JP3988023B2 - 固体撮像素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトダイオードで生成した信号電荷を転送ゲート部を介してフローティングデフュージョン部に転送し、画像信号として取り出すように構成された撮像画素を有する固体撮像素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図5に示すような構成の撮像画素を有する固体撮像素子が知られている。
この固体撮像素子は、シリコン基板1の撮像画素領域に、受光量に応じた信号電荷を生成する埋め込みフォトダイオード(PD)10と、このフォトダイオード10の信号電荷を取り出すためのフローティングデフュージョン(FD)部20と、フォトダイオード10の信号電荷をフローティングデフュージョン部20に転送するための転送ゲート部30とを設けたものである。
【0003】
図示の例では、シリコン基板1に撮像画素を形成するためのPwell領域を設け、このPwell領域に埋め込みフォトダイオード10として、上層の光電変換領域としてのp+層11を基板表面に設けるとともに、その下層に電荷蓄積領域としてのn層12を設けたものである。
また、フローティングデフュージョン部20は、シリコン基板1の上層領域にn+層を設けたものである。
また、転送ゲート部30は、シリコン基板1の表面に絶縁膜2を介してゲート電極膜31を配置した構造となっている。
なお、転送ゲート部30によってフローティングデフュージョン部20に転送された信号電荷は、図示しないMOSトランジスタ等による増幅部を経て電圧信号あるいは電流信号に変換され、画像信号として出力される。
また、図1に示すような撮像画素は、2次元配列または1次元配列で複数設けられており、複数の撮像画素による撮像信号が生成されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の固体撮像素子においては、例えば、映像情報メディア学会誌Vol.55,No.2,pp.257〜263(2001)による論文「CMOSイメージセンサにおける低電圧駆動埋込みPDの解析(埋込みPD構造による低リーク電流の検討)」にも指摘されるように、信号電荷の転送経路におけるポテンシャルディップとポテンシャルバリアとを両立させたポテンシャル構造とすることができないという問題がある。
【0005】
そこで、この対策として、以下のような手法(1)(2)が考えられる。
(1)斜めイオン注入(II)や別フォトリソグラフィ(PR)によって電荷蓄積領域を転送ゲート部の下層領域にまでオーバーラップさせるようにする。
(2)転送経路に追加イオン注入を行う(例えば、特開2000−286405号公報参照)。
しかしながら、(1)の場合、斜めイオン注入では、高々0.2〜3μm程度のオーバーラップ量しか得られず、上述のような問題を解決するには、実際上、限界がある場合が多いという問題がある。
また、別フォトリソグラフィとして場合、合わせずれがあるため、特性を解決できる製造マージンが小さいという問題がある。
また、(2)の場合についても別フォトリソグラフィが必要であり、(1)の場合と同様に合わせずれがあるため、特性を解決できる製造マージンが小さいという問題がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、転送ゲート部における転送特性を有効に向上でき、かつ、製造マージンを大きくとれて製造が容易な固体撮像素子の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、受光量に応じた信号電荷を生成して電荷蓄積領域に蓄積するフォトダイオードと、前記フォトダイオードからの信号電荷を取り出すためのフローティングデフュージョン部と、前記フォトダイオードの信号電荷をフローティングデフュージョン部に転送するための転送ゲート部とを有する撮像画素を半導体基板内に形成した固体撮像素子の製造方法において、前記フォトダイオードから前記フローティングデフュージョン部にわたる領域に前記フォトダイオードの電荷蓄積領域と同一導電型のイオン注入を行い、転送容易化領域を形成するためのイオン注入層を形成する第1工程と、その後、前記フォトダイオードの信号電荷を前記フローティングデフュージョン部に転送するための前記転送ゲート部を形成し、前記転送ゲート部をマスクとして用い、前記半導体基板にフォトダイオードおよびフローティングデフュージョン部を形成するためのイオン注入を行うことにより、自己整合的に前記転送容易化領域とフォトダイオードおよびフローティングデフュージョン部との境界を形成し、前記転送ゲート部の下層領域に転送容易化領域を形成する第2工程とを有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による固体撮像素子およびその製造方法の実施の形態例について説明する。
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限定されないものとする。
本実施の形態による固体撮像素子の基本的な特徴は、撮像画素を構成するフローティングデフュージョン部、フォトダイオード、転送ゲート部下の全領域に対して追加のイオン注入を行うことにより、自己整合的に転送容易化領域を転送ゲート部の下層領域に形成することができ、かつ、転送ゲート部と転送容易化領域とのオーバーラップを十分にとることができるようにした点である。
以下、本発明を適用した固体撮像素子の具体例について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態による固体撮像素子の撮像画素の構造を示す断面図である。
この固体撮像素子は、本発明を適用した最も基本的な構成を有する例であり、図1に示すように、シリコン基板100の撮像画素領域に、受光量に応じた信号電荷を生成する埋め込みフォトダイオード(PD)110と、このフォトダイオード110の信号電荷を取り出すためのフローティングデフュージョン(FD)部120と、フォトダイオード110の信号電荷をフローティングデフュージョン部120に転送するための転送ゲート部130とを設け、転送ゲート部130からフローティングデフュージョン部120にわたる下層領域にフォトダイオード110の電荷蓄積領域と同層の転送容易化領域(n層)140を設けたものである。
【0012】
具体的には、シリコン基板100に撮像画素を形成するためのPwell領域を設け、このPwell領域に埋め込みフォトダイオード110として、上層の光電変換領域としてのp+層111を基板表面に設けるとともに、その下層に電荷蓄積領域としてのn層112を設けたものである。
また、フローティングデフュージョン部120は、シリコン基板100の上層領域にn+層を設けたものである。
また、転送ゲート部130は、シリコン基板100の表面のフローティングデフュージョン部120とフォトダイオード110の境界領域に絶縁膜200を介してゲート電極膜131を配置したものである。
そして、転送ゲート部130からフローティングデフュージョン部120にわたる下層領域に、転送容易化領域140としてのn層が設けられている。
この転送容易化領域(n層)140は、フォトダイオード110の電荷蓄積領域であるn層112と連続する構造で形成されている。
【0013】
なお、本例の固体撮像素子は、転送ゲート部130によってフォトダイオード110からフローティングデフュージョン部120に転送された信号電荷を、図示しないMOSトランジスタ等による増幅部を経て電圧信号あるいは電流信号に変換され、各種の信号処理を経て画像信号として出力されるCMOSイメージセンサを構成しており、上述のような撮像画素が2次元配列または1次元配列で複数設けられ、複数の撮像画素からの出力信号が合成されて、1つの撮像信号として出力される。
ただし、本発明の特徴は、図示の範囲(すなわち、フォトダイオード、転送ゲート部、フローティングデフュージョン部を形成した範囲)にあるため、固体撮像素子の全体や周辺部の構造、さらには信号処理方式等は種々の形態に適用が可能であり、これらによって本発明の範囲が限定されないものとする。
【0014】
図2および図3は、本実施の形態による固体撮像素子の変形例の構造を示す断面図である。
これらの固体撮像素子は、図1に示す対撮像素子に対し、フォトダイオード110とフローティングデフュージョン部120との間のパンチスルーを防止するパンチスルー防止領域150、160を設けたものである。
まず、図2に示す例では、転送ゲート部130からフローティングデフュージョン部120にわたる領域の転送容易化領域140より深い位置にp層よりなるパンチスルー防止領域150を形成したものである。
また、図3に示す例では、転送ゲート部130の下層領域の転送容易化領域140より浅い位置にp層よりなるパンチスルー防止領域160を形成したものである。
【0015】
そして、この図3に示す例では、パンチスルー防止領域160と転送容易化領域140によって新たに暗電流抑制効果を得ることが可能である。
すなわち、通常、転送ゲート部のオフ時の電位とPwell領域とは同じGNDレベルであり、そのため、転送ゲート側のポリシリコン膜と基板側のシリコンの仕事関係差により、転送ゲート部の下層が空乏化してしまう。すると、暗電流が発生し、その一部がフォトダイオードに入り込んでくる。
そこで、転送ゲート下にp領域が形成されることにより、埋め込みフォトダイオードのp+とつながり、ポテンシャル的に転送ゲート下で発生した暗電流がフォトダイオードに流れ込みにくくなり、フローティングデフュージョン方向に向って流れることとなる。
なお、図3に示すようにパンチスルー防止領域160を設けた場合には、転送容易化領域140がない場合でも、その暗電流抑制効果は期待できるが、完全転送は困難になるため、転送容易化領域140は必須となる。
【0016】
また、さらに細部の変形例として、図1〜図3に示す各例において、転送容易化領域140とフォトダイオード110の電荷蓄積領域112とを形成する深さを変えてもよい。
例えば、電荷蓄積領域112に対して転送容易化領域140を浅く形成した場合には、転送容易化領域140と転送ゲート部130との容量結合が強くなるため、転送ゲート部130によるポテンシャル変調を大きくすることができ、この結果、転送容易化機能を強化させることが可能となる。
逆に、電荷蓄積領域112に対して転送容易化領域140を深く形成した場合には、暗電流がフローティングデフュージョン部120により流れ込み易くなるため、暗電流を抑制することが可能となる。
なお、以上の各実施例は、必要となる固体撮像素子の性能や許容コスト等を考慮して適宜選択的に採用することが可能である。
【0017】
次に、以上のような固体撮像素子な製造方法の一例について説明する。
図4は、本例における固体撮像素子の製造工程の一例を示す断面図である。
まず、図4(A)において、半導体基板100上に絶縁膜200と、画素分離用のLOCOS層210と、画素以外の領域をマスクするレジスト膜220を設けた状態で、画素領域全体に転送容易化領域140および暗電流抑制層170を形成するためのイオン注入を行う。
なお、転送容易化領域140はn型、暗電流抑制層170はp型であるので、それぞれに最適なイオンを順番に打ち込んでいく。
【0018】
次に、図4(B)において、転送ゲート部130とフォトダイオード110を形成する。
先にフォトリソグラフィ等によってポリシリコン膜等によるゲート電極膜131とその上層の絶縁膜132を形成した後、レジスト膜230でフローティングデフュージョン部120をマスクし、フォトダイオード110の電荷蓄積領域(n層)112、光電変換領域(p+層)111をイオン注入等によって順次形成していく。
この形成過程で、自己整合的にフォトダイオード110側の暗電流抑制層170及び転送容易化領域140の境界が形成される。
【0019】
次に、図4(C)において、転送ゲート部130の側部の絶縁膜132を形成した後、レジスト膜240でフォトダイオード110をマスクし、フローティングデフュージョン部120側にnチャネルソース/ドレインを形成する。
この形成過程で、自己整合的にフローティングデフュージョン部120側の暗電流抑制層170及び転送容易化領域140の境界が形成される。
【0020】
以上のような本例の固体撮像素子およびその製造方法を採用することにより、以下のような効果を得ることが可能である。
(1)自己整合的に信号電荷の転送容易化領域を形成できるため、製造マージンを確保することができ、製造が容易で低コスト化を図ることが可能である。
(2)転送容易化領域と転送ゲートとのオーバーラップを十分にとることができ、転送特性を改善できる。
(3)暗電流抑制領域および転動容易化領域の形成深さを電荷蓄積領域に対して調整することにより、固体撮像素子の特性を変えることができ、用途等に応じた設計の自由度を向上することが可能である。
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、例えば、上述の例では電荷蓄積領域をn型で説明したが、n型とp型を入れ替えた構成とすることも可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の固体撮像素子の製造方法によれば、転送容易化領域を形成するためのイオン注入を行い、その後、フォトダイオードおよびフローティングデフュージョン部を形成することにより、その形成過程で転送ゲート部の下層領域に転送容易化領域を自己整合的に形成することから、容易な製造工程によって転送ゲート部における転送特性を有効に向上でき、かつ、製造マージンを大きくとれて製造が容易な固体撮像素子の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による固体撮像素子の画素構造を示す断面図である。
【図2】図1に示す画素構造の変形例を示す断面図である。
【図3】図1に示す画素構造の他の変形例を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態による固体撮像素子の製造工程を示す断面図である。
【図5】従来例の固体撮像素子の画素構造を示す断面図である。
【符号の説明】
100……シリコン基板、110……埋め込みフォトダイオード(PD)、111……光電変換領域(p+層)、112……電荷蓄積領域(n層)、120……フローティングデフュージョン部、130……転送ゲート部、131……ゲート電極膜、140……転送容易化領域、150、160……パンチスルー防止領域、170……暗電流抑制層。
Claims (4)
- 受光量に応じた信号電荷を生成して電荷蓄積領域に蓄積するフォトダイオードと、前記フォトダイオードからの信号電荷を取り出すためのフローティングデフュージョン部と、前記フォトダイオードの信号電荷をフローティングデフュージョン部に転送するための転送ゲート部とを有する撮像画素を半導体基板内に形成した固体撮像素子の製造方法において、
前記フォトダイオードから前記フローティングデフュージョン部にわたる領域に前記フォトダイオードの電荷蓄積領域と同一導電型のイオン注入を行い、転送容易化領域を形成するためのイオン注入層を形成する第1工程と、
その後、前記フォトダイオードの信号電荷を前記フローティングデフュージョン部に転送するための前記転送ゲート部を形成し、前記転送ゲート部をマスクとして用い、前記半導体基板にフォトダイオードおよびフローティングデフュージョン部を形成するためのイオン注入を行うことにより、自己整合的に前記転送容易化領域とフォトダイオードおよびフローティングデフュージョン部との境界を形成し、前記転送ゲート部の下層領域に転送容易化領域を形成する第2工程と、
を有することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。 - 前記第1工程で、前記半導体基板の画素領域全域に前記転送容易化領域を形成するためのイオン注入を行うことを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子の製造方法。
- 前記第1工程で、転送容易化領域を形成するためのイオン注入層の上層に前記転送容易化領域と異なる導電型のイオン注入を行い、暗電流抑制層を形成するためのイオン注入層を形成することを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子の製造方法。
- 前記第2工程で、フォトダイオードを形成するためのイオン注入を行うことにより、フォトダイオードと転送容易化領域及び暗電流抑制層との境界を形成し、フローティングデフュージョン部を形成するためのイオン注入を行うことにより、フローティングデフュージョン部と転送容易化領域及び暗電流抑制層との境界を形成することを特徴とする請求項3記載の固体撮像素子の製造方法。
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