JP3989798B2 - クロック発生回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、クロック発生回路に関し、特に、基準クロックの立上りおよび立下りに同期して動作する内部回路に内部クロックを供給するクロック発生回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
外部クロックに同期して動作する半導体集積回路(LSI)においては、一般に、LSI内部にクロック発生回路を有し、外部クロックに同期した内部クロックをクロック発生回路にて生成し、LSIの内部回路は、この内部クロックを用いて制御される。
【0003】
図6は、従来のクロック発生回路の一例の詳細を示す回路図である。
図6を参照して、クロック発生回路100は、外部クロックを基準クロックREF.CLKとして受け、そのデューティを調整したクロックICLKを出力するクロックデューティ調整回路1と、クロックICLKの立上りエッジと立下りエッジとのそれぞれに対応した第1の内部クロックP1.CLKおよび第2の内部クロックP2.CLKを出力するクロックドライバ2とを含む。
【0004】
さらに、クロックドライバ2の出力する第1の内部クロックP1.CLKおよび第2の内部クロックP2.CLKは、内部回路50に入力される。
【0005】
なお、内部回路50は、内部クロックP1.CLKおよびP2.CLKに同期して動作する複数個のラッチ回路3,4,5...(図示は省略)と、一のラッチ回路のQ端子と他方のラッチ回路のD端子との間に接続されたロジック回路6,7,8...(図示は省略)とで構成される。
【0006】
図6を参照して、クロックデューティ調整回路1は、2入力AND回路10と複数のインバータで構成された遅延素子9とからなる。
【0007】
2入力AND回路10の第1の入力ノードには、LSIの動作タイミングを決める内部クロックの基準となる基準クロックREF.CLKが入力される。一方、2入力AND回路10の第2の入力ノードには、遅延素子9を介することによって一定時間遅延した基準クロックREF.CLKが入力される。
【0008】
ここで、基準クロックREF.CLKは、図示しないCR発振器等において発生されたパルス波形であり、一定の発振周期にて「H」(論理ハイ)レベルと「L」(論理ロー)レベルとの2つの電位の間での状態遷移を繰り返す信号である。なお、発振周期のうちパルスの電位が「H」レベルとなる期間の割合を示すデューティについては、基準クロックREF.CLKは、通常50%程度とされる。
【0009】
この構成において、2入力AND回路10の出力ノードからは、基準クロックREF.CLKと遅延した基準クロックREF.CLKとの論理積の演算結果がクロックICLKとして出力される。
【0010】
したがって、クロックICLKは、基準クロックREF.CLKとは発振周期が同じであるが、電位が「H」レベルとなる期間が短縮された信号に変換されることから、デューティは、基準クロックREF.CLKに対して減少することとなる。
【0011】
さらに、クロックドライバ2は、クロックデューティ調整回路1からデューティが調整されたクロックICLKを受けると、クロックICLKの立上りエッジに対応した第1の内部クロックP1.CLKを出力するとともに、第1の内部クロックP1.CLKをインバータを介して反転することにより、クロックICLKの立下りエッジに対応した第2の内部クロックP2.CLKを出力する。
【0012】
最後に、内部回路50は、互いに相補の第1および第2の内部クロックのいずれか一方がそれぞれのラッチ回路に入力されると、このクロックに同期して所定の動作を実行する。
【0013】
例えば、図6に示すように、ラッチ回路3および5のT端子には第1の内部クロックP1.CLKが入力され、ラッチ回路4のT端子には第2の内部クロックP2.CLKが入力されると、ロジック回路6の出力データは、第1の内部クロックP1.CLKのタイミングでラッチ回路3にて保持されてロジック回路7に送出される。さらに、ロジック回路7の出力データは、第2の内部クロックP2.CLKのタイミングでラッチ回路4にて保持されてロジック回路8に送出されると、ロジック回路8の出力データは、第1の内部クロックP1.CLKのタイミングにてラッチ回路5に保持されることとなる。
【0014】
これは、内部回路50において、第1の内部クロックP1.CLKの立上りエッジと立下りエッジとに同期して一連のデータの授受が行なわれていることに等しい。
【0015】
ここで、図6に示すようなラッチ回路とロジック回路とで構成される内部回路50においては、一つのラッチ回路の出力信号は、該ラッチ回路の出口から別のラッチ回路の入力までの論理ゲートの数が最も大きいクリティカルパスを通ることによりディレイ時間が最大となる。
【0016】
したがって、ディレイ時間は、内部クロックの立上りと立下りとのタイミングに上限を与えることとなり、このタイミングをクリティカルパスを通る信号のディレイ時間よりも短くすることはできない。
【0017】
つまり、クリティカルパスがLSIの最大動作速度を決めてしまうことから、内部クロックの立上りと立下りのタイミングを決めるデューティは、内部回路50におけるクリティカルパスを考慮した設計が必要となる。
【0018】
このため、図6の従来のクロックデューティ調整回路1においては、クロックの立上りと立下りとのタイミングを決めるデューティを、設計段階において遅延素子9を構成するインバータの数を最適化することによって予め調整しておき、調整された内部クロックにより対象となるLSIにおける最大動作速度の実現を図ってきた。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LSIの製造上のばらつきにより、設計段階で調整したクロックデューティにて内部回路50が必ずしも最高のスピードで動作することにはならない。
【0020】
また、クリティカルパスによるディレイ時間がラッチ回路の動作タイミングに対して大幅にずれることによりLSIの誤動作を引き起こす可能性も生じうる。
【0021】
したがって、従来において、製造上のばらつきにより動作速度の低下したLSIについては、”NG”(不良品)と判定して除外する以外に手段はなく、歩留まりの向上に歯止めをかけていた。
【0022】
そこで、この発明の目的は、製造上のばらつきによって動作速度が低下したLSIに対しては、内部クロックのデューティを自動的に調整して動作速度を向上させることによって、従来であれば不良品と判断されていたLSIを救済し、歩留まりを改善することができるクロック発生回路を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
この発明の局面によれば、所定動作を実行する内部回路に対して、基準クロックの立上りと立下りとのそれぞれに対応した第1および第2の内部クロックを供給するクロック発生回路であって、基準クロックおよび第1および第2の内部クロックを受けて、基準クロックのデューティを、対象となる内部回路における動作速度が最大となるデューティに自動的に調整して出力するクロックデューティ自動調整回路と、クロックデューティ自動調整回路から出力されるクロックの立上りおよび立下りのそれぞれに応答した第1および第2の内部クロックを生成する内部クロック生成回路とを備える。
【0024】
好ましくは、クロックデューティ自動調整回路は、第1および第2の内部クロックに応答して動作し、その動作状態を評価して評価結果に応じた信号を出力する評価回路と、評価結果出力信号に基づいて、基準クロックのデューティの調整量を判定し、判定結果に応じた信号を出力する判定回路と、判定結果出力信号に基づき、基準クロックのデューティを調整するデューティ調整遅延回路とを備える。
【0025】
好ましくは、デューティ調整遅延回路は、基準クロックを所定の期間遅延して入力する第1の遅延素子と、基準クロックと第1の遅延素子を介して入力された基準クロックとの論理積を出力する第1の論理素子と、基準クロックを所定の期間遅延して入力する第2の遅延素子と、基準クロックと第2の遅延素子を介して入力された基準クロックとの論理和を出力する第2の論理素子とを含む。
【0026】
好ましくは、デューティ調整遅延回路は、判定回路からの判定結果出力信号に基づき、第1および第2の論理素子の出力信号のいずれか一方を選択して出力するスイッチ手段をさらに含む。
【0027】
好ましくは、評価回路は、第1の内部クロックに応答して動作したときの動作状態を評価する第1の評価回路と、第2の内部クロックに応答して動作したときの動作状態を評価する第2の評価回路とを備え、第1および第2の評価回路における評価結果出力信号を判定回路に入力する。
【0028】
好ましくは、第1の評価回路は、第1の内部クロックの立上りと立下りとに応答してデータの取り込みおよび保持を行なうラッチ回路と、ラッチ回路とデータの授受を行なう論理回路とからなる第1の疑似内部回路を含む。第2の評価回路は、第2の内部クロックの立上りと立下りとに応答してデータの取り込みおよび保持を行なうラッチ回路と、ラッチ回路とデータの授受を行なう論理回路とからなる第2の疑似内部回路を含む。第1または第2の擬似内部回路を第1または第2の内部クロックを逓倍したクロックに同期して動作させて得られる出力信号を期待値とし、第1および第2の擬似内部回路を第1または第2の内部クロックに同期して動作させて得られる出力信号を論理値として、期待値と論理値との論理レベルが一致するか否かを評価して、評価結果に応じた信号を出力する。
【0029】
好ましくは、第1および第2の評価回路は、第1および第2の内部クロックを逓倍して第1および第2の擬似内部回路に入力するためのクロック逓倍回路をさらに備える。
【0030】
好ましくは、判定回路は、第1および第2の評価回路のいずれか一方から期待値と論理値との論理レベルが不一致であることを示す評価結果出力信号を受け、第1および第2の評価回路の他方から期待値と論理値との論理レベルが一致することを示す評価結果出力信号を受けると、デューティの調整量を判定して判定結果出力信号を出力する。デューティ調整遅延回路は、判定結果出力信号に基づき、スイッチ手段により第1および第2の論理素子の出力信号のいずれか一方を選択して出力する。
【0031】
この発明によれば、製造上のばらつきによって動作速度が低下したLSIに対しては、内部クロックのデューティを自動的に調整することにより、動作速度を向上させることができる。
【0032】
さらに、この発明によれば、従来であれば動作速度が低いために不良品と判断されていたLSIの一部を良品として救済できることから、歩留まりを改善することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0034】
図1は、発明の実施の形態のクロック発生回路の一例を詳細に示す回路図である。
【0035】
図1を参照して、クロック発生回路100は、基準クロックREF.CLKのデューティの自動調整が可能なクロックデューティ自動調整回路11と、調整されたクロックICLKに応答して生成した内部クロックP1.CLKおよびP2.CLKを内部回路50に供給するクロックドライバ2とからなる。
【0036】
クロックデューティ自動調整回路11は、図6の従来のクロックデューティ調整回路1と同様に、基準クロックREF.CLKを受けてそのデューティを調整したクロックICLKをクロックドライバ2に出力する。
【0037】
さらに、クロックドライバ2は、クロックICLKの立上りエッジに応答した第1の内部クロックP1.CLKと、クロックICLKの立下りエッジに応答し、第1の内部クロックP1.CLKに相補の第2の内部クロックP2.CLKとを内部回路50に供給する。
【0038】
さらに、内部回路50は、内部クロックP1.CLKおよびP2.CLKに同期して所定の動作を実行するが、この動作は図6の従来のクロック発生回路において説明した動作と同様であるため、説明は繰り返さない。
【0039】
図1を参照して、クロックデューティ自動調整回路11は、デューティ調整遅延回路12と、クロックドライバ2より出力された内部クロックで後述する擬似内部回路を動作させて動作状態を評価するための評価回路13および14と、評価回路13および14における評価結果を判定して判定結果に応じた信号をデューティ調整遅延回路12に出力し、デューティの調整量を制御する判定回路15とからなる。
【0040】
図1の構成のクロックデューティ自動調整回路11は、図6の従来のクロックデューティ調整回路1に対して、生成した内部クロックにおいて対象となる内部回路が正常に動作しているか否かを評価し、評価結果をデューティ調整遅延回路12にフィードバックしてさらにデューティを調整する点において異なり、内部回路50に、対象となるLSIにおける最高動作速度をもたらすデューティに自動的に調整したクロックを供給することが可能となる。
【0041】
この構成において、最初に、基準クロックREF.CLKは、デューティ調整遅延回路12およびクロックドライバ2を介することにより、内部クロックP1.CLKおよびP2.CLKとして内部回路50に入力されるとともに、クロックデューティ自動調整回路11内の評価回路13および14のそれぞれに並行して入力される。
【0042】
具体的には、クロックドライバ2においてクロックICLKの立上りエッジに応答して生成された第1の内部クロックP1.CLKは評価回路13に入力され、クロックICLKの立下りに応答して生成された第2の内部クロックP2.CLKは、評価回路14に入力される。
【0043】
次に、評価回路13は、後述するラッチ回路およびロジック回路で構成した擬似内部回路を含み、この擬似内部回路を第1の内部クロックP1.CLKに同期して動作させたときに得られる期待値と実測される論理値とを比較し、評価結果に応じた信号を出力する。
【0044】
この評価は、第2の内部クロックP2.CLKについても同様に行なわれ、評価回路14において並行して実行される。
【0045】
判定回路15は、第1の内部クロックP1.CLKにて動作した評価回路13における評価結果と、第2の内部クロックP2.CLKにて動作した評価回路14における評価結果とをそれぞれ入力信号P1およびP2として受けると、評価対象となったLSIにおいて最高の動作速度を実現するデューティの調整量を判定し、判定結果に応じた出力信号Q1およびQ2をデューティ調整遅延回路12に入力する。
【0046】
最後に、デューティ調整遅延回路12は、判定回路15からの判定結果出力信号Q1およびQ2に基づいて基準クロックREF.CLKのデューティを調整したクロックICLKをクロックドライバ2に出力する。
【0047】
したがって、内部回路は、対象となったLSIにとって最適なデューティに調整された内部クロックP1.CLKおよびP2.CLKに同期して動作することとなり、動作速度が向上される。
【0048】
これにより、対象となったLSIは、従来であれば動作速度が低いとして”NG”(不良品)と判定されていたところが”OK”(良品)と判定されることとなり、歩留まりを改善することが可能となる。
【0049】
図2は、図1の評価回路13の一例の詳細を示す回路図である。
なお、図1の評価回路14については、評価回路13と同一の構成であるため、説明は繰り返さない。
【0050】
図2を参照して、評価回路13は、第1の内部クロックP1.CLKのタイミングで動作したときの期待値を生成して出力する期待値生成回路16と、第1の内部クロックP1.CLKに同期して動作したときに実測される論理値を出力するデータ測定回路17と、期待値と論理値との間の一致比較結果を出力する2入力EXNOR回路35とを備える。
【0051】
期待値生成回路16は、第1の内部クロックP1.CLKの発振周期を2倍に逓倍するための逓倍回路18と、クロックドライバ19と、ラッチ回路20,21,22およびロジック回路23,24,25で構成される擬似内部回路とで構成される。
【0052】
この構成において、第1の内部クロックP1.CLKは、逓倍回路18において倍周期のクロックに逓倍され、クロックドライバ19を介して擬似内部回路に入力される。図2に示すように、ラッチ回路20および22のT端子のそれぞれには、倍周期となった第1の内部クロックP1.CLKが入力され、ラッチ回路21のT端子には、クロックドライバ19において反転された倍周期の第1の内部クロックP1.CLKが入力される。
【0053】
したがって、期待値生成回路16における擬似内部回路は、第1の内部クロックP1.CLKの2倍の発振周期を有するクロックの立上りエッジと立下りエッジとに応答して動作することとなり、ラッチ回路22のQ端子の出力データを期待値として2入力EXNOR回路35の第1の入力端子に入力する。
【0054】
ここで、期待値は、第1の内部クロックP1.CLKの倍周期に相当するクロックを用いて生成される。これは、期待値を第1の内部クロックP1.CLKと同じ周期で生成するとすれば、擬似内部回路においてタイミング違反が生じうることから正確な期待値を得ることができないためであり、動作に余裕のある倍周期のクロックで動作させることにより期待値としての精度を高めたものである。
【0055】
一方、データ測定回路17は、クロックドライバ26と、ラッチ回路27,28,29,30,31およびロジック回路32,33,34で構成される擬似内部回路とを備える。
【0056】
この構成において、クロックドライバ26を介して、第1の内部クロックP1.CLKおよび第1の内部クロックP1.CLKに相補のクロックが擬似内部回路に入力される。
【0057】
ラッチ回路27,29,31のそれぞれのT端子には、第1の内部クロックP1.CLKが入力され、ラッチ回路28,30のそれぞれのT端子には、第1の内部クロックP1.CLKと相補のクロックが入力される。
【0058】
したがって、データ測定回路17の擬似内部回路は、第1の内部クロックP1.CLKの立上りエッジと立下りエッジとに応答して動作を行ない、ラッチ回路31のQ端子の出力データを論理値として2入力EXNOR回路35の第2の入力端子に入力する。
【0059】
ここで、データ測定回路17の擬似内部回路は、期待値生成回路16の擬似内部回路に対して、ラッチ回路30および31を含む点において異なるが、これは、論理値の出力タイミングと、期待値生成回路16より1周期分遅れて出力される期待値の出力タイミングとを一致させるために付加したものである。
【0060】
最後に、2入力EXNOR回路35において、期待値と論理値との一致/不一致が判定されると、一致比較結果に応じた信号が出力ノードを介して図1の判定回路15に入力信号P1として入力される。
【0061】
一方、第2の内部クロックP2.CLKに同期して動作したときの動作状態の評価は、図1の評価回路14において、図2の評価回路13と同一の構成のもとで同一の手順で行なわれる。
【0062】
したがって、第2の内部クロックP2.CLKが期待値生成回路16とデータ測定回路17とに入力されると、第2の内部クロックP2.CLKの倍周期のクロックに同期して擬似内部回路より出力される期待値と、第2の内部クロックP2.CLKに同期して出力される論理値との間での一致比較結果に応じた信号が図1の判定回路15に入力信号P2として入力される。
【0063】
ここで、一致比較結果の出力信号は、期待値と論理値との双方の論理レベルが一致する場合には論理レベル「1」を示し、不一致の場合には論理レベル「0」を示す信号である。
【0064】
図3は、図2の判定回路15における真理値表である。
図3を参照して、判定回路15の入力信号P1は評価回路13から出力される一致比較結果の出力信号に相当し、入力信号P2は評価回路14から出力される一致比較結果の出力信号に相当する。
【0065】
入力信号P1およびP2は、一致比較結果の出力信号に対応して、論理レベルが「0」と「1」との間で遷移する信号であり、評価回路13および14において期待値と論理値とが一致したときに論理レベルが「1」となり、一方、期待値と論理値とが不一致のときは、論理レベルが「0」となる。
【0066】
判定回路15は、入力信号P1およびP2を受けると、判定結果に応じた出力信号Q1およびQ2を出力する。
【0067】
判定結果出力信号Q1およびQ2も、論理レベルが「0」と「1」との間で遷移する信号であり、入力信号P1およびP2がともに「0」であるとき、すなわち、評価回路13および14において期待値と論理値とが不一致の場合には、出力Q1およびQ2はともに「0」となる。なお、このとき、対象となったLSIは”NG”(不良品)と判定される。
【0068】
また、入力信号P1およびP2がともに「1」であるとき、すなわち評価回路13および14において期待値と論理値とが一致する場合には、出力信号Q1およびQ2はともに「0」となる。なお、対象となったLSIは”OK”(良品)と判定される。
【0069】
次に、入力信号P1が「1」であり、かつ入力信号P2が「0」であるとき、すなわち評価回路13において期待値と論理値とが一致する一方で、評価回路14において期待値と論理値とが不一致となる場合は、出力信号Q1は「1」となり、出力信号Q2は「0」となる。
【0070】
このとき、第2の内部クロックP2.CLKの立上りと立下りとに同期して動作した評価回路14においては、期待値と論理値とが不一致であることから、クリティカルパスによるディレイ時間がラッチ回路−ラッチ回路間におけるデータのやりとりのタイミングより長いために、データの授受のタイミングにずれが生じていると判断できる。
【0071】
一方、第1の内部クロックP1.CLKの立上りと立下りとに同期して動作した評価回路13においては、期待値と論理値とが一致することから、クリティカルパスによるディレイ時間に対してデータのやり取りのタイミングは十分に長い時間が確保されていると判断できる。
【0072】
ここで、発振周期において、第1の内部クロックP1.CLKの立上りと立下りのタイミングに相当するP1.CLKがHレベルとなる期間(以下、P1期間と称する。)を短縮する一方で、第2の内部クロックP2.CLKの立上りと立下りのタイミングに相当するP1.CLKがLレベルとなる期間(以下、P2期間と称する。)を拡大すれば、評価回路13および14の双方においてラッチ回路間のデータのやりとりは正常に行なうことができると推測される。
【0073】
そこで、判定回路15においては、P2期間を拡大する(”P2UP”)と判定され、判定結果として論理レベル「0」の出力信号Q1が出力されるとともに、論理レベル「1」の出力信号Q2が出力される。
【0074】
一方、入力信号P1が「0」であり、かつ入力信号P2が「1」であるとき、すなわち評価回路14において期待値と論理値とが一致する一方で、評価回路13において期待値と論理値とが不一致となる場合は、出力信号Q1は「0」となり、出力信号Q2は「1」となる。
【0075】
この場合は、上記の評価結果とは正反対であって、第1の内部クロックP1.CLKの立上りおよび立下りに同期して動作した評価回路13において、クリティカルパスに起因してラッチ回路−ラッチ回路間におけるデータの授受のタイミングにずれが生じている一方で、第2の内部クロックP2.CLKの立上りおよび立下りに同期して動作した評価回路14においては、クリティカルパスによるディレイ時間に対してデータの授受のタイミングはより長い時間が確保されていると判断できる。
【0076】
そこで、判定回路15においては、P1期間を拡大する(”P1UP”)と判定され、判定結果として論理レベル「1」の出力信号Q1が出力されるとともに、論理レベル「0」の出力信号Q2が出力される。
【0077】
続いて、後述するデューティ調整遅延回路12において、”P1UP”および”P2UP”を表わす判定結果出力信号に応じてP1期間とP2期間との比が調整される。これにより、対象となるLSIにとって最適なデューティに自動的に調整された内部クロックによって、内部回路50は動作することから動作スピードを向上することが可能となる。
【0078】
その結果、対象となるLSIは正常動作を行なうことから、”OK”(良品)と判定されることとなり、従来であれば”NG”(不良品)と判定されていたLSIを救済することができる。
【0079】
図4は、図1のデューティ調整遅延回路12の一例の詳細を示す回路図である。
【0080】
図4を参照して、デューティ調整遅延回路12は、入力ノードに並列に接続された2入力OR回路40および2入力AND回路41と、遅延素子48および49と、各論理回路の出力ノードとデューティ調整遅延回路12の出力ノードとの間に接続されたトランスファーゲート42,43,45,46と、インバータ44および47とで構成される。
【0081】
なお、遅延素子48および49は、複数のインバータからなり、2入力OR回路40および2入力AND回路41のそれぞれの第1の入力ノードに接続され、基準クロックREF.CLKを遅延して入力する。
【0082】
図4の構成において、2入力OR回路40は、基準クロックREF.CLKが遅延素子48を介して第1の入力ノードに入力されるとともに、第2の入力ノードに直接に入力されると、2入力OR回路40の出力ノードに2信号の論理和の演算結果を出力する。
【0083】
2入力AND回路41は、基準クロックREF.CLKが遅延素子49を介して第1の入力ノードに入力されるとともに、第2の入力ノードに直接入力されると、2入力AND回路41の出力ノードに2信号の論理積の演算結果を出力する。
【0084】
これにより、基準クロックREF.CLKは、2入力OR回路40によって、「H」レベルとなる期間が遅延素子48で決まる遅延時間だけ拡大されることから、デューティが増加したクロックに変換される。
【0085】
一方、基準クロックREF.CLKは、2入力AND回路41によって、「H」レベルとなる期間が遅延素子49で決まる遅延時間だけ短縮されることから、デューティが減少したクロックに変換される。
【0086】
さらに、2入力OR回路40の出力ノードとノードNDとの間にはトランスファーゲート(TG)42が接続され、判定結果の出力信号Q1およびインバータ44を介する出力信号Q1の反転信号を受けて2入力OR回路40の出力ノードとノードNDとを電気的に結合する。
【0087】
トランスファーゲート43は、2入力OR回路40の入力ノードとノードNDとの間に接続され、判定結果の出力信号Q1およびインバータ44を介する出力信号Q1の反転信号を受けて2入力OR回路40の入力ノードとノードNDとを電気的に結合する。
【0088】
一方、2入力AND回路41の出力ノードとデューティ調整遅延回路12の出力ノードとの間にはトランスファーゲート45が接続され、判定結果出力信号Q2およびインバータ47を介する出力信号Q2の反転信号を受けて2入力AND回路41の出力ノードとデューティ調整遅延回路12の出力ノードとを電気的に結合する。
【0089】
トランスファーゲート46は、ノードNDとデューティ調整遅延回路12の出力ノードとの間に接続され、判定結果出力信号Q2およびインバータ47を介する出力信号Q2の反転信号を受けてノードNDとデューティ調整遅延回路12の出力ノードとを電気的に結合する。
【0090】
ここで、トランスファーゲート42および43は、判定結果出力信号Q1の論理レベルが「1」のときにTG42がオンされるとともにTG43はオフされ、2入力AND回路40の出力信号がノードNDに伝達される。一方、出力信号Q1の論理レベルが「0」のときは、TG42がオフされるとともにTG43はオンされることとなり、デューティ調整遅延回路12に入力された基準クロックはそのままノードNDに伝達される。
【0091】
すなわち、TG42とTG43とは、出力信号Q1に応じて相補的にオンすることから、出力信号Q1が「1」のときにデューティが増加した基準クロックREF.CLKが選択されてノードNDに伝達され、出力信号Q1が「0」のときには、基準クロックREF.CLKがデューティを維持したままノードNDに伝達されることとなる。
【0092】
同様にトランスファーゲート45と46とは、出力信号Q2に応じて相補的にオンすることから、出力信号Q2の論理レベルが「1」のときに2入力AND回路41にてデューティが減少された基準クロックREF.CLKが選択されてデューティ調整遅延回路12の出力ノードに伝達され、出力信号Q2が「0」のときは、ノードNDに伝達されたクロックが選択されてデューティ調整遅延回路12の出力ノードに伝達されることとなる。
【0093】
以上の動作を判定回路15における判定結果に照らすと、以下のようにまとめることができる。
【0094】
出力信号Q1が「1」であり、かつ出力信号Q2が「0」であるとき、すなわち判定状態が”P1UP”のときは、デューティ調整遅延回路12からは、2入力OR回路40を介してデューティが増加されたクロックICLKが出力される。
【0095】
一方、出力信号Q2が「1」であり、かつ出力信号Q1が「0」であるとき、すなわち判定結果が”P2UP”のときは、デューティ調整遅延回路12からは、2入力AND回路41を介してデューティが減少されたクロックICLKが出力される。
【0096】
なお、出力信号Q1およびQ2のいずれもが「0」であるとき、すなわち判定状態が”NG”または”OK”のときは、デューティ調整遅延回路12からは、基準クロックREF.CLKがデューティを維持したままクロックICLKとして出力される。
【0097】
最後に、以上の動作によりデューティが調整されたクロックICLKは、図1のクロックドライバ2を介して、内部クロックP1.CLKおよびP2.CLKとして内部回路50に供給される。
【0098】
図5は、この発明の実施の形態のクロック発生回路100の動作を説明するための動作波形図である。
【0099】
図5(a)に、クロック発生回路100に入力される基準クロックREF.CLKを示す。図5(b),(c),(d)に、判定回路15における各判定結果に基づき、図1のデューティ調整遅延回路12において基準クロックREF.CLKのデューティが調整されて出力されるクロックICLKを示す。
【0100】
図5(a)を参照して、基準クロックREF.CLKは、P1期間とP2期間とが等しく、デューティが50%のパルス波形である。
【0101】
図5(a)の基準クロックREF.CLKは、デューティ調整遅延回路12およびクロックドライバ2を介して、内部クロックP1.CLKおよびP2.CLKとして内部回路50に入力されるとともに、並行してクロックデューティ自動調整回路11内の評価回路13および14に入力される。
【0102】
評価回路13および14において、擬似内部回路がデューティ50%の内部クロックP1.CLKおよびP2.CLKの立上りおよび立下りにそれぞれ応答して動作を行なうと、その動作状態が判定回路15において判定され、判定結果に応じた信号がデューティ調整遅延回路12に出力される。
【0103】
ここで、判定状態が”OK”(良品)である場合は、デューティ調整遅延回路12からは、図5(b)に示すように、基準クロックREF.CLKのデューティを維持したクロックICLKが出力され、対象となるLSIの内部回路50に供給される。
【0104】
一方、判定状態が”P1UP”である場合は、図4のデューティ調整遅延回路12の各トランスファーゲートが制御され、図5(c)に示すように、P1期間が遅延素子48で決まる遅延時間だけ拡大されることによりデューティが増加したクロックICLKが出力される。
【0105】
同様に、判定状態が”P2UP”である場合は、図5(d)に示すように、P2期間が遅延素子49で決まる遅延時間だけ拡大されることによりデューティが減少したクロックICLKが出力される。
【0106】
なお、デューティの調整量は、図4の遅延素子48および49を構成するインバータの数の増減によって遅延時間を変えることにより調整可能である。
【0107】
また、今回の発明の実施の形態では、クロックデューティ自動調整回路を2つの評価回路13および14と、これらに制御される2つの論理素子40および41とで構成することによって、デューティを2段階に自動調整できる例を示したが、評価回路とこれに対応する論理素子を増やすことにより、さらに調整可能な段階の数を増やすことが可能となる。
【0108】
したがって、この発明の実施の形態のクロック発生回路によれば、対象となるLSIには自己の動作状態に応じて最適化された内部クロックが供給されることから、動作速度を向上することができる。
【0109】
これにより、該LSIは、従来であれば動作速度が低いとして”NG”と判定されていたところが”OK”と判定されることとなり、歩留まりの改善が可能となる。
【0110】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0111】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、対象となるLSIが、内部クロックの立上りと立下りとに同期して動作するときの動作状態をクロック発生回路にフィードバックさせることにより、製造上のばらつきによって動作速度が低下したLSIに対しても、内部クロックを動作速度が最大となるデューティに自動的に調整して供給できることから、LSIの動作スピードを向上することができる。
【0112】
これにより、上記LSIは、従来であれば、動作速度が低いとして”NG”(不良品)と判定されていたところが、デューティを調整することで”OK”(良品)と判定されることから、歩留まりを改善することが可能となる。
【0113】
これは、判定回路において、2つの評価回路のいずれか一方において期待値と論理値とが一致していれば”NG”とせずに、デューティの調整量を制御する判定結果を出力することによって、2つの評価回路の双方において期待値と論理値とを一致させることができることによる。
【0114】
また、評価回路に擬似内部回路を設け、擬似内部回路のクリティカルパスを考慮した期待値と実測される論理値とを比較することにより、対象となるLSIの動作状態を容易に把握できるとともに、検出した動作状態から最適なデューティの調整が可能となる。
【0115】
また、評価回路における期待値を、逓倍した内部クロックに応答して生成することにより、擬似内部回路に生じうるタイミング違反に影響されず、正確な期待値を得ることができる。
【0116】
さらに、デューティ調整遅延回路において、判定結果に基づき、基準クロックと遅延素子を介することにより遅延して入力された基準クロックとの論理積または論理和の演算結果のいずれか一方を内部クロックとして出力することから、内部クロックのデューティの自動調整を容易に行なうことができる。
【0117】
なお、デューティの調整量は、デューティ調整遅延回路における遅延素子を構成するインバータの段数の増減により変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の形態のクロック発生回路の一例を詳細に示す回路図である。
【図2】 図1の評価回路13の一例の詳細を示す回路図である。
【図3】 図2の判定回路15における真理値表である。
【図4】 図1のデューティ調整遅延回路12の一例の詳細を示す回路図である。
【図5】 発明の実施の形態のクロック発生回路100の動作を説明するための動作波形図である。
【図6】 従来のクロック発生回路の一例の詳細を示す回路図である。
【符号の説明】
1 クロックデューティ調整回路、2 クロックドライバ、3,4,5 ラッチ回路、6,7,8 ロジック回路、9 遅延素子、10 2入力AND回路、11 クロックデューティ自動調整回路、12 デューティ調整遅延回路、13,14 評価回路、15 判定回路、16 期待値生成回路、17 データ測定回路、18 逓倍回路、19,26 クロックドライバ、20,21,22,27,28,29,30,31 ラッチ回路、23,24,25,32,33,34 ロジック回路、35 2入力EXNOR回路、40 2入力OR回路、412入力AND回路、42,43,45,46 トランスファーゲート、44,47 インバータ、48,49 遅延素子、50 内部回路、100 クロック発生回路。
Claims (7)
- 所定動作を実行する内部回路に対して、基準クロックの立上りと立下りとのそれぞれに対応した第1および第2の内部クロックを供給するクロック発生回路であって、
前記基準クロックおよび前記第1および第2の内部クロックを受けて、前記基準クロックのデューティを、対象となる前記内部回路における動作速度が最大となるデューティに自動的に調整して出力するクロックデューティ自動調整回路と、
前記クロックデューティ自動調整回路から出力されるクロックの立上りおよび立下りのそれぞれに応答した前記第1および第2の内部クロックを生成する内部クロック生成回路とを備え、
前記クロックデューティ自動調整回路は、
前記第1および第2の内部クロックに応答して動作し、その動作状態を評価して評価結果に応じた信号を出力する評価回路と、
前記評価結果出力信号に基づいて、前記基準クロックのデューティの調整量を判定し、判定結果に応じた信号を出力する判定回路と、
前記判定結果出力信号に基づき、前記基準クロックのデューティを調整するデューティ調整遅延回路とを含む、クロック発生回路。 - 前記デューティ調整遅延回路は、
前記基準クロックを所定の期間遅延して入力する第1の遅延素子と、
前記基準クロックと前記第1の遅延素子を介して入力された前記基準クロックとの論理積を出力する第1の論理素子と、
前記基準クロックを所定の期間遅延して入力する第2の遅延素子と、
前記基準クロックと前記遅延素子を介して入力された前記基準クロックとの論理和を出力する第2の論理素子とを含む、請求項1に記載のクロック発生回路。 - 前記デューティ調整遅延回路は、
前記判定回路からの判定結果出力信号に基づき、前記第1および第2の論理素子の出力信号のいずれか一方を選択して出力するスイッチ手段をさらに含む、請求項2に記載のクロック発生回路。 - 前記評価回路は、
前記第1の内部クロックに応答して動作したときの動作状態を評価する第1の評価回路と、
前記第2の内部クロックに応答して動作したときの動作状態を評価する第2の評価回路とを含む、請求項1に記載のクロック発生回路。 - 前記第1の評価回路は、
前記第1の内部クロックの立上りと立下りとに応答してデータの取り込みおよび保持を行なうラッチ回路と、前記ラッチ回路とデータの授受を行なう論理回路とからなる第1の疑似内部回路を含み、
前記第2の評価回路は、
前記第2の内部クロックの立上りと立下りとに応答してデータの取り込みおよび保持を行なうラッチ回路と、前記ラッチ回路とデータの授受を行なう論理回路とからなる第2の疑似内部回路を含み、
前記第1または第2の擬似内部回路を前記第1または第2の内部クロックを逓倍したクロックに同期して動作させて得られる出力信号を期待値とし、前記第1および第2の擬似内部回路を前記第1または第2の内部クロックに同期して動作させて得られる出力信号を論理値として、
前記期待値と前記論理値との論理レベルが一致するか否かを評価して、評価結果に応じた信号を出力する、請求項4に記載のクロック発生回路。 - 前記第1および第2の評価回路は、
前記第1および第2の内部クロックを逓倍して前記第1および第2の擬似内部回路に入力するためのクロック逓倍回路をさらに含む、請求項5に記載のクロック発生回路。 - 前記判定回路は、
前記第1および第2の評価回路のいずれか一方から前記期待値と前記論理値との論理レベルが不一致であることを示す前記評価結果出力信号を受け、前記第1および第2の評価回路の他方から前記期待値と前記論理値との論理レベルが一致することを示す前記評価結果出力信号を受けると、デューティの調整量を判定して前記判定結果出力信号を出力し、
前記デューティ調整遅延回路は、前記判定結果出力信号に基づき、前記スイッチ手段により前記第1および第2の論理素子の出力信号のいずれか一方を選択して出力する、請求項1、4または5に記載のクロック発生回路。
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