、38、41、42、65 乗算器
37 除算器
52、53、61 遅延器
54、55、56、62、79、80、81、82 係数乗算器
72 加算器(遅延回路70、71及び減算器73と共にデコード手段を構成する)
73 減算器
74、75、76、77 ゲイン調整用アンプ(スムーズフィルタ5、時定数延長部6、コントロール回路78、乗算器79〜82と共に可変ゲイン手段を構成する)
78 コントロール回路
83 処理部
92、94 減衰器
95 BPF
96 ノイズリダクションエンコーダ
98、99 移相器

Claims (3)

  1. デジタル入力信号を遅延する遅延手段と、
    前記遅延手段により遅延された前記デジタル信号を可変のゲインで減衰する減衰手段と、
    前記デジタル入力信号のレベルを検出するレベル検出手段と、
    前記レベル検出手段により検出されたレベルに基づきコンプレス/リミット用の第1のゲインを生成するゲイン生成手段と、
    前記ゲイン生成手段により出力された前記第1のゲインにフィルタ処理を施して減衰時定数を付与した第2のゲインを生成するスムーズフィルタと、
    前記スムーズフィルタにより出力された第2のゲインと、当該手段から出力される第4のゲインの所定サンプル前の信号に対して前記減衰時定数よりも長くする処理をして得られた第3のゲインと、を比較して値の大きい一方のゲインを選択することによってゲインの減衰時定数を延長して第4のゲインとする時定数延長手段とを有し、第4のゲインを印加するデジタル信号処理装置。
  2. 複数系統のデジタル入力信号をそれぞれ遅延する遅延手段と、
    前記遅延手段により遅延された前記複数系統のデジタル信号を可変のゲインで減衰する減衰手段と、
    前記複数系統のデジタル入力信号のレベルを検出するレベル検出手段と、
    前記レベル検出信号により検出されたレベルの平均あるいは最大値を検出する共通レベル検出手段と、
    前記共通レベル検出手段により検出されたレベルに基づきコンプレス/リミット用の第1のゲインを生成するゲイン生成手段と、
    前記ゲイン生成手段により出力された前記第1のゲインにフィルタ処理を施して減衰時定数を付与した第2のゲインを生成するスムーズフィルタと、
    前記スムーズフィルタにより出力された第2のゲインと、当該手段から出力されるゲインの所定サンプル前の信号に対して前記減衰時定数よりも長くする処理をして得られた第3のゲインと、を比較して値の大きい一方のゲインを選択することによってゲインの減衰時定数を延長して第4のゲインとする時定数延長手段とを有し、第4のゲインを印加するデジタル信号処理装置。
  3. 前記時定数延長手段の前記第4のゲインの所定サンプル前の信号に対して前記減衰時定数よりも長くする処理は、前記第4のゲインの1サンプル前の信号に対して1以下の係数を乗算する係数乗算器によって処理することを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル信号処理装置。
JP24926496A 1995-08-30 1996-08-30 デジタル信号処理装置 Expired - Fee Related JP3991372B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24926496A JP3991372B2 (ja) 1995-08-30 1996-08-30 デジタル信号処理装置

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24552495 1995-08-30
JP7-245524 1996-05-30
JP15891996 1996-05-30
JP8-158919 1996-05-30
JP24926496A JP3991372B2 (ja) 1995-08-30 1996-08-30 デジタル信号処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1051253A JPH1051253A (ja) 1998-02-20
JP3991372B2 true JP3991372B2 (ja) 2007-10-17

Family

ID=27321438

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24926496A Expired - Fee Related JP3991372B2 (ja) 1995-08-30 1996-08-30 デジタル信号処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3991372B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8045731B2 (en) 2005-06-06 2011-10-25 Yamaha Corporation Sound quality adjustment device
DE102008036924B4 (de) * 2008-08-08 2011-04-21 Gunnar Kron Verfahren zur Mehrkanalbearbeitung in einem Mehrkanaltonsystem
DE102008056704B4 (de) * 2008-11-11 2010-11-04 Institut für Rundfunktechnik GmbH Verfahren zum Erzeugen eines abwärtskompatiblen Tonformates

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1051253A (ja) 1998-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3193032B2 (ja) 車載用自動音量調整装置
EP2362996B1 (en) Dynamic volume control and multi-spatial processing protection
KR100702496B1 (ko) 오디오 매트릭스 디코딩 장치를 위한 방법
EP2209326B1 (en) Auditory sense correction device
JP2011015018A (ja) 自動音量制御装置
US20060274903A1 (en) Sound quality adjustment device
JP2003084790A (ja) 台詞成分強調装置
JP2773656B2 (ja) ハウリング防止装置
US20050123152A1 (en) Signal processors and associated methods
JP4414905B2 (ja) オーディオ装置
JP6424421B2 (ja) 音響装置
JP2009159375A (ja) 音響効果回路及び処理方法
JP3991372B2 (ja) デジタル信号処理装置
JP2003299181A (ja) オーディオ信号処理装置及びオーディオ信号処理方法
EP0779764A2 (en) Apparatus for enhancing stereo effect with central sound image maintenance circuit
JP3109389B2 (ja) 適応フィルタシステム
JP3296583B2 (ja) オーディオ信号処理装置
JPH03237899A (ja) ハウリング抑制装置
JP4912335B2 (ja) Agc装置
JP3206271B2 (ja) ディジタルトーンコントロール装置
Lu A digital realization of audio dynamic range control
KR0119507Y1 (ko) 노이즈 감소회로
JP3329050B2 (ja) ディジタルトーンコントロール装置
JP2998196B2 (ja) オーディオ信号の量子化誤差低減装置
JPH07221574A (ja) ディジタルトーンコントロール装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060124

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061205

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070403

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070530

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070703

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070716

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110803

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120803

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120803

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120803

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120803

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130803

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees