JP3858641B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイドリテーナを備えたコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
コネクタに備えられているリテーナにおいて、ハウジングの側面から端子金具の軸方向と直交する方向にリテーナを差し込んで端子金具と係止するサイドリテーナタイプが知られている。これはランスにより一次係止された端子金具と直接係合し合うために係止力が強く、通常多く使用されている。その一例として、特開平11−307164号に開示されているようなものが挙げられる。
【0003】
ところで雄端子金具及び雌端子金具にはスタビライザがそれぞれ突設され、一方雄ハウジング及び雌ハウジングの各キャビティには端子金具が正規の向きで挿入された時のスタビライザの形成位置に対応して逃げ部が設けてある。したがって正しい向きでは各端子金具の挿入を許容し、誤った向きではスタビライザがキャビティ壁等に干渉して入らないようになっている。
【0004】
さらに、雄端子金具と雌端子金具のスタビライザはそれぞれ異なった位置に形成され、上記したようにキャビティの逃げ部も各スタビライザに対応した雄雌異なった位置に設けられているため、雄コネクタと雌コネクタ間における雌雄端子金具同士の誤挿入も併せて防止することが可能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、これらの雄端子金具と雌端子金具を係止するリテーナもそれぞれのスタビライザに対応する位置に逃がしを形成しなければならないため、雄コネクタ用と雌コネクタ用にそれぞれ専用のリテーナを製作する必要があった。よって、部品点数が増えて製造コストが高くつくと共に、その取扱いや管理が煩わしいものとなっていた。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、雄コネクタ及び雌コネクタに組付けるリテーナを共通化して部品点数の削減を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、雌雄端子金具と、前記雌雄端子金具をそれぞれ挿入可能なキャビティを備え前記各端子金具の軸方向と交差する方向に前記キャビティと連通して開口したリテーナ挿入孔がそれぞれ設けられた雌雄ハウジングと、前記雌雄ハウジングにおけるいずれのリテーナ挿入孔にも装着可能なリテーナとを備えたコネクタであって、前記雌雄端子金具には、前記雌雄ハウジングに対する挿入向きを規制する識別部が同端子金具の軸方向を除く異なった位置にそれぞれ設けられ、前記キャビティには、雌雄の前記キャビティの異なる位置でかつ同キャビティの長さ方向に沿って誤挿入防止部がそれぞれ形成され、この誤挿入防止部は前記雌雄ハウジングに対し前記雌雄端子金具が正しい対応関係にある場合のみ前記識別部とそれぞれ適合して前記雌雄端子金具を前記キャビティへ挿入可能とし、前記リテーナには、前記キャビティと整合可能な貫通孔が設けられ、かつこの貫通孔には前記雌雄ハウジングの前記リテーナ挿入孔に同リテーナをそれぞれ装着した場合にいずれの前記誤挿入防止部にも連通しいずれの前記識別部も通過可能な許容部が形成されている構成としたところに特徴を有する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記リテーナは、前記雌雄端子金具の挿抜を許容する仮係止位置と前記雌雄端子金具を抜け止めして保持する本係止位置との間を移動可能に形成され、このリテーナが仮係止位置にあるときに前記貫通孔が前記キャビティと整合するところに特徴を有する。
【0009】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
リテーナは雌雄ハウジングの双方に装着可能となっているため、それぞれのリテーナ装着孔にリテーナを挿入しキャビティを貫通孔と整合させておくと、各端子金具をキャビティへ挿入可能な状態となる。ここで、各キャビティに設けられている誤挿入防止部は、雌雄端子金具が雌雄ハウジングに対しそれぞれ正しい対応関係で挿入された場合にのみ識別部と適合して雌雄端子金具を各キャビティへそれぞれ挿入可能としているため、各雌雄端子金具の誤挿入を防いでいる。
【0010】
さらに、雌雄ハウジングのそれぞれにリテーナが装着された場合に、貫通孔の許容部は雌雄ハウジングのいずれの誤挿入防止部とも連通して雌雄端子金具双方の識別部の通過を可能としているため各雌雄端子金具をキャビティ内に挿入することができる。
よってこのような許容部が設けられていることでリテーナを雌雄のハウジングに対して共用することができ、部品点数を削減することができる。
【0011】
<請求項2の発明>
リテーナが仮係止位置にあるときに貫通孔がキャビティと整合しているため、いずれの端子金具もリテーナに干渉することなく円滑にキャビティ内に挿入可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1ないし図7によって説明する。図1に示す雄コネクタ1と雌コネクタ20は互いに嵌合可能となっている。まず、雄コネクタ1から説明すると、雄コネクタ1は雄端子金具2と雄ハウジング6及びリテーナ40とから構成されている。雄端子金具2は前端から順にタブ部4、箱部3及びバレル部3Aとから成っている。さらに箱部3の下面側でかつ幅方向端縁(図3における(A)参照)にはスタビライザ5(識別部)が下方へ突出形成され、キャビティ10内に挿入する向きを規制する役目を果たす。
【0013】
雄ハウジング6は端子収容部9とこの前方に形成されたフード部7とから成っている。フード部7は端子収容部9より一回り大きな角筒状に形成され、かつ前方が開口し雌コネクタ20を内部に嵌め入れ可能となっている。フード部7の上面にはロック孔8が貫通形成され、雌雄のハウジングが正規嵌合した時に雌ハウジング25のロックアーム26と係止可能となっている(図4参照)。また、このときには、フード部7内に突出した雄端子金具2のタブ部4と雌ハウジング25内の雌端子金具21とが正規に接続可能となっている。
【0014】
図4に示すように、端子収容部9内に設けられたキャビティ10の底面には弾性的に上下に撓み可能なランス12が設けられ、雄端子金具2の箱部3に開口したランス係止孔3Bと係止可能となっている。また、図1及び図2に示すようにキャビティ10の底面で一方側のコーナー部には誤挿入防止部11が長さ方向に渡って凹み形成されている。これは前記した雄端子金具2のスタビライザ5の形成位置に対応する位置に設けられている。したがって、雄端子金具2が正しい向きでキャビティ10に挿入される場合にはスタビライザ5は誤挿入防止部11を通過しつつ内部まで装着可能となるが、雄端子金具2を誤った向きで挿入しようとする場合(例えば、上下反転して挿入するような場合)にはスタビライザ5と誤挿入防止部11とが不適合となるため雄端子金具2を挿入不能となっている。
【0015】
端子収容部9の下面側には、リテーナ挿入孔15がキャビティ10を前後に分断するように貫通形成され、リテーナ40を下面側から装着可能としている。リテーナ挿入孔15の幅方向の対向する内側面には一対の係止突部16が突設されリテーナ40を仮係止位置及び本係止位置に係止可能としている(図5及び図6参照)。
【0016】
次に、雌コネクタ20について説明する。図1のように、この雌コネクタ20は雌端子金具21と雌ハウジング25及びリテーナ40とから構成されている。詳しくは後述するが、このリテーナ40は前記した雄ハウジング6と装着したものと同じものが使用可能となっている。雌端子金具21は接続部22とバレル部22Aとから形成されている。また、図3に示すように接続部22の下面側で雄端子金具2とは幅方向における反対側の端縁には、前記した雄端子金具2のスタビライザ5と同形状のスタビライザ24(識別部)が下方へ向けて突出され、スタビライザ5と同様な役目を果たしている。
【0017】
雌ハウジング25はフード部7内に嵌まり込むことができる角筒状にて形成されている。上面にはロックアーム26が弾性的に撓み可能に形成され、ロックアーム26の上面に形成された突部27がフード部7のロック孔8とロック可能となっている。
【0018】
雌ハウジング25の各キャビティ29には前記した雄ハウジング6と同様なランス31が設けられ、雌端子金具21の接続部22に開口したランス係止孔22Bに係止可能となっている。このキャビティ29に設けられた誤挿入防止部30は、雌雄端子金具2,21のスタビライザ5,24の位置が相互に反対の位置に形成されていることに対応して、雄ハウジング6のキャビティ10とは反対側のコーナー部(図2の(B)参照)に形成されている。これらのスタビライザ5,24が雄側と雌側とでは幅方向対称位置に設けられ、かつ誤挿入防止部11,30もそれぞれに対応して形成されていることにより、雄端子金具2と雌端子金具21同士が誤って相手側のキャビティに挿入されてしまうことも回避される。
【0019】
また、雌ハウジング25の下面側には、リテーナ40を装着可能なリテーナ挿入孔15が雄ハウジング6と同一形状で設けられている。
【0020】
次に、図2及び図7に示すリテーナ40について説明すると、このリテーナ40は雄ハウジング6及び雌ハウジング25のリテーナ挿入孔15の双方に装着可能に形成されている。
【0021】
リテーナ40には各キャビティと整合可能な貫通孔44が形成されている。また、各貫通孔44の幅方向における両下縁のコーナー部には、一対の許容部45が貫通孔44の孔縁に沿って凹み形成されている。リテーナ40が雌雄ハウジング6,25の次述する仮係止位置にそれぞれ組み付けられたとき、雄コネクタ1においては許容部45のうち図2に示す右側に位置するものがキャビティ10側の誤挿入防止部11と整合し、雌コネクタ20においては同図における左側に位置するものがキャビティ29側の誤挿入防止部30と整合するように形成されている。これによって、雌雄両コネクタにおいても雌雄端子金具2,21のスタビライザ5,24はリテーナ40部分を通過可能となっている。
【0022】
また、リテーナ40の両側面の端部寄りには仮係止孔42と本係止孔43とが上下に並んでそれぞれ設けられている。図5及び図6のようにリテーナ40がリテーナ挿入孔15に挿入されると、まず上方の仮係止孔42に係止突部16が嵌り込み、仮係止位置に保持される。さらにリテーナ40が押し込まれると仮係止孔42と係止突部16の係止が外れ、下方の本係止孔43に係止突部16が嵌り込み本係止位置に保持されるようになっている。ここで、前記した仮係止位置においては、リテーナ40に形成された貫通孔44と対応する各キャビティ10,29とが整合して雌雄の端子金具を挿抜可能としている。また、本係止位置においては、貫通孔44と各キャビティ10,29とが不整合となることにより、貫通孔44の開口縁が雄コネクタ1では雄端子金具2の箱部3の後端と引っ掛かり、雌コネクタ20では雌端子金具21の接続部22の後端と引っ掛かることにより雌雄端子金具2,21の抜け止めがなされている。
【0023】
よって、上記した本実施形態によれば、雌雄コネクタ1,20においてスタビライザ5,24及び誤挿入防止部11,30が相互に反対の位置に形成されていることにより、誤って雄端子金具2を雌ハウジング25に挿入、あるいは雌端子金具21を雄ハウジング6に挿入しようとした場合には、雌雄端子金具2,21のスタビライザ5,24がいずれも雌雄ハウジング6,25の後端面に干渉して挿入不能となる。したがって、端子金具とコネクタが誤った組合わせで組み付けられるのを防止できる。
【0024】
端子金具とコネクタが正しい組合わせで組み付けられる場合には、まず雄コネクタ1においては雄ハウジング6のリテーナ挿入孔15にリテーナ40を挿入し、仮係止孔42に係止突部16を嵌め込んで仮係止位置に保持する。すると、キャビティ10と貫通孔44とが整合し、かつ誤挿入防止部11と図2に示す右側の許容部45とが整合する。そのため、雄端子金具2をキャビティ10に挿入する際には、スタビライザ5が許容部45を通過できるためリテーナ40に干渉することなく雄端子金具2を雄ハウジング6内に装着可能となる。このように雄端子金具2をキャビティ10内に挿入した後、雄端子金具2のランス係止孔3Bとランス12とが係止することで雄端子金具2は1次係止される。そして、リテーナ40を仮係止位置からさらに押し入れると本係止孔43と係止突部16とが嵌まりあって本係止位置に保持される。すると、貫通孔44がキャビティ10と不整合となるため、貫通孔44の開口縁と雄端子金具2の箱部3の後端とが引っ掛かりあって雄端子金具2が抜け止めされる。
【0025】
また、雌コネクタ20の場合も同様に、リテーナ40が仮係止位置に組み付けられた状態ではキャビティ29と貫通孔44とが整合し、誤挿入防止部30と図2に示す左側の許容部45とが整合するため雌端子金具21のスタビライザ24を挿通可能となる。その後、雄コネクタ1と同様にランス31とリテーナ40により雌端子金具21は抜け止めされる。
【0026】
このように、雄ハウジング6と雌ハウジング25の誤挿入防止部11,30とそれぞれ連通する許容部45が貫通孔44に併せて設けられていることで、リテーナ40を雄ハウジング6及び雌ハウジング25に共用して使用することができ、部品点数の削減が可能となる。
【0027】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0028】
(1)上記した実施形態では許容部45を2箇所に設けたが、双方の誤挿入防止部11,30とも連通可能な大きさの許容部45を1箇所形成しても良い。
(2)上記した実施形態では、雌雄のスタビライザ5,24を同一形状としたが、異なる形状にしてもよく、その場合、各スタビライザ5,24と適合したいずれの誤挿入防止部11,30にも連通可能な形状の許容部45を一対設ければ良い。
【0029】
(3)上記した実施形態では、雌雄端子金具2,21にスタビライザ5,24を突設し、キャビティ10,29に誤挿入防止部11,30を凹設して各端子金具の挿入向きを規制したが、逆に雌雄端子金具2,21に凹みを設け、キャビティ10,29に凸部を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における雄コネクタ及び雌コネクタの分解斜視図
【図2】(A)は雄ハウジングとリテーナを示す背面図
(B)は雌ハウジングとリテーナを示す背面図
【図3】(A)は雄端子金具のスタビライザの位置関係を示す概略図
(B)は雌端子金具のスタビライザの位置関係を示す概略図
【図4】雌雄コネクタが嵌合した状態の縦断面図
【図5】雄ハウジングにリテーナが仮係止位置に装着された状態を示す横断面図
【図6】雄ハウジングにリテーナが本係止位置に装着された状態を示す横断面図
【図7】リテーナの正面図
【符号の説明】
2…雄端子金具
6…雄ハウジング
5,24…スタビライザ(識別部)
10,29…キャビティ
11,30…誤挿入防止部
15…リテーナ挿入孔
21…雌端子金具
25…雌ハウジング
40…リテーナ
44…貫通孔
45…許容部
Claims (2)
- 雌雄端子金具と、前記雌雄端子金具をそれぞれ挿入可能なキャビティを備え前記各端子金具の軸方向と交差する方向に前記キャビティと連通して開口したリテーナ挿入孔がそれぞれ設けられた雌雄ハウジングと、前記雌雄ハウジングにおけるいずれのリテーナ挿入孔にも装着可能なリテーナとを備えたコネクタであって、
前記雌雄端子金具には、前記雌雄ハウジングに対する挿入向きを規制する識別部が同端子金具の軸方向を除く異なった位置にそれぞれ設けられ、
前記キャビティには、雌雄の前記キャビティの異なる位置でかつ同キャビティの長さ方向に沿って誤挿入防止部がそれぞれ形成され、この誤挿入防止部は前記雌雄ハウジングに対し前記雌雄端子金具が正しい対応関係にある場合のみ前記識別部とそれぞれ適合して前記雌雄端子金具を前記キャビティへ挿入可能とし、
前記リテーナには、前記キャビティと整合可能な貫通孔が設けられ、かつこの貫通孔には前記雌雄ハウジングの前記リテーナ挿入孔に同リテーナをそれぞれ装着した場合にいずれの前記誤挿入防止部にも連通しいずれの前記識別部も通過可能な許容部が形成されていることを特徴とするコネクタ。 - 前記リテーナは、前記雌雄端子金具の挿抜を許容する仮係止位置と前記雌雄端子金具を抜け止めして保持する本係止位置との間を移動可能に形成され、このリテーナが仮係止位置にあるときに前記貫通孔が前記キャビティと整合することを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
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