JP3986569B2 - 生分解性セルロースエステル組成物および成形品 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は生分解性セルロースエステルを含む組成物およびそれを用いた成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロースエステルのうち酢酸セルロースは、タバコフィルター、各種フィルム成形品に使用され、酢酸酪酸セルロースや硝酸セルロースは塗料などに使用されている。一方、セルロースエステルは紫外線、熱、空気や、屋外暴露の条件下で分解する性質を有しているものの、その分解速度は、セルロースに比べて極めて小さい。そのため、使用済のセルロースエステルからなる成形品を屋外に廃棄すると、長期間に亘って成形品の形態を保持しており、環境汚染の原因となる。特に、タバコフィルターなどのように多量に消費される成形品を屋外で廃棄すると、環境汚染の虞が高い。また、屋外に廃棄された成形品の全てを回収することは事実上不可能であると共に、回収には膨大な費用を必要とする。また、成形品を焼却処理すると、燃焼に伴なう発熱量が大きいため、焼却炉の寿命が短くなる。
【0003】
また、セルロースエステルは通常の合成高分子と異なり、そのままでは成形性が劣る。そのため、セルロースエステルを含む成形用組成物には、可塑剤が使用されている。例えば、特公昭43−16305号公報には、酢酸セルロースの高分子可塑剤として、グリコールと脂肪族二塩基酸とから得られた平均分子量700〜4000のポリエステルを用いた酢酸セルロース成形品が開示されている。前記可塑剤は、酢化度52%以上(置換度2.2以上)の酢酸セルロースとの相溶性に優れる。
【0004】
また、本出願人は、特開昭61−276836号公報において、可塑性、非揮発性および非移行性を高めるため、平均分子量250〜3000程度のフタル酸系ポリエステルを含むセルロース誘導体樹脂組成物について提案した。この組成物においても、酢化度52.2%以上(置換度2.2以上)のセルロースエステルが使用されている。
【0005】
さらに本出願人は、特公昭61−36015号公報において、成形品における耐熱変形性および切削性を改善するため、酢化度50〜57%(置換度2.1〜2.5)、重合度50〜120の酢酸セルロース100重量部に対して、可塑剤10〜25重量部を含む成形用組成物を提案した。
【0006】
また、米国特許第3781381号明細書には、改質剤としてのε−カプロラクトンなどの環状エステルポリマーと、セルロースエステルなどの熱可塑性樹脂とを含む混合物が開示されている。この先行文献には、前記セルロースエステルとして、置換度2.5の酢酸セルロースが記載されている(実施例14参照)。
【0007】
さらに、米国特許第4731122号明細書には、セルースアセテートブチレート35〜70%、セルロースアセテート10〜40%、クエン酸トリブチル15〜30%、クエン酸トリエチル5〜30%、およびポリエチレングリコール1〜10%を含む熱可塑性成形用組成物が開示されている。セルースアセテートブチレートとしては、ブチリル基17%およびアセチル基29.5%(置換度約2.5)、セルロースアセテートとしてはアセチル基の含量39.8%(置換度約2.5)のセルロースエステルが使用されている。
【0008】
しかし、これらの組成物では、生物分解性については何ら考慮されていないばかりか、生物分解性が劣る。
【0009】
セルロースエステルを含む生分解性組成物として、特開平4−142344号公報には、50〜90重量%のセルロースエステル、0〜40重量%の可塑剤、および5〜30重量%の分子量500〜3000の脂肪族ポリエステルを含む生分解性合成樹脂材料が開示されている。
【0010】
しかし、この組成物の生分解性は、可塑剤及び脂肪族ポリエステルの生分解性に大きく依存し、セルロースエステル自体の生分解性はさほど高くない。また、可塑剤としてクエン酸エステルなどを使用する必要があるため、セルロースエステルに高い成形性を付与できない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、セルロースエステルを含む生分解性に優れた組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、生分解性に劣るセルロースエステルを含むにも拘らず、生分解性に優れるセルロースエステル組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、通常の可塑剤が使用できると共に、成形性および生分解性に優れたセルロースエステル組成物を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、上記組成物を用いて成形された成形品とその生分解方法を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、セルロースエステルを含む成形品を屋外などに廃棄したとしても、速かに分解でき、環境汚染の虞が少ない成形品を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、生分解性に優れた生分解性繊維成形品を提供することにある。
【0017】
【発明の構成】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、セルロースエステルの置換度などが生分解性に大きな影響を及ぼすこと、特に特定の置換度のセルロースエステルが通常の条件下では安定性に優れているにも拘らず、生分解性が極て高いこと、従来の一般的なセルロースエステルに、前記特定の置換度のセルロースエステルを混合すると、生分解性が顕著に向上することを見いだし、本発明を完成した。
【0018】
すなわち、本発明の生分解性セルロースエステル組成物は、平均置換度が2.15以下(但し、実質的に0を含まない)、特に1.0〜2.15以下であり、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であり、かつASTM D 5209に準ずる試験方法において、発生する炭酸ガス量を基準として、4週間後に60重量%以上分解するセルロースエステルを含んでいる。すなわち、平均置換度が1.0〜2.15であり、残存硫酸量がSO 4 2− 換算で、0.005〜0.1モル%であり、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であり、かつ粉砕した試料濃度100ppm、都市下水処理場の活性汚泥濃度30ppm及び25℃±1℃で4週間に亘り、ASTM D 5209に規定する試験方法に従って生分解性試験を行ったとき、ASTM D 5209に基づいて、発生する炭酸ガス量を基準として求めた分解率が60重量%以上であるセルロース有機酸エステルを含んでいる。以下、特に言及しない限り、平均置換度が2.15以下のセルロースエステルを、単に、低置換度セルロースエステルと称する。
前記セルロース有機酸エステルは酢酸セルロースであってもよい。また、酢酸セルロースは、平均重合度50〜250、平均置換度1.0〜2.15、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であってもよい。
【0019】
本発明の生分解性セルロースエステル組成物は、平均置換度が2.15以下、平均重合度50〜250、および残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であるセルロースエステルを含む組成物であってもよい。すなわち、セルロース有機酸エステルは、平均重合度が50〜250であり、平均置換度が1.0〜2.15であり、残存硫酸量がSO 4 2− 換算で、0.005〜0.1モル%であり、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であってもよい。
【0020】
生分解性セルロースエステル組成物は、低置換度セルロースエステル単独で構成されていてもよく、低置換度セルロースエステルを10重量%以上含む、置換度の異なる複数のセルロースエステルで構成されていてもよい。すなわち、生分解性セルロースエステル組成物は、置換度の異なる複数のセルロース有機酸エステルを含む組成物であって、平均置換度が1.0〜2.15であり、残存硫酸量がSO 4 2− 換算で、0.005〜0.1モル%であり、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であり、かつ粉砕した試料濃度100ppm、都市下水処理場の活性汚泥濃度30ppm及び25℃±1℃で4週間に亘り、ASTM D 5209に規定する試験方法に従って生分解性試験を行ったとき、ASTM D 5209に基づいて、発生する炭酸ガス量を基準として求めた分解率が60重量%以上であるセルロース有機酸エステルを、セルロースエステル全体の10重量%以上含み、かつ粉砕した試料濃度100ppm、都市下水処理場の活性汚泥濃度30ppm及び25℃±1℃で4週間に亘り、ASTM D 5209に規定する試験方法に従って生分解性試験を行ったとき、ASTM D 5209に基づいて、発生する炭酸ガス量を基準として求めた分解率が20重量%以上であってもよい。
【0021】
さらに、組成物は、可塑剤又は脂肪族ポリエステル、光分解促進剤及び生分解促進剤を含んでいてもよい。すなわち、生分解性セルロースエステル組成物は、可塑剤、脂肪族ポリエステル、光分解促進剤及び生分解促進剤からなる群から選択された少なくとも1つの成分を含んでいてもよい。例えば、生分解性セルロースエステル組成物は、セルロース有機酸エステル100重量部に対して、可塑剤及び/又は脂肪族ポリエステル0〜100重量部、および光分解促進剤及び/又は生分解促進剤0〜5重量部を含んでいてもよく、セルロース有機酸エステル100重量部に対して、可塑剤及び/又は脂肪族ポリエステル5〜100重量部、および光分解促進剤及び/又は生分解促進剤0.005〜5重量部を含んでいてもよい。可塑剤は、フタル酸エステルを含む芳香族多価カルボン酸エステル、脂肪族多価カルボン酸エステル、多価アルコールの低級脂肪酸エステルおよびリン酸エステルからなる群から選択された少なくとも1つの化合物であってもよく、脂肪族ポリエステルは、分子量200〜20×10 4 を有するポリエステルであってもよく、光分解促進剤は、アナターゼ型酸化チタンであってもよく、生分解促進剤は、有機酸又はそのエステルであってもよい。
さらに、本発明の生分解性セルロースエステル組成物は、平均置換度が1.0〜2.15であり、残存硫酸量がSO 4 2− 換算で、0.005〜0.1モル%であり、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であり、かつ粉砕した試料濃度100ppm、都市下水処理場の活性汚泥濃度30ppm及び25℃±1℃で4週間に亘り、ASTM D 5209に規定する試験方法に従って生分解を行ったとき、ASTM D 5209に基づいて、発生する炭酸ガス量を基準として求めた分解率が60重量%以上であるセルロース有機酸エステルと、粒径0.01〜1μmである酸化チタンとを含む組成物であってもよい。
【0022】
本発明の成形品は、前記生分解性セルロースエステル組成物からなる。成形品は、置換度が異なる複数のセルロースエステルやその繊維を混紡して成形された生分解性成形品や繊維成形品であってもよい。すなわち、生分解性成形品は、前記生分解性セルロースエステル組成物により形成されていてもよい。生分解性成形品は、生分解性繊維、繊維成形品などであってもよい。
例えば、生分解性繊維は、(1)平均置換度が1.0〜2.15であり、残存硫酸量がSO 4 2− 換算で、0.005〜0.1モル%であり、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であり、かつ粉砕した試料濃度100ppm、都市下水処理場の活性汚泥濃度30ppm及び25℃±1℃で4週間に亘り、ASTM D 5209に規定する試験方法に従って生分解性試験を行ったとき、ASTM D 5209に基づいて、発生する炭酸ガス量を基準として求めた分解率が60重量%以上であるセルロース有機酸エステルの繊維で構成してもよい。生分解性繊維は、上記繊維(1)と、置換度の異なるセルロース有機酸エステルとの混紡繊維(2)で構成してもよい。
また、生分解性繊維において、繊維(1)又は混紡繊維(2)、若しくはこれらの繊維(1)(2)で構成された繊維束に、生分解酵素が付着又は含有されていてもよい。
さらに、生分解性繊維成形品は、水溶性接着剤で結合した、前記繊維(1)又は混紡繊維(2)の繊維束で構成されていてもよい。さらには、生分解性繊維成形品は、前記繊維(1)で構成された繊維束と、この繊維束を収容する筒状の巻取紙と、この巻取紙の端部に形成された筒状のチップペーパーとを備えた成形品であって、巻取紙およびチップペーパーの糊付け部が水溶性接着剤により接合し、筒状に形成されていてもよい。
【0023】
セルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステル;セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースなどの混成エステルが例示される。これらのセルロースエステルは、単独で又は二種以上混合して使用できる。これらのセルロースエステルのうち有機酸エステル、特に酢酸セルロースが好ましい。
【0024】
セルロースエステル組成物に含まれる低置換度セルロースエステルは、平均置換度が2.15以下、好ましくは1.0〜2.15、さらに好ましくは1.1〜2.0程度である。置換度が1.0未満であると成形品の耐水性が低下し、2.15を越えると他の成分との相溶性、溶融流動性のみならず、生分解性が著しく低下する。
【0025】
なお、セルロースエステルの置換度DSは、酢酸セルロースを例にとって説明すると、結合酢酸%(酢化度)をX、Y=X/100とするとき、下記式により算出できる。
【0026】
置換度DS=(162×Y)/(60−42×Y)
セルロースエステルの平均重合度は、例えば、50〜250、好ましくは100〜200程度である。平均重合度が50未満であると成形品の機械的特性が低下し、250を越えると流動性及び成形性のみならず、生分解性が低下する。
【0027】
セルロースエステルの平均重合度(DP)は、オストワルド粘度計を用いて測定できる。例えば、セルロースエステルの溶媒溶液と、溶媒とについて、それぞれ粘度計からの落下時間を25℃で測定し、下記式により平均重合度を計算できる。
【0028】
ηrel =t/t0
ln ηrel =2.3026×log ηrel
[η]=(ln ηrel )/C
DP=[η]/9×10-4
式中、tはセルロースエステル溶液の落下時間(秒)、t0 は溶媒の落下時間(秒)を示し、Cは溶液中のセルロースエステルの濃度(g/L)を示す。
【0029】
上記の方法において、溶媒としてアセトンを用いる場合が多く、溶液中のセルロースエステルの濃度は、通常、約0.2%(w/v)である。
【0030】
低置換度セルロースエステルは、生分解性に優れるセルロースエステルであれば、その種類はとくに制限されない。このような低置換度セルロースエステルには、例えば、ASTM(American Society for Testing and Materials) D 5209に準ずる試験方法において、発生する炭酸ガス量を基準として、4週間後に60重量%以上、好ましくは65重量%以上(例えば、65〜100%)分解するセルロースエステルが含まれる。生分解性の測定に際して、活性汚泥として、都市下水処理場の活性汚泥が使用できる。なお、セルロースエステルの分解%は、二酸化炭素の発生量を分解された炭素数に換算し、分解前の総炭素数に対する割合から算出することができる。
【0031】
低置換度セルロースエステル中に残存する硫酸量とアルカリ金属又はアルカリ土類金属との当量比は、低置換度セルロースエステルの生分解性に大きな影響を及ぼす。生分解性に優れる低置換度セルロースエステルには、例えば、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比0.1〜1.1、好ましくは0.5〜1.1程度のセルロースエステルが含まれる。アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1未満であると耐熱性が小さく、1.1を越えると、セルロースエステルの生分解性が低下する。
【0032】
なお、前記硫酸は、セルロースエステルを製造する際に触媒として使用する硫酸に由来する。硫酸は、遊離の硫酸のみならず、硫酸塩、スルホアセテートや硫酸エステルとして残存し遊離していてもよい。セルロースエステル中に残存する総硫酸量は、SO4 2-換算で、通常、1.8×10-3〜6.0×10-2重量%(0.005〜0.1モル%)程度である。
【0033】
アルカリ金属やアルカリ土類金属は、触媒である硫酸の中和剤として添加されると共に、酢酸セルロースなどのセルロースエステルの耐熱安定性を高めるための処理のために添加される。これらの添加方法としては、反応終了後の液に添加してもよく、得られれた酢酸セルロースなどのセルロースエステルに直接添加してもよい。
【0034】
前記アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが含まれ、アルカリ土類金属には、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが含まれる。
【0035】
本発明の生分解性セルロースエステル組成物は、生分解性が改良された組成物であってもよく、この組成物は、平均置換度が2.15以下、平均重合度50〜250、および残存する硫酸量に対するアルカリ金属又はアルカリ土類金属の当量比0.1〜1.1であるセルロースエステルを含んでいる。
【0036】
本発明のセルロースエステル組成物は、低置換度セルロースエステル単独で構成されていてもよく、低置換度セルースエステルを含む限り、置換度の異なる複数のセルロースエステルを含んでいてもよい。
【0037】
置換度が異なる複数のセルロースエステルで構成された組成物は、前記低置換度セルロースエステルと他のセルロースエステル(以下、特に言及しない限り、単に高置換度セルロースエステルという)とを含む。前記高置換度セルロースエステルの置換度は、低置換度セルロースエステルの置換度と異なっていればよく、置換基は低置換度セルロースエステルの置換基と同一であってもよく異なっていてもよい。高置換度セルロースエステルには、生分解性に劣る高置換度セルロースエステル(例えば、置換度2.2以上、さらに好ましくは2.4以上のセルロースエステル)が含まれる。また、好ましい高置換度セルロースエステルは、低置換度セルロースエステルと同一又は類似の置換基、特に同一の置換基を有する場合が多い。前記同一又は類似の置換基には、低置換度セルロースエステルが酢酸セルロースである場合、炭素数1〜4程度の炭素数を有する有機酸エステル残基が含まれる。
【0038】
置換度が異なる複数のセルロースエステルを含む組成物の特色は、低置換度セルロースエステルの含有量が少量であっても、セルロースエステルの生分解性を高めることができる点にある。低置換度セルロースエステルの含有量は、セルロースエステル全体の10重量%以上、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは10〜75重量%(例えば10〜50重量%)程度である。低置換度セルロースエステルの含有量が10重量%以上であれば、生分解性に劣るセルロースエステルの生分解性を飛躍的に向上できる。セルロースエステル成分として低置換度セルロースエステルを10重量%以上含むセルロースエステル組成物は、ASTM D 5209に準ずる試験方法において、発生する炭酸ガス量を基準として、4週間後に20重量%以上、好ましくは25重量%以上分解する。なお、低置換度セルロースエステルの含有量が増加するにつれて、セルロースエステル組成物を短時間内に生分解できる。
【0039】
このような組成物における生分解の機構は、明確ではないが、低置換度セルロースエステルを少量含有させることにより、本来高置換度セルロースエステルに対して分解性を有しない微生物が馴化され、その結果、高置換度セルロースエステルをも分解するものと推測される。
【0040】
なお、セルロースエステルは、置換度の大小に拘らず、慣用の方法で製造することができる。また、セルロースエステルの置換度は、セルロースと有機酸又は酸無水物との反応に際して、一段の反応で置換度を調整してもよく、置換度の高いセルロースエステル(例えば、3置換体)を一旦製造した後、加水分解して置換度を調整してもよい。
【0041】
本発明の組成物は、前記低置換度セルロースエステルを含んでいればよいが、成形性のみならず生分解性を高めるため、少なくとも低置換度セルロースエステルと、可塑剤、脂肪族ポリエステル、光分解促進剤及び生分解促進剤からなる群から選択された少なくとも1つの成分とを含むのが好ましい。
【0042】
前記成分を含む本発明の組成物は、次のような態様に区分できる。
【0043】
(1)前記セルロースエステルおよび可塑剤を含む組成物
(2)前記セルロースエステルおよび脂肪族ポリエステルを含む組成物
(3)前記セルロースエステル、可塑剤および脂肪族ポリエステルを含む組成物
(4)前記セルロースエステルおよび光分解促進剤を含む組成物
(5)前記セルロースエステルおよび生分解促進剤を含む組成物
(6)前記セルロースエステル、光分解促進剤および生分解促進剤を含む組成物
(7)前記セルロースエステルと、可塑剤及び/又は脂肪族ポリエステルと、光分解促進剤及び/又は生分解促進剤とを含む組成物。
【0044】
低置換度セルロースエステルを含む組成物は、成形性および生分解性をさらに高めるため、前記(3)〜(7)の態様で使用される場合が多い。また、光分解促進剤は、単独でセルロースエステルと組合せた(4)の態様で使用でき、(7)の態様においては、可塑剤及び脂肪族ポリエステルと、生分解促進剤及び/又は光分解促進剤とを組合せる場合が多い。
【0045】
前記可塑剤としては、セルロースエステルの可塑化に使用される種々の可塑剤、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどフタル酸エステル、テトラオクチルピロメリテート、トリオクチルトリメリテートなどの芳香族多価カルボン酸エステル;ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジエチルアゼレート、ジブチルアゼレート、ジオクチルアゼレートなどの脂肪族多価カルボン酸エステル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールの低級脂肪酸エステル(例えば、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、ジグリセリンテトラアセテートなど);トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステルなどが挙げられる。これらの可塑剤は一種又は二種以上使用できる。
【0046】
脂肪族ポリエステルには、二塩基酸とグリコールとのポリエステル、ポリカプロラクトンなどのポリエステルなどが含まれる。
【0047】
前記二塩基酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸などの炭素数2〜14程度のジカルボン酸が挙げられる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの炭素数2〜12程度のグリコールが挙げられる。二塩基酸とグリコールはそれぞれ一種又は二種以上使用することができる。
【0048】
脂肪族又は鎖状ポリエステルは、二塩基酸とグリコールとを反応させることにより得られる。反応に際しては、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノールなどの一価アルコールを分子量調整剤として使用してもよい。また、必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールや他の多価カルボン酸を一部併用してもよい。
【0049】
ポリカプロラクトンには、ポリカプロラクトン(例えば、分子量1×104 〜10×104 程度のポリカプロラクトン)、カプロラクトンジオール(例えば、分子量530〜4000程度のカプロラクトンジオール)、カプロラクトントリオール(例えば、分子量300〜2000程度のカプロラクトントリオール)などが含まれる。
【0050】
前記脂肪族ポリエステルの分子量は、生分解性を高めるため、200〜20×104 、好ましくは300〜10×104 、更に好ましくは300〜1×104 程度である。
【0051】
なお、前記可塑剤と脂肪族ポリエステルとは併用してもよく、前記セルロースエステルの生分解性によっては、使用しなくてもよい。
【0052】
光分解促進剤としては、例えば、ベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノンとその誘導体;アセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノンとその誘導体;キノン類;チオキサントン類;フタロシアニンなどの光励起剤、アナターゼ型酸化チタン、エチレン−一酸化炭素共重合体、芳香族ケトンと金属塩との増感剤などが例示される。これらの光分解促進剤は、一種又は二種以上使用できる。好ましい光分解促進剤には、アナターゼ型酸化チタンが含まれる。
【0053】
光分解促進剤を用いると、セルロースエステルを光分解できる。そのため、成形品であっても、光分解性と相まって生分解性を高めることができる。
【0054】
上記酸化チタンの粒径は紡糸性などの成形性などを損わない限り特に制限されないが、例えば、粒径0.01〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μm程度である。また、酸化チタンの比表面積は、通常3〜30m2 /g、好ましくは5〜20m2 /g程度である。なお、ルチル型酸化チタンに比べてアナターゼ型酸化チタンは、少量にてセルロースエステルに高い光分解性を付与する。
【0055】
生分解促進剤には、例えば、オキソ酸(例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの炭素数2〜6程度のオキソ酸)、飽和ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸などの炭素数2〜6程度の低級飽和ジカルボン酸など)などの有機酸;これらの有機酸と、炭素数1〜4程度のアルコールとの低級アルキルエステルが含まれる。好ましい生分解促進剤には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの炭素数2〜6程度の有機酸が含まれる。これらの生分解促進剤も一種又は二種以上使用できる。
【0056】
また、生分解促進剤には、生分解酵素、例えば、リパーゼ、セルラーゼ、エステラーゼなどの加水分解酵素も含まれる。生分解酵素は、例えば、水溶性高分子などの担体に担持又は封入したり水溶性高分子でマイクロカプセル化し、前記セルロースエステル組成物やその成形品に含有させてもよく、成形品に付着させてもよい。
【0057】
なお、前記光分解促進剤と生分解促進剤とは併用してもよい。また、生分解性の高いセルロースエステルを用いる場合には、光分解促進剤及び/又は生分解促進剤は必ずしも必要ではない。
【0058】
前記各成分は、適当に組合せることができると共に、適当な割合で使用できる。組成物は、通常、セルロースエステル100重量部に対して、可塑剤及び/又は脂肪族ポリエステル0〜100重量部(好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは25〜75重量部程度)、光分解促進剤及び/又は生分解促進剤0〜5重量部(好ましくは0.005〜5重量部、さらに好ましくは0.007〜3重量部程度)を含む。可塑剤及び/又は脂肪族ポリエステルの添加量が100重量部を越えると、耐熱性などが低下し易く、光分解促進剤及び/又は生分解促進剤の添加量が5重量部を越えると、紡糸性などの成形性が低下し易い。
【0059】
また、可塑剤及び/又は脂肪族ポリエステルを含まない組成物において、他の好ましい組成物は、セルロースエステル100重量部に対して、光分解促進剤を0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜2.5重量部、さらに好ましくは0.2〜1重量部程度を含む。上記光分解促進剤には、アナターゼ型酸化チタンなどが含まれる。光分解促進剤の添加量が0.1重量部未満であると、分解性がさほど向上せず、5重量部を越えると、紡糸性などの成形性が低下し易い。なお、この組成物において成形性を高めるため、セルロースエステル100重量部に対して、前記可塑剤及び/又は脂肪族ポリエステルを5〜100重量部程度添加してもよく、生分解促進剤を0.005〜5重量部程度添加してもよい。
【0060】
なお、低置換度セルロースエステルに限らず、高置換度セルロースエステルも、前記の割合で、上記成分を含んでいてもよい。
【0061】
本発明の組成物は、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの老化防止剤、充填剤、帯電防止剤、着色剤などを含んでいてもよい。
【0062】
このような組成物は、種々の成形品を製造する上で有用である。成形品は、押出し成形、ブロー成形、発泡成形、射出成形、キャスティング法、紡糸法などの種々の成形法により製造できる。また、成形品は、切削加工などが施されていてもよい。
【0063】
成形品としては、セルロースエステルが利用される種々の成形品、例えば、クレープが付けられていてもよいフィルム、シート、容器、苗木用鉢、ネット状製品、袋状製品、繊維、繊維成形品などが例示される。好ましい成形品には、外部環境との接触面積が大きく、分解性を高める上で有用な、フィルム、繊維、繊維成形品が含まれる。繊維成形品の形態は特に制限されない。繊維成形品は、例えば、織布、不織布、抄紙などによる紙やシート、紐、メッシュ状編成体、中空糸、トウ、紙巻きタバコ用フィルターなどが例示される。好ましい繊維成形品には、繊維、混紡繊維又はそれらの繊維束で構成された不織布、紙やシート、トウ、タバコフィルター(フィルターチップ)などが含まれる。
【0064】
繊維や繊維成形品は、前記低置換度セルロースエステルの繊維のみならず、前記低置換度セルロースエステルの繊維と、高置換度セルロースエステルの繊維とを含む置換度の異なる複数のセルロースエステルの混紡繊維で構成されていてもよい。混紡繊維中の低置換度セルロースエステル繊維の含有量は、例えば、セルロースエステル繊維全体の10重量%以上、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは10〜50重量%程度である。低置換度セルロースエステル繊維の含有量が10重量%以上であれば、生分解性に劣るセルロースエステル繊維の生分解性を飛躍的に向上できる。なお、低置換度セルロースエステル繊維の含有量が増加するにつれて、繊維成形品を短時間内に生分解できる。
【0065】
低置換度セルロースエステルの繊維を含む前記繊維成形品は、ASTM D 5209に準ずる試験方法において、4週間後に20重量%以上、好ましくは25重量%以上分解する。
【0066】
前記セルロースエステルの繊維は慣用の紡糸法により製造できる。例えば、セルロースエステルを、必要に応じて前記成分とともに、有機溶媒と混合し、湿式又は乾式で紡糸する方法、セルロースエステルに可塑剤を添加して溶融状態で紡糸する方法などにより、セルロースエステルの繊維を製造できる。その際、低置換度セルロースエステルと高置換度セルロースエステルとを別々に紡糸した後、混紡してもよく、低置換度セルロースエステルと高置換度セルロースエステルとを共通する溶媒に溶解したり、共通する溶融紡糸条件で紡糸可能である場合には、低置換度セルロースエステルと高置換度セルロースエステルとを混合して紡糸してもよい。
【0067】
繊維は、断面円形状や楕円状などであってもよく、比表面積を大きくするため、断面異形状であってもよい。単繊維径は、特に制限されないが、通常、0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm程度である。
【0068】
繊維成形品において、少なくとも前記低置換度セルロースエステル繊維には、生分解酵素が付着又は含有されていてもよい。高置換度セルロースエステル繊維にも、生分解酵素が付着又は含有されていてもよい。
【0069】
生分解酵素には、リパーゼ、セルラーゼ、エステラーゼなどの前記例示の加水分解酵素が含まれる。生分解酵素は、例えば、水溶性高分子に担持又は封入したり水溶性高分子でマイクロカプセル化し、得られた生分解酵素を含む組成物を、紡糸原液に添加し、前記セルロースエステルの繊維に含有させてもよく、紡糸した繊維、繊維集合体、繊維束や繊維成形品に、噴霧、浸漬などの方法により付着させてもよい。このようにして生分解性酵素を付着又は含有させた繊維成形品を、水などに接触させることにより、水溶性高分子の溶解やマイクロカプセルの破壊に伴なって、生分解酵素を刺激して活性化させ、セルロースエステルの分解を促進できる。
【0070】
さらに、好ましい繊維成形品には、水溶性接着剤で結合した混紡していてもよい繊維、例えば、不織布、抄紙などによる紙やシートなどの繊維成形品、特にタバコフィルターなどの繊維束が含まれる。水溶性接着剤を用いると、水との接触により、形態が繊維に崩壊するので、生分解性がさらに向上する。
【0071】
水溶性接着剤としては、例えば、澱粉、変性澱粉、可溶性澱粉、デキストラン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、蛋白質(例えば、カゼイン、ゼラチンなど)などの天然物系接着剤;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル樹脂などの合成樹脂接着剤などが例示される。これらの接着剤は一種又は二種以上使用できる。
【0072】
前記タバコフィルターにおいては、通常、繊維束を円筒状に巻き取るための巻取紙と、この巻取紙を接着するための巻取用糊、レール糊、ラップ糊、口元のチップペーパーと、このペーパーを接着するためのチップ糊が使用されている。前記糊としても前記水溶性接着剤を用いるのが好ましい。すなわち、好ましいタバコフィルターにおいては、繊維束は筒状の巻取紙内に収容され、この巻取紙の端部には筒状のチップペーパーが形成されていると共に、前記巻取紙およびチップペーパーの糊付け部は水溶性接着剤により接合し、筒状に形成されている。また、巻取紙及びチップペーパーは、水との接触により繊維状に崩壊する紙で形成されているのが好ましい。
【0073】
本発明の組成物および成形品は、低置換度セルロースエステルを含むので、生分解性に優れており、低置換度セルロースエステルにより、生分解性に劣るセルロースエステルであっても生分解できる。また、光分解促進剤や生分解促進剤を含む組成物および成形品は、さらに生分解性に優れ、可塑剤や脂肪族ポリエステルを含む組成物および成形品は、成形性および生分解性に優れている。そのため、成形品を屋外などに廃棄したとしても、速かに分解でき、環境汚染の虞が少ない。 成形品の生分解は、屋外の種々の外部環境、例えば、温度0〜50℃、好ましくは10〜40℃程度の室温、相対湿度30〜90%程度で行なうことができる。また、成形品の生分解を促進するためには、セルロースや有機酸などのセルロースエステルの構成成分に対して馴化した微生物を含む土壌や水中などの環境下に、成形品を晒すのが有用である。上記微生物を含む活性汚泥を用いると、成形品の生分解性を高めることができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明のセルロースエステル組成物、繊維成形品などの成形品は、生分解性に優れている。そのため、成形品を屋外などに廃棄したとしても、速かに分解でき、環境汚染の虞が少ない。また、本発明の他の組成物は、生分解性に劣るセルロースエステルを含むにも拘らず、生分解性に優れている。さらに、本発明の組成物は、通常の可塑剤が使用できると共に、成形性および生分解性に優れている。
【0075】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【0076】
なお、実施例および比較例において、生分解性は次のようにして測定した。
【0077】
活性汚泥として都市下水処理場活性汚泥(揖保川処理場返送汚泥)を用いた。また、供試試料は、試料2gを液体窒素中で3分間初期凍結し、コーヒーミルで3分間粉砕した後、液体窒素中で1分間凍結し、振動粉砕機で3分間粉砕することにより調製した。
【0078】
そして、供試試料100ppm(仕込量30mg)と前記汚泥30ppm(仕込量9mg)の濃度で、25±1℃で4週間に亘りASTM D 5209に規定する試験方法に従って試験し、ASTM D 5209に基づいて、発生した二酸化炭素の量を分解された炭素数に換算し、供試試料の総炭素数との比率から分解率を求めた。
【0079】
酢酸セルロースに含まれる総硫酸量は、粉末の酢酸セルロースを、1300℃の電熱炉で焼き、発生する亜硫酸ガスを10%過酸化水素水溶液にトラップし、所定の水酸化ナトリウム水溶液で滴定して求めた。なお、得られた値はSO4 2-に換算した量である。
【0080】
実施例1
セルロース100重量部、硫酸15重量部、無水酢酸280重量部および溶媒380重量部を用いて、35℃で3時間エステル化し、酢酸カルシウムを添加して中和した。得られた酢酸セルロース100重量部を5時間加水分解し、置換度2.14、残存硫酸量1.17×10-2重量%(0.031モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比1.0、重合度185の酢酸セルロースを得た。
【0081】
実施例2
実施例1と同様にして、置換度1.90、残存硫酸量0.98×10-2重量%(0.025モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比0.8、重合度160の酢酸セルロースを得た。
【0082】
実施例3
実施例1と同様にして、置換度1.20、残存硫酸量0.58×10-2重量%(0.013モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比0.9、重合度148の酢酸セルロースを得た。
【0083】
比較例1
実施例1と同様にして、置換度2.50、残存硫酸量1.25×10-2重量%(0.035モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比1.3、重合度195の酢酸セルロースを得た。
【0084】
比較例2
実施例1と同様にして、置換度2.40、残存硫酸量1.23×10-2重量%(0.034モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比1.2、重合度193の酢酸セルロースを得た。
【0085】
比較例3
実施例1と同様にして、置換度2.20、残存硫酸量1.11×10-2重量%(0.030モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比1.2、重合度183の酢酸セルロースを得た。
【0086】
比較例4
実施例1で用いた原料セルロースを生分解性試験に供した。
【0087】
そして、実施例1〜3及び比較例1〜4の酢酸セルロース及び原料セルロースの生分解性を評価したところ、表1に示す結果を得た。
【0088】
【表1】
表1から明らかなように、実施例1〜3の酢酸セルロースは、酢酸が結合しているにも拘らず、高い生分解性を示す。
【0089】
実施例4
実施例1で得られた置換度2.14の酢酸セルロース100重量部に対して、脂肪族ポリエステルであるポリカプロラクトントリオール(ダイセル化学工業(株)製、プラクセル303、分子量300)20重量部、可塑剤としてのジエチルフタレート20重量部、およびクエン酸0.02重量部を混合して加熱溶融押出し成形し、フィルム状の成形品(厚み0.05mm)を得た。
【0090】
比較例5
置換度2.14の酢酸セルロースに代えて、置換度2.50の酢酸セルロースを用いる以外、実施例4と同様にして、成形品を得た。
【0091】
実施例5
実施例1で得られた置換度2.14の酢酸セルロース100重量部に対して、可塑剤としてのジエチルフタレート40重量部、脂肪族ポリエステルとしてエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル(分子量2000)15重量部、およびクエン酸0.02重量部を混合して加熱溶融押出し成形し、シート状の成形品(厚み0.5mm)を得た。
【0092】
比較例6
置換度2.14の酢酸セルロースに代えて、置換度2.50の酢酸セルロースを用いる以外、実施例5と同様にして、成形品を得た。
【0093】
そして、実施例4,5及び比較例5,6で得られた成形品の生分解性を調べたところ、表2に示す結果を得た。
【0094】
【表2】
表2から明らかなように、実施例4及び5の組成物からなる成形品は、高い生分解性を示す。
【0095】
実施例6
実施例1で得られた置換度2.14の酢酸セルロース100重量部に対して、アナターゼ型酸化チタン(平均粒子径0.3μm)0.5重量部を添加し、アセトン/水=96.5/3.5(重量%)の混合溶媒235重量部に混合分散させ、紡糸ドープを調製した。このドープを用いて乾式紡糸し、5デニールのフィラメントを作製した。
【0096】
実施例7
アナターゼ型酸化チタンを添加することなく、実施例6と同様にして、5デニールのフィラメントを作製した。
【0097】
そして、実施例6及び実施例7で得られたフィラメントを、生物分解性試験に供したところ、実施例1と同様の結果が得られ、高い生分解性を示した。また、実施例6及び実施例7で得られたフィラメントを、JIS L−1013に準拠してフェードメーターによる耐候性試験に供し、引張り強度及び引張り伸度を測定した。また、光照射前のフィラメントの引張り強度及び引張り伸度を100とし、照射時間に伴なう強度及び伸度を保持率として、光分解性を評価したところ、表3に示す結果を得た。
【0098】
【表3】
表3から明らかなように、実施例6のフィラメントは、光照射により強度及び伸度の低下が大きく、光分解性が高い。
【0099】
なお、市販の顔料用酸化チタンの結晶型が光分解性に及ぼす影響を調べた。すなわち、酸化チタン30mg、エタノール100ppm、及び水40mlの反応系に、キセノンランプ(1kW)を25cmの距離から照射し、紫外線照射によるエタノールの減量を、空気中の有機物減量法により測定し、エタノールの減少率を算出した。
【0100】
その結果、ルチル型酸化チタン(平均粒子径0.3μm、比表面積6m2 /g)を用いた場合には、30分間の紫外線照射によりエタノールが3重量%減少し、1時間の紫外線照射によりエタノールが4重量%減少した。これに対して、アナターゼ型酸化チタン(平均粒子径0.3μm、比表面積9m2 /g)を用いた場合には、30分間の紫外線照射によりエタノールが30重量%減少し、1時間の紫外線照射によりエタノールが72重量%減少した。
【0101】
実施例8
セルロース100重量部、硫酸15重量部、無水酢酸280重量部および溶媒380重量部を用いて、35℃で3時間エステル化し、酢酸カルシウムを添加して中和した。得られた酢酸セルロース100重量部を5時間加水分解し、置換度1.24、残存硫酸量0.58×10-2重量%(0.013モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比0.9、重合度148の酢酸セルロースを得た。
【0102】
得られた置換度1.24の酢酸セルロース10重量%と、市販の酢酸セルロース(置換2.45)90重量%とを混合し、セルロースエステル組成物を調製した。
【0103】
比較例7
実施例8で用いた市販の酢酸セルロース(置換2.45)を用いた。
【0104】
比較例8
実施例8で得られた置換度1.24の酢酸セルロース5重量%と、実施例8で用いた市販の酢酸セルロース(置換2.45)95重量%とを混合し、セルロースエステル組成物を調製した。
【0105】
実施例9
実施例8と同様にして、置換度2.1、残存硫酸量1.17×10-2重量%(0.031モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比1.0、重合度185の酢酸セルロースを得た。
【0106】
得られた置換度2.1の酢酸セルロース10重量%と、実施例8で用いた市販の酢酸セルロース(置換2.45)90重量%とを混合し、セルロースエステル組成物を調製した。
【0107】
比較例9
実施例8と同様にして、置換度2.26、残存硫酸量1.11×10-2重量%(0.030モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比1.2、重合度183の酢酸セルロースを得た。
【0108】
得られた置換度2.26の酢酸セルロース10重量%と、実施例8で用いた市販の酢酸セルロース(置換2.45)90重量%とを混合し、セルロースエステル組成物を調製した。
【0109】
そして、実施例8及び9及び比較例7〜9の組成物の生分解性を評価したところ、表4に示す結果を得た。
【0110】
【表4】
表4から明らかなように、実施例8及び9のセルロースエステル組成物は、4週間後に分解率が0%の比較例7の酢酸セルロースを含むにも拘らず、4週間後で25%及び30%という高い生分解性を示す。また、低置換度セルロースエステルを5重量%含有する比較例8の組成物は、4週間後でも分解率が5%に過ぎず、比較例3の組成物は4週間後であっても1%の分解率しか示さなかった。
【0111】
実施例10
セルロース100重量部、硫酸15重量部、無水酢酸280重量部および溶媒380重量部を用いて、35℃で3時間エステル化し、酢酸カルシウムを添加して中和した。得られた酢酸セルロース100重量部を5時間加水分解し、置換度1.24、残存硫酸量0.58×10-2重量%(0.013モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比0.9、重合度148の酢酸セルロースを得た。得られた置換度1.24の酢酸セルロースを紡糸し、低置換度セルロースエステル繊維を得た。
【0112】
低置換度セルロースエステル繊維10重量%と、市販の酢酸セルロース(置換2.45)の繊維90重量%とを混紡し、タバコフィルター用混紡繊維束を調製した。
【0113】
実施例11
実施例10と同様にして、置換度2.1、残存硫酸量1.17×10-2重量%(0.031モル%)、残存硫酸量に対するカルシウムのモル比1.0、重合度185の酢酸セルロースを得た。
【0114】
得られた置換度2.1の酢酸セルロースを紡糸し、低置換度セルロースエステル繊維を得た。低置換度セルロースエステル繊維10重量%と、市販の酢酸セルロース(置換2.45)の繊維90重量%とを混紡し、タバコフィルター用混紡繊維束を調製した。
【0115】
比較例10
実施例10で用いた市販の酢酸セルロース(置換2.45)の繊維を用い、タバコフィルター用繊維束を調製した。
【0116】
そして、実施例10,11及び比較例10の繊維束の生分解性を評価したところ、表5に示す結果を得た。
【0117】
【表5】
表5から明らかなように、実施例10及び11の繊維束は、生分解性が低い比較例10の酢酸セルロースを含むにも拘らず、4週間後で30%及び24%という高い生分解性を示す。なお、比較例10の繊維束は4週間後であっても2%の分解率しか示さなかった。
Claims (10)
- 平均置換度が1.0〜2.15であり、残存硫酸量がSO 4 2− 換算で、0.005〜0.1モル%であり、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であり、かつ粉砕した試料濃度100ppm、都市下水処理場の活性汚泥濃度30ppm及び25℃±1℃で4週間に亘り、ASTM D 5209に規定する試験方法に従って生分解性試験を行ったとき、ASTM D 5209に基づいて、発生する炭酸ガス量を基準として求めた分解率が60重量%以上であるセルロース有機酸エステルを含む生分解性セルロースエステル組成物。
- セルロース有機酸エステルが酢酸セルロースである請求項1記載の生分解性セルロースエステル組成物。
- 酢酸セルロースが、平均重合度50〜250、平均置換度1.0〜2.15、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1である請求項2記載の生分解性セルロースエステル組成物。
- 可塑剤、脂肪族ポリエステル、光分解促進剤及び生分解促進剤からなる群から選択された少なくとも1つの成分を含む請求項1記載の生分解性セルロースエステル組成物。
- セルロース有機酸エステルが平均重合度50〜250である請求項1記載の生分解性セルロースエステル組成物。
- 置換度の異なる複数のセルロース有機酸エステルを含む組成物であって、平均置換度が1.0〜2.15であり、残存硫酸量がSO 4 2− 換算で、0.005〜0.1モル%であり、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であり、かつ粉砕した試料濃度100ppm、都市下水処理場の活性汚泥濃度30ppm及び25℃±1℃で4週間に亘り、ASTM D 5209に規定する試験方法に従って生分解性試験を行ったとき、ASTM D 5209に基づいて、発生する炭酸ガス量を基準として求めた分解率が60重量%以上であるセルロース有機酸エステルを、セルロースエステル全体の10重量%以上含み、かつ粉砕した試料濃度100ppm、都市下水処理場の活性汚泥濃度30ppm及び25℃±1℃で4週間に亘り、ASTM D 5209に規定する試験方法に従って生分解性試験を行ったとき、ASTM D 5209に基づいて、発生する炭酸ガス量を基準として求めた分解率が20重量%以上である生分解性セルロースエステル組成物。
- 平均置換度が1.0〜2.15であり、残存硫酸量がSO 4 2− 換算で、0.005〜0.1モル%であり、残存する硫酸量に対するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の当量比が0.1〜1.1であり、かつ粉砕した試料濃度100ppm、都市下水処理場の活性汚泥濃度30ppm及び25℃±1℃で4週間に亘り、ASTM D 5209に規定する試験方法に従って生分解を行ったとき、ASTM D 5209に基づいて、発生する炭酸ガス量を基準として求めた分解率が60重量%以上であるセルロース有機酸エステルと、粒径0.01〜1μmである酸化チタンとを含む生分解性セルロースエステル組成物。
- 請求項1、6又は7に記載の生分解性セルロースエステル組成物により形成されている生分解性成形品。
- 請求項8記載の成形品が繊維である生分解性繊維。
- 請求項9記載の繊維で構成された繊維束と、この繊維束を収容する筒状の巻取紙と、この巻取紙の端部に形成された筒状のチップペーパーとを備えた成形品であって、巻取紙およびチップペーパーの糊付け部が水溶性接着剤により接合し、筒状に形成されている生分解性繊維成形品。
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JP30719793A JP3986569B2 (ja) | 1992-11-13 | 1993-11-11 | 生分解性セルロースエステル組成物および成形品 |
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