JP3988579B2 - ファウリング防止剤の評価試験装置および評価試験方法 - Google Patents

ファウリング防止剤の評価試験装置および評価試験方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はファウリング防止剤の評価試験装置および方法に関し、特に冷却過程においてファウリングが生成する系におけるファウリング防止剤の評価試験装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原油の予熱器系、残油脱硫装置系などでは、原油や原料油が接触する装置の壁面や伝熱面に固体の付着物(ファウリング)が生成する。ファウリングが生じると、1)熱交換器、配管の差圧上昇による運転障害、2)熱交換器における熱効率の低下によるエネルギーロス、熱回収不良などのファウリング障害を招く。このため、ファウリング防止剤(一般に汚れ防止剤と称される場合もある)を添加してファウリングの抑制が行われている。
【0003】
従来、原油予熱器系で生成するファウリングは熱交換器の熱交換チューブの主に内表面に付着するので、実装置の加熱過程を模擬したファウリング生成試験装置を使用して、事前にファウリング防止剤の評価が行われている。評価試験で選択された最適なファウリング防止剤を実装置に注入すれば、実装置で発生するファウリングを効果的に抑制することができる。またファウリング防止剤の添加濃度を変化させて試験することで、実装置に注入するファウリング防止剤の濃度を最適化することもできる。
【0004】
しかし、従来のファウリング生成試験装置では原油予熱器系の加熱過程、特に熱交換チューブの内側に原油を通してチューブの外側から加熱し、熱交換チューブの内表面にファウリングが生成する加熱過程を模擬しているため、冷却過程特に熱交換チューブの内側にファウリングが生成する高温の試料油を通し、熱交換チューブの外側に低温の熱媒体を通して外側から冷却する冷却過程におけるファウリング防止剤の評価をすることができない。残油脱硫装置では原料油を熱交換器で加熱して脱硫触媒と接触させることにより脱硫し、プロダクト油を熱交換器で冷却して製品を得ている。このとき原料油を熱交換器の熱交換チューブの外側に流し、プロダクト油を熱交換チューブの内側に流して熱交換を行っている。ところがこのような残油脱硫装置におけるファウリングは脱硫触媒が劣化した時期におけるプロダクトランダウン系、すなわち熱交換チューブの内側のプロダクト油が冷却される系において発生する。つまり原料油は常圧蒸留装置の残渣であって重質油であるため加熱により流動化するが、脱硫後に冷却することにより不溶解分が析出してファウリングを生成する。ところがこのようなプロダクト油は流動点が高い為、従来のファウリング生成試験装置を用いると、ポンプが閉塞して試験が行えなかった。従って従来のファウリング生成試験装置を用いて、残油脱硫装置のプロダクトランダウン系のような高温からの冷却過程を模擬することはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ポンプの閉塞が生じることなく、残油脱硫装置のプロダクトランダウン系のような冷却過程を含む運転条件を模擬することができ、実装置に極めて近い条件でファウリング防止剤の評価を行うことができるファウリング防止剤の評価試験装置および評価試験方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のファウリング防止剤の評価試験装置および評価試験方法である。
(1) ファウリング防止剤が添加された試料油とテストチューブの外表面とを接触させた状態でテストチューブ内部に冷却油を循環通液し、テストチューブの外表面にファウリングを付着させるファウリング防止剤の評価試験装置であって、
内部に撹拌機を備え、ファウリング防止剤が添加された試料油およびテストチューブを収容する試験器と、
試験器内に収容され、外表面の少なくとも一部分が試料油に接触するように配置される着脱自在のテストチューブと、
前記試験器に収容された試料油を加熱する加熱器と、
テストチューブ内部に冷却油を循環する循環路と、
循環路に冷却油を循環させる循環ポンプと
を具備するファウリング防止剤の評価試験装置。
(2) ファウリング防止剤が添加された試料油とテストチューブの外表面とを接触させた状態でテストチューブ内部に冷却油を循環通液し、テストチューブの外表面にファウリングを付着させてファウリング防止剤を評価するファウリング防止剤の評価試験方法であって、
内部に撹拌機を備えた試験器にファウリング防止剤が添加された試料油を収容し、
冷却油を循環する循環路にテストチューブを装着するとともに、外表面の少なくとも一部分が試験器内の試料油に接触するようにテストチューブを浸漬し、
試験器内の試料油を加熱器で加熱するとともに撹拌機で撹拌しながら、冷却油を循環ポンプにより循環路を通してテストチューブ内部に循環通液し、
所定時間後にテストチューブを循環路から脱着して重量を測定し、予め測定しておいた試験前のテストチューブの重量との差からテストチューブ外表面に付着したファウリング量を求める
ファウリング防止剤の評価試験方法。
【0007】
本発明の評価試験装置を構成する試験器としては、試料油およびテストチューブが収容でき、撹拌機により試料油を撹拌することができるとともに、加熱できる装置が制限なく使用できるが、オートクレーブを使用するのが好ましい。試料油としては冷却によりファウリングを生成する油があげられ、特に残油脱硫装置のプロダクト油のような重質成分を含み、高温からの冷却過程、さらに詳細には、熱交換チューブの内側にファウリングが生成する高温の試料油を通し、熱交換チューブの外側に低温の熱媒体を通して外側から冷却する冷却過程においてファウリング生成する油が適している。
【0008】
本発明の評価試験装置を構成するテストチューブは、その外表面をファウリング防止剤を添加した試料油と接触させ、外表面にファウリングを付着させるチューブである。このテストチューブは冷却油を循環する循環路に装着および脱着が自在にでき、循環路に装着した状態で試験器に収容され、外表面は試料油と接触され、内部には冷却油が通液された状態で使用される。
【0009】
テストチューブの材質は特に制限されず、試験温度に耐えられるものが使用できるが、金属が好ましい。また形状も制限されないが、U字管が好ましい。テストチューブとしては、例えば外径が10.5mm程度、内径が7.1mm程度の金属製のU字管を使用するのが好ましい。
【0010】
試験器内の試料油を加熱する加熱器としては、ファウリング防止剤の評価条件温度、すなわち実装置の熱交換の高温側の温度付近の温度、例えば300〜400℃の温度に加熱できる装置が制限なく使用できる。例えば残油脱硫装置のプロダクトランダウン系の場合、試験器全体を収容し、試験器の外周側から加熱する加熱電気炉などがあげられる。
【0011】
本発明の評価試験装置を構成する攪拌機としては、試験器内の試料油を撹拌することができるものであれば制限されず、例えば撹拌翼を有する攪拌機などがあげられる。
本発明の評価試験装置を構成する循環路には、冷却油を収容する冷却油タンクを設けることが好ましく、冷却タンクには冷却油の温度を一定にするための温度制御装置を設けるのが好ましい。
【0012】
本発明の評価試験装置を構成する循環ポンプとしては、循環路に冷却油を循環できるものであればよく、公知のポンプが使用できる。
本発明の評価試験装置を構成する循環路には熱交換器を設けるのが好ましい。熱交換器としては、循環路を循環する冷却油を冷却することができるものであれば制限されず、公知の熱交換器が使用できる。
【0013】
本発明で評価されるファウリング防止剤は限定されず、公知のファウリング防止剤を評価することができる。ファウリング防止剤の具体的なものとしては、分散剤、酸化防止剤、重合防止剤、金属封鎖剤などがあげられる。
【0014】
試料油としては冷却によりファウリングを生成する油があげられ、特に残油脱硫装置のプロダクト油のような重質成分を含み、高温からの冷却過程でファウリングを生成する油が適している。ファウリング防止剤を添加する試料油はこのような試料油であり、ファウリングを防止しようとする実装置から採取したものを使用するのが好ましい。
本発明で使用される冷却油としては、テストチューブを通して試料油を冷却することができるものであれば制限されないが、冷却により析出する成分を含まないものが好ましい。このような冷却油としては公知の冷却油が使用でき、例えばシリコーン油TSF458−100(GE東芝シリコーン株式会社製)などがあげられる。
【0015】
本発明のファウリング防止剤の評価試験方法は上記評価試験装置を使用し、ファウリング防止剤が添加された試料油とテストチューブの外表面とを接触させた状態で、テストチューブ内部に冷却油を循環通液して試料油を冷却し、テストチューブの外表面にファウリングを付着させ、その量を測定することにより行う。まず、試験器にファウリング防止剤が添加された試料油を収容し、循環路にテストチューブを装着するとともに、外表面の少なくとも一部分が試験器内の試料油に接触するようにテストチューブを浸漬する。次に、試験器内の試料油を加熱器で加熱するとともに撹拌機で撹拌しながら、冷却油を循環路を通してテストチューブ内部に循環通液する。試料油の加熱温度および冷却油の温度は実装置の熱交換器の高温側および低温側と同じ温度またはできるだけ近い温度に設定し、実装置にできるだけ近い条件で試験を行うのが好ましい。
【0016】
このようにして、試料油の加熱およびテストチューブの冷却を継続すると、試料油中に溶解していたポリマーやアスファルテンが冷却により溶解しきれずに析出し、ファウリングが発生し、テストチューブ外表面に付着してくる。所定時間、例えば20〜44時間試験を継続した後、テストチューブ外表面に付着したファウリング量を求める。このときファウリング付着状況を外側から観察することができる。
【0017】
ファウリング量は、試験終了後にテストチューブを循環路から脱着して重量を測定し、予め測定しておいた試験前のテストチューブの重量との差から求めることができる。そして、ファウリング防止剤を添加しない場合(ブランク)のファウリング量と比較することにより、ファウリング防止効果の有無を評価することができる。また、複数のファウリング防止剤を用いてそれぞれの場合のファウリング量を求め、これらのファウリング量を比較することにより、ファウリング防止効果の優劣を評価することができる。この場合、ファウリング量が少ない場合のファウリング防止剤がファウリング防止効果が高いと評価することができる。またファウリング防止剤の添加量を変えて試験することにより、最適な添加濃度を決定することもできる。
【0018】
上記のようにしてファウリング防止効果の最も高いと評価されたファウリング防止剤を実装置に適用することにより、ファウリングを効率よく防止することができる。例えば、実装置のエンドオブラン時にファウリング防止剤を添加することにより、熱交換器の総括伝熱計数の低下を防止することができる。また、熱交換器の差圧の上昇を防止することができる。さらにファウリング防止剤の添加により、無開放連続運転期間を延長することができる。
なお、効果の高いファウリング防止剤はポリマーやアスファルテンを油中に安定分散させることができるため、冷却過程でこれらの物質を析出させにくくする効果があるものと推測される。
【0019】
【発明の効果】
本発明のファウリング防止剤の評価試験装置は、試験器内に試料油とテストチューブを入れて加熱すると同時に、テストチューブ内部に冷却油を循環通液することにより、テストチューブ外面に汚れを付着させるという構成を有しているので、テストチューブやポンプ閉塞なしに、残留脱硫装置のプロダクトランダウン系のような高温かつ冷却過程の運転条件を模擬することができ、実装置に極めて近い条件でファウリング防止剤の評価を行うことができる。
本発明のファウリング防止剤の評価試験方法は上記装置を用いるので、種々の実装置の運転条件を模擬することができ、実装置に極めて近い条件でファウリング防止剤の評価を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
図1は本発明のファウリング防止剤の評価試験装置を示す系統図である。図1において、1はオートクレーブであり、試験器として用いられる。2はU字型のテストチューブ、3は攪拌機、4は加熱器、5は冷却油タンク、6は循環路、7は循環ポンプ、8は冷却器である。
【0021】
オートクレーブ1内にはファウリング防止剤が添加された試料油11が収容され、この試料油11に浸漬された状態で着脱自在のテストチューブ2が循環路6に装着されている。
またオートクレーブ1内には温度計12が設けられ、この温度計12で測定された温度が制御装置13に入力され、加熱器4を制御して試料油11を所定の温度に加熱するように構成されている。またオートクレーブ1内にはモータ14により回転する撹拌翼を有する攪拌機3が設けられている。
【0022】
冷却油タンク5中の冷却油16が循環路6を介してテストチューブ2の内部に循環通液できるように構成されており、冷却油タンク5からテストチューブ2に接続する循環路6には循環ポンプ7および温度計17が設けられている。またテストチューブ2から冷却油タンク5に接続する循環路6には冷却器8およびバルブ18が設けられ、冷却器8には冷却水路19が接続している。
【0023】
冷却油タンク5には制御装置21および加熱器22が設けられ、温度計17で測定された温度が制御装置21に入力され、加熱器22を制御して冷却油16を所定の温度に加熱し、テストチューブ2に通液する冷却油16の温度を所定の温度に維持するように構成されている。
【0024】
図1の装置でファウリング防止剤の評価試験を行うには、評価対象となるファウリング防止剤が添加された試料油11をオートクレーブ1内に収容し、温度計12で測定した温度を制御装置13に送り、加熱器4を制御して試料油11を所定の温度に維持する。この場合の試料油11の温度は実装置における高温側(熱交換器の冷却される側)の温度またはそれに近い温度を選択するのが好ましい。例えば、300〜400℃に維持する。
【0025】
テストチューブ2の内部には冷却油16、例えばシリコーン油を循環通液する。冷却油16は冷却油タンク5から循環ポンプ7によりテストチューブ2に送り、テストチューブ2を出た冷却油16は冷却器19で冷却したのち冷却油タンク5に戻し、循環路6を循環させる。テストチューブ2に通液する試料油11の温度は実装置における温度またはそれに近い温度を選択するのが好ましい。例えば、120〜130℃に制御する。冷却油16の温度の制御は、テストチューブ2の入口側の循環路6に設けた温度計17で温度を測定し、この温度を冷却油タンク5に設けた制御装置21に送り、この制御装置21により冷却油タンク5中に設けた加熱器22により冷却油16を加熱して行うことができる。
【0026】
試料油11および冷却油16の温度設定を実装置の低温側(熱交換器の冷却側)の温度に合わせることで、実装置に極めて近い条件を模擬することができる。冷却油16を循環してテストチューブ2を冷却すると、高温時には試料油11中に溶解していたポリマーやアスファルテンが冷却により溶解しきれずに析出し、ファウリングが発生し、テストチューブ2外表面に付着する。また試料油11のドライスラッジ量が増加すると、ファウリング量が増加する傾向が認められる。
【0027】
モータ14により攪拌機3の撹拌翼を回転させ、オートクレーブ1内の試料油11を撹拌する。撹拌は、テストチューブ2外表面近傍の試料油11の温度や性状を均一に保つとともに、付着したファウリングを剥離させない速度で行う。例えば、20rpm程度の回転速度で行うことができる。
【0028】
上記のように、試料油11を加熱した状態でテストチューブ2に冷却油16を循環すると、テストチューブ2の外表面にファウリングが付着する。この状態は実装置のチューブ内面がテストチューブ2の外表面で模擬されていることになる。
【0029】
一定時間、例えば20〜44時間評価装置を運転し、テストチューブ2の外表面にファウリングを付着させる。その後、テストチューブ2を循環路6から脱着し、テストチューブ2の重量を測定する。そして予め測定しておいた試験前のテストチューブ2の重量との差を求め、この差をテストチューブ2外表面に付着したファウリング量とする。
ファウリング防止剤の種類を変えて上記と同様にして試験を行い、ファウリング量を求める。このようにして求めたファウリング量が少ないほど、ファウリング防止剤のファウリング防止効果は高いと評価することができる。またファウリング防止剤の添加濃度を変えて上記と同様の試験を行い、適正な添加濃度を求めることもできる。ファウリング防止剤の添加濃度は10〜50mg/L程度とすることができる。
【0030】
図1の装置はオートクレーブ内に試料油とテストチューブを入れて加熱すると同時に、テストチューブ内部に冷却油を循環通液することにより、テストチューブ外面に汚れを付着させることができるので、残油脱硫装置のプロダクトランダウン系の運転条件を再現することができる。このため残油脱硫装置用のファウリング防止剤の評価試験装置として好適に使用できる。
【0031】
図1の装置には、オートクレーブ1内から試料油11を排出する排液路、オートクレーブ1内の圧力を制御する圧力制御手段、循環路6中の流量を測定するに流量計、循環路6中の流量を調整する手段、オートクレーブ1内の圧力を測定する圧力計、撹拌機3の回転速度を測定する回転計、循環路6中の圧力を測定する圧力計、循環路6内から冷却油を排出する排液路などを設けることもできる。
【0032】
【実施例】
実施例1および2
図1の装置によりファウリング防止剤の評価試験を行った。試験はまず試運転から行った。その際、試験に供した試料油は採取日の異なる下記試料油A(実施例1)と試料油B(実施例2)の2種類を使用した。
(1)試料油A
試料油Aは残油脱硫装置のプロダクトオイルである。試験には試料油Aを100℃で24時間空気中で加熱処理したものを供した。試料油Aは脱硫触媒が新しい時期のもので、もともと汚れ(ファウリング)性が小さい油であって、無処理で試験に使用してもファウリング量(汚れ付着量)が少ないので、ファウリング量の増加を目的として加熱処理を行った。加熱処理は加熱方法を変えて行い、2種類の試料油を得た。加熱処理前、24時間加熱処理A−1、24時間加熱処理A−2の物性測定結果を表1に示す。
(2)試料油B
試料油Bは脱硫触媒が古くなり、ファウリング性が大きくなったエンドオブランの残油脱硫装置のプロダクトオイルである。物性測定結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003988579
【0034】
(3)ファウリング防止剤の評価試験装置の運転条件
・試験器内温度:320℃
・撹拌翼回転速度:20rpm
・冷却油入口/出口温度:120℃/130℃
・冷却油流量:350mL/min
・試験時間:連続20時間
・試料油量:1L
・ファウリング防止剤の種類:分散剤系
ファウリング防止剤a,bおよびc
・ファウリング防止剤の添加濃度:
試料油Aに対して:200mg/L
試料油Bに対して:50mg/L
【0035】
この条件はファウリングが生成しやすくなるように実装置の残油脱硫装置プロダクトランダウン系の熱交換器群の運転条件を参考に設定した。対象となる熱交換器群の運転条件を示す。
・熱交換チューブ内側流体:プロダクトオイル(入口温度330℃→出口温度190℃)
・熱交換チューブ外側流体:原料油(入口温度142℃→出口温度270℃)
【0036】
(4)試料油Aに対するファウリング防止剤の評価試験結果(実施例1の結果)
ファウリング防止剤無添加、ファウリング防止剤aを200mg/L原液で添加、ファウリング防止剤bを200mg/L原液で添加した時の評価試験結果を表2に示す。なおファウリング防止剤の添加量濃度200mg/Lは、防止剤の効果の差が大きく出るように、実機装置使用濃度(50mg/L)よりも多めに設定した。ファウリング防止剤は1mLのマイクロシリンジを用いて添加前後の重量変化で添加量を合わせた。
【0037】
【表2】
Figure 0003988579
【0038】
ファウリング防止剤無添加(ブランク)の場合に対してファウリング防止剤aまたはファウリング防止剤bを添加するとどちらもファウリング量は減少する傾向にあった。また、ファウリング量はブランク>ファウリング防止剤a>ファウリング防止剤bの順に多く、無添加に対するファウリング発生抑制率はファウリング防止剤bの方がファウリング防止剤aよりも高い傾向であった。実機装置においても、ファウリング防止剤bの方がファウリング防止剤aよりも高いことが予想される。
【0039】
(5)試料油Bに対するファウリング防止剤の評価試験結果(実施例2の結果)
ファウリング防止剤の添加量は50mg/Lである。これは実機装置使用濃度と同じ濃度(50mg/L)に設定した。無添加、ファウリング防止剤a、ファウリング防止剤b、ファウリング防止剤cで比較した評価試験結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
Figure 0003988579
【0041】
ファウリング防止剤の添加量が少ない実施例2の場合、実施例1と比較して、無添加に対するファウリング発生抑制率は減少している。表4にファウリング防止剤の濃度とファウリング発生抑制率の関係を示す。防止剤の添加濃度のファウリング発生抑制率に相関関係があることがこの試験装置で評価された。
【0042】
【表4】
Figure 0003988579
【0043】
今回のファウリング防止剤の評価試験結果からわかるように、どちらのファウリング防止剤も実機装置に対して抑制効果があるものと予想される。ファウリング発生抑制率が高いのはファウリング防止剤b、cであった。前記(4)の結果と考え合わせると、ファウリング防止剤の実機装置評価としてはファウリング防止剤bおよびcが抑制効果が高いと予想される。
また本発明の試験装置を使用すると、ファウリング量のデータとして、汚れやすさの傾向がつかめることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のファウリング防止剤の評価試験装置を示す系統図である。
【符号の説明】
1 オートクレーブ
2 テストチューブ
3 攪拌機
4 加熱器
5 冷却油タンク
6 循環路
7 循環ポンプ
8 冷却器
11 試料油
12 温度計
13 制御装置
14 モータ
16 冷却油
17 温度計
18 バルブ
19 冷却水路
21 制御装置
22 加熱器

Claims (2)

  1. ファウリング防止剤が添加された試料油とテストチューブの外表面とを接触させた状態でテストチューブ内部に冷却油を循環通液し、テストチューブの外表面にファウリングを付着させるファウリング防止剤の評価試験装置であって、
    内部に撹拌機を備え、ファウリング防止剤が添加された試料油およびテストチューブを収容する試験器と、
    試験器内に収容され、外表面の少なくとも一部分が試料油に接触するように配置される着脱自在のテストチューブと、
    前記試験器に収容された試料油を加熱する加熱器と、
    テストチューブ内部に冷却油を循環する循環路と、
    循環路に冷却油を循環させる循環ポンプと
    を具備するファウリング防止剤の評価試験装置。
  2. ファウリング防止剤が添加された試料油とテストチューブの外表面とを接触させた状態でテストチューブ内部に冷却油を循環通液し、テストチューブの外表面にファウリングを付着させてファウリング防止剤を評価するファウリング防止剤の評価試験方法であって、
    内部に撹拌機を備えた試験器にファウリング防止剤が添加された試料油を収容し、
    冷却油を循環する循環路にテストチューブを装着するとともに、外表面の少なくとも一部分が試験器内の試料油に接触するようにテストチューブを浸漬し、
    試験器内の試料油を加熱器で加熱するとともに撹拌機で撹拌しながら、冷却油を循環ポンプにより循環路を通してテストチューブ内部に循環通液し、
    所定時間後にテストチューブを循環路から脱着して重量を測定し、予め測定しておいた試験前のテストチューブの重量との差からテストチューブ外表面に付着したファウリング量を求める
    ファウリング防止剤の評価試験方法。
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