JP3990157B2 - 内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、対物光学系を有する先端構成部と、この先端構成部の基端側に設けられた湾曲部とを有する内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、湾曲機能付きの内視鏡を用いて、体腔内の診断・処置を行う手技が実用化されている。湾曲機能付きの内視鏡としては、湾曲部を複数の湾曲コマを連接することで構成し、これら複数の湾曲コマをワイヤで引っ張ることで湾曲部を湾曲させるものが普及している。
【0003】
図22及び図23はこのような従来の湾曲機能付きの直視タイプの内視鏡の湾曲動作を示す説明図である。
【0004】
図22及び図23に示すように、内視鏡101の挿入部102は、先端に設けられた硬質の先端構成部103と、この先端構成部103の後端に設けられた湾曲自在の湾曲部104と、この湾曲部104の後端から図示しない操作部の前端まで延びる可撓性を有する可撓管部105とから構成されている。
【0005】
図22に示すように、湾曲をかけない状態から目的部位に内視鏡101の先端構成部103を向けようとする場合、内視鏡101の湾曲部104の湾曲機能により、先端構成部103は、上下方向A、左右方向B、湾曲部104の捻り動作による回転方向C及び挿入部の押し引きによる進退方向Dの4つの自由度を有することになる。
【0006】
ここで、内視鏡101の湾曲部104に湾曲をかけた図23の状態で目的部位に内視鏡101の先端構成部103を向けようとする場合、湾曲部104の捻り動作による回転方向Cは、湾曲機能による左右方向Bの動作と近い動きになってしまう。このため、先端構成部103を中心軸106に対して回転させる回転方向Eの動作は回転方向Cの調整の後上下方向A及び左右方向Bの湾曲をおのおの調整して達成させるほかなかった。
【0007】
また、従来、湾曲機能付きの内視鏡を用いて、体腔内の診断・処置を行うものとして、例えば径内視鏡的に胆管内に造影剤を注入して胆管をX線造影する手技が知られている。
【0008】
この手技に使用される内視鏡としては通常、側視型内視鏡が用いられ、そのチャンネルを通じて十二指腸内に造影用のカニューラを挿入し、その造影用のカニューラの先端を十二指腸乳頭により胆管内に挿入する。
【0009】
図24及び図25はこのような従来の湾曲機能付きの側視タイプの内視鏡の湾曲動作を示す説明図である。
【0010】
図24及び図25に示すように、内視鏡111の挿入部112の先端には、側視型の先端構成部113が設けられ、この先端構成部113の後端には図22及び図23に示したものと同様の湾曲部104及び可撓管部105が設けられている。
【0011】
図24及び図25に示す側視タイプの内視鏡111の先端構成部113は、湾曲部104の湾曲や捻りを行うことで、図22及び図23に示した直視タイプの内視鏡と同様に、先端構成部113の上下方向A、左右方向B、回転方向C、進退方向D、回転方向Eの動作が可能になっている。
【0012】
特に、図24及び図25に示す側視タイプの内視鏡111及び斜視タイプの内視鏡においては、図25の状態において視野の周辺部に見られる目的部位を、視野中心に持っていくために回転方向Eの動作を行いたい場合、回転方向Cの動作の後に上下方向A及び左右方向Bの動作を行うため視野周辺部に捉えていた目的部位が一旦視野より外れてしまう。
【0013】
この場合、内視鏡111は、再度前記目的部位を捉えることが煩雑である事が挙げられる。
【0014】
このような問題に対応して、本件出願人による特願2001−232160号には、十二指腸乳頭に対して適正な距離を保ちながら湾曲する機構を備えた内視鏡が記載されている。
【0015】
図26はこのような従来の内視鏡を用いて十二指腸の管腔内で左或いは右湾曲の操作を行った場合における先端構成部の移動の様子を示す説明図である。
【0016】
図26において、胆管124の診断を行う場合には、従来の内視鏡120を十二指腸121内に挿通し、内視鏡120の先端構成部126に設けた造影用のカニューラ122を十二指腸乳頭123より胆管124内に挿入する。ここで、十二指腸乳頭123は、十二指腸121の壁面に、胆管124及び膵管125の開口部として存在している。十二指腸乳頭123からは消化吸収を助ける胆汁、消化分解を助ける膵液が排出される
胆管124と膵管125は、十二指腸乳頭123より、一部共通管を有する場合もあるが、それぞれ肝臓、膵臓へ向かって別々の方向に走行している。即ち、胆管124は膵管125に比べ胃側に向かって走行している。膵管125は胆管124に比べ小腸側に向かって走行している。一般的に胆管124は十二指腸乳頭123に対して急な角度を有して形成されている。
【0017】
内視鏡120は、先端構成部126が位置P1の状態から右または左方向に遠隔的な湾曲操作をした時に、先端構成部126がそれぞれ右上又は左上方向に傾き角θ分そり上がり位置P2,P3に来るように湾曲管部を湾曲させる湾曲機構を設けている。
【0018】
これにより、内視鏡120は、十二指腸乳頭123に対して適正な距離を保ちながら湾曲するように構成している。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した特願2001−232160号に記載の技術では、検査対象である器官に個人差があるため、内視鏡に対して適正な距離を一義的に決めることは難しかった。
【0020】
結局、図26に示すように、処置具であるカニューラ122を十二指腸乳頭123に導くために、図24及び図25に示した回転方向Cの動作の後に上下方向A及び左右方向Bの動作を繰り返し、位置P3における内視鏡120の先端構成部126を破線で示すような位置にする作業が必要になり、煩雑であった。
【0021】
加えて、胆石等の胆嚢に起因する疾患を診断するために、胆管124内にカニューラ122を導入しようとしても、胆管124の走行(向き)には個人差があり、この向きに略平行な角度でカニューラ122を挿入するためには、さらに回転方向Cの動作の後に上下方向A及び左右方向Bの動作を繰り返し、回転方向Eの動作を再現させる必要性がある。
【0022】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、先端構成部の動きの自由度を高めることができる内視鏡を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の内視鏡は、細長に形成された挿入部と、前記挿入部の基端側に配設された操作部と、を備えた内視鏡において、前記挿入部を構成し、前記操作部に設けられた湾曲操作手段の操作により上下または左右の任意方向に湾曲される湾曲部と、前記湾曲部の先端側において、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して回動自在に配設された、少なくとも対物光学系を有する先端構成部と、前記先端構成部を、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して任意の回転角度をとる位置の範囲内で回動せしめる回動駆動手段と、前記操作部に設けられた、前記回動駆動手段を作動せしめる回動操作手段と、を具備し、前記先端構成部の基端側に形成された略円板形状を呈する先端本体部をさらに備え、前記回動駆動手段は、前記湾曲部の先端部において前記湾曲部長手軸に対して一周方向に偏心した位置に、当該湾曲部に対して一体的に配設されたワイヤ受け支持部と、前記ワイヤ受け支持部において、前記挿入部長手軸方向に互いに独立して進退自在に支持された複数のワイヤと、を有し、前記複数のワイヤは、各ワイヤ先端部において、前記先端本体部の中心に対して互いに所定の第1角度離間した位置でかつ当該先端本体部の縁部寄りの位置に固定され、当該ワイヤ先端部より基端寄りの位置において、互いに前記第1角度より小さい第2角度離間した位置で前記ワイヤ受け支持部に対して前記挿入部長手軸方向に互いに独立して進退自在に支持された後に当該挿入部内に向けて延出し、各ワイヤ基端部において、前記回動操作手段に係合することを特徴とする。
【0024】
本発明の第2の内視鏡は、細長に形成された挿入部と、前記挿入部の基端側に配設された操作部と、を備えた内視鏡において、前記挿入部を構成し、前記操作部に設けられた湾曲操作手段の操作により上下または左右の任意方向に湾曲される湾曲部と、前記湾曲部の先端側において、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して回動自在に配設された、少なくとも対物光学系を有する先端構成部と、前記先端構成部を、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して任意の回転角度をとる位置の範囲内で回動せしめる回動駆動手段と、前記操作部に設けられた、前記回動駆動手段を作動せしめる回動操作手段と、を具備し、前記先端構成部の基端側に形成された略円板形状を呈する先端本体部をさらに備え、前記回動駆動手段は、前記先端本体部の外周面に形成された周歯部と、前記周歯部に歯合するピニオンと、前記ピニオンから基端側に向けて延出するトルクワイヤと、を有し、前記トルクワイヤの基端部において、前記回動操作手段に係合することを特徴とする。
【0025】
本発明の第3の内視鏡は、細長に形成された挿入部と、前記挿入部の基端側に配設された操作部と、を備えた内視鏡において、前記挿入部を構成し、前記操作部に設けられた湾曲操作手段の操作により上下または左右の任意方向に湾曲される湾曲部と、前記湾曲部の先端側において、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して回動自在に配設された、視野方向が前記挿入部長手軸と傾斜または直交する対物光学系を少なくとも有する先端構成部と、前記先端構成部を、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して任意の回転角度をとる位置の範囲内で回動せしめる回動駆動手段と、前記操作部に設けられた、前記回動駆動手段を作動せしめる回動操作手段と、を具備し、前記先端構成部の基端側に形成された略円板形状を呈する先端本体部をさらに備え、前記回動駆動手段は、前記湾曲部の先端部において前記湾曲部長手軸に対して一周方向に偏心した位置に、当該湾曲部に対して一体的に配設されたワイヤ受け支持部と、前記ワイヤ受け支持部において、前記挿入部長手軸方向に互いに独立して進退自在に支持された複数のワイヤと、を有し、前記複数のワイヤは、各ワイヤ先端部において、前記先端本体部の中心に対して互いに所定の第1角度離間した位置でかつ当該先端本体部の縁部寄りの位置に固定され、当該ワイヤ先端部より基端寄りの位置において、互いに前記第1角度より小さい第2角度離間した位置で前記ワイヤ受け支持部に対して前記挿入部長手軸方向に互いに独立して進退自在に支持された後に当該挿入部内に向けて延出し、各ワイヤ基端部において、前記回動操作手段に係合することを特徴とする。
本発明の第4の内視鏡は、細長に形成された挿入部と、前記挿入部の基端側に配設された操作部と、を備えた内視鏡において、前記挿入部を構成し、前記操作部に設けられた湾曲操作手段の操作により上下または左右の任意方向に湾曲される湾曲部と、前記湾曲部の先端側において、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して回動自在に配設された、視野方向が前記挿入部長手軸と傾斜または直交する対物光学系を少なくとも有する先端構成部と、前記先端構成部を、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して任意の回転角度をとる位置の範囲内で回動せしめる回動駆動手段と、前記操作部に設けられた、前記回動駆動手段を作動せしめる回動操作手段と、を具備し、前記先端構成部の基端側に形成された略円板形状を呈する先端本体部をさらに備え、前記回動駆動手段は、前記先端本体部の外周面に形成された周歯部と、前記周歯部に歯合するピニオンと、前記ピニオンから基端側に向けて延出するトルクワイヤと、を有し、前記トルクワイヤの基端部において、前記回動操作手段に係合することを特徴とする。
本発明の第5の内視鏡は、第1〜第4の内視鏡において、前記先端構成部には、処置具導出口が含まれていることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1乃至図5は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は直視タイプの内視鏡の先端構成部及び湾曲部の側面側から見た断面図、図2は先端本体の斜視図、図3は内視鏡の先端構成部の基端側から見た断面図、図4は内視鏡の全体構成を示す説明図、図5は挿入部の斜視図である。
【0027】
(構成)
まず、図4を用いて内視鏡の全体構成を説明する。
図4に示すように、本発明の第1の実施の形態の内規鏡1は、直視方向を照明及び観察視野とする直視タイプとなっている。内規鏡1は、挿入部2と、操作部3と、ユニバーサルケーブル4とを備えている。
【0028】
挿入部2は、細長に形成され体腔内に挿入される。操作部3は、挿入部2の後端に設けられている。ユニバーサルケーブル4は、操作部3の側部から延出されている。このユニバーサルケーブル4の端部にはコネクタ5が設けられている。コネクタ5は、図示しない光源装置に着脱自在に接続されるようになっている。
【0029】
挿入部2は、先端構成部6と、湾曲部7と、可撓管部8とから構成されている。
この先端構成部6の基端側には、湾曲自在の湾曲部7が設けられている。可撓管部8は、可撓性を有し、湾曲管部7の後端から操作部3の前端まで延びている。
【0030】
また、操作部3のケーシング9の後端寄りの位置には湾曲操作装置10が設けている。湾曲操作装置10におけるケーシング9の外部に究出するように上下湾曲用湾曲ノブ11aと左右湾曲用操作ノブ11bと回転操作ノブ12とが設けられている。
【0031】
そして、内規鏡1は、湾曲ノブ11a或いは11bを回動操作することにより、湾曲部7を遠隔的に上下或いは左右の任意の方向に湾曲操作でき、その先端側の先端構成部6の向きを所望とする方向に変更することができるようにしている。また、内規鏡1は、回転操作ノブ12を回動操作することにより、前記先端構成部6を前記湾曲部7の長手軸に対して所望とする角度に回動することができるようにしている。
【0032】
また、操作部3の前端付近には処置具挿入口15が設けてある。この処置具挿入口15から処置具を挿入することにより、処置具挿入ロ15の内部で連通した処置具チャンネルを経て先端構成部6の処置具導出口30から処置具の先端側を外部に突出させることができる。
【0033】
内規鏡1は、前記コネクタ5を図示しない光源装置に接続することにより、光源装置から照明光が供給され、その照明光はライトガイドによりその先端側に伝送される。そして、先端構成部6における正面に設けた照明光学系31を経て、その照明光学系31の前方側に照明光を出射し、患部等の被写体を照明する。
【0034】
先端構成部6には照明光学系31に隣接して観察光学系32が設けてあり、この観察光学系32により被写体の光学像を結ぶ。その結像位置には図示しないCCD等の撮像素子が配置され、この撮像素子により光学像が光電変換される。
【0035】
先端構成部6の撮像素子は、挿入部2等の内部に配置された信号線によりコネクタ5の側部に設けた電気コネクタ20に接続されている。前記撮像素子は、電気コネクタ20に着脱自在の図示しないスコープケーブルを介してビデオプロセッサに接続する。これにより、前記撮像素子で光電変換された信号に対してビデオプロセッサにより信号処理が行われ、映像信号が生成される。この映像信号は図示しないモニタに出力され、モニタの表示面には撮像素子で撮像した画像が内視鏡画像として表示される。
【0036】
また、先端構成部の正面には送気/送水ノズル33が設けられている。
次に、挿入部2について詳細に説明する。
図5に示すように、挿入部2は、先端から先端構成部6、湾曲部7、可撓管部8を連結したものである。
【0037】
前記先端構成部6の後端側と前記湾曲部の湾曲部7との間には、前記先端構成部6を前記湾曲部7の長手軸周りに回動可能な連結部20が設けている。
【0038】
連結部20により先端構成部6を回動した場合、内視鏡1の内蔵物である処置具導出口30、照明光学系31、観察光学系32及び送気/送水ノズル33が回動する。
【0039】
次に、先端構成部6及び湾曲部7の内部構造について、図1を用いて詳細に説明する。
【0040】
図1に示すように、内視鏡1の先端構成部6は先端本体51と先端カバー55で構成されている。内視鏡1の湾曲部7は、複数の湾曲コマ41を回動軸42にて連結して形成されている。先端構成部6は、図5に示した処置具導出口30、照明光学系31、観察光学系32及び送気/送水ノズル33を接続するためものである。
【0041】
湾曲部7の先端には、湾曲コマ接続ビス43により最先端の湾曲コマ41に一体的に固定されたリング状部材である連結部20がある。
【0042】
連結部20の湾曲コマ41が連結されない端には、図5に示した先端構成部6の先端本体51がはめ込まれている。
【0043】
先端本体51と連結部20の間はOリング等よりなるシール部材52が配設されている。また、先端本体51は連結部20に対して回動可能になっている。
【0044】
連結部20には回動規制ピン53が一体的に組みつけられている。回動規制ピン53は先端本体51の外周に形成された回動規制溝54(図2参照)に挿入されている。
【0045】
図3に示すように、回動規制溝54は先端本体51の中心軸S1を中心に角度γの幅に形成されている。
【0046】
図1に示すように、先端本体51の連結部20に組みつけられない端には絶縁性の樹脂等で形成された先端カバー55が外装されている。
【0047】
複数の湾曲コマ41を連結して形成された湾曲部の外周には、金属などによる素線を円筒状に編んで形成された湾曲部編線44が外装されている。さらに湾曲部編線44の外周で、連結部20を含めた範囲には弾性を有するエラストマーにより円筒状に形成された湾曲部外皮45が液密的に配設されている。
【0048】
湾曲部外皮45の先端側端部は、連結部20の外周面に液密的に密着して配設され、湾曲部外皮45の外周には糸等を巻回し、さらにその外周面を接着剤等にて覆うことで固定された外皮固定部56が形成されている。
【0049】
また、外皮固定部56は先端構成部6の先端カバー55にかからないように構成されている。
【0050】
先端本体51の端部には2本のワイヤ57a ,57bが溶接等で回動操作ワイヤー固定部58に固定されている。
【0051】
複数の湾曲コマ41の内側には、内周面上に回動操作ワイヤー受け46が形成されている。最先端の回動操作ワイヤー受け46は連結部20の内周面上に配設されている。
【0052】
ワイヤ57a ,57bは、回動操作ワイヤー受け46を通して、湾曲部7内に配設されている。
【0053】
回動操作ワイヤー受け46は、ワイヤ57aとワイヤ57bを近い位置に束ねるように構成している。
【0054】
回動操作ワイヤー固定部58は、図3に示すように、先端本体51の中心軸S1を中心にして角度α離れた位置で、かつ、先端本体51の縁部近傍に固定されている。
【0055】
前記角度αと角度γはα>γの関係にあり、角度αは角度γを包括するような位置関係になっている。
【0056】
ワイヤ57a及びワイヤ57bは、湾曲部7及び図4に示した可撓管部8を介して回転操作ノブ12の軸に機械的に接続されている。
【0057】
これにより、内規鏡1は、回転操作ノブ12を回動操作することにより、前記先端構成部6を前記湾曲部7の長手軸に対して所望とする角度に回動することができるようになっている。
【0058】
(作用)
図1乃至図5に示した第1の実施の形態では、複数の湾曲コマ41は回動軸42により回動自在に連結されており、図23及び図24に示した従来の内視鏡と同様に、図示されない湾曲操作ワイヤを牽引することで所望の方向へ内視鏡1の先端構成部6を向けることができる。
【0059】
連結部20と湾曲コマ41は、湾曲コマ接続ビス43により一体的に連結できる。
【0060】
また、第1の実施の形態では、シール部材52により、先端本体51と連結部20の間の液密性を確保することができる。
また、第1の実施の形態では、回動規制ピン53により、先端本体51と連結部20の長手方向の移動(連結部20に対する先端本体51の抜け)を規制することができる。
【0061】
また、第1の実施の形態では、回動規制ピン53は回動規制溝54に当接することにより、先端本体51の回転量を規制することもできる。
【0062】
また、第1の実施の形態では、連結部20と湾曲部外皮45は外皮固定部56により液密に密着固定されている。つまり連結部20と湾曲部外皮45の間は水密性を確保しており、シール部材52と併せて湾曲部7の内部への液体の侵入を防止している。
【0063】
また、第1の実施の形態では、図2及び図3に示すように、回動操作ワイヤー受け46は連結部20の内周面において、ワイヤ57a及びワイヤ57bを近い位置に束ね、その後ワイヤ57a,57bは先端本体51の角度αはなれた縁部近傍に接続されている。このため、ワイヤ57aを湾曲部7側に引き込むと先端本体51は図中の右側へ回動し、逆にワイヤ57bを湾曲部7側に引き込むと先端本体51は図中の左側へ回動する。
【0064】
また、第1の実施の形態では、前記先端本体51の回動動作のためワイヤ57a及びワイヤ57bに牽引力を加えても、回動規制ピン53と回動規制溝54の当接により先端本体51の回動範囲は規制されるので、回動操作ワイヤー固定部58の溶接位置が決め難くても、回動規制溝54により回動範囲を明確に決めることができる。
【0065】
また、第1の実施の形態では、最先端の回動操作ワイヤー受け46が連結部20に形成されていることにより、湾曲部7が湾曲していても、ワイヤ57a,57bを引っ張る支点を常に同じ位置にすることができる。
【0066】
さらに、第1の実施の形態では、先端カバー55に外皮固定部56がかからないため、先端本体51の連結部20に対する回動はスムーズである。
【0067】
(効果)
第1の実施の形態によれば、内視鏡1の挿入部2の先端側を水密的に保持しつつ、湾曲がかかった状態においても、先端カバー55を湾曲部7に対して回動させることができる。
【0068】
ここで、図22の従来例に示すように、挿入部に湾曲がかからない状態であれば、図3に示す回動規制溝54の範囲で内視鏡の先端構成部を図22に示した回転方向Cの矢印の方向へ回転させるためには、挿入部を回転させるのみで達成できる。
【0069】
しかし、通常内視鏡検査では必ずといってよいほど湾曲がかかっている。
図23の従来例に示すように、挿入部に湾曲がかかっている状態では、挿入部を回転させると回転方向Cに示すように、先端が大きく振れる方向に動いていしまう。
【0070】
そこで、第1の実施の形態によれば、回転操作ノブ12を回動操作することにより、前記先端構成部6を前記湾曲部7の長手軸(図23の中心軸106)に対して回転させる図23の回転方向Eの動作を実施できるようになり、内視鏡先端構成部の動きの自由度が増し、術者の操作性が向上する。
【0071】
図6及び図7は図1乃至図5に示した第1の実施の形態の側視タイプの内視鏡への応用例を示し、図6は側視タイプの内視鏡の先端構成部及び湾曲部の側面側から見た断面図、図7は挿入部の斜視図である。
【0072】
図6及び図7を示すように、側視タイプの内視鏡201は、挿入部202の湾曲機構が図1乃至図5に示した直視タイプの内視鏡と同様に構成されており、異なるのは連結部220、先端構成部206の先端カバー255及び先端本体251の形状のみである。
【0073】
シール部材52は図1においても図6と同様に連結部220側に設けても良い。
【0074】
特に、図6に示す側視タイプの内視鏡においては、図26の従来例に示すように、内視鏡の先端構成部を十二指腸内に挿入し、胆管へカニューラを挿管するような処置を行う場合、胆管の走行に合わせて挿入する必要がある。
【0075】
その際に、内視鏡の先端構成部をP1の位置にもってきてもカニューラ122が胆管の走行とは合わず、P3の位置にもってくるとカニューラ122を導くことが困難となる。
【0076】
そこで図6に示す先端構成部206の先端カバー255(先端本体251)を回動させ、図26の破線の位置にもってくることで、カニューラ122は胆管の走行に一致し挿入性を向上できる。
【0077】
図8は図1乃至図5に示した第1の実施の形態の斜視タイプの内視鏡への応用例す挿入部の斜視図である。
【0078】
図8において、内視鏡261の挿入部262は、先端構成部276と、湾曲部7と、可撓管部8とから構成されている。斜視タイプの内視鏡261は、挿入部262の湾曲機構が図1乃至図5に示した直視タイプの内視鏡と同様に構成されており、異なるのは先端構成部266の先端カバー275、先端本体及び連結部280の形状のみである。
【0079】
先端構成部266は具導出口230、照明光学系231、観察光学系232及び送気/送水ノズル233が斜め方向に設けられている。
【0080】
先端構成部266は、視野方向が挿入部長手軸と並行ではない斜視及び側視タイプの対物光学系となる観察光学系232を有する。
【0081】
このような斜視タイプの内視鏡261においても、図6及び図7に示した内視鏡への応用例と同様の効果が得られる。
【0082】
(第2の実施の形態)
図9乃至図11は本発明の第2の実施の形態に係り、図9は直視タイプの内視鏡の先端構成部及び湾曲部の側面側から見た断面図、図10は先端本体の斜視図、図11は内視鏡の先端構成部の基端側から見た断面図である。
【0083】
(構成)
図9に示すように、内視鏡301の挿入部302の連結部320は、第1実施の形態同様に、先端本体351と湾曲部307の湾曲コマ341との間に配設されている。
【0084】
また、連結部320と先端本体351の間にはシール部材352が配設され、この間の防水性を確保している。
【0085】
連結部320の外周部には湾曲部外皮345が配設されている。外皮固定部356は、連結部320と湾曲部外皮345の間の防水性を確保している。
【0086】
先端本体351の湾曲部307側の外周面には、図10に示す歯部が形成された周歯部371が設けられている。
【0087】
図9及び図10に示すように、連結部320の内側には、周歯部371とかみ合うように、小歯車であるピニオン372が配設されている。
【0088】
ピニオン372には、ピニオン372を回動させるためのトルクワイヤ373が接続されている。トルクワイヤ373は連結部320に一体的に設けられた駆動ワイヤ受け374を通って配設されている。
【0089】
駆動ワイヤ受け374には、保護シース375の端部が固定されている。保護シース375は、全長に亘って内部にトルクワイヤ373が挿通された柔軟なチューブ状の素材である。
【0090】
先端本体351の周歯部371が形成されていない外周面には、外周溝部376が形成されており、外周溝部376の両端には突き当たり壁377が形成されている。
【0091】
連結部320の外周溝部376に相対する位置には、ピン状の回動規制部材378が固定されている。回動規制部材378の一端は外周溝部376と連結部320に囲われる空間内に位置している。
【0092】
ピニオン372と回動規制部材378の位置及び周歯部371と外周溝部376の幅には図11に示すような関係がある。
【0093】
図11に示すように、回動規制部材378はピニオン372の略180°ずれた位置に配設されている。
【0094】
周歯部371はニュートラル位置においてピニオン372の位置より左右に均等の角度で配設されている。
【0095】
外周溝部376も同様にニュートラル位置において、回動規制部材378の位置より左右に均等の角度で配設されている。
【0096】
周歯部371の角度をβ、外周溝部376の角度をηとすると、β>ηという関係になる。
【0097】
また、βとηの和は360°未満である。
本構成は、図7に示されるような側視タイプの内視鏡や図8に示す斜視タイプの内視鏡に適用しても良い。
【0098】
(作用)
第2の実施の形態では、内視鏡の内部の水密性は、第1実施の形態と同様にシール部材352及び湾曲部外皮345の外皮固定部356により確保されている。
【0099】
また、第2の実施の形態では、図示されない操作装置によりトルクワイヤ373を回動させると、ピニオン372が回動する。そして、図10に示すように、ピニオン372の回動により、周歯部371を介して先端本体351を回動させることができる。
【0100】
また、第2の実施の形態では、トルクワイヤ373は、内視鏡301の挿入部302全長に亘って保護シース375内に挿入されているため、保護シース375内のみにて回動することとなる。保護シース375は先端側端を駆動ワイヤ受け374に固定されているため、内視鏡301の挿入部302内で回動することはない。保護シース375は柔軟性を有しているため、挿入部302の曲げに伴いしなやかに曲げられる。
【0101】
また、第2の実施の形態では、回動規制部材378の外周溝部376内に突出した端部は、外周溝部376の両端に形成された突き当たり壁377に当接する。
【0102】
この場合、外周溝部376の幅ηが周歯部371の幅βよりも狭いため、先端本体351の回転角度は外周溝部376の溝幅ηにより決定される。
【0103】
(効果)
第2の実施の形態によれば、図示されない操作装置によりトルクワイヤ373を回動させることで、先端本体351を回動させることができるので、第1の実施の形態の効果と同様の効果が得られる。
【0104】
加えて、先端本体351の操作性を向上させるために、操作装置にモータ等の電動手段を用いてピニオン372を回転させることができる。
【0105】
ここで、術者が挿入部302に湾曲をかけている動作を考慮すると、術者の手は図示されない湾曲操作ノブに触れており、この手を離して先端回動を操作させるのは面倒である場合が多い。
【0106】
その場合、フットスイッチ等のスイッチ動作により先端を回動させる方が、操作性良い場合もある。
【0107】
そういったケースを想定した場合、第1の実施の形態のワイヤの押し引き動作によるよりも、モータ回転トルクをトルクワイヤ373を介してピニオン372に伝え、先端本体351を回転させる方が効果的である。
【0108】
また、周歯部371を先端本体351の外周に加工する場合、周歯部371の端部には不完全な歯車が形成されることになる。
【0109】
不完全な歯部にピニオン372が入ってしまうと、ピニオン372と周歯部371のカジリが発生し、動作不良を起こしてしまう。
【0110】
そのため、第2の実施の形態では、ピニオン372が周歯部371の不完全な歯部に入り込む前に、突き当たり壁377と回動規制部材378が当接することにより、前記カジリを防ぎ常に良好な動作を確保することができる。
【0111】
(第3の実施の形態)
図12は本発明の第3の実施の形態に係る直視タイプの内視鏡の先端構成部及び湾曲部の側面側から見た断面図である。
【0112】
(構成)
図12に示すように、内視鏡401の挿入部402の連結部420は、第1実施の形態同様に、先端本体451と湾曲部407の湾曲コマ441の間に配設されている。
【0113】
また、連結部420と先端本体451の間には、シール部材452が配設され、この間の防水性を確保している。
【0114】
連結部420の外周部には、湾曲部外皮445が配設されている。外皮固定部456は連結部420と湾曲部外皮445の間の防水性を確保している。
【0115】
連結部420には、回動規制ピン453が連結部420の内周面のみに突出するように、一体的に配設されている。
【0116】
先端本体451の外周には、回動規制溝454が形成されている。回動規制溝454と連結部420にて形成される空間には回動規制ピン453の突出する一端が位置している。
【0117】
連結部420と先端本体451の間には、円管状で、内周と外周間が回転するモータであるリングモータ481が配設されている。
【0118】
リングモータ481の内周面は先端本体451の外周に固定されている。リングモータ481の外周面は連結部420の内周面に固定されている。
【0119】
リングモータ481には、回転動作を開始させるための信号を伝達する信号線482が接続されている。
【0120】
信号線482は先端本体451に形成された導入孔483を通してリングモータ481に接続されている。
【0121】
導入孔483内部は、信号線482を配した後に、接着剤等の充填剤が満たされて、水密性を確保している。
【0122】
本構成は、図6に示されるような側視タイプの内視鏡や図8に示す斜視タイプの内視鏡に適用しても良い。
【0123】
(作用)
第3の実施の形態では、図示されない操作部または操作装置により信号線482を介してリングモータ481に信号が印可されると、リングモータ481に固定された先端本体451が回転する。
【0124】
これに従い、先端本体451に配設された図5に示す処置具導出口30、照明光学系31、観察光学系32及び送気/送水ノズル33が回動する。
【0125】
この場合の回動範囲は、回動規制溝454の幅において、回動規制ピン453が当接する事で規制され決定される。
【0126】
(効果)
第3の実施の形態によれば、図9乃至図11に示した第2実施の形態の効果と同様である。
【0127】
これに加えて、先端本体451と連結部420の間に直接リングモータ481を配することで、先端本体451を回動させる手段として挿入部402の湾曲部及び可撓管部に信号線482を配するのみにしている。
【0128】
ここで、内視鏡401の挿入部402内には処置具挿入管路、送気/送水管路、ライトガイドバンドル、観察光学系の内側に配置される個体撮像素子からなの信号線等が配設されており、これら内蔵物により挿入部の内径が決定付けられる。
【0129】
つまり、内視鏡の挿入部内の内蔵物を増加すると、挿入部の内径は大きくなり、これに伴い外径も大きくなる。
【0130】
第3の本実施の形態では、先端本体451を回動させる手段として挿入部の湾曲部及び可撓管部に信号線482を配するのみであるため、内蔵物の容量を大きくすることがなく、内視鏡401の挿入部外径に大きな影響を与えることなく第1及び第2の実施の形態の効果を達成することができる。
【0131】
次に、本発明の参考例について説明する。
特願昭63−104071号公報には、手元操作部に外れない様に設けた操作ノブに着脱式のノブを取り付ける内視鏡が記載されているが、このような内視鏡では、操作ノブの表示面が着脱式のノブにより覆われるので、着脱式のノブに上下及び左右等の回転位相を示す表示をしなければならなかった。
【0132】
この場合には、着脱式のノブに表示のための印刷または墨入れ作業が必要となり、その作業分、部品費用が高くなってしまうという問題があった。
【0133】
加えて、内視鏡の操作ノブを専用の形態にしなくてはならないため、専用の内視鏡が必要になってしまう。
【0134】
本参考例は、このような問題に対応したものである。
図13乃至図19は本発明の参考例に係り、図13は内視鏡の操作部及び操作ノブアタッチメントを示す斜視図、図14は内視鏡の操作部に操作ノブアタッチメントを取り付けた状態を外観図、図15は操作ノブアタッチメントの平面図、図16は操作ノブに対して操作ノブアタッチメントが取り付け途中の状態を示す断面図、図17は操作ノブに対して操作ノブアタッチメントを取り付けた状態を示す断面図、図18は操作ノブアタッチメントを取り付けていない内視鏡の操作を示す説明図、図19は操作ノブアタッチメントを取り付けた内視鏡の操作を示す説明図である。
【0135】
(構成)
まず、図13を用いて内視鏡の操作部の全体を示す。
内視鏡501には、挿入部502の先端側の湾曲部(図4に示した湾曲部7参照)をUP/DOWN/RIGHT/LEFTの各方向に湾曲させるための操作部510がある。
【0136】
把持部503は操作部510を把持するためのものである。
操作部510には、図4に示した湾曲部7をUP/DOWN方向へ湾曲操作するためのノブである上下方向操作ノブ511、上下方向操作ノブ511に摩擦を加え一時的に動きを規制する上下方向ノブ回動規制レバー512、RIGHT/LEFT方向へ湾曲操作するための左右方向操作ノブ513、左右方向操作ノブ513の動きを一時的に規制する左右方向ノブ回動規制ノブ514が同軸的に突設して配設されている。
【0137】
左右方向操作ノブ513には、操作ノブアタッチメント520が任意に着脱自在に配設されるようになっている。
【0138】
図14を用いて操作ノブアタッチメント520を左右方向操作ノブ513に取り付けた状態を示す。
【0139】
図14に示すように、左右方向操作ノブ513の上面には、湾曲の方向を示す湾曲方向表示部515が設けられている。操作ノブアタッチメント520は内周には爪部523が設けられている。爪部523は、左右方向操作ノブ513の下面に係止するようになっている。
【0140】
操作ノブアタッチメント520は、左右方向操作ノブ513に取り付けた状態において、湾曲方向表示部515を覆うことがない。
【0141】
図15を用いて操作ノブアタッチメント520を詳細に説明する。
図15に示すように、一点鎖線に示されている円の開口部521は、図14に示した左右方向ノブ回動規制ノブ514の外周よりも大きく形成されている。
【0142】
斜線部で示される表示用透孔522は湾曲方向表示部515を覆わないように、操作ノブアタッチメント520の全方向において積極的に除かれている。
【0143】
図14乃至図17に示す爪部523は、操作ノブアタッチメント520の内周面の一部に形成され、左右方向操作ノブ513の下面と係合するように形成されている。
【0144】
爪部523は少なくとも、操作ノブアタッチメント520の内周の3箇所(略120°隔絶した位置)に設けられている。
【0145】
図16に示すように、操作ノブアタッチメント520を左右方向操作ノブ513に外挿する際には、操作ノブアタッチメント520の可逆変形の範囲内となる弾性変形により、爪部523が左右方向操作ノブ513の外周面上に接している。
【0146】
爪部523の形状は、図17に示すように、操作ノブアタッチメント520を左右方向操作ノブ513に取り付けた際には、爪部523の突状部の上面524が左右方向操作ノブ513の下面に係止し、これと同時に操作ノブアタッチメント520の上面525の裏側端部526と左右方向操作ノブ513の上面が当接するように形成されている。
【0147】
図19に示すように操作ノブアタッチメント520の外径xは、上下方向操作ノブ511の外径y以下であるように構成されている。
【0148】
(作用)
本参考例では、操作ノブアタッチメント520は、通常の内視鏡の左右方向操作ノブ513に取り付けた際に、表示用透孔522により左右方向操作ノブ513に配してある湾曲方向表示部515を覆うことがない。
【0149】
また、表示用透孔522は全方位に設けてあるため、操作ノブアタッチメント520をいかなる方向で左右方向操作ノブ513に取り付けても、湾曲方向表示部515を覆わない。
【0150】
図17に示すように、操作ノブアタッチメント520は、爪部523の上面524と操作ノブアタッチメント520の上面525の裏側端部526とで、左右方向操作ノブ513の下面と上面を挟んで固定される。
【0151】
操作ノブアタッチメント520は、爪部523が少なくとも3箇所に設けられていることにより、全周において略均一に左右方向操作ノブ513に取り付けることができる。
【0152】
また、本参考例では、操作ノブアタッチメント520に形状的な特徴があるのみで、左右方向操作ノブ513は従来の内視鏡のノブと特に変わりはない。
【0153】
次に、図18及び図19を用いて操作ノブアタッチメント520を取り付けた状態での操作者の手の作用を示す。
【0154】
図18において、内視鏡501の左右方向操作ノブ513には操作ノブアタッチメント520は未装着である。
【0155】
操作部510を把持する手530で、左右方向操作ノブ513を操作する際、実線の手指を破線にまで移動しなくてはならない。
【0156】
左右方向操作ノブ513は、一般的な手の術者に合った大きさに設定されているため、一般的な手530の大きさの術者であれば比較的容易な作業であり、手指をもてあますこともない。
【0157】
しかしながら、手530の小さい術者にとっては、上下方向操作ノブ511にさえぎられ左右方向操作ノブ513へのアプローチが困難になることもあった。
【0158】
そこで、図19に示すように、左右方向操作ノブ513に操作ノブアタッチメント520を取り付けることで、手530が小さく手指のアプローチが難しい術者においても少ない動きで左右方向操作ノブ513を操作できるようにしている。
【0159】
これに加えて、左右方向操作ノブ513の外径が大きくなったことにより、小さい力で必要な回転トルクを発生させることができる。
【0160】
また、操作ノブアタッチメント520が上下方向操作ノブ511の外径以下であるため、上下方向操作ノブ511を操作する際の手指の先端が操作ノブアタッチメント520に干渉することがなく、上下方向操作ノブ511のみの操作性を損なわない。
【0161】
(効果)
本参考例によれば、従来の内視鏡の操作部を変更することなく、操作ノブアタッチメント520を取り付けることで手の小さい術者の湾曲操作性を向上させることができる。
【0162】
また、本参考例によれば、操作ノブアタッチメント520の取り付けた状態において、操作ノブアタッチメント520の切り欠き部である表示用透孔522を通して操作ノブ513の表示を術者に提示でき、即ち、操作ノブアタッチメント520は左右方向操作ノブ513の湾曲方向表示部515を覆うことがないため、操作ノブアタッチメント520の表面に新たに表示部を設けなくて良く、その分操作ノブアタッチメント520の製造コストを下げることができる。
【0163】
また、本参考例によれば、内視鏡501の操作部510に同軸に突設して設けられた上下/左右方向操作ノブ511,513において、操作部510より遠位側に配設された操作ノブ513に操作ノブアタッチメント520を取り付けることで、遠位側の操作ノブ513の外径を大きくすることができる。
【0164】
これにより、操作部510から遠位側の操作ノブ513へのアプローチ距離が短くなる。さらに、操作部側ノブ511の操作時に、遠位側の操作ノブ513へ手指が干渉しないため、操作部側ノブの操行性を損ねない。
【0165】
また、本参考例によれば、爪部523は操作ノブアタッチメント520の弾性変形にて左右方向操作ノブ513の裏面に係合するため、操作ノブアタッチメント520は、遠位側の操作ノブ513の表面と裏面を挟み込むことで係止し、操作ノブ513に固定される。
【0166】
これにより、本参考例では、操作ノブアタッチメント520を固定するための構造を単純化することができ、結果操作ノブアタッチメント520の製造コストを下げることができる。また、遠位側の操作ノブ513に接続用の構造部を設ける必要がないため、従来使用している内視鏡の操作ノブに容易に接続することができる。また、操作ノブアタッチメント520は、遠位側の操作ノブ513を挟み込むため操作時のがたつきによる不快感がない。
【0167】
また、本参考例によれば、操作ノブアタッチメント520に設けた表示用透孔522が全周方向に存在しているため、取り付けの際の方向性を気にする必要がない。
【0168】
また、本参考例によれば、爪部523が少なくとも3箇所に設けられているため、操作ノブアタッチメント520取り付け状態での左右方向操作ノブ513操作時に、容易に操作ノブアタッチメント520が脱落してしまうことがなく、良好な操作性を維持できる。
【0169】
図20及び図21は本参考例の変形例に係り、図20は内視鏡の操作部及び操作ノブアタッチメントを示す斜視図、図21は内視鏡の操作部に操作ノブアタッチメントを取り付けた状態を外観図である。
【0170】
図20に示すように、内視鏡501としては、図13に示した参考例と同じものを用いている。
【0171】
図20及び図21に示すように、操作ノブアタッチメント620の裏面は、図13乃至図19に示した操作ノブアタッチメント520と同様に左右方向操作ノブ513に表側から嵌合する形状に形成されている。
【0172】
操作ノブアタッチメント620の表側には、左右方向操作ノブ513を部分的に覆う板状部630が形成され、この板状部630にはノブ用開口部621と表示用透孔622が形成されている。
【0173】
ノブ用開口部621は、左右方向ノブ回動規制ノブ514の外周よりも大きく形成されている。表示用透孔622は、板状部630の湾曲方向表示部515に相当する位置に、円形等による透孔として形成されている。
【0174】
このような変形例によれば、表示用透孔622により湾曲方向表示部515を操作ノブアタッチメント620の外側に露出させることができるので、図13乃至図19に示した操作ノブアタッチメント520と同様の効果が得られる。
【0175】
[付記]
以上詳述したような本発明の前記実施の形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0176】
(付記項1) 少なくとも対物光学系を有する先端構成部と、この先端構成部の基端側に設けられた湾曲部とを有する内視鏡において、
前記先端構成部の後端側と前記湾曲部の最先端部との間に、前記先端構成部を前記湾曲部の長手軸周りに回動可能な連結部を設けたことを特徴とする内視鏡。
【0177】
(付記項2) 視野方向が挿入部長手軸と傾斜または直交する対物光学系を少なくとも有する先端構成部と、この先端構成部の基端側に設けられた湾曲部とを有する内視鏡において、
前記先端構成部の後端側と前記湾曲部の最先端部との間に、前記先端構成部を前記湾曲部の長手軸周りに回動可能な連結部を設けたことを特徴とする内視鏡。
【0178】
(付記項3)
先端構成部には、処置具導出口が含まれていることを特徴とする付記項1または2記載の内視鏡。
【0179】
(付記項4)
少なくとも挿入部に湾曲部を有し、この湾曲部を操作するための操作ノブが挿入部の基端側に配設されており、前記操作ノブに表示部として湾曲方向等を示す表示がなされた内視鏡の湾曲操作ノブに着脱自在な操作ノブアタッチメントにおいて、
前記操作ノブアタッチメントは、前記操作ノブ取り付け時に前記操作ノブに表示された前記表示部が覆われないような切り欠き部が形成されていることを特徴とする操作ノブアタッチメント。
【0180】
(付記項5)
前記切り欠き部は、前記操作ノブに取り付けられる可能性があるすべての方向において設けられていることを特徴とする付記項4記載の操作ノブアタッチメント。
【0181】
(付記項6)
少なくとも挿入部に上下/左右の4方向へ湾曲する湾曲部と、前記湾曲部を操作するための上下/左右方向操作ノブを操作部に同軸に突設して配し、同軸に配した前記操作ノブの操作部側のノブ外径を、遠位側のノブ外径より大きく構成した内視鏡の操作ノブに対して、遠位側の操作ノブに着脱自在に形成した操作ノブアタッチメントにおいて、
前記操作ノブアタッチメントは、前記操作部側のノブ外径以下となるように形成されていることを特徴とする操作ノブアタッチメント。
【0182】
(付記項7)
前記操作ノブアタッチメントは、前記遠位側の操作ノブの表面と裏面を挟みこんで係止するように構成されていることを特徴とする付記項6記載の操作ノブアタッチメント。
【0183】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明の内視鏡によれば、湾曲部が湾曲された状態においても、湾曲形状を変更することなく先端構成部とともに対物光学系を当該湾曲部に対して当該湾曲部の長手軸周りに回転させることができるので、観察画面内において、湾曲部を操作することなく目的部位を画面内で調整することができ、先端構成部の動きの自由度を高めることができるので、術者の操作性が向上する。
【0184】
また本発明の内視鏡によれば、斜視または側視タイプの対物光学系を備える内視鏡に対しても上記同様の効果を奏することができる。
【0185】
さらに本発明の内視鏡によれば、先端構成部とともに処置具導出口を湾曲部の長手軸周りに回転させることができるため、目的部位を観察視野内に捉えた状態で湾曲形状を変えることなく処置具の突出方向を調整させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る直視タイプの内視鏡の先端構成部及び湾曲部の側面側から見た断面図。
【図2】 本発明の第1の実施の形態に係る先端本体の斜視図。
【図3】 本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡の先端構成部の基端側から見た断面図。
【図4】 本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡の全体構成を示す説明図。
【図5】 本発明の第1の実施の形態に係る挿入部の斜視図。
【図6】 第1の実施の形態の側視タイプの内視鏡への応用例を示す先端構成部及び湾曲部の側面側から見た断面図。
【図7】 第1の実施の形態の側視タイプの内視鏡への応用例を示す挿入部の斜視図。
【図8】 図1乃至図5に示した第1の実施の形態の斜視タイプの内視鏡への応用例す挿入部の斜視図。
【図9】 本発明の第2の実施の形態に係る直視タイプの内視鏡の先端構成部及び湾曲部の側面側から見た断面図。
【図10】 本発明の第2の実施の形態に係る先端本体の斜視図。
【図11】 本発明の第2の実施の形態に係る内視鏡の先端構成部の基端側から見た断面図。
【図12】 本発明の第3の実施の形態に係る直視タイプの内視鏡の先端構成部及び湾曲部の側面側から見た断面図。
【図13】 本発明の参考例に係る内視鏡の操作部及び操作ノブアタッチメントを示す斜視図。
【図14】 本発明の参考例に係る内視鏡の操作部に操作ノブアタッチメントを取り付けた状態を外観図。
【図15】 本発明の参考例に係る操作ノブアタッチメントの平面図。
【図16】 本発明の参考例に係る操作ノブに対して操作ノブアタッチメントが取り付け途中の状態を示す断面図。
【図17】 本発明の参考例に係る操作ノブに対して操作ノブアタッチメントを取り付けた状態を示す断面図。
【図18】 本発明の参考例に係る操作ノブアタッチメントを取り付ける前の内視鏡の操作を示す説明図。
【図19】 本発明の参考例に係る操作ノブアタッチメントを取り付けた後の内視鏡の操作を示す説明図。
【図20】 本発明の参考例の変形例に係る内視鏡の操作部及び操作ノブアタッチメントを示す斜視図。
【図21】 本発明の参考例の変形例に係る内視鏡の操作部に操作ノブアタッチメントを取り付けた状態を外観図。
【図22】 従来の湾曲機能付きの直視タイプの内視鏡の湾曲動作を示す第1の説明図。
【図23】 従来の湾曲機能付きの直視タイプの内視鏡の湾曲動作を示す第2の説明図。
【図24】 従来の湾曲機能付きの側視タイプの内視鏡の湾曲動作を示す第1の説明図。
【図25】 従来の湾曲機能付きの側視タイプの内視鏡の湾曲動作を示す第2の説明図。
【図26】 従来の側視タイプの内視鏡を用いて十二指腸の管腔内で左或いは右湾曲の操作を行った場合における先端構成部の移動の様子を示す説明図。
【符号の説明】
1 …内視鏡
2 …挿入部
6 …先端構成部
7 …湾曲部
20 …連結部
Claims (5)
- 細長に形成された挿入部と、前記挿入部の基端側に配設された操作部と、を備えた内視鏡において、
前記挿入部を構成し、前記操作部に設けられた湾曲操作手段の操作により上下または左右の任意方向に湾曲される湾曲部と、
前記湾曲部の先端側において、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して回動自在に配設された、少なくとも対物光学系を有する先端構成部と、
前記先端構成部を、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して任意の回転角度をとる位置の範囲内で回動せしめる回動駆動手段と、
前記操作部に設けられた、前記回動駆動手段を作動せしめる回動操作手段と、
を具備し、
前記先端構成部の基端側に形成された略円板形状を呈する先端本体部をさらに備え、
前記回動駆動手段は、
前記湾曲部の先端部において前記湾曲部長手軸に対して一周方向に偏心した位置に、当該湾曲部に対して一体的に配設されたワイヤ受け支持部と、
前記ワイヤ受け支持部において、前記挿入部長手軸方向に互いに独立して進退自在に支持された複数のワイヤと、
を有し、
前記複数のワイヤは、
各ワイヤ先端部において、前記先端本体部の中心に対して互いに所定の第1角度離間した位置でかつ当該先端本体部の縁部寄りの位置に固定され、当該ワイヤ先端部より基端寄りの位置において、互いに前記第1角度より小さい第2角度離間した位置で前記ワイヤ受け支持部に対して前記挿入部長手軸方向に互いに独立して進退自在に支持された後に当該挿入部内に向けて延出し、各ワイヤ基端部において、前記回動操作手段に係合する
ことを特徴とする内視鏡。 - 細長に形成された挿入部と、前記挿入部の基端側に配設された操作部と、を備えた内視鏡において、
前記挿入部を構成し、前記操作部に設けられた湾曲操作手段の操作により上下または左右の任意方向に湾曲される湾曲部と、
前記湾曲部の先端側において、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して回動自在に配設された、少なくとも対物光学系を有する先端構成部と、
前記先端構成部を、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して任意の回転角度をとる位置の範囲内で回動せしめる回動駆動手段と、
前記操作部に設けられた、前記回動駆動手段を作動せしめる回動操作手段と、
を具備し、
前記先端構成部の基端側に形成された略円板形状を呈する先端本体部をさらに備え、
前記回動駆動手段は、
前記先端本体部の外周面に形成された周歯部と、
前記周歯部に歯合するピニオンと、
前記ピニオンから基端側に向けて延出するトルクワイヤと、
を有し、
前記トルクワイヤの基端部において、前記回動操作手段に係合する
ことを特徴とする内視鏡。 - 細長に形成された挿入部と、前記挿入部の基端側に配設された操作部と、を備えた内視鏡において、
前記挿入部を構成し、前記操作部に設けられた湾曲操作手段の操作により上下または左右の任意方向に湾曲される湾曲部と、
前記湾曲部の先端側において、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して回動自在に配設された、視野方向が前記挿入部長手軸と傾斜または直交する対物光学系を少なくとも有する先端構成部と、
前記先端構成部を、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して任意の回転角度をとる位置の範囲内で回動せしめる回動駆動手段と、
前記操作部に設けられた、前記回動駆動手段を作動せしめる回動操作手段と、
を具備し、
前記先端構成部の基端側に形成された略円板形状を呈する先端本体部をさらに備え、
前記回動駆動手段は、
前記湾曲部の先端部において前記湾曲部長手軸に対して一周方向に偏心した位置に、当該湾曲部に対して一体的に配設されたワイヤ受け支持部と、
前記ワイヤ受け支持部において、前記挿入部長手軸方向に互いに独立して進退自在に支持された複数のワイヤと、
を有し、
前記複数のワイヤは、
各ワイヤ先端部において、前記先端本体部の中心に対して互いに所定の第1角度離間した位置でかつ当該先端本体部の縁部寄りの位置に固定され、当該ワイヤ先端部より基端寄りの位置において、互いに前記第1角度より小さい第2角度離間した位置で前記ワイヤ受け支持部に対して前記挿入部長手軸方向に互いに独立して進退自在に支持された後に当該挿入部内に向けて延出し、各ワイヤ基端部において、前記回動操作手段に係合する
ことを特徴とする内視鏡。 - 細長に形成された挿入部と、前記挿入部の基端側に配設された操作部と、を備えた内視鏡において、
前記挿入部を構成し、前記操作部に設けられた湾曲操作手段の操作により上下または左右の任意方向に湾曲される湾曲部と、
前記湾曲部の先端側において、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して回動自在に配設された、視野方向が前記挿入部長手軸と傾斜または直交する対物光学系を少なくとも有する先端構成部と、
前記先端構成部を、前記湾曲部の長手軸周りに当該湾曲部に対して任意の回転角度をとる位置の範囲内で回動せしめる回動駆動手段と、
前記操作部に設けられた、前記回動駆動手段を作動せしめる回動操作手段と、
を具備し、
前記先端構成部の基端側に形成された略円板形状を呈する先端本体部をさらに備え、
前記回動駆動手段は、
前記先端本体部の外周面に形成された周歯部と、
前記周歯部に歯合するピニオンと、
前記ピニオンから基端側に向けて延出するトルクワイヤと、
を有し、
前記トルクワイヤの基端部において、前記回動操作手段に係合する
ことを特徴とする内視鏡。 - 前記先端構成部には、処置具導出口が含まれていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の内視鏡。
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