JP3991068B2 - 空気調和機の制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、快適性を損なうことなく、エネルギーを節約できるような空気調和機の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気調和機の制御方法としては、室温が常に所定の目標温度になるように空気調和機を制御する方法が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、省エネルギーの観点からすれば、上記従来の方法では、目標温度を外気温度に近づければ、エネルギーを節約できるが、その分だけ確実に快適性が損なわれる。したがって、省エネルギーと快適性の向上とを両立することが困難である。
【0004】
そこで、この発明の目的は、省エネルギーと快適性の向上とを両立できるような空気調和機の制御方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の空気調和機の制御方法は、熱源装置と、
送風ファンを有し、かつ、上記熱源装置からの熱媒が供給されると共に所定の室に設置されたファンコイルユニットと、
送風ファンを有し、かつ、上記熱源装置からの熱媒が供給されると共に屋外からの外気を上記所定の室に導入するエアハンドリングユニットと、
上記熱源装置と、上記ファンコイルユニットおよびエアハンドリングユニットとに接続された熱媒配管と、
該熱媒配管の途中に設けられて上記熱源装置からの熱媒を上記熱媒配管を介して上記ファンコイルユニットおよびエアハンドリングユニットに供給して上記熱源装置に戻すポンプとを備える冷暖房用空気調和機の制御方法において、
上記所定の室の温度が設定温度になるように上記空気調和機の空気調和動作を連続的に行っている連続運転状態での上記所定の室に居る特定の複数の被験者が申告した段階的表示の温冷感レベルの平均値を求め、
上記空気調和機の送風ファンの動作を所定時間だけ強制的に停止させている停止時間と上記連続運転状態と同じ設定温度で連続運転を行っている稼動時間とを繰り返す間欠動作を、上記停止時間と稼動時間を変えて複数回行い、上記複数の間欠動作の各々での上記所定の室に居る上記特定の複数の被験者が申告した段階的表示の温冷感レベルの平均値を求め、
上記複数の間欠動作での上記温冷感レベルの平均値のうちで上記連続運転時の温冷感レベルの平均値と同程度の温冷感レベルの平均値を有する停止時間と稼動時間との組み合わせからなる間欠運転で、上記送風ファンを運転することを特徴としている。
【0006】
この請求項1の発明の制御方法によれば、上記送風ファンの動作を、室内温度の如何に拘わらず所定の停止期間だけ強制的に停止させる分だけ、エネルギーを確実に節約することができる。また、この間欠動作による室温変動が快適感を向上させる効果も期待できる。
【0007】
したがって、請求項1の発明によれば、連続的な空気調和動作時に比べて、快適性を低下させることなく、上記停止時間分だけ、エネルギー消費量を確実に削減することができる。
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0008】
夏期実験による冷房時の間欠動作の選定
図1の夏期実験のNo.2の欄および図2(B)に、この発明の空気調和機の制御方法の第1の実験における冷房動作の制御内容を示す。この実験では、時刻t=−30分からt=0分まで室温を26℃に保つように冷房運転している空気調和機の上記冷房運転を、室内温度の如何に拘わらず、時刻t=0分から周期的に15分だけ強制的に停止させて、上記空気調和機を間欠動作させる。図2(B)に示すように、上記停止の周期は45分である。したがって、この実験の制御方法によれば、上記冷房運転の15分間の停止と、この停止に引き続いた上記冷房運転の30分間の稼働とが、1回の間欠サイクルを構成している。
【0009】
ここで、図2(B)に破線で示すように、室の壁内面の温度が28℃で一定であるときには、室温は実線で示すように変化した。なお、黒丸●は運転停止点を表しており、白丸○は運転開始点を表している。
【0010】
一方、この第1の実験に対する比較対象として、図2(A)には、従来の一般空調として、室温が26℃で一定になるように、冷房運転を連続的に行っている状態を示している。ここでは、室の壁内面の温度を26℃で一定に設定した。またもう1つの比較対象として、図2(C)には、従来の連続運転の過程で、冷房運転の出力を変動させるアクティブ空調を行っている場合での室温の変化を示す。このアクティブ空調によれば、時刻t=−30分から時刻t=0分まで室温を26℃に保ち、時刻t=0から時刻t=15分まで室温を直線状に上昇させ、時刻t=15分から時刻t=22分まで室温を直線状に下降させ、時刻t=22分から23分間だけ室温を26℃に戻すという周期45分間の出力サイクルを繰り返した。
【0011】
図2(A),(B),(C)に示した運転における被検者数は30名である。そして、この図2(A),(B),(C)に示した運転において、被検者が申告した温冷感の平均を、図3のNo.1,No.2,No.3の欄に四角印で示し、標準偏差を上記四角印から上下に伸びる線分で表している。図3を参照すれば分かるように、No.1(一般空調)の平均値と、No.2(本実施形態)の平均値とNo.3(アクティブ空調)の平均値とは、温冷感レベルの「ふつう」と「少し涼しい」との間に収まっていて、しかも、本実験の上記平均値と一般空調での平均値との差に比べて、一般空調での標準偏差の方が大きい。
【0012】
さらには、この図2(A),(B),(C)に示した運転において、被検者が申告した快適感の平均値を、図4のNo.1,No.2,No.3の欄に四角印で示し、標準偏差を上記四角印から上下に伸びる線分で表している。図4を参照すれば分かるように、No.1(一般空調)の平均値と、No.2(本実験)の平均値とNo.3(アクティブ空調)の平均値とは、快適感レベルの「中立」と「やや快適」との間に収まっていて、しかも、本実験の上記平均値と一般空調での平均値との差に比べて、一般空調での標準偏差の方が格段に大きい。
【0013】
この結果から、この第1の実験の制御方法によれば、連続的な冷房動作時に比べて、快適性を低下させることなく、上記45分間の間欠サイクルの内の15分の停止時間の分だけ、エネルギー消費量を確実に削減することができる。
【0014】
尚、図1の夏期実験のNo.5に示すように、上記第1の実験において、停止時間を10分とし稼動時間を40分とした場合(停止時間率20%)には、図3に示すように温冷感において、No.2の第1実験に比べてやや涼しい方に平均値が移動してNo.1の一般空調の平均値に近づいた。したがって、図4に示すように、快適感もNo.2の実験に比べて向上した。
【0015】
一方、図1の夏期実験のNo.6に示すように、この図1のNo.5に比べて、稼動時間を半減させて20分とし、停止時間を10分にした場合(停止時間率33%)には、図3に示すように、温冷感はNo.2の第1実験とほぼ同等になり、図4に示すように、快適感は、No.1の一般空調とほぼ同等になった。
【0016】
また、図1の夏期実験のNo.7に示すように、上記No.2の第1実験において、稼動時の目標室内温度を26℃から25℃に1℃だけ低下させ、かつ、壁内面の温度を28℃から27℃に1℃だけ低下させた条件においては、図3に示すように、No.2に比べて、温冷感が約1段階だけ涼しい方に移動した。また、図4に示すように、快適感に関しては、No.1の一般空調とほぼ同等になった。
【0017】
また、図1の夏期実験のNo.8に示すように、上記No.2の第1実験において、稼動時の目標室内温度を26℃から27℃に1℃だけ上昇させ、かつ、壁内面の温度を28℃から29℃に1℃だけ上昇させた条件においては、図3に示すように、No.2に比べて、平均値がやや暖かい方向に移動して「ふつう」レベルをわずかに越えた。一方、図4に示すように、快適感に関しては、No.2とほぼ同等であった。
【0018】
また、図1の夏期実験のNo.9に示すように、No.2(停止時間率33%)に比べて、停止時間を10分間だけ減少させて5分間にし、かつ、稼動時間を5分だけ減少させて25分間にした場合(停止時間率16%)には、図3に示すように、温冷感が明らかにNo.2よりは涼しくなり、No.1の一般空調よりもわずかに涼しくなった。そして、図4に示すように、快適感に関しては、No.1よりも快適感が向上してほぼ「快適」レベルにまで向上した。
【0019】
冬期実験の暖房時の間欠動作の選定
次に、この発明の空気調和機の制御方法の第2の実験を説明する。この第2実験は、図1には、冬期実験のNo.6として示されている。この第2実験は、図2(D)に示すように、室の壁内面の温度が21℃で一定であるときに、時刻t=−30分からt=0分まで室温を24℃に保つように暖房運転している空気調和機の上記暖房運転を、室内温度の如何に拘わらず、時刻t=0分から30分の周期で、強制的に5分だけ停止させて、上記空気調和機を間欠動作させるものである。したがって、この実験の制御方法によれば、上記暖房運転の5分の停止と、この停止に引き続いた上記暖房運転の25分の稼動とが、1回の間欠サイクルを構成している。
【0020】
ここで、図2(D)に破線で示すように、室の壁内面の温度が21℃で一定であるときには、室温は実線で示すように変化した。黒丸●は運転停止点を示し、白丸○は運転開始点を示している。
【0021】
一方、この第2の実験に対する比較対象として、図1の冬期実験の欄のNo.3に示すように、図2(D)のt=−30分からt=0分までの暖房運転を連続的に行う一般空調3を採用する。
【0022】
上記冬期実験のNo.6(第2の実験)とNo.3(一般空調3)における被検者数は各30名である。図5のNo.6とNo.3の欄に、この30名の被検者が申告した温冷感の平均値(□印)と標準偏差(□印から上下に延びている線分)を示す。図5から分かるように、この第2の実験で被検者が申告した温冷感と上記一般空調3で被検者が申告した温冷感とは、平均値においても標準偏差においてもほとんど同じである。
【0023】
また、図6のNo.6とNo.3の欄に、上記30名の被検者が申告した快適感の平均値(□印)と標準偏差(□印から上下に延びている線分)を示す。図6から分かるように、この第2の実験で被検者が申告した快適感と上記一般空調3で被検者が申告した快適感とは、平均値においても標準偏差においてもほとんど同じである。
【0024】
この結果から、この第2の実験の制御方法によれば、一般空調3の連続的な暖房動作時に比べて、快適性を低下させることなく、上記30分間の間欠サイクルの内の5分間の停止時間の分だけ、エネルギー消費量を確実に削減することができる。
【0025】
尚、図1の冬期実験のNo.4に示すように、No.6の上記第2実験(停止時間率16%)に比べて、停止時間を10分だけ増加させて15分にし、稼働時間を5分だけ増加させて30分にした場合(停止時間率33%)には、図5に示すように、温冷感がNo.6に比べてわずかに暖かい方に移動してNo.3の一般空調3とほぼ同等の温冷感になった。また、図6に示すように、快適感は、No.6(第2実験)およびNo.3(一般空調3)とほぼ同じであった。したがって、この場合には、快適感を損なうことなく、第2実験の2倍以上のエネルギー削減を図れる。
【0026】
また、図1の冬期実験のNo.5に示すように、No.6(第2実験)に比べて、停止時間を5分だけ増加させて10分にし、稼働時間を15分だけ増加させて40分にした場合(停止時間率20%)には、図5に示すように、温冷感がNo.6に比べてわずかに上昇してNo.3の一般空調3とほぼ同等の温冷感になった。また、図6に示すように、快適感はNo.3の一般空調3よりもわずかに低下した。
【0027】
また、図1の冬期実験のNo.7に示すように、No.6に比べて、停止時間を5分だけ増加させて10分にし、稼働時間を5分だけ減少させて20分にした場合(停止時間率33%)には、図5に示すように、温冷感がNo.6に比べてわずかに低下して「ふつう」レベルよりも「少し涼しい」レベルに移動した。そして、快適感に関しては、図6に示すように、No.6とほぼ同等レベルであった。
【0028】
また、図1の冬期実験のNo.8に示すように、No.6に比べて、壁内周面の温度を5℃だけ増加させて26℃にさせ、かつ、停止時間を10分だけ増加させて15分にし、かつ、稼働時間を5分だけ増加させて30分にした場合(停止時間率33%)には、冷房運転になる。そして、温冷感については、図5に示すように、No.6の「ふつう」レベルに比べて上昇して「ふつう」レベルと「すこし暖かい」レベルとのほぼ中間よりもやや低いレベルになった。そして、快適感については、図6に示すように、No.6のレベルとほぼ同等であった。
【0029】
また、図1の冬期実験のNo.9に示すように、No.6に比べて目標室内温度を2℃だけ低下させて22℃にし、かつ、壁内周面の温度を2℃だけ低下させて19℃にした場合には、温冷感については、図5に示すように、No.6に比べて、低下して「少し涼しい」レベル付近に近づいた。そして、快適感については、図6に示すように、No.6よりもやや低下してほぼ「中立」レベルになった。
【0030】
また、図1の冬期実験のNo.10に示すように、No.6に比べて目標室内温度を2℃だけ低下させて22℃にし、かつ、壁内周面の温度を2℃だけ低下させて19℃にした上で、停止時間を10分だけ増加させて15分にし、稼働時間を5分だけ増加させて30分にした場合(停止時間率33%)には、温冷感については、図5に示すように、No.6の「ふつう」レベルから「少し涼しい」レベルまで低下した。また、快適感については、図6に示すように、No.6から低下して「中立」レベルになった。
【0031】
なお、図1の冬期実験のNo.11は、No.4(停止時間率33%)において被検者の着衣を増加させた場合であり、図5に示すように、温冷感はNo.4に比べてわずかに向上したが、快適感は図6に示すように、No.4とほとんど変わらなかった。
【0032】
また、上記第1,第2の実験では、停止時間を周期的に設けたが、停止時間を非周期的に設けてもよい。
【0033】
夏期実験および冬期実験に基づく空気調和機の制御
次に、図7に、この発明の制御方法が行われる空気調和機を示す。
【0034】
この空気調和機は、図7に示すような二階建てのビル1に備え付けられたものであり、一階の室2の床に載置された第1ファンコイルユニット3と、二階の室5の床に載置された第2ファンコイルユニット6を有している。この第1,第2のファンコイルユニット3,6は熱媒配管7でもってポンプ8に接続されている。そして、このポンプ8は、熱源装置10に接続されている。この熱源装置10は、たとえばヒートポンプチラーで構成すればよい。また、この熱源装置10には、もう1つのポンプ11が接続されている。このポンプ11は空気清浄器としてのエアハンドリングユニット12に接続されている。このエアハンドリングユニット12には吸い込みダクト13と吐出ダクト15とが接続されている。上記吸い込みダクト13は、外気および、一階の室2の床付近からの空気と二階の室5の床付近からの空気が導入されるようになっている。また、上記吐出ダクト15は、一階の室2の天井付近に設けられた吹出口16と二階の室5の天井付近に設けられた吹出口17とにつながっている。そして、上記エアハンドリングユニット12は熱媒配管18でもって上記熱源装置10に接続されている。なお、20と21は排気ファンである。そして、上記ポンプ8には制御部としてのタイマー23が接続されている。尚、上記熱源装置10は、ヒートポンプチラーに替えて、冷凍機とボイラーでもって構成してもよく、温冷水発生装置でもって構成してもよい。
【0035】
上記構成の空気調和機の動作を説明する。上記空気調和機は、熱源装置10からポンプ8と11に熱媒が供給される。ポンプ8は上記熱媒をファンコイルユニット6と3に供給する。すると、ファンコイルユニット6と3は、冷風もしくは温風を室5と室2に吹き出す。そして、このファンコイルユニット6からの熱媒は熱媒配管18を通して熱源装置10に戻される。
【0036】
一方、上記ポンプ11からの熱媒はエアハンドリングユニット12に供給される。すると、このエアハンドリングユニット12は、ダクト13からエアハンドリングユニット12に導入された外気と室内空気とを清浄にするとともに上記熱媒で冷やすか暖めるかしてダクト15から吐出する。これにより、吹出口16と17からは清浄な冷風もしくは温風が吹き出す。
【0037】
次に、上記制御部としてのタイマー23の動作を、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0038】
このタイマー23は、まず、所定のスタート信号が入力されると、計時を開始すると同時にステップS1に進んで、30分が経過したか否かを判断し、ステップS1で30分が経過していないと判断したときにステップS1に戻る。一方、30分経過したと判断したときにステップS2に進んで、ポンプ8の運転を停止させる。
【0039】
次に、ステップS3に進んで、上記停止後の経過時間を計時し、この経過時間が15分に達したか否かを判断する。そして、上記経過時間が15分に達していないと判断したときにはステップS3に戻り、上記経過時間が15分に達したと判断したときにはステップS4に進んでポンプ8の運転を開始する。次に、ステップS5に進んで、ポンプ8の運転を停止させる停止信号が入力されたか否かを判断し、上記停止信号が入力されていないと判断したときにはステップS1に戻り、ステップS1からS4にしたがう間欠運転を継続する。
【0040】
一方、上記ステップS5で、上記停止信号が入力されたと判断したときには、ポンプ8の運転を続行して上記間欠運転を終了する。
【0041】
このように、この実施形態の制御方法によれば、上記間欠運転の1サイクルを45分間とし、停止時間を上記1サイクル時間の3分の1である15分とし稼働時間を30分とした。したがって、室内に居る人が不快を感じる確率を最小限に抑えつつ、消費エネルギーを最大限に削減することができる。その理由は、上記夏期実験および上記冬期実験における実験の結果から、停止周期に対する停止時間の割合が3分の1である上に、上記停止時間が15分である条件において、室内に居る人が不快を感じる確率を最小限に抑えつつ、消費エネルギーを最大限に削減できることが分かるからである。なお、夏期実験 , 冬期実験は、言うまでもないことであるが、図7に示す室で行われた。
【0042】
したがって、この空気調和機の制御方法によれば、快適性を損なうことなく、上記停止時間分だけエネルギ消費量を確実に削減でき、しかも、間欠動作による快適性の向上も図ることができる。
【0043】
上記空気調和機の制御方法では、エアハンドリングユニット12およびポンプ11は常時運転状態になっているが、空調する室の空気汚染濃度を許容範囲内に収めながら、これらを間欠動作させてもよい。この場合、ポンプ11のオンオフはタイマー23で制御する。
【0044】
尚、上記空気調和機では、ポンプ8のオンオフを制御するタイマー23で制御部を構成したが、上記タイマー23に替えてポンプ8の下流側に運転・停止自動切替バルブを設置してもよい。
【0045】
さらに、前記運転・停止自動切替バルブに加えて、ポンプ11の下流側に別の運転・停止自動切替バルブを設置して、両運転・停止自動切替バルブによる間欠動作を実現してもよい。
【0046】
また、上記空気調和機では、ポンプ8をオンオフすることでファンコイルユニット6,3への熱媒の送出と送出停止とでもって、空気調和動作の間欠動作を実現したが、ファンコイルユニット6と3の送風ファンのオンオフでもって間欠動作を実現した場合には本発明の実施形態の制御方法による送風ファン運転を行う空気調和機となる。さらに、ファンコイルユニット6と3の送風ファンのオンオフに加えて、エアハンドリングユニット12の送風ファンのオンオフでもって、間欠動作してもよい。この場合には、空気調和動作の停止の立ち下がりと空気調和動作の立ち上がりとを速やかにすることができる。したがって、空気調和動作の間欠制御が容易になる。また、電気系の制御だけで済むから制御コストを低減できる。もっとも、上記停止時に送風ファンとポンプ8との両方をオフするようにすれば、省エネルギー効果を最大にすることができる。
【0047】
参考例
次に、図9に示した実験条件一覧の実験5の欄に、参考例としての空気調和機の冷房動作の制御内容を示す。この空気調和機の制御方法では、室の壁内面の温度が28℃で一定であるときに、室温を26℃に保つようにする冷房運転を、室内温度の如何にかかわらず、5分間停止させてから20分間稼働させるという25分周期の停止,稼働周期になるように制御した。そして、この参考例では、冷風を吹き出す吹出口をアネモ型とし、そのサイズを「#12.5」にした。この「#12.5」は、ダクトの直径が127mmであることを表している。そして、この参考例では、上記アネモ型の吹出口から吹き出させる冷風の温度を、10℃に設定した。
【0048】
一方、この参考例に対する比較対象として、図9の実験1の欄に示す従来の制御方法がある。この実験1の制御方法は、アネモ型の吹出口のサイズが参考例に比べて、大きな「#15」であることと、吹出口からの冷風の温度を16℃に設定したこと、さらには、間欠運転を行っていないことが参考例と異なる。なお、「#15」は、ダクトの直径が152mmであることを表している。この実験1の制御方法は、上記参考例と異なり、間欠運転および低温冷風運転を行わないものである。
【0049】
図9の実験5と実験1に対して、24名の被検者が申告した温冷感の平均を、図10のNo.5とNo.1の欄に短い横棒で示し、標準偏差を上記横棒から上下に伸びる線分で表している。図10を参照すれば分かるように、低温冷風のNo.5(参考例)の平均値は、「ふつう」よりも少しだけ「少し涼しい」に振れたレベルである。一方、No.1(従来例)の平均値は、No.5(参考例)と略同じレベルである。
【0050】
また、図9の上記実験5と実験1に対して、24名の被検者が申告した快適感を、図11のNo.5とNo.1の欄に短い横棒で示し、標準偏差を上記横棒から上下に伸びる線分で表している。図11を参照すれば分かるように、低温冷風のNo.5(参考例)の平均値は、「やや快適」のレベルである。また、比較対象としてのNo.1(従来例)の平均値は、No.5(参考例)よりも僅かに快適であるが略同等レベルである。
【0051】
上記した図10と図11の実験結果から分かるように、この低温冷風の上記参考例(No.5)によれば、温冷感,快適感ともに、間欠運転も低温冷風運転も伴わない従来例(実験1)と略同等にできる。
【0052】
したがって、上記実験結果から分かるように、この参考例によれば、温冷感において悪寒(コールドドラフト)を感じさせることなく、かつ、従来に比べて快適感を損なうこともない。
【0053】
また、この参考例によれば、室内温度に拘わらない間欠運転をしつつ、室内へ吹き出される調和空気の温度が16℃以上の値に設定されている場合に比べて、調和空気の量が少なくて済む。したがって、中央冷凍装置から冷風を送出する場合には、送風ファン,冷風管路を小型化できる。また、ファンコイルユニットを使用する場合には、冷媒管,冷媒ポンプを小型化できる。したがって、空気調和機のイニシャルコストおよびランニングコストを低減できる。
【0054】
したがって、この参考例によれば、強制間欠運転によりエネルギーの節約ができる上に、空気調和機のイニシャルコストおよびランニングコストを低減できる。
【0055】
尚、上記参考例(No.5)では、吹出口をアネモ型にしたが、図9のNo.9に示すように、吹出口をフラップ型にしてもよい。このフラップ型吹出口とは、ライン型吹出口の内部に電動可動フィンが設置されており、吹き出し方向を変えることができるものである。このNo.9の実験によれば、温冷感は、図10に示すように上記参考例(No.5)と略同一の「ふつう」レベルである。また、このNo.9の実験によれば、図11に示すように、上記参考例より快適感が向上しており、「やや快適」と「快適」との中間のレベルである。
【0056】
また、図9の実験10の欄に示すように、冷房運転時の室温目標温度を27℃にして、上記参考例(No.5)に比べて1℃だけ高くした場合にも、図10と図11に示すように、低温冷風を採用していない実験No.7(比較対象)と略同じ温冷感と快適感を得ることができた。
【0057】
また、図9の実験11の欄に示すように、実験5の冷房運転の停止時間と稼働時間との組み合わせを30分と30分にした場合には、図10の温冷感においては上記参考例(No.5)と同等であり、図11の快適感においては上記参考例(No.5)よりも優れていた。
【0058】
なお、図9の実験2,3,4に示すように、停止時間率が0%の非間欠の低温冷風運転においては、温冷感において上記参考例(No.5)とほぼ同等のレベルであり、快適感においては上記参考例(No.5)とほぼ同等あるいはやや劣るレベルであった。この実験結果からも、本発明のような間欠運転が快適感を損なうことなくエネルギー節約を実現していることが分かる。
【0059】
尚、上記参考例では、吹出温度を10℃に設定したが、この吹出温度を10℃以上で16℃よりも低い値に設定してもよい。この場合にも、吹出温度の設定値に応じて、送風ファン,冷風管路を小型化でき、冷媒管,冷媒ポンプを小型化できる。
【0060】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の空気調和機の制御方法によれば、上記送風ファンの空気調和動作を、室内温度の如何に拘わらず所定の停止期間だけ強制的に停止させる分だけ、エネルギーを確実に節約することができる。また、この間欠動作による室温変動が快適感を向上させる効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の空気調和機の制御方法の第1の実験およびその変形例と、第2の実験およびその変形例と、さらには、これらの実験に対する比較例を説明する一覧表を示す図である。
【図2】 図2(A)は上記第1の実験の比較例としての従来例の運転状態を示す図であり、図2(B)は上記第1の実験の運転状態を示す図であり、図2(C)は上記第1の実験の比較例としてのアクティブ運転の状態を示す図であり、図2(D)は第2の実験の運転状態を示す図である。
【図3】 上記第1の実験およびその変形例、さらには、その比較例の温冷感の申告の平均と標準偏差を示す図である。
【図4】 上記第1の実験およびその変形例、さらには、その比較例の快適感の申告の平均と標準偏差を示す図である。
【図5】 上記第2の実験およびその変形例、さらには、その比較例の温冷感の申告の平均と標準偏差を示す図である。
【図6】 上記第2の実験およびその変形例、さらには、その比較例の快適感の申告の平均と標準偏差を示す図である。
【図7】 この発明を行う空気調和機を示す図である。
【図8】 上記空気調和機の動作を説明するフローチャートである。
【図9】 この発明の空気調和機の制御方法の参考例およびその変形例、さらには、これらの実験に対する比較例を説明する一覧表を示す図である。
【図10】 上記参考例およびその変形例、さらには、その比較例の温冷感の申告の平均と標準偏差を示す図である。
【図11】 上記参考例およびその変形例、さらには、その比較例の快適感の申告の平均と標準偏差を示す図である。
【符号の説明】
1…ビル、2…室、3…第1ファンコイルユニット、5…室、
6…第2ファンコイルユニット、7…熱媒配管、8…ポンプ、
10…熱源装置、11…ポンプ、12…エアハンドリングユニット、
13…吸い込みダクト、15…吐出ダクト、16,17…吹出口、
18…熱媒配管、23…タイマー。

Claims (1)

  1. 熱源装置と、
    送風ファンを有し、かつ、上記熱源装置からの熱媒が供給されると共に所定の室に設置されたファンコイルユニットと、
    送風ファンを有し、かつ、上記熱源装置からの熱媒が供給されると共に屋外からの外気を上記所定の室に導入するエアハンドリングユニットと、
    上記熱源装置と、上記ファンコイルユニットおよびエアハンドリングユニットとに接続された熱媒配管と、
    該熱媒配管の途中に設けられて上記熱源装置からの熱媒を上記熱媒配管を介して上記ファンコイルユニットおよびエアハンドリングユニットに供給して上記熱源装置に戻すポンプとを備える冷暖房用空気調和機の制御方法において、
    上記所定の室の温度が設定温度になるように上記空気調和機の空気調和動作を連続的に行っている連続運転状態での上記所定の室に居る特定の複数の被験者が申告した段階的表示の温冷感レベルの平均値を求め、
    上記空気調和機の送風ファンの動作を所定時間だけ強制的に停止させている停止時間と上記連続運転状態と同じ設定温度で連続運転を行っている稼動時間とを繰り返す間欠動作を、上記停止時間と稼動時間を変えて複数回行い、上記複数の間欠動作の各々での上記所定の室に居る上記特定の複数の被験者が申告した段階的表示の温冷感レベルの平均値を求め、
    上記複数の間欠動作での上記温冷感レベルの平均値のうちで上記連続運転時の温冷感レベルの平均値と同程度の温冷感レベルの平均値を有する停止時間と稼動時間との組み合わせからなる間欠運転で、上記送風ファンを運転することを特徴とする空気調和機の制御方法。
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