JP3985953B2 - 化学物質の高感度電気化学検出方法、及び化学物質の高感度検出装置 - Google Patents
化学物質の高感度電気化学検出方法、及び化学物質の高感度検出装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学物質の高感度電気化学検出方法、及び化学物質の高感度検出装置に関し、更に詳しくは、油水分配傾向が大きな各種化合物、特に極微量の環境汚染物質、に対して高感度の検出を可能とする化学物質の高感度電気化学検出方法、及び該方法を適用した化学物質の高感度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境中には非意図的生成物と呼ばれる化学物質が多く存在し、それらの中には生物体内で極微量で擬似的ホルモン様作用を示すもの(一般的に環境ホルモン、正式には外因性内分泌攪乱化学物質と呼ばれる)が多く存在する。環境省は「環境ホルモン戦略計画SPEED'98(Strategic Programs on Environmental Endocrine Disruptors)」で、1998年5月にこうした内分泌攪乱作用を有する環境ホルモン物質として、約70種類の物質をリストしている。
【0003】
環境ホルモンの中には工業製品に由来しているものもあり、例えば、工業用洗浄剤、殺虫剤、薬用化粧品などに使われるalkylphenol polyethoxylateは、動物体内や下水処理施設のバクテリアにより分解され、nonylphenolなどのエストロゲン類似化合物を生成する。その他にもbutylphenolは樹脂原料として、nonylphenolやoctylphenolは界面活性剤として、butylhydroxyanisoleはパーム原料油の酸化防止剤として、dichlorophenは染料原料として、pentachlorophenolは防腐剤、除草剤、殺菌剤として用いられる。これら化学物質は、工業廃水、生活排水、産業廃棄物として環境中に存在する。
【0004】
例えば、bispheol Aの毒性については、発ガン性、生殖毒性、催奇形成等、極低濃度で人の健康への影響が懸念されており、こうした環境汚染物質(化学物質)の汚染状況を正しく把握し、評価することが早急に迫られている。
【0005】
しかしながら、大気中、土壌中、食品中及び水中等に存在する環境汚染物質に対する測定は、従来、これらの物質の測定が殆ど行われなかったことに加え、含有量が微量であり、しかも、多種多様の共存物質が存在しているため、環境汚染物質に対して、精度のよい正確な測定を迅速且つ簡易に行うことができる測定方法は未だ確立していないのが現状である。1997年に厚生省(現厚生労働省)から、「廃棄物処理におけるダイオキシン類標準測定マニュアル」が示され、同年、環境庁(現環境省)から、「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」が示されている。そして、測定対象試料に応じた最適なサンプリング法と、測定用試料溶液中の目的物質の含有量を増加させるためや、共存物質を取り除くこと等を目的とする前処理法によって予め処理を施した後、同定及び定量をガスクロマトグラフィー/質量分析計(GC/MS)で測定を行なうとしている。このように、従来の方法は、特殊なサンプリング装置や煩雑な前処理を要するため、測定に長時間かかり、しかも高価で大型の測定装置を必要とするため、環境汚染物質に対して迅速で、簡易且つ安価で、しかも精度及び正確さにおいて満足できる分析方法の確立が切望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、従来の方法では検出できないような低濃度の測定試料に対し、迅速に、簡単且つ安価に、しかも、充分に満足できる精度及び正確さで測定できる化学物質、特に環境汚染物質の、高感度検出方法、及びこれを適用した化学物質、特に環境汚染物質の、高感度検出装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、油相と水相とが油水界面を形成して流れるマイクロ・ナノメートルスケールの油水分離流路の、測定対象物質が分配される相に電極を設置し、油水分離流路を測定対象物質が流れていく間に、上記電極によって測定対象物質が酸化または還元して得られる生成物を、相手相中に含有させた還元剤または酸化剤によって元の物質へと戻すことを繰り返し、電気化学的増幅検出を行なうことを特徴とする化学物質の高感度電気化学検出方法である。
【0008】
本発明の別の形態は、少なくとも、油相と水相とが油水界面を形成して流れるマイクロ・ナノメートルスケールの油水分離流路と、測定対象物質が分配される相に接している流路の壁に設置された電極と、該電極に接続された電気化学検出器を有することを特徴とする化学物質の高感度検出装置である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。上記した従来技術の課題に対し、本発明者らは鋭意検討した結果、近年、例えば100μm以下の、非常に細いマイクロ・ナノメートルスケールの流路に油相と水相とを流すと、油水界面を形成して、分離した状態て流れることがわかってきたが、かかる現象を、電気化学的増幅検出システムに利用することで、従来の方法では検出できなかった低濃度の測定試料に対し、迅速に、簡単且つ安価に、しかも充分に満足できる精度及び正確さで測定が可能となることを知見して本発明に至った。
【0010】
マイクロ・ナノメートルスケール、具体的には100μm以下の極細管内に、図1に示したように、水相2と油相1とを流すと、油水界面5を形成し、それぞれが分離した状態のままで流れるマイクロ流体(以下、油水分離マイクロ流体と略す)が形成される。一方、電気化学的増幅検出システムでは、微量物質の検出において、酸化還元反応を繰り返させることで増幅検出を達成している。これに対して、本発明者らは、油水分離マイクロ流体の一方の相に、酸化或いは還元される測定対象物質を分配し、もう一方の相手相に、酸化或いは還元によって形成される生成物を元に戻すことのできる、還元剤或いは酸化剤の薬剤を充分な量で含有させた相を分配し、且つ、測定対象物質が分配される相に電極3を設置する構成とすれば、電極反応物質である測定対象物質が分配されている厚みの薄い相が、電極と薬剤とに挟まれた状態となり(図1(b)参照)、マイクロ・ナノメートルスケールの流路を流れていく間に、該相内で酸化還元反応が繰り返され、これによって電気化学的増幅検出が可能となり、この結果、従来の方法では検出できなかった低濃度の測定試料の迅速分析が可能となることを見いだした。
【0011】
油水分離マイクロ流体を形成させるために、本発明で使用する油水分離流路の内径は、10〜100μmとすることが望ましい。流路の幅が小さければ小さいほど増幅の効率を上げることができるが、10μmよりも狭いと液体の流動性を保つことは難しくなってくると予想される。また、10μmよりも狭い流路のものは、現時点では加工も難しい。このような流路内に形成する油相及び水相の厚みは、各溶液の流速で規定することができるが、電極を配置した相の厚みは、できる限り小さくすることが望ましい。
【0012】
これは、酸化或いは還元される測定対象物質である電極反応物質が、電極反応後、拡散によって容易に相手相へ拡散して酸化還元を受け、再度電極へ拡散するための時間を大幅に短縮することが望まれるためであり、このように構成できれば、増幅効率を向上させることが可能となる。また、これに関連して、油相及び水相の各相の送液速度は、電極配置部分の流路の体積に大きく依存するが、線速度として5mm/sec以下とすることが望ましい。この値は低ければ低いほど増幅効率を稼げるが、一方で、測定時間が長くなるので、両者を勘案して適宜に決定すればよい。
【0013】
本発明に使用できる電極の素材は、従来用いられているものをいずれも使用することができ、何ら限定されない。特に、本発明においては、後述するように、測定対象物質を電気化学的活性物質により標識し、検出効率を向上させる態様とすることが好ましいが、この場合には、標識する電気化学的活性物質を効率的に酸化或いは還元できる素材の電極であれば、いずれのものも使用できる。具体的には、例えば、金、白金、銀、銅、アルミニウム、炭素、チタン、及びインジウム等が挙げられる。
【0014】
上記に挙げたような電極材料は、油水分離マイクロ流体の測定対象物質が分配される相に接している流路の壁に配置するが、その場合に、電極反応物質である測定対象物質が分配されている薄い相が、電極と、相手相とに挟まれた状態となるように設置すればよい。かかる構成によって、図1(b)に示したように、測定対象物質が分配されている相で、電極3によって測定対象物質が酸化(または還元)して得られる生成物を、相手相中に含有されている還元剤(または酸化剤)によって元の物質へと戻すことが、良好な状態で繰り返されるようになる。
【0015】
従って、電極を設置するのは、マイクロ・ナノメートルスケールの油水分離流路の片方の相に接している壁であれば、側壁面、上面、下面のいずれかの場所であってもよい。電極は、作用電極と対極とを有し、更に必要に応じて配置される参照電極を有する。その際に、これらの電極が、お互いにより近接した状態となるように配置することが好ましい。配置する場所は、油水分離マイクロ流体に形成される油水界面の面に、平行に、且つ、油相或いは水相のどちらか一方に選択的に入るように配置する。電極をどちら側に配置するかは、測定対象とする物質と、相手相に含有させる薬剤との間の酸化還元反応に応じて決定すればよい。
【0016】
上記で形成される油相に使用できる有機溶媒としては、水と混じり合わない物質であれば、どのようなものでも使用できる。具体的には、例えば、ニトロベンゼン、酢酸エチル、クロロホルム、四塩化炭素、石油エーテル、石油ベンジル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン、二硫化炭素等が挙げられる。
【0017】
更に、本発明においては、マイクロ・ナノメートルスケールの流路に、油水界面を形成させ易くするためには、油相を配置したい領域の流路壁面が疎水性に、水相を配置したい領域の流路壁面が親水性に、それぞれなるように、適宜に表面処理を施したものを使用することが望まれる。具体的には、例えば、ガラス製の油水分離流路を用いる場合には、適当な金属(金等)を表面にプレートして、その表面に疎水性化合物であるアルカンチオール類を修飾することで、その領域を疎水性にすることができる。また、例えば、ガラス製の油水分離流路を用いる場合には、その表面をプラズマ処理することで、その領域を親水性にすることができる。
【0018】
本発明においては、上記した図2に示したような構造を有する装置を用いることで、下記のようにして酸化還元反応を繰り返させて、微量な化学物質の高感度な電気化学検出を可能とする。以下、測定対象物質が、電極酸化する物質である場合を例にとって説明する。図2に示したマイクロ・ナノメートルスケールの流路の一方から、油相中に測定対象物質が含有されている試料を流し、もう一方から、還元剤を充分な量で含む水相を流す。すると、図1に示したように、マイクロ・ナノメートルスケールの流路内を、油相1と水相2とが油水分離し、油水界面5が形成された状態で流れる。図1(b)に示したように、油相1の壁には電極3が配置されているため、測定対象物質は、電極酸化して酸化物を生成する。マイクロ・ナノメートルスケールの流路においては、該生成物は流路内を拡散し、相手相2へ容易に拡散し、そこで、還元剤によって還元されて元の物質に戻る。元の物質に戻った物質は流路内に拡散し、再び電極3で電極酸化される。マイクロ・ナノメートルスケールの流路内を流れる間、上記した酸化還元反応が繰り返される。この結果、電気化学的増幅検出が可能となる。
【0019】
本発明において検出できる化学物質としては、油水分配能を基礎とした増幅法であるが故、油相或いは水相へ分配され易いものが対象となるが、油相或いは水相に分配され、且つ電極反応するものであれば、いずれのものも対象となる。より好ましくは、先に述べたように、測定対象物質を電気化学的活性物質で標識することで、より検出効率を高めることができる。又、かかる方法によれば、電極反応しない物質であっても測定対象とすることが可能となる。従って、下記に挙げるような環境汚染物質をいずれも測定対象とすることができる。
【0020】
以下に、上記した検出効率を高め、種々の物質を測定対象とすることができる方法について説明する。具体的には、測定対象物質に電気化学活性原子団を修飾して誘導体化させ、然る後、油水分離マイクロ流体として電極反応をさせるように構成する。測定対象物質を誘導体化する場合に修飾させる電気化学活性原子団としては、水溶液中或いは有機溶媒中で、使用する電極によって速やかに酸化或いは還元される物質であって、且つ測定対象物質に容易に修飾できる化合物であれば、どのようなものでも使用できる。具体的には、例えば、グアヤコール、芳香族アミン、及びフェロセン等の有機金属化合物、等が挙げられる。
【0021】
フェロセンは、従来より知られている有効な電気化学的活性物質であるが、例えば、下記に示したようにして、アルキルフェノール類と反応させて修飾させることで、アルキルフェノール類を電気化学的活性物質へと誘導体化させることができる。
【0022】
本発明においては、上記したようにして、フェロセン等の電気化学的活性物質を修飾して誘導体化させることで、電気化学的活性物質へと誘導体化できるものであれば、いずれの化学物質も測定対象となり得る。誘導体化の対象にできる基質としては、例えば、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、脂肪族カルボン酸類、芳香族カルボン酸類、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、チオール類等が挙げられる。又、これらの物質に修飾して電気化学的活性物質へと誘導体化させるものとしては、下記の表に挙げるもの等を例示することができる。
【0023】
【0024】
上記した電気化学的活性物質で標識する方法を用いることで、本発明の検出方法を適用できる対象物質を広範なものとでき、且つより高感度の検出が可能となる。本発明の検出方法を適用できる対象測定物質の具体的なものとしては、例えば、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニール類(PCB)、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロフェノール(PCP)、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、アトラジン、アラクロール、シマジン、ヘキサクロロシクロヘキサン、エチルパラチオン、カリバリル、クロルデン、p,p’−ジクロルジフェニルトリクロルエタン(DDT)、ジクロルジフェニルジクロルエチレン(DDE)、p,p’−ジクロルジフェニルジクロルエタン(DDD)、アルドリン、エンドリン、ディルドリン、エンドスルファン(ベンズエピン)、ヘプタクロリル、ヘプタクロルエポキサイド、メソミル、トキサフェン、ビスフェノールA、ベンゾ(a)ピレン、2,4−ジクロロフェノール、アルディカーブ、ベノミル、メトリブジン、ビテロジェニン、エストラジオール、エストロゲン等の環境汚染物質が挙げられる。
【0025】
更に、以上に説明した本発明の検出方法は、これを装置に適用した場合には、図2に示したような、マイクロチップ状の化学物質の高感度検出装置とすることができる。このため、現場で、簡易且つ迅速な分析をすることが可能となる。この際に使用できるチップ素材は、使用する有機溶媒に侵されないもので、非導電性で、且つマイクロ・ナノメートルスケールの流路の加工を施すことができるものであれば、いずれの素材をも選択できる。例えば、各種ガラス、シリコン、各種ポリマーを用いることができるが、中でもガラスやシリコンを使用することが好ましい。
【0026】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1):フェロセンの増幅検出
図1に示したような、水相と油相とを異なる入口から導入できるように形成した、内径が25μmの、シリコーン製のY字管を用意した。そして、油相の壁に、金の作用電極と、金の対極と、銀/塩化銀の参照電極とからなる電極を配置した。先ず、純水を水相用として用意した。一方の油相用には、赤い色素を添加した酢酸エチルを用意した。Y字管に設けた2個の導入口から、それぞれを線速度5mm/sec.の速さで流した。この結果、顕微鏡で観察したところ、図1に示したように、油水界面5が形成されていることを確認できた。
【0027】
次に、純水を水相とし、相手相である油相として、酢酸エチルにフェロセン濃度が1μMとなるように含有したものを用い、電極反応によって得られる電流の変化を測定した。別に、上記で使用したと同様のフェロセンを含有させた酢酸エチルを油相とし、相手相である水相として、純水中に還元剤としてフェロシアン化カリウムを含有させたものを用い、これらを流すことで酸化還元反応を繰り返させて電流増幅させた以外は上記と同様にして、電極酸化反応によって得られる電流の変化を測定した。その結果、図3に示したように、前者の、増幅させていない方法によって得られた電極酸化電流は、図3(b)のようになったのに対して、後者の、本実施例の電流増幅させた方法による電極酸化電流は、図3(a)のようであった。結果として、前者の場合に比べて、本実施例の方法によれば、明らかに効率のよい増幅がみられることが確認できた。
【0028】
(実施例2):アルキルフェノールの増幅検出
実施例1と同様にして電気化学的増幅検出試験を行なった。但し、油相として、先に説明したようにして、フェロセンを反応させて4−tert−ブチルフェノールを誘導体化して標識したものを酢酸エチル中に含有させたものを用いた。そして、実施例1と同様に、相手相である水相に、純水を用いた場合と、純水中に還元剤としてフェロシアン化カリウムを含有させたものを用いた場合の、2種類について試験を行なった。この結果、純水を用いた系では、図3(b)と同様な、4−tert−ブチルフェノールに修飾したフェロセン由来の電極酸化電流が観察された。更に、水相に還元剤を含有させた系では、図3(a)と同様な増幅酸化電流が観察された。結果として、修飾させたフェロセンを間接検出することで4−tert−ブチルフェノールの増幅検出が可能であることが確認できた。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、多くの化合物を対象とでき、これらを酵素等の特別な触媒に寄らず、位置分解能を高めることだけによって増幅検出を可能とする新規高感度分析法が提供される。即ち、本発明によれば、迅速に、簡単且つ安価に、しかも充分に満足できる精度及び正確さで測定できる化学物質の高感度検出方法、及びこれを適用した化学物質の高感度検出装置が提供される。更には、本発明によれば、科学分野における永遠のテーマであり、且つ近年多大な注目を浴びているナノテクノロジーの基礎となる、界面物質移動や界面電子移動を解析するための、重要且つ効果的なツールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化学物質の高感度検出方法を説明するための模式図である。
【図2】マイクロチップ状の化学物質の高感度検出装置の模式的概念図である。
【図3】実施例1の高感度検出結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1:油相(油相ポート)
2:水相(水相ポート)
3:電極
4:電極端子
5:油水界面
6:廃液ポート
Claims (9)
- 油相と水相とが油水界面を形成して流れるマイクロ・ナノメートルスケールの油水分離流路の、測定対象物質が分配される相に電極を設置し、油水分離流路を測定対象物質が流れていく間に、上記電極によって測定対象物質が酸化または還元して得られる生成物を、相手相中に含有させた還元剤または酸化剤によって元の物質へと戻すことを繰り返し、電気化学的増幅検出を行なうことを特徴とする化学物質の高感度電気化学検出方法。
- 測定対象物質が、電気化学的活性物質で標識されている請求項1に記載の化学物質の高感度電気化学検出方法。
- 電気化学的活性物質が、グアヤコール、芳香族アミン、フェロセンの少なくともいずれかである請求項2に記載の化学物質の高感度電気化学検出方法。
- 測定対象物質が、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、脂肪族カルボン酸類、芳香族カルボン酸類、脂肪族アミン類、芳香族アミン類及びチオール類の少なくともいずれかである請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学物質の高感度電気化学検出方法。
- 油水分離流路の内径が10〜100μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学物質の高感度電気化学検出方法。
- 測定対象物質が、環境汚染物質である請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学物質の高感度電気化学検出方法。
- 少なくとも、油相と水相とが油水界面を形成して流れるマイクロ・ナノメートルスケールの油水分離流路と、測定対象物質が分配される相に接している流路の壁に設置された電極と、該電極に接続された電気化学検出器を有することを特徴とする化学物質の高感度検出装置。
- 油水分離流路の内径が10〜100μmである請求項7に記載の化学物質の高感度検出装置。
- 測定対象物質が、電気化学的活性物質で標識されている請求項7又は8に記載の化学物質の高感度検出装置。
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