JP3989363B2 - ロータリ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトラクタの後部に装着したロータリ装置のカバー構造に関し、従来の構造を改良したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のトラクタの後部に装着したロータリ装置のメインカバー後方にリヤカバーを上下回動自在に軸支し、上記メインカバーに設けた左右一対の吊りロッドで上記リヤカバーの姿勢を保持するようにしたもので、リヤカバーの上下回動を任意の位置で固定するようにしたものでは、その固定装置を吊りロッドに設け、その係合操作部をトップマストに近い部分に備えて、トラクタに乗ったまま操作出来るようにしたものは知られている。(例えば、特許文献1参照。)。また、吊りロッドの支えシャフト部に係合操作部を設けたものも、知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−205804号公報(第3頁、図9,10,13)
【特許文献2】
特開平5−137403号公報(第2,3頁、図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の特許文献1の構造のものでは、代掻き時等のようにリヤカバーを最下げ状態でロックする時には、トラクタの運転席で係脱操作が出来て便利であるが、他の農作業や洗車や機体点検等を行うような際にトラクタから降りてリヤカバーを、その作業に合った中間位置にロックしたり、洗車や清掃・機体の点検整備等で上方にロックしたいような時には、上記操作部が高い位置にあって作業者の手が届き難く、その操作が不便であった。
また、特許文献2の構造のものでは、逆にトラクタから降りての操作は便利であるが、リヤカバー姿勢の切替変更操作をする度毎に作業中でも運転席からいちいち降りて操作する必要があり、不便であった。
本発明の目的は、上記従来の不具合を改善する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明においては、トラクタ後部に装着したロータリ装置のメインカバー後方にリヤカバーを上下回動自在に軸支し、上記リヤカバーの上下回動を任意の位置で固定する固定装置を設けたロータリ装置において、前記メインカバーにブラケットを介して設けた支えシャフトに、一端をリヤカバーに連結した吊りロッドの他端側を挿通すると共に、ロータリ装置のトップマスト部に設けて作業者がトラクタに乗車したまま操作可能な操作レバーにより操作されるロックピンと、作業者がトラクタより降りた状態で操作するレバーにより操作されるロックピンとを、上記支えシャフト部に設ける一方、上記ロックピンが係合してリヤカバーの上下回動を固定する係合溝を、吊りロッドの左右両側に設けたことを第1の特徴とする。
【0006】
又、前記吊りロッドに設ける最上部の係合溝に操作レバーに連結したロックピンを係合させた時、リヤカバーは最下げ状態となり、また、最上部の係合溝より低位の係合溝にレバーにより操作されるロックピンを係合させた時、リヤカバーは最上げ状態や中間位置となるように構成したことを第2の特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例を以下の図面に基づいて説明する。
図1はトラクタの後部にロータリ装置を装着した要部の側面図であって、1はトラクタ本体、2は作業機(本実施例では耕耘ロータリ)を示す。
ここで、トラクタ本体1は、通常のトラクタと同様にその後方上部中央に単一のトップリンクサポート3を装着し、該トップリンクサポート3にトップリンク4を介すると共に、トラクタ本体1の下部両側部に設けたロアリンク5,5を介して作業機装着用のオートヒッチ6が装着されている。
そして、上記耕耘ロータリ2は、上記オートヒッチ6を介してトラクタ本体1に装着されて耕耘作業等の農作業をなすように構成されている。
更に、トラクタ本体1後方中央の7はヨークジョイントであって、トラクタ本体1側からの動力を耕耘ロータリ2側に伝動するようになっている。
【0009】
次に、上記図1及び耕耘ロータリ全体を示す斜視図である図2に基づいて、耕耘ロータリの構成について説明する。
パワーライン及びフレーム部は、中央部にギヤケース9を設け、その上方に2枚で一対をなすトップマスト10,10を固設し、該左右のトップマスト10,10を連結する前部側の支持軸11に上記オートヒッチ6の上部連結体12を引っ掛けて上方へ吊り上げると共に、耕耘ロータリ2の左右両側部に設けた連結部13,13にてオートヒッチ6と連結されるようになっている。
そして、上記ギヤケース9の左右両側面には、一対のアーム14,14を固設し、その左端部にはチェンケース15を、右端部にはサイドプレート16を夫々下方側に向けて固設する。
【0010】
また、耕耘ロータリ2のカバー構造は、円弧状の天板17を母体として、その後端側に補強プレート18を固設すると共に、左右両側端には略扇形状をなす側板19,19を固設したこれらのメインカバー20全体を側面視で前後方向へ回動自在に装着し、その後部にはリヤカバー21を回動支軸22を支点として、軸着している。
なお、図中の符号23・・・は、上記耕耘ロータリ2下部に回転自在に多数設けた耕耘爪である。
【0011】
更に、上記メインカバー20の補強プレート18の上面左右の位置に、断面がコの字形状を呈するブラケット24,24を固設し、該ブラケット24,24の上部側で、上記リヤカバー21の上面に設けたブラケット25,25にその一端をピン26,26止めした左右の吊りロッド27,27の他端側を、夫々の支えシャフト28,28を内側から回動自在に挿通して、上記吊りロッド27,27の長さが調節自在の位置で上記支えシャフト28,28により係合されるよう上下スライド自在に軸設している。
なお、図中上記トップマスト10部に設けた30は操作ボックスであり、31は操作レバー、32,32は内部にワイヤ33を挿通するワイヤアッシー、34は支えシャフト28部のロックピンであって、その詳細については後述する。
【0012】
ここで、上記図1は耕耘ロータリ2の代掻き耕耘でリヤカバー21をロック状態として、土寄せ作業をしている時の要部の側面図を示し、図3は圃場での作業後の洗車や掃除或いは機体の点検や整備等をする際に耕耘ロータリ2をリフトアップしてリヤカバー21を最上げ状態としてロックした時の要部の側面図を示している。
【0013】
次に、図4,5は吊りロッド部の断面図で、図4はリヤカバー21が図1の最下げ状態、図5はリヤカバー21が図3の最上げ状態を夫々示し、この状態での吊りロッド27部の係合操作について説明する。
先ず、図4において、上記操作ボックス30内の操作レバー31にワイヤ33を介して連結された支えシャフト28の位置は一定であるが、後方のリヤカバー21の回動姿勢を変えることにより上記吊りロッド27が、支えシャフト28の略中央部に設けた孔36内を上下にスライドするようになっている。
ここで、上記操作レバー31が図1の前方側にある時に、吊りロッド27を上下にスライドさせて、吊りロッド27の右側に設けた単一の最上部の溝37(37a)部分に合致させた時、上記ワイヤ33の端部に装着されたロックピン34は内部に装着された圧縮スプリング38の圧力により、上記溝37a部分内に自動的に係合して吊りロッド27の長さ、即ちリヤカバー21の回動姿勢を固定する。
【0014】
そして、この状態では、リヤカバー21は最下げ状態となり、上記代掻き耕耘時の土寄せ作業や、耕耘ロータリ2をトラクタ本体1から離脱させて定置する際のスタンド用として使用する。
また、上記ロックピン34と吊りロッド27との係合を解除したい時には、操作レバー31を図3の後方側にすれば、ワイヤアッシー32内のワイヤ33が引張られて、上記の係合が解除されるように構成されている。
なお、符号39は上記圧縮スプリング38の右側係止部を示す。
【0015】
更に、上記の如く操作レバー31を図3の後方側にしたままで、作業者がトラクタより降りた状態で、支えシャフト28部にある左側の長いレバー40を握って、図4の状態から図5の状態に90度回動すると、上記レバー40と一体のロックピン41が、その周囲に備えた圧縮スプリング42の圧力により、係止部43から離れる方向に移動しようとし、吊りロッド27を上下にスライドさせた時の吊りロッド27の左側に複数個設けた溝37(37b・・・)部分に合致した時、溝37bの何れかに自動的に係合して上記レバー40が上記支えシャフト28の左側部分にのみ設けた溝44に沿って支えシャフト28の内部に入り込む。
なお、符号45は吊りロッド27の上端側に設けた抜け止め部材である。
【0016】
そして、この状態でのリヤカバー21は、最上げ状態や中間位置となっており、最上げ状態の時には上記洗車や機体の掃除、若しくは機体の点検や整備、或いは畝立器などの作業機を使用する際上記リヤカバー21を上方に固定したいような場合に使用し、中間位置の場合には種々の作業機を装着しての作業時に使用する。
また、上記係合を解除したい時には、レバー40を握って上記圧縮スプリング42の圧力に抗して上記溝44から外側に引出し、90度回動して図4の固定状態に戻せば、両ロックピン34,41が夫々支えシャフト28に固定されているので、上記吊りロッド27を自由に上下スライド可能状態とする。
なお、当実施例においては、上記左右のワイヤアッシー32,32が耕耘ロータリ2の内側方向にあって、ブラケット24,24と支えシャフト28,28との位置関係を左右対称としているが、これに限定されず、左右が同じ方向であっても良いことは言う迄もない。
更に、各溝37・・・の位置は、吊りロッド27の側方位置から見れば容易に分かるものであるが、吊りロッド27の上面に印を付けておけば、係合操作上便利であり、誤操作も免れる。
【0017】
本発明のロータリのカバー構造は、以上のような構成よりなっており、これらの作用について説明するに、作業者がトラクタ本体1に乗車してエンジンを始動し、トップリンク4をアップしてオートヒッチ6の上部連結体12により図2に記載の作業機である耕耘ロータリ2の支持軸11を上方に引上げて、左右の連結部13,13によりトラクタ本体1に耕耘ロータリ2を装着してロックすると共に、ヨークジョイント7を連結してトラクタ本体1側の動力を耕耘ロータリ2側に伝動して耕耘爪23・・・を回転させて耕耘作業等を行う。
そして、例えば水田での耕耘代掻き作業時の土寄せ作業を行うような時には、耕耘ロータリ2を下方に降ろすと共に、後部のリヤカバー21の位置を最下げ状態に固定する必要がある。
【0018】
その際には、支えシャフト28のレバー40を図4の固定状態で、作業者がトラクタに乗車したまま操作ボックス30の操作レバー31を図1の前方側にしておけば、リヤカバー21が自重で下がって、ロックピン34が吊りロッド27の最上部位置の溝37aと合致した時、溝37a内に自動的に係合してリヤカバー21の回動姿勢が固定されるので、作業者はトラクタに乗車したままの状態で農作業を開始することが出来て便利である。
なお、この状態では、上記作業の他、トラクタ本体1から耕耘ロータリ2を離脱させて定置させる時のスタンドとして利用することも出来るものである。
【0019】
また、リヤカバー21の回動姿勢を中間位置に設定して各種の作業機を使用したい場合や、リヤカバー21の回動位置を最上げ位置として耕耘ロータリ2の洗車や掃除、若しくは機体の点検や整備、更には畝立などの作業を行う際には、予めトラクタでの乗車位置で操作レバー31を図3の後方側にしておくと、上記ロックピン34が吊りロッド27の溝37aから脱出し、支えシャフト28と吊りロッド27との係合が解除されて吊りロッド27の上下スライドが自由となる。そこで、作業者はトラクタ本体1より降りた状態で支えシャフト28のレバー40を握って90度回動して図5の状態にすると共に、リヤカバー21の位置を手で上方に持上げれば、上記レバー40と一体のロックピン41が吊りロッド27の溝37b・・・と合致した時、ロックピン41が溝37b内に自動的に係合してリヤカバー21の回動姿勢が固定される。
そして、この時の操作はその作業の目的に応じて上記ロックピン41が係合する位置と合致していない場合には、レバー40を図4の状態に一旦戻してロックピン41を支えシャフト28に固定しておき、その目的の溝37bの近い所でレバー40を回動して図5の状態にして、リヤカバー21の移動を微調整すれば良い。
【0020】
これにより、リヤカバー21の位置を変更する度毎に高い位置にある操作レバー31を操作するのにトラクタ本体1に乗ったり降りたりする必要がなくなり、トラクタから降りたままで、リヤカバー21の位置を適宜設定することが出来るので、作業性が向上するものである。
更に、同一の吊りロッド27の左右両側に目的に応じた溝37を区別して設けたことにより、誤操作をなくすと共に、コストを安く提供出来るものである。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、前記の如く、トラクタ後部に装着したロータリ装置のメインカバー後方にリヤカバーを上下回動自在に軸支し、上記リヤカバーの上下回動を任意の位置で固定する固定装置を設けたロータリ装置において、前記メインカバーにブラケットを介して設けた支えシャフトに、一端をリヤカバーに連結した吊りロッドの他端側を挿通すると共に、ロータリ装置のトップマスト部に設けて作業者がトラクタに乗車したまま操作可能な操作レバーにより操作されるロックピンと、作業者がトラクタより降りた状態で操作するレバーにより操作されるロックピンとを、上記支えシャフト部に設ける一方、上記ロックピンが係合してリヤカバーの上下回動を固定する係合溝を、吊りロッドの左右両側に設けたこと、及び吊りロッドに設ける最上部の係合溝に操作レバーに連結したロックピンを係合させた時、リヤカバーは最下げ状態となり、また、最上部の係合溝より低位の係合溝にレバーにより操作されるロックピンを係合させた時、リヤカバーは最上げ状態や中間位置となるように構成したことにより、作業の内容に応じたリヤカバーの設定姿勢を、トラクタに乗車したままの状態で行ったり、トラクタから降りた状態で行うことが可能となり、作業性が向上するものである。
また、吊りロッドの左右両側に作業目的に応じたロックピンとの係合溝を設けたので、誤操作をなくすと共に、コストを安く提供出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの後部にロータリ装置を装着した要部の側面図である。
【図2】耕耘ロータリ全体を示す斜視図である。
【図3】耕耘ロータリをリフトアップしてリヤカバーを最上げ状態にロックした時の要部の側面図である。
【図4】吊りロッド部の断面図で、耕耘ロータリが図1の状態を示す。
【図5】吊りロッド部の断面図で、耕耘ロータリが図3の状態を示す。
【符号の説明】
1 トラクタ本体
2 作業機(耕耘ロータリ)
6 オートヒッチ
10 トップマスト
13 連結部
18 補強プレート
20 メインカバー
21 リヤカバー
24,25 ブラケット
27 吊りロッド
28 支えシャフト
31 操作レバー
33 ワイヤ
34,41 ロックピン
37(37a,37b) 溝
38,42 圧縮スプリング
40 レバー

Claims (2)

  1. トラクタ後部に装着したロータリ装置のメインカバー(20)後方にリヤカバー(21)を上下回動自在に軸支し、上記リヤカバー(21)の上下回動を任意の位置で固定する固定装置を設けたロータリ装置において、前記メインカバー(20)にブラケット(24)を介して設けた支えシャフト(28)に、一端をリヤカバー(21)に連結した吊りロッド(27)の他端側を挿通すると共に、ロータリ装置のトップマスト(10)部に設けて作業者がトラクタに乗車したまま操作可能な操作レバー(31)により操作されるロックピン(34)と、作業者がトラクタより降りた状態で操作するレバー(40)により操作されるロックピン(41)とを、上記支えシャフト(28)部に設ける一方、上記ロックピン(34),(41)が係合してリヤカバー(21)の上下回動を固定する係合溝(37)・・・を、吊りロッド(27)の左右両側に設けたことを特徴とするロータリ装置
  2. 前記吊りロッド(27)に設ける最上部の係合溝(37a)に操作レバー(31)に連結したロックピン(34)を係合させた時、リヤカバー(21)は最下げ状態となり、また、最上部の係合溝(37a)より低位の係合溝(37b)にレバー(40)により操作されるロックピン(41)を係合させた時、リヤカバー(21)は最上げ状態や中間位置となるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のロータリ装置
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