JP5311410B2 - 酸化還元物質の検出における感度増感方法及びそのための装置 - Google Patents
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Description
この方法は、試料溶液中に触媒を存在させることで、電極上で電気化学的に酸化又は還元された化学物質を触媒により再び還元又は酸化し、さらにこれを電極上で再び酸化又は還元を行う、といった一連のレドックスサイクリングを繰り返すことにより、電極上での電子授受量を増幅させて溶液中の化学物質検出の高感度化を図っている。例えば、特許文献1では、反応剤を提供して検出対象物質に共有結合した電気化学活性分子を電極付近で酸化した後、この電気化学活性分子を還元剤によって還元し、これらの酸化還元反応を繰り返して増幅電気化学信号を発生させて検出対象物質の存在を決定する方法が記載されている。また、特許文献2では、油水界面を形成して流れる流体の一方の相付近に電極を設置し、電極によって検出対象物質が酸化または還元して得られる生成物を、他方の相中の還元剤または酸化剤によって元の物質へと戻すことを繰り返し、電気化学的増幅検出を行なう方法が記載されている。
さらにまた、検出時においても電極電位条件によっては溶存触媒の酸化還元反応由来のバックグランド信号の増大などにより、測定安定性や検出性能が損なわれる可能性がある。この触媒の酸化還元反応は電極上に脂質膜など触媒を排除する材料で被覆することである程度防ぐことができるが、電極加工技術の複雑さはさらに増加し、被覆膜が脱離などして電極安定性も不十分な場合が多い。また、酸化剤および還元剤触媒を用いる場合は、溶液内に大量の触媒反応の生成物が残存するため、沈殿や凝集などによる検出対象物質の共沈や電極吸着による測定妨害が生じる可能性がある。また、試料溶液に溶解する均一触媒の場合は、測定後回収が困難であり、繰り返し使用が不可能である。固体の不均一触媒についても、試料中の共存物質が触媒表面へ吸着するため触媒反応が抑制される可能性がある。これらの問題は触媒試薬を用いた接触ストリッピングボルタンメトリーにおいても生じる。
また、2組の作用電極の電極間隔を数十μmレベル以下に絶縁状態で設置し、各電極で酸化および還元反応を繰り返し行う必要があるため、極めて高度な微細加工技術が必要となる。
さらに、検出対象物質の酸化還元反応は電極および試料溶液条件で規定される電位窓範囲内で行うため、検出物質の適用範囲が限定される。さらにまた、検出対象物質や共存物質の吸着などにより二組の電極の絶縁状態を安定維持できず、繰り返し測定が困難である。
以上のような制限があるため、2組の作用電極を用いたレドックスサイクリングによる感度増幅方法も、上述の実際の環境および工場背増ラインなどの現場ニーズに対応した測定は実現できなかった。
また、本発明者らは、本発明の電気化学検出方法に用いる光照射手段として、特許文献7に記載されたような、内部に光反応管が貫通したものを用いることが有効であることを見いだした。
[1]酸化還元物質を電気化学的に検出する方法において、検出対象物質を溶解した試料溶液に光を照射することで溶媒分子からラジカルを発生させ、これを用いて該溶液中に存在する検出対象物質の酸化又は還元反応を起こした後に、この酸化又は還元された物質を電極上で再還元又は再酸化を行い、さらにこの再還元又は再酸化された物質を前記試料溶液に光を照射することで溶媒分子から発生させたラジカルを用いて再々酸化又は再々還元を行い、さらに続けて上記の電極反応を起こす一連のレドックスサイクリングを繰り返し行うことにより、電極上での電子授受量を増幅させることを特徴とする電気化学検出方法。
[2]前記試料溶液中に存在する検出対象物質を、電気化学反応、化学反応、又は物理吸着により前記電極上に濃縮することを特徴とする[1]に記載の電気化学検出方法。
[3][1]又は[2]に記載の電気化学検出方法を用いて、試料溶液中に溶解させた既知量の酸化還元物質の前記電極上での電子授受量を測定し、得られた電子授受量から前記溶媒分子から発生したラジカル量を測定する方法。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の電気化学検出方法に用いるための装置であって、
少なくとも、試料溶液に光を照射することで溶媒分子から発生させたラジカルを用いて酸化又は還元反応を起こす検出対象物質を溶解した試料溶液を収納した検出セル、該セル内の溶液中に挿入された筒状又は棒状の電極、及び該検出セル内の溶液への光照射手段を備え、前記検出セルが、前記光照射手段を貫通するように配置されるとともに、前記電極が、微小な間隔のくし形部分を有するくし形電極であることを特徴とする電気化学検出装置。
[5][1]〜[3]のいずれかに記載の電気化学検出方法に用いるための装置であって、
少なくとも、試料溶液に光を照射することで溶媒分子から発生させたラジカルを用いて酸化又は還元反応を起こす検出対象物質を溶解した試料溶液を収納した検出セル、該セル内の溶液中に挿入された筒状又は棒状の電極、及び該検出セル内の溶液への光照射手段を備え、前記検出セルが、前記光照射手段を貫通するように配置されるとともに、前記電極が、微小な間隔を有するらせん状電極であることを特徴とする電気化学検出装置。
[6]前記らせん状電極が、中空型らせん状電極であることを特徴とする[5]に記載の電気化学検出装置。
また、触媒による電極劣化や検出時の触媒の酸化還元反応由来の電気化学検出のバックグランド信号の増大がないため、測定安定性や検出性能が損なわれずに測定できる。その結果、この触媒の酸化還元反応を防ぐ電極化学修飾など高度な加工も必要とせず、電極安定性も損なわれることはない。
さらに、本発明による感度増幅法は、溶媒分子から発生するラジカルを用いるため、既存の酸化剤および還元剤触媒のように増幅後に大量の触媒反応の生成物が残存せず、副反応、沈殿、凝集などによる検出対象物質の共沈や電極吸着による測定妨害が生じない。
さらに、本発明の場合、感度増幅に用いるラジカルは試料溶液に必ずそして大量に存在する溶媒分子から生成し続けることが可能のため、既存の均一触媒の測定後回収が不要であり連続測定が可能である。また、本発明の場合、固体の不均一触媒も不要であるため、試料中の共存物質の触媒表面へ吸着による感度増幅が抑制されることも生じない。また、環境水や工場排水などのように共存物質が存在していても、本発明では触媒を用いず元々試料溶液に大量に含まれる溶媒分子を使用しているため、触媒由来の副反応や触媒の劣化など測定妨害が生じず、安定した検出増幅効果が得られる。
図1(a)では、溶媒分子光反応によって検出物質の酸化反応を行い、電極上で還元反応を行う場合である。光を、検出対象物質を溶解した溶液に照射することで溶媒分子からラジカルを発生させ、これを用いて溶液中に存在する酸化還元物質の酸化反応を起こした後に、この酸化後の化学物質を電極上で再還元を行い、さらにこの再還元された化学物質を上記光反応によって再々酸化を行い、さらに続けて上記の電極反応を起こすレドックスサイクリングを繰り返し行うことにより、電極上での電子授受量を増幅させて酸化還元物質の検出の感度増幅を図る。検出増幅が得ることができれば、溶媒分子光反応および電極反応は酸化および還元反応、または還元および酸化反応の各々の組み合わせであってよい。検出方法は検出対象物質の電子授受量が量れればよく、ボルタンメトリー、アンペロメトリー、クーロメトリー、ポテンシオメトリーなど各種電気化学分析法を用いることができ、検出値は電流値、抵抗値、電圧値など電子授受量を反映する量であればよい。また、検出方法は発光または蛍光であってもよい。具体的には、本法の光反応によって溶媒から発生するラジカルを起点にしたレドックスサイクルから発せられる電子を授受した検出対象物質が発生する化学発光および蛍光や生物発光および蛍光などを用いる。これらの発光および蛍光は検出対象物質自身から発生するものだけでなく、検出対象物質が別の発光また蛍光を発する反応系に電子伝達することで検出しても良い。また、本法の光反応によって溶媒から発生するラジカルを起点にしたレドックスサイクルと、その発生する電子を授受および伝達する機構を有する化学反応および生物反応系と組み合わせることで、本法は化学発光および蛍光や生物発光および蛍光を増幅する手段としてもことも可能である。
ポテンシオスタットに、参照電極、及び対電極を接続する。作用電極は、検出セル内に設置する。参照電極及び対電極は試料溶液が入ったビーカーに設置する。検出セルには、ビーカーの試料溶液を一部吸い上げて閉栓して静置する。この検出セルにランプ光を照射することで溶媒分子よりラジカルなど酸化または還元作用物質を発生させ、これを用いて検出対象物質を酸化または還元し、生成した酸化物または還元物を電極に電位を印加して電気化学的還元または酸化し、再び溶媒光反応で再酸化または再還元を行う一連のレドックスサイクリングを起こして検出増幅を行う。
2価の鉄イオン(Fe2+)が存在する水溶液試料に、1台のポテンシオスタットに接続した作用電極、対電極、および参照電極を挿入し、200nm以下の真空紫外光を試料溶液に照射する。この光照射により、溶媒である水分子から強力な酸化剤であるヒドロキシラジカルが生成されるため、試料中のFe2+が直ちにFe3+へ酸化される。これを作用電極上でFe3+の還元電位以下の電位を印加すると直ちに還元されるため、電極より電子供給が行われて電流が発生する。この還元されたFe2+は、上記のヒドロキシルラジカルによりFe3+に再酸化され、これを再び電極上でFe2+に再還元することで電流が発生する。ヒドロキシルラジカルは、水溶液中に最も高濃度に存在する溶媒の水分子から連続的に発生し、また、その強力な酸化力により迅速な酸化反応を起こすことが可能であるため、電極近傍にはFe3+が供給し続けられる。Fe3+の電極還元反応は迅速であることから、この溶媒分子光酸化反応および電極還元反応のレドックスサイクリングを繰り返すことが可能となり、触媒試薬を全く用いずに電極上の還元検出電流値は増大し高感度検出が可能となる。
また、検出方法は、前述の鉄の検出例では分析法としてボルタンメトリーを用いているが、検出対象物質の電子授受量を測定できれば種類は問わない。アンペロメトリー、クーロメトリー、ポテンシオメトリーなど他の各種電気化学分析法を用いてもよい。また、検出値は電流値、抵抗値、電圧値など電子授受量を反映する量であれば種類は問わない。
さらに、検出セルは、光源からの光を溶液に照射することができるものであって、且つ前記作用電極が収納できるものであれば、その材質、大きさ、および形状等は問わない。例えば、材質はガラス、金属、有機物質などがある。
この電極はくし形だけでなく微少な間隔を有するらせん状の電極であってもよい。微少な電極間隔のため、くし形電極と同様な感度増幅およびS/N比改善ができる。らせん状電極の一例としては、中空型らせん状電極およびロッド内包型らせん状電極がある。中空型の場合、くし形電極と同じ効果の検出感度増幅およびS/N比の向上が得られるのに加えて、光源に対して電極の表側面だけでなく裏側面も、溶媒分子光反応による検出増幅効果を利用することができるため、さらなる検出感度増幅が起こる。また、ロッド内包型らせん状電極の場合、ロッドは、ガラスやポリマーなどの絶縁体であると良い。
また、前述のとおり、本発明による感度増幅法は、一組の作用電極と一台のポテンシオスタットで実現できるため、既存の多重作用電極法のように二組の作用電極と高価なポテンシオスタットが2台も必要がなく、また、各電極の電位の精密制御も不要である。また、2組の作用電極の電極間隔を数十μmレベル以下に絶縁状態に設置する高度な微細加工技術が必要とせず、二組の作用電極および試料溶液条件で規定される電位窓範囲内で検出対象物質の酸化還元反応を行う必要がなく、より広範囲の電位窓範囲で酸化還元反応を行うことが可能であるため、検出物質の適用範囲を広げることができる。
さらにまた、一組の作用電極のみ使用するため、検出対象物質や共存物質の吸着によって電極の絶縁状態を損なわないため、繰り返し測定が可能である。
また、本発明による触媒や多重作用電極を用いない化学物質検出の増幅法は、既存法で必要であった触媒試薬補給、不均一触媒の再コンディショニング、多重作用電極の交換といったメンテナンスおよびコスト負担を大幅に軽減できる。
また、本発明の感度増幅効果により、微量化学物質の高感度測定も行うことが可能となる。さらに、この増幅効果を利用して、得られた総電子授受量から光照射条件下での溶液中で発生するラジカル量を測定も可能である。従来のラジカル測定には2,4,6−Tri−tert−butylnitrosobenzeneなどのラジカル捕捉剤を用いたESR測定などがあるが、高価な試薬および分析装置が必要であった。一方、本発明の方法は、鉄など安価な試薬および電気化学測定装置で測定可能である。また、装置も小型でありオンライン化も可能であるため、水質管理や水処理現場で水質指標や処理剤として用いられるヒドロキシラジカルやスーパーオキシドなど各種ラジカルをモニタリングも可能である。さらにまた、照射光に真空紫外光を用いれば、電極反応の妨害となる試料溶液中の溶存有機物や電極劣化の原因となる吸着有機物を分解除去できる効果も得られる。
作用電極に、直径0.2mmの金線、対電極に、0.2mmの白金線、参照電極に、Ag/AgCl電極を、それぞれ用いた。ランプは、6Wのペン型水銀ランプで、照射窓は合成石英製とした。検出セルに、内径1mmの合成石英管を用い、試料セルに、10mlのポリプロピレン製のビーカーを用いた。試料は、0.1mMの塩化鉄を含む0.1Mの硫酸を用いた。なお、ここで用いた硫酸は、支持電解質である。
水銀ランプより発せられる185nmの真空紫外光により試料溶液中の水分子よりヒドロキシルラジカルを発生させ、これを鉄イオン(Fe2+)の酸化剤として用いた。
作用電極の電位掃引範囲は+0.2〜+0.8V(vs. Ag/AgCl)であった。光照射しない場合は、電位掃引により電極上でFe2+/Fe3+の可逆的酸化還元反応が行われ、酸化及び還元反応に応じた同強度の電流値変化が観測されているのに対して、光照射すると還元電位+0.4V付近の電流が負の方向に増幅し、シグモイド型のボルタモグラムに変化した。
これは電極上で電気化学的還元されたFe2+が水銀ランプ照射による水分子から生成したヒドロキシルラジカルによりFe3+に迅速に再酸化され、これが直ちに電極上でFe2+に再々還元するといったレドックスサイクリングが繰り返し行われ増幅したためである。
Fe3+イオンの還元電位付近の+0.4Vに固定して行った。光照射せずに電位印加を開始すると、開始数秒間は電極近傍のFe3+の還元電流及び充電電流のため負の電流が流れるが、直ちにこれらに起因する電流は枯渇してほぼ一定の低値となった。これを初期状態として光照射すると還元電流値は負方向に増大し一定となった。また、照射を停止すると元の低値まで減衰した。これはランプ照射により電極近傍のFe3+量が増加することで、電極上でのFe2+への還元量が増加し還元電流値が増大したことを示している。
装置構成部品は、図1(b)の装置とほぼ同じであるが、検出セルを、光源ランプ11に貫通するように設置した。このためにランプ内で発せられるほとんど全ての光を試料溶液へ照射することが可能となり、溶媒分子の光反応効率が向上して電気化学的検出感度の増幅率が向上する。また、ランプの外側を、アルミホイルなどランプ光を反射する材料で覆うことでランプ内の光をさらに効率良く照射する方法を加えても良い。さらにまた、閉栓を三方コネクタに代えて液体クロマトグラフなど流れ分析用のフロー式検出器としてもよい。液体クロマトグラフの出口を検出セル入口に接続し、検出セル出口の三方コネクタの一方から検出後の試料溶液を排出する機構にし、クロノアンペロメトリー測定などにより液体クロマトグラフにより分離された検出対象物質を高感度に検出することができる。液体クロマトグラフなどの化学物質を分離した後に検出する場合は、分離度を損なわないために検出セル断面積を流れを妨げない範囲で小さくするとよい。
また、本装置は試料導入排出が容易であるため、水質モニタリング装置や液体クロマトグラフィの検出器などのフロー式検出器としても使用可能である。
図中の符号は、19がくし形・円筒電極を示す以外は、図1(b)と同じである。
電極19は、直径0.2mmの円筒状の非導電性材料に金を縞状にコーティングしたものを用いた。非導電性材料の材質はポリプロピレンなどの高分子や石英ガラスなど電極と絶縁状態を保たれる材料でその種類は問わない。また電極19の作成方法は、金コーティングの代わりに金線に非導電性材料にコーティングしてもよい。ランプ貫通型検出セルを用いてランプ光の照射効率を増加させて溶媒分子光反応効率を向上させるとともに、微小くし形電極による球面拡散と電極微小化を利用して更に検出感度増幅及びS/N比の向上が得られる。
くし形電極の他に微少な間隔を有するらせん状電極を使用しても良い。くし形電極と同じく微少な間隔を有するため、同類の検出感度増幅およびS/N比の向上が得られる。らせん状電極の一例として、中空型らせん状電極およびロッド内包型らせん状電極の模式図を図6の電極20および21に示す。
また、電極21は、0.2mm金線を石英ガラス棒に微少な間隔を空けてらせん状に巻き付けて作製した。石英ガラスに金をコーティングして作製してもよい。棒の材質は電極と絶縁状態とであれば種類は問わない。
中空型らせん状電極の場合、くし形電極と同じ効果の検出感度増幅およびS/N比の向上が得られるのに加えて、光源に対して電極の表側面だけでなく裏側面も溶媒分子光反応による検出増幅効果を利用することができるため、さらなる検出感度増幅が起こる。
検出対象物質の電極上濃縮は、既存のストリッピングボルタンメトリーで用いられる前濃縮操作を利用する。
一例として、アノーディックストリッピングボルタンメトリーの場合について述べる。最初に、検出対象とする酸化還元物質の酸化体(Ox)が還元体(Red)に還元できる電位E1を電極に印加して検出対象物質を電極上に析出濃縮させた(Redelectrode)。この析出濃縮段階の概念図を図7(a)に示す。次に、このRedelectrodeをOxに酸化できる電位E2を電極に印加し電気化学的酸化を行ったところ、電極より離脱し電極近傍に拡散した(Oxdif)。ここで、請求項[1]で説明した溶媒分子光反応によって生成される還元作用を有するラジカル・Bにより再還元を行い、さらに上記の電極上酸化を行うレドックスサイクリングを繰り返し行うことにより、電極上での電子授受量を増幅させて酸化還元物質の検出の感度増幅を図る。この感度増幅段階の概念図を図7(b)に示す。この方法は前濃縮後、電位E2を印加して検出物質を電極より離脱させることを起点しているが、電位E1を印加後に光照射して検出物質を電極より離脱させることを起点としてもよい。
説明した溶媒分子光還元とアノーディックストリッピングボルタンメトリーの組み合わせは一例であり、各種の溶媒分子光反応および各種ストリッピングボルタンメトリー、例えば、溶媒分子光酸化反応およびカソーディックストリッピングボルタンメトリーといった組み合わせでも良い。
2:作用電極
3:参照電極
4:対電極
5:ランプ
6:検出セル
7:閉栓
8:試料セル
9:試料溶液
10:ランプ電極
11:ランプ電源
12:くし形作用電極
13:石英ガラス板
14:試料導入口
15:試料排出口
16:ポリマーシート
17:台座
18:ボルト及びナット
19:くし形・円筒型作用電極
20:中空型らせん状電極
21:ロッド内包型らせん状電極
Claims (6)
- 酸化還元物質を電気化学的に検出する方法において、検出対象物質を溶解した試料溶液に光を照射することで溶媒分子からラジカルを発生させ、これを用いて該溶液中に存在する検出対象物質の酸化又は還元反応を起こした後に、この酸化又は還元された物質を電極上で再還元又は再酸化を行い、さらにこの再還元又は再酸化された物質を前記試料溶液に光を照射することで溶媒分子から発生させたラジカルを用いて再々酸化又は再々還元を行い、さらに続けて上記の電極反応を起こす一連のレドックスサイクリングを繰り返し行うことにより、電極上での電子授受量を増幅させることを特徴とする電気化学検出方法。
- 前記試料溶液中に存在する検出対象物質を、電気化学反応、化学反応、又は物理吸着により前記電極上に濃縮することを特徴とする請求項1に記載の電気化学検出方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の電気化学検出方法を用いて、試料溶液中に溶解させた既知量の酸化還元物質の前記電極上での電子授受量を測定し、得られた電子授受量から前記溶媒分子から発生したラジカル量を測定する方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学検出方法に用いるための装置であって、
少なくとも、試料溶液に光を照射することで溶媒分子から発生させたラジカルを用いて酸化又は還元反応を起こす検出対象物質を溶解した試料溶液を収納した検出セル、該セル内の溶液中に挿入された筒状又は棒状の電極、及び該検出セル内の溶液への光照射手段を備え、前記検出セルが、前記光照射手段を貫通するように配置されるとともに、前記電極が、微小な間隔のくし形部分を有するくし形電極であることを特徴とする電気化学検出装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学検出方法に用いるための装置であって、
少なくとも、試料溶液に光を照射することで溶媒分子から発生させたラジカルを用いて酸化又は還元反応を起こす検出対象物質を溶解した試料溶液を収納した検出セル、該セル内の溶液中に挿入された筒状又は棒状の電極、及び該検出セル内の溶液への光照射手段を備え、前記検出セルが、前記光照射手段を貫通するように配置されるとともに、前記電極が、微小な間隔を有するらせん状電極であることを特徴とする電気化学検出装置。 - 前記らせん状電極が、中空型らせん状電極であることを特徴とする請求項5に記載の電気化学検出装置。
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