JP3988375B2 - コネクタ、コネクタの誤嵌合防止方法、及び誤嵌合防止用のランス強制変位部材 - Google Patents
コネクタ、コネクタの誤嵌合防止方法、及び誤嵌合防止用のランス強制変位部材 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誤嵌合防止手段を備えたコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、前面に複数の嵌合凹部を有する1つの雄側コネクタハウジングと、この雄側コネクタハウジングの各嵌合凹部内に嵌合される複数の雌側コネクタハウジングとからなり、嵌合凹部の内周形状が同一形状である分割コネクタの場合、雌側コネクタハウジングが本来嵌合すべき嵌合凹部とは別の嵌合凹部に誤って嵌合される虞がある。
【0003】
そこで、誤嵌合防止の手段として、各嵌合凹部の内周に、夫々、他の嵌合凹部とは異なる位置に溝を形成するとともに、各雌側コネクタハウジングの外周に、夫々、その雌側コネクタハウジングが嵌合されるべき嵌合凹部の溝と対応するリブを形成することが行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の誤嵌合防止手段では、嵌合凹部毎にその溝の位置が異なるのに対応させるべく、リブの位置が互いに異なる複数種類の雌側コネクタハウジングが必要となる。そのため、雌側コネクタハウジングを成型するための金型の種類数も多くなり、その分、金型コストが高くつくという問題があった。
【0005】
尚、このような誤嵌合防止手段を設けることに起因して金型コストが増大するという事情は、分割コネクタに限らず、1つの雄側コネクタハウジングと1つの雌側コネクタハウジングを一対一で嵌合させるコネクタを複数組集合させたワイヤーハーネスなどにおいても同様である。
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、誤嵌合防止手段を備えたコネクタにおいて金型コストの低減を図ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかるコネクタは、端子金具を挿入するための複数のキャビティと、そのキャビティ内への前記端子金具の挿入途中で弾性撓みするとともにその端子金具が正規挿入された状態では弾性復帰してその端子金具を抜止め状態に保持するランスが形成されているコネクタハウジングと、前記キャビティへの挿入を可能とされ、前記キャビティに挿入した状態では前記ランスを弾性撓みさせるランス強制変位部材と、前記コネクタハウジングを嵌合させるための嵌合凹部が形成されている受け部材と、前記嵌合凹部に設けられ、前記複数のキャビティのうち所定のキャビティに前記ランス強制変位部材が挿入されたときに弾性撓みする前記ランスとは非干渉であり、且つ前記所定のキャビティ以外の他のキャビティに前記ランス強制変位部材が挿入されたときに弾性撓みする前記ランスとは干渉する誤嵌合規制部とを備えてなる構成とした。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ランス強制変位部材には、前記キャビティへの挿入状態において前記弾性撓みした状態のランスと係止することでそのランス強制変位部材の前記キャビティからの抜けを規制する係止部が形成されている構成とした。
請求項3の発明は、端子金具を挿入するための複数のキャビティと、そのキャビティ内への前記端子金具の挿入途中で弾性撓みするとともにその端子金具が正規挿入された状態では弾性復帰してその端子金具を抜止め状態に保持するランスが形成されているコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングを嵌合させるための嵌合凹部が形成されている受け部材とを備えたコネクタにおいて、前記嵌合凹部に対し不正な組み合わせとなる前記コネクタハウジングが嵌合されることを防止するための誤嵌合防止方法であって、前記複数のキャビティのうち所定のキャビティにランス強制変位部材を挿入することで前記ランスを弾性撓みさせ、そのランスを弾性撓みさせた状態の前記コネクタハウジングを前記嵌合凹部に嵌合させる際に、その嵌合凹部とコネクタハウジングが不正な組み合わせであるときには、その弾性撓みしたランスが前記嵌合凹部に設けた誤嵌合規制部と干渉してコネクタハウジングの嵌合動作を規制し、嵌合凹部とコネクタハウジングが正規の組み合わせであるときには、弾性撓みしたランスが前記誤嵌合規制部と非干渉となってコネクタハウジングの嵌合動作を許容する構成とした。
【0008】
請求項4の発明は、端子金具を挿入するための複数のキャビティと、そのキャビティ内への前記端子金具の挿入途中で弾性撓みするとともにその端子金具が正規挿入された状態では弾性復帰してその端子金具を抜止め状態に保持するランスが形成されているコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングを嵌合させるための嵌合凹部が形成されている受け部材とを備えたコネクタにおいて、前記嵌合凹部に対し不正な組み合わせとなる前記コネクタハウジングが嵌合されることを防止するためのランス強制変位部材であって、前記複数のキャビティのうちの所定のキャビティに挿入されることで前記ランスを弾性撓みさせるようになっているとともに、前記ランスを弾性撓みさせた状態の前記コネクタハウジングが正規の組付相手である前記嵌合凹部に嵌合されたときには、その弾性撓みさせたランスが前記嵌合凹部に設けた誤嵌合規制部と非干渉となって前記コネクタハウジングの前記嵌合凹部への嵌合動作を許容し、前記ランスを弾性撓みさせた状態の前記コネクタハウジングが不正な組付相手である前記嵌合凹部に嵌合されようとしたときには、その弾性撓みさせたランスが前記誤嵌合規制部と干渉してそのコネクタハウジングの嵌合凹部への嵌合動作を規制する構成とした。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記キャビティへの挿入状態において、前記弾性撓みさせた状態のランスに対し前記キャビティからの抜け規制状態に係止する係止部が形成されている構成とした。
【0010】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
コネクタハウジングには、その複数のキャビティのうちの所定のキャビティにランス強制変位部材を挿入して所定のランスを弾性撓みさせておく。コネクタハウジングが正規の組付相手である嵌合凹部に嵌合されたときには、弾性撓みしたランスが誤嵌合規制部と干渉しないので、支障なく嵌合凹部に嵌合される。また、コネクタハウジングが不正な組付相手となる嵌合凹部に嵌合されようとした場合には、弾性撓みしているランスが誤嵌合規制部と干渉するので嵌合動作が規制される。1種類のコネクタハウジングにおいて弾性撓みさせるランスを変更するだけで、誤嵌合規制部のパターンが異なる複数種類の嵌合凹部に対応させることができるので、コネクタハウジングの金型コストを低く抑えることができる。
【0011】
[請求項2の発明]
ランスを利用してランス強制変位部材を抜け止めするようにしたので、ランスとは別の専用の抜止め手段を設ける必要がなく、コネクタハウジングの構造の簡素化を図ることができる。
[請求項3の発明]
コネクタハウジングが正規の組付相手である嵌合凹部に嵌合されたときには、弾性撓みしたランスが誤嵌合規制部と干渉しないので、支障なく嵌合凹部に嵌合される。また、コネクタハウジングが不正な組付相手となる嵌合凹部に嵌合されようとした場合には、弾性撓みしているランスが誤嵌合規制部と干渉するので嵌合動作が規制される。1種類のコネクタハウジングにおいて弾性撓みさせるランスを変更するだけで、誤嵌合規制部のパターンが異なる複数種類の嵌合凹部に対応させることができるので、コネクタハウジングの金型コストを低く抑えることができる。
【0012】
[請求項4の発明]
コネクタハウジングが正規の組付相手である嵌合凹部に嵌合されたときには、弾性撓みさせたランスが誤嵌合規制部と干渉しないので、コネクタハウジングは支障なく嵌合凹部に嵌合される。また、コネクタハウジングが不正な組付相手である嵌合凹部に嵌合されようとしたときには、弾性撓みさせたランスが誤嵌合規制部と干渉することによってコネクタハウジングの嵌合が規制される。本発明のランス強制変位部材を用いれば、1種類のコネクタハウジングにおいて弾性撓みさせるランスを変更するだけで、誤嵌合規制部のパターンが異なる複数種類の嵌合凹部に対応させることができるので、コネクタハウジングの金型コストを低く抑えることができる。
【0013】
[請求項5の発明]
ランスを利用して抜け止めするようにしたので、ランスとは別の専用の抜止め手段を設ける必要がなく、コネクタハウジングの構造の簡素化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図7を参照して説明する。
本実施形態のコネクタは、上下2つの嵌合凹部11A,11Bが形成されている受け部材10と、これら2つの嵌合凹部11A,11Bに嵌合される2つのコネクタハウジング20とを備えて構成され、一般に分割コネクタと称されるものである。
【0015】
受け部材10は合成樹脂製であり、その内部には、複数のキャビティ12が形成されているとともに、上下2つの嵌合凹部11A,11Bが形成されている。キャビティ12には、その後端側の開口から端子金具(図示せず)が挿入されるようになっている。
嵌合凹部11A,11Bは、後方からコネクタハウジング20を嵌合させるようにしたものであり、受け部材10の後端面上において、図5に示すように、上下双方の嵌合凹部11A,11Bはいずれも横長の長円形上に開口されている。また、この2つの嵌合凹部11A,11Bの上下寸法と幅寸法、及び左右両端の半円弧形部の半径は、互いに同じ寸法とされており、後述する誤嵌合規制部14Aa,14Ab,14Ba,14Bbが形成されていなければ、同一種類のコネクタハウジング20が上下いずれの嵌合凹部11A,11Bにも嵌合し得るようになっている。尚、嵌合凹部11A,11Bの左右両端面内周には、抜止め部13が形成されている。
【0016】
コネクタハウジング20は合成樹脂製であり、その内部には複数のキャビティ21が上下2段に分かれ、且つ各段において左右方向に一列に配列された状態で形成されている。各キャビティ21内には、夫々、後方から端子金具30が挿入される。また、コネクタハウジング20の左右両端部外面には、嵌合凹部11A,11Bの抜止め部13と係止可能な係止アーム22が形成されており、コネクタハウジング20が嵌合凹部11A,11Bに嵌合されると、抜止め部13と係止アーム22が係止することで、コネクタハウジング20が抜止め状態に保持されるようになっている。尚、コネクタハウジング20の後端面には、複数のキャビティ21と対応する複数の電線挿通孔24が形成された一括ゴム栓23が取り付けられているとともに、この一括ゴム栓23の後端面に密着するようにゴム栓ホルダ25が取り付けられている。ゴム栓ホルダは、各電線挿通孔24と対応する方形の挿入口26を有し、コネクタハウジング20の後端面に対して一括ゴム栓23を挟圧保持するように組み付けられている。
【0017】
コネクタハウジング20における上段のキャビティ21を構成する上面壁、及び下段のキャビティ21を構成する下面壁には、前方へ片持ち状に延出する形態のランス27が形成されている。このランス27は、コネクタハウジング20の外面側へ突出する方向、即ち、上面壁のランス27は上方へ、下面壁のランス27は下方へ向けて弾性撓みし得るようになっている。弾性撓みしたランス27は、コネクタハウジング20の上面又は下面よりもさらに上方又は下方に突出する状態となる。また、上段側のランス27は、その下面(上段側のキャビティ21に望む側の面)から突出する係止突起27Aを有し、下段側のランス27は、その上面(下段側のキャビティ21に望む側の面)から突出する係止突起27Aを有している。この係止突起27Aの前面(キャビティ21に対する端子金具30の挿入方向先方の面)は端子金具30の挿入方向(前後方向)に対してほぼ直交する係止面27Fとなっている。
【0018】
キャビティ21に挿入される端子金具30について説明すると、端子金具30は、その前端側部分に角筒部31を有しているとともに、この角筒部31の後端から後方へ延出する電線圧着部32を有しており、角筒部31と電線圧着部32とはその底壁33同士が細長い一枚板状に連続している。
上段側のキャビティ21には、底壁33を下側に向けた姿勢で端子金具30が後方から挿入される。挿入の過程では、端子金具30の角筒部31の上面と係止突起27Aとが干渉することによって上段側のランス27が上方へ弾性撓みし、端子金具30が正規位置まで深く挿入されると、角筒部31が係止突起27Aを通過するため、ランス27がその弾性復元力によって下方へ弾性復帰し、係止突起27Aが角筒部31の後端上縁に対して後方から係止する。この係止突起27Aの角筒部31への係止により、端子金具30が抜止め状態に保持される。この端子金具30を抜止めしているときのランス27は、自由状態、即ち弾性撓みしておらず、コネクタハウジング20の上面20A(ランス27同士の間を仕切る隔壁の上縁)から上方へ突出しない状態となっている。
【0019】
一方、下段側のキャビティ21には、端子金具30が、底壁33を上側に向けた姿勢、即ち上段側のキャビティ21に挿入されるときとは上下反転した姿勢で後方から挿入される。尚、挿入過程及び正規挿入された状態における端子金具30とランス27との干渉及び係止の形態は、上段側のキャビティ21に対する端子金具30の挿入動作と同様であるので、説明は省略する。
さて、本実施形態のコネクタにおいては、上下の各嵌合凹部11A,11Bに対して不正な組付相手となるコネクタハウジング20が嵌合されようとしたときに、その嵌合動作を規制するための手段が設けられている。以下、その構成を説明する。各嵌合凹部11A,11Bの内周には、夫々、誤嵌合規制部14Aa,14Ab,14Ba,14Bbが形成されている。誤嵌合規制部14Aa,14Ab,14Ba,14Bbは、嵌合凹部11A,11Bの内周面のうちの上下両平坦面部に形成されており、嵌合方向における奥側領域から内側へ張り出す形態となっている。即ち、上面側の誤嵌合規制部14Aa,14Baは下方へ下がった形態であり、下側の誤嵌合規制部14Ab,14Bbは上方へ持ち上がった形態となっている。上面側の誤嵌合規制部14Aa,14Baの下面の高さ、及び下面側の誤嵌合規制部14Ab,14Bbの上面の高さは、ランス27が弾性撓みしていない状態(コネクタハウジング20の外面20Aから突出していない状態)でコネクタハウジング20が嵌合凹部11A,11Bに嵌合されたときにはランス27とは干渉しないが、ランス27が弾性撓みしてコネクタハウジング20の外面20Aから突出した状態のコネクタハウジング20を嵌合凹部11A,11Bに嵌合したときには、その弾性撓みしたランス27が干渉してコネクタハウジング20のそれ以上の嵌合動作を規制するような高さに設定されている。
【0020】
さて、かかる誤嵌合規制部14Aa,14Ab,14Ba,14Bbには、正規の組付相手であるコネクタハウジング20の嵌合を許容する手段として、切欠部15A,15Bが形成されている。この切欠部15A,15Bは、左右方向、即ちコネクタハウジング20におけるキャビティ21の並列方向における所定の位置にのみ形成され、且つ左右方向における切欠部15A,15Bの形成位置は、上段の嵌合凹部11Aと下段の嵌合凹部11Bとで互いに異なる位置に設定されている。また、この切欠部15A,15Bの位置は、複数のランス27のうちのいずれか1つのランス27と対応する位置に設定されている。この切欠部15A,15Bと対応するランス27が弾性撓みした状態でコネクタハウジング20が嵌合された場合、その弾性撓みしたランス27は切欠部15A,15B内に入り込むようになり、誤嵌合規制部14Aa,14Ab,14Ba,14Bbとは干渉しない。したがって、弾性撓みしたランス27と誤嵌合規制部14Aa,14Ab,14Ba,14Bbとの干渉に起因してコネクタハウジング20の嵌合動作が規制されることはない。
【0021】
さらに、不正な組付相手となるコネクタハウジング20の嵌合を規制する手段として、ランス強制変位部材40が用いられている。ランス強制変位部材40は、全体として前後方向に細長い角棒状をなし、後端面からは細長い丸棒状の摘み部41が後方に突出形成されている。尚、摘み部41は、一括ゴム栓23の電線挿通孔24に水密状態に貫通され、ゴム栓ホルダ25の挿入口26内に臨んでいる。ランス強制変位部材40の左右両側面及び下面は全長に亘って平坦状をなすが、上面については、その前端側領域が下端側領域よりも少し段差状に高くなっている。この係止段部42よりも前方の部分は、高さ及び幅が端子金具30の角筒部31と同じであり、係止段部42よりも後方の部分の高さは端子金具30の角筒部31よりも小さくなっているが、その寸法差はごく僅かである。したがって、ランス27の係止突起27Aが係止段部42よりも後方部分の上面と干渉している状態では、ランス27は弾性撓みしてコネクタハウジング20の外面20Aから突出し、その突出寸法は、誤嵌合規制部14Aa,14Ab,14Ba,14Bbと干渉し得るのに十分な寸法となっている。
【0022】
また、ランス強制変位部材40の前端面から係止段部42までの前後方向の寸法は、端子金具30の角筒部31の前後方向の寸法と同じ寸法とされている。したがって、ランス強制変位部材40がキャビティ21内の最も奥の正規挿入位置まで挿入されると、ランス27の係止突起27Aが係止段部42に対して後方から係止し、もって、ランス強制変位部材40がキャビティ21からの抜け規制状態に保持されるようになっている。
【0023】
次に、本実施形態の作用を説明する。
コネクタハウジング20の複数のキャビティ21のうち、所定の1つのキャビティ21(そのコネクタハウジング20を嵌合すべき嵌合凹部11A,11Bの切欠部15A,15Bと対応するキャビティ21)にはランス強制変位部材40が挿入される。このランス強制変位部材40の挿入により、所定のランス27が、その係止突起27Aをランス強制変位部材40の係止段部42よりも後方の外面と干渉することによってコネクタハウジング20の外面から突出する状態となる。また、他のキャビティ21には、夫々、端子金具30が挿入される。また、ランス強制変位部材40を挿入すべきキャビティ21(即ち、弾性撓みさせるべきランス27)は、上段側の嵌合凹部11Aに嵌合すべきコネクタハウジング20と、下段側の嵌合凹部11Bに嵌合すべきコネクタハウジング20とで、互いに異なっている。
【0024】
このように弾性撓みさせたランスの位置が互いに異なる2つのコネクタハウジング20は、夫々、所定の嵌合凹部11A,11Bに嵌合される。図2の下段側に示すように、コネクタハウジング20が正規の組付相手である嵌合凹部11Bに嵌合された場合には、弾性撓みしているランスが切欠部15B内に進入することになるので、コネクタハウジング20の嵌合動作が規制されることはなく、コネクタハウジング20は支障なく嵌合される。この正規の嵌合は、上段側においても同様に行われる。
【0025】
これに対し、不正な組付相手である嵌合凹部11A,11Bに嵌合しようとした場合(例えば、下段側の嵌合凹部11Bに嵌合すべきコネクタハウジング20を上段側の嵌合凹部11Aに嵌合しようとした場合)には、図2の上段側及びストッパ6に示すように、嵌合の途中で、弾性撓みしているランス27が誤嵌合規制部14Aaに当接し、それ以上のコネクタハウジング20の嵌合動作が規制される。これにより、コネクタハウジング20と嵌合凹部11Aの組み合わせが不正であったことがわかる。この不正な嵌合は、下段側においても同様に行われる。
【0026】
上述のように本実施形態においては、キャビティ21に挿入することによってランス27を弾性撓みさせるランス強制変位部材40を用い、嵌合凹部11A,11Bには、複数のキャビティ21のうち所定のキャビティ21にランス強制変位部材40が挿入されたときに弾性撓みするランス27とは非干渉であり、且つ所定のキャビティ21以外の他のキャビティ21にランス強制変位部材40が挿入されたときに弾性撓みするランス27とは干渉する誤嵌合規制部14Aa,14Ab,14Ba,14Bbとを形成した。これにより、1種類のコネクタハウジング20において弾性撓みさせるランス27を変更するだけで、誤嵌合規制部14Aa,14Ab,14Ba,14Bbのパターンが異なる複数種類の嵌合凹部11A,11Bに対応させることができる。換言すると、コネクタハウジング20を複数種類用意する必要がないので、コネクタハウジング20の金型コストを低く抑えることができる。
【0027】
しかも、誤嵌合を防止する手段としてコネクタハウジング20側にはランス27が備えられていれば済むので、既存のコネクタハウジング20をそのまま使用することが可能であり、新たにコネクタハウジング20成形用の金型を製造せずに済んでいる。
また、キャビティ21に挿入したランス強制変位部材40を抜止めする手段として、端子金具30を抜止めするためのランス27を利用したので、ランス27とは別の専用の抜止め手段を設ける必要がなく、コネクタハウジング20の構造の簡素化が図られている。
【0028】
また、本実施形態では、1つの嵌合凹部11A,11Bに上下2つの誤嵌合規制部14Aa,14Ab,14Ba,14Bbを形成するとともに、切欠部15A,15Bを一方の(上段側の)誤嵌合規制部14Aa,14Baのみにしか形成していない。したがって、たとえ嵌合凹部11A,11Bとコネクタハウジング20が正規の組み合わせであったとしても、コネクタハウジング20の嵌合姿勢が正規とは上下反転した姿勢であるときには、弾性撓みしているランス27が下段側の誤嵌合規制部14Ab,14Bbと干渉するので、この場合にも、嵌合が規制される。よって、上下反転した姿勢での嵌合も防止することができるようになっている。
【0029】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では1つの受け部材に対して複数のコネクタハウジングを嵌合させる分割コネクタに適用した例を説明したが、本発明は、1つの受け部材(雄側コネクタハウジング)と1つのコネクタハウジング(雌側コネクタハウジング)とを一対一で嵌合させるコネクタにも適用することができる。
【0030】
(2)上記実施形態では雌側コネクタハウジングの複数のキャビティを上下2段に分けて配列したが、本発明によれば、キャビティを1段のみの配列としてもよく、3段以上に分けた配列としてもよい。
(3)上記実施形態ではランスによってランス強制変位部材を抜け止めするようにしたが、本発明によれば、ランス強制変位部材をランスとは別の手段によって抜止めするようにしてもよい。
(4)上記実施形態では誤嵌合規制部を、嵌合凹部の奥側の位置に配置したが、本発明によれば、誤嵌合規制部を嵌合凹部の入口(開口縁)又はその近傍に配置してもよい。
【0031】
(5)上記実施形態では切欠部を1つの嵌合凹部に1つだけ形成したが、本発明によれば、1つの嵌合凹部に複数の切欠部を形成してもよい。
(6)上記実施形態ではランスがコネクタハウジングの外面側に突出する形態で弾性撓みし、その弾性撓みしたランスが嵌合凹部の内周に形成した誤嵌合規制部と干渉するようにしたが、本発明によれば、ランスの弾性撓みがコネクタハウジングの内部で行われるようにし、その弾性撓みしたランスが、嵌合凹部の奥端面にピン状に突成された誤嵌合規制部がコネクタハウジング内に進入して弾性撓みしたランスと干渉するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のコネクタハウジングの分解状態を示す斜視図
【図2】嵌合凹部にコネクタハウジングを嵌合した状態を示す断面図
【図3】嵌合凹部からコネクタハウジングを外した状態を示す断面図
【図4】コネクタハウジングの断面図
【図5】嵌合凹部及び誤嵌合規制部をあらわす正面図
【図6】ランス強制変位部材とランスと係止状態を示す部分拡大断面図
【図7】ランス強制変位部材の斜視図
【符号の説明】
10…受け部材
11A…嵌合凹部
11B…嵌合凹部
14Aa…誤嵌合規制部
14Ab…誤嵌合規制部
14Ba…誤嵌合規制部
14Bb…誤嵌合規制部
20…コネクタハウジング
21…キャビティ
27…ランス
30…端子金具
40…ランス強制変位部材
Claims (5)
- 端子金具を挿入するための複数のキャビティと、そのキャビティ内への前記端子金具の挿入途中で弾性撓みするとともにその端子金具が正規挿入された状態では弾性復帰してその端子金具を抜止め状態に保持するランスが形成されているコネクタハウジングと、
前記キャビティへの挿入を可能とされ、前記キャビティに挿入した状態では前記ランスを弾性撓みさせるランス強制変位部材と、
前記コネクタハウジングを嵌合させるための嵌合凹部が形成されている受け部材と、
前記嵌合凹部に設けられ、前記複数のキャビティのうち所定のキャビティに前記ランス強制変位部材が挿入されたときに弾性撓みする前記ランスとは非干渉であり、且つ前記所定のキャビティ以外の他のキャビティに前記ランス強制変位部材が挿入されたときに弾性撓みする前記ランスとは干渉する誤嵌合規制部とを備えてなることを特徴とするコネクタ。 - 前記ランス強制変位部材には、前記キャビティへの挿入状態において前記弾性撓みした状態のランスと係止することでそのランス強制変位部材の前記キャビティからの抜けを規制する係止部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
- 端子金具を挿入するための複数のキャビティと、そのキャビティ内への前記端子金具の挿入途中で弾性撓みするとともにその端子金具が正規挿入された状態では弾性復帰してその端子金具を抜止め状態に保持するランスが形成されているコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングを嵌合させるための嵌合凹部が形成されている受け部材とを備えたコネクタにおいて、
前記嵌合凹部に対し不正な組み合わせとなる前記コネクタハウジングが嵌合されることを防止するための誤嵌合防止方法であって、
前記複数のキャビティのうち所定のキャビティにランス強制変位部材を挿入することで前記ランスを弾性撓みさせ、
そのランスを弾性撓みさせた状態の前記コネクタハウジングを前記嵌合凹部に嵌合させる際に、
その嵌合凹部とコネクタハウジングが不正な組み合わせであるときには、その弾性撓みしたランスが前記嵌合凹部に設けた誤嵌合規制部と干渉してコネクタハウジングの嵌合動作を規制し、
嵌合凹部とコネクタハウジングが正規の組み合わせであるときには、弾性撓みしたランスが前記誤嵌合規制部と非干渉となってコネクタハウジングの嵌合動作を許容することを特徴とするコネクタの誤嵌合防止方法。 - 端子金具を挿入するための複数のキャビティと、そのキャビティ内への前記端子金具の挿入途中で弾性撓みするとともにその端子金具が正規挿入された状態では弾性復帰してその端子金具を抜止め状態に保持するランスが形成されているコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングを嵌合させるための嵌合凹部が形成されている受け部材とを備えたコネクタにおいて、
前記嵌合凹部に対し不正な組み合わせとなる前記コネクタハウジングが嵌合されることを防止するための誤嵌合防止用のランス強制変位部材であって、
前記複数のキャビティのうちの所定のキャビティに挿入されることで前記ランスを弾性撓みさせるようになっているとともに、
前記ランスを弾性撓みさせた状態の前記コネクタハウジングが正規の組付相手である前記嵌合凹部に嵌合されたときには、その弾性撓みさせたランスが前記嵌合凹部に設けた誤嵌合規制部と非干渉となって前記コネクタハウジングの前記嵌合凹部への嵌合動作を許容し、
前記ランスを弾性撓みさせた状態の前記コネクタハウジングが不正な組付相手である前記嵌合凹部に嵌合されようとしたときには、その弾性撓みさせたランスが前記誤嵌合規制部と干渉してそのコネクタハウジングの嵌合凹部への嵌合動作を規制する構成としたことを特徴とする誤嵌合防止用のランス強制変位部材。 - 前記キャビティへの挿入状態において、前記弾性撓みさせた状態のランスに対し前記キャビティからの抜け規制状態に係止する係止部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の誤嵌合防止用のランス強制変位部材。
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