JP3988508B2 - 音場再生装置及びその制御方法、プログラム及び記録媒体 - Google Patents

音場再生装置及びその制御方法、プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホールなどの音場の測定やシミュレーションによって得た複数の仮想音源分布データに基づいて複数の音場を再現できるようにした音場再生装置及びその制御方法、プログラム及びこのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンサートホール、劇場、教会などでは音源から聴衆に直接伝わる直接音の他に、壁面を反射してくる反射音が存在する。反射音は、聴衆に伝わる時にその強さや遅延時間が反射する壁面や天井の距離、形状、材質などによって変わり、反射の回数が少なく遅延時間が比較的短いものは初期反射音と呼ばれ、空間イメージや音の良さに大きく影響を与える。
従来より、各家庭であたかもコンサートホールかのような音場を再現したり、野外コンサートであたかも屋内ホールかのような音響効果を再現するために、実際の音場の反射音や後部残響音を測定して得た音場データを用いて再生すべき音響信号に対して反射音(すなわち、残響音)を付与して出力する音場再生装置が提供されている。
【0003】
音場の測定は、例えば、近接4点収音法により行われている。近接4点収音法は、xyz軸上と原点に配置された4個の無指向性マイクで反射音を収音し、相関処理で同一反射音を検出し、仮想音源の位置と強さを決定するものである。
音場データは、例えば、図10に示すような仮想音源分布で表されるデータ(以下、「仮想音源分布データ」という)が使用される。
【0004】
図の中心が受音点(測定位置)を示し、受音点を中心とした同心円が反射音の受音点到達までの遅延時間を表す目盛りである。この図に多数存在する小さな円の1つ1つが反射音の音源を示している。この音源は、反射音が最終的に受音点に到達する方向の延長線上に反射音の音源があったと考えて、仮想音源と呼んでいる。これらの小さな円の中心が仮想音源の位置を示し、円の大きさが反射音の強さ(レベル)を示している。つまり、遅延時間が長い仮想音源ほど受音点から離れた位置になる。この仮想音源分布から音場の空間形状の違いによる初期反射音の空間構造の違いを観察することができる。
【0005】
なお、図10は、仮想音源をxy平面(音場を上方から下方)に投影した場合の仮想音源分布を示しているが、仮想音源をyz平面(音場の左(L)から右(R))、xz平面(後ろから前)に投影することによって、仮想音源分布を3次元空間で把握することも可能である。
従来、音場再生装置は、この仮想音源分布データから任意の方向や時間で分割したインパルス応答を計算し、再生しようとする音響信号に対してインパルス応答の畳み込み演算を行うことにより、残響音を付与した音響信号を生成して出力できるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の音場再生装置には、使用する仮想音源分布データを他の仮想音源分布データに切り替えることによって、再現しようとする音場を切り替え可能にしたものがある。
また、この種の音場切り替え可能な音場再生装置には、曲の再生途中で音場の切り替えを行っても違和感をあまり感じさせないようにするため、切り替え途中で切り替え前後の音場に対応する仮想音源分布データの中間的な仮想音源分布データを計算し、この中間的な仮想音源分布データに基づいて切り替え前後の音場の中間的な音場を再現するようにしたものも提案されている。
【0007】
具体的には、音場再生装置は、中間的な仮想音源分布データを、切り替え前後の音場に対応する仮想音源分布データの両者の加重平均により求めており、この際、加重割合を時間に応じて1:0から0:1に段階的に変化させるようにしている。すなわち、切り替え前の仮想音源分布データから切り替え後の仮想音源分布データになめらかに変化する仮想音源分布データを算出するようになされている。
しかしながら、上記音場の切り替え方法は、2つの仮想音源分布データの全ての仮想音源を計算対象とするため、計算量が多いという問題があった。
【0008】
また、従来は、音場の切り替えを徐々に行う方法として、仮想音源分布データ全体の加重平均割合を変化させる方法しかないため、これ以外の音場の切り替え方法を選択することができなかった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、音場の切り替えに要する計算量が従来に比して少なくてすみ、かつ、今までに無かった音場の切り替えを行うことができる音場再生装置及びその制御方法、音場再生装置を制御するためのプログラム及びこのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、音場再生装置において、仮想音源空間に配置された仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶する記憶手段と、
再現しようとする音場の指示を入力する入力手段と、
前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する仮想音源分布データ出力手段と、
前記仮想音源分布データ出力手段から出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算手段と、
再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算手段とを備え、
前記仮想音源分布データ出力手段は、
前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
前記仮想音源空間に想定した仕切面を境とする一方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第1仮想音源分布データから抽出すると共に、他方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第2仮想音源分布データから抽出し、
これら抽出した仮想音源分布データから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力する仮想音源分布データ生成手段を有することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の音場再生装置において、前記仮想音源分布データ生成手段は、前記仕切面により前記仮想音源空間を徐々に拡大する空間と徐々に縮小する空間に分割し、各時点の徐々に縮小する空間に対応する仮想音源分布データを前記第1仮想音源分布データから順次抽出すると共に、前記各時点の徐々に拡大する空間に対応する仮想音源分布データを前記第2仮想音源分布データから順次抽出して前記中間仮想音源分布データを順次生成して出力することを特徴としている。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、音場再生装置において、仮想音源空間に配置された、受音点に対する仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶する記憶手段と、
再現しようとする音場の指示を入力する入力手段と、
前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する仮想音源分布データ出力手段と、
前記仮想音源分布データ出力手段から出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算手段と、
再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算手段とを備え、
前記仮想音源分布データ出力手段は、
前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の位置を、前記第1仮想音源分布データの受音点と、前記第2仮想音源分布データの受音点との位置の差ベクトルだけ移動し、
前記第1仮想音源分布データに含まれる各仮想音源と、移動後の前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の仮想音源間の距離が予め定めた範囲内にある仮想音源の組を抽出し、
抽出した前記各仮想音源の組から合成仮想音源分布データを生成し、
生成した前記合成仮想音源分布データと、移動後の前記第2仮想音源分布データとから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、
前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力する仮想音源分布データ生成手段を有することを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の音場再生装置において、前記合成仮想音源分布データは、抽出した前記仮想音源の組の第1仮想音源分布データに含まれる仮想音源(以下、第1仮想音源という。)と、第2仮想音源分布データに含まれる仮想音源(以下、第2仮想音源という。)の位置及び強さを加重平均して求めた合成仮想音源に置き換えたデータであことを特徴としている。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、音場再生装置の制御方法において、仮想音源空間に配置された仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶手段に記憶する記憶ステップと、
再現しようとする音場の指示を入力する入力ステップと、
入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する出力ステップと、
前記出力ステップにおいて出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算ステップと、
再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算ステップとを有し、
前記出力ステップにおいては、
入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
前記仮想音源空間に想定した仕切面を境とする一方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第1仮想音源分布データから抽出すると共に、他方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第2仮想音源分布データから抽出し、
これら抽出した仮想音源分布データから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力することを特徴としている。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、音場再生装置の制御方法において、仮想音源空間に配置された、受音点に対する仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶手段に記憶する記憶ステップと、
再現しようとする音場の指示を入力する入力ステップと、
入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する出力ステップと、
前記出力ステップにおいて出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算ステップと、
再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算ステップとを有し、
前記出力ステップにおいては、
入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の位置を、前記第1仮想音源分布データの受音点と、前記第2仮想音源分布データの受音点との位置の差ベクトルだけ移動し、
前記第1仮想音源分布データに含まれる各仮想音源と、移動後の前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の仮想音源間の距離が予め定めた範囲内にある仮想音源の組を抽出し、
抽出した前記各仮想音源の組から合成仮想音源分布データを生成し、
生成した前記合成仮想音源分布データと、移動後の前記第2仮想音源分布データとから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、
前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力することを特徴としている。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、プログラムにおいて、再現中の音場を他の音場に切り替えるためにコンピュータを、
仮想音源空間に配置された仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶する記憶手段と、
再現しようとする音場の指示を入力する入力手段と、
前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する仮想音源分布データ出力手段と、
前記仮想音源分布データ出力手段から出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算手段と、
再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算手段として機能させるためのプログラムであって、
前記仮想音源分布データ出力手段は、
前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
前記仮想音源空間に想定した仕切面を境とする一方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第1仮想音源分布データから抽出すると共に、他方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第2仮想音源分布データから抽出し、
これら抽出した仮想音源分布データから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力する仮想音源分布データ生成手段として機能させることを特徴としている。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、プログラムにおいて、再現中の音場を他の音場に切り替えるためにコンピュータを、
仮想音源空間に配置された、受音点に対する仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶する記憶手段と、
再現しようとする音場の指示を入力する入力手段と、
前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する仮想音源分布データ出力手段と、
前記仮想音源分布データ出力手段から出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算手段と、
再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算手段として機能させるためのプログラムであって、
前記仮想音源分布データ出力手段は、
前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の位置を、前記第1仮想音源分布データの受音点と、前記第2仮想音源分布データの受音点との位置の差ベクトルだけ移動し、
前記第1仮想音源分布データに含まれる各仮想音源と、移動後の前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の仮想音源間の距離が予め定めた範囲内にある仮想音源の組を抽出し、
抽出した前記各仮想音源の組から合成仮想音源分布データを生成し、
生成した前記合成仮想音源分布データと、移動後の前記第2仮想音源分布データとから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、
前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力する仮想音源分布データ生成手段として機能させることを特徴としている。
【0018】
また、請求項9に記載の発明は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体において、請求項7または8に記載のプログラムを記録したことを特徴としている。
【0019】
請求項1、2、5、7及び9に記載の構成によれば、仮想音源空間に想定した仕切面を境とする一方の空間に対応する仮想音源分布データを切り替え後の第1仮想音源分布データから抽出すると共に、他方の空間に対応する仮想音源分布データを切り替え前の第2仮想音源分布データから抽出し、これら抽出した仮想音源分布データから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して演算手段に出力するので、第1仮想音源分布データに対応する音場と、第2仮想音源分布データに対応する音場との中間的な音場に対応する中間仮想音源分布データを生成することができる。そして、その後、第2仮想音源分布データを演算手段に出力するので、第1仮想音源分布データに対応する音場から第2仮想音源分布データに対応する音場に段階的に変化させることが可能である。
また、第1仮想音源分布データ及び第2仮想音源分布データから空間位置が重ならないように仮想音源を抽出して中間仮想音源分布データを生成しているので、中間仮想音源分布データに含まれる仮想音源の数が大幅に増えることがなく、音場の切り替えに用する計算量が膨大に増えるのを回避することが可能である。
【0020】
また、請求項3、4、6、8及び9に記載の構成によれば、第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の位置を、切り替え後の第1仮想音源分布データの受音点と、切り替え前の第2仮想音源分布データの受音点との位置の差ベクトルだけ移動し、
第1仮想音源分布データに含まれる各仮想音源と、移動後の前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の仮想音源間の距離が予め定めた範囲内にある仮想音源の組を抽出し、抽出した各仮想音源の組から合成仮想音源分布データを生成し、
生成した合成仮想音源分布データと、移動後の第2仮想音源分布データとから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成するので、第1仮想音源分布データに対応する音場と、第2仮想音源分布データに対応する音場との中間的な音場に対応する中間仮想音源分布データを生成することができる。そして、その後、第2仮想音源分布データを演算手段に出力するので、第1仮想音源分布データに対応する音場から第2仮想音源分布データに対応する音場に段階的に変化させることが可能である。
また、第1仮想音源分布データに含まれる各仮想音源と、移動後の前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の仮想音源間の距離が予め定めた範囲内にある仮想音源の組を抽出して、中間仮想音源分布データを生成するので、第1仮想音源分布データに含まれる全ての仮想音源を計算対象とする必要がなく、音場の切り替えに要する計算量が膨大に増えるのを回避することが可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。以下に示す実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0022】
(1) 第1実施形態
(1.1) 実施形態の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る音場再生装置10の構成を示すブロック図である。
同図において、CPU(Central Processing Unit)11は、ROM(Read Only Memory)12に記憶されたプログラムに従って、バス13を経由して接続された各部の制御を行う。ROM12には、音場再生装置10全体を制御するシステムプログラムの他、複数の仮想音源分布データDk(1≦k≦m、mは整数)を格納した音場テーブル14や、音場テーブル14に格納された2つの仮想音源分布データDkから中間の仮想音源分布データDMを生成するための音響処理プログラムなどが記憶されている。
【0023】
図2は、音場テーブル14の内容を示す図である。同図に示すように、音場テーブル14は、複数の音場(HALL1、HALL2、CHURCH、……)毎にレコードが作成されており、各レコードには、仮想音源(仮想音源1、2、……)毎の、遅延時間(t)、仮想音源の方向ベクトル(θx、θy、θz)、仮想音源の強さ(L)から構成される仮想音源分布データDkが格納されている。
【0024】
ここで、この仮想音源分布データDkは、実測または音響シミュレーションによって得たデータであるが、実測データの場合は、いわゆる近接4点収音法によって測定したデータなどが使用される。なお、近接4点収音法とは、xyz軸上と原点に配置された4個の無指向性マイクで反射音を収音し、相関処理で同一反射音を検出し、仮想音源の位置と強さを算出する方法である。ここで、x軸は音場の幅方向、y軸は音場の奥行き方向、z軸は音場の高さ方向に設定される。
【0025】
RAM(Random Access Memory)15は、揮発性メモリであり、CPU11のワークエリアとして使用され、再現しようとする仮想音源分布データDkや、音場を切り替える際の切り替え前後の仮想音源分布データDkなどが記憶される。
【0026】
入力部16は、電源スイッチ、音場選択用ボタン、音場切り替え設定用ボタン、ボリューム調整用つまみなどの各種操作子を備え、ユーザによってこれら操作子が操作されると、操作情報をCPU11に出力する。ここで、音場選択用ボタンは、音場テーブル14に記憶された音場の中から再現したい音場を選択するための操作ボタンである。また、音場切り替え設定用ボタンは、再現中の音場の切り替えを徐々に行う(以下、「ワイプ」という。)か、従来と同様に瞬時に行う(以下、「ノーマル」という、)かを選択するための操作ボタンである。
【0027】
なお、本実施形態においては、音場選択用ボタンを音場毎に設けている場合を説明するが、その他にも、例えば、音場選択用ボタンを2つの操作ボタンで構成し、一方の操作ボタンが操作される毎に、音場を予め定めた送り順で選択できるようにする一方、他方の操作ボタンが操作されると、その逆順で音場を順次選択できるようにしてもよい。同様に、音場切り替え選択用ボタンを「ノーマル」選択用と「ワイプ」選択用に設けている場合を説明するが、音場切り替え選択ボタンを1つの操作ボタンで構成し、操作ボタンが操作される毎に「ノーマル」と「ワイプ」に交互に選択を切り替えるようにしてもよい。
また、これら操作子による操作だけでなく、いわゆるリモコン操作を受けるようにしてもよい。この場合、操作部にリモコン受信部を設け、リモコン受信部の受信結果から操作情報を出力する構成をさらに追加すればよい。
【0028】
ここで、CPU11は、電源投入後に、各音場のいずれか1つを選択する音場選択用ボタンと、「ノーマル」と「ワイプ」のいずれかを選択する音場切り替え選択用ボタンの操作により、例えば、「HALL1」の音場と、「ノーマル」の音場切り替えが選択されている場合は、RAM15の予め定めた領域に、図3(A)に示す設定ファイルFを生成するようになされている。また、CPU11は、音場選択用ボタンまたは音場切り替え設定用ボタンが再び操作されて、「CHURCH」の音場と、「ワイプ」の音場切り替えが選択されると、図3(B)に示すように、設定ファイルFの内容を選択後のものに書き換えるようになされている。この場合、設定ファイルFには、「CHURCH」を選択する直前の音場(「HALL1」)を記述するようになっている。このようにしてCPU11は、現在選択中の音場、現在設定中の音場の切り替え方法(「ワイプ」または「ノーマル」)及び選択前の音場を記述した設定ファイルFをRAM15に生成するようになされている。
【0029】
表示部17は、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの駆動制御を行う駆動回路とから構成され、CPU11の制御の下、各種情報の表示を行う。具体的には、表示部17は、現在選択中の音場名や再生音量などを表示する。これによって、ユーザは、表示部17の表示情報により現在選択中の音場を確認したり、希望の音場を選択できたか否かを確認できるようになされている。
【0030】
入出力インターフェース18は、音響信号SA0を入力するためのアナログ音響信号入力端子及びディジタル音響信号入力端子、スピーカ端子、ヘッドホン端子などを備えている。本実施形態に係る音場再生装置は、フロント(L)(R)、リア(L)(R)の4チャンネルで音響信号SA1を出力するものであり、フロントスピーカー(L)(R)、リアスピーカー(L)(R)の各々に対応するスピーカ端子を備えている。なお、音響信号入力端子には、マイクロホンや、CD(Compact Disk)プレイヤー、アナログレコードプレイヤー、MDプレイヤーなどの各種演奏再生装置から出力された音響信号が入力される。
【0031】
A/D変換回路19は、入出力インターフェース18のアナログ音響信号入力端子を介して入力したアナログの音響信号SA0をディジタルの音響信号に変換し、バス13を介して音響処理部20に出力する。なお、ディジタル音響信号入力端子に入力されたディジタルの音響信号SA0はバス13を介して音響処理部20に直接出力される。
【0032】
音響処理部20は、インパルス応答演算部21と、再生チャンネル毎に設けられた畳み込み演算部22から構成されている。
インパルス応答演算部21は、CPU11の制御の下、音場テーブル14に記憶された仮想音源分布データDkから任意の方向や時間で分割したインパルス応答を再生チャンネル毎に生成して各畳み込み演算部22に出力する。
各畳み込み演算部22は、入出力インターフェース18を介して入力した音響信号に対して、各々の再生チャンネルに対応したインパルス応答を畳み込み演算してD/A変換回路23に出力する。
【0033】
D/A変換回路23は、畳み込み演算部22から各々出力されたディジタルの音響信号をアナログの音響信号SA1に出力してアンプ24に出力する。
アンプ24は、CPU11の制御の下、入力したアナログの音響信号SA1を所定レベルに増幅して入出力インターフェース18の各スピーカ端子にそれぞれ出力する。この結果、各スピーカ25から、指定された音場に対応する残響音が付与された音響信号SA1が出力され、音場を再現できるようになっている。
【0034】
(1.2) 実施形態の動作
次に、音場再生装置10の動作を説明する。
まず、図4に示すフローチャートを参照して、本実施形態において実行される処理のメインルーチンについて説明する。
この音場再生装置10において、操作パネルの電源スイッチがオンにされると、CPU11は、ROM12からメインルーチンのプログラムを読み出して実行することにより、操作パネルの操作情報を取得し、操作情報に対応する設定ファイルFをRAM15内に生成する操作検出処理を行う(ステップS1)。ここでは、操作パネルの操作ボタンの操作により「HALL1」の音場が選択され、「ノーマル」の音場切り替えが選択されたものとする。この場合、図3(A)に示す設定ファイルFがRAM15内に生成される。
【0035】
次に、CPU11は、音場の選択が行われたか否かを判定する(ステップS2)。ここでは、音場(HALL1)の選択が行われているため、CPU11は、ステップS3に処理を進め、設定ファイルFの音場切り替えが「ノーマル」か「ワイプ」のどちらかを判定する。ここでは、「ノーマル」と判定されるため、CPU11は、処理をステップS4に進める。ステップS4においては、CPU11は、設定ファイルFの現在選択中の音場(ここでは、「HALL1」)に対応する仮想音源分布データD1をROM12に記憶された音場テーブル14から読み出し、バス13を介して音響処理部20に出力する。この際、CPU11は、音響処理部20に対して、入出力インターフェース18を介して入力した音響信号SA0に残響音を付与する音響処理を実行させる命令信号を出力する。
【0036】
音響処理部20は、CPU11から上記命令信号を受け取ると、インパルス応答演算部21が、入力した仮想音源分布データD1に基づいて再生チャンネル毎のインパルス応答を生成し、各再生チャンネルに対応した畳み込み演算部22に出力する。
【0037】
各畳み込み演算部22は、インパルス応答演算部21から各々インパルス応答を入力すると、入出力インターフェース18を介して入力したディジタルの音響信号SA0を入力し、この音響信号SA0にインパルス応答を畳み込み演算する。これにより、各畳み込み演算部22によりインパルス応答を再現した音響信号SA1、つまり、「HALL1」の残響音を付与した音響信号SA1を生成することができる。この結果、この音響信号SA1が、D/A変換回路23にてディジタルアナログ変換された後、アンプ24を経由して各再生チャンネルに対応するスピーカ端子に接続されたスピーカ25に出力されることにより、「HALL1」に対応する音場で音響信号SA0を再生したかのような音が放音されることとなる。
【0038】
一方、CPU11は、仮想音源分布データD1を音響処理部20に出力すると共に、音響処理部20に命令信号を出力すると、ステップS1に処理を進め、操作検出処理を行う(ステップS1)。これにより、操作パネルの操作ボタンの操作により音場の選択、または、音場切り替えの選択が行われると、CPU11は、RAM15内に生成された設定ファイルFの内容を更新する。具体的には、「CHURCH」の音場の選択が行われた場合は、CPU11は、RAM15内に生成された設定ファイルFの現在選択中の音場を「CHURCH」に書き換えると共に、選択前の音場に「HALL1」を記述する。また、「ワイプ」の音場切り替えの選択が行われると、CPU11は、RAM15内に生成された設定ファイルFの音場の切り替えに「ワイプ」を記述する。
【0039】
次に、CPU11は、ステップS2において、音場の選択が行われたか否かを判定し、音場の選択が行われていないと判定した場合は、処理を再びステップS1に進めるのに対し、音場(例えば、「CHURCH」)の選択が行われたと判定した場合は、処理をステップS3に進める。ステップS3において、CPU11は、設定ファイルFの音場切り替えが「ノーマル」と判定した場合は、上述したと同様に、設定ファイルFの現在選択中の音場(「CHURCH」)に対応する仮想音源分布データD3を読み出して音響処理部20に出力すると共に、音響処理部20に命令信号を出力する(ステップS4)。
【0040】
これにより、音響処理部20は、新たに入力した仮想音源分布データD3に基づいて再生チャンネル毎のインパルス応答を生成し、入力したディジタルの音響信号SA0との畳み込み演算を行って、「CHURCH」の残響音を付与したディジタルの音響信号SA1を生成して出力することにより、スピーカ25から「CHURCH」に対応する音場で音響信号SA0を再生したかのような音を放音することができる。このようにして、音場切り替えとして「ノーマル」が選択されている場合は、選択された音場に対応する音響空間に瞬時に切り替えるようになされている。
【0041】
一方、ステップS3において、CPU11は、設定ファイルFの音場切り替えが「ワイプ」であると判定した場合は、音場切り替え処理を行う(ステップS5)。
図5は、CPU11により実行される音場切り替え処理手順を示すフローチャートである。
この場合、CPU11は、まず、音場切替後の音場である設定ファイルFの現在選択中の音場(ここでは、「CHURCH」)に対応する仮想音源分布データD3をROM12に記憶された音場テーブル14から読み出し、RAM15に記憶させる(ステップS10)。
【0042】
次に、CPU11は、仮想音源空間30に想定した仕切面40の位置を指定するための変数nを「1」に初期化し(ステップS11)、この変数nを用いて仕切面40の位置Fyを求める(ステップS12)。ここで、仮想音源空間30とは、各仮想音源分布データDkに対応する仮想音源分布を配置する基準空間であり、本実施形態では、図6に示すように、x座標(空間幅に対応)が−150から150、y座標(空間の前後長に対応)が100から−150の空間を想定している。また、同図に示すように、仕切面40は、仮想音源空間30を分割する前から後ろに徐々に平行移動する面を想定している。ここでは、nは「1」であるため、Fy(y座標)は「50」に設定されることとなる。
【0043】
次に、CPU11は、図7に模式図を示すように、切り替え後の仮想音源分布データである現在選択中の「CHURCH」の仮想音源分布データ(以下、切り替え後仮想音源分布データという。)D3から、Fy(=50)≦y≦100の範囲の仮想音源分布データD3Aを抽出する(ステップS13)。
また、CPU11は、同図に示すように、切り替え前の仮想音源分布データである選択前の「HALL1」の仮想音源分布データ(以下、切り替え前仮想音源分布データという。)D1から、−150≦y<Fy(=50)の範囲の仮想音源分布データD1Aを抽出する(ステップS14)。ここで、図7に示す仮想音源分布は、説明を判りやすくするため、仮想音源の位置のみを示し、強さ(レベル)は示していない。なお、各仮想音源分布データD1、D3における仮想音源のy座標は、各音場の遅延時間tと、方向ベクトル(θx、θy、θz)から算出することができる。
【0044】
そして、CPU11は、抽出した2つの仮想音源分布データD3A及びD1Aを1つの中間仮想音源分布データDMとしてバス13を介して音響処理部20に出力すると共に、残響音を付与する音響処理を実行させる命令信号を音響処理部20に出力する(ステップS15)。これにより、音響処理部20が中間仮想音源分布データDMに基づいて音響信号SA0に残響音を付与して出力することにより、「CHURCH」の最前側の空間(y座標が50〜100の空間)と、「HALL1」の最前側を除く空間(y座標が−150から50の空間)の仮想音源からなる仮想音源分布を再現した残響音の音響がスピーカ25から出力されることとなる。
【0045】
次に、CPU11は、中間仮想音源分布データDMを音響処理部20に出力すると、変数nを「1」だけインクリメントし(ステップS16)、この変数nが仕切面40の位置が仮想音源空間30の最も後ろ(y座標が−150)に位置したことを示す値5より大であるか否かを判定する(ステップS17)。この判定結果が「NO」であれば、CPU11は、タイマー処理を行い(ステップS18)、所定時間経過後に、次の中間音場を再現すべく、処理をステップS12に戻す。ステップS12において、CPU11は、図8に示すように、変数nを用いて仕切面40の位置Fyを再び求めた後(ここでは、n=2であるためFy=0)、仮想音源分布データD3からFy≦y≦100の範囲の仮想音源分布データD3Aを抽出すると共に(ステップS13)、仮想音源分布データD1から−150≦y<Fyの範囲の仮想音源分布データD1Aを抽出し、2つの仮想音源分布データD3A、D1Aから構成される中間仮想音源分布データDMを音響処理部20に出力する。
【0046】
これにより、音響処理部20により、中間仮想音源分布データDMに基づいて音響信号に残響音を付与して出力することにより、「CHURCH」の前側の空間(y座標が0〜100の空間)と、「HALL1」の前側を除く空間(y座標が−150から0の空間)の仮想音源分布を再現した残響音の音響をスピーカ25から出力することができる。
【0047】
このようにして、CPU11は、ステップS17において、変数nが値5より大きくなったと判定されるまで、ステップS12からステップS18の処理を繰り返すことによって、仕切面40の位置Fyを、50(n=1)→0(n=2)→−50(n=3)→−100(n=4)→−150(n=5)と順次変えていく。これにより、CPU11は、音響処理部20により仮想音源分布データD1に対応する音場から仮想音源分布データD3に対応する音場に徐々に変化する音場を再現することができるようになっている。
そして、CPU11は、ステップS17において、変数nが値5より大きくなったと判定すると、処理を終了する。すなわち、CPU11は、再現する音場を、仮想音源分布データD1に対応する音場(「HALL1」)から、仮想音源分布データD3に対応する音場(「CHURCH」)に切り替えると、その音場に維持すべく処理を終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の音場再生装置10によれば、再現中の音場を徐々に切り替える場合(「ワイプ」の場合)は、仮想音源空間30に想定した仕切面40を境とする一方の空間の仮想音源分布データは切り替え前の仮想音源分布データから抽出すると共に、他方の空間の仮想音源分布データは切り替え後の仮想音源分布データから抽出し、これら抽出したデータを中間仮想音源分布データDMとして音響処理部20に供給する。
したがって、切り替え前後の中間的な音場を再現しているので、仮想音源の切り替えにおいて、各仮想音源が徐々に移り変わるので、聴感上自然な音場の切り替えが可能になる。
そして、仕切面40の位置を移動した場合における各時点の仕切面40の位置に対応する中間仮想音源分布データDMを順次生成して、再現する音場を変化させていく。言い換えれば、仮想音源空間30を徐々に拡大する空間と徐々に縮小する空間に分割し、各時点の徐々に縮小する空間に対応する仮想音源分布データを順次抽出し、中間仮想音源分布データDMとして音響処理部20に供給することによって、再現する音場を変化させていく。
これにより、再現している音場が、ある場所(ここでは前側)から徐々に他の音場に変わっていくかのような音場の切り替えを行うことができ、映像におけるワイプと似た切り替え効果を実現することができる。
【0049】
また、従来の2つの仮想音源分布データの加重平均により中間的な仮想音源分布データを生成する場合は2つの仮想音源分布データに含まれる全ての仮想音源を計算対象とする必要があったのに対し、本実施形態では、2つの仮想音源分布データから空間位置が重ならないように仕切面を設定して仮想音源を抽出し、中間仮想音源分布データDMを生成するので、中間仮想音源分布データDMに含まれる仮想音源の数が大幅に増えることがない。従って、本実施形態の音場再生装置10は、従来に比して、音場の切り替えを徐々に行う場合におけるインパルス応答の演算に要する計算量を低減することが可能である。
また、音場再生装置10は、音場の切り替えを瞬時に行う「ノーマル」と、音場の切り替えを徐々に行う「ワイプ」を選択できるため、ユーザが希望する切り替え方法を自由に選ぶことが可能である。
【0050】
(2) 第2実施形態
第2実施形態に係る音場再生装置100が、第1実施形態に係る音場再生装置10と異なる点は、音場を徐々に切り替える場合に生成する中間仮想音源分布データDMを、切り替え前後の2つの仮想音源分布データの受音点の位置の差に基づき、これら仮想音源分布データに含まれる仮想音源の位置及び強さの加重平均により生成する点である。
ここで、本実施形態においては、仮想音源分布データに受音点の位置が含まれており、また、切り替え前後の2つの仮想音源分布データの受音点の位置が異なっている場合を想定している。
【0051】
具体的には、この音場再生装置100において、CPU110は、例えば、「HALL1」の音場から「CHURCH」の音場に切り替える音場切り替え処理を行う場合は、「CHURCH」に対応する切り替え後仮想音源分布データD3をROM12に記憶された音場テーブル14から読み出した後、切り替え後仮想音源分布データD3の受音点から、「HALL1」に対応する切り替え前仮想音源分布データD1の受音点への位置の差ベクトルを算出する。この差ベクトルは受音点の移動を補正するベクトルに対応する。
そして、図9に模式図を示すように、CPU110は、切り替え後仮想音源分布データD3に含まれる全ての仮想音源の位置を、算出した差ベクトル(図に矢印にて示す)だけ移動し、移動後の各仮想音源の位置と、切り替え前仮想音源分布データD1に含まれる各仮想音源の位置とを比較して、両者の距離が予め定めた範囲内にある仮想音源の組を探す。
【0052】
このとき、CPU110は、切り替え前仮想音源分布データD1に含まれる仮想音源のうち、受音点を中心とする、差ベクトル方向に延長する帯状の範囲(図に斜線により示す範囲)内の仮想音源のみを比較対象とする。ここで、受音点を中心とする、差ベクトル方向に延長する帯状の範囲内の仮想音源のみを比較対照としたのは、仮想音源に対する受音点の移動量は移動方向の方が移動方向に対する横方向よりも多くなるため、移動方向の範囲内の仮想音源のみでも移動による音場の変化の特徴を十分に含めることが可能だからである。
【0053】
次に、CPU110は、移動後の切り替え後仮想音源分布データD3の仮想音源と、切り替え前仮想音源分布データD1の帯状の範囲内にある仮想音源とから、両者の距離が近いもの同士の仮想音源の各組について、位置及び強さの加重平均を行うことにより各組毎に1つの合成仮想音源を求める。
そして、CPU110は、移動後の切り替え後仮想音源分布データD3から帯状の範囲外にある仮想音源分布データを抽出し、この抽出した仮想音源分布データと合成仮想音源のデータとを合わせて、中間仮想音源分布データDMとしてバス13を介して音響処理部20に出力する。
【0054】
このようにして、CPU110は、切り替え後仮想音源分布データD3と切り替え前仮想音源分布データD1との間の仮想音源分布に対応する中間仮想音源分布データDMを算出するようになっている。また、CPU110は、切り替え後仮想音源分布データD3と、帯状の範囲内にある切り替え前仮想音源分布データD1とから両者の距離が近いもの同士の仮想音源の各組について行う加重平均の割合を順次変更させることにより、中間仮想音源分布データDMを徐々に切り替え後仮想音源分布データD3に近づけるようになっている。
これにより、音響処理部20が、順次入力される中間仮想音源分布データDMに基づいて音響信号SA0に残響音を付与して出力することによって、「HALL1」の仮想音原分布から「CHURCH」の仮想音源分布に徐々に切り替わる残響音を再現した音響をスピーカ25から出力できるようになっている。
【0055】
以上説明したように、第2実施形態に係る音場再生装置100は、切り替え前後の2つの仮想音源分布データのうち、距離が近いもの同士の仮想音源の各組について位置及び強さの加重平均による合成仮想音源を求め、この合成仮想音源と、切り替え後の仮想音源分布データとに基づいて中間仮想音源分布データDMを生成することにより、中間仮想音源分布データDMに含まれる仮想音源の数を増やすことなく、中間的な音場を再現することができる。このため、仮想音源の切り替えにおいて、各仮想音源の位置、強さが徐々に移り変わるので、聴感上自然な音場の切り替えが可能になる。
【0056】
したがって、この音場再生装置100においても、第1実施形態に係る音場再生装置10と同様に、従来に比して、音場の切り替えを徐々に行う場合におけるインパルス応答の演算に要する計算量を低減することが可能である。
また、中間仮想音源を求める際に比較対照とする仮想音源を一定範囲に限定することにより、CPU110による中間仮想音源分布データ算出時の処理の演算量を低減することも可能である。
また、受音点の移動を考慮して仮想音源を求めるので、受音点の移動に伴った音場の再生が可能である。また、1つの仮想音源分布データを用いて受音点の移動前と移動後の音場の切り替えを行ってもよい。
【0057】
(3) 変形例
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0058】
(3.1) 変形例1
上述した第1実施形態において、中間仮想音源分布データDMに基づき音場を再現する場合は、仕切面40近傍の仮想音源からの反射音についてはフェードイン、フェードアウトするようにしてもよい。この場合、中間仮想音源分布データDMを生成する際に仕切面40近傍の仮想音源の強さを変更する処理、あるいは、可聴化時点(畳み込み演算の際など)にフェードイン、フェードアウト処理などを行えばよい。また、仕切面40の両側でフェードイン、フェードアウトのタイミングや時間を違えてもよい。
【0059】
(3.2) 変形例2
上述した第1実施形態においては、仮想音源空間30を移動する仕切面40を平面とする場合について述べたが、仕切面40を曲面にしてもよく、また、仕切面40が経過時間に応じて変形するようにしてもよい。また、仕切面40を仮想音源空間30の前から後ろに平行移動させる場合に限らず、任意の方向へ移動させてもよく、回転を伴って移動するようにしてもよい。また、仕切面40は複数設定してもよい。
【0060】
(3.3) 変形例3
上述した第2実施形態においては、切り替え前の仮想音源分布データに含まれる仮想音源のうち所定の範囲内の仮想音源のみを比較対象として、切り替え後の仮想音源分布データに含まれる仮想音源との間の距離が近いもの同士を求める場合について述べたが、比較対象とする仮想音源の範囲は上記の範囲に限らず、任意の範囲にしてもよい。また、仮想音源データから反射回数が判る場合は、比較対象の仮想音源は反射回数の少ないものに限定するようにしてもよい。また、仮想音源の強さに応じて比較対象とする仮想音源を限定してもよい。
【0061】
(3.4) 変形例4
上述した実施形態においては、音場再生装置10及び100は、4つの再生チャンネルを備える場合について述べたが、2チャンネルまたは5.1チャンネルにしてもよく、再生チャンネルの数は任意である。
【0062】
(3.5) 変形例5
上述した各実施形態においては、2つの仮想音源分布データから中間の仮想音源分布データDMを生成するための音響処理プログラムが予め音場再生装置10、100のROM12に記憶されている場合について述べたが、このプログラムを磁気記録媒体、光記録媒体、半導体記録媒体などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録し、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)などのコンピュータがこのプログラムを読み取って実行するようにしてもよい。また、このプログラムのインストール方法も任意でよく、上述した記録媒体からコンピュータや音場再生装置にインストールするようにしてもよく、また、このプログラムを格納するサーバからインターネットなどのネットワーク網を介してプログラムをダウンロードし、インストールするようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、音場の切り替えに要する計算量が従来に比して少なくてすみ、かつ、今までに無かった音場の切り替えを行うことができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る音場再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 音場再生装置に記憶される音場テーブルの内容を示す図である。
【図3】 音場再生装置の設定ファイルの内容を示す図である。
【図4】 音場再生装置のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図5】 音場再生装置の音場切り替え処理手順を示すフローチャートである。
【図6】 仮想音源空間の説明に供する図である。
【図7】 中間仮想音源分布データの作成方法を模式的に示す図である。
【図8】 中間仮想音源分布データの作成方法を模式的に示す図である。
【図9】 第2実施形態に係る音場再生装置における中間仮想音源分布データの作成方法を模式的に示す図である。
【図10】 仮想音源分布データによって表される仮想音源分を示す図である。
【符号の説明】
10、100……音場再生装置、11、110……CPU、12……ROM、13……バス、14……音場テーブル、15……RAM、16……入力部、17……表示部、18……入出力インターフェース、19……A/D変換回路、20……音響処理部、21……インパルス応答演算部、22……畳み込み演算部、23……D/A変換回路、24……アンプ、25……スピーカ、30……仮想音源空間、40……仕切面、Dk……仮想音源分布データ、DM……中間仮想音源分布データ。

Claims (9)

  1. 仮想音源空間に配置された仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶する記憶手段と、
    再現しようとする音場の指示を入力する入力手段と、
    前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する仮想音源分布データ出力手段と、
    前記仮想音源分布データ出力手段から出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算手段と、
    再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算手段とを備え、
    前記仮想音源分布データ出力手段は、
    前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
    前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
    前記仮想音源空間に想定した仕切面を境とする一方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第1仮想音源分布データから抽出すると共に、他方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第2仮想音源分布データから抽出し、
    これら抽出した仮想音源分布データから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力する仮想音源分布データ生成手段を有する
    ことを特徴とする音場再生装置。
  2. 前記仮想音源分布データ生成手段は、
    前記仕切面により前記仮想音源空間を徐々に拡大する空間と徐々に縮小する空間に分割し、各時点の徐々に縮小する空間に対応する仮想音源分布データを前記第1仮想音源分布データから順次抽出すると共に、前記各時点の徐々に拡大する空間に対応する仮想音源分布データを前記第2仮想音源分布データから順次抽出して前記中間仮想音源分布データを順次生成して出力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の音場再生装置。
  3. 仮想音源空間に配置された、受音点に対する仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶する記憶手段と、
    再現しようとする音場の指示を入力する入力手段と、
    前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する仮想音源分布データ出力手段と、
    前記仮想音源分布データ出力手段から出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算手段と、
    再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算手段とを備え、
    前記仮想音源分布データ出力手段は、
    前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
    前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
    前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の位置を、前記第1仮想音源分布データの受音点と、前記第2仮想音源分布データの受音点との位置の差ベクトルだけ移動し、
    前記第1仮想音源分布データに含まれる各仮想音源と、移動後の前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の仮想音源間の距離が予め定めた範囲内にある仮想音源の組を抽出し、
    抽出した前記各仮想音源の組から合成仮想音源分布データを生成し、
    生成した前記合成仮想音源分布データと、移動後の前記第2仮想音源分布データとから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、
    前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力する仮想音源分布データ生成手段を有する
    ことを特徴とする音場再生装置。
  4. 前記合成仮想音源分布データは、抽出した前記仮想音源の組の第1仮想音源分布データに含まれる仮想音源(以下、第1仮想音源という。)と、第2仮想音源分布データに含まれる仮想音源(以下、第2仮想音源という。)の位置及び強さを加重平均して求めた合成仮想音源に置き換えたデータである
    ことを特徴とする請求項3に記載の音場再生装置。
  5. 仮想音源空間に配置された仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶手段に記憶する記憶ステップと、
    再現しようとする音場の指示を入力する入力ステップと、
    入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する出力ステップと、
    前記出力ステップにおいて出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算ステップと、
    再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算ステップとを有し、
    前記出力ステップにおいては、
    入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
    前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
    前記仮想音源空間に想定した仕切面を境とする一方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第1仮想音源分布データから抽出すると共に、他方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第2仮想音源分布データから抽出し、
    これら抽出した仮想音源分布データから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力する
    ことを特徴とする音場再生装置の制御方法。
  6. 仮想音源空間に配置された、受音点に対する仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶手段に記憶する記憶ステップと、
    再現しようとする音場の指示を入力する入力ステップと、
    入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する出力ステップと、
    前記出力ステップにおいて出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算ステップと、
    再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算ステップとを有し、
    前記出力ステップにおいては、
    入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
    前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
    前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の位置を、前記第1仮想音源分布データの受音点と、前記第2仮想音源分布データの受音点との位置の差ベクトルだけ移動し、
    前記第1仮想音源分布データに含まれる各仮想音源と、移動後の前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の仮想音源間の距離が予め定めた範囲内にある仮想音源の組を抽出し、
    抽出した前記各仮想音源の組から合成仮想音源分布データを生成し、
    生成した前記合成仮想音源分布データと、移動後の前記第2仮想音源分布データとから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、
    前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力する
    ことを特徴とする音場再生装置の制御方法。
  7. 再現中の音場を他の音場に切り替えるためにコンピュータを、
    仮想音源空間に配置された仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶する記憶手段と、
    再現しようとする音場の指示を入力する入力手段と、
    前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する仮想音源分布データ出力手段と、
    前記仮想音源分布データ出力手段から出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算手段と、
    再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算手段として機能させるためのプログラムであって、
    前記仮想音源分布データ出力手段は、
    前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
    前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
    前記仮想音源空間に想定した仕切面を境とする一方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第1仮想音源分布データから抽出すると共に、他方の空間に対応する仮想音源分布データを前記第2仮想音源分布データから抽出し、
    これら抽出した仮想音源分布データから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力する仮想音源分布データ生成手段として機能させる
    ことを特徴とするプログラム。
  8. 再現中の音場を他の音場に切り替えるためにコンピュータを、
    仮想音源空間に配置された、受音点に対する仮想音源分布を表す複数の仮想音源分布データを音場と各々対応づけて記憶する記憶手段と、
    再現しようとする音場の指示を入力する入力手段と、
    前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場に対応づけられた仮想音源分布データを読み出して出力する仮想音源分布データ出力手段と、
    前記仮想音源分布データ出力手段から出力された仮想音源分布データからインパルス応答を演算する演算手段と、
    再生しようとする音響信号に前記インパルス応答を畳み込み演算して出力する畳み込み演算手段として機能させるためのプログラムであって、
    前記仮想音源分布データ出力手段は、
    前記入力手段が入力した音場の指示に基づいて、前記記憶手段から前記指示された音場(以下、第1音場という。)に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第1仮想音源分布データという。)を読み出して出力した後に、前記第1音場と異なる音場(以下、第2音場という。)の指示を前記入力手段が入力した場合は、
    前記記憶手段から前記第2音場に対応づけられた仮想音源分布データ(以下、第2仮想音源分布データという。)を読み出し、
    前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の位置を、前記第1仮想音源分布データの受音点と、前記第2仮想音源分布データの受音点との位置の差ベクトルだけ移動し、
    前記第1仮想音源分布データに含まれる各仮想音源と、移動後の前記第2仮想音源分布データに含まれる各仮想音源の仮想音源間の距離が予め定めた範囲内にある仮想音源の組を抽出し、
    抽出した前記各仮想音源の組から合成仮想音源分布データを生成し、
    生成した前記合成仮想音源分布データと、移動後の前記第2仮想音源分布データとから全仮想音源空間を表す中間仮想音源分布データを生成して前記演算手段に出力した後、
    前記第2仮想音源分布データを前記演算手段に出力する仮想音源分布データ生成手段として機能させる
    ことを特徴とするプログラム。
  9. 請求項7または8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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