JP3990619B2 - 顔の向き検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両の運転者等の脇見を撮像画像に基づいて検知する顔の向き検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車等の車両の安全性を向上させるため、運転者の居眠り状態を検知して警報装置を作動させる居眠り警報装置が考えられている。そして、居眠りを検知するために、画像処理技術を利用して乗員の眼の開閉状態を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この居眠り警報装置では、上下の瞼間隔(画素数)に基づいて乗員の居眠り状態を推定すると共に、眼画像の傾きから顔の傾きを推定し居眠り状態の検出精度を向上させるようになっている。
【0003】
ところで、乗員の居眠りのみならず、脇見状態を検知して警報装置を作動させることも自動車等の車両の安全性を向上するために有効である。そして、この脇見状態の検出にも上記のような画像処理技術を利用することが考えられる。
【0004】
しかしながら、上記のような居眠り警報装置に適用される画像処理技術では、顔の傾きを補正するために乗員の顔の傾き具合を検出することはできるが、これに基づいて顔の向きすなわち視線方向を検知することができなかった。より具体的には、上記画像処理技術では、顔の鉛直方向(水平方向)に対する傾斜を検出することは可能であるが、脇見については何ら考慮されていないため、顔が上や下を向いたり右や左を向いたりしていることを検知することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平7-296299号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、撮像手段の撮像画像に基づいて顔の向きを検知することができる顔の向き検知装置を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る顔の向き検知装置は、顔に対し左右方向及び上下方向にオフセットした位置に設置され、前記顔における設置位置から近い方の眼を含む部分を撮像する撮像手段と、前記撮像手段にて撮像した画像における前記撮像手段の設置位置に近い方の眼に対応する部分を抽出し、該撮像手段の設置位置に近い方の眼に対応する部分の前記画像上における重心位置と、該撮像手段の設置位置に近い方の眼に対応する部分における上下の縁部間の画素数に基づく眼の高さと、該撮像手段の設置位置に近い方の眼に対応する部分における左右の縁部間の画素数に基づく眼の幅とを検出する眼情報検出手段と、前記重心位置の基準重心位置に対する上下方向の位置、及び前記眼の高さの基準高さに対する大小に基づいて前記顔の上下方向の向きを判定する上下向き判定手段と、前記重心位置の基準重心位置に対する左右方向の位置、及び前記眼の幅の基準幅に対する大小に基づいて前記顔の左右方向の向きを判定する左右向き判定手段と、
前記眼情報検出手段が異なる時間に検出し保存された複数の画像上における前記重心位置、前記眼の高さ、及び前記眼の幅を用いて、前記基準重心位置、前記基準高さ、及び前記基準幅をそれぞれ算出する基準値設定手段と、を備え、前記基準値設定手段は、複数の前記重心位置のうち眼の幅が最大である画像での左右方向の重心位置が、左右方向における最大頻度の重心位置よりも前記顔に対する前記撮像手段の設置位置側に位置する場合で、かつ複数の前記重心位置のうち眼の高さが最大である画像での上下方向の重心位置が、上下方向における最大頻度の重心位置よりも前記顔に対する前記撮像手段の設置位置側に位置する場合に、前記左右方向における最大頻度の重心位置をGx1、該左右方向における最大頻度の重心位置を含む所定範囲内の複数の左右方向の重心位置の標準偏差をσx1、正の実数である所定の係数をA、前記上下方向における最大頻度の重心位置をGy1、該上下方向における最大頻度の重心位置を含む所定範囲の複数の上下方向の重心位置の標準偏差をσy1、正の実数である所定の係数をBとして、前記基準重心位置を、左右方向においてはGx1±A×σx1の範囲として、上下方向においてはGy1±B×σy1の範囲として設定するようになっている、ことを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の顔の向き検知装置では、撮像手段が撮像した眼を含む顔の画像が画像データとして眼情報検出手段に出力される。画像データが入力された眼情報検出手段では、画像上における眼に対応する部分を抽出し、該画像上における眼に対応する部分の重心位置(以下、眼の重心位置、または単に重心位置という)、該眼に対応する部分の上下の縁部(例えば、濃度変化点の軌跡として抽出される瞼に対応する部分)間の画素数に基づく眼の高さ、及び該眼に対応する部分の左右の縁部(例えば、上記した眼の上下の縁部の左右両側における各交点)間の画素数に基づく眼の幅をそれぞれ検出する。
【0009】
眼情報検出手段が検出した重心位置及び眼の上下高さは、上下向き判定手段へ出力され、該上下向き判定手段では、重心位置の基準重心位置に対する位置(位置の変化)と眼の高さの基準高さに対する大小とに基づいて、顔(視線方向)の上下方向の向きを判定する。すなわち、例えば、顔が正面(水平方向)を向いている場合における眼の重心位置及び眼の高さをそれぞれ基準重心位置及び基準高さとした場合において、眼情報検出手段が検出した重心位置及び眼の高さがそれぞれ基準重心位置及び基準高さと一致していれば顔が正面を向いていると判定され、基準重心位置に対し検出した重心位置が上側にずれいると共に、視線方向の撮像方向に対する上側への変化に対応して眼の高さが基準高さに対し大小(変化)している場合に、顔が上向きであると判定される。
【0010】
一方、眼情報検出手段が検出した重心位置及び眼の幅は左右向き判定手段へ出力され、該左右向き判定手段では、重心位置の基準重心位置に対する位置(位置の変化)と眼の幅の基準幅に対する大小とに基づいて、顔(視線方向)の左右方向の向きを判定する。すなわち、例えば、顔が正面(前方向)を向いている場合における眼の重心位置及び眼の幅をそれぞれ基準重心位置及び基準幅とした場合において、眼情報検出手段が検出した重心位置及び眼の幅がそれぞれ基準重心位置及び基準幅と一致していれば顔が正面を向いていると判定され、基準重心位置に対し検出した重心位置が左側(画像上における左側)にずれいると共に、視線方向の撮像方向に対する右側への変化に対応して眼の幅が基準幅に対し大小(変化)している場合に、顔が右向きであると判定される。
【0011】
以上のように、本構成の顔の向き検知装置では、眼の重心位置と、眼の高さ及び眼の幅とによって顔の向きを判定するため、安定して顔の向き検知することができる。すなわち、例えば、重心位置の変化のみで顔の向きを判定する場合に懸念される検知対象者の姿勢変化による誤検知や、眼の高さの変化のみで顔の上下向きを判定する場合に懸念される眼の開度変化(日射の有無等の周囲環境や意識覚醒具合による開度の変化)による誤検知が排除されるか、誤検知の可能性が極めて低い。
【0012】
このように、請求項1記載の顔の向き検知装置では、撮像手段の撮像画像に基づいて顔の向きを検知することができる。
【0014】
また、本顔の向き検知装置では、異なる時間に撮像された複数の画像から眼情報検出手段がそれぞれ検出した眼情報、すなわち、それぞれ複数の画像上における眼の重心位置、眼の高さ及び眼の幅を用いて、基準値設定手段が、基準重心位置、基準高さ及び基準幅を算出する。このため、これらの基準重心位置、基準高さ及び基準幅を顔の向きの検知対象者に応じて(検知対象者毎に)設定することができ、顔の向きの判定(検知)に個人差の影響を受けることがなくなり、顔の向きの検出精度が向上する。
【0015】
請求項2記載の発明に係る顔の向き検知装置は、請求項1記載の顔の向き検知装置において、車両に搭載されると共に該車両室内の後方視認用インナミラーに前記撮像手段を配置し、該撮像手段が前記顔における該撮像手段に近い方の眼を含む部分を撮像する、ことを特徴としている。
【0016】
請求項2記載の顔の向き検知装置では、撮像手段が車両のインナミラーに配置され該撮像手段に近い方の眼を撮像するため、該撮像手段に近い方の眼は斜め上前方より撮像される。このため、例えばステアリングホイールや撮像対象となる乗員の腕等の撮像画像に対する影響が小さく(画像上の眼に対応する部分がステアリングホイールや腕等によって遮蔽されることがなく)、また撮像画像に対する運転姿勢変化の影響が小さく(眼が画角範囲から外れることがなく)、該乗員の撮像手段に近い方の眼を含む顔の部分を確実に撮像することができる。換言すれば、画像不良による顔の向きの検知(判定)不能時間が大幅に削減される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る顔の向き検知装置が適用された脇見モニタ警報装置10について、図1乃至図6に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明の実施の形態に係る脇見モニタ警報装置10を搭載した車両Sの一部が斜視図及びブロック図によって示されている。脇見モニタ警報装置10は、車両Sの運転席上における運転者(図示省略)の顔の向き、すなわち視線方向を検知し、該運転者が脇見をしていると判定した場合に警報を発するものである。
【0019】
この脇見モニタ警報装置10は、撮像手段としてのCCDカメラ12を備えている。CCDカメラ12は、車両Sのルーフ14の前端部(近傍)の左右方向中央部に設けられた後方視認用のインナミラー16に一体に組み込まれている。すなわち、インナミラー16は、カメラ内蔵インナミラーであり、全体としてコンパクトに形成されて運転者を含む乗員に違和感を与えないようになっている。
【0020】
これにより、CCDカメラ12は運転席(図1におけるステアリングホイール18が設けられた側の前席)を斜め上前方から撮像するようになっている。そして、CCDカメラ12の画角は、少なくとも運転者の一方の眼(運転席が車両Sの右側に位置する本実施の形態では左眼、以下単に「眼」という場合がある)を含む運転者の顔(の一部)が撮像範囲内に収まるように決められている。
【0021】
また、CCDカメラ12は、眼情報検出手段、上下向き判定手段、左右向き判定手段、基準値設定手段を含んで構成された脇見検知コンピュータ20と電気的に接続されている。これにより、CCDカメラ12で撮像された画像が画像データとして脇見検知コンピュータ20へ伝送される構成となっている。
【0022】
この脇見検知コンピュータ20は、車両Sの適宜位置に配置され、図示しない記憶装置(ROM)を有している。このROMには、視線方向検知プログラム22(図3参照)が記憶されている。
【0023】
視線方向検知プログラム22は、CCDカメラ12を制御する(作動させる)と共に画像データから眼に相当する部分を抽出し眼の重心位置Gi、眼の高さHi、及び眼の幅Wi(以下、まとめて眼データという場合がある)を検出する眼情報検出プログラム24と、眼データを顔の向き判定用データとして保存すると共に眼データの一部を基準設定用データとして保存する保存プログラム26と、判定用データと基準値との比較によって顔の向きを判定し該判定結果を脇見検知プログラム(図示省略)へ出力する判定プログラム28と、保存プログラム26によって保存された基準設定用データに基づいて基準値(基準重心位置Gx・Gy、基準高さH、基準幅W)を設定する基準値設定プログラム30とを含んで構成されている。
【0024】
そして、脇見検知コンピュータ20は、視線方向検知プログラム22を実行するCPU(図示省略)を備えている。なお、視線方向検知プログラム22の機能については、後述する脇見モニタ警報装置10の作用と共に説明する。
【0025】
また、脇見モニタ警報装置10は、警報装置32を備えている。警報装置32は、車両Sの適宜位置に配置され、脇見検知コンピュータ20と電気的に接続されている。そして、警報装置32は、脇見検知コンピュータ20の脇見検知プログラムから作動信号が入力されると、警報音や音声、表示装置への文字等の表示によって運転者に注意を促すようになっている。
【0026】
ところで、図2に示される如く、画角が固定された画像上では、運転者の顔の向きによって、該運転者の眼Eの画像上における位置(重心位置)、眼の高さ、眼の幅が変化する。具体的には、顔が正面を向いているときの眼E0の重心位置Gに対し、顔が上、下、右、または左を向いた各場合の画像上における眼E1、E2、E3、E4の重心位置は、それぞれ上(Y増加方向)、下(Y減少方向)、左(X減少方向)、または右(X増加方向)に位置(移動)する。
【0027】
また、顔が正面を向いているときの眼E0の高さHに対し、顔が上または下を向いた各場合の眼E1、E2の高さはそれぞれ増大、減少するが、顔の左右方向の向き変化による眼E3、E4の高さは変化しない。
【0028】
さらに、顔が正面を向いているときの眼E0の幅Wに対し、顔が右を向くと眼E3の幅は単純減少し、顔が左を向くと眼E4の幅はCCDカメラ12の撮像方向を向くまでは増大する(該撮像方向を向くときの眼E4Aの幅が最大幅となる)が、さらに左を向くと眼E4Bのように最大幅に対し減少する。すなわち、顔が左を向く場合は、眼E4Bの幅が正面を向いているときの眼E0の幅Wよりも小さくなることがあるが、この場合眼E4の幅の経時変化は単純減少ではなく上記最大幅(極大値)を有する。また、顔が正面を向いているときの眼E0の幅Wに対し、顔の上下方向の向き変化による眼E1、E2の幅は変化しない。
【0029】
以上の知見に基づいて、本実施の形態では、運転者の顔が正面を向いている(と推定される)場合における眼E0の位置及び形状を、顔の向き判断の基準値として用いる。すなわち、保存プログラム26と基準値設定プログラム30とによって顔が正面を向いている状態を推定することで、眼E0の重心座標G(Gx,Gy)と、眼E0の高さHと、眼E0の幅Wとを基準値として設定するようになっている(詳細は後述)。また、上記知見に基づいて、本実施の形態では、判定プログラム28によって眼Eの位置及び形状(高さ及び幅)と基準値とを比較して、顔の向きすなわち視線方向を検知するようになっている(詳細は後述)。
【0030】
次に本実施の形態の作用について図3乃至図6に示されるフローチャートを用いて説明する。
【0031】
上記構成の脇見モニタ警報装置10では、例えば、イグニッションキーをキーシリンダへ挿入し、車両Sのアクセサリ(例えば、オーディオやパワーウインド)が作動可能な状態、若しくは、エンジンが始動した状態となると、脇見検知コンピュータ20が起動して脇見検知コンピュータ20に予め記憶された視線方向検知プログラム22が起動されると共に該視線方向検知プログラム22がCCDカメラ12を作動させる。
【0032】
視線方向検知プログラム22が起動している脇見検知コンピュータ20では、先ず、眼情報検出プログラム24のステップ34でCCDカメラ12に運転者の眼を含む顔画像を撮像させる。CCDカメラ12が撮像した画像は、ステップ36で画像データとして脇見検知コンピュータ20に読み込まれる。このステップ36では、画像データと共に撮像時の車速及び舵角が読み込まれる。
【0033】
ステップ36で画像データが入力されるとステップ38へ進み、該ステップ38では、画像データから画像上における左眼に相当する部分を抽出する。具体的には、画像データから左眼を含む検出領域を切り出し、画像データの垂直方向の濃度変化が大きな部位の複数の組み合わせ(濃度変化点の軌跡)を、それぞれ上下の瞼として抽出する。なお、検出領域のサイズは、顔の向き変化に対応できる(左眼が検出領域から外れない)ように眼のサイズに比して大きく設定する。
【0034】
さらに、ステップ40へ進み、眼データを検出する。具体的には、ステップ38で抽出した上下の瞼から画像上における眼の重心位置(上下及び左右方向の座標)Giと、上下の瞼間の最大の画素数すなわち眼の高さHiと、上下の瞼の何れか一方における左右の縁部間の水平方向に沿う最大画素数または上下の瞼の左右両側の交点間の水平方向に沿う最大画素数すなわち眼の幅Wiとを検出する。
【0035】
以上で眼情報検出プログラム24が終了し、保存プログラム26のステップ42へ進む。ステップ42では、撮像時の車速が設定値以上であるか否かを判断する。撮像時の車速が設定値以上である場合にはステップ44へ進み、撮像時の車速が設定値未満である場合にはステップ50へ進む。さらに、ステップ44では、撮像時の舵角が設定範囲内であるか否かを判断する。撮像時の舵角が設定範囲内である場合にはステップ46へ進み、撮像時の舵角が設定範囲内でない場合にはステップ50へ進む。
【0036】
ステップ46では、ステップ40で検出した眼データを基準設定用データとして保存する。次いでステップ48へ進み基準設定用データの保存回数Nを加算した後、ステップ50へ進む。ステップ50では、ステップ40で検出した眼データを判定用データとして保存する。
【0037】
すなわち、保存プログラム26では、異なる時間の画像データにおけるステップ40で検出した眼データの全てを判定用データとして保存すると共に、それぞれの撮像時における車速が設定値以上でかつ舵角が設定範囲内であり運転者が脇見をせず前方(正面)を向いていると推定される場合の眼データを、基準設定用データとして保存する。
【0038】
ステップ50で判定用データが保存されると、保存プログラム26が終了しステップ52へ進む。ステップ52では、基準値が設定されているか否かを判断する。基準値が設定されている場合には判定プログラム28であるステップ54へ進み、基準値が設定されていない場合にはステップ58へ進む。
【0039】
ステップ54では、判定用データと基準値との比較によって運転者の上下及び左右の顔の向き、すなわち視線方向を判定するが、これについては後述する。
【0040】
ステップ54で顔の向きが判定されると、ステップ56へ進みステップ54における判定結果を脇見検知プログラムへ出力する。脇見検知プログラムでは、逐次入力される顔の向きの判定結果(視線方向)の経時変化等によって、運転者の脇見状態を推定する。そして、脇見検知プログラムは、例えば運転者の顔が所定時間よりも長い時間正面を向いていない場合に、警報装置32へ作動信号を出力して該警報装置32を作動させる。
【0041】
ステップ56の終了後、またはステップ52で基準値が設定されていないと判断された場合には、ステップ58へ進む。ステップ58では、基準設定用データの保存回数N(ステップ48)が設定数以上であるか否かを判断する。保存回数Nが設定値以上である場合には、基準値設定プログラム30であるステップ60へ進み、保存回数Nが設定値未満である場合にはステップ62へ進む。
【0042】
ステップ60では、保存プログラム26で設定数以上の回数(複数)保存された基準設定用データに基づいて基準値を設定するが、これについては後述する。なお、ステップ52で基準値が設定されていると判断された場合でもステップ60へ進み、該ステップ60では基準設定用データの保存回数Nを初期化する(後述)ため、基準値は基準設定用データの保存回数Nが設定数に達する毎に更新される。
【0043】
ステップ60の終了後、またはステップ58で保存回数Nが設定値未満であると判断された場合はステップ62へ進み、該ステップ62ではシステム故障の有無を判断する。そして、システム故障の場合、例えば該故障を(故障の形態に応じた表示を)インジケータ等に表示させて視線方向検知プログラム22は終了する。一方、システム故障がない場合は、ステップ34へ戻る。
【0044】
なお、システム故障の形態としては、例えば、以下に示すものがある。第1に、一定時間画像データ(映像信号)が脇見検知コンピュータ20に入力されなかった場合に故障と判断される。これは、主にCCDカメラ12自体の故障である。第2に、画像データ上にノイズが多数発生するか、画像データに特徴点(画素間の濃度変化等)が全く得られなかった場合(例えば、CCDカメラ12にカバーが取り付けられていた場合等)に、故障と判断される。第3に、脇見検知コンピュータ20の入出力ポートが一定時間一定の状態を保った場合(回路が開放若しくは短絡し、または入力ポートの信号変化がなかった場合等)に故障と判断される。これは、主にCCDカメラ12や警報装置32と脇見検知コンピュータ20との間の断線が原因である。
【0045】
次に、図4に基づいてステップ60の基準値設定プログラム30について説明する。上記の通り基準設定用データとして保存された眼データの保存回数Nが設定数以上である場合、ステップ60すなわち基準値設定プログラム30へ進む。
【0046】
基準値設定プログラム30では、先ずステップ64で基準値算出用データ、すなわち、それぞれ車速が設定値以上でかつ舵角が設定範囲以内であるときの異なる時間(画像)に基づいて設定数以上の回数保存された、それぞれ複数の眼データのうち、該複数(保存回数N)の瞼の重心位置Giの範囲を算出する。換言すれば、ステップ64では、画像上(固定された画角内)における重心位置Giの分布を得る。
【0047】
ステップ64で重心位置Giの範囲が算出されるとステップ66へ進み、眼の幅Wiが最大である眼データ(画像、時間)におけるX方向(眼の幅方向、図2参照)の重心位置Gx0を抽出する。次いで、ステップ68へ進み、X方向における重心位置Gxiのヒストグラムを作成し、ステップ70へ進む。ステップ70では、ステップ68で作成したヒストグラムに基づいて、最大頻度となるX方向の重心位置Gx1を抽出する。
【0048】
さらに、ステップ72へ進み、重心位置Gx0が重心位置Gx1よりも右(X増加方向)に位置するか否かを判断する。重心位置Gx0が重心位置Gx1よりも右に位置する場合はステップ74へ進み、重心位置Gx0が重心位置Gx1よりも右に位置しない場合はステップ94へ進む。ステップ74では、重心位置Gx1を含むヒストグラムの山におけるX方向の重心位置Gxiの標準偏差σx1を算出する。
【0049】
次いでステップ76へ進み、眼の高さHiが最大である眼データ(画像、時間)におけるY方向(眼の高さ方向、図2参照)の重心位置Gy0を抽出する。次いで、ステップ78へ進み、Y方向における重心位置Gyiのヒストグラムを作成し、ステップ80へ進む。ステップ80では、ステップ78で作成したヒストグラムに基づいて、最大頻度となるY方向の重心位置Gy1を抽出する。
【0050】
さらに、ステップ82へ進み、重心位置Gy0が重心位置Gy1よりも上(Y増加方向)に位置するか否かを判断する。重心位置Gy0が重心位置Gy1よりも上に位置する場合はステップ84へ進み、重心位置Gy0が重心位置Gy1よりも上に位置しない場合はステップ94へ進む。ステップ84では、重心位置Gy1を含むヒストグラムの山におけるY方向の重心位置Gyiの標準偏差σy1を算出する。
【0051】
一方、ステップ72、82からステップ94へ進むと、基準値の設定を行なわずに、該ステップ94で、保存プログラム26のステップ48によって記憶されている基準算出用データの保存回数Nを初期化(基準設定用データを削除)して基準値設定プログラム30を終了する。これは、ステップ72で重心位置Gx0が重心位置Gx1よりも右に位置しないと判断された場合は、例えば最大頻度となるX方向の重心位置Gx1が図2の眼E4Aと眼E4Bとの間に位置することに相当し、ステップ82で重心位置Gy0が重心位置Gy1よりも上に位置しないと判断された場合は、例えば運転者の瞬きや意識低下等によって眼の開度(上下の瞼間の間隔)が小さい状態でGy1が抽出されていることに相当するので、換言すれば保存した基準値設定用データが適正ではないので、該適正でないデータに基づいた基準値の設定をしないためである。
【0052】
元に戻り、ステップ84で標準偏差σy1が算出されると、ステップ86へ進む。ステップ86では、X方向の基準重心位置Gxを算出する。具体的には、Aを所定の係数として、X方向の基準重心位置GxをGx=Gx1±Aσx1として算出する。すなわち、X方向の基準重心位置Gxは、点ではなく最大頻度の重心位置Gx1を挟んだ画像上の所定の範囲として設定される。
【0053】
次いで、ステップ88で、Y方向の基準重心位置Gyを算出する。具体的には、Bを所定の係数として、Y方向の基準重心位置GyをGy=Gy1±Bσy1として算出する。すなわち、Y方向の基準重心位置Gyは、点ではなく最大頻度の重心位置Gy1を挟んだ画像上の所定の範囲として設定される。以上により、画像上における眼の基準重心位置G(Gx,Gy)が設定される。
【0054】
ステップ86、88で基準重心位置Gが設定されると、ステップ90へ進み、基準幅Wを設定する。具体的には、上記重心位置Gx1を含むヒストグラムの山に属する眼データにおける眼の幅Wiの平均幅Waと、該ヒストグラムの山に属する眼データにおける眼の幅Wiの標準偏差σwとを算出し、所定の係数Cを用いて、基準幅WをW=Wa±Cσwとして算出する。すなわち、基準幅Wについても平均幅Waを挟む所定の範囲として設定する。
【0055】
さらに、ステップ92へ進み、基準高さHを設定する。具体的には、上記重心位置Gy1を含むヒストグラムの山に属する眼データにおける眼の高さHiの平均高さHaと、該ヒストグラムの山に属する眼データにおける眼の高さHiの標準偏差σhとを算出し、所定の係数Dを用いて、基準高さHをH=Ha±Dσhとして算出する。すなわち、基準高さHについても平均高さHaを挟む所定の範囲として設定する。
【0056】
以上により、基準値、すなわち基準重心位置G(Gx,Gy)と基準幅Wと基準高さHとがそれぞれ所定の範囲(基準重心位置Gについては画像上に所定の面積を有する領域範囲)として設定され、ステップ94へ進む。そして、このように基準重心位置G、基準幅W、基準高さHを所定範囲(領域)として設定することで、判定用データの重心位置Gi、眼の幅Wi、眼の高さHiがそれぞれ所定の範囲内にあるときには顔が正面を向いているとされ、判定プログラム28による判定が徒に過敏になることを防止している。
【0057】
ステップ94では、上記の通り、基準値の設定の成否に拘わらず基準算出用データの保存回数Nを初期化(基準設定用データを削除)する。これで基準値設定プログラム30が終了し、視線方向検知プログラム22のステップ62へ進む。そして、視線方向検知プログラム22で基準設定用データの保存回数Nが再度設定数以上になると、基準値設定プログラム30が実行される。
【0058】
次に、図5及び図6に基づいて、視線方向検知プログラム22のステップ54である判定プログラム28について説明する。判定プログラム28は、図5に一例(概念)が示される上下向き判定プログラム96と、図6に一例(概念)が示される左右向き判定プログラム98とを備えており、先ず上下向き判定プログラム96について説明する。
【0059】
上下向き判定プログラム96では、先ずステップ100で、最新の判定用データ(眼データ)におけるY方向の重心位置Gyiが、該Y方向の基準重心位置Gyの範囲内(Gy1±Bσy1)に位置するか否かを判断する。重心位置Gyiが基準重心位置Gyの範囲内に位置する場合はステップ102へ進み、重心位置Gyiが基準重心位置Gyの範囲内に位置しない場合はステップ106へ進む。
【0060】
ステップ102では、上記最新の判定用データにおける眼の高さHiが、基準高さHの範囲内(Ha±Dσh)であるか否かを判断する。眼の高さHiが基準高さH範囲内である場合は、ステップ104で顔すなわち視線方向が上下方向正面向きであるとされ(顔が上下方向について正面向きであることに対応する信号を生成し)、上下向き判定プログラム96が終了する。一方、眼の高さHiが基準高さHの範囲内でない場合は、顔の向きの判定をせず(判定不能とされ)、上下向き判定プログラム96が終了する。
【0061】
また、ステップ100からステップ106へ進んだ場合、該ステップ106で上記最新の判定用データにおける重心位置Gyiが、基準重心位置Gyの上限(Gy1+Bσy1)よりも上(Y増加方向)に位置するか否かを判断する。重心位置Gyiが基準重心位置Gyの上限よりも上に位置する場合はステップ108へ進み、重心位置Gyiが基準重心位置Gyの上限よりも上に位置しない場合、すなわち重心位置Gyiが基準重心位置Gyの下限(Gy1−Bσy1)よりも下に位置する場合はステップ112へ進む。
【0062】
ステップ108では、上記最新の判定用データにおける眼の高さHiが、基準高さHの上限(Ha+Dσh)よりも大きいか否かを判断する。眼の高さHiが基準高さHの上限よりも大きい場合は、ステップ110で顔すなわち視線方向が上向きであるとされ(顔が上向きであることに対応する信号を生成し)、上下向き判定プログラム96が終了する。一方、眼の高さHiが基準高さHの上限よりも大きくない場合は、顔の向きの判定をせず(判定不能とされ)、上下向き判定プログラム96が終了する。
【0063】
ステップ106からステップ112へ進んだ場合は、上記最新の判定用データにおける眼の高さHiが、基準高さHの下限(Ha−Dσh)よりも小さいか否かを判断する。眼の高さHiが基準高さHの下限よりも小さい場合は、ステップ114で顔すなわち視線方向が下向きであるとされ(顔が下向きであることに対応する信号を生成し)、上下向き判定プログラム96が終了する。一方、眼の高さHiが基準高さHの下限よりも小さくない場合は、顔の向きの判定をせず(判定不能とされ)、上下向き判定プログラム96が終了する。
【0064】
以上の判定結果は、判定不能である結果を含め、視線方向検知プログラム22のステップ56で脇見検知プログラムへ出力される。
【0065】
以上の通り、上下向き判定プログラム96では、最新の判定用データにおける重心位置Gyiが基準重心位置Gyの範囲内でかつ眼の高さHiが基準高さHの範囲内にある場合に顔が正面向きであると判定し、重心位置Gyiが基準重心位置Gyの上限よりも大きくかつ眼の高さHiが基準高さHの上限よりも大きい場合に顔が上向きであると判定し、重心位置Gyiが基準重心位置Gyの下限よりも小さくかつ眼の高さHiが基準高さHの下限よりも小さい場合に顔が下向きであると判定し、その他の場合には顔の向きを判定しない。したがって、この判定条件を満たす限度において、上下向き判定プログラム96は、重心位置Gyi及び眼の高さHiと基準重心位置Gy及び基準高さHとのそれぞれの比較の順序を適宜組替えて実行して、顔の上下方向の向きを判定することができる。
【0066】
一方、図6に示す左右向き判定プログラム98では、先ずステップ120で、最新の判定用データ(眼データ)におけるX方向の重心位置Gxiが、該X方向の基準重心位置Gxの範囲内(Gx1±Aσx1)に位置するか否かを判断する。重心位置Gxiが基準重心位置Gxの範囲内に位置する場合はステップ122へ進み、重心位置Gxiが基準重心位置Gxの範囲内に位置しない場合はステップ126へ進む。
【0067】
ステップ122では、上記最新の判定用データにおける眼の幅Wiが、基準幅Wの範囲内(Wa±Cσw)であるか否かを判断する。眼の幅Wiが基準幅W範囲内である場合は、ステップ104で顔すなわち視線方向が左右方向正面向きであるとされ(顔が左右方向について正面向きであることに対応する信号を生成し)、左右向き判定プログラム98が終了する。一方、眼の幅Wiが基準幅Wの範囲内でない場合は、顔の向きの判定をせず(判定不能とされ)、左右向き判定プログラム98が終了する。
【0068】
また、ステップ120からステップ126へ進んだ場合、該ステップ126で上記最新の判定用データにおける重心位置Gxiが、基準重心位置Gxの右限(Gx1+Bσx1)よりも右(X増加方向)に位置するか否かを判断する。重心位置Gxiが基準重心位置Gxの右限よりも右に位置する場合はステップ128へ進み、重心位置Gxiが基準重心位置Gxの右限よりも右に位置しない場合、すなわち重心位置Gxiが基準重心位置Gxの左限(Gx1−Bσx1)よりも左に位置する場合はステップ134へ進む。
【0069】
ステップ128では、上記最新の判定用データにおける眼の幅Wiが、基準幅Wの上限(Wa+Cσw)よりも大きいか否かを判断する。眼の幅Wiが基準幅Wの上限よりも大きい場合は、ステップ130で顔すなわち視線方向が左向きであるとされ(顔が左向きであることに対応する信号を生成し)、左右向き判定プログラム98が終了する。一方、眼の幅Wiが基準幅Wの上限よりも大きくない場合は、ステップ132へ進む。
【0070】
ステップ132では、異なる時間の撮像画像について視線方向検知プログラム22(保存プログラム26)のステップ50で複数保存した判定用データにおける眼の幅Wiの所定時間(上記最新の判定用データ検出直前の所定時間)における経時変化Wi(t)が極大値を有するか否か、すなわち最新の眼の幅Wiが基準幅Wの上限よりも大きくないことが図2の眼E4Aから眼E4Bへと変化した結果であるか否かを判断する。そして、経時変化Wi(t)が極大値を有する場合にはステップ130で顔が左向きであるとされ、左右向き判定プログラム98が終了する。一方、経時変化Wi(t)が極大値を有しない場合には、顔の向きの判定をせず(判定不能とされ)、左右向き判定プログラム98が終了する。
【0071】
ステップ126からステップ134へ進んだ場合は、上記最新の判定用データにおける眼の幅Wiが、基準幅Wの下限(Wa−Cσw)よりも小さいか否かを判断する。眼の幅Wiが基準幅Wの下限よりも小さい場合は、ステップ136へ進み、眼の幅Wiが基準幅Wの下限よりも小さくない場合は、顔の向きの判定をせず(判定不能とされ)、左右向き判定プログラム98が終了する。
【0072】
ステップ136では、異なる時間の撮像画像について視線方向検知プログラム22のステップ50で複数保存した判定用データにおける眼の幅Wiの所定時間(上記最新の判定用データ検出直前の所定時間)における経時変化Wi(t)に極大値が存在しないか否かを判断する。そして、経時変化Wi(t)に極大値が存在しない場合は、ステップ138で顔すなわち視線方向が右向きであるとされ(顔が右向きであることに対応する信号を生成し)、左右向き判定プログラム98が終了する。一方、経時変化Wi(t)に極大値が存在する場合は、顔の向きの判定をせず(判定不能とされ)、左右向き判定プログラム98が終了する。
【0073】
以上の判定結果は、判定不能である結果を含め、視線方向検知プログラム22のステップ56で脇見検知プログラムへ出力される。
【0074】
以上の通り、左右向き判定プログラム98では、最新の判定用データにおける重心位置Gxiが基準重心位置Gxの範囲内で、かつ眼の幅Wiが基準幅Wの範囲内にある場合に顔が正面向きであると判定する。また、左右向き判定プログラム98では、重心位置Gxiが基準重心位置Gxの左限よりも大きく、かつ眼の幅Wiが基準幅Wの左限よりも大きい場合または眼の幅Wiの所定時間における経時変化Wi(t)が極大値を有する場合に、顔が左向きであると判定する。さらに、左右向き判定プログラム98では、重心位置Gxiが基準重心位置Gxの右限よりも小さく、かつ眼の幅Wiが基準幅Wの右限よりも小さく、なおかつ眼の幅Wiの所定時間における経時変化Wi(t)に極大値が存在しない場合に顔が右向きであると判定する。そして、左右向き判定プログラム98では、上記以外の場合には(条件では)顔の向きを判定しない。したがって、以上の判定条件を満たす限度において、左右向き判定プログラム98は、重心位置Gxi及び眼の幅Wiと基準重心位置Gx及び基準幅Wとのそれぞれ比較の順序を適宜組替えて実行して、顔の左右方向の向きを判定することができる。
【0075】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る脇見モニタ警報装置10(上下向き判定プログラム96と左右向き判定プログラム98とを有する判定プログラム28)では、撮像画像上の眼の重心位置Gi及び眼の形状(眼の高さHi、眼の幅Wi)を、それぞれ基準重心位置G及び基準高さH、基準幅Wと比較することで顔の向きを判定するため、顔の向きを安定して検知することができる。すなわち、例えば重心位置Giの変化のみで顔の向きを判定する場合に懸念される検知対象者の姿勢変化による誤検知や、眼の高さHの変化のみで顔の向きを判定する場合に懸念される眼の開度変化(日射の有無等の周囲環境や意識覚醒具合による開殿変化)による誤検知が排除される(誤検知の可能性が極めて低い)。
【0076】
このように、本発明の実施の形態に係る脇見モニタ警報装置10では、CCDカメラ12の撮像画像に基づいて顔の向きを検知することができる。
【0077】
また、本発明の実施の形態に係る脇見モニタ警報装置10では、眼情報検出プログラム24が異なる時間における複数の撮像画像から検出したそれぞれ複数の重心位置Gi、眼の高さHi、及び眼の幅Wiを用いて、基準値設定プログラム30が基準重心位置G(Gx,Gy)、基準高さH、及び基準幅Wをそれぞれ設定(算出する)ため、これらの基準重心位置G(Gx,Gy)、基準高さH、及び基準幅Wを運転者に応じて運転者毎に設定することができ、顔の向きの判定に個人差の影響を受けることがなくなり、顔の向きの検知(判定)精度が向上する。
【0078】
特に、基準値設定プログラム30が、眼データのうち車速が設定値以上でかつ舵角が設定範囲内である運転者が正面を向いていると推定される(正面を向いている確率が高い)データである基準設定用データを用いて、上記の通り基準値を設定するため、顔の向きの検知(判定)精度が一層向上する。また、この基準値が基準設定用データの保存回数Nが設定数に達する毎に短い間隔で更新されるため、日射の有無等の周囲環境や運転者の瞬きや意識覚醒具合による開度の変化の影響が排除され、顔の向きの検知(判定)精度がより一層向上する。
【0079】
さらに、脇見モニタ警報装置10では、CCDカメラ12が車両Sのインナミラー16に内蔵して設けられているため、例えばステアリングホイール18や運転者の腕等の影響、運転姿勢変化の影響によって該運転者の眼を含む顔の部分が撮像できなくなる可能性が低く、該眼を含む顔の部分を確実に撮像することができる。本実施の形態では、CCDカメラ12の撮像した画像データが乗員の眼を捉えなかった時間は、全撮像時間の1.7%とわずかであった。そして、脇見検知コンピュータ20(視線方向検知プログラム22)は、上記の通り運転者の一方の眼(左眼)のみによって顔の向きを検知することができるため、該インナミラー16に内蔵され斜め上前方から顔を撮像するCCDカメラ12と好適に組み合わされる。
【0080】
なお、上記の実施の形態では、本発明に係る顔の向き検知装置が車両Sの脇見モニタ警報装置10に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、プラントのオペレータや航空機・船舶等の操縦者等の脇見を監視するモニタ装置等に適用されても良い。また、本発明に係る顔の向き検知装置は、警報装置32と接続されて脇見モニタ警報装置10を構成するのに限定されることはない。
【0081】
また、上記の実施の形態では、視線方向検知プログラム22が脇見検知コンピュータ20に記憶された構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、車両Sを総合的に制御する運転支援システムの一部を構成するコンピュータに視線方向検知プログラム22を記憶、実行させても良い。
【0082】
さらに、上記の実施の形態では、CCDカメラ12がインナミラー16に内蔵された好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、CCDカメラ12が、ルーフ14に設けられたマップランプ装置140(図1参照)に内蔵されたり、インストルメントパネル上等に配置されたりしても良い。また、本発明における撮像手段がCCDカメラ12に限定されないことは言うまでもない。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る顔の向き検知装置は、撮像手段の撮像画像に基づいて顔の向きを検知することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る顔の向き検知装置が適用された居眠り検知警報装置の概略構成及びCCDカメラの配置を示す斜視図及びブロック図である。
【図2】顔の向きに応じた画像上における眼の位置と形状とを示す概念図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る顔の向き検知装置が適用された脇見モニタ警報装置に記憶された視線方向検知プログラムのフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る顔の向き検知装置が適用された脇見モニタ警報装置に記憶された視線方向検知プログラムを構成する基準値設定プログラムのフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る顔の向き検知装置が適用された脇見モニタ警報装置に記憶された視線方向検知プログラムを構成する上下向き判定プログラムのフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る顔の向き検知装置が適用された脇見モニタ警報装置に記憶された視線方向検知プログラムを構成する左右向き判定プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
10 脇見モニタ警報装置(顔の向き検知装置)
12 CCDカメラ(撮像手段)
16 インナミラー
20 脇見検知コンピュータ(眼情報検出手段、上下向き判定手段、左右向き判定手段、基準値設定手段)
22 視線方向検知プログラム(眼情報検出手段、上下向き判定手段、左右向き判定手段、基準値設定手段)
24 眼情報検出プログラム(眼情報検出手段)
28 判定プログラム(上下向き判定手段、左右向き判定手段)
30 基準値設定プログラム(基準値設定手段)
96 上下向き判定プログラム(上下向き判定手段)
98 左右向き判定プログラム(左右向き判定手段)
S 車両
Claims (2)
- 顔に対し左右方向及び上下方向にオフセットした位置に設置され、前記顔における設置位置から近い方の眼を含む部分を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段にて撮像した画像における前記撮像手段の設置位置に近い方の眼に対応する部分を抽出し、該撮像手段の設置位置に近い方の眼に対応する部分の前記画像上における重心位置と、該撮像手段の設置位置に近い方の眼に対応する部分における上下の縁部間の画素数に基づく眼の高さと、該撮像手段の設置位置に近い方の眼に対応する部分における左右の縁部間の画素数に基づく眼の幅とを検出する眼情報検出手段と、
前記重心位置の基準重心位置に対する上下方向の位置、及び前記眼の高さの基準高さに対する大小に基づいて前記顔の上下方向の向きを判定する上下向き判定手段と、
前記重心位置の基準重心位置に対する左右方向の位置、及び前記眼の幅の基準幅に対する大小に基づいて前記顔の左右方向の向きを判定する左右向き判定手段と、
前記眼情報検出手段が異なる時間に検出し保存された複数の画像上における前記重心位置、前記眼の高さ、及び前記眼の幅を用いて、前記基準重心位置、前記基準高さ、及び前記基準幅をそれぞれ算出する基準値設定手段と、
を備え、
前記基準値設定手段は、
複数の前記重心位置のうち眼の幅が最大である画像での左右方向の重心位置が、左右方向における最大頻度の重心位置よりも前記顔に対する前記撮像手段の設置位置側に位置する場合で、かつ複数の前記重心位置のうち眼の高さが最大である画像での上下方向の重心位置が、上下方向における最大頻度の重心位置よりも前記顔に対する前記撮像手段の設置位置側に位置する場合に、
前記左右方向における最大頻度の重心位置をGx1、該左右方向における最大頻度の重心位置を含む所定範囲内の複数の左右方向の重心位置の標準偏差をσx1、正の実数である所定の係数をA、前記上下方向における最大頻度の重心位置をGy1、該上下方向における最大頻度の重心位置を含む所定範囲の複数の上下方向の重心位置の標準偏差をσy1、正の実数である所定の係数をBとして、
前記基準重心位置を、左右方向においてはGx1±A×σx1の範囲として、上下方向においてはGy1±B×σy1の範囲として設定するようになっている、
ことを特徴とする顔の向き検知装置。 - 車両に搭載されると共に該車両室内の後方視認用インナミラーに前記撮像手段を配置し、該撮像手段が前記顔における該撮像手段に近い方の眼を含む部分を撮像する、ことを特徴とする請求項1記載の顔の向き検知装置。
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