JP3986728B2 - 帯状ゴム材料の転写ドラム - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、帯状ゴム材料の転写ドラムにかかわり、更に詳しくは帯状ゴム材料の巾方向の変化に対する供給不良を改良した転写ドラムに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一般にタイヤ成形に於て、ビードの周囲に巻上げ、または巻込まれるカーカス材（帯状ゴム材料）が複数層である場合、成形されたタイヤの故障や、耐久性の見地から、各層の両端部で段差が生じるように異巾の材料を使用している。
【０００３】
従って、タイヤ成形ドラム上でタイヤ構成材料としてのカーカス材を複数枚重ねて貼付ける際には、それぞれ所定幅に帯状材料が巻取られた個別のストックロールを成形機のサービサーに供給して巻出し使用していた。
【０００４】
このため、原反ロールから巻出した帯状ゴム材料を切断する工程では、別々に次工程へ送る材料を準備する必要があり、また成形工程においても、それぞれの材料に応じたサービサーを備える必要があり、設備費がかかるとともに、所要スペースを増大させる必要があり、帯状材料の供給と、巻付け作業に手間と時間がかかって作業能率が極めて悪いと言う問題があった。
【０００５】
そこで従来では、原反ロールから同一幅の帯状ゴム材料を巻出し、成形ドラム幅に切断した後、その切断材料を直交する向きに配設した搬送コンベヤに移載させて成形ドラム側に搬送して供給する装置が提案されていた。
【０００６】
然しながら、定尺切断した帯状ゴム材料を直交する向きに方向を変え、搬送コンベヤに移載させて供給する方向は、貼付け精度等に問題があり、また作業能率も悪いと言う問題があった。
【０００７】
そこで，更に定尺切断された複数枚の帯状ゴム材料（ゴムシート，カーカス材料等）をドラム本体の外周面に順次ステップを設けた状態で積層させて巻付け、ドラム本体を成形ドラム側に移動させて帯状ゴム材料の積層体を成形ドラムに巻き移す転写ドラムが使用されていた。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、ドラム本体では、上述したように異巾のカーカス材料をバキューム等の吸着力でドラム表面に吸着させる方式であったため、カーカス材料の巾変化に対して信頼性に問題があった。
【０００９】
即ち、異巾のカーカス材料を吸着させるドラム表面に設けた複数の吸着穴は、異巾の帯状ゴム材料の全体巾に対して吸着できるように形成されているため、例えば、１層目の帯状ゴム材料をドラム表面に設けた複数の吸着穴で吸着させ、次いで２層目の帯状ゴム材料、３層目の帯状ゴム材料と巾の異なった材料を吸着しながら巻付ける場合に、１層目の巾の狭い帯状ゴム材料を吸着穴で吸着させる場合に、吸着しない吸着穴は大気を吸い込むことになる。
【００１０】
この結果、大気を吸い込んだバキュームの吸着力は急激に低下し、２層目及び３層目の材料吸着力が低下してドラム本体への巻付け時に剥離し、その結果、タイヤ成形ドラムへの供給不良等の問題が生じ、材料の巾変化に対する吸着の信頼性が低下すると言う問題があった。
【００１１】
この発明の目的は、異巾の帯状ゴム材料をドラム本体に順次積層させて巻付ける場合に、材料の巾方向変化に対する吸着不良や、タイヤ成形ドラムへの供給不良を有効に防止でき、ドラム本体による吸着の信頼性を高めることが出来る帯状ゴム材料の転写ドラムを提供することにある。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、中空円筒状に形成されたドラム本体の内部に、中心部に挿通された回転支持軸の外周面とドラム本体の内壁との間で、仕切り壁を介して周方向に複数の中空室を区画形成すると共に、ドラム本体の表面に、前記中空室と連通する複数の吸着穴を形成し、前記回転支持軸の内部に吸引手段と接続する吸引通路を形成し、この吸引通路と前記各区画された中空室とを開閉切り換え弁を備えた複数の連通穴で接続したことを要旨とするものである。
【００１３】
また、この発明は、中空円筒状に形成されたドラム本体の中心部に、吸引手段と接続する吸引通路を備えた回転支持軸を挿通し、前記ドラム本体の内壁と前記回転支持軸の外周面との間に仕切り壁を介して周方向に複数の中空室を区画形成すると共に、ドラム本体の表面に前記中空室と連通する複数の吸着穴を形成し、前記ドラム本体内の回転支持軸の外周の一部に、前記吸引通路と連通する筒状の圧力室を形成し、この圧力室の壁面に、前記区画された各中空室と連通する連通穴を形成すると共に、この連通穴を開閉する開閉切り換え弁を設けたことを要旨とするものである。
【００１４】
更に、この発明は、表面に複数の吸引ノズルを形成したドラム本体の中心部に、吸引手段と接続する吸引通路を備えた回転支持軸を挿通し、前記複数の吸引ノズルと回転支持軸の吸引通路とを複数の吸引パイプで接続し、吸引通路と各吸引パイプとの接続部に開閉切り換え弁を設けたことを要旨とするものである。
【００１５】
この発明は、上記のように構成され、ドラム本体の表面に吸着される帯状ゴム材料の吸引力を、ブロアーモータの吸引側の吸引力を使用し、またドラム本体の表面に設けた吸着穴とブロアーモータの吸引通路に接続する通路に、吸着穴の吸引力を個別にＯＮ，ＯＦＦ制御可能な開閉切り換え弁を設けたことにより、材料の巾方向変化に対する吸着不良や、タイヤ成形ドラムへの供給不良を有効に防止でき、ドラム本体による吸着の信頼性を高めることが出来るものである。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【００１７】
図１は、この発明の第１実施形態を示す転写ドラムを取付けた状態の一部断面図、図２は図１のＡ−Ａ矢視側面図、図３は図１のＢ−Ｂ矢視断面図、図４は、図１のＣ−Ｃ矢視側面図を示し、前記転写ドラムの中空円筒状に形成されたドラム本体１の中心部には、後述する吸引手段を構成するブロアーモータ２の吸引口３に吸引パイプ４を介して接続する回転支持軸５が挿通されている。
【００１８】
前記回転支持軸５は、軸受け部材６を介して門型フレーム７に回転可能に支持され、また門型フレーム７は、支持軸８ａ，８ｂ上のフレーム９ａ，９ｂに敷設されたガイドレール１０ａ，１０ｂに沿って移動可能な走行フレーム１１に固定部材１２を介して吊設されている。
【００１９】
前記ドラム本体１の内壁１ａと前記回転支持軸５の外周面との間には、図３に示すように、複数枚の仕切り壁１３を介して周方向に複数の中空室１４が区画形成され、またドラム本体１の表面には、前記各中空室１４と連通する複数の吸着穴１５が形成されている。
【００２０】
前記ドラム本体１内の回転支持軸５の外周の一部には、回転支持軸５の内部に長手方向に沿って形成された吸引通路１６と連通する筒状の圧力室１７が形成され、この圧力室１７の側壁面に、前記区画された各中空室１４と連通する複数の連通穴１８が形成されている。この複数の連通穴１８には、この連通穴１８を開閉する開閉切り換え弁１９が設けられ、開閉切り換え弁１９は、常時は閉弁し、図示しない帯状ゴム材料を吸着保持させる際には、ロッド２０を介して開閉シリンダー２１ａ，２１ｂにより開弁させ、畜圧された圧力室１７の吸引力を各中空室１４に作用させるようにしている。
【００２１】
前記回転支持軸５の内部に長手方向に沿って形成された吸引通路１６は、回転支持軸５の一端側において、ロータリーシール２２を介してブロアーモータ２の吸引口３に連結された吸引パイプ４に接続されている。
【００２２】
また、回転支持軸５の他端側には、図１及び図４に示すように、回転支持軸５及びドラム本体１を回転駆動させる回転駆動機構２３が設けられ、この回転駆動機構２３としては、回転支持軸５の他端側に設けられたプーリ２４と、前記走行フレーム１１上に設置された回転駆動モータ２５と、このモータ２５の回転軸２５ａに取付けられたプーリ２６と、前記プーリ２４及び２６に掛回された駆動ベルト２７とで構成される。
【００２３】
この発明は、上記のように構成され、異巾の帯状ゴム材料（カーカス材料）をドラム本体１に順次ステップを設けて巻付ける際、ブロアーモータ２の吸引口３に連結された吸引パイプ４，回転支持軸５の吸引通路１６を通してブロアーモータ２の吸引力を圧力室１７に作用させておく。
【００２４】
そして、例えば、第１層目の巾の狭い帯状ゴム材料をドラム本体１の中央部に吸着させる場合には、ドラム本体１の中央に位置する複数の吸着穴１５で帯状ゴム材料を吸着させるために、仕切り壁１３で区画された中空室１４と連通する連通穴１８の開閉切り換え弁１９のみを開閉シリンダー２１ｂで開弁させ、圧力室１７内の吸引力を帯状ゴム材料を吸着させるべき中空室１４に作用させて帯状ゴム材料をドラム本体１の表面に吸着させる。
【００２５】
次いで、巾の広い帯状ゴム材料を吸着させる場合には、ドラム本体１の長手方向の両側に位置する複数の吸着穴１５で帯状ゴム材料を吸着させるために、仕切り壁１３で区画された両側の中空室１４と連通する連通穴１８の開閉切り換え弁１９を開閉シリンダー２１ｂで開弁させ、圧力室１７内の吸引力を両側の中空室１４に作用させて巾広の帯状ゴム材料をドラム本体１の表面に吸着させる。
【００２６】
このようにして、巾の異なった複数枚の帯状ゴム材料をドラム本体１に順次積層させて巻付ける場合には、ブロアーモータ２の吸引力を圧力室１７を介して開閉切り換え弁１９を制御しながら複数に区画形成された中空室１４に作用させることで、ドラム表面に設けた複数の吸着穴１５で確実に吸着し、次工程へ搬送し移載させることが出来るものである。
【００２７】
次に、図６はこの発明の第２実施形態を示す転写ドラム１を取付けた状態の一部断面図であって、この実施形態は、転写ドラム１の中心部に挿通された回転支持軸５の外周面とドラム本体１の内壁１ａとの間で、上記第１実施形態と同様な仕切り壁（図示省略）を介して周方向に複数の中空室１４を区画形成すると共に、ドラム本体１の表面に、前記中空室１４と連通する複数の吸着穴１５を形成する。
【００２８】
また、前記回転支持軸５の内部に吸引手段を構成するブロアーモータ２の吸引口３と吸引パイプ４を介して接続する吸引通路１６を形成すると共に、この吸引通路１６と前記区画された各中空室１４とを開閉切り換え弁１９ａを備えた複数の連通ノズル２８とで接続して構成するものである。なお、その他の構成は上記第１実施形態と同様なので同一符号を付して説明は省略する。
【００２９】
このように構成することで、ドラム本体１の表面に形成された多数の吸着穴１５は、前記開閉切り換え弁１９ａを個々に、または所定領域を群として開閉制御することで、帯状ゴム材料の巾に対応させて確実に吸着させ、巻付けることが出来るものである。
【００３０】
なお、中空円筒状に形成されたドラム本体の表面に複数の吸引ノズル（図示せず）を形成し、またドラム本体の中心部に、上記実施形態と同様に吸引パイプを介して接続する吸引通路を備えた回転支持軸を挿通し、前記複数の吸引ノズルと回転支持軸の吸引通路とを複数の吸引パイプで接続し、吸引通路と各吸引パイプとの接続部に開閉切り換え弁を設けて構成することも可能である。
【００３１】
また、他の構成は上記第１実施形態と同様なので同一符号を付して説明は省略する。
【００３２】
このように構成することで、上記実施形態と同様に、帯状ゴム材料の巾に対応させて確実に吸着させ、巻付けることが出来るものである。
【００３３】
【発明の効果】
この発明は、上記のように中空円筒状に形成されたドラム本体の中心部に、吸引手段と接続する吸引通路を備えた回転支持軸を挿通し、前記ドラム本体の内壁と前記回転支持軸の外周面との間に仕切り壁を介して周方向に複数の中空室を区画形成すると共に、ドラム本体の表面に前記中空室と連通する複数の吸着穴を形成し、前記ドラム本体内の回転支持軸の外周の一部に、前記吸引通路と連通する筒状の圧力室を形成し、この圧力室の壁面に、前記区画された各中空室と連通する連通穴を形成すると共に、この連通穴を開閉する開閉切り換え弁を設け、ドラム本体の表面に吸着される帯状ゴム材料の吸引力を、ブロアーモータの吸引側の吸引力を使用し、またドラム本体の表面に設けた吸着穴とブロアーモータの吸引通路に接続する通路に、吸着穴の吸引力を個別にＯＮ，ＯＦＦ制御可能な開閉切り換え弁を設けたことにより、材料の巾方向変化に対する吸着不良や、タイヤ成形ドラムへの供給不良を有効に防止でき、ドラム本体による吸着の信頼性を高めることが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の第１実施形態を示す転写ドラムを取付けた状態の一部断面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ矢視側面図である。
【図３】図１のＢ−Ｂ矢視断面図である。
【図４】図１のＣ−Ｃ矢視側面図である。
【図５】図２のＤ−Ｄ矢視側面図である。
【図６】この発明の第２実施形態を示す転写ドラムを取付けた状態の一部断面図である。
【符号の説明】
１ ドラム本体 １ａ 内壁
２ 吸引手段を構成するブロアーモータ
３ 吸引口 ４ 吸引パイプ
５ 回転支持軸 ６ 軸受け部材
７ 門型フレーム ８ａ，８ｂ 支持軸
９ａ，９ｂ フレーム
１０ａ，１０ｂ ガイドレール
１１ 走行フレーム
１２ 固定部材 １３ 仕切り壁
１４ 中空室 １５ 吸着穴
１６ 吸引通路 １７ 圧力室
１８ 連通穴 １９ 開閉切り換え弁
２０ ロッド ２１ａ，２１ｂ 開閉シリンダー
２２ ロータリーシール ２３ 回転駆動機構
２４ プーリ ２５ 回転駆動モータ
２５ａ 回転軸 ２６ プーリ
２７ 駆動ベルト ２８ 連通ノズル
【発明の属する技術分野】
この発明は、帯状ゴム材料の転写ドラムにかかわり、更に詳しくは帯状ゴム材料の巾方向の変化に対する供給不良を改良した転写ドラムに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一般にタイヤ成形に於て、ビードの周囲に巻上げ、または巻込まれるカーカス材（帯状ゴム材料）が複数層である場合、成形されたタイヤの故障や、耐久性の見地から、各層の両端部で段差が生じるように異巾の材料を使用している。
【０００３】
従って、タイヤ成形ドラム上でタイヤ構成材料としてのカーカス材を複数枚重ねて貼付ける際には、それぞれ所定幅に帯状材料が巻取られた個別のストックロールを成形機のサービサーに供給して巻出し使用していた。
【０００４】
このため、原反ロールから巻出した帯状ゴム材料を切断する工程では、別々に次工程へ送る材料を準備する必要があり、また成形工程においても、それぞれの材料に応じたサービサーを備える必要があり、設備費がかかるとともに、所要スペースを増大させる必要があり、帯状材料の供給と、巻付け作業に手間と時間がかかって作業能率が極めて悪いと言う問題があった。
【０００５】
そこで従来では、原反ロールから同一幅の帯状ゴム材料を巻出し、成形ドラム幅に切断した後、その切断材料を直交する向きに配設した搬送コンベヤに移載させて成形ドラム側に搬送して供給する装置が提案されていた。
【０００６】
然しながら、定尺切断した帯状ゴム材料を直交する向きに方向を変え、搬送コンベヤに移載させて供給する方向は、貼付け精度等に問題があり、また作業能率も悪いと言う問題があった。
【０００７】
そこで，更に定尺切断された複数枚の帯状ゴム材料（ゴムシート，カーカス材料等）をドラム本体の外周面に順次ステップを設けた状態で積層させて巻付け、ドラム本体を成形ドラム側に移動させて帯状ゴム材料の積層体を成形ドラムに巻き移す転写ドラムが使用されていた。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、ドラム本体では、上述したように異巾のカーカス材料をバキューム等の吸着力でドラム表面に吸着させる方式であったため、カーカス材料の巾変化に対して信頼性に問題があった。
【０００９】
即ち、異巾のカーカス材料を吸着させるドラム表面に設けた複数の吸着穴は、異巾の帯状ゴム材料の全体巾に対して吸着できるように形成されているため、例えば、１層目の帯状ゴム材料をドラム表面に設けた複数の吸着穴で吸着させ、次いで２層目の帯状ゴム材料、３層目の帯状ゴム材料と巾の異なった材料を吸着しながら巻付ける場合に、１層目の巾の狭い帯状ゴム材料を吸着穴で吸着させる場合に、吸着しない吸着穴は大気を吸い込むことになる。
【００１０】
この結果、大気を吸い込んだバキュームの吸着力は急激に低下し、２層目及び３層目の材料吸着力が低下してドラム本体への巻付け時に剥離し、その結果、タイヤ成形ドラムへの供給不良等の問題が生じ、材料の巾変化に対する吸着の信頼性が低下すると言う問題があった。
【００１１】
この発明の目的は、異巾の帯状ゴム材料をドラム本体に順次積層させて巻付ける場合に、材料の巾方向変化に対する吸着不良や、タイヤ成形ドラムへの供給不良を有効に防止でき、ドラム本体による吸着の信頼性を高めることが出来る帯状ゴム材料の転写ドラムを提供することにある。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するため、中空円筒状に形成されたドラム本体の内部に、中心部に挿通された回転支持軸の外周面とドラム本体の内壁との間で、仕切り壁を介して周方向に複数の中空室を区画形成すると共に、ドラム本体の表面に、前記中空室と連通する複数の吸着穴を形成し、前記回転支持軸の内部に吸引手段と接続する吸引通路を形成し、この吸引通路と前記各区画された中空室とを開閉切り換え弁を備えた複数の連通穴で接続したことを要旨とするものである。
【００１３】
また、この発明は、中空円筒状に形成されたドラム本体の中心部に、吸引手段と接続する吸引通路を備えた回転支持軸を挿通し、前記ドラム本体の内壁と前記回転支持軸の外周面との間に仕切り壁を介して周方向に複数の中空室を区画形成すると共に、ドラム本体の表面に前記中空室と連通する複数の吸着穴を形成し、前記ドラム本体内の回転支持軸の外周の一部に、前記吸引通路と連通する筒状の圧力室を形成し、この圧力室の壁面に、前記区画された各中空室と連通する連通穴を形成すると共に、この連通穴を開閉する開閉切り換え弁を設けたことを要旨とするものである。
【００１４】
更に、この発明は、表面に複数の吸引ノズルを形成したドラム本体の中心部に、吸引手段と接続する吸引通路を備えた回転支持軸を挿通し、前記複数の吸引ノズルと回転支持軸の吸引通路とを複数の吸引パイプで接続し、吸引通路と各吸引パイプとの接続部に開閉切り換え弁を設けたことを要旨とするものである。
【００１５】
この発明は、上記のように構成され、ドラム本体の表面に吸着される帯状ゴム材料の吸引力を、ブロアーモータの吸引側の吸引力を使用し、またドラム本体の表面に設けた吸着穴とブロアーモータの吸引通路に接続する通路に、吸着穴の吸引力を個別にＯＮ，ＯＦＦ制御可能な開閉切り換え弁を設けたことにより、材料の巾方向変化に対する吸着不良や、タイヤ成形ドラムへの供給不良を有効に防止でき、ドラム本体による吸着の信頼性を高めることが出来るものである。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【００１７】
図１は、この発明の第１実施形態を示す転写ドラムを取付けた状態の一部断面図、図２は図１のＡ−Ａ矢視側面図、図３は図１のＢ−Ｂ矢視断面図、図４は、図１のＣ−Ｃ矢視側面図を示し、前記転写ドラムの中空円筒状に形成されたドラム本体１の中心部には、後述する吸引手段を構成するブロアーモータ２の吸引口３に吸引パイプ４を介して接続する回転支持軸５が挿通されている。
【００１８】
前記回転支持軸５は、軸受け部材６を介して門型フレーム７に回転可能に支持され、また門型フレーム７は、支持軸８ａ，８ｂ上のフレーム９ａ，９ｂに敷設されたガイドレール１０ａ，１０ｂに沿って移動可能な走行フレーム１１に固定部材１２を介して吊設されている。
【００１９】
前記ドラム本体１の内壁１ａと前記回転支持軸５の外周面との間には、図３に示すように、複数枚の仕切り壁１３を介して周方向に複数の中空室１４が区画形成され、またドラム本体１の表面には、前記各中空室１４と連通する複数の吸着穴１５が形成されている。
【００２０】
前記ドラム本体１内の回転支持軸５の外周の一部には、回転支持軸５の内部に長手方向に沿って形成された吸引通路１６と連通する筒状の圧力室１７が形成され、この圧力室１７の側壁面に、前記区画された各中空室１４と連通する複数の連通穴１８が形成されている。この複数の連通穴１８には、この連通穴１８を開閉する開閉切り換え弁１９が設けられ、開閉切り換え弁１９は、常時は閉弁し、図示しない帯状ゴム材料を吸着保持させる際には、ロッド２０を介して開閉シリンダー２１ａ，２１ｂにより開弁させ、畜圧された圧力室１７の吸引力を各中空室１４に作用させるようにしている。
【００２１】
前記回転支持軸５の内部に長手方向に沿って形成された吸引通路１６は、回転支持軸５の一端側において、ロータリーシール２２を介してブロアーモータ２の吸引口３に連結された吸引パイプ４に接続されている。
【００２２】
また、回転支持軸５の他端側には、図１及び図４に示すように、回転支持軸５及びドラム本体１を回転駆動させる回転駆動機構２３が設けられ、この回転駆動機構２３としては、回転支持軸５の他端側に設けられたプーリ２４と、前記走行フレーム１１上に設置された回転駆動モータ２５と、このモータ２５の回転軸２５ａに取付けられたプーリ２６と、前記プーリ２４及び２６に掛回された駆動ベルト２７とで構成される。
【００２３】
この発明は、上記のように構成され、異巾の帯状ゴム材料（カーカス材料）をドラム本体１に順次ステップを設けて巻付ける際、ブロアーモータ２の吸引口３に連結された吸引パイプ４，回転支持軸５の吸引通路１６を通してブロアーモータ２の吸引力を圧力室１７に作用させておく。
【００２４】
そして、例えば、第１層目の巾の狭い帯状ゴム材料をドラム本体１の中央部に吸着させる場合には、ドラム本体１の中央に位置する複数の吸着穴１５で帯状ゴム材料を吸着させるために、仕切り壁１３で区画された中空室１４と連通する連通穴１８の開閉切り換え弁１９のみを開閉シリンダー２１ｂで開弁させ、圧力室１７内の吸引力を帯状ゴム材料を吸着させるべき中空室１４に作用させて帯状ゴム材料をドラム本体１の表面に吸着させる。
【００２５】
次いで、巾の広い帯状ゴム材料を吸着させる場合には、ドラム本体１の長手方向の両側に位置する複数の吸着穴１５で帯状ゴム材料を吸着させるために、仕切り壁１３で区画された両側の中空室１４と連通する連通穴１８の開閉切り換え弁１９を開閉シリンダー２１ｂで開弁させ、圧力室１７内の吸引力を両側の中空室１４に作用させて巾広の帯状ゴム材料をドラム本体１の表面に吸着させる。
【００２６】
このようにして、巾の異なった複数枚の帯状ゴム材料をドラム本体１に順次積層させて巻付ける場合には、ブロアーモータ２の吸引力を圧力室１７を介して開閉切り換え弁１９を制御しながら複数に区画形成された中空室１４に作用させることで、ドラム表面に設けた複数の吸着穴１５で確実に吸着し、次工程へ搬送し移載させることが出来るものである。
【００２７】
次に、図６はこの発明の第２実施形態を示す転写ドラム１を取付けた状態の一部断面図であって、この実施形態は、転写ドラム１の中心部に挿通された回転支持軸５の外周面とドラム本体１の内壁１ａとの間で、上記第１実施形態と同様な仕切り壁（図示省略）を介して周方向に複数の中空室１４を区画形成すると共に、ドラム本体１の表面に、前記中空室１４と連通する複数の吸着穴１５を形成する。
【００２８】
また、前記回転支持軸５の内部に吸引手段を構成するブロアーモータ２の吸引口３と吸引パイプ４を介して接続する吸引通路１６を形成すると共に、この吸引通路１６と前記区画された各中空室１４とを開閉切り換え弁１９ａを備えた複数の連通ノズル２８とで接続して構成するものである。なお、その他の構成は上記第１実施形態と同様なので同一符号を付して説明は省略する。
【００２９】
このように構成することで、ドラム本体１の表面に形成された多数の吸着穴１５は、前記開閉切り換え弁１９ａを個々に、または所定領域を群として開閉制御することで、帯状ゴム材料の巾に対応させて確実に吸着させ、巻付けることが出来るものである。
【００３０】
なお、中空円筒状に形成されたドラム本体の表面に複数の吸引ノズル（図示せず）を形成し、またドラム本体の中心部に、上記実施形態と同様に吸引パイプを介して接続する吸引通路を備えた回転支持軸を挿通し、前記複数の吸引ノズルと回転支持軸の吸引通路とを複数の吸引パイプで接続し、吸引通路と各吸引パイプとの接続部に開閉切り換え弁を設けて構成することも可能である。
【００３１】
また、他の構成は上記第１実施形態と同様なので同一符号を付して説明は省略する。
【００３２】
このように構成することで、上記実施形態と同様に、帯状ゴム材料の巾に対応させて確実に吸着させ、巻付けることが出来るものである。
【００３３】
【発明の効果】
この発明は、上記のように中空円筒状に形成されたドラム本体の中心部に、吸引手段と接続する吸引通路を備えた回転支持軸を挿通し、前記ドラム本体の内壁と前記回転支持軸の外周面との間に仕切り壁を介して周方向に複数の中空室を区画形成すると共に、ドラム本体の表面に前記中空室と連通する複数の吸着穴を形成し、前記ドラム本体内の回転支持軸の外周の一部に、前記吸引通路と連通する筒状の圧力室を形成し、この圧力室の壁面に、前記区画された各中空室と連通する連通穴を形成すると共に、この連通穴を開閉する開閉切り換え弁を設け、ドラム本体の表面に吸着される帯状ゴム材料の吸引力を、ブロアーモータの吸引側の吸引力を使用し、またドラム本体の表面に設けた吸着穴とブロアーモータの吸引通路に接続する通路に、吸着穴の吸引力を個別にＯＮ，ＯＦＦ制御可能な開閉切り換え弁を設けたことにより、材料の巾方向変化に対する吸着不良や、タイヤ成形ドラムへの供給不良を有効に防止でき、ドラム本体による吸着の信頼性を高めることが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の第１実施形態を示す転写ドラムを取付けた状態の一部断面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ矢視側面図である。
【図３】図１のＢ−Ｂ矢視断面図である。
【図４】図１のＣ−Ｃ矢視側面図である。
【図５】図２のＤ−Ｄ矢視側面図である。
【図６】この発明の第２実施形態を示す転写ドラムを取付けた状態の一部断面図である。
【符号の説明】
１ ドラム本体 １ａ 内壁
２ 吸引手段を構成するブロアーモータ
３ 吸引口 ４ 吸引パイプ
５ 回転支持軸 ６ 軸受け部材
７ 門型フレーム ８ａ，８ｂ 支持軸
９ａ，９ｂ フレーム
１０ａ，１０ｂ ガイドレール
１１ 走行フレーム
１２ 固定部材 １３ 仕切り壁
１４ 中空室 １５ 吸着穴
１６ 吸引通路 １７ 圧力室
１８ 連通穴 １９ 開閉切り換え弁
２０ ロッド ２１ａ，２１ｂ 開閉シリンダー
２２ ロータリーシール ２３ 回転駆動機構
２４ プーリ ２５ 回転駆動モータ
２５ａ 回転軸 ２６ プーリ
２７ 駆動ベルト ２８ 連通ノズル
Claims (3)
- 中空円筒状に形成されたドラム本体の内部に、中心部に挿通された回転支持軸の外周面とドラム本体の内壁との間で、仕切り壁を介して周方向に複数の中空室を区画形成すると共に、ドラム本体の表面に、前記中空室と連通する複数の吸着穴を形成し、前記回転支持軸の内部に吸引手段と接続する吸引通路を形成し、この吸引通路と前記区画された各中空室とを開閉切り換え弁を備えた複数の連通穴で接続して成る帯状ゴム材料の転写ドラム。
- 中空円筒状に形成されたドラム本体の中心部に、吸引手段と接続する吸引通路を備えた回転支持軸を挿通し、前記ドラム本体の内壁と前記回転支持軸の外周面との間に仕切り壁を介して周方向に複数の中空室を区画形成すると共に、ドラム本体の表面に前記中空室と連通する複数の吸着穴を形成し、前記ドラム本体内の回転支持軸の外周の一部に、前記吸引通路と連通する筒状の圧力室を形成し、この圧力室の壁面に、前記区画された各中空室と連通する連通穴を形成すると共に、この連通穴を開閉する開閉切り換え弁を設けて成る帯状ゴム材料の転写ドラム。
- 表面に複数の吸引ノズルを形成したドラム本体の中心部に、吸引手段と接続する吸引通路を備えた回転支持軸を挿通し、前記複数の吸引ノズルと回転支持軸の吸引通路とを複数の吸引パイプで接続し、吸引通路と各吸引パイプとの接続部に開閉切り換え弁を設けて成る帯状ゴム材料の転写ドラム。
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