JP3987599B2 - 筋ジストロフィー治療剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筋ジストロフィー治療剤に関する。さらに詳しくは、ヒト免疫グロブリンを主成分とする安全でかつ有効な筋ジストロフィー治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
筋ジストロフィーとは、進行性筋ジストロフィーとも呼ばれ、「筋線維の変性・壊死を主病変とし、臨床的には進行性の筋力低下を伴う遺伝性疾患」と定義されているいわゆる難病の一種である。その中で最も代表的なものはX染色体劣性遺伝をとるDuchenne型筋ジストロフィーである。そのほか、常染色体劣性遺伝をとる先天型、肢帯型、優性遺伝をとる顔面・肩甲・上腕型がある。いずれも筋力低下は進行性で、呼吸筋の筋力低下による呼吸不全か、心不全で死の転帰をとることが多い。
【0003】
筋ジストロフィーに対する根本的治療法は未だ見出されておらず、症状の進行を遅らせるためのリハビリテーションや呼吸管理等が重要な意味をもつとされている。筋ジストロフィーに対する薬物療法としては、ATP(アデノシン3燐酸)製剤と末梢の循環不全の改善のためビタミンEの定期的処方がなされているが、根本的治療ではないうえその効果も十分ではない。また、最近、ダントロレンナトリウムが血清クレアチンキナーゼ(CK)値を下げ、筋力低下を防止するのではないかと期待され、治験されているが、未だ研究段階にある。また、ステロイドホルモンが再認識されているが副作用の点で一般化は困難である。
このように、筋ジストロフィーに対する効果的で安全な治療剤は未だ存在せずその提供が切望されているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、筋ジストロフィーに対する安全でかつ有効な治療剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、筋ジストロフィーに効果を有する薬物を発見すべく鋭意研究を続けたところ、従来より無又は低γグロブリン血症や特発性血小板減少性紫斑病や川崎病や重症感染症に効果を有することが知られているヒト免疫グロブリンを主成分とする薬物が、意外にも、これらの疾病とは本質的に異なる遺伝性疾患である筋ジストロフィーに対しても極めて有効であることを発見した。本発明はかかる事実に基づき完成するに至ったものである。
【0006】
即ち、本発明の要旨は、ヒト血漿を原料とし、(1)免疫グロブリンを集め、この画分についてポリエチレングリコール処理を行って原画分とし、さらに安定化、等張化処理を施して製剤化するか、または(2)免疫グロブリンを集め、この画分についてpH4の条件下で透析及び限外ろ過処理を行って原画分とし、さらに安定化、等張化処理を施して製剤化することにより製造されたヒト免疫グロブリン製剤であって、ヒト免疫グロブリンの90%以上がヒトIgGである筋ジストロフィー治療剤に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の治療剤はヒト免疫グロブリンを主成分とする。すなわち、ヒト血漿を原料として製造されたヒト免疫グロブリンを主成分とする製剤である。ヒト免疫グロブリンはヒト免疫グロブリンG(ヒトIgG)、ヒトIgM、ヒトIgA、ヒトIgD、ヒトIgEからなることが知られているが、本発明の治療剤の主成分であるヒト免疫グロブリンはヒトIgGが主体である。
【0008】
ヒト血漿を原料として製造されたヒト免疫グロブリン製剤は、これまで世界各国で麻疹の予防及び治療や、伝染性肝炎及び輸血後黄疸の予防や、重症感染症や、無及び低ガンマグロブリン血症などの免疫不全症候群の治療等に静脈内投与して効果が認められており、また特発性血小板減少紫斑病(ITP)(P. Imbach et. al., The Lancet 1981, 1228) や川崎病急性期の治療にその大量投与が有効であることが知られている。しかし、これらの疾患とは本質的に異なる遺伝性の疾患である筋ジストロフィーに対してかかるヒト血漿を原料として製造されたヒト免疫グロブリン製剤の投与が極めて有効であることは未だ全く知られておらず、予想すらされていない。ヒト血漿を原料として製造されたヒト免疫グロブリン製剤のこの筋ジストロフィー治療効果は、本発明者らによって世界で初めて発見されたものである。
【0009】
本発明の治療剤すなわち、ヒト免疫グロブリンを主成分とする筋ジストロフィー治療剤は、ヒト血漿を原料とし、例えば、厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」に基づいて製造されうるものであり、医薬品としてヒトに投与できる程度に高度に精製されたヒト免疫グロブリンを主成分とする製剤であれば、特に限定されない。ここに、ヒト免疫グロブリンを主成分とする筋ジストロフィー治療剤とは、ヒト免疫グロブリンの含量が筋ジストロフィー治療剤の90%以上を占めることを意味し、より具体的にはその含量が90〜99%を占めることを意味する。また、本発明の筋ジストロフィー治療剤のヒト免疫グロブリンの主成分はヒトIgGであり、より具体的にはヒトIgGがヒト免疫グロブリンの90%以上をしめる。さらに具体的にはヒトIgGの割合がヒト免疫グロブリン中の90〜99%を占めるものである。
【0010】
具体的には、本発明の治療剤は、例えば、厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」に基づいて製造されうる乾燥ポリエチレングリコール処理ヒト免疫グロブリン製剤、厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」に基づいて製造されうるポリエチレングリコール処理ヒト免疫グロブリン製剤、厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「pH4処理酸性人免疫グロブリン」に基づいて製造されうるpH4処理酸性ヒト免疫グロブリン製剤、厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥pH4処理人免疫グロブリン」に基づいて製造されうる乾燥pH4処理ヒト免疫グロブリン製剤、厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥イオン交換樹脂処理人免疫グロブリン」に基づいて製造されうる乾燥イオン交換樹脂処理ヒト免疫グロブリン製剤、厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥スルホ化人免疫グロブリン」に基づいて製造されうる乾燥スルホ化ヒト免疫グロブリン製剤、厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「アルキル化人免疫グロブリン」に基づいて製造されうるアルキル化ヒト免疫グロブリン製剤、厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥プラスミン処理人免疫グロブリン」に基づいて製造されうる乾燥プラスミン処理ヒト免疫グロブリン製剤、及び厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン」に基づいて製造されうる乾燥ペプシン処理ヒト免疫グロブリン製剤等が好適に例示される。
【0011】
厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」に基づいて製造されうるポリエチレングリコール分画処理ヒト免疫グロブリン製剤は、通常次の方法により製造することができる。すなわち、ヒト血漿を原料とし、免疫抗体を変質させることなく、かつ、肝炎ウイルスその他の病原微生物を可及的に除去できる適当な方法によって原血漿を分画し、免疫グロブリンを集め、この画分についてポリエチレングリコール処理を行い原画分とする。ついで、原画分に適当な安定剤、等張化剤等を含む液を加えて最終バルクを作り、分注する。さらに、凍結乾燥すると厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」に基づく製剤が得られる。
なお、ウイルス不活性化を目的とした低温加熱殺菌、光照射、S/D処理及び/又はウイルス除去を目的としたウイルス除去膜透過等の工程を上記の製造工程の中にあるいは製造工程の後に適宜挿入することが好ましい。
【0012】
上記の製造法に含まれる代表的な方法としては、次の3方法を挙げることができる。すなわち、▲1▼コーン(Cohn)氏の低温エタノール分画法(Cohn, E. J. ら,J. Am. Chem. Soc.,68, 459-475 (1946)) によって得られる免疫グロブリン画分、又はコーン(Cohn)氏の低温エタノール分画法の後にさらにオンクレーの分画法(Oncley, J. L.ら, J. Am. Chem. Soc.,71, 541-550 (1949)) を適用して得られる免疫グロブリン画分を例えば高濃度のポリエチレングリコール(PEG4000)を用いてさらに分画し、当該画分中に存在する凝集体を除去したあと、PEG除去を行わず、そのまま安定剤として製剤中に残して調製する方法、▲2▼低温エタノール分画法によって得られる免疫グロブリン画分をヒドロキシエチルスターチの共存下にPEG4000で沈殿させ、さらにこれらの処理剤を除去する方法、▲3▼PEG4000による沈殿の後DEAEイオン交換樹脂で処理する方法である。なお、本発明の治療剤には必要に応じて、ヒト血清アルブミンなどの凍結乾燥補助剤、PEG、ヒト血清アルブミン、D−マンニトール、ソルビトール、グルコースなどの安定剤、D−マンニトール、グルコースなどの溶解補助剤、塩化ナトリウムなどの等張化剤等が適宜添加される。
【0013】
厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」に基づく本発明の筋ジストロフィー治療剤の製造法をさらに詳細に例示すると以下のようになる。コーン氏の冷エタノール分画法で得られた画分IIを1%グリシンの存在下にpH6.0でタンパク質濃度が約3%になるように溶解する。この溶液にポリエチレングリコール4000を6.0%となるように加え、生じる免疫グロブリン凝集体及び他の夾雑タンパク質の沈殿を除去した後、上清をpH7.2に調整し、さらにポリエチレングリコール4000を12%になるように加えて、抗補体活性の低い高純度免疫グロブリンを沈殿として採取する。次いで、この沈殿を溶解して得た高純度免疫グロブリン溶液を陰イオン交換体カラムに負荷し、その通過液をさらにウイルス除去膜で処理したのち低温でエタノールを加えて生じた沈殿を採取する事により、夾雑タンパク質や免疫グロブリン凝集体を実質的に含まず、ポリエチレングリコール濃度が低く抗補体活性の低い高純度免疫グロブリンを得る。
得られた沈殿を0.9%塩化ナトリウムと2.5%ブドウ糖を含む溶液で溶解した後、除菌濾過及び凍結乾燥して静脈内投与が可能な製剤を得る。
ただし、これらは例示にすぎず、当技術分野で公知の修正を加えることに問題はない。
【0014】
厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「pH4処理酸性人免疫グロブリン」に基づいて製造されうるpH4処理ヒト免疫グロブリン製剤は、通常次の方法により製造することができる。すなわち、ヒト血漿を原料とし、免疫抗体を変質させることなく、かつ、肝炎ウイルスその他の病原微生物を可及的に除去できる適当な方法によって原血漿を分画し、免疫グロブリンを集め、この画分についてpH4の条件下で透析及び限外ろ過の操作を行ってこれを原画分とし、ついで原画分に適当な安定剤、等張化剤等を含む液を加えて最終バルクを作り、分注して製剤とする。
【0015】
また、厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥pH4処理人免疫グロブリン」に基づいて製造されうる乾燥pH4処理ヒト免疫グロブリン製剤は、通常次の方法により製造することができる。すなわち、ヒト血漿を原料とし、免疫抗体を変質させることなく、かつ、肝炎ウイルスその他の病原微生物を可及的に除去できる適当な方法によって原血漿を分画し、免疫グロブリンを集め、この画分についてpH4で極微量のペプシンと共に処理を行った後、中性の原画分とし、この原画分に適当な安定剤、等張化剤等を含む液を加えて最終バルクを作り、分注あるいは分注後凍結乾燥して製剤とする。
【0016】
厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥イオン交換樹脂処理人免疫グロブリン」に基づいて製造されうる乾燥イオン交換樹脂処理ヒト免疫グロブリン製剤は、通常次の方法により製造することができる。すなわち、ヒト血漿を原料とし、免疫抗体を変質させることなく、かつ、肝炎ウイルスその他の病原微生物を可及的に除去できる適当な方法によって原血漿を分画し、免疫グロブリン画分を集め、この画分についてDEAEセファデックスなどのイオン交換樹脂処理を行って原画分とし、この原画分に適当な安定剤、等張化剤等を含む液を加えて最終バルクを作り、分注した後凍結乾燥して製剤とする。
【0017】
厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「乾燥スルホ化人免疫グロブリン」に基づいて製造されうる乾燥スルホ化ヒト免疫グロブリン製剤は、通常次の方法により製造することができる。すなわち、ヒト血漿を原料とし、免疫抗体を変質させることなく、かつ、肝炎ウイルスその他の病原微生物を可及的に除去できる適当な方法によって原血漿を分画し、免疫グロブリン画分を集め、この画分について免疫グロブリンを構成する鎖間のジスルフィド結合がスルホ化されるような、例えば亜硫酸ナトリウムとテトラチオン酸ナトリウムなどの適当なスルホ化剤を用いて、正常免疫グロブリンGと同じ易動度を示す成分含量が5%以下になるようにスルホ化処理を行い、処理後スルホ化剤を除去してこれを原画分とし、原画分に適当な安定剤、等張化剤等を含む液を加えて最終バルクを作り、分注した後凍結乾燥して製剤とする。
【0018】
厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」の「アルキル化人免疫グロブリン」に基づいて製造されうるアルキル化ヒト免疫グロブリン製剤は、通常次の方法により製造することができる。すなわち、ヒト血漿を原料とし、免疫抗体を変質させることなく、かつ、肝炎ウイルスその他の病原微生物を可及的に除去できる適当な方法によって原血漿を分画して免疫グロブリン画分を集め、この画分について免疫グロブリンを構成する鎖間のジスルフィド結合を還元しアルキル化するような例えばジチオスレイトールなどの適当な還元剤及びヨードアセトアミドなどのアルキル化剤を用いて正常免疫グロブリンGと同じ易動度を示す成分含量が7%以下になるように還元及びアルキル化処理を行い、処理後還元剤及びアルキル化剤を除去してこれを原画分とし、原画分に適当な安定剤、等張化剤等を含む液を加えて最終バルクを作り分注して製剤とする。
【0019】
本発明の治療剤すなわち、ヒト血漿を原料として製造されたヒト免疫グロブリン製剤は、実質上重合型免疫グロブリンを含まず、IgG、スルホ化IgG又はアルキル化IgGとしての純度は90%以上を示す。抗補体活性は5%タンパク質濃度で測定して20単位以下である。なお、IgGの純度及び抗補体価はそれぞれ厚生省薬務局監修「生物学的製剤基準」一般試験法のセルロースアセテート膜電気泳動試験法及び抗補体性否定試験法により測定される。
【0020】
本発明の治療剤としては、より具体的には、日本製薬社製「献血グロベニン(登録商標)−I−ニチヤク」、ミドリ十字社製「献血ヴェノグロブリン(登録商標)IH」、化血研製「ベニロン(登録商標)」、富士レビオ社製「グロブリンN」、バイエル社製「ポリグロビン(登録商標)N」、サンド社製「サングロポール(登録商標)」等が例示される。
【0021】
本発明の治療剤は、注射用蒸留水、例えば、「日局」注射用水にタンパク質として10〜100mg/ml程度、好ましくは50mg/ml程度に溶解して、点滴又は静注等にて投与することが好ましい。
【0022】
本発明の治療剤の投与対象は、筋ジストロフィー患者であれば特に限定されない。
【0023】
本発明の治療剤の投与量は、体重、症状、性別などによって変わり得るが、通常は、1回約50〜1000mg(1〜20ml)/kg体重程度、好ましくは50〜400mg(1〜8ml)/kg体重程度である。通常は上記の量を1日1回の割合で数日間投与する。
【0024】
本発明の治療剤は他の用途において既に臨床に供されており、その毒性については特に問題はない。例えば、日本製薬社製「献血グロベニン(登録商標)−I−ニチヤク」についての急性毒性試験、亜急性毒性試験、慢性毒性試験、生殖試験、抗原性、変異原性等に関する試験の結果は以下のとおりである。
急性毒性(LD 50 , g/kg
マウスに対しては、静注で7.5より大、皮下で15.0より大、経口で15.0より大であり、ラットに対しては静注で約6.0、皮下で15.0より大、経口で15.0より大であった(今井 清等、応用薬理、26:887(1983))。
亜急性毒性
ラットに250、500又は1000mg/kg/日を5週間連日静脈内投与したが、本発明の治療剤の直接的毒性を示唆する異常は認められなかった(土谷稔等、応用薬理、26:895(1983))。
慢性毒性
ラットに125、250又は500mg/kg/日を26週間連日静脈内投与したが、本発明の治療剤の直接的毒性を示唆する異常は認められなかった(土谷稔等、応用薬理、27:39(1984))。
【0025】
生殖試験
ラットによる妊娠前及び妊娠初期投与試験、ラット及びウサギによる器官形成期投与試験並びにラットによる周産期及び授乳期投与試験を実施したが、本発明の治療剤のラット及びウサギの生殖及び催奇形性作用に及ぼす影響は認められなかった(斎藤 実等、応用薬理、27:63(1984)、斎藤 実等、応用薬理、27:173(1984)、佐藤利和等、応用薬理、27:191(1984)、斎藤 実等、応用薬理、27:199(1984))。
【0026】
抗原性
健康成人3例に21日間隔で2.5g/回を3回静脈内投与し、初回投与後7、8、9週目の血清についてモルモットを用いた受身皮膚アナフィラキシー反応(PCA)を実施したが、すべて陰性であった(若林芳久、臨床薬理、14:515(1983))。
【0027】
変異原性
本発明の治療剤は、ネズミチフス菌5株及び大腸菌1株を用いた復帰変異試験において変異原性を全く示さず、また、ラット肝ミクロゾームを用いた代謝活性化法による復帰変異試験でも変異原性を全く示さなかった(岩原繁雄等、(財)食品薬品安全センター秦野研究所報告(1981))。
【0028】
【実施例】
以下、実施例及び臨床例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0029】
実施例1
下記に示す4例の筋ジストロフィー患者に対して本発明の治療剤を投与するため、市販のヒト免疫グロブリンを主成分とする本発明の治療剤を使用した。具体的には、臨床例1の場合は、本発明の治療剤としてミドリ十字社製「献血ヴェノグロブリン(登録商標)IH」5.0gを、臨床例2の場合は、本発明の治療剤として日本製薬社製「献血グロベニン(登録商標)−I−ニチヤク」5.0gを添付の日本薬局方注射用水100mlに溶解し、臨床例3及び臨床例4の場合は、本発明の治療剤としてバイエル社製「ポリグロビン(登録商標)N」2.5g製剤1本及び2本をそれぞれ使用し、点滴静注により患者に投与した。
【0030】
臨床例1
患者(M.K.): 22歳の女性である。
診断: 筋ジストロフィー(肢体型)である。
病歴: 4歳頃から歩行時転倒傾向があった。小学校までしか体育の授業を受けられなかった。17歳時、肺炎による呼吸不全で夜間のみ体外式呼吸器を装着した。
所見: 顔面及び近位筋優位の四肢の筋萎縮、筋力低下を認めた。呼吸不全のため夜間のみ呼吸器を装着していた。
処置: 本発明の治療剤として、静注用ヒト免疫グロブリン製剤「献血ヴェノグロブリン(登録商標)IH」を5.0g/日の投与量で6日間投与した。
投与の前後の肺活量、握力及び血清CK(クレアチンキナーゼ)値は表1に示すとおりである。
【0031】
【表1】
Figure 0003987599
【0032】
表1から明らかなように、呼吸機能及び上肢遠位筋力の改善並びに血清CKの改善が認められた。
【0033】
臨床例2
患者(A.H.): 50歳の女性である。
診断: 遺伝性遠位型ミオパチーである。
所見: ベッド上の寝たきり状態で四肢の筋力低下が高度であった。上肢の挙上も不可能であった。心機能が悪く心不全として長期入院していた。
処置: 5日間と、2ヵ月後の5日間にかけて、静注用ヒト免疫グロブリン製剤「献血グロベニン(登録商標)−I−ニチヤク」5.0g/日を投与した。
投与前後の握力、血清CK値、及び臥位での上肢挙上を調べた結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0003987599
【0035】
表2から明らかなように、握力及び血清CK値に変化は見られなかったが、臥位での上肢挙上に著しい改善が認められ、投与前に不可能であった上肢挙上が可能となった。従って、四肢の筋力低下が高度な患者であっても、本発明の治療剤の投与により上肢近位筋の筋力の改善が認められた。
【0036】
臨床例3
患者(E.S.): 43歳の女性である。
診断: 遺伝性遠位型ミオパチーである。
病歴: 35歳から階段の昇り降り、爪先立ちができなくなった。40歳頃から床から立ち上がれなくなった。
所見: 四肢遠位筋の筋力低下と筋萎縮を認め、下肢は近位筋も筋力低下をきたしていた。車椅子を使用し、ベッドと車椅子の移動には全面介助が必要であった。
処置・経過: 本発明の治療剤として、静注用ヒト免疫グロブリン製剤「ポリグロビン(登録商標)N」2.5g/日を6日間投与した。
【0037】
ベッドと車椅子の移動について投与直後は僅かに体が軽い感じがした程度であった。投与後1週間で体の安定性が増してきたようで、投与後1か月間程度はかなり体が軽く感じ、足で踏ん張れるようになったとの自覚症状の改善をきたした。薬剤投与による副作用は見られなかった。投与前後の血中ミオグロビン、血清CK、血清GOT、血清GPTのデータを比較した結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0003987599
【0039】
表3から明らかなように、薬剤投与後、血中ミオグロビン、血清GOT、血清GPTの値が正常化した。
また、投与前と投与後の同患者の筋力検査では、投与後に四肢・躯幹の筋力低下の改善が認められた。
【0040】
臨床例4
患者(N.H.): 25歳の男性である。
診断: 遺伝性遠位型ミオパチーである。
病歴: 15歳から四肢・躯幹の筋力が緩徐に低下してきた。
所見: 車椅子の利用が必要であり、ベッドと車椅子の移動には介助が必要である。
処置・経過: 本発明の治療剤として、静注用ヒト免疫グロブリン製剤「ポリグロビン(登録商標)N」5.0g/日を6日間投与した。製剤投与による副作用は見られなかった。投与前の血清CKは306であったが、投与後には血清CKは92に改善していた。自覚症状、筋力低下の改善は認められなかった。
以上の結果をまとめると、本発明の治療剤の投与により、血清CK値の改善が認められた。
【0041】
【発明の効果】
筋ジストロフィー患者に本発明の治療剤を投与すると、筋力低下が自・他覚的に改善しあるいはクレアチンキナーゼ(CK)値が改善するなどの筋ジストロフィーの症状の改善が観察される。また、有害な副作用は観察されない。従って、本発明により、筋ジストロフィーの治療に極めて有効で安全な治療剤が提供される。

Claims (1)

  1. ヒト血漿を原料とし、(1)免疫グロブリンを集め、この画分についてポリエチレングリコール処理を行って原画分とし、さらに安定化、等張化処理を施して製剤化するか、または(2)免疫グロブリンを集め、この画分についてpH4の条件下で透析及び限外ろ過処理を行って原画分とし、さらに安定化、等張化処理を施して製剤化することにより製造されたヒト免疫グロブリン製剤であって、ヒト免疫グロブリンの90%以上がヒトIgGである筋ジストロフィー治療剤。
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