JP3986034B2 - 表示パネルの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気密構造を有する表示パネルに関する。さらには、そのような表示パネルにおいて行われるパネル封着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
厚膜配線が用いられる高真空パネルの一つとして、表面電子放出型パネルがある。この他、PDPやFED等もあるが、ここでは、特に真空度が要求される表面電子放出型パネルを代表例として、以下に説明する。
【0003】
表面伝導型電子放出装置の例としては、M.I.Elinson, RadioFng. ElectronPhys, 10.1290(1965)等に開示されたものがある。表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる。このような表面伝導型電子放出素子としては、上記エリンソン等によるSn02薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの(G.Dittmer, Thin Solid Films, 9, 317(1972))、In23/Sn02薄膜によるもの(M.Hartwell and C.G.Fonstad, IEEE Trans.ED Conf., 519(1975))、カーボン薄膜によるもの[荒木久他:真空、第26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告されている。これらの表面伝導型電子放出素子の典型的な例として、前述のM.ハートウェルの素子構成を図9に模式的に示す。
【0004】
図9において、基板101上に金属酸化物薄膜からなる導電性薄膜102がH型形状のパターンにスパッタで形成され、この導電性薄膜102に後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部103が形成されている。尚、図9中の素子電極間隔Lは0.5〜1mm、Wは0.1mmに設定されている。
【0005】
上記表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を行う前に導電性薄膜102を予め通電フォーミング処理によって電子放出部103を形成するのが一般的である。ここで、通電フォーミングとは導電性薄膜102の両端に直流電圧或いは非常に緩やかな昇電圧を印加通電し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部103を形成することをいう。電子放出部10では、導電性薄膜102の一部に亀裂が発生し、その亀裂付近から電子放出が行われる。
【0006】
上記の通電フォーミング処理を施した表面伝導型電子放出素子では、導電性薄膜102に電圧を印加して素子に電流を流すことにより、電子放出部103から電子が放出される。
【0007】
上述したような表面伝導型電子放出素子を備える表示パネルの一例として、特開平9−277586号公報には、真空封止部の信頼性を考慮して、図10に示すように、引出し線202のパターン形状を真空封止部201で折り返し形状にしたものがある。この構造によれば、引出し線の厚膜化によって生じる支持枠下の配線段差による真空リークの発生が緩和される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような表面伝導型電子放出素子を用いる画層表示パネルの場合、真空封止部の引出し線のパターン形状を図10に示したようなパターン形状にしたとしても、以下のようなリーク問題が発生する。
【0009】
引出し線として例えばAgペーストを用いた厚膜配線を形成した場合、低温ではAg粒子の結合状態が完全に溶けきれず、金属粒子間に隙間ができる。このような金属粒子間に生じる隙間によって微細なパスが形成され、このパスを介してリークが発生し、高真空を保持できなくなってしまう。
【0010】
なお、上記金属粒子間の間隙の問題は、熱焼成工程において金属粒子の軟化点よりも高い温度で充分焼成すれば解決できるが、以下に述べるような焼成温度の制約があるため、焼成温度を上げて対処することは簡単にはできない。
【0011】
焼成温度のプロファイルにもよるが、青板基板を焼成する場合、変形を起こすために515℃以下で焼成する必要がある。さらに、精度を要求する場合は、495℃以下で焼成することが必要である。このような条件を満たさない場合は、青板基板が変形し、焼成する前にパターンなどのピッチや長寸法が狂うことになる。この変形の問題を防ぐために、低温焼成が必要となっていた。
【0012】
上述の低温焼成で形成した配線は真空度が10−6torrまでは問題ないことが経験的に分かっている。しかし、さらに高真空を要求された場合、例えば、10−8torrを達成することはできなかった。この原因は、上述のように金属粒子が軟化点近傍で熱せられたときに、粒子同士の結合があまり進まず、微細な空隙が生じるためと考えられる。特に、金属粒子(例えば、Ag)の凝集による突起を防ぐために、金属粒子の粒径分布を均一にした場合には、金属粒子が充分溶融される温度よりも低い温度で形成されると、粒子間の隙間からのリークの発生度合いが大きなものとなり、信頼性に問題が生じていた。
【0013】
本発明の目的は、上述のリーク問題を解決し、パネル内部が高真空に減圧雰囲気に保持される、信頼性の高い表示パネルを提供することにある。さらには、そのような気密性の高い表示パネルを実現するパネル封着方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の、配線が設けられた基板と、支持枠と、を含む表示パネルの製造方法は、基板上に、金属粒子とガラスとを含むペーストを塗布し焼成して配線を形成する工程と、前記配線上を含む、支持枠が封着される部分に沿って枠状に前記ガラスと同じ材料からなるガラスを設ける工程と、前記設けたガラス上にフリットガラス及び支持枠をその順に設け、該支持枠と前記基板とを封着する工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
(作用)
前述の課題でも説明したように、リークの主な原因は気密容器内から外へ引き出された引出し線を構成している金属粒子(例えば、Ag粒子)ペーストの粒子間の微細な隙間にある。上記のとおりの本発明においては、封着部は第1および第2の絶縁層の2層構造になっているので、一方の絶縁層を支持枠を封着するために用い、他方の絶縁層を引出し線からのリークを防止するために用いることができる。
【0022】
引出し線からのリークを防止するために用いる絶縁層(第2の絶縁層)の材質に引出し線に含浸可能な材質を用いる発明においては、引出し線の金属粒子間の隙間に第2の絶縁層が含浸し、これによりリークの原因となっているパスが埋められる。
【0023】
なお、第2の絶縁層が完全に溶けきらず、引出し線の下部まで十分に含浸しない場合でも、第2の絶縁層と引出し線の界面近傍において、引出し線の金属粒子間の隙間に第2の絶縁層が含浸するので、この部分からリークすることはない。この第2の絶縁層は、第1の絶縁層を用いた支持枠の封着部と引出し線とが接する部分を覆うように設けられているので、支持枠封着部近傍で金属粒子間の隙間によるパスが形成されることはない。したがって、リークの原因となっているパスの長が長くなり、その分、リークが少なくなる。特に、真空用のゲッターなどの真空補助機材によって真空を保持する構造を持つ場合は、埋めることができなかったパスは、金属の粒子径(通常、0.1〜2.0μm)よりもはるかに小さいので、酸素や二酸化炭素などのガスが拡散する時間が非常に長いことを考えると、リークによる真空度の減少量は少ない。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
はじめに、本発明が適用される表示パネルの全体の構成について説明する。
【0026】
図2は、平面型の画層表示装置をなす表示パネル部の一例を示す斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠いて示している。図中、3115はリアプレート、3116は支持枠(側壁)、3117はフェースプレートであり、リアプレート3115、支持枠3116およびフュースプレート3117をフリットガラス等を用いて接着して封着することで表示パネルの内部を真空に維持するための外囲器(気密容器)を形成している。
【0027】
リアプレート3115には基板3111が固定されているが、この基板3111上には冷陰極素子3112が、N×M個マトリックス状に形成されている。ここで、N、Mは2以上の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。
【0028】
また、上記N×M個の冷陰極素子3112は、図2に示すとおり、M本の行方向配線3113とN本の列方向配線3114により配線されている。これら基板3111、冷陰極素子3112、行方向配線3113および列方向配線3114によって構成される部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。また、行方向配線3113と列方向配線3114の少なくとも交差する部分には、両配線間に絶縁層(不図示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれている。
【0029】
フェースプレート3117の下面には、蛍光体からなる蛍光膜3118が形成されており、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体(不図示)が塗り分けられている。また、蛍光膜3118をなす上記各色蛍光体の間には黒色体(不図示)が設けてあり、さらに蛍光膜3118のリアプレート3115側の面には、Al等からなるメタルバック3119が形成されている。
【0030】
行方向端子3113a、列方向端子3114aは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気的に接続するために設けた電気接続用端子で、この部分における封着が後述する本発明の特徴の気密構造になっている。行方向端子3113aはマルチ電子ビーム源の行方向配線3113と、列方向端子3114aはマルチ電子ビーム源の列方向配線3114とそれぞれ電気的に接続されている。
【0031】
上記気密容器の内部は10 6Torr程度の真空に保持される。構造支持体(スペーサあるいはリブと呼ばれる)3120は、気密容器内部と外部の気圧差によるリアプレート3115およびフェースプレート3117の変形あるいは破壊を防止するためのもので、比較的薄いガラス板からなる。
【0032】
上述のように構成された表示パネルでは、マルチビーム電子源が形成された基板3111と蛍光膜3118が形成されたフェースプレート3116間は通常サブミリないし数ミリに保たれ、前述したように気密容器内部は高真空に保持される。
【0033】
次に、本発明の表示パネルの特徴である、行方向端子および列方向端子が形成されたリアプレートと側壁(支持枠)との封着部の気密構造について説明する。
【0034】
図1に、本発明の表示パネルのリアプレートと支持枠との封着部の気密構造の断面構造の一例を示す。図1において、リアプレート1、厚膜配線2、支持枠5はそれぞれ上述の図2に示したリアプレート3115、行方向端子3113a(または列方向端子3114a)、支持枠3116に相当する。この気密構造では、厚膜配線(引出し線)2が形成されたリアプレート1と支持枠5の間に2つ絶縁層3,4が形成されている。
【0035】
リアプレート1に形成された厚膜配線2は、金属材料を含む導電性ペーストをスクリーン印刷法により印刷したもので、その厚さは数μm〜数十μmである。ここでは、厚膜配線2はAgペーストを印刷して形成されたものとして説明する。
【0036】
絶縁層3は、厚膜配線2における気密性を高めるためのもので、厚膜配線2に含浸可能な材料よりなる。具体的には、絶縁層3の材質は、Agペースト中に含まれるガラス(Agペースト中には、通常、Ag粒子以外に数%のガラスが混入されている。)と似た特性を持つ材料もしくは同じガラス材料よりなる。他方、絶縁層4は支持枠5を接着して融着するためのもので、その材質は支持枠5と同様の低融点ガラス(フリットガラス)等である。
【0037】
上述の気密構造では、絶縁層3のガラス成分が厚膜配線2に含浸することで厚膜配線2の界面付近のAg粒子の隙間が埋められ、これにより厚膜配線2における気密性が高められ、気密容器内を高真空に保持することができる。
【0038】
図3は、上述の図1に示した気密構造を備える表示パネルのリアプレート全体の封着部分の構造を模式的に示した図で、図中、破線部分はリアプレートと対向して配置されるフェースプレートを示す。
【0039】
リアプレート11上の有効表示領域15に列方向配線(下配線)および行方向配線(上配線)が形成され、これら配線の各交差部分近傍に表面伝導型の電子放出素子16が形成されている。これら上配線、下配線はそれぞれ気密容器外へ引き出された引出し線12a,12bと接続されている。図3中、上配線および下配線は省略している。
【0040】
引出し線12a,12bは、支持枠14の下部の封着部分を貫通して気密容器外へ取り出されており、少なくともこの部分において上述した本発明の特徴である気密構造(図1参照)を有する。図3に示す例では、引出し線12a,12bの気密性を高めるための絶縁層13は、支持枠14が封着される部分に沿って枠状に形成されている。この絶縁層13の幅は、支持枠14が封着される部分の幅より広くなるようにしてもよい。この場合、絶縁層13の幅は、図3に示すように支持枠14封着部分に対して気密容器外側へ広がるようにしてもよく、反対に支持枠14封着部分に対して気密容器内側へ広がるように設けてもよい。また、絶縁層13の幅は、支持枠14封着部分から気密容器の内側および外側の両方向に広がるようにしてもよい。
【0041】
絶縁層13上の支持枠14封着部分に絶縁層(不図示)が形成され、これに支持枠14が接着されて封着される。なお、図3に示す構成では、この絶縁層は支持枠14と重なるめ便宜上省略している。
【0042】
次に、上述のリアプレート封着部分を備える表示パネルの作製手順について説明する。
【0043】
まず、良く洗浄したリアプレート11上に金属材科よりなる導電膜を印刷し、素子電極16を形成する。一対の素子電極の電極間隔は数μm〜数百μm、膜厚は数百〜数千オングストロームで、印刷法により形成される。この素子電極は、フォトリソグラフィによりパターンニングを行って導電性薄膜を形成するようにしてもよい。この導電性薄膜の膜厚は、数十オングストローム〜数千オングストロームの範囲が好ましく適宜設定することができる。
【0044】
次いで、厚膜の金属粒子からなる導電性ぺ一ストを印刷し、下配線パターン(引出し線12a,12bを含む)を形成する。これらの下配線パターンは素子電極の一部と接触するように形成する。この下配線パターンの膜厚は、数十μm〜数μmの範囲である。
【0045】
下配線パターンが形成されると、続いて、下配線上の後に形成する上配線が交差する位置に絶縁性ぺ一ストを印刷、焼成して絶縁層を形成する。この絶縁層は、下配線と上配線とを絶縁するためのもので、その膜厚は数十μm〜数μmの範囲である。
【0046】
次いで、下配線と直行する方向で絶縁層上に厚膜の金属粒子からなる導電性ぺ一ストを印刷、焼成して上配線を形成する。この上配線は、絶縁層より下配線と絶縁されているが、素子電極とは導通するようになっている。上配線の膜厚は数十μm〜数μmの範囲である。
【0047】
上記のようにして引出し線12a,12b、上下配線、素子電極が形成されると、続いて、リアプレート11の封着部部分近傍で引出し線12a,12bの気密性を高めるための絶縁層13を形成するとともに、この絶縁層13上に低融点ガラス(フリットガラス)等によりなる絶縁層を設けて、これに支持枠14を接着して熱封着する。最後に、支持枠14にフェースプレートを封着して気密容器を完成する。なお、フェースプレートの作製手順の説明は省略する。
【0048】
以上説明した実施形態において、フェースプレート、リアプレート、支持枠としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等によりSi02を積層したガラス基板等、及びアルミナ等のセラミックス等を用いることができる。なお、プレートはコストを考えると青板ガラスを用いるのが好ましいが、600度近傍まで加熱できる基板、例えば、旭硝子社製PD200等を用いてもかまわない。
【0049】
素子電極、下配線、上配線の材料としては導電性を有するものであればどのような物であっても構わないが、例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,A1,Cu,Pd等の金属或いは合金、及びPd,Ag,Au,Ru,Pd−Ag等の金属等から構成される印刷導体等があげられる。本発明においては、このうち金属粒子からなる材料を対象としている。上下配線とも軟化点近傍で形成する。この場合の軟化点は、青板を用いた場合は495℃近傍以下が好ましい。また、材料的には印刷方式がコスト的に安いので、導電性配線材料として印刷Agペースト用い、絶縁ペーストとしては、硝子主体の材料を用いることが好ましい。なお、上下配線間に設けられる層間絶縁層に用いる絶縁ペーストは下配線の材料との塗れ性を考慮した材料を使用する。
【0050】
支持枠14を接着するために用いられる低融点ガラス(フリットガラス)としては、融点が400〜550℃の一般に市販されているものを用いることができる。
【0051】
次に、上述した気密構造を有する本発明の表示パネルに設けられる表面伝導型電子放出素子の基本的な構造について説明する。図4は、表面伝導型電子放出素子の構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【0052】
図4において、21は基板、22と23は素子電極、24は導電性電極、25は電子放出部である。基板21としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を低減させたガラス、青板ガラス、スパッタ法等によりSi02を堆積させたガラス基板及びアルミナ等のセラミックス基板等を用いることができる。
【0053】
対向する素子電極22、23の材料としては、一般的な導電性を用いることができるが、ここではPt,Ti等の金属或いは合金、或いは金属酸化物とガラス等から構成される導体のうちから選択することができる。素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性薄膜24の形状等は、応用される形態等を考慮して設計される。好ましくは数千オングストローム〜数百μmの範囲であり、より好ましくは素子電極間に印加する電圧等を考慮して1〜200μmの範囲である。
【0054】
素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放一出特性を考慮して、数μm〜数百μmの範囲である。素子電極22、23の膜厚dは、100オングストローム〜0.2μmの範囲である。尚、図4に示した構成だけでなく、基板21上に、導電性薄膜24、対向する素子電極22,23の順に積層した構成とすることもできる。
【0055】
導電性薄膜24には良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好ましい。その膜厚は素子電極22,23へのステップカバレージ、素子電極22,23間の抵抗値及び後述するフォーミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常は数〜数千オングストロームの範囲とするのが好ましく、より好ましくは10〜500オングストロームの範囲とするのがよい。その抵抗値は、Rsが1×102〜1×107Ωの値である。尚Rsは厚さがt、幅がw、長さがlの薄膜の抵抗Rを、R;Rs(1/W)とおいたときに現れる値で、薄膜材料の抵抗率をρとするとRs=ρ/tで表される。
【0056】
次に、フォーミング処理について通電処理を例に挙げて説明するが、フォーミング処理はこれに限られるものではなく、膜に亀裂を生じさせて高抵抗状態を形成する方法であればいかなる方法でもよい。
【0057】
導電性薄膜24を構成する材料は、Pdを用いたBJ方法で形成した。ここで述べる微粒子膜とは複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に分散配置した状態或いは微粒子が互いに隣接、或いは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体として島状構造を形成している場合も含む)をとっている。微粒子の粒径は、数オングストローム〜1μmの範囲、好ましくは10〜200オングストロームの範囲である。
【0058】
電子放出部25は、導電性薄膜24の一部に形成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜24の膜厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング等の手法等に依存したものとなる。電子放出部25の内部には、1000オングストローム以下の粒径30の導電性微粒子を含む場合もある。この導電性微粒子は、導電性薄膜O04を構成する材料の元素の一部、或いは全ての元素を含有するものとなる。電子放出部25及びその近傍の導電性薄膜24には、炭素或いは炭素化合物を含む場合もある。
【0059】
上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法としては様々な方法があるが、その一例を図5に模式的に示す。図5においても、上述の図4に示した部位と同じ部位には図4に付した符号と同一の符号を付している。
【0060】
まず、図5(a)に示すように、基板21を洗剤、純水及び有機溶剤等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材料を堆積後、例えば、フォトリソグラフィー技術を用いて基板21上に素子電極22,23を形成する。
【0061】
続いて、図5(b)に示すように、素子電極22,23を設けた基板21に、有機金属溶液を塗布して、有機金属薄膜を形成する。有機金属溶液には、前述の導電性薄膜24の材料の金属を主元素とする有機金属化合物の溶液を用いることができる。有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によりパターニングし、導電性薄膜24を形成する。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて説明したが、導電性薄膜24の形成法はこれに限られるものでなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用いることもできる。
【0062】
さらに続いて、図5(c)に示すように、通電処理によるフォーミング処理を施して導電性薄膜24の部位に電子放出部25を形成する。通電フォーミングによれば、導電性薄膜24に局所的に破壊、変形もしくは変質等の構造変化した部位を形成することができる。通電フォーミング処理の終了は、導電性薄膜24を局所的に破壊、変形しない程度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができる。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子電流を測定し、その測定により得られる抵抗値が1MΩ以上を示した時、通電フォーミングを終了させる。
【0063】
フォーミングを終えた素子には、活性化処理を施すのが好ましい。活性化処理を施すことにより、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化する。活性化処理は、例えば有機物質のガスを含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パルスの印加を繰り返すことにより行うことができる。この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプ等を用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成することができる他、イオンポンプ等により一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質のガスを導入することによっても得られる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類等により異なるため、設計に応じ適宜設定される。
【0064】
適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミノ類、フェノール、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることができ、具体的には、メタン、エタン、ブロパン等CnH2n2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレン等CnH2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ペンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、ブロピオン酸等が使用できる。
【0065】
活性化処理により雰囲気中に存在する有機物質から炭素或いは炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化する。活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら行う。尚パルス幅、パルス間隔、パルス波高値等は適宜設定される。
【0066】
炭素或いは炭素化合物とは、HOPG(Highly Oriented Pyro1ytic Graphite)、PG(Pyrolytic Graphite)、GC(G1assy Carbon)等のグラファイトが挙げられ(HOPGはほぼ完全な結晶構造を有するグラファイト、PGは結晶粒が200オングストローム程度で結晶構造がやや乱れたグラファイト、GCは結晶粒が20オングストローム程度で結晶構造の乱れが更に大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモルフスカーボン及びアモルファスカーボンとグラファイトの微結晶の混合物を含むカーボン)であり、その膜厚は500オングストローム以下にするのが好ましく、300オングストローム以下であればより好ましい。
【0067】
活性化工程を経て得られた電子放出素子は、安定化処理を行うことが好ましい。この処理は真空容器内の有機物質の分圧が、10 8torr以下、望ましくは10 10torr以下で行うのが良い。真空容器内の圧力は、10 6.5torrから10 7torrが好ましく、特に10 8torr以下が好ましい。真空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。
【0068】
具体的にはソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることができる。更に真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱して真空容器内壁や電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気し易くするのが好ましい。このときの加熱した状態での真空排気条件は、80〜200℃で5時間以上が望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成等の諸条件により変化する。尚、上記有機物質の分圧測定は質量分析装置により質量数が10〜200の炭素と水素を主成分とする有機分子の分圧を測定し、それらの分圧を積算することこより求める。
【0069】
安定化工程を経た後の、駆動時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な特性を維持することができる。このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素或いは炭素化合物の堆積を抑制でき、結果として素子電流If、放出電流Ieが安定する。
【0070】
電子放出素子の配列については種々のものが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電子放出素子の固々を両端で接続し、電子放出素子の行を多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向(列方向と呼ぶ)で該電子放出素子の上方に配した制御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子からの電子を制御駆動する梯子状配置のものがある。これとは別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配された複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線に共通に接続するものが挙げられる。このようなものは、いわゆる単純マトリクス配線である。単純マトリクス配線について以下に詳述する。
【0071】
m本のX方向配線は、Dx1,Dx2、〜Dxmからなり、印刷法を用いて形成された導電性ペーストで構成することができる。配線の材料、膜厚、幅は、適宜設計される。Y方向配線は、Dy1,Dy2、〜Dynのn本の配線よりなり、X方向配線と同様に形成される。これらm本のX方向配線とn本のY方向配線との間には層間絶縁層が設げられており、両者を電気的に分離している(m,nは共に正の整数)。層間絶縁層は、例えば、印刷法を用いて形成された絶縁ペーストで構成される。例えば、X方向配線を形成した基板の全面或いは一部に所望の形状で形成され、特にX方向配線とY方向配線の交差部の電位差に耐え得るように膜厚、材料、製法が設定される。X方向配線とY方向配線は、それぞれ外部端子として引き出されている。表面伝導型電子放出素子を構成する一対の電極は、m本のX方向配線とn本のY方向配線と導線性金属等からなる結線によって電気的に接続されている。
【0072】
配線を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材科は、その構成元素の一部或いは全部が同一であっても、またそれぞれ異なってもよい。これら材料は、例えば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子電極に接続した配線は素子電極と云うこともできる。
【0073】
X方向配線には、X方向に配列して表面伝導型電子放出素子の行を選択するための走査信号を印加する走査信号印加手段が接続される。一方、Y方向配線にはY方向に配列した表面伝導型電子放出素子の各列を入カ信号に応じて、変調するための変調信号発生手段が接続される。この関係は逆転してもかまわない。各電子放出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給される。上記構成においては、単純なマトリクス配線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とすることができる。
【0074】
上述した単純マトリクス配置の電子源を用いた画像表示パネルは、前述した図2の表示パネルのような構造となる。図6に、図2に示した表示パネルとは封着部の配線引出しパターンの形状が異なる単純マトリクスの表示パネルの一例を示す。
【0075】
図6において、電子放出素子を複数配したリアプレート31と、ガラス基板の内面に蛍光膜とメタルバック等が形成されたフェースプレート32と、これらプレート間に配置された支持枠33とから気密容器が形成されている。支持枠34は、例えば大気中或いは窒素中で400〜500℃の温度範囲で10分間以上焼成され、封着する。表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線は、それぞれ引出し線34,35に接続されている。引出し線34,35は、封着部分で折り曲げられたパターンとなっており、この形状により、よりいっそう気密性を高められるようになっている。
【0076】
以上説明した本発明の表示パネルに採用する気密構造において、引出し配線におけるリークを防ぐために設けられる絶縁層は、下配線と上配線の間の層間絶縁層を印刷などの方法で形成するときに同時に形成してもかまわない。この場合、絶縁層と層間絶縁層は同じ材質である。また、材質的な問題がある場合には、別途形成してもかまわない。いずれの場合も、引出し配線のリークを防ぐために設けられる絶縁層と支持枠を接着するために設けられる絶縁層が一体化し、引出し線のカバーとしての効果を持つとともに、引出し配線中にガラス成分を染み込ませることによるマイクロポアの穴埋め効果を持つ。
【0077】
支持枠をフリット幅を広くすることも出来るが、この場合はパネルを貼り合わせるときの精度や圧力が高くなる等の制約が出る。また、フリットのみでは焼成後の金属粒子間の隙間に染み込む効果もあまり望めないことが経験上わかっており、上述のような2層構造の絶縁層として、それぞれ引出し線、支持枠に材質にあったものいる方法が最もリークを防止することができる。
【0078】
上述のように形成したパネルは、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポンブ等のオイルを使用しない排気装置により排気管を通じて排気し、1×10 7torr程度の真空度の有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止される。封止後の真空度を誰持するために、ゲッター処理を行うこともできる。これは、パネルの封止を行う直前或いは封止後に抵抗加熱或いは高周波加熱等を用いた加熱により、パネル内の所定の位置に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10 5〜1×10 7torrの真空度を維持するものである。
【0079】
以下に、上述した本発明の特徴である、リアプレートと支持枠とが2層構造の絶縁層により接着されて封着される気密構造を実際に採用した表示パネルの例として実施例1〜4を挙げる。
【0080】
(実施例1)
この表示パネルは、表面伝導型電子放出素子とマトリックス配線を用いたもので、リアプレートの封着部の構造が前述の図3に示した構造のものである。リアプレート11は青板ガラス基板であり、該基板上に有機金属ペースト(MOD)を印刷、焼成することにより素子電極16を形成した。この素子電極16の材質は、500オングストロームのPt薄膜から成っており、中央部で電極間隔が20μm、電極幅が300μmである。
【0081】
X方向配線(下配線)はAgぺ一ストインキ(ノリタケ(株)製4045)を印刷した後、480℃前後の焼成で得られた印刷配線であり、厚さ約7μ、幅100μmである。このX方向配線(下配線)は素子電極の一部と接続している。引出し配線12bもこれと同様の方法で形成した。
【0082】
上下配線を絶縁する層間絶縁層は、PbOを主成分とするガラスペースト(ノリタケ(株)製7723B)を印刷した後、480℃前後の焼成によって形成される絶縁体であり、後に形成するY方向配線(上配線)との交差部を覆うように形成した。この層間絶縁層の厚みは、約25μmである。
【0083】
Y方向配線(上配線)は、Agぺ一ストインキ(ノリタケ(株)製4045)を印刷した後、480℃前後の焼成で得られた印刷配線であり、上記絶縁体上でX方向配線(下配線)と交差しており、素子電極と接続されている。このY方向配線の厚さは、約7μmである。引出し配線12aもこれと同様の方法で形成した。
【0084】
マトリクス配置後、支持枠の一部と1mmは重なるような位置に絶縁層13(引出し配線のリークを防止するための絶縁層)をスクリーン印刷方法を用いて形成した。この絶縁層13の厚みは約10μmで、その材料は上述したガラスペーストと同じものである。
【0085】
以上のようにして作製したリアプレート11に、絶縁層(枠フリット)約100μm厚を両面に塗布した支持枠とフェースプレートを貼り合わせ、50℃の仮焼成の後、410℃の加熱処理により封着を行った。フェースプレートの基板は青板ガラスを使用した。蛍光体は赤(R)、縁(G)、青(B)の各色の色分けを行ったものであり、感光性樹脂に蛍光体を混合したスラリーを基板に塗布、焼成し、フォトリソグラフ法によってパターンニングして形成した。蛍光体は印刷方法を用いて形成してもかまわない。
【0086】
メタルバックは蛍光体上にフェルミングを行った後、真空蒸着によって厚さ約300オングストロームのアルミ薄膜を形成し、次いで焼成によりフィルムを消減させて作製した。
【0087】
以上を真空パネルの中に配置した後、X方向配線(下配線),Y方向配線(上配線)に電圧を印加して素子電極16間に通電処理を行い亀裂状の電子放出部を得た。この後メタルバックをアノード電極として電子の引き出し電圧10kVを印加し、XY配線電極を通して素子電極から電子放出部へ14Vの電圧を印加したところ、電子が放出された。この放出電子を蛍光体へ照射させ、放出電子を調整することにより蛍光体を任意の強度で発光させ画層を表示することができた。
【0088】
本実施例において、リアプレート11を20cm角の大きさとし、電子放出素子数を360個×360個のマトリヅクス状に配置したパネルの内部を真空にした場合、X方向配線(下配線),Y方向配線(上配線)の外部への引出し線に起因する真空リーク欠陥は生じなかった。
【0089】
(実施例2)
図7は、本発明の第2の実施形態の表示パネルのリアプレート全体の封着部分の構造を模式的に示した図で、図中、破線部分はリアプレートと対向して配置されるフェースプレートを示す。上述の第1の実施例の気密構造では、絶縁層13が支持枠14封着部分からさらに気密容器外側へ広がったものであったが、本実施例では、図7に示すように引出し線上に形成される絶縁層が支持枠14封着部分からさらに気密容器内側へ広がるように構成した。
【0090】
リアプレート11には青板ガラスを用い、その上にCVDにて膜厚4000ÅのSiO2膜を付けた。さらにこの上に、金属粒子からなるAgペーストを印刷方法にて印刷し、厚みが約10μmの上下配線(実施例1と同じ材料)をそれぞれに形成した。このとき、上下配線間には膜厚24μmの層間絶縁層(実施例1と同じ材料)を形成して、上下配線がショートしないようにした。
【0091】
この後、引出し線12a,12bの封着部から気密容器内側の引出し線上にわたって絶縁層13aを12μm形成した。ここで、絶縁層13aは封着部の枠フリットと接触する部分が少なくとも0.2mm以上あるように設計する必要がある。この理由は、フリットの塗布時のアライメント精度、絶縁層の印刷精度等を考慮しておく必要があるからである(実施例1も同様)。
【0092】
引出し線上の絶縁層13aの幅(長さ)は素子部近傍までで良いが、電子放射タイプの素子の場合は電子のチャージ量も考えておく必要がある。本実施例では、縁面放電、安全を考慮して素子部から5mm離して形成した。
【0093】
以降の工程は実施例1と同様にしてフェースプレートと貼り合わせパネルを形成した。このようにして形成した表示パネルは、真空リーク欠陥もなく、信頼性の高い表示パネルを得られた。
【0094】
(実施例3)
図8は、本発明の第3の実施形態の表示パネルのリアプレート全体の封着部分の構造を模式的に示した図で、図中、破線部分はリアプレートと対向して配置されるフェースプレートを示す。本実施例では、引出し線上に形成される絶縁層が支持枠封着部分から気密容器の内側および外側の両方向に広がるように構成した。
【0095】
リアプレート11には青板ガラスを用い、その上にスパッタ方法にて膜厚7000ÅのSiO2膜を付けた。さらにこの上に、金属粒子からなるAgペーストを印刷方法により形成して膜厚約8μmの上下配線(実施例1と同じ材料)をそれぞれ形成した。このとき、上下配線間には膜厚27μmの層間絶縁層(実施例1と同じ材料)を形成して、上下がショートしないようにした。
【0096】
この後、引出し線12a,12bの封着部から気密容器の内側および外側の引出し線上にわたって厚さ15μmの絶縁層13bを形成した。この場合、絶縁層13bは、封着部の支持枠14bを接着する枠フリット下全域に形成されていてもよく、また、枠フリット両端のみに形成されていいてもよい。ここでは、両端のみ接する方法(枠フリットの中心部には絶縁層がない方法)を採用し、枠フリットと接触する部分は少なくとも1mm以上あるようにした。
【0097】
引出し線12a,12b上の気密容器内側の絶縁層13bの幅(長さ)は素子部近傍までで良いが、実施例2と同等に電子放射タイプの素子の場合は電子のチャージ量も考えておく必要がある。そこで、本実施例では、縁面放電および安全を考慮して絶縁層13bを素子部から5mm離して形成した。
【0098】
これ以降の工程は実施例1や実施例2と同様にしてフェースプレートと貼り合わせパネルを形成した。このようにして形成した表示パネルは真空リーク欠陥もなく、信頼性の高い表示パネルとすることができた。
【0099】
(実施例4)
本実施例の表示パネルは、実施例1で説明した気密構造(図3参照)と同じ構造であるが、その作製手順が異なる。
【0100】
リアプレート11には青板ガラスを用い、その上にCVDにて膜厚4000ÅのSiO2膜を付けた。さらにこの上に、金属粒子からなるAgペーストを用い、印刷、あるいは、フォトリソ方法にて、上下配線を約10μm厚に形成した。このとき、上下間に厚さ23μmの層間絶縁層を形成する同時に、枠フリットと接する引出し線上の絶縁層13も形成する。
【0101】
上記のような絶縁層13の同時形成をするためには、上配線の少なくとも絶縁層13を形成する領域の引出し線は下配線を形成するときに同時に形成しておく必要がある。この際、上配線を形成するときに、あらかじめ形成してあった引出し線との接続、若しくは、層間絶縁層での配線の断線を注意する必要がある。
【0102】
本実施例においても、絶縁層13の封着部と接触する部分は他の実施例と同様に少なくとも1mm以上である。
【0103】
これ以降の工程は、実施例1と同じように、フェースプレートと貼り合わせパネルを形成した。このようにして形成した表示パネルは真空リーク欠陥もなく、信頼性の高い表示パネルとすることができた。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、引出し線におけるリークを低減することができるので、従来にない、パネル内部が高真空に保持された信頼性の高い表示パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示パネルのリアプレートと支持枠との封着部の気密構造のの一例を示す断面構造図である。
【図2】本発明の表示パネルの一構成例を示す斜視図である。
【図3】図1に示す気密構造を備える表示パネルのリアプレート全体の封着部分の構造を示す模式図である。
【図4】本発明の表示パネルに設けられる表面伝導型電子放出素子の基本構造を示す模式図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図5】(a)〜(c)は表面伝導型電子放出素子の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図6】本発明の表示パネルの配線引出しパターンの一例を示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の表示パネルのリアプレート全体の封着部分の構造を示す模式図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の表示パネルのリアプレート全体の封着部分の構造を示す模式図である。
【図9】表面伝導型電子放出素子の典型的な例を模式的に示す図である。
【図10】特開平9−277586号公報に記載された表示パネルの真空封止部の引出し線のパターン形状を示す模式図である。
【符号の説明】
1 リアプレート
2 厚膜配線
3,4 絶縁層
5 支持枠

Claims (2)

  1. 配線が設けられた基板と、支持枠と、を含む表示パネルの製造方法であって、
    基板上に、金属粒子とガラスとを含むペーストを塗布し焼成して配線を形成する工程と、
    前記配線上を含む、支持枠が封着される部分に沿って枠状に前記ガラスと同じ材料からなるガラスを設ける工程と、
    前記設けたガラス上にフリットガラス及び支持枠をその順に設け、該支持枠と前記基板とを封着する工程と、
    を含むことを特徴とする表示パネルの製造方法。
  2. 前記金属粒子は、Agから構成されることを特徴とする請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
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