JP3989139B2 - 沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法および装置 - Google Patents

沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子炉の運転中にオンラインでボイド反応度係数を測定することができるボイド反応度係数測定方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉においては、反応度増加による出力上昇時に、燃料温度上昇に伴うドップラー効果やボイド率の増加に伴う負のボイド反応度効果により、出力係数が常に負に維持できるよう設計され、このような沸騰水型原子炉の基本的特性は実機プラントの運転により既に確認されている。
【0003】
そして、従来、このようなボイド反応度を求めるためのボイド反応度係数を測定する方法として、人為的外乱をプラントに加え、その応答に基づいて評価する方法が提案されている。この方法は、ボイド反応度係数に限らず、対象系の動特性を規定するパラメータの推定方法として一般的に知られるものである(例えばC.L.Medler & Chih−Chi Hsu : An Algorithm for Nonlinear System ParameterIdentification, IEEE Trans. Automatic Control, pp.726−728, Dec. 1969参照)。以下、図6を参照してこのような動特性パラメータを推定する従来の方法について説明する。
【0004】
【外1】
Figure 0003989139
【0005】
このようなボイド反応度係数測定方法においては、外乱を印加することで中性子束に有意の変化を生じさせるために比較的大きなS/N比で測定可能であり、精度良く測定できる利点を持っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のボイド反応度係数測定方法においては、プラント状態に有意の過渡変化が現れるだけの外乱を印加することが必要である。しかしながら、発電を目的とする原子炉の場合、このような外乱の印加は電力の安定供給と言う役割からできるだけ避けねばならず、通常は起動試験の中でのみ行われるものである。
【0007】
従って従来のボイド反応度係数測定方法は発電開始後のサイクル運転中の原子炉には適用できないと言う課題があった。
【0008】
運転中にボイド反応度係数を測定することができれば、原子力プラントの安全な運転に役立つのみならず、従来に比べてより現実的な炉心運用の可能性が期待される。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、サイクル運転中のプラントに外乱を与えること無く、オンラインで随時あるいは定期的にボイド反応度係数を測定することができる沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法および装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、過渡試験が行われる場合においても、精度の高い測定を行えるボイド反応度係数測定方法および装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1記載の発明に係る沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法は、沸騰水型原子炉の中性子束信号と炉心流量信号の変動成分から、炉心流量を入力、中性子束を出力とする伝達関数を同定し、その伝達関数から伝達特性を特徴付ける複数の特徴パラメータの値を求め、その特徴パラメータ値をボイド反応度係数に変換する相関式を用いて特徴パラメータ値からボイド反応度係数を求めることを特徴とするものである。
【0012】
ここで伝達関数Gは、入力である炉心流量をu(t)、出力の中性子束をy(t)とし、次式で表わされる制御入力を含む自己回帰モデル(ARXモデルと呼ぶ)の係数A,Bを求めることにより同定する。即ち、
【数1】
A(z)y(t)=B(z)u(t)+e(t)
なる関係から、伝達関数GはG(z)=B(z)/A(z)により求められる。ここでzはz−ku(t)=u(t−k)なる時間シフトオペレータであり、A、Bはそれぞれ
【数2】
Figure 0003989139
である。e(t)は白色雑音であり、A、Bはモデル次数na、nbを与えてe(t)の分散が最小となるように定める。
【0013】
上記のようにして求めたディジタル領域での伝達関数G(z)から、例えばz=exp(i・2πf)なる関係を用いて周波数領域に変換した伝達関数のゲイン|G(f)|を周波数fに関して積分した値
【数3】
Figure 0003989139
を含む複数の特徴パラメータΘ={θi}を求め、予め与えられた相関式K=F(Θ)を用いてΘからボイド反応度係数Kを算出する。
【0014】
このような本発明によれば、ボイド反応度係数を、定常運転中に観測される炉心流量および中性子束信号の変動成分のみを用いて測定するため、プラントに外乱を与える必要が無いことから、サイクル運転中にオンラインで随時あるいは定期的にボイド反応度係数の測定が可能となる。
【0015】
請求項2記載の発明は、上記の伝達関数を中性子束信号、炉心流量信号、および炉心圧力信号の各変動成分から、炉心流量と炉心圧力を入力、中性子束を出力とする自己回帰モデルを同定し、そのモデルの係数を基に、炉心流量を入力、中性子束を出力として求めることを特徴とするものである。
【0016】
本発明においては前記ARXモデルが2つの入力変数、炉心流量u1と炉心圧力u2、を含む次式
【数4】
Figure 0003989139
で表現され、炉心流量から中性子束への伝達関数Gは
【数5】
G(z)=B(z)/A(z)
により求められる。
【0017】
本発明のボイド反応度係数測定方法によれば、プラントに外乱を与えること無くサイクル運転中にオンラインで随時、あるいは定期的にボイド反応度係数の測定を行なうことができる点において、請求項1記載の発明と同様な作用効果が得られる。また、定常運転中の炉心圧力の変動が中性子束の変動に与える影響が無視できない程度に大きい原子炉の場合にも、中性子束の変動から炉心圧力変動の影響を除いて、炉心流量から中性子束への伝達特性を正しく評価できるため、ボイド反応度係数の測定精度の向上が期待される。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のボイド反応度係数測定方法において、伝達特性の特徴パラメータ値をボイド反応度係数に変換する相関式が、動特性シミュレーションコードによりボイド反応度係数を変えて生成した時系列データから前記伝達特性の特徴パラメータ値を求め、ボイド反応度係数と特徴パラメータ値との関係を表わす近似式として求めたものであることを特徴とするものである。
【0019】
本発明によれば、動特性シミュレーションコードを用いた時系列データの生成においては、炉心流量に実機で観測される定常変動の周波数と同様の周波数範囲の過渡変化を与えることにより、生成された時系列データから実機に近い伝達特性の特徴パラメータを得ることができる。今ボイド反応度係数の値をKとして生成したシミュレーション結果から求めた伝達特性の特徴パラメータがΘ、シミュレーションと同様の運転条件下で実機の定常変動データから得られる特徴パラメータ値がΘ=C・Θであったとすると、ボイド反応度係数値を幾通りか変えて行なったシミュレーション結果から、実機におけるボイド反応度係数と特徴パラメータ値との関係をK=F(C・Θ)なる近似式で与える。
【0020】
また、本発明のボイド反応度係数測定方法によれば、実機の定常変動データから測定される前記伝達特性の特徴パラメータとボイド反応度係数との関係を表わす相関式を、動特性シミュレーションコードを用いて予め作成しておくことができる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載のボイド反応度係数測定方法において、伝達特性の特徴パラメータ値をボイド反応度係数に変換する相関式は、動特性シミュレーションコードによりボイド反応度係数を変えて生成した時系列データから前記伝達特性の特徴パラメータ値Θを求め、ボイド反応度係数Kと特徴パラメータ値Θとの関係を表わす近似式K=F(Θ)を求め、ボイド反応度係数Kが既知の運転状態で測定された前記伝達特性の特徴パラメータΘに前記近似式K=F(Θ)を適用して得られるボイド反応度係数測定値Kが前記既知の値Kに等しくなるように、前記近似式をK=F(Θ)+K−Kと補正したものであることを特徴とするものである。
【0022】
本発明のボイド反応度係数測定方法によれば、例えば起動時に一度だけ過渡試験を行なって従来方法によるボイド反応度係数の測定を行なえば、その結果を用いて予め動特性シミュレーションコードで作成した前記相関式を補正することにより、サイクル運転中のボイド反応度測定の精度を向上することが期待できる。
【0023】
請求項5記載の発明は、請求項1から4までのいずれかに記載のボイド反応度係数測定方法において、前記伝達特性の特徴パラメータには、前記伝達関数のゲインを周波数について積分した値、前記伝達関数のゲインの主要ピークの値、そのピーク周波数における減幅比あるいは減衰係数、前記伝達関数から算出した炉心流量の単位ステップ入力に対する中性子束の応答のオーバーシュート量、の全てあるいは複数個を含むことを特徴とするものである。
【0024】
ここで、前記伝達関数のゲインを周波数について積分した値とは、請求項1についての説明において述べたθ1であり、炉心流量から中性子束への動的な伝達ゲインを表わす量である。また、前記伝達関数のゲインの主要ピークの値θ2と、そのピーク周波数fpにおける減幅比DR、減数係数ζは次のようにして得られる量である。即ち、先ず伝達関数G(z)=B(z)/A(z)を
【数6】
Figure 0003989139
のように部分分数に展開する。ここでpmはGの極であり、B(z)の次数nbがA(z)の次数baより小さい場合にはゲイン項kはゼロである。沸騰水型原子炉の炉心流量から中性子束への伝達関数において観測される、炉心部の熱水力的特性に起因する主要ピークは0.3〜1Hzの減衰振動成分であることが知られている。
【0025】
この知見に基づき、ここでは
【数7】
z=exp(s・Δt)
なる関係を用いてディジタル領域の複素極±pmをアナログ(s)領域の極
【数8】
=−σ±i・ω
に変換し、これから前記周波数範囲の主要ピーク周波数
【数9】
=(σ +ω 1/2/(2π)
が決定され、
【数10】
θ=2・|r/(1−p−1)|
よりピーク値θを得る。
【0026】
ピーク周波数fにおける減衰係数は
【数11】
ζ=σ/(σ +ω 1/2
により得られ、この値から減幅比DRは
【数12】
DR=exp(−2πζ・(1−ζ−1/2
として得る。伝達特性の特徴パラメータθには減衰係数ζあるいは減幅比DRの何れか一方を用いる。
【0027】
炉心流量の単位ステップ入力に対する中性子束の応答のオーバーシュート量θは、入力u(t)を単位ステップとし、
【数13】
A(z)y(t)=B(z)u(t)
なる関係からy(t)を求め、その最大値の整定値
【数14】
B(z=1)/A(z=1)
からの偏差として得る。上記の特徴パラメータθが伝達ゲインのみを表わすパラメータであるのに対し、特徴パラメータθは各周波数成分の位相関係を含んだ伝達特性を表わすパラメータとなっている。
【0028】
本発明のボイド反応度係数測定方法によれば、ボイド反応度係数の影響を受けて変化する前記炉心流量から中性子束への伝達関数の特徴を、少数の特徴パラメータにより適切に表現することが可能となり、ボイド反応度係数の計算に用いる相関式が簡単化できる。
【0029】
また、請求項6記載の発明に係る沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定装置は、発明では、沸騰水型原子炉の中性子束信号と炉心流量信号の変動成分を測定し時系列データに変換する信号入力部と、時系列データから炉心流量を入力、中性子束を出力とする伝達関数を同定する伝達関数同定部と、同定された伝達関数から伝達特性を特徴付ける複数の特徴パラメータの値を求める伝達特性パラメータ演算部と、伝達特性の特徴パラメータの値とボイド反応度係数との関係を相関式として保存した相関式保存部と、伝達特性の特徴パラメータの値を前記相関式に適用してボイド反応度係数を求めるボイド反応度係数演算部と、ボイド反応度係数の演算結果を測定値として出力表示する出力表示部を有することを特徴とするものである。
【0030】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のボイド反応度係数測定装置において、伝達特性パラメータ演算部の出力である伝達特性の特徴パラメータの値と、既知入力として与えられるボイド反応度係数から、相関式保存部に保存された相関式を補正する手段を有することを特徴とするものである。
【0031】
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載のボイド反応度係数測定装置において、前記伝達特性の特徴パラメータには、前記伝達関数のゲインを周波数について積分した値、前記伝達関数のゲインの主要ピークの値、そのピーク周波数における減幅比あるいは減衰係数、前記伝達関数から算出した炉心流量の単位ステップ入力に対する中性子束の応答のオーバーシュート量、の全てあるいは複数個を含むことを特徴とするものである。
【0032】
また、上述した他の目的を達成するため、請求項9記載のボイド反応度係数測定方法は、沸騰水型原子炉の炉心流量に過渡変化を与えたときの中性子束信号と炉心流量信号を測定し、炉心流量を入力、中性子束を出力とする伝達関数を同定し、その伝達関数から伝達特性を特徴付ける複数の特徴パラメータの値を求め、その特徴パラメータ値をボイド反応度係数に変換する相関式を用いて特徴パラメータ値からボイド反応度係数を求めることを特徴とするものである。
【0033】
本発明によれば、過渡試験が行われる場合において、前記請求項1に記載の方法と同一の処理により、定常変動のみを用いるよりも精度の高い測定が可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法および装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0035】
まず、本発明の一実施形態を図1および図2を参照して説明する。
【0036】
図1は本発明の一実施形態による装置のシステム構成を示す図であり、図2は同装置を用いた処理手順を示すフローチャートである。
【0037】
図1に示すように、本実施形態では、沸騰水型原子炉内に設けられた図示しない検出器から出力される信号、即ち中性子束信号、炉心流量信号、炉心圧力信号を含むプラント信号100の変動成分を入力して時系列データ101に変換する信号入力部1と、この信号入力部1に入力される時系列データ101から炉心流量を入力、中性子束を出力とする伝達関数102を同定する伝達関数同定部2と、同定された伝達関数102から伝達特性を特徴付ける複数の特徴パラメータ103の値を求める伝達特性パラメータ演算部3と、伝達特性の特徴パラメータ103の値とボイド反応度係数との関係を相関式104として保存した相関式保存部5と、伝達特性の特徴パラメータ103の値を前記相関式104に適用してボイド反応度係数105を求めるボイド反応度係数演算部4と、ボイド反応度係数の演算結果105を測定値として出力表示する出力表示部6とを備えた構成とされている。
【0038】
このように構成された装置における処理の流れを図2も用いて説明する。ボイド反応度係数の測定は、プラントが定常に運転されている状態で利用者の要求により随時、あるいは予め指定された時間に定期的に開始される。開始後、先ず信号入力部1により一定時間長のプラント信号100が測定され(S1)、時系列データ101に変換される。続いて、伝達関数同定部2において、測定された時系列データ101に対して前述したARXモデルの当て嵌めが行われ、伝達関数G(z)が同定される(S2)。このとき、中性子束の定常変動に対する炉心圧力変動の寄与が無視できる程度に小さいプラントの場合には、炉心流量のみを入力、中性子束を出力とするARXモデルを基に伝達関数を同定する。一方、炉心圧力変動の寄与が無視できない程度に大きいプラントの場合には、前述したように、炉心流量と炉心圧力の2つを入力、中性子束を出力とするARXモデルを基に、炉心流量から中性子束への伝達関数を同定する。
【0039】
同定された伝達関数データ102は伝達特性パラメータ演算部3に入力され、前記伝達関数のゲインを周波数について積分した値θ1、前記伝達関数のゲインの主要ピークの値θ2、そのピーク周波数における減幅比θ3、前記伝達関数から算出した炉心流量の単位ステップ入力に対する中性子束の応答のオーバーシュート量θ4、の全てあるいは複数を含む伝達特性特徴パラメータΘ={θi}が算出される(S3)。減幅比に替えて減衰係数を計算し、これをθ3とすることも可能である。
【0040】
伝達特性特徴パラメータΘの計算結果103はボイド反応度係数演算部4に入力され、予め相関式保存部5に保存されている、伝達特性の特徴パラメータの値とボイド反応度係数Kとの関係を記述したK=F(Θ)なる相関式104を用いたボイド反応度係数の演算が行なわれ(S4)、演算結果105が出力表示部6により出力表示されて(S5)、1回の測定が終了する。
【0041】
このような一実施形態によれば、定常運転中に観測されるプラント信号の変動成分のみを用いてボイド反応度係数を測定するため、プラントに外乱を与える必要が無い。したがって、サイクル運転中にオンラインで随時に、あるいは定期的にボイド反応度係数を測定することができる。
【0042】
次に、本発明に係る沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定装置の他の実施形態を図3〜図5を用いて説明する。
【0043】
図5に示すように、本実施形態の測定装置は基本的な構成においては、第1の実施形態のものと略同様である。即ち、中性子束信号、炉心流量信号、炉心圧力信号を含むプラント信号100の変動成分を入力して時系列データ101に変換する信号入力部1と、この信号入力部1に入力される時系列データ101から炉心流量を入力、中性子束を出力とする伝達関数102を同定する伝達関数同定部2と、同定された伝達関数102から伝達特性を特徴付ける複数の特徴パラメータ103の値を求める伝達特性パラメータ演算部3と、伝達特性の特徴パラメータ103の値とボイド反応度係数との関係を相関式104として保存した相関式保存部5と、伝達特性の特徴パラメータ103の値を前記相関式104に適用してボイド反応度係数105を求めるボイド反応度係数演算部4と、ボイド反応度係数の演算結果105を測定値として出力表示する出力表示部6とを備える。
【0044】
このような構成において、伝達特性パラメータ演算部3の出力である伝達特性の特徴パラメータの値103と、既知入力として与えられるボイド反応度係数から、相関式保存部5に保存された相関式を補正する相関式補正部7を有している。
【0045】
相関式補正部7は図3に示すように補正データ設定部8より与えられる補正データ106と伝達特性の特徴パラメータ103、および、予め相関式保存部5に保存されている相関式を用いて補正演算部9において補正を行ない、補正後の相関式107を相関式保存部5に保存する。
【0046】
この補正演算部の処理について図4および図5を用いて説明する。
【0047】
予め相関式保存部5に与える相関式は次のようにして定める。即ち、沸騰水型原子炉の動特性シミュレーションコードを用いてボイド反応度係数Kを数通り変えて生成した時系列データを用い、炉心流量から中性子束への伝達関数を求め、伝達特性の特徴パラメータを得る。
【0048】
図4は、Kを3通りに変えて得られた前記特徴パラメータの例として、伝達関数のゲインを周波数について積分した値θ1、前記伝達関数のゲインの主要ピークの値θ2、そのピーク周波数における減衰係数θ3を示したものである。また、図5の上部(A)は、この積分値Θs=(θ1,θ2,θ3)sに対し、対象とする実機プラントの定常変動データから同じ伝達特性の特徴パラメータΘを求めた結果を示している。この図5の上部(A)に例示したように、積分値はΘ=(10,1/2,5)・Θsとなっていることから、図4に示したKとΘ=(10,1/2,5)・Θsとの関係をK=F(Θ)として求め、この関数Fを相関式として与えておく。
【0049】
図5の下部(B)は、同図上部に示した特徴パラメータΘから上記の相関式K=F(Θ)を用いて計算したボイド反応度係数の測定値を、「補正前測定値」として真値と比較して示したものである。今、図5で測定回数=1と示した時点がプラントの起動時に当り、例えば従来技術の説明で述べた過渡試験によりボイド反応度係数の真値相当の値Kが得られたとし、同一運転条件下で定常変動データから測定された補正前測定値がK1であったとする。
【0050】
このとき、相関式補正部7は、補正データ設定部8より与えられたKを補正データ16とし、補正演算部9において補正相関式107をK=F(Θ)+K−Kとして求め、これを相関式保存部5に保存する。補正相関式を用いて、その後のボイド反応度係数の変化を測定した結果を、図5の下部(B)に「補正後測定値」として示した。同図より明らかな如く、補正後の測定値は真値にほぼ近い値となっている。
【0051】
このような他の実施形態のボイド反応度係数測定装置によれば、例えば起動時に一度だけ過渡試験を行なって従来方法によるボイド反応度係数の測定を行なえば、その結果を用いて予め動特性シミュレーションコードで作成した相関式を補正することにより、以後のサイクル運転中のボイド反応度測定の精度向上が期待される。
【0052】
【発明の効果】
以上で詳述したように、本発明の沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法および装置によれば、定常運転中に観測されるプラント信号の変動成分のみを用いて測定するため、プラントに外乱を与える必要が無く、サイクル運転中にオンラインで随時に、あるいは定期的にボイド反応度係数を測定することができる。
【0053】
また、起動時に過渡試験が行われる場合には、従来方法によりボイド反応度係数を測定し、その結果を用いて予め動特性シミュレーションコードで作成した相関式を補正する手段を備えたことにより、以後のサイクル運転中のボイド反応度測定の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定装置の構成を示す図。
【図2】前記一実施形態による沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定装置の処理の流れを示すフローチャート。
【図3】本発明の他の実施の形態の沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定装置の構成図。
【図4】前記他の実施形態において動特性シミュレーションにより求めたボイド反応度係数と伝達特性特徴パラメータとの相関を示す図。
【図5】前記他の実施形態による沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定装置の相関式補正部の処理を説明する図。
【図6】従来の方法を説明する図。
【符号の説明】
1 信号入力部
2 伝達関数同定部
3 伝達特性パラメータ演算部
4 ボイド反応度係数演算部
5 相関式保存部
6 出力表示部
7 相関式補正部
8 補正データ設定部
9 補正演算部
100 プラント信号
101 時系列データ
102 伝達関数データ
103 伝達特性特徴パラメータ
104 相関式
105 ボイド反応度係数計算結果
106 補正データ
107 補正相関式

Claims (9)

  1. 沸騰水型原子炉の中性子束信号と炉心流量信号の変動成分から、炉心流量を入力、中性子束を出力とする伝達関数を同定し、その伝達関数から伝達特性を特徴付ける複数の特徴パラメータの値を求め、その特徴パラメータ値をボイド反応度係数に変換する相関式を用いて特徴パラメータ値からボイド反応度係数を求めることを特徴とする沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法。
  2. 前記伝達関数は、中性子束信号、炉心流量信号、および炉心圧力信号の各変動成分から、炉心流量と炉心圧力を入力、中性子束を出力とする自己回帰モデルを同定し、そのモデルの係数を基に、炉心流量を入力、中性子束を出力として求めたものであることを特徴とする請求項1記載の沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法。
  3. 前記伝達特性の特徴パラメータ値をボイド反応度係数に変換する相関式は、動特性シミュレーションコードによりボイド反応度係数を変えて生成した時系列データから前記伝達特性の特徴パラメータ値を求め、ボイド反応度係数と特徴パラメータ値との関係を表わす近似式として求めたものであることを特徴とする請求項1または2記載の沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法。
  4. 前記伝達特性の特徴パラメータ値をボイド反応度係数に変換する相関式は、動特性シミュレーションコードによりボイド反応度係数を変えて生成した時系列データから前記伝達特性の特徴パラメータ値Θを求め、ボイド反応度係数Kと特徴パラメータ値Θとの関係を表わす近似式K=F(Θ)を求め、ボイド反応度係数Kが既知の運転状態で測定された前記伝達特性の特徴パラメータΘに前記近似式K=F(Θ)を適用して得られるボイド反応度係数測定値Kが前記既知の値Kに等しくなるように、前記近似式をK=F(Θ)+K−Kと補正したものであることを特徴とする請求項1または2記載の沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法。
  5. 前記伝達特性の特徴パラメータは、前記伝達関数のゲインを周波数について積分した値、前記伝達関数のゲインの主要ピークの値、そのピーク周波数における減幅比あるいは減衰係数、前記伝達関数から算出した炉心流量の単位ステップ入力に対する中性子束の応答のオーバーシュート量、の全てあるいは複数個を含むことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の原子炉のボイド反応度係数測定方法。
  6. 沸騰水型原子炉の中性子束信号と炉心流量信号の変動成分を測定し時系列データに変換する信号入力部と、時系列データから炉心流量を入力、中性子束を出力とする伝達関数を同定する伝達関数同定部と、同定された伝達関数から伝達特性を特徴付ける複数の特徴パラメータの値を求める伝達特性パラメータ演算部と、伝達特性の特徴パラメータの値とボイド反応度係数との関係を相関式として保存した相関式保存部と、伝達特性の特徴パラメータの値を前記相関式に適用してボイド反応度係数を求めるボイド反応度係数演算部と、ボイド反応度係数の演算結果を測定値として出力表示する出力表示部とを備えたことを特徴とする沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定装置。
  7. 伝達特性パラメータ演算部の出力である伝達特性の特徴パラメータの値と、既知入力として与えられるボイド反応度係数から、相関式保存部に保存された相関式を補正する手段を有することを特徴とする請求項6記載の沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定装置。
  8. 前記伝達特性の特徴パラメータは、前記伝達関数のゲインを周波数について積分した値、前記伝達関数のゲインの主要ピークの値、そのピーク周波数における減幅比あるいは減衰係数、前記伝達関数から算出した炉心流量の単位ステップ入力に対する中性子束の応答のオーバーシュート量、の全てあるいは複数個を含むことを特徴とする請求項6または7記載の沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定装置。
  9. 沸騰水型原子炉において炉心流量に過渡変化を与えたときの中性子束信号と炉心流量信号を測定し、炉心流量を入力、中性子束を出力とする伝達関数を同定し、その伝達関数から伝達特性を特徴付ける複数の特徴パラメータの値を求め、その特徴パラメータ値をボイド反応度係数に変換する相関式を用いて特徴パラメータ値からボイド反応度係数を求めることを特徴とする沸騰水型原子炉のボイド反応度係数測定方法。
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