JP3986844B2 - コンクリート穿孔用コアビット及び穿孔方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、石材やコンクリート構造物などに穴あけ加工を行うコアビット及び穿孔方法に関するものであり、特に下水管に使用されるマンホールを穿孔するためのコアビット及び穿孔方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木、建設工事などにおいて、コンクリート構造物を解体する工具の一つとして、図4に示すような、円筒状の台金の一端にダイヤモンド砥粒を結合材で結合したチップが複数個接合され、他端には回転装置に取り付けるための取付部をねじなどで固定できるようにしたコアビットが使用される。このコアビットを用いて構造物を解体する工法の一つとして、図5に示すように多数の穴をつなぎ合わせるように穿孔して不要な構造物を撤去するものがあり、この穿孔は穴あけそのものが目的ではなく、切断の代用として用いるものである。
【0003】
上記のように、従来のコアビットは、円筒状の台金の一端にチップが接合されているが、穿孔時の抵抗を小さくして加工速度を向上させ、切れ味を良好にするために、できるだけチップの幅(半径方向の大きさ)を小さくする方向にある。この場合、台金の内周面や外周面が被削材と接すれば抵抗は増し、状況によっては加工不能になるため、台金の厚みはチップの幅より小さくして段差が設けられている。しかしながら上記のような理由によりこの段差もできるだけ小さくしてチップの幅を小さくする試みが行われている。
【0004】
上記の用途の他に、近年では耐震工事にもコアビットが数多く使用されるようになってきた。この一つとして、下水管に使用されるマンホールの耐震工事が挙げられる。マンホールは地中に埋設されているが、地震の際に外力が加わるとマンホールの本管と枝管との接続部などで亀裂が発生し破壊される恐れがある。これを防止するために、図6に示すように本管の枝管が接続されている部分の周囲を切断して空隙を設け、この空隙に弾性樹脂などを充填して接続させる工法が提案されている。この空隙を形成するために、上記のようなコアビットを用いてマンホールの壁面を周方向に切断する方法が採られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のコアビットでは、穿孔すると必ず被削材のコアが発生し、このコアが被削材から折れて台金内部に残るため、一穴穿孔する毎に台金内部から折れたコアを取り除く必要がある。コアを取り除くには、台金の他端に設けられた装置取付部とコアビットを分解し、コアビットの他端側からコアを取り出すのが一般的である。ところが、上記のようなマンホールは通常知られているように穴径が1m程度と空間が狭く、このような中での作業で一穴穿孔する毎にコアビットと取付部を分解しコアを取り出すのは容易ではなく、しかも作業に長時間を要するため作業性が悪くなるという問題が発生する。
【0006】
例えば、マンホール本管の外径が1500mm、厚みが250mm、内径が1000mmで、枝管の直径が300mmの場合、枝管が接続されている部分の本管を直径400mm程度の円周上に連続した穴をあけて切断することが行われる。この場合、外径30mmのコアビットを使用すれば1ヶ所で40穴以上穿孔する必要がある。このように多数の穴を穿孔するのに一穴毎に折れたコアを取り出すのは非常に作業性が悪くなる。特にマンホールは公共の道路などに設置されており、作業時間も相当の制約があるため作業性の向上が望まれる。
【0007】
本発明のコアビットは以上のような問題を解決するものであり、一穴穿孔する毎に台金内部からコアを除去する必要がなく、作業空間の限られた現場でも作業性の良いコアビット及び穿孔方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のコアビットの第1の特徴は、円筒状の台金の一端に、回転軸と直交する作用面が扇形のダイヤモンドチップが複数個設けられた外径60mm以下のコアビットにおいて、前記台金の内周面は、他端から一端に向かって略一定の径の等径部と、前記等径部に連続する一端側には一端側に向かうほど径が小さくなるテーパー部とを有し、前記台金の内周面の等径部と前記ダイヤモンドチップの内周面との段差tは、前記ダイヤモンドチップの内周面の直径dより1mm以上大きくしたことである。
【0009】
穿孔した際に発生するコアの直径は、ダイヤモンドチップの内周面の直径dで決定され、直径dより僅かに小さい径となる。台金内周面の等径部とダイヤモンドチップの内周面の段差tをコアの直径より大きくしておけば、台金内部の等径部に穿孔完了後の折れたコアが存在していても次の穿孔中に発生するコア(被削材から折れていないコア)と接触することがなく、穿孔作業がスムーズに行える。すなわち、一穴穿孔する毎に台金内部からコアを取り出す必要がなく、作業性が向上する。また、等径部とダイヤモンドチップの間にはテーパー部があるため、穿孔中あるいは穿孔完了後に折れたコアが等径部の方へスムーズに移動する。しかもこれらのコアが穿孔中にダイヤモンドチップに接触しないので、穿孔時の振動が抑制され、ダイヤモンドチップと台金の接合部分にも接触しないのでダイヤモンドチップが外れるという問題も発生しない。さらに、テーパー部を形成することで台金の一端面を広くすることができ、ダイヤモンドチップとの接合面を大きくすることができる。
【0010】
段差tを直径dより大きくするためには、どうしてもダイヤモンドチップの幅が大きくなってしまい、あまり幅が大きいと切れ味が悪化する。また、コアの径が大きくなると被削材から折るのが困難となる。切れ味を確保し被削材からコアを容易に折ることができるという観点から、外径は60mm以下のコアビットに適用できるものとした。このようにコアビットの外径が小さいため、接合強度を確保し、切れ味及び切粉の排出性向上の観点から、ダイヤモンドチップの数は2〜6ヶとするのが好ましい。
【0011】
【0012】
【0013】
上記のコアビットにおいて、テーパー部の面は、台金の回転軸に対して30〜70度とするのが好ましい。30度以上とするのは、等径部が短くなりすぎないようにするとともに、台金内部のコアがテーパー部の面上に移動するのを防ぐためであり、70度以下とするのはこれ以上大きくなると台金の一端面の肉厚が薄くなり、強度が弱くなるためである。
【0014】
第2の特徴は、円筒状の台金の一端に、回転軸と直交する作用面が扇形のダイヤモンドチップが複数個設けられた外径60mm以下のコアビットにおいて、前記台金の内周面は、他端から一端に向かって略一定の径の等径部と、前記等径部に連続する一端側には前記等径部より径が小さい細径部とを有し、前記台金の内周面の等径部と前記ダイヤモンドチップの内周面との段差tは、前記ダイヤモンドチップの内周面の直径dより1mm以上大きくしたことである。
【0015】
直径dと段差tとの関係は上記のコアビットと同様であるが、等径部とダイヤモンドチップの間は等径部に連続したテーパー部とせず、等径部とは段差を設けて径が小さい細径部としている。よって、等径部と細径部との境界部にはこれらの面とは略90度で壁面が形成される。この壁面があるので、台金内部の折れたコアは等径部に保持され、ダイヤモンドチップに接触することを防止できる。この形状は、斜め下方向に切り込んでいく穿孔作業を行う場合に特に有効である。
【0016】
上記のいずれのコアビットにおいても、段差tは、ダイヤモンドチップの内周面の直径dより1mm以上大きくするのが好ましい。これは、穿孔時に台金を回転させると内部のコアは等径部で転がるが、振動などにより僅かに浮き上がることがあり、この場合にも穿孔中に発生する被削材から折れていないコアとの接触を防止できるようにするためである。さらに、台金が上記のような形状となっていることで、軽量化やダイヤモンドチップの接合強度を向上させるなどの効果がある。
【0017】
また、ダイヤモンドチップは、外周から内周にかけて2層以上で構成され、内周側ほど集中度を大きくするか、あるいは、内周側ほど結合材の硬度を高くするのが好ましい。これは以下のような理由による。
【0018】
本発明のコアビットは、直径が60mm以下と細く、しかもダイヤモンドチップの幅が大きい。そのため、ダイヤモンドチップの外周側と内周側では周速が大きく異なり、均一に摩耗しにくくなる。内周側では非常に周速が遅くなり、ダイヤモンド砥粒には大きな力がかかって脱落しやすくなる。よって上記のように、ダイヤモンドチップを外周から内周にかけて2層以上で構成し、内周側ほど集中度を大きくして砥粒1ヶあたりの負荷を小さくするのが好ましい。また、内周側ほど結合材の硬度を高くして摩耗しにくいものとし、ダイヤモンド砥粒が脱落しにくいようにすることも好ましい。
【0019】
また、本発明のコアビットの使用方法として、上記のコアビットを用いて、マンホールを穿孔することを特徴とする。上記のコアビットでは、折れたコアを一穴毎に台金内部から取り出す必要が無く、マンホールのような狭い空間での作業を効率よく行うことができる。なお、使用するコアビットの長さについては、装置への取付部と台金他端部との間に円筒状のチューブを接続することで自由に延ばすことが可能であるが、全長を300mm〜500mmとして使用するのが好ましい。300mm以上とするのは、壁面を貫通させるために必要な長さであり、500mm以下とするのは手持ちで作業する場合にぶれるのを抑制するとともに、マンホール内の狭い空間でも作業性を向上させるためである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のコアビットの例を図1に示す。1は鉄などの金属からなる台金、2はダイヤモンド砥粒を金属結合材で結合したダイヤモンドチップである。台金1の一端面3にはダイヤモンドチップ2がろう付けなどにより接合されている。結合材は樹脂系のレジンボンドやガラス質系のビトリファイドボンドなども適用できるが、コンクリート特に鉄筋コンクリートの加工を行うには、切れ味と寿命の点で金属結合材を使用するのが好ましい。また、ダイヤモンドチップ2の作用面は回転軸と直交するが、この作用面の形状は扇形としており、幅が通常のものよりも大きいため、切粉の排出性は悪化しやすい。そのため、切粉の排出性向上の点からダイヤモンドチップ2同士の間の溝は外周側になるほど広がるようにするのが好ましく、上記のようにダイヤモンドチップ2の数を2〜6ヶとして等間隔に配置し、溝の数を確保しておくのが好ましい。なお、ダイヤモンドチップ2の半径方向の幅を部位により異ならせたり、あるいは少し外周側や内周側にずらせてコアの径を小さくすることも可能であるが、穿孔中の振動防止やダイヤモンドチップ2を均一に摩耗させる点からダイヤモンドチップ2の幅は一定とし、外周面及び内周面はそれぞれ同一円周上になるようにするのが好ましい。
【0021】
台金1の内周面は他端から一端方向に向かって等径部1aが形成されており、等径部1aに連続して一端側にはテーパー部が形成されている。このテーパー部は一端に向かうほど径が小さくなるようにテーパーが付いている。なお、テーパー部の一端側には径が一定の部分を僅かに設けておいても良い。このようにすれば、台金一端面3の最内周側の強度が向上できる。ダイヤモンドチップ2の外周面は台金1の外周面より外側に突出するように段差が設けられ、ダイヤモンドチップ2の内周面は台金1の内周面のもっとも径が小さい部分より内側に突出するように段差が設けられている。
【0022】
台金1の内周面の等径部1aとダイヤモンドチップ2の内周面との段差tは、ダイヤモンドチップ2の内周面の直径dより大きくなるようにダイヤモンドチップ2の幅が決められている。このような形状にすることで、穿孔後に発生するコアの径はd以下となり、被削材から折れたコアは等径部1aの部分に移動する。また、穿孔時に台金1が回転しても折れたコアはテーパー部1bによって台金1内での移動が抑制され、ダイヤモンドチップ2に接触することがない。これにより、ダイヤモンドチップ2に衝撃を与えたり、ろう付け部に接触して摩耗させることがないので、ダイヤモンドチップ2が台金1から外れるという問題が防止できる。
【0023】
図2は、台金1の内周面を等径部1aと細径部1cにしたものである。台金1の内周面には他端から一端に向かって等径部1aが形成され、等径部1aより段差を設けて細径部1cを形成している。この細径部1cは図2のように一定の径としても良いが、図3のように台金1の一端に向かうほど径が細くなるようなテーパー面を形成し、その一端側に径が一定の細径部を設けても良い。このような形状にすれば、被削材から折れたコアは等径部1aの部分に移動し、穿孔時に台金1が回転しても折れたコアは壁面1dによって台金1内での移動が抑制され、ダイヤモンドチップ2に接触することがなく、図1のものと同様の効果が得られる。
【0024】
ダイヤモンドチップ2は幅方向に2層以上の構造としている。上記のように本発明のコアビットは、台金1の内周面の等径部1aとダイヤモンドチップ2の内周面との段差tは、ダイヤモンドチップ2の内周面の直径dより大きくなるようにしているため、ダイヤモンドチップ2の外周面側と内周面側では周速が2倍以上差があることになる。そのため、摩耗の状況が外周側と内周側で大きく異なり、均一に摩耗しないという問題が起こりやすい。内周側の周速が遅いため砥粒1ヶにかかる負荷が大きくなるので、内周側が摩耗しにくいような構造とする必要がある。その対策として、幅方向に2層以上の構造とし、内周側ほど集中度を高くしている。層の数はチップの幅により適宜決定すればいいが、本発明のコアビットでは直径60mm以下のものとしているので、2層または3層が好ましい。具体的には、内周側の集中度を外周側に対して1.2〜1.5倍とするのが好ましい。このようにすればダイヤモンドチップ2が不均一に摩耗するのを緩和させることが容易にできる。
【0025】
また、集中度を異ならせるのに代え、結合材の硬度を内周側ほど高くして、結合材が摩耗しにくくしても同様の効果が得られる。なお、集中度と結合材の両方を異ならせることもできるのは言うまでもない。
【0026】
【実施例】
本発明のコアビットを実施例をあげて、より具体的に詳しく説明する。
【0027】
(実施例1)
粒径#40/50のダイヤモンド砥粒をCo−Cu−Snの結合材用粉末と混合した後、金型に充填して成形し、焼結してダイヤモンドチップ2を製作した。ダイヤモンドチップ2は図1に示すように作用面が扇形の形状で、外周面のRは15mm、内周面のRは3.5mm、長さ19mm、幅11.5mm、高さ7mmとした。ダイヤモンド砥粒の集中度はダイヤモンドチップ2全体にわたり45とした。結合材は、硬度HRBが95のものとした。台金1は直径30mmの鉄製の棒を材料とし、穴をあけて内周面及び外周面を切削して図1に示す形状のものを準備した。加工後のサイズは、外径28mm、等径部1aの内径20mm、テーパー部1bの角度はコアビットの軸に対して30度、テーパー部1bの一端側の内径は8mmである。この台金1に上記のダイヤモンドチップ2の外周面が台金1の外周面より1mm外側になるようにして、等間隔に3ヶをろう付けしてコアビットを製作した。
【0028】
上記のコアビットを電動穿孔装置に取り付け、穿孔試験を行った。被削材はマンホールに使用されるものと同等の鉄筋コンクリートを製作した。この被削材は、厚みが100mmの板状のもので、耐圧強度は24〜34MPaとし、外径6mmの鉄筋を60mm間隔で配置したものである。なお、鉄筋は厚み方向と直角方向に平行に配置されている。穿孔条件は、冷却水として水を使用し、供給量は2L/min、コアビットの回転速度は1100min−1であり、図5に示すように実際の穿孔と同様に穴を連続させた方法で行った。
【0029】
以上の条件にて穿孔試験を行った結果、一穴の穿孔速度は、穿孔した部分に鉄筋が含まれる部分では平均105秒、コンクリートのみの部分では平均39秒であった。また、15穴連続でコアを取り出すことなく穿孔することができ、コアがダイヤモンドチップ2やろう付け部に接触することもなかった。ダイヤモンドチップ2の摩耗状態については、外周側と内周側で摩耗量に差があり、使用途中でダイヤモンドチップ2の内周面と台金1のテーパー部との段差がなくなり切れ味の低下する現象が見られた。ダイヤモンドチップ2の高さ7mmのうち最も摩耗していない部分が2mm残った状態で使用できなくなり、穿孔できた合計長さは14.6mだった。
【0030】
(実施例2)
実施例1と形状、結合材、ダイヤモンド砥粒が同じダイヤモンドチップ2で、集中度を内周側と外周側で異ならせたものを、実施例1と同じ台金1にろう付けし、コアビットを製作した。集中度は、幅11.5mmのうち外周側7.5mmを45とし、内周側4mmを53とした。
【0031】
上記のコアビットを実施例1と同じ被削材及び条件で穿孔した結果、一穴の穿孔速度は、穿孔した部分に鉄筋が含まれる部分では平均89秒、コンクリートのみの部分では平均33秒であった。また、15穴連続でコアを取り出すことなく穿孔することができ、コアがダイヤモンドチップ2やろう付け部に接触することもなかった。ダイヤモンドチップ2の摩耗状態については、外周側と内周側で比較的均一に摩耗させることができ、高さ7mmのダイヤモンドチップ2がほとんど無くなるまで使用することができ、穿孔できた合計長さは18.0mだった。
【0032】
(実施例3)
実施例2と同じダイヤモンドチップ2を準備し、台金1を図2に示す形状のものにろう付けしてコアビットを製作した。台金1の細径部1cの内径は8mm、細径部1cの軸方向長さは10mmとした。
【0033】
上記のコアビットを実施例1と同じ被削材及び条件で穿孔した結果、一穴の穿孔速度は、穿孔した部分に鉄筋が含まれる部分では平均87秒、コンクリートのみの部分では平均34秒であった。また、15穴連続でコアを取り出すことなく穿孔することができ、コアがダイヤモンドチップ2やろう付け部に接触することもなかった。ダイヤモンドチップ2の摩耗状態については、外周側と内周側で均一に摩耗させることができ、高さ7mmのダイヤモンドチップ2がほとんど無くなるまで使用することができ、穿孔できた合計長さは17.9mだった。
【0034】
(実施例4)
実施例1と形状、ダイヤモンド砥粒、集中度が同じダイヤモンドチップ2で、結合材の種類を内周側と外周側で異ならせたものを準備し、実施例1と同じ台金1にろう付けし、コアビットを製作した。結合材は、幅11.5mmのうち外周側7.5mmを硬度HRBが95のものとし、内周側4mmを硬度HRBが103のものとした。外周側の結合材は、実施例1〜3のものと同じであり、内周側の結合材は、Coの割合を増やすことで硬度を高くした。
【0035】
上記のコアビットを実施例1と同じ被削材及び条件で穿孔した結果、一穴の穿孔速度は、穿孔した部分に鉄筋が含まれる部分では平均93秒、コンクリートのみの部分では平均37秒であった。また、15穴連続でコアを取り出すことなく穿孔することができ、コアがダイヤモンドチップ2やろう付け部に接触することもなかった。ダイヤモンドチップ2の摩耗状態については、外周側と内周側で均一に摩耗させることができ、高さ7mmのダイヤモンドチップ2がほとんど無くなるまで使用することができ、穿孔できた合計長さは18.2mだった。
【0036】
(比較例)
粒径#40/50のダイヤモンド砥粒をCo−Cu−Snの結合材用粉末と混合した後、金型に充填して成形し、焼結してダイヤモンドチップ2を製作した。ダイヤモンドチップ2は図4に示すような形状で、外周面のR15mm、内周面のR12mm、長さ19mm、幅3.5mm、高さ7mmの扇形とした。ダイヤモンド砥粒の集中度はダイヤモンドチップ2全体にわたり45とし、結合材は硬度HRBが95のものとした。台金1も図4に示す形状のものを準備した。外径28mm、内径24mmで内周面は全体にわたり同じ径とした。この台金1に上記のダイヤモンドチップ2の外周面が台金1の外周面より1mm外側になるようにして、等間隔に3ヶをろう付けしてコアビットを製作した。
【0037】
上記のコアビットを実施例1と同じ被削材及び条件で穿孔した結果、一穴の穿孔速度は、穿孔した部分に鉄筋が含まれる部分では平均65秒、コンクリートのみの部分では平均23秒であった。しかし、一穴穿孔する毎にコアを取り出す必要があり、その作業に数分要するため非常に作業性が悪かった。また、ダイヤモンドチップ2の摩耗が著しく、穿孔できた合計長さは12.5mで実施例2や3のコアビットと比較すると、約2/3の数の穴しか穿孔できなかった。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から分かるように、本発明のコアビットは穿孔後の台金内部に残るコアの径を小さくしたので、コアが台金内部に残ったままでも連続した穿孔作業を行うことができ、一穴毎にコアを取り出す必要がないので、非常に作業性が向上する。また、台金内周面にテーパー部や細径部を設けているので、穿孔後の折れたコアが等径部にスムーズに移動され、ダイヤモンドチップやそのろう付け部に接触してダイヤモンドチップが外れるという問題も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明のコアビットの一例を示す正面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】 (a)は本発明のコアビットの他の例を示す正面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図3】 (a)は本発明のコアビットの他の例を示す正面図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図4】 (a)は従来のコアビットの例を示す正面図、(b)は(a)のD−D断面図である。
【図5】 コアビットによりコンクリート構造物を解体する方法を説明する図である。
【図6】 マンホール管を切断する状況を説明する図である。
【符号の説明】
1 台金
1a 等径部
1b テーパー部
1c 細径部
1d 壁面
2 ダイヤモンドチップ
3 台金一端面
4 取付部
5 コンクリート構造物
6 穿孔穴
7 マンホール本管
8 マンホール枝管
Claims (6)
- 円筒状の台金の一端に、回転軸と直交する作用面が扇形のダイヤモンドチップが複数個設けられた外径60mm以下のコアビットにおいて、
前記台金の内周面は、他端から一端に向かって略一定の径の等径部と、前記等径部に連続する一端側には一端側に向かうほど径が小さくなるテーパー部とを有し、前記台金の内周面の等径部と前記ダイヤモンドチップの内周面との段差tは、前記ダイヤモンドチップの内周面の直径dより1mm以上大きいことを特徴とするコアビット。 - 前記テーパー部の面は、前記台金の回転軸に対して30〜70度であることを特徴とする請求項1に記載のコアビット。
- 円筒状の台金の一端に、回転軸と直交する作用面が扇形のダイヤモンドチップが複数個設けられた外径60mm以下のコアビットにおいて、
前記台金の内周面は、他端から一端に向かって略一定の径の等径部と、前記等径部に連続する一端側には前記等径部より径が小さい細径部とを有し、前記台金の内周面の等径部と前記ダイヤモンドチップの内周面との段差tは、前記ダイヤモンドチップの内周面の直径dより1mm以上大きいことを特徴とするコアビット。 - 前記ダイヤモンドチップは、外周から内周にかけて2層以上で構成され、内周側ほど集中度が大きくなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコアビット。
- 前記ダイヤモンドチップは、外周から内周にかけて2層以上で構成され、内周側ほど結合材の硬度が高くなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコアビット。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のコアビットを用いて、マンホールの壁面を穿孔することを特徴とする穿孔方法。
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